(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記細長いコアに沿って延びる編み糸を形成するために、前記細長いコア及び前記ストップの周囲に巻き付けられた複数のフィラメントを更に含む、請求項1に記載の外科用縫合糸。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記利点にもかかわらず、より確実にかつ正確に縫合糸を所定の場所に保持して、縫合糸及び/又は縫合糸と組み合わされて用いられる綿撒糸の、滑りを最小限にとどめるような縫合糸、縫合糸システム及び縫合法の必要性が未だ存在している。更に、外科手術手技を簡略化しかつ外科的誤差の可能性を最小限にとどめる縫合システムへの要求も存在している。損傷を引き起こすことなく、より容易に組織及び縫合リングを通過することが可能な縫合糸への必要性も存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態では、外科用縫合糸は、第一脚部及び第二脚部を有する細長いコアと、第一脚部と第二脚部との間で細長いコアから突き出ているストップと、を含む。縫合糸は、第一脚部から突き出ている棘の第一セット、及び第二脚部から突き出ている棘の第二セットを含んでもよく、かくして、ストップは細長いコアの中央領域から突き出て、これが棘の第一セットと棘の第二セットとの間に好ましく配置される。1つの実施形態では、棘の第一セットが第一方向に突き出ていて、棘の第二セットが、第一方向と反対側である第二方向に突き出ている。1つの実施形態では、棘の第一及び第二セットの棘は可撓性であることが望ましく、ストップは、棘の第一及び第二セットの棘よりも可撓性に劣ることが好ましい。
【0009】
1つの実施形態では、有棘縫合糸は、細長いコア及びストップの周りに巻き付けられた複数のフィラメントを巻くことによって、編まれてもよい。巻き付けられたフィラメントは、特に縫合糸が引っ張り状態にある場合に、縫合糸に強さを加えるような細長いコアの長さに沿って延びる編み糸を形成することが望ましい。1つの実施形態では、棘は、編み糸の編目を通って突き出ることが好ましい。
【0010】
1つの実施形態では、ストップはコアと一体的に形成されている。ストップは、対向する棘のセットの間の所定の位置に固着されることが好ましい。ストップは、コアの最大断面寸法を画定することが好ましい。1つの実施形態では、ストップは、コアから突き出ている少なくとも1つのサドルを含む。少なくとも1つのサドルは、コアの長手方向の軸に沿って延びる長手方向の軸を有してもよい。少なくとも1つのサドルは、凹面の外側面を有してもよい。1つの実施形態では、用語「凹面の外側面」は、コアの長さに沿って延びる面であると説明している。1つの実施形態では、ストップは、コアの第一側から突き出ている第一サドルと、コアの第二側から突き出ている第二サドルと、を有する。ストップの第一及び第二サドルは、共面であってもよい。
【0011】
1つの実施形態では、縫合糸は、貫通して延びる第一及び第二開口部を有する綿撒糸を含む。有棘縫合糸は、第一綿撒糸開口部を経て第一脚部を通過し、第二綿撒糸開口部を経て第二脚部を通過することによって、綿撒糸によって組み立てられてもよい。第一及び第二脚部が綿撒糸開口部を通過した後に、ストップが、第一綿撒糸開口部と第二綿撒糸開口部との間に延びることが好ましい。1つの実施形態では、ストップは、第一綿撒糸開口部と第二綿撒糸開口部との間の間隔に一般的に適合する長さを有する。1つの実施形態では、第一綿撒糸開口部と第二綿撒糸開口部との間の間隔とは、1つの開口部の内側エッヂから他の開口部の内側エッヂまでが測定されるものである。1つに実施形態では、有棘縫合糸が綿撒糸で組み立てられる際に、綿撒糸が第一有棘脚部と第二有棘脚部との間に配置されていて、ストップの主面が綿撒糸の主面に対向する。
【0012】
1つの実施形態では、外科用縫合糸は、第一脚部と、第二脚部と、第一及び第二脚部との間に配置された中央領域と、を含む細長いコアを含む。縫合糸は、コアの第一脚部から突き出ている棘の第一セットと、コアの第二脚部から突き出ている棘の第二セットと、コアの中央領域から突き出ているストップと、を含むことが好ましい。
