特許第5694355号(P5694355)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5694355剛性の遠位端部分を有する円形ステープラーイントロデューサー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694355
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】剛性の遠位端部分を有する円形ステープラーイントロデューサー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   A61B17/11 310
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-540027(P2012-540027)
(86)(22)【出願日】2010年11月17日
(65)【公表番号】特表2013-511346(P2013-511346A)
(43)【公表日】2013年4月4日
(86)【国際出願番号】US2010057115
(87)【国際公開番号】WO2011063051
(87)【国際公開日】20110526
【審査請求日】2013年10月1日
(31)【優先権主張番号】12/621,688
(32)【優先日】2009年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バクスター・ザ・サード・チェスター・オー
(72)【発明者】
【氏名】ハント・ジョン・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】シルカイティス・ダニウス・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリー・ジェフリー・ピー
(72)【発明者】
【氏名】フラナー・ポール・ティー
(72)【発明者】
【氏名】シュルテ・ジョン・ビー
(72)【発明者】
【氏名】アボット・ダニエル・ジェイ
【審査官】 毛利 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0172087(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0204108(US,A1)
【文献】 特開2009−072599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル部分、前記ハンドル部分から突出する細長形シャフト、及び前記細長形シャフトに結合されるステープル留めヘッドを有する、外科用円形ステープラーを、患者内へ導入するためのイントロデューサーであって、前記イントロデューサーは、
遠位端及び開放近位端を有する、中空可撓性シースであって、前記中空可撓性シースは、前記ステープル留めヘッド、及び前記細長形シャフトの少なくとも一部分を、その内部に受容するように寸法決めされる、中空可撓性シースと、
前記中空可撓性シースの前記遠位端に取り付けられる、剛性キャップアセンブリであって、前記剛性キャップアセンブリは、その内部に前記ステープル留めヘッドが挿入されている場合に、前記ステープル留めヘッドの遠位面が覆われる、閉鎖位置と、前記ステープル留めヘッド及び細長形シャフトの周りから、前記剛性キャップアセンブリを回収することができる、開放位置との間を、選択的に移動するように構成される、剛性キャップアセンブリと、
前記剛性キャップアセンブリと接合する解放構成であって、解放動作が前記解放構成に適用されると、前記剛性キャップアセンブリが、前記閉鎖位置から前記開放位置に移動可能となるようになっている、解放構成と、を含
前記解放構成が、
前記剛性キャップアセンブリと接合する、ラッチ部材と、
前記ラッチ部材に結合される解放部材であって、前記円形ステープラーの前記ステープル留めヘッドが、前記中空可撓性シースを通って前記剛性キャップアセンブリの一部分内に挿入される場合に、前記解放部材の遠位部分が、前記円形ステープラーの前記ハンドル部分からアクセス可能であるように、前記中空可撓性シースと同一の領域に延びる、解放部材と、を含む、イントロデューサー。
【請求項2】
前記解放部材が、縫合糸を含む、請求項に記載のイントロデューサー。
【請求項3】
前記縫合糸が、前記中空可撓性シースの壁内に形成されるルーメンを通って延びる、請求項に記載のイントロデューサー。
【請求項4】
前記ラッチ部材が、前記ルーメンの遠位端内に受容されており、前記剛性キャップアセンブリが前記閉鎖位置に保持される、ラッチ留め位置と、前記剛性キャップアセンブリが前記開放位置に移動可能である、ラッチ解除位置との間で、選択的に移動可能である、請求項に記載のイントロデューサー。
【請求項5】
前記縫合糸への、近位方向での、ある量の解放動作の適用が、前記ラッチ部材を、前記ラッチ解除位置に移動させ、前記縫合糸への、解放動作の更なる適用が、前記中空可撓性シースを、前記ステープル留めヘッド及び細長形シャフトの上で近位方向に回収させる、請求項に記載のイントロデューサー。
【請求項6】
前記イントロデューサーは、前記中空可撓性シースの前記開放近位端に取り付けられるハンドルアセンブリを更に含み、前記ハンドルアセンブリが、前記円形ステープラーが前記中空可撓性シース内に完全挿入位置まで挿入されている場合に、前記円形ステープラーの前記ハンドル部分の一部分の上に延在するように構成される、請求項1に記載のイントロデューサー。
【請求項7】
前記円形ステープラーが、前記ハンドル部分上に表示器を有し、前記円形ステープラーが前記中空可撓性シース内に前記完全挿入位置まで挿入されている場合に、前記ハンドルアセンブリが、前記表示器を覆う、請求項に記載のイントロデューサー。
【請求項8】
前記縫合糸の近位端が、前記円形ステープラーが前記中空可撓性シース内に完全挿入位置まで挿入されている場合に、前記円形ステープラーの前記ハンドル部分の周囲で滑動自在に支持されるように構成される、解放スライダーに取り付けられる、請求項3に記載のイントロデューサー。
【請求項9】
前記解放部材が縫合糸を含み、前記イントロデューサーが、
前記縫合糸の近位端に取り付けられており、前記円形ステープラーが前記完全挿入位置まで挿入されている場合に、前記円形ステープラーの前記ハンドル部分の周囲で滑動自在に支持されるように構成される、解放スライダーと、
前記解放スライダーが前記円形ステープラーの前記ハンドル部分上で移動する距離に対して、前記縫合糸の近位移動距離を増加させるための手段と、を更に含む、請求項に記載のイントロデューサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、外科用ステープラーに関し、より詳細には、円形ステープル留めデバイスを患者の結腸内へ導入するための、デバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のタイプの外科的手技では、外科用ステープルの使用は、組織を接合する好ましい方法となり、それゆえ、これらの用途のために、特別に構成された外科用ステープラーが開発されている。例えば、管腔内ステープラー又は円形ステープラーは、下部結腸に関与する外科的手技での使用のために開発されており、この場合、下部結腸の諸区域は、患部が切除された後、一体に接合される。そのような手技を実施するために有用な円形ステープラーが、例えば、米国特許第5,104,025号、同第5,205,459号、同第5,285,945号、及び同第5,309,927号に開示され、それらの全ての内容がそれぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
概して、従来の円形ステープラーは、典型的には、細長形のシャフトからなり、この細長形のシャフトは、近位の作動機構、及び細長形のシャフトに搭載される遠位のステープル留め機構を有する。この遠位のステープル留め機構は、通常は、同心の円形配列で構成された複数個のステープルを収容する、固定型ステープル留めカートリッジからなる。丸形の切断ナイフが、カートリッジ内で軸方向に移動できるように、カートリッジ内部で、ステープルに同心円状に搭載される。ステープルアンビルを着脱自在に結合させるように適合された移動可能トロカールシャフトが、カートリッジの中心から軸方向に延びている。アンビルは、ステープルがアンビル内へと打ち込まれる際に、ステープルの端部を成形するように構成される。ステープルカートリッジの遠位面とステープルアンビルとの距離は、通常は、トロカールの軸方向移動を制御するために、ステープラーシャフトの近位端に搭載される、調節機構によって制御される。作動機構が外科医によって始動されると、ステープルカートリッジとステープルアンビルとの間に締め付けられた組織が、ステープル留めされると同時に切断される。
【0004】
円形ステープラーを使用して下部結腸の手技を実施する際、腸は、典型的には、除去される腸の患部の両側上に2列のステープルを配置した状態で、従来の外科用ステープラーを使用してステープル留めされる。標的の区域は、隣接する端部がステープル留めされると同時に切断される。患部を除去した後、外科医は、典型的には、ステープルラインの近位側の、管腔の近位端内へアンビルを挿入する。このことは、外科医によって近位管腔内に切り込まれた入口内へ、アンビルヘッドを挿入することによって行われる。ときには、アンビルは、アンビルヘッドをステープラーの遠位端に定置し、この器具を直腸に通して挿入することによって、経肛門的に定置することができる。次いで、外科医は、縫合糸又は他の従来の結束デバイスを使用して、腸の近位端をアンビルシャフトに結び付ける。次に、外科医は、結び目に隣接する余分な組織を切断し、外科医は、ステープラーのトロカールシャフトにアンビルを取り付ける。次いで、外科医は、アンビルとカートリッジとの間隙を閉鎖することによって、その間隙内で腸の近位端と遠位端を締め付ける。外科医は次に、ステープラーを作動させて、複数列のステープルを、腸の両端部を貫通して打ち込ませて成形させることによって、端部を接合し、管状の通路を形成する。同時に、ステープルが打ち込まれて成形される際、同心の円形ナイフの刃が腸組織の端部を貫通して打ち込まれ、ステープルの内側の列に隣接する端部を切断する。次いで、外科医は、腸からステープラーを回収し、手技が完了する。
