(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記下部カバー層の厚さ(B)に対する前記上部カバー層の厚さ(D)の比D/Bが、0.021≦D/B≦0.422の範囲を満たす、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
前記セラミック本体の厚さの1/2(A)に対する前記下部カバー層の厚さ(B)の比B/Aが、0.329≦B/A≦1.522の範囲を満たす、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
電圧印加時における前記アクティブ層の中心部の変形率と前記下部カバー層の変形率との差により、前記セラミック本体の両端面に形成される変曲点が前記セラミック本体の厚さの中心部以下に形成される、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
電圧印加時における前記アクティブ層の中心部の変形率と前記下部カバー層の変形率との差により、前記セラミック本体の両端面に形成される変曲点が前記半田の高さ以下に形成される、請求項5に記載の積層セラミックキャパシタの実装基板。
【背景技術】
【0002】
積層チップ電子部品の1つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi−Layered Ceramic Capacitor)は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)やプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、個人用の携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)、携帯電話などの様々な電子装置のプリント基板に取り付けられて充放電を行う役割を果たすチップ型コンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型ながらも高容量が保証されて実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられている。
【0004】
前記積層セラミックキャパシタは、複数の誘電体層間に異なる極性の内部電極が交互に積層された構造を有する。
【0005】
前記誘電体層が圧電性及び電歪性を有するため、前記積層セラミックキャパシタに直流又は交流電圧が印加される際に、前記内部電極間に圧電現象が生じて振動が発生することがある。
【0006】
その振動は前記積層セラミックキャパシタの外部電極を介して前記積層セラミックキャパシタが実装されたプリント基板に伝達され、前記プリント基板全体が音響反射面となって雑音となる振動音を発生する。
【0007】
前記振動音の周波数は人に不快感を与える20〜20000Hzの可聴周波数であり得る。このように人に不快感を与える振動音をアコースティックノイズ(Acoustic Noise)といい、このようなアコースティックノイズを低減するための研究が必要となっている。
【0008】
また、従来の積層セラミックキャパシタは、プリント基板への実装時の固着強度が高くないため、前記積層セラミックキャパシタが前記プリント基板から突然分離されてしまうことがあるという問題があった。
【0009】
下記特許文献1は、下部カバー層が上部カバー層より厚く形成された積層セラミックキャパシタを開示しているが、外部電極とセラミック本体の長さの比に関する内容は開示していない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0023】
しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が後述する実施形態に限定されるものではない。
【0024】
また、本発明の実施形態は、当該技術分野における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0025】
図面において、構成要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張することもある。
【0026】
なお、各実施形態の図面に示される同一の思想の範囲内における機能が同一の構成要素については、同一の符号を付して説明する。
【0027】
本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、図面に示すL、W、及びTは、それぞれ長手方向、幅方向、及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向とは、誘電体層の積層方向と同じ概念で用いられる。
【0028】
また、本発明の実施形態を説明するにあたっては、説明の便宜上、セラミック本体の長手方向に第1及び第2外部電極が形成される面を左右両端面に設定し、これと直交する面を左右側面に設定して説明する。
【0030】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、セラミック本体110と、第1及び第2内部電極121、122を有するアクティブ層115と、上部及び下部カバー層112、113と、セラミック本体110の両端面を覆うように形成された第1及び第2外部電極131、132とを含む。
