(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、
図1〜
図44を参照して説明する。
【0012】
[血糖値測定システム101]
図1は、本実施の形態の例である、血糖値測定システムの全体概略図である。
血糖値測定システム101は、血糖値測定装置である血糖計102と、クレードル103と、測定データ管理装置104で構成される。
血糖計102は、リチウムイオンバッテリ等の二次電池で動作する携帯型機器であり、概ね大人の手に収まる大きさである。
医師や看護師等が患者の血糖値を測定する場合には、通常、血糖計102を病院内の病棟に持ち込み、患者からごく微量の採血を行い、血糖値を測定する。採血及び血糖値測定の手順は、患者の指先などを穿刺具を用いて穿刺し、指先から染み出た血液を血糖計102に装着された測定チップに吸収させる。
血糖計102は、血糖値の測定及びインスリンの投与を行った後、必ずクレードル103に載置する。
クレードル103は、血糖計102のバッテリを充電すると共に、血糖計102が測定データ管理装置104とのデータの送受信を行うインターフェースの役割を担っている。
この、クレードル103を介して血糖計102がデータを送受信する相手が、測定データ管理装置104である。
【0013】
パソコンよりなる測定データ管理装置104は、クレードル103とUSBケーブル105にて接続されている。
測定データ管理装置104には周知のOSが稼動している。更にOS上では、パソコンに測定データ管理装置104としての機能を実現するプログラムが稼動している。
【0014】
血糖計102をクレードル103に装着すると、直ちにクレードル103を介して血糖計102と測定データ管理装置104との通信が実行され、血糖計102内の後述する測定処方結果テーブルが、測定データ管理装置104へ送信される。
また、測定データ管理装置104は、後述する各種テーブルを血糖計102へアップロードすることができる。
これらテーブルの詳細は後述する。
【0015】
[外観:血糖計102]
図2(a)及び(b)は、血糖計102の外観斜視図である。
図3(a)、(b)、(c)及び(d)は、血糖計102を四方向から見た図である。
なお、説明の便宜上、
図2(a)及び
図3(a)に示す、LCDが設けられている面を本体表面、
図2(b)に示す、バッテリ蓋が設けられている面を本体裏面と称する。
【0016】
図3(a)及び(c)に示すように、血糖計102の先端には、光学測定部202が設けられている。
光学測定部202は血糖測定チップ212(以下「測定チップ212」)が着脱可能な形状になっている。使用済みの測定チップ212は、イジェクトレバー302を操作することで光学測定部202から取り外すことができる。
図2(a)及び
図3(a)に示す、液晶表示装置であるLCD203が設けられている側面(本体表面)には、LCD203の横に電源スイッチ204とカーソルキー205、エンターキー206、そしてバーコードキー207が設けられている。
電源スイッチ204は血糖計102の電源オン/オフのためのスイッチである。
カーソルキー205は、LCD203に表示される複数の項目のうちの一つを選択するために、カーソルを移動するキーである。
エンターキー206はカーソルで選択した項目を「実行する」或は「選択する」指示を行うキーである。
バーコードキー207は、
図3(d)に示す、血糖計102の光学測定部202とは反対の側面に設けられているバーコードリーダ208を稼動させるためのボタンである。
バーコードリーダ208は、周知の赤色レーザダイオードとフォトトランジスタ等の受光素子の組み合わせよりなるバーコード読取装置である。なお、受光素子に代えてCCD或はCMOS等のイメージセンサを用いることもできる。
【0017】
血糖計102の基本的な血糖測定の仕組みは、従来技術と同様である。以下、概略を簡単に説明する。
光学測定部202に測定チップ212を取り付け、例えば指先を穿刺具で穿刺して染み出させた測定対象者の血液を測定チップ212に吸収させる。この測定チップ212には、ポリエーテルサルホン等の多孔質膜等でできた試験紙が内蔵されている。そして、測定チップ212に吸引された血液は、試験紙に染み込むと、試験紙に含まれている試薬と反応して、発色する。この発色反応には数秒から10数秒前後の時間を要するが、この反応時間は、周囲の気温によって影響を受ける。
所定の反応時間を経過した後に、発光素子を発光させて試験紙に光を当て、試験紙からの反射光を受光素子にて受光する。そして、受光素子から得られたアナログの受光強度信号をデジタル値に変換した後、このデジタル値を血糖値に変換してLCD203に表示する。
なお、血糖計102側の血糖値測定の仕組みは、発色試薬を利用した前記光学測定方式に限らず、電気化学センサー方式など、従来から血糖測定に使用され得る仕組みを採用することができる。
【0018】
図2(b)に示すように、本体裏面の、バーコードリーダ208の側には、電源端子209と赤外線通信窓210が設けられている。血糖計102をクレードル103に装着すると、電源端子209がクレードル103に設けられている充電端子402(
図4参照)と接触し、充電が行われると共に、クレードル103との赤外線通信が行われる。なお、本体裏面にはバッテリ蓋211も設けられている。
【0019】
[外観:クレードル103]
図4(a)及び(b)は、血糖計102をクレードル103から離脱した状態での、クレードル103の外観図であり、
図5(a)及び(b)は、血糖計102をクレードル103に装着した状態での、クレードル103の外観図である。
図4(a)及び(b)に示すように、クレードル103の、血糖計102の電源端子209に相対する箇所には充電端子402が設けられている。同様に、クレードル103の、血糖計102の赤外線通信窓210に相対する箇所には赤外線通信窓403が設けられている。
血糖計102の赤外線通信窓210及びクレードル103の赤外線通信窓403の中には、それぞれ赤外線発光ダイオードとフォトトランジスタが内蔵されている。これらは周知のIrDA(アイアールディーエー: Infrared Data Association)規格に従う赤外線シリアル通信インターフェースを構成する。
【0020】
図1に示すように、クレードル103はUSBケーブル105を通じて、測定データ管理装置104に接続されている。クレードル103は、血糖計102のバッテリを充電する役目をもっており、一台の測定データ管理装置104に多数のクレードル103が接続され得ることから、測定データ管理装置104のUSB端子から電源供給を受けないセルフパワードデバイスとして構成されている。
【0021】
[ハードウェア:血糖計102]
図6は血糖計102の内部ブロック図である。
血糖計102には、CPU602、ROM603及びRAM604と、それらを接続するバス605が備わっている。バス605には、上記の構成以外に、主にデータ入力機能を提供する部分と、データ出力機能を提供する部分も接続されている。
これより、CPU602、ROM603、RAM604及びバス605を、血糖計102を構成するマイコンとして、便宜的に呼ぶ。
【0022】
血糖計102のデータ入力機能部分には、血糖値測定データを得るための光学測定部202と、温度データを得るためのサーミスタ606、バーコードリーダ208、カレンダクロック607、そして操作部608がある。
光学測定部202は、発光ダイオード609、そのドライバ610、ドライバ610に接続されるD/A変換器611よりなる発光部と、フォトトランジスタ612とA/D変換器613よりなる受光部よりなる。
発光ダイオード609は、適切な強度の光を測定チップ212内の試験紙に照射する必要があるので、予め後述する不揮発性ストレージ614に記憶してある強度データに基づいて発光するように制御される。つまり、発光強度データを不揮発性ストレージ614から読み出し、D/A変換器611でアナログの電圧信号に変換後、ドライバ610で電力増幅して、発光ダイオード609を発光駆動する。
一方、フォトトランジスタ612が受光した光の強度信号電圧は、A/D変換器613によって数値データに変換される。そして、この変換された数値データは、CPU602が実行する所定の演算処理によって血糖値データに変換された後、RAM604及び不揮発性ストレージ614の所定領域に記録される。
【0023】
また、血糖計102はサーミスタ606を備えており、このサーミスタ606の抵抗変化によって血糖計102が存在する環境の気温を測定できる。前述のフォトトランジスタ612と同様に、サーミスタ606の抵抗値はA/D変換器613によって数値化され、数値データはRAM604及び不揮発性ストレージ614の所定領域に記録される。なお、受光強度と気温を同時に測定する必要はないので、A/D変換器613はフォトトランジスタ612とサーミスタ606とで共用されている。
【0024】
バーコードリーダ208は、赤色レーザダイオード622を発光させ、フォトトランジスタ623で反射光を受光して、バーコードを読み取り、バーコードに記録されているデータをバス605に出力する。
【0025】
カレンダクロック607は「リアルタイムクロック」とも呼ばれる、周知の日時データ出力機能を提供するICであり、多くのマイコンやパソコン等に標準搭載されているものである。
本発明の実施の形態の血糖計102では、血糖値を測定した時点の日時情報を得る必要があるため、日時情報は重要な情報である。つまり、収集するデータと日時情報は極めて深い関係を有する。そして、血糖値を測定した時点の日時情報は、血糖値と共に測定処方結果テーブル1408(
図14にて後述)に記録する必要がある。このため、図中で敢えてカレンダクロック607を明記している。
【0026】
操作部608は周知の押しボタンよりなるキースイッチであり、カーソルキー205とエンターキー206を有する。使用者が、後述するLCDよりなる表示部615に表示される内容に従って、血糖計102を操作するために用いられる。
