特許第5694329号(P5694329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5694329一体成形ハンドルを有する延伸吹込成形容器を作製するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694329
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】一体成形ハンドルを有する延伸吹込成形容器を作製するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/18 20060101AFI20150312BHJP
   B29K 67/00 20060101ALN20150312BHJP
【FI】
   B29C49/18
   B29K67:00
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-527992(P2012-527992)
(86)(22)【出願日】2010年9月1日
(65)【公表番号】特表2013-503066(P2013-503066A)
(43)【公表日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】US2010047456
(87)【国際公開番号】WO2011028759
(87)【国際公開日】20110310
【審査請求日】2012年2月29日
(31)【優先権主張番号】09169506.4
(32)【優先日】2009年9月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100096895
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 淳平
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、ゲルハルト、フリードリッヒ、ゲルラッハ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、ジャン‐フランソワ、エテッセ
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−043535(JP,A)
【文献】 特開平02−072926(JP,A)
【文献】 特開昭63−222835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00−49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体ハンドルを有する容器を作製する方法であって、
a)成形キャビティ(2)内に予備成形物(1)を提供する工程と、
b)予備成形物(1)を延伸吹込成形して、中間容器(3)を形成する工程と、
c)内向きに移動する1つ以上のプラグ(5)を適用して、1つ以上の凹状の把持領域を、前記中間容器(3)内の圧力を0.1MPa(1bar)超に維持している間に、且つ、前記中間容器の前記把持領域内の材料の温度がガラス転移温度T未満の温度である間に、形成する工程と、
d)好ましくはプラグ(5)を容器内から抜去する前に、容器内の過剰圧力を解放する工程と、
e)成形キャビティ(2、4)から完成容器(6)を取り出す工程と、
を含む、方法
【請求項2】
工程c)で、前記中間容器の前記把持領域内の前記材料の前記温度が、ガラス転移温度Tと6℃の間の温度に維持される、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記予備成形物がポリエチレンテレフタレート予備成形物である、請求項1又は2に記載の方法
【請求項4】
ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度Tが81℃である、請求項3に記載の方法
【請求項5】
工程c)の間中、前記中間容器の前記把持領域内の材料が二軸延伸されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
工程b)が、吹込成形キャビティ(2)内で実施され、工程c)が、別個の深絞り成形キャビティ(3)内で実施され、これら2つの工程間に、前記中間容器(3)が、前記吹込成形キャビティ(2)から前記深絞り成形キャビティ(4)に移動される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
前記プラグ(5)の外側輪郭が、前記凹状の把持領域の内側輪郭に対応する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法
【請求項8】