【0031】
セラミック本体110は、複数の誘電体層111を積層した後に焼成して形成したものであり、セラミック本体110の形状、寸法、及び誘電体層111の積層数が本実施形態のものに限定されるものではない。
【0032】
また、セラミック本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼結した状態であり、隣接する誘電体層111同士の境界は走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いなければ確認できない程度に一体化されている。
【0033】
このようなセラミック本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としてのアクティブ層115と、上下マージン部としてアクティブ層115の上下部にそれぞれ形成された上部及び下部カバー層112、113とから構成されてもよい。
【0034】
アクティブ層115は、誘電体層111を介して複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成してもよい。
【0035】
ここで、誘電体層111の厚さは、積層セラミックキャパシタ100の容量設計に応じて適宜変更することができ、1層の厚さが焼成後に0.01〜1.00μmとなるようにすることが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
また、誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック粉末、例えばチタン酸バリウム(BaTiO
3)系粉末又はチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系粉末を含んでもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
上部及び下部カバー層112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ材質及び構成を有するようにしてもよい。
【0038】
上部及び下部カバー層112、113は、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層をアクティブ層115の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成してもよく、基本的に物理的又は化学的ストレスによる第1及び第2内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たす。
【0039】
また、下部カバー層113は、上部カバー層112よりも誘電体層の積層数を増加させることで上部カバー層112より厚く形成してもよい。
【0040】
第1及び第2内部電極121、122は、異なる極性を有する一対の電極であって、誘電体層111上に導電性金属を含む導電性ペーストを所定の厚さで印刷して誘電体層111の積層方向に沿って両端面から交互に露出するように形成し、中間に配置された誘電体層111により互いに電気的に絶縁されるようにしてもよい。
【0041】
つまり、第1及び第2内部電極121、122は、セラミック本体110の両端面から交互に露出する部分により、第1及び第2外部電極131、132とそれぞれ電気的に接続されるようにしてもよい。
【0042】
従って、第1及び第2外部電極131、132に電圧を印加すると、対向する第1及び第2内部電極121、122間に電荷が蓄積され、このとき、積層セラミックキャパシタ100の静電容量は第1及び第2内部電極121、122の重なる領域の面積に比例する。
【0043】
このような第1及び第2内部電極121、122の厚さは、用途に応じて決定され、例えば、セラミック本体110の大きさを考慮して0.2〜1.0μmの範囲内で決定されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
また、第1及び第2内部電極121、122を形成する導電性ペーストに含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又はこれらの合金であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0045】
また、前記導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いてもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
第1及び第2外部電極131、132は、導電性金属を含む導電性ペーストにより形成されてもよく、前記導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、又はこれらの合金であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
このような第1及び第2外部電極131、132は、プリント基板への実装時に所定レベル以上の固着強度を有するようにすることにより、積層セラミックキャパシタ100がプリント基板から突然分離されることを防止する必要がある。