【0027】
血糖計102のデータ出力機能部分としては、LCD203よりなる表示部615と、ブザー616と、赤外線通信部617がある。
表示部615には、ROM603に格納され、CPU602によって実行されるプログラムによって、様々な画面が表示される。表示画面の詳細は後述する。
ブザー616は、主にバーコードリーダ208がバーコードを正常に読み取ったことや、血糖値測定における測定完了、赤外線通信の完了、或はエラーメッセージを操作者に告知するために利用される。設定次第では、操作部608の操作の度毎に鳴らすこともできる。
赤外線通信部617は、前述の通り、赤外線発光ダイオード619とフォトトランジスタ620が接続されており、IrDA規格のシリアルインターフェースを構成している。電源回路618が、電源端子209の電圧変化によりクレードル103から電源供給を受けたことを検出すると、電源回路618はバス605を通じてCPU602に報告する。そして、CPU602の制御によって赤外線通信部617の赤外線通信機能が起動され、クレードル103との赤外線通信が行われると、不揮発性ストレージ614に格納されている各種テーブルの、測定データ管理装置104との送受信と更新が行われる。
つまり、クレードル103との赤外線通信の際は、血糖計102の操作部608などの操作は不要で、クレードル103に装着すると直ちに赤外線通信が実行される。
【0028】
血糖計102には、データ入出力機能の他に、データ記憶機能を提供する、EEPROMよりなる不揮発性ストレージ614がある。この不揮発性ストレージ614には、
図11、
図14、
図15及び
図16にて後述する患者テーブル1109、
使用者テーブル1113、
チップロットテーブル1117、
処方情報テーブル1502、
測定処方テーブル1602及び
測定処方結果テーブル1408等が格納される。これらはクレードル103を介した測定データ管理装置104との通信の際に更新される。なお、EEPROMの代わりにフラッシュメモリ等を用いてもよい。
【0029】
[ハードウェア:クレードル103]
図7はクレードル103の内部ブロック図である。
図8は、血糖計102とクレードル103と測定データ管理装置104との接続状態を示す概略図である。
図7に示すように、クレードル103は、マイコンを構成するCPU702、ROM703、RAM704と、赤外線発光ダイオード719とフォトトランジスタ720が接続される赤外線通信部717と、USBインターフェース(I/F)706と、充電回路718と、これらを接続するバス705により構成される。
充電回路718は、充電端子402の電圧変化から負荷である血糖計102が接続されたことを検出すると、バス705を通じてCPU702にその旨を報告する。そして、CPU702の制御によって赤外線通信部717の赤外線通信機能が起動され、赤外線通信部717とUSBインターフェース706を介して、血糖計102と測定データ管理装置104との間の通信が行われる。
【0030】
以上説明したように、血糖計102とクレードル103の間はIrDAによって接続され、クレードル103と測定データ管理装置104の間はUSBによって接続されている。この点で、クレードル103は、測定データ管理装置104と血糖計102との間のデータ通信を仲介するインターフェースの役割を担っている。
【0031】
[ハードウェア:測定データ管理装置104]
図9は、測定データ管理装置104のブロック図である。
前述のように、測定データ管理装置104の実体は周知のパソコンである。
測定データ管理装置104の内部にはバス902がある。このバス902には、CPU903、ROM904、RAM905、ハードディスク装置等の不揮発性ストレージ906、LCD等の表示部907及びUSBインターフェース(I/F)908が接続されている。USBインターフェース908には、キーボード及びマウス等の操作部909が接続されている他、クレードル103も接続されている。
【0032】
[ソフトウェア:血糖計102]
図10は、血糖計102の機能を示す概略図である。マイコンのROM603に格納されているプログラムを実行することによって実現される機能を示す。なお、
図10は詳細な機能を説明する機能ブロック図ではないことに注意されたい。
マイコンがプログラムを実行すると、血糖計102の内部は大まかに四つの機能を実現する状態になる。
最初にマイコンは、バーコードリーダ208等の周辺機器と共に、血糖計102に、血糖値の測定条件を点検する、測定条件点検部1002としての機能を実現する。
次にマイコンは、光学測定部202等の周辺機器と共に、血糖計102に、血糖値を実際に測定する、血糖値測定部1003としての機能を実現する。
そして最後にマイコンは、血糖計102に、測定した血糖値に基づいて処方データを表示部615に表示する、処方データ表示部1004としての機能を実現する。
患者を一人ずつ測定して、インスリンを一人ずつ処方する場合は、上記の状態を繰り返す。
本実施形態の血糖計102は、これ以外に、複数の患者に対するそれぞれの血糖値測定をまとめて行い、その後それらの複数の患者に対するそれぞれのインスリン処方をまとめて行う、という作業手順もできるようになっている。これが
図10の点線の矢印R1005及びR1006で示した流れである。
上記三つの機能状態のいずれであっても、血糖計102をクレードル103に装着した時点で、血糖計102はマイコンによって直ちにデータ通信部1007としての機能が実現され、血糖計102と測定データ管理装置104との間でデータファイルの転送を行うことが可能である。
【0033】
なお、
図10は機能ブロック図であると共に、血糖計102の動作状態を示す、状態遷移図としても見ることができる。つまり、
・測定条件点検部1002が機能している時は、血糖計102が「測定条件点検状態」にあることを示し、
・血糖値測定部1003が機能している時は、血糖計102が「血糖値測定状態」にあることを示し、
・処方データ表示部1004が機能している時は、血糖計102が「処方データ表示状態」にあることを示し、
・データ通信部1007が機能している時は、血糖計102が「データ通信状態」にあることを示す。
【0034】
図11、
図12、
図13、
図14及び
図15は、マイコンのROM603に格納されているプログラムを実行することによって実現される機能を示すブロック図である。
【0035】
図11は、測定条件点検部1002の機能ブロック図である。
測定条件点検部1002は、六つの測定条件を順番に点検する。
【0036】
QC点検部1103は、血糖計102のQC点検が所定期限内に正常終了しているか否かを点検する。
QC点検とは、主に血糖値測定精度を維持するために、定期的に行う処理であり、より具体的な目的は、光学測定部202の発光ダイオード609の発光強度とフォトトランジスタ612の増幅ゲインの調整である。具体的な動作は、測定チップ212に代えて調整用チップを取り付け、調整用薬品を吸引させて、発光ダイオード609が適切な発光強度を得られるように調整を行う。
規定日数値1104は、不揮発性ストレージ614に格納されているテキストファイルであり、医師や看護師等によるシステムセットアップの作業において設定される、QC点検実施間隔日が記録されている。
QCチェック記録1105は、不揮発性ストレージ614に格納されているテキストファイルであり、直前のQC点検実施日時が記録されている。
判定部1106は、QCチェック記録1105の記録と、カレンダークロック607から取得した現在日時を比較し、規定日数値1104に記録されているQC点検実施間隔日内にQC点検が行われたか否かを、判定する。例えば、規定日数値1104に「一週間」が設定されると、7日以上QC点検を行わないと、後述する判定部1106が警告を発する。
【0037】
患者ID読取部1107は、バーコードリーダ208にて患者IDを読み取り、患者テーブル1109内に存在するIDであるか否かを検索部1110で検索する。
読み取った患者IDは患者ID変数1108に保持される。
【0038】
使用者ID読取部1111は、バーコードリーダ208にて使用者IDを読み取り、使用者テーブル1113内に存在するIDであるか否かを検索部1114で検索する。
読み取った使用者IDは使用者ID変数1112に保持される。
【0039】
チップロット読取部1115は、バーコードリーダ208にて光学測定部202に取り付けられた測定チップ212のチップロット(測定チップのロット番号)を読み取り、チップロットテーブル1117内に存在するチップロットであるか否か、また使用期限内のチップであるか否かを判定部1118で判定する。
読み取ったチップロットはチップロット変数1116に保持される。
【0040】
なお、患者ID読取部1107、使用者ID読取部1111及びチップロット読取部1115は、スイッチ1116を介して、バーコードリーダ208を共有する。
【0041】
温度点検部1119は、サーミスタ606にて気温を測定し、A/D変換器613にてデータ化した後、その気温データが許容範囲内であるか否かを温度判定部1120にて判定する。
測定して取得した温度データは温度変数1122に保持される。
【0042】
チップ装着点検部1123は、測定チップ212の装着と、装着された測定チップ212が新品と思しき物であるか否かを判定する。
不揮発性ストレージ614に格納されたテキストファイルである調整値1125に記憶されている発光強度データを、D/A変換器611でアナログの電圧信号に変換後、ドライバ610で電力増幅して、発光ダイオード609を発光駆動する。そして、発光ダイオード609の光を測定チップ212内の試験片1127に照射し、その反射光をフォトトランジスタ612で信号変換して、A/D変換器613にてデータ化した後、チップ装着検出部1124にて新品の測定チップ212が正常に装着されたか否かを判定する。