【0013】
縫合糸は、細長いコアの周囲で形成された棘と、特に縫合糸が引っ張られる状態にある場合に、縫合糸を強化するためのストップと、を含んでもよい。縫合糸は、貫通して延びる第一及び第二開口部を有する綿撒糸を含んでもよく、かくして、第一脚部が第一綿撒糸開口部を通って延びることが望ましく、第二脚部が第二綿撒糸開口部を通って延びることが望ましく、並びにストップは第一綿撒糸開口部と第二綿撒糸開口部との間に延びる。
【0014】
1つの実施形態では、外科用縫合糸は、第一脚部及び第二脚部を有する細長いコアと、第一脚部から突き出ている棘の第一セットと、第二脚部から突き出ている棘の第二セットと、コアから突き出て棘の第一セットと棘の第二セットとの間に配置されたストップと、縫合糸を強化するために細長いコア及びストップの周囲を包囲する編み糸と、を含むことが好ましい。編み糸は、細長いコア及びストップの周りに巻き付けられた複数のフィラメントを含み、これによって、棘の第一及び第二セットの棘は、編み糸の編目を通って延びている。
【0015】
縫合糸は、貫通して延びる第一及び第二開口部を有する綿撒糸と一体となって用いられてもよく、縫合糸の第一脚部は第一綿撒糸開口部を通って延びて、第二脚部は第二綿撒糸開口部を通って延びて、並びにストップは第一綿撒糸開口部と第二綿撒糸開口部との間で延びる。
【0016】
1つの実施形態では、ストップは、縫合糸のコアから延びる二重のサドルストップを含んでもい。1つの実施形態では、ストップは、縫合糸のコアから突き出している単一のサドルストップを含んでもよい。更に別の実施形態では、ストップは、縫合糸のコアから突き出しているツメを含むことが好ましい。ストップはコアに固着されていることが好ましく、コアに対して静止状態であるように調整されている。ストップは、有棘縫合糸及び非棘縫合糸、並びに編み込まれた又は編み込まれていない縫合糸で使用されることが可能である。
【0017】
1つの実施形態では、有棘縫合糸は、後続の棘より緩やかな勾配のある外側斜面を有する先頭棘を含む複数の棘を有する。先頭棘は、縫合糸のコアから先頭棘に後続するフルサイズの棘までのより滑らかな転移を提供するように矢尻形状を有してもよい。先頭の矢尻形状の棘は、1つ又はそれ以上の後続の棘の長手方向の長さよりも長い長手方向の長さを有してもよい。1つの実施形態では、先頭棘は、後続する棘よりも約3〜4倍長い長さを有する。上記のように、用語「長さ」は、長手方向の軸に沿って測定された長さを意味する。1つの実施形態では、矢尻形状の先頭棘を有する有棘縫合糸は、編み込まれていない有棘インサートを含んでもよい。1つの実施形態では、矢尻形状の先頭棘を有する有棘縫合糸は、有棘インサートと、編み糸を形成するために有棘インサートの周りで巻きつけられたフィラメントと、を含む編み込まれた有棘縫合糸であってもよい。用語「コア」などは、有棘インサートの細長いコア、又は有棘インサートの長手方向の軸に沿って配置された細長い非棘フィラメントを説明するために用いられてもよい。
【0018】
本発明のこれら及びその他の好ましい実施形態は、下記に詳しく記述される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1A及び1Bを参照すると、双方向性有棘縫合糸20は、棘の第一セット24を有する第一脚部22と、第一脚部の遠位端に提供された第一縫合針26と、を含む。双方向性有棘縫合糸20は、棘の第二セット30を有する第二脚部28と、第二脚部の遠位端に提供された第二縫合針32と、を含む。棘の第一セット24は、棘の第二セット30から反対方向に延びている。有棘縫合糸20は、コア34と、コア34から外側に突き出す棘の第一及び第二セット24,30と、を含む。コア34は、棘の第一セット24と第二セット30との間に配置されて、そこから延びる中央領域36を有する。外科的手技の前又はその最中に、双方向性有棘縫合糸20の第一及び第二脚部22,28は、綿撒糸40の対応する第一及び第二開口部38A,38Bを通過する。1つの実施形態では、第一縫合針26は、綿撒糸40の第一開口部38Aを通過し、並びに第二縫合針32は、綿撒糸40の第二開口部38Bを通過する。棘の第一セット24と棘の第二セット30との間にあるコア34の中央領域36内に、綿撒糸40が配置されるように、第一及び第二脚部22,28が綿撒糸開口部を通って引っ張られる。