【0005】
そのような下部結腸の手技の間、外科用ステープラーを、肛門に通過させ、通常「ヒューストン弁」と称される、結腸内に突出する、直腸壁内の横方向のひだを越えて挿入し、引き続き、所望の領域へと操作することは、困難な場合がある。この問題は、ステープラーを、アンビルなしで所定の位置に挿入しなければならない場合に悪化する。具体的には、殆どの円形ステープラーの、前方すなわち遠位端は、円形のステープルカートリッジを支持するように設計された、比較的切り立った円形形状部材を含む。そのような鈍頭の/切り立った形状により、ステープラーの前方端部を、ヒューストン弁及び他の組織を越えて進行させることが困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、外科用ステープラーを、患者の肛門に通過させ、下部結腸内、又は患者内部の他の領域内へと容易に挿入するための、デバイス及び方法に関する必要性が存在する。
【0007】
上述の議論は、本発明の分野にその当時に存在した欠点の一部を説明することのみを意図したものであり、「特許請求の範囲」を否定するものとしてみなされるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一般的態様に関連して、ハンドル部分、ハンドル部分から突出する細長形シャフト、及び細長形シャフトに結合されるステープル留めヘッドを有する、外科用円形ステープラーを、患者内へ導入するためのイントロデューサーが提供される。様々な実施形態に関連して、イントロデューサーは、遠位端及び開放近位端を有する、中空可撓性シースを含む。この中空可撓性シースは、ステープル留めヘッド、及び細長形シャフトの少なくとも一部分を、その内部に受容するように寸法決めすることができる。剛性のキャップアセンブリを、中空可撓性シースの遠位端に取り付けることができる。この剛性キャップアセンブリは、その内部にステープル留めヘッドが挿入されている場合に、ステープル留めヘッドの遠位面が覆われる、閉鎖位置と、ステープル留めヘッド及び細長形シャフトの周りから、キャップアセンブリを回収することができる、開放位置との間を、選択的に移動するように構成することができる。解放構成が、剛性キャップアセンブリと接合することができ、解放動作が解放構成に適用されると、剛性キャップが、閉鎖位置から開放位置に移動可能となるようになっている。
【0009】
本発明の更に別の一般的態様に関連して、ハンドル部分、ハンドル部分から突出する細長形シャフト、及び細長形シャフトの遠位端に結合されるステープル留めヘッドを有する、外科用円形ステープラーを、患者内へ導入するためのイントロデューサーが提供される。様々な実施形態に関連して、イントロデューサーは、遠位端及び開放近位端を有する、中空可撓性シースを含む。この中空可撓性シースは、ステープル留めヘッド及び細長形シャフトを、その内部に受容するように寸法決めすることができる。ハンドルアセンブリは、シースの開放近位端に取り付けることができ、円形ステープラーが中空シース内に完全挿入位置まで挿入されている場合に、円形ステープラーのハンドル部分の一部分の上に延在するように構成することができる。剛性のキャップアセンブリを、中空可撓性シースの遠位端に取り付けることができる。この剛性キャップアセンブリは、ステープル留めヘッドが完全挿入位置まで挿入されている場合に、剛性キャップアセンブリの一部分によってステープル留めヘッドの遠位面が覆われる、閉鎖位置と、ステープル留めヘッド及び細長形シャフトの周りから、剛性キャップアセンブリを近位方向に回収することができる、開放位置との間を、選択的に移動するように構成することができる。ラッチ部材を、剛性キャップアセンブリと、移動可能に係合させて、シースによって支持することができる。このラッチ部材は、剛性キャップアセンブリが閉鎖位置に保持される、ラッチ留め位置、及び剛性キャップアセンブリの一部分が開放位置に移動可能である、ラッチ解除位置から、選択的に移動可能とすることができる。縫合糸を、ラッチ部材に取り付けることができる。この縫合糸は、シース内のルーメンを通って、ハンドルアセンブリに延びることができる。解放スライダーを、縫合糸の近位端に取り付けることができる。この解放スライダーは、円形ステープラーが完全挿入位置へと挿入されている場合に、円形ステープラーのハンドル部分の周囲で滑動自在に支持されるように、構成することができる。
【0010】
本発明の別の一般的態様に関連して、ハンドル部分、ハンドル部分から突出する細長形シャフト、細長形シャフトの遠位端に結合されるステープル留めヘッド、及び着脱自在に取り付け可能なアンビルを有する、外科用円形ステープラーを、患者内へ導入するための方法が提供される。様々な実施形態に関連して、この方法は、円形ステープラーからアンビルを取り外すことと、円形ステープラーのステープル留めヘッド及び細長形シャフトを、イントロデューサー内に挿入することにより、ステープル留めヘッドを、イントロデューサーの剛性キャップアセンブリの内部に受容させ、細長形シャフトを、イントロデューサーの可撓性シース部分の内部に受容させることと、を含む。この方法は、円形ステープラー及びイントロデューサーを、円形ステープラーのハンドル部分が患者の外部に留まるように、患者内に挿入することと、患者からステープル留めヘッドを取り外すことなく、キャップアセンブリが、ステープル留めヘッドの遠位面を露出させるようにすること、とを更に含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に組み込まれると共に本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するために役立つものである。
図1】外科用円形ステープル留め器具の斜視図。
図2】本発明のイントロデューサーの実施形態を設置する前の、図1の円形外科用ステープル留め器具の別の斜視図。
図3】本発明のイントロデューサーの実施形態の側面立面図。
図4図2のイントロデューサーの平面図。
図5図3及び図4のイントロデューサーの平面図。
図6】ハンドルアセンブリからカバーパネルが取り外された、図2図5のイントロデューサーの別の平面図。
図7】円形ステープル留め器具上に設置された、本発明のイントロデューサーの実施形態の部分斜視図。
図8図7のイントロデューサー及び円形ステープラーの部分側面立面図。
図9図7及び図8のイントロデューサー及び円形ステープラーの部分平面図。
図10】本発明のキャップアセンブリ実施形態の立面図。
図11】解放ラッチが取り外された、図10のキャップアセンブリの別の立面図。
図12】解放ラッチが取り外され、キャップがバレルアセンブリから係合解除された、図8図11のキャップアセンブリの斜視図。
図13】キャップがバレルアセンブリに係合された、本発明のキャップアセンブリ実施形態の断面図。
図14】円形ステープラーの一部分、及び本発明のイントロデューサーの実施形態のキャップの部分側面立面図。
図14A】キャップが、円形ステープラーのステープル留めヘッド部分の外辺部から滑り落ちた、円形ステープラー及びキャップの別の部分側面立面図。
図15】キャップが開放位置にある、本発明のキャップアセンブリ実施形態の平面図。
図16】低プロファイルのキャップ実施形態が線によって示される、図15のキャップアセンブリ実施形態の別の平面図。
図17】本発明の別の実施形態に関連して使用され得る剛性キャップアセンブリの図。
図18】本発明のキャップアセンブリ実施形態の上面斜視図。
図19図18のキャップアセンブリの底面図。
図20】本発明の別のキャップアセンブリ実施形態の上面斜視図。
図21図20のキャップアセンブリの底面図。
図22】本発明の別のイントロデューサーの実施形態を設置する前の、円形外科用ステープル留め器具の斜視図。
図23】本発明の別のイントロデューサーの実施形態を設置する前の、円形外科用ステープル留め器具の斜視図。
図24】円形ステープラーのステープル留めヘッドの一部分上に設置する前の、本発明の別のイントロデューサーの実施形態を示す、分解組み立て立面図。
図25】円形ステープラーのステープル留めヘッド上に設置された、図24のイントロデューサーの断面図。
図26】本発明のイントロデューサーの実施形態の遠位端の図。
図27】本発明の別のイントロデューサーの実施形態の遠位端の図。
図28】本発明の別のイントロデューサーの実施形態の遠位端の図。
図29】円形ステープラーのステープル留めヘッド上に設置された、本発明の別のイントロデューサーの実施形態の断面図。
図30】閉鎖位置での、本発明の別のイントロデューサーの実施形態の側面立面図。
図31図30(FIG.31)のイントロデューサーの別の側面立面図。
図32】閉鎖位置での、図30及び図31のイントロデューサーの別の側面立面図。
図33】円形ステープラーのステープル留めヘッドに取り付けられた、本発明の別のイントロデューサーの実施形態の遠位端の図。