【0043】
制御部1128は、QC点検部1103、患者ID読取部1107、使用者ID読取部1111、チップロット読取部1115、温度点検部1119及びチップ装着点検部1123を、順番に動作させ、それらの実行結果を取得する。そのために、スイッチ1116、1121及び1126を制御する。
また、制御部1128は、使用者の操作を操作部608にて受け付け、種々の実行結果を表示部615にて表示する。
【0044】
図12は温度判定部1120の機能ブロック図である。
サーミスタ606からA/D変換器613を通じて得られた温度データは二つのコンパレータ1202及び1203に入力され、予め設定された上限値1204と下限値1205の範囲内であるか否かが、ANDゲート1206の出力として判定される。
【0045】
図13(a)はチップ装着検出部1124の機能ブロック図であり、
図13(b)は測定チップ212の装着と良品判定の仕組みを説明するグラフである。
測定チップ212からA/D変換器613を通じて得られた反射光データは二つのサンプルホールド回路1302及び1303によって保持される。その保持タイミングはクロック1304によって制御される。つまり、サンプルホールド回路1302及び1303はサンプルクロック毎にずれたタイミングの値を保持している。
この二つのサンプルホールド回路1302及び1303の値をコンパレータ1305にて比較する。
サンプルホールド回路1302及び1303、クロック1304及びコンパレータ1305は、反射光データの立ち上がりを検出する、立ち上がり検出部1309を構成する。
反射光データの値が上昇すると、コンパレータ1305が正を示す。これに呼応してスイッチ1306がオン制御される。
その時点の、サンプルホールド回路1302の値を、コンパレータ1307にて閾値1308と比較し、十分な反射光強度であるか否かを判定する。
【0046】
図13(b)を参照して、測定チップ212の装着と良品判定の動作を説明する。
仮に、看護師が誤って使用済みの測定チップ212を装着してしまった場合、既に測定チップ212内の試験片が化学反応を起こして反射率が低下しているので、反射光強度は閾値を下回る。
そこで、先ず時間t1とt2で反射光強度の値をそれぞれ取得し、比較することで、反射光強度の立ち上がりを検出する。これが立ち上がり検出部1309の機能である。
次に、時間t2の反射光強度の値を閾値と比較して、新品の測定チップ212が装着されたことを推認する。これがコンパレータ1307の機能である。
【0047】
図14は血糖値測定部1003の機能ブロック図である。
不揮発性ストレージ614に格納されている調整値データ1402は、スイッチ1403を介してD/A変換器611に供給され、アナログ電圧信号となる。この信号が電力増幅器であるドライバ610を駆動し、光学測定部202の発光ダイオード609の発光強度を制御する。
発光ダイオード609が発する光は測定チップ212内の試験片1127に照射される。光学測定部202のフォトトランジスタ612は試験片1127から得られる反射光を受光し、電圧信号に変換する。
フォトトランジスタ612から得られる電圧信号は、A/D変換器613にてデジタル値に変換される。検出部1404はデジタル値を検証すると共に所定の演算処理を施して血糖値に変換する。
この血糖値はRAM604に設けられる血糖値変数1405に格納される。
血糖値変数1405の値は、判定部1406にて極端に大きいか或は極端に小さいかが検証される。また、血糖値変数1405の値は制御部1128に与えられ、表示部615における血糖値表示に用いられる。その際、判定部1406の判定結果が表示部615の表示内容に反映される。
記録部1407は、カレンダクロック607から得られる現在日時データ、先に測定条件点検部1002にて取得した患者ID変数1108、使用者ID変数1112、チップロット変数1116及び温度変数1122、そして血糖値変数1405の値を、不揮発性ストレージ614内の測定処方結果テーブル1408に、所定のフォーマットにて記録する。
【0048】
図15は処方データ表示部804の機能ブロック図である。
制御部1128は検索部1505を制御して、測定処方結果テーブル1408から記録された血糖値データを読み出させる。
検索部1505は、患者ID変数1108を検索キーにして、血糖値測定部1003によって測定処方結果テーブル1408に記録された当該患者の血糖値データを読み出し、一時変数である血糖測定値1506に書き出す。
次に、制御部1128は検索部1503を制御して、不揮発性ストレージ614に格納されている処方情報テーブル1502から処方データを読み出させる。
検索部1503は、患者ID変数1108及び血糖測定値1506を検索キーにして、処方情報テーブル1502に記憶されている当該患者の処方データ、すなわちインスリン投与量及び薬剤名を読み出し、制御部1128に引き渡す。
検索部1503によって得られた薬剤名及びインスリン投与量は、制御部1128を介して表示部615にて表示される。
制御部1128は、表示部615にて処方データを表示した後、記録部1407を制御して、測定処方結果テーブル1408内の当該患者のレコードに処方データ(インスリン投与量と薬剤名)を記録すると共に、インスリン投与確認フラグを書き換える。
記録部1407の詳細については
図16にて後述する。
【0049】
[各種テーブル:血糖計102]
これより、血糖計102の内部に保存され、また作成される主なテーブルについて説明する。
図16(a)、(b)及び(c)は、血糖計102内部に保存されるテーブルの概略説明図である。
図16(a)は、測定処方テーブル1602のフィールドの一覧である。
測定処方テーブル1602は、測定データ管理装置104から血糖計102に送信される、血糖測定作業及び/またはインスリン投与作業の指示が記載されたテーブルである。
「患者ID」フィールドは、患者をユニークに識別する番号が格納される。
「測定予定時刻」フィールドは、測定データ管理装置104によって付与された測定予定時刻が格納される。これは測定データ管理装置104にデータを送信する際、測定データ管理装置104内で、血糖値測定を行うか否か、及び処方数についての指示内容を特定する検索キーとして使われる。
「血糖値測定フラグ」フィールドは、血糖値を測定するか否かの指示を示すフラグが格納される。
「処方数」フィールドは、インスリン(薬剤)を投与するか否か、投与するなら何種類投与するかの指示を示す値が格納される。
【0050】
患者の血糖値を測定した後、当該患者に投与するインスリンは、一種類であるとは限らない。そこで、血糖計102では、最大三種類の処方を患者に適用できるように作られている。
「処方数」フィールドは、血糖値の測定だけを行って、全く処方を行わない「0」から、三種類の薬剤を処方する「3」までの、処方する薬剤の数に対応した値をとり得る。
【0051】
図16(b)は、測定処方結果テーブル1408のフィールドの一覧である。
測定処方結果テーブル1408は、血糖計102で実施した血糖値測定結果とインスリン投与の内容(実行結果)を記録するテーブルである。測定処方結果テーブル1408は、血糖計102で実施する内容(命令)が記述されている測定処方テーブル1602と、対の関係にある。
「測定日時」フィールドは、血糖値を測定した時点の日時が記録される。この日時は、血糖値測定部1003の記録部1407において、カレンダクロック607より取得して記録する。
「患者ID」フィールドは、測定処方テーブル1602の同名のフィールドと同様、患者をユニークに識別する番号が記録される。
「使用者ID」フィールドは、使用者をユニークに識別する番号が記録される。
「チップロット」フィールドは、チップロット番号が記録される。
「気温」フィールドは、血糖値を測定した時点の気温が記録される。
「患者ID」、「使用者ID」、「チップロット」及び「気温」の各フィールドの値は、測定条件点検部1002にて取得した、患者ID変数1108、使用者ID変数1112、チップロット変数1116及び温度変数1122の内容がそれぞれ記録される。
「血糖値」フィールドは、測定した血糖値が記録される。具体的には、血糖値測定部1003にて取得した、血糖値変数1405の内容が記録される。
「血糖値測定フラグ」フィールドは、血糖値を測定したか否かを示すフラグが記録される。
【0052】
「測定予定時刻」フィールドは、測定処方テーブル1602の同名のフィールドと同様、測定データ管理装置104によって付与された測定予定時刻が格納される。つまり、測定処方テーブル1602の「測定予定時刻」フィールドから引き写された内容である。
「インスリン投与数」フィールドは、測定処方テーブル1602の「処方数」フィールドと同様、インスリンを投与するか否か、投与するなら何種類投与するかの指示を示す値が記録される。つまり、測定処方テーブル1602の「処方数」フィールドから引き写された内容である。
【0053】
「インスリン投与情報」フィールドは、「薬剤名」フィールドと、「インスリン投与量」フィールドと、「インスリン投与量表示フラグ」フィールドと、「インスリン投与確認フラグ」フィールドの四つのフィールドよりなり、「インスリン投与数」フィールドに記された数のレコード数を備える、可変長フィールドである。
「薬剤名」フィールドは、インスリンの薬剤名が記録される。
「インスリン投与量」フィールドは、測定した血糖値に基づきを処方情報テーブル1502を参照して得たインスリン投与量が格納される。具体的には、処方データ表示部804にて検索部1503が取得し、制御部1128がこれを受けて表示部615に処方データの表示を行った際に記録される、処方データそのものの内容が記録される。
「インスリン投与量表示フラグ」フィールドは、インスリン投与量を表示部で表示したか否かを示すフラグが記録される。