【0021】
図1Aを参照すると、双方向性有棘縫合糸20は、弁縫合リング42を組織Tに固定させるために用いられてもよい。弁縫合リング42が組織Tに隣接して配置されて、第一脚部22上の第一棘24の少なくともいくつかが、弁縫合リング42の上面44から延びるように、第一縫合針26が組織T及び弁縫合リング42を通って引かれる。第二脚部28上の第二棘30の少なくともいくつかが、弁縫合リング42の上面44から延びるように、第二縫合針32が組織T及び弁縫合リング42を通って引かれる。
【0022】
図2Aを参照すると、複数の双方向性有棘縫合糸及び綿撒糸が、心臓弁のような人工器官46を組織Tに固定するための弁縫合リング42の外辺部の周りで用いられている。
図2Aに示したように、綿撒糸40は、有棘縫合糸20のコアの中央領域36(
図1B)と整列させることが好ましい。
図2Bを参照すると、それぞれの双方向性有棘縫合糸の第一及び第二脚部22,28は、実質的に互いに平行である軸に沿って延びている。縫合糸の第一脚部22と第二脚部28との間の間隔は、綿撒糸40の開口部38Aと38Bとの間の間隔によって制御される。縫合リングを組織Tに固定するために、脚部22,28上の棘40のいくつかが、縫合リング42の上面44に係合する。
【0023】
図3Aを参照すると、1つの実施形態では、双方向性有棘縫合糸100は、第一端部102と第二端部104とを有する。有棘縫合糸の第一及び第二端部102,104は、それぞれの第一及び第二端部102,104が、綿撒糸開口部、組織及び/又は人工器官を経て通過するために、対応するフック、針又は組織穿刺要素に接続されてもよい。双方向性有棘縫合糸100は、第一端部102と第二端部104との間で延びる細長いコア106と、コア106から外側に突き出ている複数の棘148と、を含むことが好ましい。
【0024】
1つの実施形態では、双方向性有棘縫合糸100は、コア106から突き出ている棘の第一セット108と、コア106から突き出ている対向する棘の第二セット110と、を含む。棘の第一及び第二セット108,110は、反対方向に突き出ることが望ましい。双方向性有棘縫合糸100のコア106は、対向する棘の第一セット108と第二セット110との間に延びる中央領域112を含むことが好ましい。
【0025】
図3A及び3Bを参照すると、1つの実施形態では、双方向性縫合糸は、コア106の中央領域112内に配置されたストップ114を含む。ストップは、コアから外側に突き出ている。1つの実施形態では、ストップ114は、コアと一体化して形成されることが望ましい。1つの実施形態では、ストップ114は、第一端部118と第二端部120とを有する第一サドル116と、第一端部118と第二端部120との間に延びる凹面の上面122と、を含むことが好ましい。ストップ114は、第一端部126と第二端部128とを有する第二サドル124と、第一端部126の間に延びる凹面の上面130と、を含むことが好ましい。1つの実施形態では、第一及び第二サドル116,124は、コアの反対側から突き出ていて、共面である。第一及び第二サドル116,124は、コアと一体化して形成されてもよい。
【0026】
1つの実施形態では、綿撒糸の可動性を制限するように、及び/又は縫合糸の性能を改善するように、ストップ114が、縫合糸100の中央領域内で、双方向性有棘縫合糸100に組み込まれることが好ましい。本発明は、操作のいかなる特定の理論に限定されるものではないが、対向する棘の第一セットと第二セットとの間に配置されたストップに双方向性有棘縫合糸を提供することが、有棘縫合糸の保持強度を改善して、縫合糸が締め付けられた後の綿撒糸の不必要な動きを防止すると考えられる。外科的手技中に、人工器官を固定しながら従来の有棘縫合糸の1つの脚部が過剰に締め付けられれば、対向する第二脚部上の棘を綿撒糸穴を通って引っ張ることによって、有棘縫合糸を綿撒糸から飛び出させてしまう可能性が存在し、破損させてしまう恐れがある。本発明は、対向する第一有棘部分と第二有棘部分との間に配置されたストップを有する有棘縫合糸を提供することによって、これらのリスクを最小限にとどめようとしている。