把持される際のいかなる相対運動も実質的に排除するように、対向する前記凹状の把持領域を互いに連結するための手段が設けられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法
【請求項9】
前記完成容器の前記把持領域が、深グリップパームレスト、x、(7)と、深グリップ指レスト、y、(8)と、深グリップ凹部深さ、z、(9)とを備え、好ましくはx+2y+2zの合計が107mmを超え、好ましくは前記深グリップ凹部(9)の深さが20mmを超える(z>20mm)、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体成形ハンドルを有する、好ましくは、人間工学的に良好なハンドルを有する、延伸吹込成形容器を作製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
延伸吹込成形プロセスを介した一体ハンドルの形成は、極めて望ましく、この技術は、成功していない特有の問題を解決するための数多くの試みを含む。一体成形ハンドルは、一般に、別個のハンドル、例えばクリップオンハンドルより安価である。一体ハンドルを提供するためのこれまでに開示された手法は、典型的に、ハンドルの構造的基礎を形成するボトルの本体内への一対の対向する凹又はキャビティの形成を必要とする。これらの凹は、次いで共に溶接され、指及び/若しくは親指を挿入して通すことができる、完全に開放された空間(「貫通」ハンドル)を形成するように、溶接部によって包囲される中央区分を除去することができるか、又は別の方法としては、単純にグリップを形成するために残されるかのいずれかであり得る。グリップが、凹部の底に指の先端が触れることなくグリップ上で手を閉じることができるように、十分に幅広くかつ深く形成される場合、人間工学研究は、結果として生じるグリップの機能性が、貫通ハンドルと同様に良好であることを示した。
【0003】
これを達成させるための一つの手法がEP0346518B1に開示されているが、これは、成形キャビティ内に予備成形物を吹込成形する第1の工程と、それに次いで、予備成形物が膨張して吹込成形型の内側キャビティを実質的に満たした後であってかつ予備成形物が樹脂のガラス転移点未満の温度に冷却される前に、吹込成形型内の一対の対向する可動突出部材の間で延伸された予備成形物の一領域を押圧及び保持する第2の工程と、を含むプロセスである。
【0004】
そのようなプロセスの第1の問題は、延伸吹込成形及びハンドルドローイング工程は迅速に連続して行われなければならず、そうでないと温度がガラス転移温度未満に下がる。温度の維持は大量のエネルギーを消費するため、費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP0346518B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人間工学的ハンドルを提供する、深い凹状のグリップを形成するプロセスを提供することが、本発明の目的である。
【0007】
当該技術分野において、あまりエネルギーを大量消費せず、延伸吹込成形及びハンドルドローイング工程を分離できるプロセスに対するニーズが存在する。特定の高温を維持する必要性ではなく、より広い実用温度範囲を有することが望ましい。したがって、第2の工程は、第1の工程から離れた場所で行うことができる。ハンドルドローイング中の高応力に耐えて材料破壊を防ぐ材料に対するニーズも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一体ハンドルを有する容器を作製するためのプロセスであって、
a)成形キャビティ(2)内に予備成形物(1)を提供する工程と、
b)予備成形物(1)を延伸吹込成形して、中間容器(3)を形成する工程と、
c)内向きに移動する1つ以上のプラグ(5)を適用して、1つ以上の凹状の把持領域を、中間容器(3)内の圧力を0.1MPa(1bar)超に維持している間に、且つ、中間容器の把持領域内の材料の温度がガラス転移温度T未満の温度である間に、形成する工程と、
d)好ましくはプラグ(5)を容器内から抜去する前に、容器内の過剰圧力を解放する工程と、
e)成形キャビティ(2、4)から完成容器(6)を取り出す工程と、を含む、プロセスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明のプロセスによる工程の略図。
図1B】本発明のプロセスによる工程の略図。
図1C】本発明のプロセスによる工程の略図。
図1D】本発明のプロセスによる工程の略図。
図2】DIN33402にしたがって測定された、グリップの直径。