「インスリン投与確認フラグ」フィールドは、実際にインスリンを投与したか否かを示すフラグが記録される。
【0054】
先に測定処方テーブル1602の「処方数」フィールドにて説明したように、「インスリン投与数」フィールドも「0」から「3」までの値をとり得る。
もし、「インスリン投与数」フィールドが「0」の場合、「インスリン投与情報」フィールドそのものが存在しない。
もし、「インスリン投与数」フィールドが「1」の場合、「インスリン投与情報」フィールドには、「薬剤名」フィールドと、「インスリン投与量」フィールドと、「インスリン投与量表示フラグ」フィールドと、「インスリン投与確認フラグ」フィールドの四つのフィールドを備えるレコードが1レコードだけ存在する。
同様に、
「インスリン投与数」フィールドが「2」の場合、「インスリン投与情報」フィールドには2レコードが、
「インスリン投与数」フィールドが「3」の場合、「インスリン投与情報」フィールドには3レコードが
存在する。
【0055】
測定処方結果テーブル1408の一つのレコードには、一人の患者に対する処方の結果が記録される。したがって、1レコードには最大三つのインスリン投与量表示フラグと、最大三つのインスリン投与確認フラグが、患者に投与される薬剤の種類毎に存在し得る。
【0056】
血糖計102は、測定データ管理装置104から測定処方テーブル1602を受信すると、これを一旦不揮発性ストレージ614に保存する。
次に、血糖計102は、測定処方テーブル1602に記述されている内容に基づいて、測定処方結果テーブル1408を不揮発性ストレージ614に作成する。
先ず、測定処方結果テーブル1408の「患者ID」フィールドと「測定予定時刻」フィールドは、測定処方テーブル1602の同名のフィールドからそのまま引き写す。
次に、測定処方テーブル1602の血糖値測定フラグが「真」の場合は、測定処方結果テーブル1408の血糖値測定フラグは「偽」に設定する。
逆に、測定処方テーブル1602の血糖値測定フラグが「偽」の場合は、測定処方結果テーブル1408の血糖値測定フラグは「真」に設定する。
次に、測定処方テーブル1602の処方数を測定処方結果テーブル1408のインスリン投与数に引き写す。
そして、測定処方テーブル1602の処方数に応じて、測定処方結果テーブル1408のインスリン投与情報フィールド内に、測定処方テーブル1602の処方数に応じた数のレコードを作成する。その際、初期値としてインスリン投与量表示フラグとインスリン投与確認フラグを共に「偽」に設定する。
以上の処理を測定処方テーブル1602の全レコードに基づいて実行することにより、測定処方結果テーブル1408には、測定処方テーブル1602と同じ数のレコードが設けられる。
【0057】
図16(c)は処方情報テーブル1502に記録されているレコードの一例を示す図である。
処方情報テーブル1502は、周知のスライディングスケールを用いたインスリン投与量指示情報が記録されているテーブルである。血糖値の範囲と、その範囲に応じたインスリン投与量を対応させたテーブルである。
「患者ID」フィールドに同一の患者IDのレコードが複数存在する。これらレコードは、「区分番号」フィールド、「血糖値範囲」フィールド、「薬剤名」フィールド及び「処方」フィールドのいずれかの値が異なっている。
「区分番号」フィールドは、薬剤の種類に対応し、最小値は「1」で、最大値は「3」である。「区分番号」フィールドの値と「薬剤名」フィールドは一対一で対応する。
図16(c)に示す例では、患者IDが「123456」という患者について、区分番号が「1」のみのレコードが9レコード存在する。これは、患者ID「123456」は、一種類の薬剤が投与されること、そしてその処方の数は血糖値に応じて9通りのインスリン処方がある、ということを意味する。
【0058】
患者IDが「135792」という患者の場合は、区分番号が「1」と「2」が存在する。つまり、患者ID「135792」は、二種類の薬剤が投与されることを意味する。
【0059】
血糖値測定作業とインスリン処方作業は、概ね患者の食後の決まった時間帯に行われる。また、食前の決まった時間帯に行うこともある。測定作業及び処方作業は、複数の患者に対し、決まった時間帯にまとめて行われる。
この、複数の患者に対し、所定の時間帯にまとめて行われる、血糖値測定及び/またはインスリン処方の作業単位を、「ラウンド」と呼ぶ。例えば、「朝食後30分の1ラウンド」等と呼び、取り扱われる。
血糖計102は、血糖値測定作業及びインスリン等処方作業の間違いを起こさないために、1ラウンドに必要なデータのみが、測定データ管理装置104から送信される。
そして、ラウンド終了後は、血糖計102をクレードル103に載置すると、直ちに測定処方結果テーブル1408が血糖計102から測定データ管理装置104に送信される。測定データ管理装置104はこれを受信して、内部の図示しない患者履歴テーブルに記録する。
【0060】
図16に示した測定処方テーブル1602、測定処方結果テーブル1408及び処方情報テーブル1502以外のテーブルについて、以下、簡単に説明する。
患者テーブル1109は「患者ID」フィールドと「患者の名前」フィールドの組よりなるテーブルである。
使用者テーブル1113は「使用者ID」フィールドと「使用者の名前」フィールドの組よりなるテーブルである。なお、使用者は必ずしも看護師だけとは限らず、医師が測定する場合もあるので、このテーブルは「使用者」と命名している。
チップロットテーブル1117は、「測定チップ212のロット番号」フィールドと「使用期限」フィールドの組よりなるテーブルである。
以上に説明したテーブルは、フィールドとレコードが明確に認識できる形式であればどのようなフォーマットであっても構わない。本実施形態による血糖計102の場合、不揮発性ストレージ614に記憶されるデータ量は少なくて済むので、カンマ区切り形式等のテキストファイルでもよい。
【0061】
[動作]
これより、血糖計102の動作を説明する。
図17は、血糖計102の表示部615(LCD203)の画面の変化の推移を示す状態遷移図である。
図18、
図19、
図20及び
図21は、
図17の状態遷移図の一部拡大図である。
図22(a)、(b)及び(c)、
図23(d)、(e)及び(f)、
図24(g)、(h)、(i)及び(j)、
図25(k)、(l)、(m)及び(n)、
図26(o)、(p)及び(q)、及び
図27(r)及び(s)は、看護師の業務の流れと、その際の血糖計102の表示部615の画面の推移を説明する概略図である。
図28は、血糖計102の全体的な動作の流れを示すフローチャートである。
図29及び
図30は、血糖計102の測定処理全体の流れを示すフローチャートである。
図31及び
図32は、患者IDスキャン処理の流れを示すフローチャートである。
図33及び
図34は、使用者IDスキャン処理の流れを示すフローチャートである。
図35及び
図36は、チップロットスキャン処理の流れを示すフローチャートである。
図37は、チップ装着処理の流れを示すフローチャートである。
図38は、測定実施処理の流れを示すフローチャートである。
図39及び
図40は、処方表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0062】
[画面推移]
図17及び
図18を参照して、血糖計102の表示部615の画面推移を説明する。
看護師が血糖計102の電源スイッチ104を押すと、初期画面P1701が表示部615に表示される。
初期画面P1701では、カーソルキー205で「患者測定」「QC点検」「システムSETUP」の三つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「QC点検」を選択してエンターキー206を押すと、QC点検画面P1702が表示部615に表示される。この後、点検処理に移行するが、詳細は割愛する。
カーソルキー205で「システムSETUP」を選択してエンターキー206を押すと、システムSETUP画面P1703が表示部615に表示される。この後、システムSETUP処理に移行するが、詳細は割愛する。
【0063】
初期画面P1701にてカーソルキー205で「患者測定」を選択してエンターキー206を押すと、マイコンは測定条件点検部1002として機能する。
最初に、制御部1128はQC点検部1103の機能を稼動させる。これにより、ステップS1751にてQCチェック処理が行われる。QC点検部1103は、QCチェック記録と、カレンダクロック607から取得した現在日時とを比較し、規定日数値以内にQC点検が行われたか否かを、判定部1106にて判定する。
判定の結果、直前のQC点検日から規定日数値を越えていると判明した場合は、表示部615には制御部1128によってQC警告画面P1704が表示される。
QC警告画面P1704には、「QC点検」の項目のみが表示され、エンターキー206の操作のみ受け付けられる。QC警告画面P1704からは、エンターキー206の操作により、強制的にQC点検画面P1702に移行させられる。
【0064】
ステップS1751のQCチェック処理で、判定の結果、直前のQC点検日から規定日数値以内であると判明した場合は、制御部1128は患者ID読取部1107を稼動させる。これにより、表示部615には制御部1128によって患者測定画面P1705が表示される。
患者測定画面P1705では、カーソルキー205で「測定」「データ」「戻る」の三つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「データ」を選択してエンターキー206を押すと、表示部615には制御部1128によってデータ画面P1706が表示される。この後、過去データ表示処理に移行するが、詳細は割愛する。
カーソルキー205で「戻る」を選択してエンターキー206を押すと、初期画面P1701に戻る。