図34】円形ステープラーのステープル留めヘッドに取り付けられ、円形ステープラーのトロカール部分が延伸位置にある、本発明の別のイントロデューサーの実施形態の側面立面図。
図35】円形ステープラーのステープル留めヘッドに取り付けられた、本発明の別のイントロデューサーの実施形態の遠位端の図。
図36】円形ステープラーのステープル留めヘッドに取り付けられ、円形ステープラーのトロカール部分が延伸位置にある、本発明の別のイントロデューサーの実施形態の側面立面図。
図37】円形ステープラーのトロカール部分が回収位置にある、図36のイントロデューサー及びステープル留めヘッドの別の側面立面図。
図38】円形ステープラーのステープル留めヘッドに取り付けられた、本発明の別のイントロデューサーの実施形態の側面立面図。
図39】円形ステープラーのステープル留めヘッドに取り付けられた、本発明の別のイントロデューサーの実施形態の部分斜視図。
図40】円形ステープラーのステープル留めヘッドから巻きを解かれている、図39のイントロデューサーの実施形態の別の部分斜視図。
図41】円形ステープラーのステープル留めヘッドに取り付けられた、本発明の別のイントロデューサーの実施形態の部分斜視図。
図42】円形ステープラーのステープル留めヘッドに取り付けられた、本発明の別のイントロデューサーの実施形態の部分斜視図。
図43】円形ステープラーのステープル留めヘッドから近位方向に回収されている、図42のイントロデューサーの別の部分斜視図。
図44】円形ステープラーのステープル留めヘッドに取り付けられた、本発明の別のイントロデューサーの実施形態の部分斜視図。
図45】解放動作が最初に適用されている、図44のイントロデューサーの実施形態の別の部分斜視図。
図46】解放動作の更なる適用を示す、図44及び図45のイントロデューサーの別の部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本出願の出願人はまた、本明細書と同日に出願され、それらの全ての内容がそれぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる、以下に示す米国特許出願も所有する。
米国特許出願第____号、表題「DEVICES AND METHODS FOR INTRODUCING A SURGICAL CIRCULAR STAPLING INSTRUMENT INTO A PATIENT」、代理人整理番号END6320USNP/090234;
米国特許出願第____号、表題「CIRCULAR STAPLER INTRODUCER WITH RIGID CAP ASSEMBLY CONFIGURED FOR EASY REMOVAL」、代理人整理番号END6615USNP/090245;
米国特許出願第____号、表題「CIRCULAR STAPLER INTRODUCER WITH RADIALLY−OPENABLE DISTAL END PORTION」、代理人整理番号END6616USNP/090246;
米国特許出願第____号、表題「CIRCULAR STAPLER INTRODUCER WITH MULTI−LUMEN SHEATH」、代理人整理番号END6618USNP/090233。
【0013】
本明細書に開示されるデバイス並びに方法の、構造、機能、製造、及び使用の原理について、総合的な理解を提供するために、特定の例示的実施形態をここで説明する。これらの実施形態の1つ以上の実施例を、添付の図面で説明する。本明細書で具体的に説明され、添付の図面に示されるデバイス及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の様々な実施形態の範囲は、「特許請求の範囲」によってのみ定義されることが、当業者には理解されよう。1つの例示的実施形態に関連して示されるか、又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。そのような修正及び変型は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0014】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上、及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、「下」などの、空間的用語は、本明細書では、図面に関連して使用し得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的及び/又は絶対的ではないものとする。
【0015】
図1は、従来の円形ステープラー10を示す。そのような円形ステープラーの構成及び動作は、全般的に、当該技術分野において既知である。それゆえ、そのような円形ステープラーの具体的な構成要素及び特徴は、本発明の様々な実施形態の構成及び動作を理解するために必要とされ得るものを超えて、本明細書では詳細に論じられることはない。本明細書の「発明を実施するための形態」を読み進めるにつれて、本発明の様々な実施形態を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な円形ステープラーの構成と共に有効に使用し得ることが、当業者には理解されよう。したがって、本発明の様々な実施形態に対して与えられる保護の範囲は、本明細書で示された例示的な円形ステープラーとの使用に、その他の方法で限定するべきではない。
【0016】
図1で分かるように、従来の円形ステープラー10は、一般的には、ハンドル部分12を含み、このハンドル部分12は、ハンドル部分12から突出する細長形シャフト14を有する。ステープル留めヘッド16は、細長形シャフト14の遠位端15に結合されており、ステープルカートリッジ17及びその中の可動ナイフアセンブリ(図示せず)を操作可能に支持するように構成される。円形ステープラー10は、アンビル本体22を有するアンビル20を更に含む。アンビル20は、円形ステープラー10の細長形シャフト14内部で移動可能に支持されるトロカール(図示せず)に、着脱自在に取り付けられるように構成される、アンビルシャフト24を有する。このトロカールの移動は、ハンドル部分12の近位端に配置される、調節ノブ18を回転させることによって達成される。表示パネル19をハンドル部分12上に提供して、ステープルカートリッジ17に対する、アンビル20の本体部分22の位置の表示を、ユーザーに提供することができる。それゆえ、アンビルシャフト24を、移動可能トロカールに取り付ける場合、ステープル留めヘッドアセンブリ16内のステープルカートリッジ17に対する、アンビル本体22の位置は、調節ノブ18を回転させることによって調節することができる。ステープル留めヘッド16は、ステープル打ち込み装置アセンブリ(図示せず)を更に支持し、この打ち込み装置アセンブリの動作は、ハンドル部分12上のトリガーアセンブリ26によって制御される。例示的な円形ステープラー10の動作及びアセンブリに関する更なる詳細は、例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2009年3月23日出願の、米国特許出願第12/408,905号、表題「Circular Surgical Stapling Instrument With Anvil Locking System」(John P.Measamer)を参照することから収集することができる。
【0017】
図2〜6は、円形ステープラー10に関連して使用することができる、本発明の円形ステープラーイントロデューサー100を示す。様々な実施形態では、イントロデューサー100は、例えば、0.102〜0.381mm(0.004〜0.015インチ)の厚さを有する、ポリウレタン配合物、ポリエステル、ポリエチレン、又はポリプロピレンなどのプラスチック材料から製作することができる、細長形中空可撓性シース110を含み、円形ステープラー10の細長形シャフト14の上に容易に挿入されるように寸法決めされた、第1ルーメン29を形成する。シース110は、遠位端114、及び開放近位端112、並びに全般的に111として指定される頂部分、及び底部分113を有する。図3を参照されたい。ハンドルアセンブリ130は、例えば、接着剤、又は超音波溶接、高周波(RF)溶接、若しくは熱かしめによって、開放近位端112に取り付けることができる。シース110の遠位端114は、接着剤によって、又は超音波溶接、高周波(RF)溶接、若しくは熱かしめによって、剛性のキャップアセンブリ130に取り付けることができる。様々な実施形態では、例えば穿孔された継ぎ目116の形態の、「弱化領域」が、シース110の底部分113に沿って、開放近位端112から遠位端114に延在し得る。更には、第2ルーメン120が、シース110の壁内に形成され、開放近位端112から遠位端114に延びることができる。具体的には、第2ルーメン120は、近位端112の頂部分111から、遠位端114の底部分113に、螺旋状に延びることができる。第2ルーメン120は、ハンドルアセンブリ130から、第2ルーメン120の遠位端部分内で可動式に支持されるラッチ部材140へと延びる、解放部材122を収容することができる。様々な実施形態では、解放部材122は、例えば、縫合糸を含み得る。他の実施形態では、解放部材122は、解放部材122に取り付けられたラッチ部材140に解放動作を伝達するための、比較的細い可撓性の棒、又は同様の部材を含み得る。第2ルーメン120は、例えば、縫合、超音波溶接、高周波(RF)溶接、熱かしめなどによって、シース110の壁内に形成することができる。解放部材122及びラッチ部材140は、全般的に121として指定される解放構成を、集合的に形成することができる。図10を参照されたい。