図3】本発明にしたがって作製された、一体ハンドルを有するボトルの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で意味するところの「延伸吹込成形」とは、予備成形物が、それらのガラス転移温度を上回る温度に加熱され、次いで容器又はボトル等の中空体を形成するために、高圧空気を使用して成形型に吹込まれるプロセスである。通常、予備成形物は、プロセスの一部として、コアロッドを用いて延伸される。
【0011】
本明細書で意味するところの「予備成形物」とは、膨張させて最終物を形成する前に生成される、成形品である。予備成形物は、必ず、最終物よりも幾分小さい。予備成形物は、一般に、例えば溶解温度を超える高温での射出成形によって生成される。
【0012】
本明細書で意味するところの「深絞り」とは、材料がシートの平面及び厚みから流れ出て、材料が塑性的に変形することである。
【0013】
本明細書において、「深グリップ」という用語は、ブラインドハンドル、すなわち、ユーザの親指及び指がハンドルの周囲を包むことができるが、指が完全にハンドルの背後に通過できない把持機能を意味するために使用される。「貫通」型のハンドルは、ハンドルと容器の本体との間に形成される材料のウェブの一部又はすべてを切り取ることによって得ることができる。深グリップが好ましいが、深グリップハンドル及びウェブが切り取られた貫通ハンドルは、両方とも本発明の範囲内である。
【0014】
本明細書で意味するところの「二軸配向」とは、分子の再配向をもたらす条件下で、プラスチック又はその他の物品を2方向に延伸させるプロセスである。
【0015】
予備成形物(perform)は、プラスチック樹脂材料で作られる。本発明で使用されるプラスチック樹脂材料は、ポリオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ乳酸(PLA)又はポリエチレンテレフタレート(PET)であり得る。一実施形態では、プラスチック樹脂材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。固有粘度(IV)が低いポリエチレンテレフタレートが、とりわけ好ましい。一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、0.8dL/g未満のIVを有する。
【0016】
ガラス転移温度及び溶解温度は、ASTM D3418を参照して、便利に測定され得る。
【0017】
深絞りは、金属シート形成産業における形成プロセスである。シート金属ブランクは、パンチの機械的作用により、成形ダイに放射状に引き込まれる。材料成形性の指標は、限界絞り比であり、これは、パンチ直径と比較した際の、フランジなしのカップに安全に絞られることができる最大ブランク直径の比として定義される。油圧機械式の深絞りは、非在来型の深絞りプロセスであり、ダイが油圧式逆圧により置き換えられる。
【0018】
深絞りプロセスは、熱可塑性樹脂でできた様々な製品にも使用でき、このプロセスは、高速製造を可能にし、また方向性機械的特性の展開を可能にするので、本産業にとって魅力的である。深絞り中、材料はシートの平面及び厚みから流れ出て、材料が塑性的に変形する。当該技術分野において、シートは材料のTを超える温度に加熱され、その結果、流動応力が低減し、深絞り中に発生する内部応力が最小化される。二軸配向は、分子再配向をもたらす条件下でプラスチック又はその他の物品を2方向に延伸させるプロセスである。当該技術分野では、低温を使用するということは、プラスチックが脆性過ぎ、深絞りプロセス中に材料破壊をもたらすことを意味するものである。しかしながら、低温での材料の二軸配向が、材料が破壊される前に深絞り中の高応力に耐えることができるため、絞り能力を改善することが驚くべきことに発見された。
【0019】
熱可塑性材料が変形すると、分子は応力の方向に整列する傾向があり、これを分子配向という。予備成形物が容器に変形する再加熱延伸吹込成形プロセス中、材料は、延伸棒により延伸される軸方向及び吹込圧力により延伸される放射状の2方向に変形する。その結果、材料の二軸配向がもたらされる。分子配向により機械的特性の異方性がもたらされ、配向の増大が体積弾性係数などの機械的特性を増大させる。
【0020】
ハンドルドローイング工程は、中間容器の材料が二軸延伸されているときに行われる。ハンドルドローイングプロセス中に、材料がより高い応力に耐えることができるようにするのに有利である。
【0021】
ここで、本発明は、図面を参照してより詳細に説明される。
【0022】
本発明のプロセスは、
a)成形キャビティ(2)内に予備成形物(1)を提供する工程、図1Aと、
b)予備成形物(1)を延伸吹込成形して、中間容器(3)を形成する工程、図1Bと、所望により中間容器を、別個の深絞り成形キャビティ(4)に移動させ、所望により中間容器を再加熱する工程、図1Cと、
