(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694290
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】複数部分からなる流体系および体外血液回路中の局部的クエン酸塩血液凝固阻止のための系
(51)【国際特許分類】
A61M 1/14 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
A61M1/14 530
A61M1/14 520
【請求項の数】25
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-502657(P2012-502657)
(86)(22)【出願日】2010年3月31日
(65)【公表番号】特表2012-521823(P2012-521823A)
(43)【公表日】2012年9月20日
(86)【国際出願番号】EP2010054267
(87)【国際公開番号】WO2010112538
(87)【国際公開日】20101007
【審査請求日】2013年1月29日
(31)【優先権主張番号】0900422-7
(32)【優先日】2009年3月31日
(33)【優先権主張国】SE
(31)【優先権主張番号】61/164,922
(32)【優先日】2009年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501473877
【氏名又は名称】ガンブロ・ルンディア・エービー
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】ステルンビー、ヤン
【審査官】
熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0062861(US,A1)
【文献】
国際公開第2008/157748(WO,A2)
【文献】
特表2008−502722(JP,A)
【文献】
特開2002−248165(JP,A)
【文献】
特表2007−524629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00− 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液凝固阻止流体と、透析流体および注入流体の少なくとも一方の流体と、を含み、
前記血液凝固阻止流体は、少なくとも8mMのクエン酸塩を含み、
前記透析流体および注入流体の少なくとも一方の流体は、2−8mMのクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含むことを特徴とする持続的腎代替療法で使用される複数部分からなる流体系。
【請求項2】
前記血液凝固阻止流体は、1.5−4mMの合計のカルシウムをさらに含む請求項1に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項3】
前記血液凝固阻止流体は、8−50mMのクエン酸塩を含む請求項1または2に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項4】
前記血液凝固阻止流体は、10−50mMクエン酸塩を含む請求項1ないし3のいずれか1に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項5】
前記血液凝固阻止流体は、17−50mMクエン酸塩を含む請求項1ないし4のいずれか1に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項6】
前記血液凝固阻止流体は、2−3mMの合計のカルシウムを含む請求項1ないし5のいずれか1に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項7】
前記血液凝固阻止流体は、2.2−2.6mMの合計のカルシウムを含む請求項1ないし6のいずれか1に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項8】
前記血液凝固阻止流体は、0−1.5mMマグネシウム、0−5.0mMカリウム、0−11mMグルコース、130−150mMナトリウムおよび0−140mM塩化物をさらに含む請求項1ないし7のいずれか1に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項9】
前記透析流体および/または注入流体は、2.0−7.0mMクエン酸塩および1.8−2.4mMの合計のカルシウムを含む請求項1ないし8のいずれか1に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項10】
前記透析流体および注入流体の少なくとも一方の流体は、3.0−5.0mMクエン酸塩および1.8−2.4のmMの合計のカルシウムを含む請求項1ないし9のいずれか1に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項11】
前記透析流体および注入流体の少なくとも一方の流体は、0−1.5mMマグネシウム、0−5.0mMカリウム、0−11mMグルコース、130−150mMナトリウム、80−150mM塩化物、および0−2.8mMリン酸塩を含む請求項1ないし10のいずれか1に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項12】
前記透析流体および注入流体の少なくとも一方の流体は、さらに生理学的な緩衝液を含む請求項1ないし11のいずれか1に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項13】
前記生理学的な緩衝液は、重炭酸塩である請求項12に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項14】