【0018】
図10図19は、本発明の様々な実施形態に関連して使用することができる、剛性キャップアセンブリ150を示す。剛性キャップアセンブリ150は、シース110の遠位端114に取り付けられる、バレル部材152を有し得る。バレル部材152は、2つの対向端部154、156を有する、部分的環状部材を含む。剛性キャップ部材160が、テザー162によって、バレル部材152に「ヒンジ式に取り付け」られる。図17を参照されたい。様々な実施形態では、剛性キャップアセンブリ150は、著しく異なる物理的特性を有する、単一の射出成形品として製造される。様々な実施形態では、例えば、剛性キャップアセンブリ150は、ポリウレタン配合物、ポリエステル、ポリエチレン、又はポリプロピレンから射出成形することができる。
【0019】
以下で更に詳細に論じられるように、キャップ部材160は、その断面積を増大させることによって、剛性に作製されるが、一方でテザー162及びバレル部材152は、好ましくは、それぞれの断面積を低減することによって、特定方向での顕著な撓みが可能となるように設計される。キャップ部材160は、イントロデューサー100及びその中に収容される円形ステープラー10の諸部分を、患者の括約筋に通過させて挿入するために必要とされる力を最小限に抑えるため、並びにヒューストン弁及び他の解剖学的構造を通過するデバイスの操作を容易にするために、実質的に平滑である、比較的鈍頭の遠位表面164を有する。キャップ部材160の下面166は、その中に形成される一連の補強リブ168を有することにより、その断面積を増大させ、キャップ部材160を実質的に剛性にすることができる。図13及び図19を参照されたい。
【0020】
様々な実施形態では、キャップ部材の下面166は、ステープル留めヘッド16の外辺部の一部分の形状に、実質的に適合する形状を有する。より具体的には、また図13に示し得るように、補強リブ168によって形成される下面166は、円形ステープラー10のステープル留めヘッド16の円形の外辺部形状の一部分に適合する、弓状の形状である。図14に更に示し得るように、キャップ部材160は、弓状の下面166に対応する切り欠き壁部分174をそれぞれが有する、側面170、172を有する。そのような弓状の下面166及び切り欠き壁部分174により、キャップアセンブリ150は、円形ステープラー10の上を近位方向に回収される際に、ステープル留めヘッド16から離れて近位方向に通過することが可能になり、このことにより、キャップアセンブリ150が円形ステープラー10のステープル留めヘッド16を通過する際に、腸の半径方向の拡張が低減される。例えば、図16は、弓状の下面166を有さないキャップアセンブリ150(点線180によって表される)と、弓状の下面166を有するキャップアセンブリ150との実例的な比較を提供する。図示のように、例示的な一実施形態に関しては、弓状の下面を有さないキャップアセンブリは、0.22インチ高いプロファイルを有し、それゆえ、ステープル留めヘッド16の上を近位方向に回収される際に、腸を更に拡張させる。
【0021】
様々な実施形態では、テザー162は、キャップ部材160をバレル部材152に閉鎖位置(図10)で連結するために必要とされる距離よりも、長く設計することができる。すなわち、テザー162は、剛性のキャップ部分160が、閉鎖位置で保持される場合、キャップアセンブリ150の内側でコイル状になることができる。そのような構成により、キャップ部材160は、実質的に湾曲した経路を辿りつつ、ステープラー10のステープル留めヘッド16の角部の上を通過して、取り外しの間、バレル部材152から独立して移動することが可能になる。図14及び図14Aを参照されたい。一実施形態では、テザー162は、ラッチ部材140がバレル部材152の対向端部154、156と係合する場所からは、直径方向で反対側にある。図18及び図19を参照されたい。代替的実施形態では、テザー162は、ラッチ140部材から90度に配置される。図20及び図21を参照されたい。
【0022】
キャップアセンブリ150の様々な実施形態は、キャップ部材160が、挿入プロセス中には開放しないが、一方で、適切な時点で容易に開放され、取り外される能力を維持することを確実にするように協働する機構を採用する。例えば、図13に示し得るように、キャップアセンブリ150の様々な実施形態は、バレル部材152の諸部分上に形成される、内側方向に延びる保持フランジ190を含み得る。保持フランジ190は、キャップ部材160の下方リム上に形成される、対応する保持リブ167と、保持係合するように配置することができる。図13に示し得るように、一連のガセット194が保持フランジ190と共に形成され、保持フランジ190を更に安定させて、剛性を高めることができる。様々なキャップ部材実施形態は、キャップ部材160上に、少なくとも1つの保持リブを含み、キャップ部材160を閉鎖位置で保持的に固定することができ、その場合、キャップ部材160は、ステープル留めヘッド16の遠位面25を覆う(図10)。様々な実施形態では、一連の3つのリブ200、202、204を、テザー162と弓状切り欠き部分174との間の、キャップ部材160の2つの部分上に形成することができる。2つの外側リブ200、202、204には、面取りされた導出部分206を提供することができる。図12を参照されたい。そのような面取りされた導出部分206は、バレル部材152上の保持フランジ190と接合し、挿入プロセス中に、リブ167及び保持フランジ190の構成が負荷を担持する能力を、著しく脅かすことなく、ラッチ解除プロセス中に、キャップ部材160が保持フランジ190を拘束する契機を、最小限に抑えることに役立ち得る。
【0023】
図11及び図12に示し得るように、バレル部材152の対向端部154、156は、互いに離間して、ラッチ部材140をその中に受容するための、ラッチ領域210を画定する。ラッチ部材140は、プラスチック材料から形成され、その上に形成される一対の遠位方向に突出するラッチタブ142、144を有する、本体部分141を有し得る。図11を参照されたい。ラッチタブ142、144は、棒152の対向端部154、156内に形成される、ラッチ空隙157、159内へと延びるように寸法決めされる。図10及び図11を参照されたい。それゆえ、ラッチタブ142、144がラッチ空隙157、159内に受容されると、バレル部材152は、円形ステープラー10のステープル留めヘッド16をその中に収容するように寸法決めされた、半径方向に開放可能な環状構造を形成する。様々な実施形態では、バレル部材152が閉鎖位置でラッチ留めされ、キャップ部材160が、円形ステープラー10のステープル留めヘッド16の遠位面25を覆う場合、キャップ部材160は、内部に支持されるステープルカートリッジ17内の、いずれのステープルポケットにも干渉することなく、円形ステープラー10のステープル留めヘッド16の遠位面25上に直接位置することができる。そのような構成により、挿入プロセス中にキャップ部材160が経験する力は、いずれの力平衡構成要素又は中間構成要素も必要とすることなく、円形ステープラー10のステープル留めヘッド16に直接伝達されることが可能になる。
【0024】
また様々な実施形態では、解放部材140は、バレル部材152の対向端部154、156との係合から、ラッチ部材140を近位方向に引き出す際に、バレル部材152を半径方向に開放することを支援するために役立ち得る、解放指部145を有して、更に形成することができる。より具体的には、また図11を参照すると、ラッチ部材140は、ラッチタブ142、144の間の中心に配置される、解放指部145を有して形成することができる。解放指部145は、バレル部材152の対向端部154、156上に形成されたカム表面161、163と係合するように設計される、カム部分147を有して形成されることにより、ラッチ部材140を近位方向「P」に引くと、カム部分147がカム表面161、163に係合して、バレル部材152の対向端部154、156を、強制的に、半径方向で互いに離間させる(図12の矢印「R」によって表される)ことができる。それゆえ、ラッチ部材140は、バレル部材152からキャップ部材160を係合解除するために必要とされる動作の方向「R」とは、実質的に垂直である方向(近位方向「P」)に引かれる。ラッチ部材140が取り外され、臨床医がイントロデューサー100に更なる回収動作を継続して適用すると、バレル部材152の対向端部154、156は、更に半径方向に分離することが可能になり、キャップ部材160が、バレル部材152から係合解除され、開放位置へ移動することを可能にする。そのように実行することで、キャップ部材160は、横方向開放位置へ回転することが可能になり、患者からイントロデューサー100を近位方向に回収する際に、ステープル留めヘッド16の上の、キャップアセンブリ150の近位方向の移動を容易にすることができる。図14を参照されたい。
【0025】
図7図9に示し得るように、ハンドルアセンブリ130は、ステープル留めヘッド16が、閉鎖されたキャップアセンブリ150内に、完全挿入位置で挿入されている場合に、円形ステープラー10のハンドル部分12の幾何学的形状に合致するように設計することができる。例えば、剛性キャップ部材160の下方リム部分が、ステープル留めヘッド16の遠位面25と接触している場合に、ステープル留めヘッド16は、「完全挿入」位置にあると見なすことができる。より広範には、円形ステープラー10は、遠位面25が剛性キャップ部材160の一部分と接触している場合、完全挿入位置にあると見なすことができる。
【0026】