中央に配置されたストップは、綿撒糸と協働して、縫合糸のそれぞれの脚部を互いから本質的に分離させるような改善された組織バットレスを形成して、このことが人工器官の損傷を減らすために、縫合糸のそれぞれの脚部が互いに独立して固定されることを可能にする。1つの実施形態では、ストップは、綿撒糸を必要とせずに、それ自体で組織支持として用いられてもよく、これによって、綿撒糸を有棘縫合糸と共に使用する必要性が排除される。ストップをスタンドアロング組織バットレスとして用いる実施形態は、ストップが縫合糸の固着された部分であることが好ましいために、縫合糸が飛び出してしまう可能性を排除することも可能である。
【0027】
本出願で開示されたストップを有する有棘縫合糸は、固着が必要とされる広範囲の外科的手技で使用されてもよい。1つの実施形態では、本発明は心臓弁固着処置のために用いられてもよい。本発明は、ヘルニア修復、融着、創傷閉鎖、器官支持(例えば、骨盤内器官支持などによる骨盤底再構成処置又は閉塞型睡眠時無呼吸の治療のための舌支持)、外傷修復(迅速な組織修復が必要とされる)、美容的手技、及び組織への直接的縫合糸圧力を最小限にするために組織の表面に沿って力を分配することを要求される他の外科的手技などのような他の医学用途のために用いられてもよい。本明細書で開示された有棘縫合糸は、創傷閉鎖のために更に用いられてもよい。1つの実施形態では、有棘縫合糸を用いて、切開口部が閉鎖されてもよい。1つの実施形態では、外科的方法は、切開口部の開始端部の両側に縫合糸を通過させて、切開口部の開始端部にて結び目を結び、次に切開口部の反対端部に縫い目を走らせて、更に切開口部の対向する端部に縫い目を走らせ、並びに反対方向に縫い目を配置させることを含む。別の技術は、縫合を切開口部の開始端部からの短い距離で開始して、切開口部の開始に戻って縫合して、次に切開口部の反対端部へのランニングスティッチを実施し、並びに反対方向に縫い目を配置させることを含有する。
【0028】
図4を参照すると、1つの実施形態では、双方向性有棘縫合糸200は、細長いコア206と、棘の第一セット208と、棘の第一セット208から反対方向に突き出す棘の第二セット210と、を含む。細長いコア206は、棘の第一セット208と第二セット210との間に延びる中央領域212を含む。縫合糸200は、中央領域から突き出しているストップ214を含むことが好ましい。ストップ214は、第一端部218と、第二端部220と、第一端部218と第二端部220との間に延びる凹面の表面222と、を含む。ストップ214は、有棘縫合糸200の中央領域212内に維持されるために、コア206に恒久的に固着され、及び/又はコア206と一体に形成されることが好ましい。
【0029】
図5を参照すると、1つの実施形態では、双方向性有棘縫合糸300は、コア306と、棘の第一セット308と、対向する棘の第二セット310と、を含む。対向する棘の第一及び第二セットは、反対方向に延びることが好ましい。コア306は、棘の第一セット308と第二セット310との間で延びている中央領域312を含むことが望ましい。コア306の中央領域312は、中央コア領域312から突き出しているツメ形状のストップ314を含むことが好ましい。ツメ形状のストップ314は、棘の第一セット308と棘の第二セット310との間に配置されていることが好ましい。
【0030】
1つの実施形態では、綿撒糸ストップを有棘縫合糸に提供することが、綿撒糸がより効果的な組織バットレスとして機能することを可能にする。手術中に縫合糸の個々の脚部を固定する際に、綿撒糸ストッパを有する有棘縫合糸具を綿撒糸穴を通して引っ張るのに必要とされる平均最大荷重を定量化するために、ベンチトップテストが実施された。5in/min(12.7cm/min)のクロスヘッド速度にての試験のために、20lb(89.0ニュートン)能力のロードセルを備えたInstron試験装置が用いられた。有棘縫合糸の1つの端部からの針を、綿撒糸材料のシート内の穴を通して、有棘インサート部分が綿撒糸材料の平面の真下となるポイントまで手動で通過させた。綿撒糸穴を通過した縫合糸の端部が、上部Instronグリップに固定されて、それをプルスルーさせるためにクロスヘッド運動が開始された。