カーソルキー205で「測定」を選択してエンターキー206を押すと、表示部615には制御部1128によって患者IDスキャン画面P1707が表示される。
【0065】
患者IDスキャン画面P1707では、「戻る」の項目のみが選択できる。このとき、バーコードキー207を押すと、制御部1128の制御によって、バーコードリーダ208の赤色レーザダイオード622が発光し、フォトトランジスタ623を通じてバーコードの読取動作を行う状態になる。
バーコードリーダ208がバーコードを正常に読み取ると、バーコードリーダ208が出力する読み取ったバーコードデータは、患者ID変数1108に一旦保持された後、不揮発性ストレージ614内の患者テーブル1109に登録されているものか、検索部1110にて検索される。
もし、登録されていない場合は、表示部615には制御部1128によって「登録されていません」画面P1708が表示される。この画面は選択項目として「OK」のみ表示され、操作部608の操作はエンターキー206のみ受け付けられる。この画面でエンターキー206を押すと、表示部615の表示は患者IDスキャン画面P1707に戻る。
もし、登録されている場合は、表示部615には制御部1128によって患者氏名表示画面P1712が表示される。
【0066】
バーコードが正常に読み取れなかった場合、2回のエラーまでは表示部615には制御部1128によって読み取りエラー画面P1709が表示される。この画面は選択項目として「RETRY」のみ表示され、エンターキー206のみ受け付けられる。この画面でエンターキー206を押すと、表示部615の表示は患者IDスキャン画面P1707に戻る。
バーコードが正常に読み取れなかった場合、3回以上エラーが続くと、表示部615には制御部1128によって読み取りエラー画面P1710が表示される。
この画面は選択項目として「RETRY」の他に「リストから選択」が表示される。
「RETRY」を選択してエンターキー206を押すと、表示部615の表示は患者IDスキャン画面P1707に戻る。
「リストから選択」を選択してエンターキー206を押すと、表示部615には制御部1128によって患者リスト画面P1711が表示される。
患者リスト画面P1711では、不揮発性ストレージ614内の患者テーブル1109から患者の氏名と患者IDの一覧が表示される。これをカーソルキー205で選択し、エンターキー206を押すと、表示部615には制御部1128によって患者氏名表示画面P1712が表示される。
「リストから選択」を表示させるタイミングとしての読み取りエラーの続く回数は特に限定されるものではなく、好ましくは2回から4回である。また、さらにエンターキー206を長押しした場合などの条件を付加してもよい。
【0067】
表示部615に患者氏名表示画面P1712が表示されると、患者ID変数1108に、バーコードリーダ208で読み取った、或は患者リスト画面P1711にて選択した患者IDが格納されている。
【0068】
患者氏名表示画面P1712では、カーソルキー205で「OK」「RETRY」の二つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「RETRY」を選択してエンターキー206を押すと、表示部615の表示は患者IDスキャン画面P1707に戻る。
カーソルキー205で「OK」を選択してエンターキー206を押すと、制御部1128は使用者ID読取部1111を稼動させる。これにより、表示部615には制御部1128によって、
図19に示す使用者IDスキャン画面P1713が表示される。
【0069】
図17及び
図19を参照して、
図18以降の血糖計102の表示部615の画面推移を説明する。
使用者IDスキャン画面P1713では、「戻る」の項目のみが選択できる。このとき、バーコードキー207を押すと、制御部1128の制御によって、バーコードリーダ208の赤色レーザダイオード622が発光し、バーコードの読取動作を行う状態になる。
バーコードリーダ208がバーコードを正常に読み取ると、読み取ったバーコードデータは使用者ID変数1112に一旦保持された後、不揮発性ストレージ614内の使用者テーブル1113に登録されているものか、検索部1114にて検索される。
もし、登録されていない場合は、表示部615には制御部1128によって「登録されていません」画面P1714が表示される。この画面は選択項目として「OK」のみ表示され、エンターキー206のみ受け付けられ、エンターキー206を押すと使用者IDスキャン画面P1713に戻る。
もし、登録されている場合は、表示部615には制御部1128によって使用者氏名表示画面P1718が表示される。
【0070】
バーコードが正常に読み取れなかった場合、2回のエラーまでは読み取りエラー画面P1715が表示部615に表示される。この画面は選択項目として「RETRY」のみ表示され、エンターキー206のみ受け付けられ、エンターキー206を押すと使用者IDスキャン画面P1713に戻る。
バーコードが正常に読み取れなかった場合、3回以上エラーが続くと、読み取りエラー画面P1716が表示部615に表示される。
この画面は選択項目として「RETRY」の他に「リストから選択」が表示される。
「RETRY」を選択してエンターキー206を押すと、使用者IDスキャン画面P1713に戻る。
「リストから選択」を選択してエンターキー206を押すと、表示部615には制御部1128によって使用者リスト画面P1717が表示される。
使用者リスト画面P1717では、不揮発性ストレージ614内の使用者テーブル1113から使用者の氏名と使用者IDの一覧が表示される。これをカーソルキー205で選択し、エンターキー206を押すと、使用者氏名表示画面P1718が表示部615に表示される。
「リストから選択」を表示させるタイミングとしての読み取りエラーの続く回数は特に限定されるものではなく、好ましくは1回から4回である。また、さらにエンターキー206を長押しした場合などの条件を付加してもよい。
【0071】
表示部615に使用者氏名表示画面P1718が表示されると、使用者ID変数1112に、バーコードリーダ208で読み取った、或は使用者リスト画面P1717にて選択した使用者IDが格納される。
【0072】
使用者氏名表示画面P1718では、カーソルキー205で「OK」「RETRY」の二つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「RETRY」を選択してエンターキー206を押すと、使用者IDスキャン画面P1713に戻る。
カーソルキー205で「OK」を選択してエンターキー206を押すと、ステップS1752にて測定処方結果テーブル1408の血糖値測定フラグとインスリン投与確認フラグの検証が行われる。
もし、血糖値測定フラグが真で、且つ一つ以上のインスリン投与確認フラグが偽であった場合は、表示部615には制御部1128によって
図21の血糖値表示画面P1739が表示される。
血糖値測定フラグとインスリン投与量表示フラグの状態が上記組み合わせでない場合は、表示部615には制御部1128によってチップロットスキャン画面P1719が表示される。
【0073】
ステップS1752は、予め複数の患者の血糖値をまとめて測定した後、それら血糖値を測定した患者に対してインスリン投与をまとめて行う際に必要な確認作業である。すなわち、上記二つのフラグを確認することで、患者毎に血糖値測定後のインスリン投与を行わない、「まとめて測定」を行ったのか否かを確認することができる。
【0074】
チップロットスキャン画面P1719では、「戻る」の項目のみが選択できる。このとき、バーコードキー207を押すと、バーコードリーダ208の赤色レーザダイオード622が発光し、バーコードの読取動作を行う状態になる。
バーコードを正常に読み取ると、バーコードが不揮発性ストレージ614内のチップロットテーブル1117に登録されているものか検証される。
もし、登録されていない場合は、「登録されていません」画面P1720が表示部615に表示される。
この画面は選択項目として「OK」のみ表示され、エンターキー206のみ受け付けられ、エンターキー206を押すとチップロットスキャン画面P1719に戻る。
もし、登録されている場合は、チップロット表示画面P1725が表示部615に表示される。
【0075】
先に述べたように、チップロットテーブル1117には、チップロットとその使用期限が記録されている。
バーコードが正常に読み取れた場合でも、カレンダクロック607にて現在の日時情報を取得し、当該測定チップ212のロットが使用期限を過ぎているものと判定された場合は、期限切れエラー画面P1721が表示部615に表示される。
この画面は選択項目として「OK」のみ表示され、エンターキー206のみ受け付けられ、エンターキー206を押すとチップロットスキャン画面P1719に戻る。すなわち、使用期限内の測定チップ212の装着が強制される。
【0076】
バーコードが正常に読み取れなかった場合、2回のエラーまでは表示部615には制御部1128によって読み取りエラー画面P1722が表示部615に表示される。この画面は選択項目として「RETRY」のみ表示され、エンターキー206のみ受け付けられ、エンターキー206を押すとチップロットスキャン画面P1719に戻る。
バーコードが正常に読み取れなかった場合、3回以上エラーが続くと、表示部615には制御部1128によって読み取りエラー画面P1723が表示される。
この画面は選択項目として「RETRY」の他に「リストから選択」が表示される。
「RETRY」を選択してエンターキー206を押すと、チップロットスキャン画面P1719に戻る。
「リストから選択」を選択してエンターキー206を押すと、表示部615には制御部1128によってチップロットリスト画面P1724が表示される。