前記透析流体および注入流体の少なくとも一方の流体は、25mMよりも低い濃度の重炭酸塩を含む請求項13に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項15】
前記透析流体および注入流体の少なくとも一方の流体は、さらに0.1−3.0mMグルコン酸を含む請求項9ないし14のいずれか1に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項16】
前記注入流体は、ポスト注入流体として使用される請求項1ないし15のいずれか1に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項17】
6mMよりも高い濃度の合計のカルシウムを含むポスト注入流体を持たない請求項1ないし16のいずれか1に記載の複数部分からなる流体系。
【請求項18】
患者から血液を引き出すための血管アクセスに接続されるように構成された動脈血ラインと、
前記患者に血液を返すための血管アクセスに接続されるように構成された静脈血ラインと、
透析物側および血液側を備え、血液側が前記動脈血ラインおよび前記静脈血ラインと流動的に通じているフィルタと、
前記フィルタの上流にある動脈血ラインに接続されるとともに、前記動脈血ライン中で血流へ注入される少なくとも8mMのクエン酸塩を含む血液凝固阻止流体の供給源と接続されるフィルタ前注入ラインと、
前記フィルタの下流にある前記静脈血ラインに接続されるとともに、前記静脈血ライン中で血流へ注がれる2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む注入流体の供給源と接続されるフィルタ後注入ラインと、
を備える体外の血液回路中の局部的クエン酸塩の血液凝固阻止のための系。
【請求項19】
患者から血液を引き出すための血管アクセスに接続されるように構成された動脈血ラインと、
前記患者に血液を返すための血管アクセスに接続されるように構成された静脈血ラインと、
透析物側および血液側を備え、その血液側が前記動脈血ラインおよび前記静脈血ラインと流動的に通じており、その透析物側が2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む透析流体の供給源と流動的に通じているフィルタと、
前記フィルタの上流にある前記動脈血ラインに接続されるとともに、前記動脈血ラインで血流へ注がれる少なくとも8mMのクエン酸塩を含んでいる血液凝固阻止流体の供給源と接続されるフィルタ前注入ラインと、
を備える体外の血液回路中の局部的クエン酸塩の血液凝固阻止のための系。
【請求項20】
患者から血液を引き出すための血管アクセスに接続されるように構成された動脈血ラインと、
前記患者に血液を返すための血管アクセスに接続されるように構成された静脈血ラインと、
透析物側および血液側を備え、その血液側が前記動脈血ラインおよび前記静脈血ラインと流動的に通じているフィルタと、
フィルタの上流にある前記動脈血ラインに接続されるとともに、前記動脈血ラインで血流へ注がれる少なくとも8mMのクエン酸塩を含んでいる血液凝固阻止流体の供給源と接続される第1のフィルタ前注入ラインと、
前記フィルタの上流にある前記動脈血ラインに接続されるとともに、前記動脈血ラインで血流へ注がれる2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む注入流体の供給源と接続される第2のフィルタ前注入ラインと、
を備える体外の血液回路中の局部的クエン酸塩の血液凝固阻止のための系。
【請求項21】
前記フィルタの下流にある前記静脈血ラインに接続されるとともに、前記静脈血ラインで血流へ注がれる2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む注入流体の供給源と接続されるフィルタ後注入ラインをさらに含む請求項20に記載の体外の血液回路中の局部的クエン酸塩の血液凝固阻止のための系。
【請求項22】
前記フィルタの前記透析物側は、2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む透析流体の供給源と流動的に通じている請求項18、20、21のいずれか1に記載の体外の血液回路中の局部的クエン酸塩の血液凝固阻止のための系。
【請求項23】
6mMよりも高い濃度の合計のカルシウムを含むあらゆる注入流体の供給源と接続されたあらゆるフィルタ後注入ラインを含まない請求項18ないし22のいずれか1に記載の体外の血液回路中の局部的クエン酸塩の血液凝固阻止のための系。
【請求項24】
前記血液凝固阻止流体は、さらに1.5−4mMの合計のカルシウムを含む請求項18ないし23のいずれか1に記載の体外の血液回路中の局部的クエン酸塩の血液凝固阻止のための系。
【請求項25】
血流の流量に関連して血液凝固阻止流体の流量を制御するのに適した制御ユニットをさらに含む請求項18ないし24のいずれか1に記載の体外の血液回路中の局部的クエン酸塩の血液凝固阻止のための系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持続的腎代替療法(CRRT)で使用される複数部分からなる流体系に関係があります。特に、それは、血液凝固阻止流体と、透析流体および注入流体からなるグループの少なくとも1つの流体と、に関係があります。
【0002】
本発明は、さらに体外の血液治療での局部的血液凝固阻止のための系に関係があります。
【背景技術】
【0003】
透析は腎不全の患者に必要とされる治療です。不用な物質および過剰な流体を血液から除去することは、外部流体へ転送(transfer)すること、あるいは外部流体を用いて血漿液体を置換することによって達成されます。関連する透析流体を備えた様々な透析技術が区別されるかもしれません。どの透析技術を使用するかは、患者のタイプに依存します。
【0004】
急性腎不全に苦しむ患者の場合には、数週間の間の全日を通じての連続的な治療、つまり持続的腎代替療法(CRRT)は、必要な治療です。
【0005】