プルスルーのための試験判定基準の終点は、有棘インサート部分全体が綿撒糸穴を通過したおおよそのポイントであった。したがって、対向する棘のセットがそれ自体に折れ曲がると同時に棘の第一部分が綿撒糸穴を通過するにつれて、棘の第一部分が好ましい方向でつぶれた。評価のために、異なる綿撒糸ストッパのデザインが、これらの対向する有棘部分の間に組み込まれた。綿撒糸穴を通って綿撒糸ストッパを引くためにより大きな力を必要とするようなデザインは、手術中に心臓弁を固定させるのと同時に、起こり得る人工器官の過剰な締め付けから保護する上でより効果的であろう。
【0031】
下表は、
図3A,4及び5で示されたそれぞれの綿撒糸ストッパ実施形態に関して、ストップにて記録された平均最大荷重の大略を示している。1つの好ましい実施形態では、綿撒糸は、TEFLON(登録商標)綿撒糸材料を含むが、他の生体適合性の材料も使用されてもよい。本明細書中で示された綿撒糸ストッパデザインのそれぞれに関して、10個の有棘縫合糸具がテストされた。それらは、対照縫合糸、すなわち綿撒糸ストッパを有さない有棘縫合糸と比較された。
【表1】
【0032】
図6は、上記データをプロットされたフォーマットで表している。
図6のデータから、
図3Aの2つのサドルストップの実施形態が、ストップを綿撒糸穴を通して引くために最大の荷重が必要であったことは明らかである。
図4の単一のサドルストップの実施形態は、二番目に大きな荷重を必要として、更に
図5に示されたツメ形状のストップの実施形態が、
図3A及び4の実施形態よりも少ない荷重を必要とした。しかしながら、
図3A,4及び5に示された3つのストップ実施形態のすべてが、棘の対向するセット間に配置されたストップを有さない双方向性有棘縫合糸を超えて、有意に改善された結果をもたらした。
【0033】
1つの実施形態では、開示を参照により本明細書に援用する、本出願人による同日出願で記載された(ETH5439USNP)、「Automated System and Methods for Making Braided Barbed Sutures」と題された、同一出願人による米国特許出願第12/548,984号の1つ又はそれ以上の実施形態で開示されたように、
図3A〜3B、4及び5に示された双方向性有棘縫合糸が、編み込まれてもよい。
【0034】
図7Aを参照すると、1つの実施形態では、
図3A及び3Bで示されたような双方向性有棘縫合糸400が、縫合糸のコアの周りにフィラメントを巻き付けて、編み糸450を形成するために、編み組システムを通過している。編み込まれた有棘縫合糸400は、第一端部402と、第二端部404と、第一端部と第二端部との間に延びる細長いコア406と、を含む。編み込まれた有棘縫合糸400は、棘の第一セット408と、棘の第一セット408から反対方向に延びる棘の第二セット410と、を含むことが好ましい。棘の第一及び第二セットは、コア406から外側に突き出していることが好ましい。細長いコア406は、中央領域412と、中央領域412内でコア406から外側に突き出ているストップ414と、を含む。編み込まれた有棘縫合糸400は、細長いコア406及びストップ414の周囲に巻きつけられた複数のフィラメントを含むことが好ましい。編み糸450は、有棘縫合糸400の第一及び第二端部を超えて延びることが好ましい。本発明は、操作のいかなる特定の理論に限定されるものではないが、細長いコア406の周囲に複数のフィラメントを巻き付けることが有棘インサートを補強し、並びに改善された耐久性及び/又は強度を有する編み込まれた有棘インサートを提供すると考えられる。1つの実施形態では、編み糸は、編み込まれた有棘縫合糸が引っ張りの状態にある場合に有用である可能性がある。棘の第一及び第二セット408,410の棘448は、編み糸450の編目を通って突き出ることが好ましい。
【0035】
1つの実施形態では、有棘縫合糸は、非吸収性ポリマー材料、及び外科用縫合針が縫合糸の両端部に取付けられた、Ethicon,Inc.によってETHIBOND EXCEL(商標)ポリエステル縫合糸の商品名で一般に販売されている、非吸収性マルチフィラメントポリエステル縫合糸を用いて作られている。Teflon(登録商標)綿撒糸のような綿撒糸が、ポリマー製固着部分の中心に配置されてもよい。
