(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694312
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】ロールスタンドの中間ロールセットのためのアーム装置
(51)【国際特許分類】
B21B 31/02 20060101AFI20150312BHJP
B21B 13/14 20060101ALI20150312BHJP
B21B 31/08 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
B21B31/02 C
B21B13/14 A
B21B31/08 G
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-518802(P2012-518802)
(86)(22)【出願日】2010年7月6日
(65)【公表番号】特表2012-532024(P2012-532024A)
(43)【公表日】2012年12月13日
(86)【国際出願番号】EP2010004062
(87)【国際公開番号】WO2011003561
(87)【国際公開日】20110113
【審査請求日】2012年2月14日
(31)【優先権主張番号】102009032200.0
(32)【優先日】2009年7月7日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102009060640.8
(32)【優先日】2009年12月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】シュン・コンラート
(72)【発明者】
【氏名】ツヴィンクマン・ローター
(72)【発明者】
【氏名】プルスト・ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ヴルム・アルヌルフ
(72)【発明者】
【氏名】ホルツ・リューディガー
【審査官】
坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−209408(JP,A)
【文献】
特開昭60−015004(JP,A)
【文献】
特開昭60−015005(JP,A)
【文献】
特開昭60−141311(JP,A)
【文献】
特開昭61−111706(JP,A)
【文献】
特開2006−315084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 31/02
B21B 13/14
B21B 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールスタンドの中間ロールセットのためのアーム装置であって、操作側のチョックと作業側のチョックとの間に、前記中間ロールの側方に、旋回可能なアームが設けられており、これらアーム内において、
側方の支持ロールが、前記ロールスタンド内におけるワークロールの支持のために、一体にまとめられている様式の前記アーム装置において、
このアーム装置に;
−チョック(1)と前記アーム(2)との間に配設された旋回ピン(3)が設けられており、
この旋回ピン(3)がこのアーム(2)と強固に結合されており、且つ、このアーム(2)が、この旋回ピン(3)の軸線を中心に旋回可能であり、および、
−このアーム(2)のための固定機構として、チョック(1)に固定された旋回可能なロック接合板(4)が設けられており、および、
−復帰ばね(7)を有する当接部片(6)が設けられており、
この当接部片が、コンパクトなユニットとして、前記アーム(2)とチョック(1)との間の領域内において、このアーム(2)の旋回運動の制限のために設けられており、
この当接部片(6)が、前記旋回ピン(3)の外側の冠状部において固定されており、且つ、この当接部片(6)が、外方へのこのアーム(2)の旋回運動の制限のために、ロック接合板(4)に当接している、
ことを特徴とするアーム装置。
【請求項2】
前記アーム(2)と強固に結合された旋回ピン(3)が、固定機構として使用されるロック接合板(4)と協働すること、この旋回ピン(3)が、
前記チョック(1)に固定され旋回可能な前記ロック接合板(4)が前記旋回ピン(3)とのロック状態へと閉じるように旋回される場合に、このアーム(2)がこのチョック(1)との関連において軸線方向に固定されており、しかしながらそれにも拘らず、このアームが前記チョック(1)に対して旋回可能であるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアーム装置。
【請求項3】
旋回可能なロック接合板(4)は、前記ロックされた状態において、固定ねじ(5)でもって固定可能であることを特徴とする請求項2に記載のアーム装置。
【請求項4】