慢性腎不全を持った患者が着用可能な人工腎臓系を使用している場合、持続的腎代替療法(CRRT)が治療方法であることは同様であり、そのような系は例えばUS2008/058696に示されています。
【0006】
CRRT治療では、患者の血流の一部は、不用の物質および超過流体の除去が行われる半透膜を含む体外の血液回路の中へ案内され、次に、浄化された血液は、患者に戻すように案内されます。半透膜には血液側および透析物側があります。
【0007】
不用の物質および超過流体の除去が外部流体への転送によって達成される場合、不用の物質および超過流体は、半透膜壁を透過し半透膜の透析物側に流れる透析流体の中に拡散することによって転送されます。この技術は血液透析と呼ばれます。
【0008】
不用の物質および超過流体の除去が外部流体を用いた血漿液体の置換によってなされる場合、血漿液体の一部は半透膜を通る対流の流れによって血液から取り除かれ、また、外部流体(さらに置換流体あるいは注入流体と呼ばれる)は、血流に添加されます。この技術は血液濾過と呼ばれます。
【0009】
最後に、不用の物質および超過流体の除去は、血液透析と血液濾過のコンビネーションによってもなされるかもしれませんし、したがって、不用の物質および超過流体の除去は、半透膜を通る拡散および対流(convection)のコンビネーションによって提供されます。この技術は血液濾過透析法と呼ばれます。
【0010】
すべての上記の示された技術に一般的なのは、体外の血液回路(除去はその中で行われる)へ患者から血液が連続的に取り出され、また、「浄化された」血液は、患者に返されるということです。血液が血管内のその正常な環境から取り除かれる場合、血液凝固カスケード(cascade)は始められます。また、凝固する血液によって体外の血液回路を詰まらせないために、血液凝固阻止のための手段を設けなければなりません。
【0011】
集中治療患者のための抗凝血剤としてのクエン酸塩(citrate)の使用は増加しています。クエン酸ナトリウムおよび/またはクエン酸を含んでいる流体は、血液アクセス(血液が患者を出て、体外の血液回路に入るところ)に近い位置で注入されます。クエン酸塩は、クエン酸カルシウム錯塩を形成(calcium citrate complex formation)することによって、血漿内のイオン化カルシウム濃度を低下させることにより、抗凝血剤として作用します。イオン化カルシウムは血液凝固カスケードにとって不可欠です。イオン化カルシウムレベルが0.5mMよりもかなり低下する場合、血液凝固カスケードが阻害されます。血液に存在するクエン酸塩は、クエン酸イオン当たり3つの重炭酸塩イオンを形成して、肝臓の中で急速に代謝されます。クエン酸塩の濃度が新陳代謝の中で低下すると、クエン酸錯塩(citrate complex)に結合されたカルシウムはリリースされ、イオン化カルシウムに返ります。
【0012】
今日、抗凝血剤としてのクエン酸塩の使用は、どんなカルシウムも含んでいない透析流体あるいは注入流体の使用と通常結びつきます。それは、かなりの量のカルシウムが半透膜の中で除去されるだろうということを意味します。患者の血液で危険なくらいに低いレベルのイオン化カルシウムにならないように、このカルシウムを戻さなければなりません。 除去されたカルシウムの返還は、かなり濃縮されたカルシウムの流体(塩化カルシウムあるいは数を増加させるケースでは、カルシウム・グルコン酸塩のいずれか)の直接の注入によって通常行われます。この注入は、患者への血液戻し(return)の近くで、体外の血液回路用のライン・セットへなされるか、あるいは直接患者の静脈へ行われるかもしれません。
【0013】
半透膜中で除去されたカルシウムを返還するために、血液中に正確な量のカルシウムをバランスさせることは、微妙な問題です。血液内であまりに多量、およびあまりにも少ないカルシウム量は、両方とも患者に重大な危害を与えますし、もしそれを正確に扱わなければ潜在的に患者にとって致命的です。したがって、患者のイオン化カルシウムレベルのきめ細かな管理が必要です。したがって、透析および/または注入流体にカルシウムを持たせることによる、カルシウムの注入を回避する多くの試みがなされました。しかしながら、凝固の問題を引き起こさずに、これらの流体に十分なカルシウムを持たせることは難しいです。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、凝固する危険を増加させることなく、透析プロセス中でカルシウムが除去されることを低減するか或いはそれを防ぐ、クエン酸塩の血液凝固阻止のための複数部分の(multipart)流体の系を提供することを1つの目的とします。
本発明は、血液凝固阻止流体と、透析流体および注入流体をからなるグループ中の少なくとも1つの流体と、を備える複数部分(multipart)流体の系であって、CRRTで使用される複数部分の流体の系に関係があります。発明によれば、血液凝固阻止流体は少なくとも8mMクエン酸塩を含み、また、透析流体および/または注入流体は、2−8mMのクエン酸塩および1−5mMの合計(total)のカルシウムを含みます。
【0015】
本発明の1つの実施形態の中で、前記血液凝固阻止流体がさらに1.5−4mMの合計のカルシウムを含みます。別の実施形態では、前記血液凝固阻止流体は2−3mMの合計のカルシウムを含みます。さらなる実施形態では、前記血液凝固阻止流体は2.2−2.6mMの合計のカルシウムを含みます。別の実施形態では、前記血液凝固阻止流体は約2.4mMの合計のカルシウムを含みます。
【0016】
本発明の別の実施形態では、前記血液凝固阻止流体は8−50mMクエン酸塩を含みます。さらなる実施形態では、前記血液凝固阻止流体は10−50mMクエン酸塩を含みます。さらなる実施形態は、前記血液凝固阻止流体は17−50mMクエン酸塩を含みます。さらなる実施形態では、前記血液凝固阻止流体は18−50mMクエン酸塩を含みます。
【0017】