【0036】
編み糸を作るために、有棘縫合糸、及び縫合糸周囲に巻きつけられたフィラメントは、通常の生体適合性のある吸収性材料、非吸収性材料、並びに吸収性及び非吸収性材料の組み合わせで作られてもよい。有棘インサート及びフィラメントの双方に適した好ましい非吸収性材料は、ポリプロピレン、フッ化ポリビニリデンとフッ化ポリビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマーのポリマーブレンド、ポリエチレン、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、フルオロポリマー、ナイロン等、及びその他同種類のもの、若しくはこれらの組み合わせの共重合体等が挙げられる。有棘インサート及びフィラメントの双方に適した好ましい吸収性ポリマーは、ポリジオキサノン、ポリグラクチン、ポリグリコール酸、グリコリドとラクチドの共重合体、ポリオキサエステル、並びにポリグレカプロンが挙げられる。ある好ましい実施形態では、特にフィラメントに関して、これらは吸収性及び非吸収性材料の双方を含んでもよい。更に、例えば特別な強度又は腐食抵抗などが必要とされる特定の用途のために、金属又はセラミックスが適切であり得る。1つの実施形態では、インサートは、フッ化ポリビニリデンとフッ化ポリビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー材料のポリマーブレンドを含むことが好ましく、編み糸はポリエチレンテレフタレート材料を含むことが好ましい。更に、これらの材料のいずれも、コーティング、プラズマ処理、治療剤、及びその他同種の物を含む従来の表面修飾を有してもよい。
【0037】
図7Bを参照すると、1つの実施形態では、フィラメントがコア及びストップ414の周囲に巻き付けられている。棘の第一セット及び第二セット408,410の棘は、編み糸450の編目の間から突き出ることが好ましい。1つの実施形態では、編み込まれた有棘縫合糸400は、第一開口部から空間を置いて配置された第一開口部438A及び第二開口部438Bを有するTEFLON(登録商標)材料で作られた綿撒糸のような綿撒糸440と一体化されて用いられている。1つの実施形態では、空間を置いて配置された綿撒糸開口部438A,438Bとの間の距離D
1は、ストップ414の長さL
1に匹敵することが好ましい。1つの実施形態では、ストップの端部壁は、綿撒糸を通って延びている開口部の形状と合致してもよい。
【0038】
図8Aを参照すると、1つの実施形態では、
図7Aの編み込まれた有棘縫合糸400の第一及び第二端部402,404は、縫合糸コアの中央領域412内のストップ414が、綿撒糸440の第一開口部と第二開口部との間に配置されるように、綿撒糸440の第一開口部及び第二開口部(図示なし)を通過している。1つの実施形態では、ストップ414の主面を、綿撒糸440の対向する主面に対して設置することが好ましい。
【0039】
図8Bは、綿撒糸440の第一開口部438Aと第二開口部438Bとの間に配置された綿撒糸ストップ414を示している。編み込まれた有棘縫合糸の第一及び第二脚部並びに脚部の周りに形成された編み糸は、第一及び第二綿撒糸開口部438A,438Bを通って延びることが望ましい。1つの実施形態では、インサートを補強するために、複数のフィラメントが、縫合糸のコア及び綿撒糸ストップ414の周囲に巻き付けられていることが好ましい。1つの実施形態では、特に、編み込まれた有棘縫合糸が引っ張り状態にある場合に、フィラメントが、編み込まれた有棘縫合糸を補強し、及び/又は有棘縫合糸に強度を加えてもよい。
【0040】
上記のフルサドル、ハーフサドル及びツメ形状のストップは、非棘縫合糸上に設けられてもよい。このような縫合糸は、編み込まれても及び/又は編み込まれなくてもよい。
図9を参照すると、1つの実施形態では、縫合糸500は、
図3A及び7Aの実施形態で示された2つのサドルストップと類似するようなストップ514を有する細長いコア506を含む。
【0041】