様々な実施形態では、ハンドルアセンブリ130は、円形ステープラー10上のイントロデューサー100の不適切な設置を防止するような方式で、設計することができる。例えば、ハンドルアセンブリ130は、ステープル留めヘッドが完全挿入位置まで挿入されている場合に、円形ステープラー10のハンドル部分12上の対応する表面と接合する機構であると同時に、イントロデューサー100が不正に設置される場合には、他の表面と干渉する機構を含むように、「配向特異的」とすることができる。更には、多くの円形ステープラー10は、ハンドル部分の上部側に配置される、表示パネル19を含む。図1を参照されたい。そのような表示パネル19は、例えば、ステープル留めヘッド16に対するアンビル20の位置の表示を、臨床医に提供することができる。様々な実施形態では、イントロデューサー100のハンドル部分130は、円形ステープラー10の表示パネル19を覆うか、又は不明瞭にするように設計することができる。そのような構成は、イントロデューサー100がステープラー10上に設置されていることを、ユーザーが確実に意識するために役立ち、そのことにより、ユーザーが、最初にイントロデューサー100を取り外さずに、円形ステープラー10を発射させようと試みることが防止される。例えば、ハンドルアセンブリ130は、円形ステープラー10の表示パネル19を覆うか、又は他の方法で不明瞭にする、前方部分220を含む。
【0027】
様々な実施形態では、解放部材122すなわち縫合糸の近位端124は、解放スライダー230に取り付けられる。図6に示し得るように、縫合糸122は、ハンドルアセンブリ130の前方部分内に形成された空隙222内部に滑動自在に受容されるように寸法決めされた、解放スライダー230の前方タブ部分232に取り付けることができる。前方タブ部分232は、ハンドルアセンブリ130内の対応するスナップ空隙224にスナップ式に係合するように配向された、一連の保持タブ242によって、ハンドルアセンブリ130に取り付けることができるカバー240によって、空隙222内部に滑動自在に保持される。図5及び図6を参照されたい。
【0028】
本発明の様々な実施形態はまた、解放スライダー230が円形ステープラー10のハンドル部分12上で移動する距離に対して、縫合糸122の近位移動距離を増加させるための手段も、組み込むことができる。例えば、様々な実施形態は、解放スライダー230を近位方向「P」に移動させる距離に対して、縫合糸122の移動距離を増加させるために、滑車タイプの構成250を採用することができる。そのような構成は、ハンドル部分130を延長することを必要とせずに、より大きい移動を可能にして、キャップ部材160の解放を確実にすることができる。例えば、図6に示すように、縫合糸122の近位端部分124は、ハンドルアセンブリ130内のスロット252を通って延び、前方スライダータブ232内の穴234を通って輪を作る。縫合糸122の末端部124は、次に、ハンドルアセンブリ130上の固定ポスト254に取り付けることができる。
【0029】
イントロデューサー100の容易な取り外しを促進するために、解放スライダー230には、比較的「低プロファイル」を提供することができ、臨床医は、ステープラー10のハンドル部分12上での把持を、円形ステープラー10を単独で使用して行なう場合と、把持又は方法を著しく変更することなく、維持することが可能になる。図7図9を参照されたい。また様々な実施形態では、解放スライダー230には、穴236及び/又は2つの横方向ウィング部分238を提供することもできる。それゆえ、この配置により、臨床医は、穴236内の単一の指、又は横方向ウィング部分238上の2つの指のいずれかを使用して、解放スライダー230に、近位方向「P」で力を加えることが可能になる。
【0030】
図6にも示し得るように、ハンドルアセンブリ130の前方部分220にはまた、解放スライダー230の前方タブ部分232上に形成された前方タブ239と係合するように構成される、止め具229を提供することもできる。それゆえ、使用時には、円形ステープラー10を、イントロデューサー100内に完全挿入位置まで挿入し、ステープラー10及びイントロデューサー100を、患者内部の所望の位置まで挿入した後、臨床医は、次いで、解放スライダー230を近位方向に引いて、ある量の張力、すなわち解放動作を縫合糸122に加え、ラッチ部材140をラッチ解除位置まで引き寄せることができる。解放スライダー230を更に引っ張ることにより、前方タブ239と止め具229との接触がもたらされる。前方タブ239が止め具229に接触した後、解放スライダー230を近位方向に更に引くことにより、イントロデューサー100全体を、近位方向に移動させる。そのような構成により、円形ステープラー10のハンドル部分12上で、解放スライダー230を近位方向に移動させることによって、イントロデューサー100全体を、ステープラー10から分離させ、患者から回収することが可能になる。イントロデューサー100の、ステープラー10からの取り外しは、患者からステープラー10を取り外すことなく達成することができる。
【0031】
イントロデューサー100を使用するためには、臨床医は単に、円形ステープラー10を、シース110内へ完全挿入位置まで挿入し、ハンドル部分130の前方部分220が、円形ステープラー10の表示パネル19を覆うように、ハンドル部分12に対してイントロデューサー100を位置合わせするのみである。この挿入プロセスを支援するために、円形ステープラー10のステープル留めヘッド16及びシャフト部分14、並びにイントロデューサー100のキャップアセンブリ150及びシース110は、挿入プロセスを開始する前に潤滑化することができる。円形ステープラー10がイントロデューサー100内へ適切に挿入されている場合、図3図6図10、及び図13に示すように、バレルアセンブリ152のフランジ190と係合することにより閉鎖位置に保持されるキャップ160のリムは、ステープラー10のステープル留めヘッド16上に載置される。次いでユーザーは、ステープラー10及びイントロデューサー100を、結腸内の所望の位置内へ挿入する。ステープラー10が所望の位置に置かれた後、臨床医は、解放スライダー230を近位方向「P」に引っ張ることができ、このことが、縫合糸122に、バレルアセンブリ152の端部154、156との係合から保持ラッチ140を引き出させる。保持ラッチ140が近位方向に引き寄せられる際に、解放指部145上のカム表面147が、バレルアセンブリ152の対向端部154、156上に形成されたカム表面161、163と協働することにより、解放部材140が近位方向「P」に引かれると、端部154、156は強制的に半径方向に離間される。解放スライダー230を更に引くことにより、前方タブ232と止め具229との接触がもたらされ、そのため、解放スライダー230を更に引くことにより、イントロデューサー100全体が、円形ステープラー10の上を近位方向に引かれる結果となる。イントロデューサー100をそのように引くことにより、シース110を、穿孔116の線に沿って分離させ、キャップ160を、開放位置に移動させる(図14及び図15)ことができ、このことにより、ステープラー10を発射させる前に、患者からイントロデューサー100を回収することが可能になる。
【0032】
図22は、本発明の別のイントロデューサー300を示す。この実施形態では、イントロデューサー300は、閉鎖端部304と、円形ステープラー10上への挿入のための開放端部306とを有する、中空シース302を含む。シース302は、コンドームを製作するために通常採用される材料などの、可撓性の材料から製作することができる。一実施形態では、シース302は、シース302の長さで延在する細長い継ぎ目310を有する、単一の材料片から製作される。具体的には、このシース材料は、材料の端部312が、図22の距離「O」によって表される材料の端部314に重なり合うように、折り重ねられる。次いで、端部312、314は、縫合糸316によって縫い合わされ、継ぎ目310が形成される。それゆえ、シース302は、患者内に挿入される前に、ステープラー10のステープル留めヘッド16の上に挿入される。ステープラー10及びシース302が所定の位置内に挿入された後、シース302が取り外されることを可能にするように、縫合糸316を引くことにより継ぎ目310を解放することによって、シース302を取り外すことができる。他の実施形態では、シース302は、上述の方式で、2つの縫合糸316を使用して縫い合わされる、2つの可撓性材料片から製作される。シース302を取り外すために、臨床医は単に、一方又は双方の縫合糸316を引っ張るのみである。
【0033】
図23は、本発明の別のイントロデューサー320を示す。この実施形態では、イントロデューサー320は、閉鎖端部324と、円形ステープラー10上への挿入のための開放端部326とを有する、中空シース322を含む。シース322は、コンドームを製作するために通常採用される材料などの、可撓性の材料から製作することができる。一実施形態では、シース320は、閉鎖端部342及び開放端部326を有しており、シース322の長さで延在する穿孔された線又は継ぎ目を含み得る、少なくとも1つの弱化領域328が提供される。それゆえ、シース322は、患者内に挿入される前に、ステープラー10のステープル留めヘッド16の上に挿入される。ステープラー10が所定の位置内に挿入された後、シース322をステープラー12から分離させることを可能にするように、弱化領域328を引っ張ることによって、シース322を取り外すことができる。
【0034】