本発明のさらなる別の実施形態の中で、前記血液凝固阻止流体が0−1.5mMマグネシウム、0−5.0mMカリウム、0−11mMグルコース、130−150mMナトリウムおよび0−140mM塩化物をさらに含みます。
【0018】
本発明の1つの実施形態では、透析流体および/または注入流体は2.0−7.0mMクエン酸塩および1.8−2.4mMの合計のカルシウムを含みます。別の実施形態では、透析流体および/または注入流体は3.0−5.0mMクエン酸塩および1.8−2.4mMの合計のカルシウムを含みます。
【0019】
本発明のさらなる別の実施形態では、透析および/または注入流体はさらに0−1.5mMのマグネシウム、0−5.0mMカリウム、0−11mMグルコース、130−150mMナトリウム、80−150mM塩化物、および0−2.8mMリン酸塩を含みます。
【0020】
本発明の別の実施形態では、透析および/または注入流体はさらに生理学的緩衝液を含みます。1つの実施形態では、前記生理学的緩衝液は重炭酸塩です。別の実施形態では、透析流体および/または注入流体は、25mMよりも低い濃度の重炭酸塩(bicarbonate)を含みます。
【0021】
まだ別の実施形態では、前記透析および/または注入流体はさらに0.1−3.0mMグルコン酸を含みます。
【0022】
別の実施形態では、前記透析および/または注入流体はさらに0.5−2.9mMグルコン酸を含みます。
【0023】
さらなる実施形態の中で、前記注入流体がポスト注入流体として使用されます。
【0024】
別の実施形態の中で、複数部分からなる流体の系は、上記実施形態の血液凝固阻止流体および透析流体だけを含みます。
【0025】
別の実施形態の中で、複数部分からなる流体の系は、上記実施形態の血液凝固阻止流体および少なくとも1つの注入流体だけを含みます。
【0026】
別の実施形態の中で、複数部分からなる流体の系は、上記実施形態の血液凝固阻止流体、透析流体および少なくとも1つの注入流体を含みます。
【0027】
別の実施形態の中で、複数部分からなる流体の系は、6mMよりも濃度の高い合計のカルシウムを含むポスト注入流体を
含みません。
【0028】
本発明は、さらに、患者から血液を引き出すための血管アクセスに接続されるように構成された動脈血ラインと、患者に血液を返すための血管アクセスに接続されるように構成された静脈血ラインとを含む、体外の血液回路中の局部的クエン酸塩血液凝固阻止のための系に関します。
【0029】
本発明によるこの系は、透析面(透析物の出ていくフィルタの外側の液体側の面)と、動脈血ラインおよび静脈血ラインと流動的に接続された血液面と、を備えるフィルタ(半透膜)と、フィルタ上流にある動脈血ラインに接続されるとともに、動脈血ラインで血流へ注がれる少なくとも8mMクエン酸塩を含む血液凝固阻止流体の供給源に接続されるフィルタ前注入ラインと、フィルタの下流にある静脈血ラインに接続されるとともに、2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含むとともに静脈血ラインで血流へ注がれる流体の供給源と接続されるフィルタ後注入ラインと、を備える。したがって、フィルタ前注入ラインは、少なくとも8mMクエン酸塩を含んでいる血液凝固阻止流体の供給源と流動的に通じており、フィルタ後注入ラインは、2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む注入流体の供給源と流動的に通じています。
【0030】
この系の別の実施形態では、フィルタの透析面は、2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む透析流体の供給源と流動的に通じています。
【0031】
この系のさらなる別の実施形態では、この系は、6mMよりも高い濃度の合計のカルシウムを含むあらゆる注入流体の供給源と流動的に通じているフィルタ後注入ラインを
含みません。フィルタ後注入ラインは、フィルタの下流で静脈血ラインに接続された注入ラインです。したがって、フィルタ後注入ラインは、6mMよりも高い濃度の合計のカルシウムを含む注入流体供給源には接続されません。
【0032】
本発明は、さらに、患者から血液を引き出すための血管アクセスに接続されるように構成された動脈血ラインと、患者に血液を返すための血管アクセスに接続されるように構成された静脈血ラインと、を含む体外の血液回路中の局部的クエン酸塩血液凝固阻止用の系に関係します。本発明によれば、この系は、透析物側および血液側を備えたフィルタであって、その血液側は動脈血ラインおよび静脈血ラインと流動的に通じており、その透析物側は2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む透析流体の供給源と流動的に通じているフィルタと、フィルタの上流で動脈血ラインに接続され、動脈血ラインで血流中へ注がれる少なくとも8mMクエン酸塩を含む血液凝固阻止流体の供給源と接続されるフィルタ前注入ラインと、を含みます。
【0033】
この系の別の実施形態では、この系は、6mMよりも多い合計のカルシウムを含む任意の注入流体供給源に接続されているフィルタ後注入ラインを
含みません。したがって、フィルタ前注入ラインは、少なくとも8mMクエン酸塩を含んでいる血液凝固阻止流体の供給源と流動的に通じており、また、フィルタ後注入ラインは、6mMよりも高い濃度の合計のカルシウムを含む注入流体の供給源には接続されません。
【0034】
本発明は、さらに、患者から血液を引き出すための血管アクセスに接続されるように構成された動脈血ラインと、患者に血液を返すための血管アクセスに接続されるように構成された静脈血ラインと、を含む体外の血液回路中の局部的クエン酸塩血液凝固阻止のための系に関係します。本発明によれば、この系は、透析物側および血液側を備え、その血液側は、動脈血ラインおよび静脈血ラインとの流動的に通じているフィルタと、フィルタの上流で動脈血ラインに接続されるとともに、動脈血ラインで血流へ注がれる少なくとも8mMクエン酸塩を含んでいる血液凝固阻止流体の供給源と接続される第1のフィルタ前注入ラインと、フィルタの上流で動脈血ラインに接続されるとともに、動脈血ラインで血流へ注がれる2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む注入流体の供給源と接続される第2のフィルタ前注入ラインと、を含みます。したがって、第1のフィルタ前注入ラインは、少なくとも8mMクエン酸塩を含んでいる血液凝固阻止流体と流動的に通じており、また、第2のフィルタ前注入ラインは、2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む注入流体の供給源と流動的に通じています。