図10を参照すると、1つの実施形態では、縫合糸600は、細長いコア606と、
図4の実施形態で示されたものに類似する単一のサドルストップ614と、を有する。
【0042】
図11を参照すると、1つの実施形態では、縫合糸700は、細長いコア706と、
図5の実施形態で示されたものと類似するツメ形状のストップ714と、を含む。ストップ714は、縫合糸のコア706上の中央に配置されることが好ましい。1つの実施形態では、ストップは、本発明で用いられた綿撒糸上の第一開口部と第二開口部との間の間隔と実質的に合致する長さを有することが好ましい。1つの実施形態では、
図9〜11の実施形態で示されたストップを備えた縫合糸は、綿撒糸を伴わずに用いられてもよい。これらの実施形態では、ストップがそれ自体で縫合糸のためのバットレスとして機能してもよい。
【0043】
図12を参照すると、1つの実施形態では、有棘縫合糸800は、一連の後続の棘815B〜815Eに先行する矢尻形状の先頭棘815Aを含む。先頭の矢尻形状の棘815Aは、長さL
2を有し、これは後続の棘815B〜815Eの長さL
3よりも長い。1つの実施形態では、先頭棘815Aの長さL
2は、約2.54mm(0.1インチ)であり、それぞれの後続の棘815B〜815Eの長さL
3は約0.76mm(0.03インチ)である。1つの実施例では、先頭棘815Aは、後続の棘815B〜815Eの長さよりも約4倍の大きさの長さを有する。先頭棘の長さが後続の棘の長さより長いために、先頭の矢尻形状の棘815Aは、後続の棘815B〜815Eの角度a
2よりも短い角度a
1で外側へとテーパがつけられた状態である。1つの実施形態では、先頭棘815Aのテーパに沿って延びる接線が、後続の棘815Bの外側エッヂにまで延びて、これが後続の棘815Dの外側エッヂまで更に延びている。1つの実施形態では、先頭棘815Aは、約10〜20度の角度でコア806から遠ざかるようにテーパ状をなし、後続の棘815B〜815Eは、約50〜60度の角度で外側へとテーパ状をなしている。矢尻形状の先頭棘815Aのより緩やかな勾配の外方向へのテーパが、縫合糸が組織又は縫合リングを通して引かれるのに伴って、縫合糸のコア806から後続の棘815B〜815Eに至るより円滑な転移を可能にする。したがって、従来の当該技術分野の有棘縫合糸の棘で報告されているように、矢尻形状の先頭棘815Aは、コア806から後続の棘815B〜815Eに至るまでのより急激な角転移に対向するものとして、棘を組織又は縫合リングに通過させるために必要とされる引張力を徐々に分配させることに適応していることが好ましい。
図12は編み込まれていない有棘縫合糸を示しているが、
図12の矢尻形状の先頭棘は、編み込まれた有棘縫合糸と一体化されてもよい。
【0044】
1つの実施形態では、棘が組織と係合するよう又は移植片の織物と係合するように、有棘インサートが編み込まれた縫合糸と組み合わされる場合に、棘は編み糸を超えて延びるのに十分に大きい幅(すなわち、棘の1つの先端部から同じ棘の他の先端部まで)を有する。
【0045】
本明細書で開示される実施形態のいずれかの1つ又はそれ以上の特徴は、本明細書で開示される他の実施形態のいずれかの1つ又はそれ以上の特徴と組み合わされてもよく、更に本発明の範囲内に包含される。本発明は、開示を参照により本明細書に援用する、同一出願人による米国特許出願公開第2007/0005110号及び第2007/0257395号、並びに同一出願人による米国特許出願第12/135,176号、第12/140,311号、第12/177,947号及び第12/340,829号で開示された1つ又はそれ以上の実施形態に更に組み込まれてもよい。
【0046】
前述の事項は、本発明の実施形態に向けられているが、本発明の基本的範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態、及び更なる実施形態を考案することができる。したがって、本発明の範囲は、添付の「特許請求の範囲」に明記されるようにのみ限定される。
【0047】
〔実施の態様〕
(1) 外科用縫合糸であって、
第一脚部及び第二脚部を含む細長いコアと、
前記第一脚部と前記第二脚部との間の前記細長いコアから突き出ているストップと、