図24図28は、本発明の別のイントロデューサー330を示す。この実施形態では、イントロデューサー330は、閉鎖遠位端334と、円形ステープラー10のステープル留めヘッド16の少なくとも遠位部分の上で延伸するように寸法決めされる開放近位端336とを有する、シース332を含む。シース332は、例えば、シリコーン、ラテックス、又は他の比較的低いジュロ硬度材料(すなわち、90Aのジュロ硬度)から製作することができる。様々な実施形態では、図24及び図25に示すように、円周方向に延在する隆起バンパー領域338を、閉鎖遠位端334の外周にわたって形成することができる。一部の実施形態では、中心部分335が、円周方向に延在するバンパー領域338から内側方向に延びて、ステープル留めヘッド16内の開放中心領域27を密閉する。図25を参照されたい。
【0035】
図25にも示し得るように、バンパー領域338は、ステープル留めヘッド16の遠位面25によって画定される平面D−Dを越えて遠位方向に延出する(又は換言すれば、「上方に隆起する」)。一部の実施形態では、バンパー領域338は、中実材料から形成される。図26を参照されたい。他の実施形態では、円周方向に延在する中空領域340が、内部に形成される。他の実施形態では、中空領域340は、複数個のポケット341を含む。図28を参照されたい。領域340及びポケット341は、空気、又は例えば、食塩溶液などの液体で、充填することができる。使用時には、シース332は、ステープラー10のステープル留めヘッド16の上に巻き広げられる。シース332は、ステープラー10を閉鎖して発射する間、留置することができ、この場合、領域340又はポケット341は、破壊されて、直腸管腔内側のステープル冠部の下に、シース材料のみを残置する。
【0036】
図29は、本発明の別のイントロデューサー350を示す。この実施形態では、イントロデューサー350は、遠位端354と、円形ステープラー10のステープル留めヘッド16の上で延伸するように寸法決めされる開放近位端356とを有する、シース352を含む。シース352は、例えば、シリコーン、ラテックス、又は他の比較的低いジュロ硬度材料(すなわち、90Aのジュロ硬度)から製作することができる。様々な実施形態では、円周方向に延在する隆起バンパー領域357を、その隆起バンパー領域357が、ステープル留めヘッド16の遠位面25を覆い、部分359が、中心開放領域27内へと延び、かつ遠位面25によって画定される平面D−Dの下方に延びるように、シース352の外周にわたって形成することができる。図29を参照されたい。一部の実施形態では、バンパー領域357は、中実材料から形成される。他の実施形態では、円周方向に延在する中空領域358が、内部に形成される。中空領域358は、空気、又は食塩溶液などの液体で、充填することができる。他の実施形態では、円周方向に延在する中空領域358は、分割化される(例えば、シース352の外周にわたって延在する、一連の離散的ポケットを含む)。離散的ポケットは、空気、又は例えば、食塩溶液などの液体で、充填することができる。使用時には、シース352は、ステープル留めヘッド16の遠位端部分の上に巻き広げられる。シース352は、ステープラー10を閉鎖して発射する間、留置することができ、この場合、中空領域358又はポケットは、破壊されて、直腸管腔内側のステープル冠部の下に、シース材料のみを残置する。
【0037】
図30図32は、本発明の別のイントロデューサー360を示す。この実施形態では、イントロデューサー360(introducer 350)は、ステープル留めヘッド16の少なくとも遠位部分上に設置されるように寸法決めされた、カバー362を含む。一実施形態では、カバー362は、例えば、ポリウレタン配合物、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、又はポリプロピレンから製作され、円形ステープラー10のステープル留めヘッド16及び細長形シャフト14上にスナップ嵌めされるように寸法決めすることができる、「C」形状の本体部分363を含む。図31を参照されたい。様々な実施形態では、本体部分363の遠位端364は、少なくとも3つの常時閉の指部366を有し、この指部366は、ステープル留めヘッド16上を遠位方向に移動する際、一体となって閉鎖し、例えば、肛門内への挿入のための「チューリップ状」の形状を形成する。図30を参照されたい。本体部分363は、本体部分363に対する後退動作の適用を容易にするために、本体部分363上に形成される、後退部材370を有し得る。ステープラー10が、その標的挿入地点に到達したとき、カバー362を、ステープラー10のハンドル部分12に向かって引くことにより、指部366が、ステープル留めヘッド16の垂直面まで引かれ、ステープルカートリッジ17の遠位面25を露出させることができる。図32を参照されたい。
【0038】
図33及び図34は、本発明の別のイントロデューサー380を示す。この実施形態では、イントロデューサー380は、中心に配置されたハブ386から延びる4つの指部384を含む、カバー382を含み、このハブ386は、貫通するトロカールアクセス穴388を有する。各指部384の近位端390は、その上に形成され、中心開口部27内に延びて、ステープル留めヘッド16の中心壁部分21と係合する、保持フランジ392を有する。カバー382を設置するために、カバー382を、図33及び図34に示すように、ステープル留めヘッド16の上に配置し、円形ステープラー10のトロカール23を、トロカール23の遠位端部分35が中心ハブ386内の穴388を通って突出するように、進行させる。所定の位置に置いた後、トロカール23を、中心開口部27内へと近位方向に後退させることにより、指部384を、強制的に、概して球根状の「マッシュルーム状」断面形状にさせる。ステープラー10を直腸内に配置した後、次いで、トロカール23を展開して、直腸壁を通して押し込み、トロカール23から取り外すことができる付属品指部384へのアクセスを、可能にすることができる。
【0039】
図35図37は、本発明の別のイントロデューサー400を示す。この実施形態では、イントロデューサー400は、シース410によって一体に取り付けられる4つの指部404を含む、カバー402を含む。図35を参照されたい。このシースは、例えば、シリコーン材料から作製することができる。シース410の頂点領域412は、貫通するトロカールアクセス穴414を有し得る。各指部404の近位端406は、その上に形成され、ステープル留めヘッド16内の中心開口部21内に延びる、保持フランジ408を有する。カバー400を設置するために、カバー402を、図35及び図36に示すように、ステープル留めヘッド16の上に配置し、円形ステープラー10のトロカール23を、トロカール23の遠位端部分35がシース410内の穴414を通って突出するように、遠位方向に進行させる。所定の位置に置いた後、トロカール23を後退させることにより、指部404を、強制的に、概してマッシュルーム状の断面形状にさせる。図37を参照されたい。ステープラー10を直腸内に配置した後、次いで、トロカール23を展開して、直腸壁を通して押し込み、トロカール23から取り外すことができる付属品指部404へのアクセスを、可能にすることができる。
【0040】
図38は、ハブすなわち頂点領域424で相互接続される、少なくとも4つの指部422を有する、例えば、ポリウレタン配合物、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、又はポリプロピレンから製作することができる、別のイントロデューサー420を示す。指部422の近位端426は、ステープル留めヘッド16上にスナップ嵌めされる。この実施形態では、イントロデューサー420は、結腸を上昇し、次いで取り外されるように設計される。このことは、デバイスが所定の位置に置かれるまで、トロカールが延伸位置にあって、所定の位置に保持し、次いで、トロカールが近位方向に引き込まれる、上述のイントロデューサー400とは異なっている。
【0041】
図39及び図40は、円形ステープラー10に関連して使用することができる、別のイントロデューサー500を示す。それらの図に示し得るように、イントロデューサー500は、穿孔を有して成形された構成を含み得、例えば、ポリウレタン配合物、ポリエステル、ポリエチレン、又はポリプロピレンから製作することができ、あるいは一体に縫い合わされるか、又は被覆されずに所定の位置に保持される、巻き付けストリップを含み得る。ストリップ504は、例えば0.635cm(0.250インチ)の幅、及び、例えば0.051cm(0.020インチ)の厚さを有し得る。ストリップ504は、ステープル留めヘッド16の外周にわたって延在するように寸法決めされる、基底部分506を形成し得る。基底部分506は、閉鎖螺旋状関係で一体に保持される場合に、螺旋状ストリップ504が、ステープル留めヘッド16と比較的緊密な(締まり嵌め)適合を形成して、その上にイントロデューサーを保持するように、ステープル留めヘッド16に対して寸法決めすることができる。螺旋状巻き付けストリップ504は、鈍頭の遠位端510へと先細になる、複数個の連続的経路508を形成する。図39(FIG.36)に示し得るように、一実施形態は、ステープル留めヘッド16の遠位面を実質的に密閉するか又は覆う、鈍頭末端の「蜂の巣形状」に類似する。螺旋状経路508は、保持部材510によって、実質的に当接関係(すなわち、螺旋状に巻かれる閉鎖終端の関係)に保つことができる。様々な実施形態では、保持部材510は、イントロデューサー500の上に延在する、薄い(例えば、25.4〜101.6マイクロメートル(1〜4ミル))収縮包装フィルムの層を含み得る。イントロデューサー500はまた、ストリップ材料504に取り付けられる解放部材520であって、この解放部材520に解放動作が適用されると、螺旋状巻き付けストリップ504は、ステープル留めヘッド16の遠位部分との係合から巻きを解かれるようになっている、開放部材を含む。一実施形態では、例えば、解放部材は、ストリップ504の遠位端512に取り付けられる、解放縫合糸520を含む。解放縫合糸520は、基底部分506を形成するストリップ504の一部分内の穴522を通過して、ステープラー10のハンドル部分まで近位方向に延出することにより、解放縫合糸520は、臨床医によって把持されることが可能になる。