【0048】
図3を参照すると、セラミック本体の上部長さをI1、セラミック本体の中間部長さをI2、セラミック本体の下部長さをI3と規定し、これらの3つの部分の長さの平均値、すなわち(I1+I2+I3)/3をIと規定する。これは、セラミック本体の上部、中間部、及び下部の長さが同一でなく、誤差範囲内で異なる値を有することがあるからである。
【0049】
また、第1外部電極の上部長さをE1、第1外部電極の中間部長さをE2、第1外部電極の下部長さをE3と規定し、第2外部電極の上部長さをF1、第2外部電極の中間部長さをF2、第2外部電極の下部長さをF3と規定し、これらの6つの部分の長さの平均値、すなわち(E1+E2+E3+F1+F2+F3)/6をBW(BandWidth)と規定する。これは、外部電極の上部、中間部、及び下部の長さが同一でなく、誤差範囲内で異なる値を有することがあるからである。
【0050】
ここで、第1及び第2外部電極131、132がプリント基板への実装時に所定レベル以上の固着強度を有するようにして積層セラミックキャパシタ100がプリント基板から突然分離されることを防止すると共に、実装不良が発生しないようにするために、BW/Iは、0.105≦BW/I≦1.049の範囲を満たすようにしてもよい。
【0051】
以下、本実施形態による積層セラミックキャパシタに含まれる構成要素の寸法とアコースティックノイズの関係を説明する。
【0052】
図4を参照すると、セラミック本体110の全体厚さの1/2をA、下部カバー層113の厚さをB、アクティブ層115の全体厚さの1/2をC、上部カバー層112の厚さをD, と規定する。
【0053】
ここで、セラミック本体110の全体厚さとは、セラミック本体110の上面S
Tから下面S
Bまでの距離を意味し、アクティブ層115の全体厚さとは、アクティブ層115の最上部に形成された第1内部電極121の上面からアクティブ層115の最下部に形成された第2内部電極122の下面までの距離を意味する。
【0054】
また、下部カバー層113の厚さ(B)とは、アクティブ層115の厚さ方向の最下部に形成された第2内部電極122の下面からセラミック本体110の下面S
Bまでの距離を意味し、上部カバー層112の厚さ(D)とは、アクティブ層115の厚さ方向の最上部に形成された第1内部電極121の上面からセラミック本体110の上面S
Tまでの距離を意味する。
【0055】
積層セラミックキャパシタ100の両端部に形成された第1及び第2外部電極131、132に極性が異なる電圧が印加されると、セラミック本体110は、誘電体層111の逆圧電効果(inverse piezoelectric effect)により厚さ方向に膨張と収縮をし、第1及び第2外部電極131、132の両端部は、ポアソン効果(poisson effect)によりセラミック本体110の厚さ方向の膨張と収縮とは逆に収縮と膨張をする。
【0056】
ここで、アクティブ層115の中心部CL
Aは、第1及び第2外部電極131、132の長手方向の両端部において最大に膨張と収縮をする部分であり、アコースティックノイズ発生の原因となる。
【0057】
つまり、本実施形態においては、アコースティックノイズを低減するために、電圧印加時におけるアクティブ層115の中心部CL
Aの変形率と下部カバー層113の変形率との差により、セラミック本体110の両端面に形成される変曲点(PI:Point of Inflection)がセラミック本体110の厚さの中心部CL
C以下に形成されるようにしてもよい。
【0058】
ここで、アコースティックノイズをさらに低減するために、アクティブ層115の中心部CL
Aがセラミック本体110の中心部CL
Cから外れた割合(B+C)/Aは、1.063≦(B+C)/A≦1.745の範囲を満たすことが好ましい。
【0059】
また、下部カバー層113の厚さ(B)に対する上部カバー層112の厚さ(D)の比D/Bは、0.021≦D/B≦0.422の範囲を満たすようにしてもよい。
【0060】
また、セラミック本体110の厚さの1/2(A)に対する下部カバー層113の厚さ(B)の比B/Aは、0.329≦B/A≦1.522の範囲を満たすようにしてもよい。
【0061】
また、下部カバー層113の厚さ(B)に対するアクティブ層115の厚さの1/2(C)の比C/Bは、0.146≦C/B≦2.458の範囲を満たすようにしてもよい。
【0063】
本発明の実施例と比較例による積層セラミックキャパシタは次のように製造された。
【0064】
まず、チタン酸バリウム(BaTiO
3)粉末などを含むスラリーをキャリアフィルム上に塗布及び乾燥して1.8μmの厚さに製造された複数のセラミックグリーンシートを用意する。
【0065】
次に、前記セラミックグリーンシート上にスクリーンを用いてニッケル内部電極用導電性ペーストを塗布して内部電極を形成した。
【0066】
次に、前記セラミックグリーンシートを約370層積層し、内部電極が形成されていないセラミックグリーンシートを内部電極が形成されたセラミックグリーンシートの上部よりも下部に多く積層した。このセラミック積層体を85℃で1000kgf/cm
2の圧力条件で等静圧圧縮成形(isostatic pressing)した。