c)内向きに移動する1つ以上のプラグ(5)を適用して、1つ以上の凹状の把持領域を、中間容器(3)内の圧力を0.1MPa(1bar)超に維持している間に、且つ、中間容器の把持領域内の材料の温度がガラス転移温度T未満の温度である間に、形成する工程、図1Cと、
d)好ましくはプラグ(5)を容器内から抜去する前に、容器内の過剰圧力を解放する工程と、
e)成形キャビティ(2、4)から完成容器(6)を取り出す工程、図1Dと、を図式で示す図1を参照してよりよく理解することができる。
【0023】
図1Aに示される工程は、射出延伸吹込成形又は再加熱延伸吹込成形を介して行うことができ、後者では射出及び延伸吹込成形は、2つの別個の機械で行われる。予備成形物は、ポリエチレンテレフタレート予備成形物(perform)であるのが好ましい。
【0024】
図1Bに示される工程は、吹込成形キャビティとは別に深絞り成形キャビティを提供する選択肢を示す。容器は、吹込工程及び/又は深絞り成形キャビティへの移動中に把持領域が過度に冷却された場合、この移動中に再加熱されてよい。
【0025】
変形では、図1A及び図1Cが同一のキャビティ内で生じる場合、図1Bに示される工程は、削除されてよい。これは、吹込成形と深絞りとの間の時間が最小化され、プラグに対する容器の相対運動がないため、容器、特に深グリップの周囲の公差がより狭いという利点を有する。1つのキャビティへの組み込みは、吹込成形型が可動プラグを有する必要があるため、吹込成形型の構成を複雑にし、吹込成形機械は、深絞り工程を制御するように適応される必要があり、総サイクル時間は、プラグの移動が吹込サイクルを長くするために増加する。
【0026】
図1Cに示される工程では、中間容器の把持領域内の材料は、ガラス転移温度Tを下回る温度に維持される。PETのガラス転移温度は、81℃である。別の実施形態では、中間容器の把持領域内の材料は、ガラス転移温度Tと6℃との間の温度に維持される。別の実施形態では、中間容器の把持領域内の材料は、ガラス転移温度Tと15℃との間の温度に維持される。更に別の実施形態では、中間容器の把持領域内の材料は、ガラス転移温度Tと21℃との間の温度に維持される。把持領域内の材料の形状は、実質的に平ら、即ち平面的であってよく、言い換えると、中間容器の側部の輪郭に沿う。別の実施形態では、把持領域内の材料の形状は、凸状である。言い換えると、把持領域は、中間容器の側部の輪郭と比べると凸状である。更に別の実施形態では、把持領域内の材料の形状は、凹状である。言い換えると、把持領域は、中間容器の側部の輪郭と比べると凹状である。
【0027】
中間容器のグリップの表面積は、最終容器の深グリップの表面積と等しくてよい。別の実施形態では、中間容器のグリップの表面積は、最終容器の深グリップの表面積よりも小さい。これにより、深絞り中の表面の更なる延伸がもたらされ、更なる分子配向が生じる。これにより、最終グリップ部の美観も改善され得る。
【0028】
更に、図1Cに示される工程では、ボトルは、キャビティ内でのボトルの正位置を可能にするために加圧され、プラグ支援ピストンは、所望の深グリップ凹部を深絞りするために、把持領域に押し込まれる。雄型のプラグが完全に嵌合すると、約0.1〜約2MPa(1〜20bar)の超過圧力が容器の内部に適用され、その結果、従来の圧力−気泡/プラグ支援深絞りプロセスの雌型成形型部分として効果的に作用する。ボトル内の圧力は、様々な機能を果たす。まず、吹込後の二次冷却サイクルとして作用する冷たい深絞り成形キャビティにボトルを押圧する。これは、特に熱吹込成形用金型が使用されている場合に、最終容器におけるパネル及び基部変形の防止に重要であることが示されている。ボトルの変形を避けるために、0.5MPa(5bar)を超える圧力が必要となることがある。グリップ隣接部の放射状張力及び接線圧縮応力によるグリップ部付近の局所的変形を避けるのに、高圧が有益であることが示されている。最後に、ボトル内の圧力は、ピストンのメッキ層に熱可塑性樹脂を成形する雌型静水圧ダイとしても作用する。これはまた、雄型のプラグが深グリップ部分を深絞りする際に、容器の非深グリップ部分が変形されないことを確実にする。いったん雄型のプラグが完全に嵌合されると、プラスチックは、プラグに適合され、最終の深グリップの幾何学形状が達成される。
【0029】
図1Dに示される工程では、圧力は、好ましくは最初に解放され、次いでプラグ支援ピストンが引き込められ、ボトルが取り出される。
【0030】
図1B図1Dに示される深グリップ形成プロセスの好ましい特性は以下の通りである。
1.材料が2軸配向された後に、深グリップが形成される、
2.深グリップを形成するプラグは、最終の深グリップと一致する雄型の形状である、及び/又は
3.容器は、機械的変形が防止される(Tを下回る)温度で取り出され、材料は、最終の所望の形状に結晶化する。