チップロットリスト画面P1724では、不揮発性ストレージ614内のチップロットテーブル1117からチップロットの一覧が表示される。これをカーソルキー205で選択し、エンターキー206を押すと、チップロット表示画面P1725が表示部615に表示される。
「リストから選択」を表示させるタイミングとしての読み取りエラーの続く回数は特に限定されるものではなく、好ましくは0回から4回である。また、さらにエンターキー206を長押しした場合などの条件を付加してもよい。
【0077】
表示部615にチップロット表示画面P1725が表示されると、チップロット変数1116に、バーコードリーダ208で読み取った、或はチップロットリスト画面P1724にて選択したチップロットが格納される。
【0078】
チップロット表示画面P1725では、カーソルキー205で「OK」「RETRY」の二つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「RETRY」を選択してエンターキー206を押すと、チップロットスキャン画面P1719に戻る。
カーソルキー205で「OK」を選択してエンターキー206を押すと、制御部1128は温度点検部1119を稼動させる。これにより、ステップS1753にて温度チェックが行われる。そして、気温が許容範囲内であれば、制御部1128はチップ装着点検部1123を稼動させる。これにより、表示部615には制御部1128によって
図20の「チップをつける」画面P1727が表示される。
もし、気温が許容範囲から外れている場合は、温度エラー画面P1726が表示部615に表示される。つまり、測定環境の気温が血糖値測定に適していないことを意味する。そして、この画面ではもはや血糖値測定をすべきでないとして、選択項目は「MENU」しか選択できず、初期画面P1701に強制的に戻される。
【0079】
なお、温度点検部1119の動作は、血糖計102が血糖測定動作やインスリン投与量表示動作等を行っていない時に、例えば1分間隔で定期的に気温の測定を行ってもよい。この場合、気温が許容範囲に外れていることを検出した時点で、表示部615にアラーム表示を行い、患者や使用者のIDのバーコードを読み取る動作を禁じることができるので、無駄な作業を行わずに済む。
【0080】
図17及び
図20を参照して、
図19以降の血糖計102の表示部615の画面推移を説明する。
「チップをつける」画面P1727では、カーソルキー205やエンターキー206の操作を受け付けない。この画面はあくまでも測定チップ212の正常装着を検出しようとしている状態を表示するものである。
もし、この画面が表示されている状態で、誤って使用済みの測定チップ212を装着すると、チップ装着検出部1124が反射光量と閾値とを比較して、それが使用済みと思しき物と判定する。制御部1128はこの判定結果を受けて、表示部615にチップ不良画面P1728を表示する。そして、この画面では選択項目として「OK」のみ表示され、チップロットスキャン画面P1719に戻される。
【0081】
「チップをつける」画面P1727で新品の測定チップ212を装着すると、チップ装着検出部1124が良品の測定チップ212が装着されたことを検出する。制御部1128はチップ装着検出部1124の検出結果を受けて、血糖値測定部1003として機能する。その結果、表示部615には制御部1128によって「測定中」画面P1729が表示される。この画面は、光学測定部202を稼動させて、測定チップ212に血液を吸収させる動作を光学測定部202にて検出しようと待機している状態である。
【0082】
血液を測定チップ212に吸引させると、測定チップ212内部の試験片1127の反射光量が変化する。フォトトランジスタ612及びA/D変換器613を通じて検出部1404がこれを検出すると、表示部615には制御部1128によって「カウントダウン」画面P1730が表示される。この時点から制御部1128内にてタイマを動作させ、試験片1127の化学反応に必要な所定時間の経過を待つ。タイマに設定される所定時間はおよそ12秒であり、気温によって上下する。これはサーミスタ606で測定した気温に基づいて、制御部1128が必要な所定時間の増減を計算して決定する。
【0083】
表示部615に「カウントダウン」画面P1730が表示されてから所定時間が経過すると、表示部615には制御部1128によって血糖値表示画面P1732が表示される。
血糖値表示画面P1732では、カーソルキー205で「確認」「データ」の二つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「確認」を選択してエンターキー206を押すと、制御部1128はステップS1754にて、測定処方結果テーブル1408中の、当該患者のレコードに記録されている全てのインスリン投与確認フラグを確認する。
【0084】
ステップS1754において、全てのインスリン投与確認フラグが真であった場合、すなわち当該患者に必要な全てのインスリン投与処置が完了している場合は、表示部615には制御部1128によって血糖値測定メニュー画面P1731が表示される。
血糖値測定メニュー画面P1731では、カーソルキー205で「再測定」「次の患者」の二つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「再測定」を選択してエンターキー206を押すと、ステップS1759にて血糖値測定フラグが偽に設定された上で、患者IDスキャン画面P1707(
図18)に戻る。
カーソルキー205で「次の患者」を選択してエンターキー206を押すと、ステップS1760にて血糖値測定フラグが真に設定された上で、患者IDスキャン画面P1707に戻る。
【0085】
ステップS1754において、一つでもインスリン投与確認フラグが偽であった場合、すなわち当該患者に必要な全てのインスリン投与処置が完了していない場合は、表示部615には制御部1128によってインスリン投与メニュー画面P1733が表示される。
インスリン投与メニュー画面P1733では、カーソルキー205で「再測定」「インスリン」「次の患者」の三つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「再測定」を選択してエンターキー206を押すと、ステップS1755にて血糖値測定フラグが偽に設定された上で、患者IDスキャン画面P1707に戻る。
カーソルキー205で「次の患者」を選択してエンターキー206を押すと、ステップS1756にて血糖値測定フラグが真に設定された上で、患者IDスキャン画面P1707に戻る。
カーソルキー205で「インスリン」を選択してエンターキー206を押すと、ステップS1756にて血糖値測定フラグが真に設定された上で、制御部1128は処方データ表示部804として機能する。その結果、表示部615には制御部1128によって
図21のインスリン投与量表示画面P1734が表示される。
【0086】
血糖値測定メニュー画面P1731とインスリン投与メニュー画面P1733とを見比べると、インスリン投与メニュー画面P1733には「インスリン」の項目が選択できるのに対し、血糖値測定メニュー画面P1731には当該項目は存在しない。
これは、当該患者における全てのインスリン投与処置が完了しているので、インスリンの二重投与事故を防ぐためである。
【0087】
図17及び
図21を参照して、
図20以降の血糖計102の表示部615の画面推移を説明する。
インスリン投与量表示画面P1734では、「次へ」の項目のみが選択できる。看護師等の使用者は、この画面にて表示されたインスリンの種類と投与量、即ち処方データを見て、当該患者に投与する薬剤の種類と投与量を確認する。
インスリン投与量表示画面P1734でエンターキー206を押すと、投与選択画面P1735が表示部615に表示される。
【0088】
投与選択画面P1735では、カーソルキー205で「投与済」「未投与」の二つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「投与済」を選択してエンターキー206を押すと、ステップS1757にてインスリン投与量表示フラグが真に設定された後、表示部615には制御部1128によって「投与しました」画面P1736が表示される。
カーソルキー205で「未投与」を選択してエンターキー206を押すと、ステップS1757にてインスリン投与量表示フラグが真に設定された後、表示部615には制御部1128によって「投与しませんでした」画面P1737が表示される。
【0089】
なお、投与選択画面P1735では、さらに「戻る」の項目を設定し、「戻る」によりインスリン投与量表示画面P1734へ戻るようにしてもよい。また、投与選択画面P1735に当該患者に投与する薬剤の種類と投与量を表示してもよい。かかる選択項目を採用することにより、インスリン投与の際に薬剤の種類や量を再度確認することができる。
【0090】
「投与しました」画面P1736では、「OK」「戻る」の二つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「OK」を選択してエンターキー206を押すと、ステップS1758にてインスリン投与確認フラグが真に設定された後、ステップS1761に移行する。
カーソルキー205で「戻る」を選択してエンターキー206を押すと、投与選択画面P1735に戻る。
【0091】
「投与しませんでした」画面P1737では、「OK」「戻る」の二つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「OK」を選択してエンターキー206を押すと、ステップS1761に移行する。
カーソルキー205で「戻る」を選択してエンターキー206を押すと、投与選択画面P1735に戻る。
「投与しませんでした」画面P1737が表示されている時点では、「投与しました」画面P1736の時点とは異なり、ステップS1758によるインスリン投与確認フラグが設定されない、つまり偽のままの状態であることに注意されたい。