固定ねじ(5)の弛緩の後、旋回可能なロック接合板(4)は、開くように旋回して前記旋回ピン(3)とのロック状態から解放可能であり、
前記アーム(2)が解放され、従って、チョック(1)が軸線方向に引出され得ることを特徴とする請求項3に記載のアーム装置。
【請求項5】
内方への前記アーム(2)の旋回運動は、復帰ばね(7)によって受け止め可能であり、外方から如何なる力もこのアーム(2)に対して作用しない場合、この復帰ばね(7)は、当接部片(6)がロック接合板(4)に当接するまで、前記アーム(2)を押し戻すことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のアーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
ロールスタンド(18HSロールスタンド)の中間ロールセットのためのアーム装置(クライスターアーム装置)に関し、
その際、操作側のチョックと作業側のチョックとの間に、前記中間ロールの側方に、旋回可能なアーム(クライスターアーム)が設けられており、これらアーム内において、
側方の支持ロールが、前記ロールスタンド内におけるワークロールの支持のために、一体にまとめられている。
【背景技術】
【0002】
18HSロールスタンドのための中間ロールセットのカセット式構造様式の場合、
操作側のチョックと作業側のチョックとの間に、前記中間ロールの側方(入り側および出側)に、旋回可能なアームが設けられており、これらアーム内において、側方の支持ロールが、前記ロールスタンド内における、ほっそりとしたワークロールの支持のために、一体にまとめられている。これらアーム内において一体にまとめられた支持ロールの目的は、ワークロールの撓みを防止すること、および、中間ロールに対する、ワークロールの水平方向の位置移動(Horizontalversatz)(HS)を、この後ろに設けられた、支持ブリッジ位置調節を用いて実現することである。
【0003】
ロール交換の際、
引き戻された状態における支持ブリッジ位置調節の際に、これらアームが「自由である」場合、これらアームは、
所定の位置内へと移動され且つロールスタンドに対して中央に位置しなければならず、且つ従ってこれらワークロールがロールスタンドの中央に位置決めされねばならない。
【0004】
公知の構造の場合、
強固にアームと結合されている旋回軸は、完全にチョックを通ってこれらチョックの外側に至るまで案内され、且つ保持ブロックを用いて固く保持されており、従って、この旋回軸が、チョック内において回転可能である。所定の「中央位置」への、これらアームの復帰は、ばね積層体を介して、チョックを通って突出するアームの旋回軸が、即ちアームが所望された位置内へと押圧される、というやり方で実現される。この配設は、アームを有する中間ロールセットの組み立ての際、およびメンテナンスの際に、高い手間暇を必要とする。何故ならば、それぞれの取り外しの際に保持ブロックおよびばね積層体の除去が、および、これら保持ブロックおよびばね積層体の再組み付け、並びに、これらばね積層体の位置調節が、アームの中央の位置の調整のためにロール修理工場内において必要であるからである。
付加的に、アームの取り外しのために、長い旋回軸が自由になるまで、両方のチョックは、完全に互いに離れるように移動され得る。
【0005】
特許文献1、2および3から、ロールスタンドが公知であり、これらロールスタンドの場合、支持ロールが、支持ビーム内において設けられており、これら支持ビームが、他方また継手アームを介して、回転式継手を用いて、回転可能にチョックと結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】英国特許出願公開第2 023 475号明細書
【特許文献2】ヨーロッパ特許出願公開第1 721 685号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第33 25 493号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、組み付け作業、およびメンテナンス作業を著しく容易にする、アーム装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明に従い、
ロールスタンドの中間ロールセットのためのアーム装置であって、操作側のチョックと作業側のチョックとの間に、前記中間ロールの側方に、旋回可能なアームが設けられており、これらアーム内において、
側方の支持ロールが、前記ロールスタンド内におけるワークロールの支持のために、一体にまとめられている様式の前記アーム装置において、
このアーム装置に;
−チョックと前記アームとの間に配設された旋回ピンが設けられており、
この旋回ピンがこのアームと強固に結合されており、且つ、このアームが、この旋回ピンの軸線を中心に旋回可能であり、および、
−このアームのための固定機構として、チョックに固定された旋回可能なロック接合板が設けられており、および、