【0042】
イントロデューサー500は、ステープル留めヘッド16にイントロデューサー500を収縮包装することにより、ステープラー10の供給元によって設置することができる。使用時には、臨床医は、このステープラー及びイントロデューサーのアセンブリ530を、患者の肛門内へ、ヒューストン弁を越えて、所望の領域に至るまで、挿入する。臨床医が、ステープラー10が所望の位置にあることを判定した後、臨床医は、次いで、解放縫合糸520を近位方向「P」に引くことができ、このことが、収縮包装フィルム510を断裂させることにより、図40に示すように、イントロデューサー500の巻きが解かれることを可能にする。解放縫合糸520を継続して引っ張ることにより、イントロデューサー500を、患者から回収することが可能になる。
【0043】
図41図43は、円形ステープラー10に関連して使用することができる、別のイントロデューサー600を示す。それらの図に示し得るように、イントロデューサー600は、ステープル留めヘッド16上に保持されるように寸法決めされた、基底部分602を有し得る。イントロデューサー600は、実質的に丸みを帯びた点606へと先細になる、複数個の先細形「花弁」部分504を有して形成される。一部の実施形態では、例えば、直径方向に対向する4つの花弁部分604が存在し、これらは、閉鎖時(図41)には、比較的鈍頭の尖端部610を形成するように収束する。花弁部分604は、それらの間に、開放領域612を有する。様々な実施形態では、花弁部分604は、解放可能な保持部材620によって、閉鎖位置に保持される。一部の実施形態では、例えば、保持部材は、イントロデューサー600の周りに適用される、収縮包装フィルム材料620を含む。一部の実施形態では、収縮包装フィルム620が適用されている場合に、ステープル留めヘッド16の遠位面25と係合するように、複数個の保持棚部630を、基底部602の内側周辺部の周りに形成することができる。解放縫合糸640を、開放領域612を覆う収縮包装フィルム620のそれらの部分622を通して、縫うことができる。解放縫合糸640は、解放縫合糸650で終端するか、又はそれぞれが、解放縫合糸650に取り付けられ、この解放縫合糸650は、基底部分602内の穴652を通過して、ステープラー10のハンドル部分まで近位方向に延出することにより、解放縫合糸650は、臨床医によって把持されることが可能になる。
【0044】
イントロデューサー600は、ステープル留めヘッド16にイントロデューサー600を収縮包装することにより、ステープラー10の供給元によって設置することができる。使用時には、臨床医は、このステープラー及びイントロデューサーのアセンブリ660を、患者の肛門内へ、ヒューストン弁を越えて、所望の領域に至るまで、挿入する。臨床医が、ステープラー10のステープル留めヘッドが所望の位置にあることを判定した後、臨床医は、次いで、解放縫合糸650を近位方向「P」に引くことができ、このことが、収縮包装フィルム620を断裂させることにより、図43に示すように、イントロデューサー600が、ステープル留めヘッド16の上を遠位方向に引かれることを可能にする。
【0045】
図44図46は、円形ステープラー10に関連して使用することができる、別のイントロデューサー700を示す。それらの図に示し得るように、イントロデューサー700は、例えば、ポリウレタン配合物、ポリエステル、ポリエチレン、又はポリプロピレンから製作され、ステープル留めヘッド16上に保持されるように寸法決めされた、基底部分702を有し得る。イントロデューサー700は、実質的に丸みを帯びた点706へと先細になる、複数個の先細形「分割」部分704を有して形成される。一部の実施形態では、例えば、直径方向に対向する4つの分割部分604が存在し、これらは、閉鎖時(図44)には、比較的鈍頭の尖端部710を形成するように収束する。図44図46に示す実施形態では、イントロデューサー700は、4つの分割部分704を含む。分割部分704は、2つの隣り合う分割部分704を除いて、それらの基底部分で相互接続され、その2つの分割部分704の基底部は、一体に取り付けられていない。より具体的には、分割部分704Aは、基底縁部705Aを有し、分割部分704Bは、基底縁部705Bを有する。縁部705Aと縁部705Bとは、互いに取り付けられていない。それゆえ、分割部分704A及び分割部分704Bは、基底部分702の自由端部を含む。自由端部704Aと自由端部704Bとは、704A及び704Bに取り付けられる、半径方向解放タブ720の形態の保持部材によって、当接関係に保持される。様々な実施形態では、解放タブ720は、分割部分704Aに固定されるか又は成形され、必ずしも、分割部分704Aから取り外されなくともよい。解放タブ720は、分割部分704Bに、解放可能に取り付けられる。解放タブ720は、例えば、剥離性接着剤又は断裂性の材料片などの、解放可能保持具722によって、分割部分704に取り付けることができる。図41に示すように解放タブ720を取り付ける場合、分割部分704は、円形ステープル10のステープル留めヘッド16上に、保持的にスナップ嵌めするか、又は他の方法で保持係合することができる、環状の基底部分702を形成する。解放縫合糸730が、解放タブ720に取り付けられ、ステープラー10のハンドル部分12まで近位方向に延出することにより、解放縫合糸730は、臨床医によって把持されることが可能になる。
【0046】
イントロデューサー700は、臨床医によって、ステープル留めヘッド16上にスナップ嵌めするか、又は押し付けることができる。使用時には、臨床医は、このステープラー及びイントロデューサーのアセンブリ740を、患者の肛門内へ、ヒューストン弁を越えて、所望の領域に至るまで、挿入する。臨床医が、ステープラー10のステープル留めヘッド16が所望の位置にあることを判定した後、臨床医は、次いで、解放縫合糸730を近位方向「P」に引くことができ、このことが、解放タブ720を分割部分704Bから解放させることにより、イントロデューサー700を、ステープル留めヘッド16から解放することが可能になる。解放縫合糸730を継続して引っ張ることにより、イントロデューサー700を、患者から回収することが可能になる。
【0047】
それゆえ、本発明の円形ステープラーイントロデューサーの様々な実施形態は、低位前方切除術での、遠位断端のステープルラインにアクセスするための、経肛門的及び経腹腔的な挿入並びに操作を容易にすることができる。様々なイントロデューサーを、円形ステープラー10も同様に含むキットの一部として、提供することができる。イントロデューサーの様々な実施形態は、円形ステープラーの現行機能に、なんら影響を与えることはない。
【0048】
本発明の様々な実施形態は、アンビルを発射位置にロックするためのいずれの手段も提供することができない、従来の円形ステープル構成と比べて、多大な改善を示している。本発明の幾つかの実施形態を説明してきたが、しかしながら、それらの実施形態に対する様々な修正、変更、及び改作が、本発明の利点の一部又は全ての達成と共に、当業者には想起されることは明らかなはずである。例えば、様々な実施形態により、所定の機能を実行するために、単一の構成要素を複数の構成要素によって置き換えることができ、また複数の構成要素を単一の構成要素によって置き換えることができる。本出願は、それゆえ、添付の「特許請求の範囲」によって定義されるような、開示される発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく、そのような全ての修正、変更、及び改作を網羅することを意図するものである。
【0049】
参照によって本明細書に組み込まれると述べられた、いずれの特許、公開文献、又は他の開示試料も、全体として、又は部分的に、その組み込まれた資料が、本開示に記載される既出の定義、記述、又は他の開示資料と矛盾しない範囲においてのみ、本明細書に組み込まれる。したがって、また必要な範囲で、本明細書で明示的に記載された開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれるいずれの矛盾する資料にも優先する。参照により本明細書に組み込まれると述べられたが、本明細書に記載される既存の定義、記述、又は他の開示資料と矛盾する、いずれの資料又はその一部も、組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれる。
【0050】
本発明は、保護されることを意図するものであり、開示した特定の実施形態に限定されるとして解釈されるものではない。実施形態は、それゆえ、制限的なものではなく、むしろ例示的なものと見なされる。変型及び変更は、本発明の趣旨から逸脱することなく、他者によって行なうことができる。したがって、「特許請求の範囲」で定義されるような、本発明の趣旨及び範囲内に含まれる、そのような全ての等価物、変型、及び変更が包含されることを、明示的に意図するものとする。
【0051】
〔実施の態様〕