【0092】
「投与しました」画面P1736及び「投与しませんでした」画面P1737の両方で、「OK」を選択すると、ステップS1761に移行する。
ステップS1761では、制御部1128は、ステップS1754(
図20)と同様に、測定処方結果テーブル1408中の、当該患者のレコードに記録されている全てのインスリン投与確認フラグを確認する。
【0093】
ステップS1761において、全てのインスリン投与確認フラグが真であった場合、すなわち当該患者に必要な全てのインスリン投与処置が完了している場合は、表示部615には制御部1128によって投与確認画面P1741が表示される。
投与確認画面P1741では、「完了」のみ選択できる。つまり、エンターキー206しか押せない。
投与確認画面P1741でエンターキー206を押すと、表示部615には制御部1128によって「次の患者」画面P1738が表示される。
【0094】
ステップS1761において、一つでもインスリン投与確認フラグが偽であった場合、すなわち当該患者に必要な全てのインスリン投与処置が完了していない場合は、表示部615には制御部1128によって投与確認画面P1740が表示される。
投与確認画面P1740では、カーソルキー205で「完了」「戻る」の二つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「完了」を選択してエンターキー206を押すと、表示部615には制御部1128によって完了確認画面P1742が表示される。
カーソルキー205で「戻る」を選択してエンターキー206を押すと、インスリン投与量表示画面P1734に戻る。
【0095】
完了確認画面P1742では、現在処方表示を行った当該患者には未だ未投与の薬剤の処方が残っている旨を示すメッセージが表示される。そして、その上で薬剤の投与を行うか、それとも他の患者の処置等に移行するかを問い合わせる選択項目として、「戻る」「はい」の二つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「戻る」を選択してエンターキー206を押すと、ステップS1761に移行する。この結果、未投与の薬剤が存在するので、投与確認画面P1740に戻る。
カーソルキー205で「はい」を選択してエンターキー206を押すと、表示部615には制御部1128によって「次の患者」画面P1738が表示される。
【0096】
「次の患者」画面P1738では、「次の患者」「データ」「MENU」の三つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「次の患者」を選択してエンターキー206を押すと、患者IDスキャン画面P1707(
図18)に戻る。
カーソルキー205で「データ」を選択してエンターキー206を押すと、表示部615には制御部1128によってデータ画面P1706(
図18)が表示される。
カーソルキー205で「MENU」を選択してエンターキー206を押すと、初期画面P1701(
図18)に戻る。
【0097】
血糖値表示画面P1739では、カーソルキー205で「インスリン」「データ」の二つの項目を選択できる。
カーソルキー205で「インスリン」を選択してエンターキー206を押すと、表示部615には制御部1128によってインスリン投与量表示画面P1734が表示される。
カーソルキー205で「データ」を選択してエンターキー206を押すと、表示部615には制御部1128によってデータ画面P1706が表示される。過去の血糖値測定履歴を参照後、「戻る」により、血糖表示画面P1739に戻る。
【0098】
[業務の流れと画面の変化]
図22(a)を参照して、看護師の業務を説明する。
入院患者のインスリン投与は、多くの場合、食事前に実施する。その際、血糖値測定を行う。
看護師2202は患者の食事時間前になったら、血糖値測定及びインスリン投与処方を行う準備として、血糖計102をクレードル103に装着する。すると、クレードル103を介して測定データ管理装置104と血糖計102との間でデータ通信が行われ、測定データ管理装置104は血糖計102に
患者テーブル1109、
使用者テーブル1113、
チップロットテーブル1117、
処方情報テーブル1502及び
測定処方テーブル1602を転送する。
【0099】
ところで、本実施形態の血糖計102は、血糖値測定及びインスリン投与処方処理の前に、血糖計102内に残存している測定処方結果テーブル1408が削除されている状態になっていることを想定している。この処置を確実に行うため、血糖値測定及びインスリン投与処方処理の前に、予め血糖計102をクレードル103に装着する、という動作を必ず行う。この、測定処方結果テーブル1408が削除されている状態が、血糖計102の測定準備が整った状態である。
【0100】
図22(b)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202は、血糖計102と、患者の人数分以上の測定チップ2203とインスリン注射器2204を準備して、ナースステーションから病棟に向かう。
【0101】
図22(c)を参照して、看護師の業務を説明する。
図22(c)において、看護師2202は、担当する患者2205の居るベッドに到着すると、血糖計102を用いて、血糖値測定処理を開始する。
【0102】
図23(d)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202は血糖計102を操作して、患者IDスキャン画面P1707をLCD203に表示する。そして、バーコードキー207を押してバーコードリーダ208を動作させ、患者2205のバーコードである患者ID2306をスキャンする。
バーコード読取に成功すると、患者氏名表示画面P1712がLCD203に表示される。
看護師2202は表示内容を確認し、カーソルキー205で「OK」を選択して、エンターキー206を押す。すると、LCD203には使用者IDスキャン画面P1713が表示される。
【0103】
図23(e)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202はLCD203に使用者IDスキャン画面P1713が表示されている状態において、バーコードキー207を押してバーコードリーダ208を動作させ、使用者のバーコードである看護師2202自身の看護師ID2307をスキャンする。
バーコード読取に成功すると、LCD203には使用者氏名表示画面P1718が表示される。
看護師2202は表示内容を確認し、カーソルキー205で「OK」を選択して、エンターキー206を押す。すると、LCD203にはチップロットスキャン画面P1719が表示される。
【0104】
図23(f)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202はLCD203にチップロットスキャン画面P1719が表示されている状態において、バーコードキー207を押してバーコードリーダ208を動作させ、測定チップ2203の箱2309あるいは包装材料などに印刷されている、バーコードのチップロット2308をスキャンする。
バーコード読取に成功すると、LCD203にはチップロット表示画面P1725が表示される。
看護師2202は表示内容を確認し、カーソルキー205で「OK」を選択して、エンターキー206を押す。すると、LCD203には「チップをつける」画面P1727が表示される。
【0105】
図24(g)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202はLCD203に「チップをつける」画面P1727が表示されている状態において、測定チップ2203を血糖計102の光学測定部202に装着する。すると、血糖計102は新品の測定チップ2203が正常に装着されたことを検出して、LCD203に「測定中」画面P1729を表示する。
【0106】
図24(h)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202は、患者2205の指先2402の側面に、穿刺具2403を用いて穿刺する。すると、当該指先2402の側面に針で微小な穴が開けられ、血液が染み出る。
【0107】
図24(i)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202は、患者2205の指先2402から染み出た血液を、血糖計102の測定チップ2203に吸引させる。すると、血糖計102は血液が測定チップ2203内の試験片1127に染み込んだことによって、試験片1127の反射光量が変化したことを検出し、LCD203に「カウントダウン」画面P1730を表示する。
「カウントダウン」画面P1730の表示から所定時間が経過すると、血糖値の測定が行われ、LCD203には血糖値表示画面P1732が表示される。
看護師2202は表示内容を確認し、カーソルキー205で「確認」を選択して、エンターキー206を押す。すると、未投与薬剤がある場合にはLCD203にはインスリン投与メニュー画面P1733が表示される。
【0108】
図24(j)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202は、LCD203にインスリン投与メニュー画面P1733が表示されている状態において、カーソルキー205で「インスリン」を選択して、エンターキー206を押す。
すると、血糖計102内部の制御部1128では血糖値測定フラグが真に設定されると共に、LCD203にはインスリン投与量表示画面P1734が表示される。
【0109】
図25(k)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202は、LCD203に表示されているインスリン投与量表示画面P1734の表示内容にしたがって、インスリン注射器2204を用いて患者2205にインスリンを投与する。