【0035】
別の実施形態では、この系は、フィルタの下流で静脈血ラインに接続されるとともに、静脈血ライン中で血流へ注がれる2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む注入流体の供給源と接続されるフィルタ後注入ラインをさらに含みます。したがって、前記後注入ラインは、2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む注入流体供給源と流動的に通じています。
【0036】
またこの系の別の実施形態では、フィルタの透析物側は、2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む透析流体と流動的に通じています。
【0037】
この系の別の実施形態では、この系は、6mMよりも高い濃度の合計のカルシウムを含む任意の注入流体供給源に接続されるフィルタ後注入ラインを
含みません。
【0038】
本発明によるシステムの他の実施形態では、前記血液凝固阻止流体が1.5−4mMの合計のカルシウムをさらに含みます。
【0039】
しかし、本発明によるシステムの別の実施形態は、血流の流量と比較して血液凝固阻止流体の流量を制御するように構成された制御装置をさらに含みます。そのような制御装置を持っていることによって、系は血液内のクエン酸塩の量をモニターするとともに安定(securing)にしており、そのことは体外の血液回路内の凝固を回避するのに十分です。
【0040】
本発明による複数部分からなる流体系および本発明による体外の血液回路中の局部的クエン酸塩の血液凝固阻止のための系を用いることで、個別のカルシウム注入が回避されるかもしれないことが驚くほど示されました。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】体外の血液回路の中で局部的クエン酸塩の血液凝固阻止用の系の互いに異なる実施形態を示します。
【
図2】体外の血液回路の中で局部的クエン酸塩の血液凝固阻止用の系の互いに異なる実施形態を示します。
【
図3】体外の血液回路の中で局部的クエン酸塩の血液凝固阻止用の系の互いに異なる実施形態を示します。
【
図4】体外の血液回路の中で局部的クエン酸塩の血液凝固阻止用の系の互いに異なる実施形態を示します。
【
図5】体外の血液回路の中で局部的クエン酸塩の血液凝固阻止用の系の互いに異なる実施形態を示します。
【
図6】体外の血液回路の中で局部的クエン酸塩の血液凝固阻止用の系の互いに異なる実施形態を示します。
【
図7】体外の血液回路の中で局部的クエン酸塩の血液凝固阻止用の系の互いに異なる実施形態を示します。
【
図8】体外の血液回路の中で局部的クエン酸塩の血液凝固阻止用の系の互いに異なる実施形態を示します。
【0042】
用語「CRRT」は持続的腎代替療法を意味し、また、着用可能な人工腎臓系を使用する場合、この種の治療モードは、急性腎不全、あるいは慢性腎不全の場合には使用されます。
用語「血液凝固阻止流体」は、体外の血液回路内で血液凝固阻止効果を提供するように意図され、それは体外の血液回路内に注がれるように意図される流体を意味します。
【0043】
用語「透析流体」は、フィルタ(半透膜、透析器、透析フィルタあるいは透析膜とも呼ばれる)の透析物側に灌流(perfusion)するために流体を意味します。
【0044】
用語「注入流体」は、前稀釈(すなわち、血液が透析器に入る前に、体外の血流に注がれた)のためか、あるいは後稀釈(すなわち、血液が透析器を出た後で、血液が患者に返される前に、体外の血流へ注がれた)のために、体外の血液回路回路へ注がれる流体を意味します。注入流体は、通常、置換流体、代用流体あるいは血液濾過流体としても名前をつけられます。
【0045】
用語「合計(total)のカルシウム濃度」は、流体の中にあるカルシウムの合計量を意味し、従って、イオン化され、錯(complex)に結合されたカルシウム、タンパク質と結合されたカルシウムとして現れるカルシウムの合計を表わします。
【0046】
用語「グルコン酸」は、グルコン酸、グルコノ−δ−ラクトン(glucono-δ-lactone)、あるいはそれのナトリウム、カルシウム、マグネシウムあるいはカリウムの塩(つまり使用の準備ができている透析溶液へのグルコン酸塩)として添加されるかもしれない成分を意味します。
【0047】
用語「クエン酸」は、クエン酸、あるいはそれのナトリウム、マグネシウムあるいはカリウムの塩(つまり使用の準備ができている透析溶液へのクエン酸塩(citrate))として添加されるかもしれない成分を意味します。
【0048】
新規の治療法は提案され、組織内のソフトウェア・アプリケーションCitRRT(Rada 2005年
1)の使用によって評価されました。プログラムは、平衡定数(SCDベース2001年
2)の使用によって、血漿および透析のために使用される流体の中にある化学種(species)の平衡濃度を計算します。考慮に入れられた化学種(電解質、アルブミンおよび形成された複合体)は、テーブル1に示されます。
【0049】
テーブル1。Ca
2+及びMg
2+を形成する考慮に入れられた錯と一緒にある電解質およびアルブミンの正常な血漿の濃度
【表1】
【0050】
治療の必要条件は次のとおりです:
1. 適切な人工透析
2. 十分な抗凝固効果、つまりフィルタ(透析器)の血液側を通るイオン化カルシウムは、0.2−0.5mM(好ましくは0.3−0.4(文献による))であるに違いない。