【0031】
2)の点では、最終の深グリップの雄型の形状ではないプラグが、深グリップ内の望ましくないしわ並びに折り畳みをもたらし、プラグが美学及び性能に悪影響を及ぼすことが発見されている。
【0032】
以下の表は、温度、所望の分子配向状態、及び所望の深グリップ形状の点から見た、特に好ましいプロセス設定を表す。
【表1】
【0033】
深絞りプラグ内に、吹込成形型に従来使用された通気孔と同様に設計される通気孔を含むことは有利であり得る。材料が深絞りされて、凹状の把持領域が形成されると、材料の表面は、深絞りプラグの外側輪郭に厳密に適合し、気泡とプラグとの間の空気は、通気孔を通って脱出することができる。更に、容器の取り出しの直前に深絞りプラグが抜去されると、通気孔は、凹状の把持領域とプラグとの間に、深グリップの変形を引き起こし得る真空ができるのを防止する。
【0034】
深グリップは、消費者が容器を保持する、及び容器から製品を注ぐのを助長するために、人間工学的に形状化されるべきである。人体測定研究は、錐体を取り囲む際に親指及び人差し指によって形成される円形の最小のグリップの直径は、20〜59歳の女性で34mm(DIN33402にしたがって)であることを示し、これは、107mmの内側周辺に対応する。したがって、深グリップは、貫通ハンドルと同等の人間工学的機能性を確保するために、少なくともこの量の把持することが可能な展開長さを提供するべきである。
【0035】
図2は、錐体を取り囲む際に親指及び指によって作られる円形の最小直径(DIN 33402にしたがって)として定義される、グリップの直径dを示す。
【0036】
図3は、主要な深グリップの機能的寸法、深グリップパームレスト、x、7と、深グリップ指レスト、y、8と、深グリップ凹部深さ、z、9とを有する、完成容器の図面である。
【0037】
深グリップは、好ましくは、可能な限り深くあるべきであり、原理限界は、ボトルの設置面積であるが、好ましくは、107mmの展開長さを生成するために必要とされるもの以上である。図3に示される対称深グリップ設計の場合、x+2y+2zは、好ましくは、107mm以上であるべきである。各深グリップ凹部の深さ(z)は、好ましくは、20mmを超える(すなわち、z>20mm)べきである。好ましい実施形態では、深グリップは、2つの対向する凹状の把持領域によって形成され、それらのそれぞれの基部は、相互接触する。
【0038】
深グリップのパームレスト(x)は、好ましくは、ボトルを手の掌で直感的に支えることができるように十分に大きくあるべきであり、手を十分に広く広げ、指は深グリップ凹部の底面に触れない。人間工学研究によって、30mmを超えるパームレスト幅(すなわちx>30mm)は、貫通ハンドルと同等の快適な取り扱いを提供するのに必要とされる最小値であることが発見された。
【0039】
非対称は、容器の人間工学的性能を改善することができるため、対向する深グリップの半分は、深さ及び形状の点で対称である必要はない。
【0040】
凹状の把持領域のそれぞれの基部が相互接触する際、また、これは、把持される際のいかなる相対運動も実質的に排除するように、対向する凹状の把持領域を互いに連結するための手段を設けるのに有利であり得る。そのような手段の1つの例は、両方の凹状の把持領域が接触する、「ペグ及びピン」である。ペグ及びピンは、深絞り工程中に整合され、連結される。これは、対向する凹状の把持領域を溶接する必要性を回避する。そのような溶接部は、それらが、特に降下負荷下で容易に故障する弱点を提供するため、望ましくない。
【実施例】
【0041】
標準PET樹脂(Equipolymer C88、IV=0.76dl/g)の予備成形物(perform)を65℃の金型温度で延伸吹込成形した。同じ機械内の直接ボトル転送によって、容器を吹込成形キャビティから深絞り成形キャビティに移した。中間容器の把持領域は、「平ら」であり、40〜60℃の温度に維持した。中間容器を深絞り成形キャビティ内で2MPa(20bar)に加圧し、ステッピングモータ制御によるピストンを使用してハンドルを深絞りした。ピストンは、最終的なグリップの形状と一致していた。ピストン及び深絞り成形キャビティを6℃で冷却した。グリップ部が室温(21℃)に達したとき、容器を通気させ、次いで取り出した。
【0042】
中間容器のグリップ部の厚さは0.7mm超であり、20mmのグリップ深さは容易に達成された。1成形型につき1時間当たり1000ボトルの製造速度が達成された。
【0043】
中間容器のグリップ部の局所的延伸比は、軸方向に3〜3.5、周方向に3であった。グリップ部は深絞りされて、主に周延伸が中間体の3倍から5倍に増大した。
【0044】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3