(1) ハンドル部分、前記ハンドル部分から突出する細長形シャフト、及び前記細長形シャフトに結合されるステープル留めヘッドを有する、外科用円形ステープラーを、患者内へ導入するためのイントロデューサーであって、前記イントロデューサーは、
遠位端及び開放近位端を有する、中空可撓性シースであって、前記中空可撓性シースは、前記ステープル留めヘッド、及び前記細長形シャフトの少なくとも一部分を、その内部に受容するように寸法決めされる、中空可撓性シースと、
前記中空可撓性シースの前記遠位端に取り付けられる、剛性キャップアセンブリであって、前記剛性キャップアセンブリは、その内部に前記ステープル留めヘッドが挿入されている場合に、前記ステープル留めヘッドの遠位面が覆われる、閉鎖位置と、前記ステープル留めヘッド及び細長形シャフトの周りから、前記キャップアセンブリを回収することができる、開放位置との間を、選択的に移動するように構成される、剛性キャップアセンブリと、
前記剛性キャップアセンブリと接合する解放構成であって、解放動作が前記解放構成に適用されると、前記剛性キャップが、前記閉鎖位置から前記開放位置に移動可能となるようになっている、解放構成と、を含む、イントロデューサー。
(2) 前記解放構成が、
前記剛性キャップアセンブリと接合する、ラッチ部材と、
前記ラッチ部材に結合される解放部材であって、前記円形ステープラーの前記ステープル留めヘッドが、前記シースを通って前記キャップアセンブリの一部分内に挿入される場合に、前記解放部材の遠位部分が、前記円形ステープラーの前記ハンドル部分からアクセス可能であるように、前記中空シースと同一の領域に延びる、解放部材と、を含む、実施態様1に記載のイントロデューサー。
(3) 前記解放部材が、縫合糸を含む、実施態様2に記載のイントロデューサー。
(4) 前記縫合糸が、前記シースの壁内に形成されるルーメンを通って延びる、実施態様3に記載のイントロデューサー。
(5) 前記ラッチ部材が、前記ルーメンの遠位端内に受容されており、前記剛性キャップアセンブリが前記閉鎖位置に保持される、ラッチ留め位置と、前記剛性キャップアセンブリが前記開放位置に移動可能である、ラッチ解除位置との間で、選択的に移動可能である、実施態様4に記載のイントロデューサー。
(6) 前記縫合糸への、近位方向での、ある量の解放動作の適用が、前記ラッチ部材を、前記ラッチ解除位置に移動させ、前記縫合糸への、解放動作の更なる適用が、前記シースを、前記ステープル留めヘッド及び細長形シャフトの上で近位方向に回収させる、実施態様5に記載のイントロデューサー。
(7) 前記イントロデューサーは、前記シースの前記開放近位端に取り付けられるハンドルアセンブリを更に含み、前記ハンドルアセンブリが、前記円形ステープラーが前記中空シース内に完全挿入位置まで挿入されている場合に、前記円形ステープラーの前記ハンドル部分の一部分の上に延在するように構成される、実施態様1に記載のイントロデューサー。
(8) 前記円形ステープラーが、前記ハンドル部分上に表示器を有し、前記円形ステープラーが前記中空シース内に前記完全挿入位置まで挿入されている場合に、前記ハンドルアセンブリが、前記表示器を覆う、実施態様7に記載のイントロデューサー。
(9) 前記縫合糸の近位端が、前記円形ステープラーが前記中空シース内に完全挿入位置まで挿入されている場合に、前記円形ステープラーの前記ハンドル部分の周囲で滑動自在に支持されるように構成される、解放スライダーに取り付けられる、実施態様3に記載のイントロデューサー。
(10) 前記解放部材が縫合糸を含み、前記イントロデューサーが、
前記縫合糸の近位端に取り付けられており、前記円形ステープラーが前記完全挿入位置まで挿入されている場合に、前記円形ステープラーの前記ハンドル部分の周囲で滑動自在に支持されるように構成される、解放スライダーと、
前記解放スライダーが前記円形ステープラーの前記ハンドル部分上で移動する距離に対して、前記縫合糸の近位移動距離を増加させるための手段と、を更に含む、実施態様7に記載のイントロデューサー。
【0052】
(11) 前記増加させるための手段が、前記ハンドルアセンブリ上の固定ポストを含むことにより、前記縫合糸の前記近位端部分が、前記ハンドルアセンブリ内の穴を通過して、前記解放スライダーの遠位端内の別の穴を通って輪を作り、前記固定ポストに取り付けられる、実施態様10に記載のイントロデューサー。
(12) 前記解放スライダーの近位移動を限定するための、前記ハンドルアセンブリ上の止め具構成を更に含むことにより、前記止め具構成と接触させる、前記解放スライダーの第1の近位距離の移動が、前記ラッチ部材を、前記開放位置に対応するラッチ解除位置に移動させ、前記解放スライダーの近位方向での更なる移動が、前記イントロデューサーを、前記ステープラー上で近位方向に移動させる、実施態様9に記載のイントロデューサー。
(13) 前記解放スライダーが、前記円形ステープラーの前記ハンドル部分の一部分の周りに延在するように構成され、その中に指穴を有する、実施態様9に記載のイントロデューサー。
(14) 前記解放スライダー内の前記指穴の両側上に形成される、横方向に延びるウィング部分を更に含む、実施態様13に記載のイントロデューサー。
(15) ハンドル部分、前記ハンドル部分から突出する細長形シャフト、及び前記細長形シャフトの遠位端に結合されるステープル留めヘッドを有する、外科用円形ステープラーを、患者内へ導入するためのイントロデューサーであって、前記イントロデューサーは、
遠位端及び開放近位端を有する、中空可撓性シースであって、前記中空可撓性シースは、前記ステープル留めヘッド及び前記細長形シャフトを、その内部に受容するように寸法決めされる、中空可撓性シースと、
前記シースの前記開放近位端に取り付けられており、前記円形ステープラーが前記中空シース内に完全挿入位置まで挿入されている場合に、前記円形ステープラーの前記ハンドル部分の一部分の上に延在するように構成される、ハンドルアセンブリと、
前記中空可撓性シースの前記遠位端に取り付けられる、剛性キャップアセンブリであって、前記剛性キャップアセンブリは、前記ステープル留めヘッドが前記完全挿入位置まで挿入されている場合に、前記剛性キャップアセンブリの一部分によって前記ステープル留めヘッドの遠位面が覆われる、閉鎖位置と、前記ステープル留めヘッド及び細長形シャフトの周りから、前記キャップアセンブリを近位方向に回収することができる、開放位置との間を、選択的に移動するように構成される、剛性キャップアセンブリと、
前記剛性キャップアセンブリと、移動可能に係合して、前記シースによって支持される、ラッチ部材であって、前記ラッチ部材は、前記剛性キャップアセンブリが前記閉鎖位置に保持される、ラッチ留め位置、及び前記剛性キャップアセンブリの一部分が前記開放位置に移動可能である、ラッチ解除位置から、選択的に移動可能である、ラッチ部材と、
前記ラッチ部材に取り付けられる縫合糸であって、前記縫合糸は、前記シース内のルーメンを通って、前記ハンドルアセンブリに延びる、縫合糸と、
前記縫合糸の近位端に取り付けられており、前記円形ステープラーが前記完全挿入位置まで挿入されている場合に、前記円形ステープラーの前記ハンドル部分の周囲で滑動自在に支持されるように構成される、解放スライダーと、を含む、イントロデューサー。
(16) ハンドル部分、前記ハンドル部分から突出する細長形シャフト、前記細長形シャフトの遠位端に結合されるステープル留めヘッド、及び着脱自在に取り付け可能なアンビルを有する、外科用円形ステープラーを、患者内へ導入する方法であって、前記方法は、
前記円形ステープラーから前記アンビルを取り外すことと、
前記円形ステープラーの前記ステープル留めヘッド及び細長形シャフトを、イントロデューサー内に挿入することにより、前記ステープル留めヘッドを、前記イントロデューサーの剛性キャップアセンブリの内部に受容させ、前記細長形シャフトを、前記イントロデューサーの可撓性シース部分の内部に受容させることと、
前記円形ステープラー及びイントロデューサーを、前記円形ステープラーのハンドル部分が前記患者の外部に留まるように、前記患者内に挿入することと、
前記患者から前記ステープル留めヘッドを取り外すことなく、前記キャップアセンブリが、前記ステープル留めヘッドの前記遠位面を露出させるようにすることと、を含む、方法。
(17) 前記患者から前記円形ステープラーを取り外すことなく、前記患者から前記イントロデューサーを回収することを更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記患者から前記イントロデューサーを回収した後に、前記ステープル留めヘッドに前記アンビルを結合することを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記円形ステープラーの前記ステープル留めヘッドが前記キャップアセンブリ内部に完全挿入位置まで挿入されている場合に、前記円形ステープラーの前記ハンドル部分上の表示器の観測が妨げられることを更に含む、実施態様16に記載の方法。
(20) 前記剛性キャップアセンブリが、その中の前記ステープル留めヘッドの遠位面を露出させるようにすることが、
前記キャップアセンブリの一部分をラッチ解除して、剛性キャップ部材が開放位置に移動することを可能にすることと、
前記イントロデューサーに回収力を適用して、前記キャップアセンブリを、前記ステープル留めヘッド上で近位方向に移動させることと、を含む、実施態様16に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14-14A】
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