【0067】
次に、圧着が完了したセラミック積層体を個別のチップ状に切断し、切断された積層チップは大気雰囲気で230℃、60時間保持して脱バインダーを行った。
【0068】
その後、1200℃で内部電極が酸化しないように、Ni/NiO平衡酸素分圧よりも低い10
−11〜10
−10atmの酸素分圧下の還元雰囲気で焼成した。焼成後の積層チップキャパシタのチップサイズは、長さ×幅(L×W)が約1.64mm×0.88mm(L×W,1608サイズ)であった。ここで、製造公差は長さ×幅(L×W)が±0.1mm以内の範囲にし、これを満たすものを対象として実験を行い、アコースティックノイズの測定を実施した。
【0069】
次に、外部電極形成、めっきなどの工程を経て積層セラミックキャパシタを製造した。
【0070】
【表1】
*は比較例,AN:アコースティックノイズ(Acoustic Noise)
【0071】
上記表1のデータは、
図4のように積層セラミックキャパシタ100のセラミック本体110の幅方向(W)の中心部から長手方向(L)及び厚さ方向(T)に切開した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真を基準としてそれぞれの寸法を測定したものである。
【0072】
前述したように、セラミック本体110の全体厚さの1/2をA、下部カバー層113の厚さをB、アクティブ層115の全体厚さの1/2をC、上部カバー層112の厚さをDと規定する。
【0073】
アコースティックノイズを測定するために、アコースティックノイズ測定用基板当たり1つの試料(積層チップキャパシタ)を上下方向に区分してプリント基板に実装した後、その基板を測定治具に装着した。
【0074】
また、DCパワーサプライ(power supply)及び信号発生器(function generator)を用いて、測定治具に装着された試料の両端子にDC電圧及び電圧変動を印加した。前記プリント基板の直上に設けられたマイクを用いてアコースティックノイズを測定した。
【0075】
上記表1において、サンプル1〜3は、下部カバー層113の厚さ(B)と上部カバー層112の厚さ(D)が略同一であるカバー対称構造を有する比較例であり、サンプル4〜13は、上部カバー層112の厚さ(D)が下部カバー層の厚さ(B)より厚い構造を有する比較例である。
【0076】
また、サンプル14、15及び35〜37は、下部カバー層113の厚さ(B)が上部カバー層112の厚さ(D)より厚い構造を有する比較例であり、サンプル16〜34は、本発明の実施形態による実施例である。
【0077】
ここで、(B+C)/Aの値が略1であると、アクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部から大きく外れていないことを意味する。下部カバー層113の厚さ(B)と上部カバー層112の厚さ(D)が略同一であるカバー対称構造を有する比較例であるサンプル1〜3の(B+C)/Aの値が略1である。
【0078】
(B+C)/Aの値が1より大きいと、アクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部から上部方向に外れたことを意味し、(B+C)/Aの値が1より小さいと、アクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部から下部方向に外れたことを意味する。
【0079】
上記表1を参照すると、アクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部から外れた割合(B+C)/Aが1.063≦(B+C)/A≦1.745の範囲を満たす実施例であるサンプル16〜34においては、アコースティックノイズが20dB未満に著しく減少したことが分かる。
【0080】
また、アクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部から外れた割合(B+C)/Aが1.063未満のサンプル1〜15は、アクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部からほとんど外れていないか、又はアクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部から下部方向に外れた構造を有する。
【0081】
前記(B+C)/Aが1.063未満のサンプル1〜15は、アコースティックノイズが25〜32.5dBであり、本発明による実施例に比べてアコースティックノイズ低減効果がないことが分かる。
【0082】
また、アクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部から外れた割合(B+C)/Aが1.745を超えるサンプル35〜37は、目標容量に対する静電容量が小さいため、容量不良が発生した。
【0083】
上記表1において、容量実現率(すなわち、目標容量に対する静電容量比)が「NG」であると、目標容量値を100%とするとき、目標容量に対する静電容量値が80%未満であることを意味する。
【0084】
また、下部カバー層113の厚さ(B)に対する上部カバー層112の厚さ(D)の比D/Bが0.021≦D/B≦0.422の範囲を満たす実施例においては、アコースティックノイズが著しく減少したことが分かる。