−復帰ばねを有する当接部片が設けられており、
この当接部片が、コンパクトなユニットとして、前記アームとチョックとの間の領域内において、このアームの旋回運動の制限のために設けられており、
この当接部片が、前記旋回ピンの外側の冠状部において固定されており、且つ、この当接部片が、外方へのこのアームの旋回運動の制限のために、ロック接合板に当接している、
ことによって特徴付けられている。
【発明の効果】
【0009】
詳細には、その際、アームと強固に結合された旋回ピンが、固定機構として使用されるロック接合板と協働すること、この旋回ピンが、
前記チョックに固定され旋回可能な前記ロック接合板が前記旋回ピンとのロック状態へと閉じるように旋回される(旋入係合される)場合に、このアームがこのチョックとの関連において軸線方向に固定されており、しかしながらそれにも拘らず、このアームが前記チョックに対して旋回可能であるように形成されていることが行われる。
【0010】
旋回可能なロック接合板は、前記ロックされた状態において、固定ねじでもって固定可能である。
【0011】
固定ねじの弛緩の後、旋回可能なロック接合板は、開くように旋回して前記旋回ピンとのロック状態から解放可能であり(旋出係脱可能であり)、
前記アームが解放され、従って、チョックが軸線方向に引出され得る。
【0012】
更に、旋回ピンの外側の冠状部において、当接部片が固定されており、この当接部片がアームと共に旋回し、その際、外方へのこのアームの旋回運動がロック接合板によって制限され、このロック接合板に、この当接部片がこの場合に当接していることが行われる。
【0013】
更に別の実施形態に従い、
内方への前記アームの旋回運動は、復帰ばねによって受け止め可能(収容可能)であり、外方から如何なる力もこのアームに対して作用しない場合、この復帰ばねは、当接部片がロック接合板に当接するまで、前記アームを押し戻す(戻し押圧する)。
【0014】
この新しいコンセプトにおいて、アームの固定機構、並びに、復帰ばねを有する当接部片が、コンパクトなユニットとして、アームとチョックとの間の領域内において設けられており、且つ、しかも、それぞれに、両方の端部において設けられている。
【0015】
その際、アームの長い旋回軸の代わりに、2つの旋回ピンが、アームに強固に装着されている。このことは、組み付け作業、およびメンテナンス作業を容易にする。何故ならば、アームの解体のために、チョックが、単に短い行程でもって互いに離れるように移動されねばならないだけであるからである。
【0016】
アームと強固に結合された旋回ピンは、前記チョックに固定され旋回可能な前記ロック接合板が前記旋回ピンとのロック状態へと閉じるように旋回される場合に、このアームがこのチョックとの関連において軸線方向に固定されており、しかしながらそれにも拘らず、このアームが前記チョックに対して旋回可能であるように形成されている。
【0017】
次に、本発明を、図に関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】チョックとの、アームの固定状態の図である。
【
図2】復帰ばねでもっての固定および当接の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
チョック1とアーム2との間に、旋回ピン3が設けられており、この旋回ピンの軸線を中心に、このアーム2が旋回可能である。
【0020】
このアーム2と強固に結合された旋回ピン3は、前記チョック1に固定され旋回可能な前記ロック接合板4が前記旋回ピン3とのロック状態へと閉じるように旋回される場合に、このアーム2がこのチョック1との関連において軸線方向に固定されており、しかしながらそれにも拘らず、このアームが前記チョック1に対して旋回可能であるように形成されている。
【0021】
旋回可能なロック接合板4は、前記ロックされた状態において、固定ねじ5でもって固定可能である。
【0022】
固定ねじ5の弛緩の後、旋回可能なロック接合板4は、開くように旋回して前記旋回ピンとのロック状態から解放され、且つ、アーム2を解放し、従って、チョック1が軸線方向に引出され得る。
【0023】
旋回ピン3の外側の冠状部において、当接部片6が固定されており、この当接部片は、アーム2と共に旋回する。外方へのこのアーム2の旋回運動はロック接合板4によって制限され、このロック接合板に、この当接部片6がこの場合に当接している。この位置は、このアーム2がロール交換の際に占めるべき位置である。
【0024】
内方へのアーム2の旋回運動は、復帰ばね7によって受け止められる。外方から如何なる力もこのアーム2に対して作用しない場合、この復帰ばね7は、当接部片6がロック接合板4に当接するまで、前記アーム2を押し戻す。
【符号の説明】
【0025】
1 チョック
2 アーム
3 旋回ピン
4 ロック接合板
5 固定ねじ
6 当接部片
7 復帰ばね