【0051】
3. 患者に返された時の血漿全体におけるカルシウムの濃度は、正常なレベルになければならない、つまり約2.5 mMです。他の電解質の濃度レベルも十分でなければならない。
異なる4つの治療物理療法が評価され、テーブル2に示されます。また、これらは次のとおりです:
1. 今日ありふれたものとして、血液凝固阻止流体中にクエン酸塩およびNaClを有し、正常なすべてのイオンがあり、透析流体中のCa
2+、およびカルシウム注射器からのCa
2+の注入を除外する。
2. 血液凝固阻止流体中にクエン酸塩およびNaClがあり、透析流体中にはCa
2+を含むすべての正常なイオンがある。カルシウム注射器からの付加的なCa
2+かどうかを調査することは回避されるかもしれない。
3. 血液凝固阻止流体中にクエン酸塩およびNaClがあり、透析流体中にはクエン酸塩に加えてCa
2+を含むすべての正常なイオンとが含まれる。カルシウム注射器からの付加的なCa
2+かどうかを調査することは回避されるかもしれない。
4. 血液凝固阻止流体中にクエン酸塩に加えてCa
2+を含む正常なイオンがあり、透析流体中にはクエン酸塩に加えてすべての正常なイオンが含まれる。カルシウム注射器からの付加的なCa
2+かどうかを調査することは回避されるかもしれない。
テーブル2。評価された治療物理療法:
【表2】
【0052】
血液(125mL/min)および透析流体(2500mL/h)(道理にかなった範囲で変化する)の合理的な流量、カルシウム(2.5mM)およびマグネシウム(0.9mM)の正常な定常状態の濃度、および血液凝固阻止流体および透析流体(変化する(varied))中のイオンの適切な濃度は、ヘマトクリット(Hct)の30%、40g/Lのアルブミン血漿濃度および40mmHgのpCO
2と同様に仮定されます。420の尿素用のKoAを備えた透析器を備えた使い捨てのセットが想定されます。これは流体の流量によってのみ決定される清掃値(clearance)にとって十分です。
計算は下記標準流体(それだけかあるいは基礎として)を使用して行われました; 透析流体PrismaSate(登録商標)B22GK4/0(PS)(0.75mMのMg
2+、140mMのNa
+、4mMのK
+、120.5mMのCl
−、3mMの乳酸塩、22mMのHCO
3−、110mMのグルコース)、血液凝固阻止流体Prismocitrate(登録商標)10/2(PC)(12mMのクエン酸塩(Na
3citからの10mMおよびH
3citからの2mM)、136mMのNa
+、106mMのCl
−)、 また血液凝固阻止流体ACD−A(113mMのクエン酸塩(Na
3citからの75mM及びH
3citからの38mM)、225mMのNa
+、136のmMのぶどう糖)。カルシウム注射器のためのカルシウム注入流体は225mMのグルコン酸カルシウムを含んでいました。
【0053】
結果
物理療法1
例はテーブル3に示されます。
【0054】
テーブル3。物理療法1。透析流体PrismaSate(登録商標)(B22GK4/0(PS)と、血液凝固阻止流体Prismocitrate(登録商標)10/2(PC)あるいは血液凝固阻止流体ACD−Aと、を組み合わせて使用する場合の例。
【表3】
【0055】
透析流体PrismaSate(登録商標)よりも血液凝固阻止流体のACD−A流体のほうがはるかに濃度が高いため、血流が薄められることは少なく、したがって、透析器に入る合計のカルシウム濃度はより高い。結果として、患者の中へ行くクエン酸塩の合計はこの場合少しばかり高く、また、必要とされる注入カルシウムはわずかに低いです。患者の中へ行く重炭酸塩の濃度はもう少し高いです。透析器に入る流量が低いので、治療の清掃値は低くなります。
【0056】
物理療法2
この場合、カルシウムは標準透析流体に添加されます。血流の流量は、125ml/minに設定され、クエン酸塩とカルシウムの濃度および透析流体の流量は変えられるかもしれません。カルシウム流体の注入のない正確に合計のカルシウム(2.5mM)と同様に、イオン化カルシウムも正確(0.4mM以下の)に受理するあらゆる機会を得るために、透析器の中へ行くイオン化カルシウム濃度は0.25〜0.4 mMの間の異なる値にセットされました。透析流体の流量および透析流体中のカルシウム濃度をどのように変化させたとしても、イオン化カルシウム濃度が0.4mM以下で透析器から出る(患者へ入る)血漿で、合計のカルシウム濃度が十分に高いものを得ることは不可能です。例はテーブル4に示されます。血液凝固阻止流体ACD−Aを用いた場合に、重炭酸塩(bicarbonate)濃度は高すぎであり、つまり、重炭酸塩の濃度は、透析流体中で22mM未満でなければならなりません(それは透析流体PrismaSate(登録商標)B22GK4/0中の濃度です)。
【0057】
テーブル4。物理療法2。透析流体PrismaSate(登録商標)B22GK4/0(PS)と、およびその透析流体にCa
2+を加え、またそれと血液凝固阻止流体Prismocitrate(登録商標)10/2(PC)あるいは血液凝固阻止流体ACD−A とを組み合わせて使用する場合の例。
【表4】
【0058】
この物理療法は、理論上でもおよび臨床的にも働くようには見えません。臨床実験では、カルシウムの注入の必要のない、或いは、患者の血液の凝固(Gupta2004年
5(Cointault 2004年
6))のない、この種あるいは透析を行なうことは可能ではありませんでした。
【0059】
物理療法3
この場合、カルシウムとクエン酸塩は変更された標準透析流体に添加されます。透析器から出てくるものの正確な値が達成される(あるいは、透析流体の流量は変更されました)まで、電解質を含む濃度が変更されました。血液凝固阻止流体Prismocitrate(登録商標)10/12(PC)を使用する場合、透析流体中の濃度は次のとおりかもしれません: 3.35のmMのCa
2+、7.0mMのクエン酸塩、1.2mMのMg
2+、142mMのNa
+、5.9mMのK