【0085】
それに対して、下部カバー層113の厚さ(B)に対する上部カバー層112の厚さ(D)の比D/Bが0.422を超える比較例は、アコースティックノイズ低減効果がないことが分かる。
【0086】
また、下部カバー層113の厚さ(B)に対する上部カバー層112の厚さ(D)の比D/Bが0.021未満の比較例は、上部カバー層112の厚さ(D)に比べて下部カバー層113の厚さ(B)が大きすぎるため、クラックやデラミネーションが発生することがあり、目標容量に対する静電容量が小さいため、容量不良が発生することがある。
【0087】
実施例のうち、セラミック本体110の厚さの1/2(A)に対する下部カバー層113の厚さ(B)の比B/Aが0.329≦B/A≦1.522の範囲を満たし、かつ下部カバー層113の厚さ(B)に対するアクティブ層115の厚さの1/2(C)の比C/Bが0.146≦C/B≦2.458の範囲を満たす実施例であるサンプル19〜34においては、アコースティックノイズが18dB未満にさらに減少したことが分かる。
【0088】
それに対して、セラミック本体110の厚さの1/2(A)に対する下部カバー層113の厚さ(B)の比B/Aが1.522を超え、かつ下部カバー層113の厚さ(B)に対するアクティブ層115の厚さの1/2(C)の比C/Bが0.146未満のサンプル35〜37は、目標容量に対する静電容量が小さいため、容量不良が発生することがあるという問題があった。
【0089】
下記表2は、セラミック本体110に対する外部電極の長さの比によるプリント基板への積層セラミックキャパシタの固着強度及び実装不良有無を示すものである。
【0091】
上記表2において、BWは外部電極の平均長さを示し、Iはセラミック本体110の平均長さを示す。
【0092】
上記表2を参照すると、セラミック本体110の平均長さ(I)に対する外部電極の平均長さ(BW)の比BW/Iが0.105未満の比較例としてのサンプル1〜4は、セラミック本体に対する外部電極の長さが小さすぎるため、固着強度実験及び実装実験で不良が発生したことが分かる。
【0093】
また、前記BW/Iが1.049を超える比較例としてのサンプル21〜25は、第1及び第2外部電極間の間隔が狭すぎるため、実装実験で不良が発生したことが分かる。
【0094】
つまり、固着強度実験及び実装実験で不良が発生しない好ましい、セラミック本体110の平均長さ(I)に対する外部電極の平均長さ(BW)の比BW/Iの範囲は、0.105以上、1.049以下である。
【0096】
図5及び
図6を参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタ100の実装基板200は、積層セラミックキャパシタ100が水平に実装されるプリント基板210と、プリント基板210の上面に離隔して形成された第1及び第2電極パッド221、222とを含む。
【0097】
ここで、積層セラミックキャパシタ100は、下部カバー層113が下側に配置され、第1及び第2外部電極131、132がそれぞれ第1及び第2電極パッド221、222上に接触して位置する状態で、半田230によりプリント基板210に電気的に接続されるようにしてもよい。
【0098】
このように積層セラミックキャパシタ100がプリント基板210に実装された状態で電圧を印加すると、アコースティックノイズが発生し得る。
【0099】
ここで、第1及び第2電極パッド221、222の大きさは、積層セラミックキャパシタ100の第1及び第2外部電極131、132と第1及び第2電極パッド221、222とを接続する半田230の量を決定する目安となり、半田230の量によりアコースティックノイズを調節することができる。
【0100】
図7を参照すると、積層セラミックキャパシタ100がプリント基板210に実装された状態で、積層セラミックキャパシタ100の両端部に形成された第1及び第2外部電極131、132に極性が異なる電圧が印加されると、セラミック本体110は、誘電体層111の逆圧電効果により厚さ方向に膨張と収縮をし、第1及び第2外部電極131、132の両端部は、ポアソン効果によりセラミック本体110の厚さ方向の膨張と収縮とは逆に収縮と膨張をする。
【0101】
ここで、アクティブ層115の中心部CL
Aは、第1及び第2外部電極131、132の長手方向の両端部において最大に膨張と収縮をする部分であり、アコースティックノイズ発生の原因となる。
【0102】
積層セラミックキャパシタ100の長手方向の両端面が最大に膨張すると、半田230の上部には、膨張により外部に押し出される力((1))が加わり、半田230の下部には、膨張により外部に押し出される力により外部電極を押す、収縮する力((2))が加わる。
【0103】
従って、本実施形態のように、電圧印加時におけるアクティブ層115の中心部CL
Aの変形率と下部カバー層113の変形率との差により、セラミック本体110の両端面に形成される変曲点が半田230の高さ以下に形成された場合、アコースティックノイズをさらに低減することができる。
【0104】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者にとって自明である。