を含む外科用縫合糸。
(2) 前記細長いコアの前記第一脚部から突き出ている棘の第一セットと、
前記細長いコアの前記第二脚部から突き出ている棘の第二セットと、
を更に含み、前記ストップが、前記棘の第一セットと前記棘の第二セットとの間に配置された前記細長いコアの中央領域から突き出る、実施態様1に記載の外科用縫合糸。
(3) 前記棘の第一セットが第一方向に突き出て、前記棘の第二セットが、前記第一方向と反対方向である第二方向に突き出る、実施態様2に記載の外科用縫合糸。
(4) 前記棘の第一及び第二セットが可撓性であり、前記ストップが前記棘の第一及び第二セットよりも可撓性で劣る、実施態様2に記載の外科用縫合糸。
(5) 前記細長いコアに沿って延びる編み糸を形成するために、前記細長いコア及び前記ストップの周囲に巻き付けられた複数のフィラメントを更に含む、実施態様1に記載の外科用縫合糸。
(6) 前記ストップが、前記コアと一体的に形成され、前記コアの最大断面寸法を画定する、実施態様1に記載の外科用縫合糸。
(7) 前記ストップが、前記コアから突き出ている少なくとも1つのサドルを含む、実施態様1に記載の外科用縫合糸。
(8) 前記ストップが、前記コアの第一側から突き出ている第一サドルと、前記コアの第二側から突き出ている第二サドルと、を含む、実施態様6に記載の外科用縫合糸。
(9) 前記ストップの前記第一及び第二サドルが共面である、実施態様8に記載の外科用縫合糸。
(10) 内部を貫通して延びる第一及び第二開口部を有する綿撒糸を更に含み、前記第一脚部が前記第一綿撒糸開口部を貫通して延び、前記第二脚部が前記第二綿撒糸開口部を貫通して延び、前記ストップが前記第一綿撒糸開口部と前記第二綿撒糸開口部との間に延びる、実施態様1に記載の外科用縫合糸。
【0048】
(11) 外科用縫合糸であって、
第一脚部と、第二脚部と、前記第一脚部と前記第二脚部との間に配置された中央領域と、を含む細長いコアと、
前記第一脚部から突き出ている棘の第一セットと、
前記第二脚部から突き出ている棘の第二セットと、
前記コアの前記中央領域から突き出ているストップと、を含む、外科用縫合糸。
(12) 前記細長いコア及び前記ストップの周囲に形成された編み糸を更に含む、実施態様11に記載の外科用縫合糸。
(13) 内部を貫通して延びる第一及び第二開口部を有する綿撒糸を更に含み、前記第一脚部が前記第一綿撒糸開口部を貫通して延び、前記第二脚部が前記第二綿撒糸開口部を貫通して延び、前記ストップが前記第一綿撒糸開口部と前記第二綿撒糸開口部との間に延びる、実施態様11に記載の外科用縫合糸。
(14) 前記ストップが、前記第一綿撒糸開口部と前記第二綿撒糸開口部との間の間隔と実質的に合致する長さを有する、実施態様12に記載の外科用縫合糸。
(15) 前記棘の第一及び第二セットが可撓性であり、前記ストップが、前記棘の第一及び第二セットよりも可撓性に劣る、実施態様11に記載の外科用縫合糸。
(16) 前記ストップが、前記コアから突き出ている少なくとも1つのサドルを含む、実施態様11に記載の外科用縫合糸。
(17) 前記第一及び第二脚部の少なくとも1つが、より緩やかな勾配で外側に突き出ている斜面を有する先頭棘と、前記先頭棘に後続する第二棘と、を含む、実施態様11に記載の外科用縫合糸。
(18) 外科用縫合糸であって、
第一脚部及び第二脚部を含む細長いコアと、
前記第一脚部から突き出ている棘の第一セットと、
前記第二脚部から突き出ている棘の第二セットと、
前記コアから突き出て、前記棘の第一セットと前記棘の第二セットとの間に位置するストップと、
前記細長いコア及び前記ストップを包囲している編み糸と、を含む外科用縫合糸。
(19) 前記編み糸が、前記細長いコア及び前記ストップの周囲に巻き付けられた複数のフィラメントを含み、前記棘の第一及び第二セットの棘が、前記編み糸を貫通して延びる、実施態様18に記載の外科用縫合糸。
(20) 内部を貫通して延びる第一及び第二開口部を有する綿撒糸を更に含み、前記第一脚部が、前記第一綿撒糸開口部を貫通して延び、前記第二脚部が、前記第二綿撒糸開口部を貫通して延び、前記ストップが、前記第一綿撒糸開口部と前記第二綿撒糸開口部との間に延びる、実施態様18に記載の外科用縫合糸。