+、107mMのCl
−、29mMの重炭酸塩および透析流体の流れは2500mL/h(テーブル5の結果参照)。血液凝固阻止流体ACD−Aを使用する場合、透析流体中の濃度は次のとおりかもしれません:2.4mMのCa
2+、4.8mMのクエン酸塩、0.9mMのMg
2+、136mMのNa
+、4.2mMのK
+、112mMのCl
−、20mM重炭酸塩、および透析流体の流れ2500mL/h(テーブル5の結果参照)。
【0060】
テーブル5。物理療法3。透析流体PrismaSate(登録商標)(B22GK4/0(PS)にCa
2+およびクエン酸塩を加え、それと血液凝固阻止流体Prismocitrate(登録商標)10/2(PC)、あるいは血液凝固阻止流体ACD−Aを組み合わせて使用する場合の例
【表5】
【0061】
血液凝固阻止流体Prismocitrate(登録商標)10/12のために、透析流体の流量が2000(或いは3000)mL/hに変更される場合、透析器から出る濃度はわずかに影響されます(上のテーブル5中の濃度と比較して);例えば、合計のCa
2+は2.4(2.6)mM、合計のMg
2+は0.8(0.9)mMおよび合計のK
+は3.6(4.4)、および清掃値(clearances)は、2666(3253)mL/hになります。血液凝固阻止流体ACD−Aを用いた例において透析流体の流量を変更する場合、濃度は同様に、しかしより小さな程度で影響されます。
【0062】
物理療法4
この場合、ゴールは、透析器を通り、電解質を含む濃度を一定にしておくことでした。可能な時、血液凝固阻止流体および透析流体の両方は正常な合計の血漿の値であるCa
2+、Na
+、K
+、Mg
2+及びCl
−を含んでいました。しかしながら、血液凝固阻止流体によって薄められるようになるために透析器を通る血漿の流れが濃縮される必要があるため、透析流体中のCa
2+およびMg
2+濃度は、正常よりわずかに低い。血液凝固阻止流体中で異なるクエン酸塩濃度が調査され、そしてこの流体中のCl
−の濃度は、選ばれたクエン酸塩の濃度に依存します。 透析流体中のクエン酸塩の濃度は、透析器を通るイオン化カルシウム濃度を一定にしておくように選ばれました。
【0063】
3つの異なる血液凝固阻止流体が調査され、一つは血液凝固阻止流体Prismocitrate(登録商標)10/12に基づいたもの、一つは血液凝固阻止流体ACD−Aに基づいたもの、および一つはそれらの中間のクエン酸塩濃度を備えた血液凝固阻止流体です。例はテーブル6に示されます。
選択肢1:血液凝固素子流体Prismocitrate(登録商標)10/12に、2.5mMのCa
2+、0.9mMのMg
2+、4.0mMのK
+が追加される。それと組み合わせて、透析流体は、2.1mMのCa
2+、4.1mMのクエン酸塩、0.8mMのMg
2+、144mMのNa
+、4.0mMのK
+、122mMのCl
−、および20mMの重炭酸塩を含み、透析流体の流れは2500mL/hです。
【0064】
選択肢2:流体中のクエン酸塩は、Na
3citかH
3cit、あるいはそれらの両方から由来するかもしれません。できるだけ(約6.4)高いpHを受け取るために、つまり、正常な血漿pHの7.4にできるだけ近いものとして、クエン酸塩はすべてNa
3citから由来すべきです。血液凝固阻止流体中の望ましいNa
+濃度は140mMであり、そしてこの場合のクエン酸塩濃度は140/3=67.6mMになるでしょう。2.5mMのCa
2+、0.9mMのMg
2+および4.0mMのK
+はこの血液凝固阻止流体に添加されました。それと組み合わせて、透析流体は2.25mMのCa
2+、4.5mMのクエン酸塩、0.85mMのMg
2+、140mMのNa
+、4.0mMのK
+、122mMのCl
−、および15mMの重炭酸塩を含み、透析流体の流れは、2500mL/hです。
【0065】
選択肢3: 血液凝固阻止流体ACD−Aに、2.5mMのCa
2+、0.9mMのMg
2+および4.0mMのK
+が追加されました。それと組み合わせて、透析流体は2.25mMのCa
2+、4.5mMのクエン酸塩、0.85mMのMg
2+、140mMのNa
+、4.0mMのK
+、122mMのCl
−、および15mMの重炭酸塩を含み、透析流体の流れは2500mL/hです。
【0066】
テーブル6。物理療法4。透析流体PrismaSate(登録商標)B22GK4/0(PS)を用い、Ca
2+およびクエン酸塩をその透析流体に加え、それを、血液凝固阻止流体Prismocitrate(登録商標)10/12、血液凝固阻止流体ACD−A、あるいは中間のクエン酸塩濃度を備えた1つの血液凝固阻止流体、に基づいた3つの異なる血液凝固阻止流体と組み合わせる。
【表6】
【0067】
透析流体の流量(血液の流量が一定の125mL/minの条件で、1000−4500mL/h)および血液の流量(透析流体のレートが一定の2500mL/hの条件で、50−200mL/min)の流量は、重炭酸塩以外の電解質濃度に対する重大な影響なしに、広く変えられるかもしれません。
【0068】
評価
物理療法1はクエン酸塩透析を行なう時に、今日使用されている治療法です。この治療に必要なカルシウム注入を回避することは望ましいでしょう。これは物理療法2ではなく3と4で達成することができます。物理療法3及び4は、患者がさらされる完全なクエン酸塩濃度に関して同等であり、しかし、物理療法4中の透析器での平衡に系が接近しているので、物理療法4は、血液、透析流体および血液凝固阻止流体の流量の変化に対してはるかに鈍感です。
【0069】
図面の詳細な記述
図1では、患者から血液を引き出すための血管アクセス(示されない)に接続されるように構成された動脈血ライン1と、患者に血液を返すための血管アクセス(示されない)に接続されるように構成された静脈血ライン2と、を備える体外の血液回路中の局部的クエン酸塩血液凝固阻止用の系を示しています。この系は、透析面と、動脈血ライン1および静脈血ライン2と流動的に通じている血液面と、を備えるフィルタ3と、動脈血ライン1中でクエン酸塩を含む血液凝固阻止流体5を血液に注入するための動脈血ライン2(フィルタ3の上流にある)に接続されるフィルタ前注入ライン4と、静脈血ライン2中で2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む注入流体を血液に注入するための静脈血ライン2(フィルタ3の下流にある)に接続されるフィルタ後注入ライン6と、を備える。したがって、フィルタ前注入ラインは、少なくとも8mMのクエン酸塩を含んでいる血液凝固阻止流体の供給源と流動的に通じており、フィルタ後注入ラインは、2−8mMのクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む注入流体の供給源と流動的に通じています。流出するバッグ8は、フィルタ3を通る血液から引き出された血漿水(限外濾過液)を集めるためにフィルタ3の透析物側と流動的に通じて設けられます。
【0070】
図2に、フィルタ3の透析物側が2−8mMのクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む透析流体9と流動的に通じる付加を備えた
図1中の系の別の実施形態を示します。
【0071】
図3では、体外の血液回路の中で局部的クエン酸塩の血液凝固阻止のための別の系が示されます。この系は、患者から血液を引き出すための血管アクセスに接続されるように構成された動脈血ライン1と、患者に血液を返すための血管アクセスに接続されるように構成された静脈血ライン2と、を備えます。この系は、さらに透析物側および血液側を備えたフィルタ3を含み、血液側は、動脈血ラインおよび静脈血ラインとの流動的に通じており、また、透析物側は、2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む透析流体9と、使用済みの透析流体およびフィルタ3を通る血液から引き出された血漿水(限外濾過液)のための流出バッグ8と、に流動的に通じています。系は、動脈血ラインでクエン酸塩を含んでいる血液凝固阻止流体5を血液に注ぐための動脈血ライン1(フィルタ3の上流にある)に接続されたフィルタ前注入ライン4をさらに含みます。
【0072】
図4に、本発明による体外の血液回路中の局部的クエン酸塩血液凝固阻止用の系のさらなる別の実施形態が示されます。この系は、患者から血液を引き出すための血管アクセスに接続されるように構成された動脈血ライン1と、患者に血液を返すための血管アクセスに接続されるように構成された静脈血ライン2と、を備えます。この系は、さらに透析物側および血液側を備えたフィルタ3を含み、血液側は、動脈血ラインおよび静脈血ラインとの流動的に通じています。フィルタ前注入ライン4は、動脈血ライン1中でクエン酸塩を含む血液凝固阻止流体5を血液に注ぐための動脈血ライン1(フィルタ3に上流にある)に接続されます。第2のフィルタ前注入ライン10は、動脈血ライン1中で血液に2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む注入流体11を注ぐための動脈血ライン1(フィルタ3の上流にある)に接続されます。さらにここで、流出するバッグ8は、フィルタ3を通る血液から引き出された血漿水(限外濾過液)を受け取るためのフィルタ3の透析物側と流動的に通じるように設けられます。
【0073】
図5は
図4中に示される系の別の実施形態であり、それは静脈血ライン2中で2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む注入流体7を血液に注ぐための静脈血ライン2(フィルタ3の下流にある)と接続されたフィルタ後注入ライン6をさらに含みます。
【0074】
図6は
図4中に示される系のさらなる別の実施形態であり、そこではフィルタ3の透析物側は、2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む透析流体9と流動的に通じています。
【0075】
図7は
図6中に示された系の別の実施形態でです。この系は、静脈血ライン2中で2−8mMクエン酸塩および1−5mMの合計のカルシウムを含む注入流体7を血液に注ぐための静脈血ライン2(フィルタ3の下流にある)に接続されたにフィルタ後注入ライン6をさらに含みます。
【0076】
図8に、上に示された系の別の実施形態であり、それは血液の流量と関連して血液凝固阻止流体の流量を制御するために適用された制御ユニット12をさらに含みます。そのような制御ユニットは、
図1−
図7の異なる実施形態の中で示されるすべての系に設けられるかもしれません。そのような制御ユニット12を持っていることによって、系は、体外の血液回路内で血液凝固阻止を維持するのに十分な血液中のクエン酸塩の量をモニターし、確保しています。
【0077】
すべての上記の図から明白なように、系は、6mMよりも高い濃度の合計のカルシウムを含む流体を注入するための静脈血ライン2(フィルタ3の下流にある)に接続されたどのようなフィルタ後注入ラインも
含みません。
【0078】
発明による系では、ポンプは、体外の血液回路を通るように血液(ポンプ13)を送り、血液凝固阻止流体(ポンプ14)を体外の血液回路内に送り、注入流体(ポンプ15a及び15b)を体外の血液回路内へ送り、透析流体(ポンプ16)をフィルタ3の透析物側へ送り、そして血漿液体(限外濾過液)および使用済みの透析流体(ポンプ17)をフィルタ3の透析物側から追い出して、流出バッグ8へ送るように構成されます。
【0079】
ここに現在記述された好ましい実施形態に対する様々な変更および修正が、当業者に明白になることが理解されるに違いありません。そのような変更および修正は、本発明の精神および範囲から外れず、その付随する利点の縮小なしで行われるかもしれません。 したがって、そのような変更および修正が付加されたクレームによってカバーされることが意図されます。
【0080】
参考文献:
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