【0110】
図25(l)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202は、インスリン投与の処置を終えると、エンターキー206を押す。
すると、血糖計102内部の制御部1128ではインスリン投与量表示フラグが真に設定されると共に、LCD203には投与選択画面P1735が表示される。
【0111】
図25(m)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202は、LCD203に投与選択画面P1735が表示されている状態において、カーソルキー205で「投与済」を選択して、エンターキー206を押す。
すると、血糖計102内部の制御部1128ではインスリン投与確認フラグが真に設定されると共に、LCD203には「投与しました」画面P1736が表示される。
【0112】
図25(n)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202は、LCD203に「投与しました」画面P1736が表示されている状態において、カーソルキー205で「OK」を選択して、エンターキー206を押す。
この後、未投与薬剤が残っている場合には、LCD203に投与確認画面P1740が表示され、更に完了確認画面P1742に進んだ後、「次の患者」画面P1738が表示される。また、未投与薬剤が残っていない場合には、LCD203には投与確認画面P1741が表示された後、「次の患者」画面P1738が表示される。
【0113】
図26(o)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202は、LCD203に「次の患者」画面P1738が表示されている状態において、カーソルキー205で「次の患者」を選択して、エンターキー206を押す。
すると、LCD203の表示内容は
図23(d)の患者IDスキャン画面P1707に戻り、次の患者の測定処理を続けることとなる。
【0114】
図26(p)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202は、病棟内で担当する患者2205の血糖値測定及びインスリン投与措置を終了すると、ナースステーションに戻る。
【0115】
図26(q)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202は、病棟からナースステーションに戻ると、血糖計102をクレードル103に載置する。すると、測定データ管理装置104はクレードル103を通じて血糖計102の接続を認識し、血糖計102に対して測定処方結果テーブル1408の送信を要求する。
血糖計102は測定データ管理装置104からの命令にしたがい、測定処方結果テーブル1408を測定データ管理装置104へ送信する。
測定データ管理装置104は測定処方結果テーブル1408の受信を正常に完了すると、その旨を血糖計102へ通知する。
血糖計102は測定データ管理装置104からの測定処方結果テーブル1408の正常受信完了報告を受けて、不揮発性ストレージ614内の測定処方結果テーブル1408の削除を行う。
【0116】
図27(r)を参照して、看護師の業務を説明する。
もし、看護師2202が誤って同一の患者2205に対して二度のインスリン投与を行おうとしても、前回インスリンを投与する際に投与選択画面P1735を表示した時に、インスリン投与量表示フラグが真に設定されて、測定処方結果テーブル1408に追記録されている。制御部1128はこれを検出し、血糖値測定の時点でLCD203には血糖値測定メニュー画面P1731が表示され、「インスリン」の項目が選べなくなる。
したがって、インスリン重複投与事故を未然に防ぐことができる。
【0117】
図27(s)を参照して、看護師の業務を説明する。
看護師2202は、患者2205の血糖値測定を終えてインスリン投与メニュー画面P1733が表示されている状態(
図24J)において、カーソルキー205で「次の患者」を選択して、エンターキー206を押すと、別の患者2710の血糖値測定処理に移行する。このとき、測定処方結果テーブル1408の患者2205のレコードの「血糖値測定フラグ」フィールドに「真」が記録される。このため、次にインスリン処方のために患者2205の患者IDと看護師2202の看護師IDをスキャンすると、直前に測定した患者2205の血糖値が測定処方結果テーブル1408から読み出されて、血糖値表示画面P1739にて表示される。
したがって、複数の患者を「まとめて測定」した後、「まとめて投与」する、という作業を、安全且つ迅速に遂行できる。
【0118】
[動作の流れ]
図28は、血糖計102の全体的な動作の流れを示すフローチャートである。
看護師2202が血糖計102の電源スイッチ104を押すと(S2801)、ROM603に格納されているプログラムがCPU502によって読み込まれ、所定の初期化処理が行われた後(S2802)、初期画面P1701が表示され(S2803)、キー操作を待つ(S2804)。
エンターキー206によって選択された項目が「患者測定」であれば(S2805のYES)、測定処理を行い(S2806)、一連の動作を終了する(S2810)。
エンターキー206によって選択された項目が「QC点検」であれば(S2807のYES)、QC点検処理を行い(S2808)、一連の動作を終了する(S2810)。
エンターキー206によって選択された項目が「システムSetUP」であれば(S2807のNO)、設定処理を行い(S2809)、一連の動作を終了する(S2810)。
但し、この全体処理は、電源が投入され、且つクレードル103に載置されていない間は、
図28の点線矢印に示すように、ステップS2803から繰り返し行われる、ループ処理である。
【0119】
図29及び
図30は、血糖計102の測定処理の流れを示すフローチャートである。
図28のステップS2806に相当する。
図29を参照して、血糖計102の測定処理の流れを説明する。
処理を開始すると(S2901)、マイコンは測定条件点検部1002として動作する。そして、制御部1128はQC点検部1103を稼動させ、QCチェックを行う(S2902)。
QC点検部1103によるQCチェックの結果、判定部1106が、規定日数値内にQC点検が行われていないと判断したら(S2903のNO)、制御部1128は表示部615にQC警告画面P1704を表示する(S2904)。そして、エンターキー206の操作を待ち(S2905)、エンターキー206が操作されたら、QC点検処理を行い(S2906)、処理を終了する(S2907)。
すなわち、ステップS2902及びS2903は、
図18のステップS1751と等しい。
【0120】
QC点検部1103によるQCチェックの結果、判定部1106が、規定日数値内にQC点検が行われていると判断したら(S2903のYES)、制御部1128は患者ID読取部1107を稼動させ、スイッチ1116を患者ID変数に接続し、バーコードリーダ208の読取情報が患者ID変数1108に格納されるようにした後、患者測定画面P1705を表示する(S2908)。その後、キー操作を待つ(S2909)。
【0121】
エンターキー206によって選択された項目が「測定」であれば(S2910のYES)、制御部1128は患者IDスキャン処理を行う(S2914)。
エンターキー206によって選択された項目が「データ」であれば(S2911のYES)、制御部1128はデータ表示処理を行い(S2912)、患者測定画面P1705に戻る(S2908)。
エンターキー206によって選択された項目が「戻る」であれば(S2911のNO)、制御部1128は一連の処理を終了し(S2913)、初期画面P1701に戻る(S2803)。
【0122】
患者IDスキャン処理(S2914)の過程において、エンターキー206の操作で選択された項目が「OK」であれば(S2915のYES)、制御部1128は使用者IDスキャン処理を行う(S2916)。
使用者IDスキャン処理(S2916)の過程において、エンターキー206の操作で選択された項目が「OK」であれば(S2917のYES)、制御部1128は血糖値測定フラグとインスリン投与量表示フラグの検証を行う(S2918)。
もし、血糖値測定フラグが真で、且つインスリン投与量表示フラグが偽であった場合は(S2918のYES)、制御部1128は表示部615に血糖値表示画面P1739を表示する(S2919)。そして、キー操作を待つ(S2920)。
エンターキー206による選択の結果が「インスリン」であれば(S2921のYES)、
図39の処方表示処理における、処方情報テーブル検索(S3909)及び処方表示処理(S3910)へと移行する。
エンターキー206による選択の結果が「データ」であれば(S2921のNO)、データ表示処理(S2912)へと移行する。
【0123】
ステップS2918において、血糖値測定フラグとインスリン投与量表示フラグの状態が、「血糖値測定フラグが真且つインスリン投与量表示フラグが偽」の組み合わせでない場合は(S2918のNO)、チップロットスキャン処理が行われる(S2922)。
すなわち、ステップS2918は、
図19のステップS1752そのものである。
【0124】
図30を参照して、血糖計102の測定処理の
図29に続く流れを説明する。
チップロットスキャン処理(S2922)の内部において、エンターキー206の操作で選択された項目が「OK」であれば(S2923のYES)、温度点検部1119による温度チェックを行う(S3024)。
温度チェックの結果、動作保証内温度でなかった場合(S3025のNO)、制御部1128は表示部615に温度エラー画面P1726を表示して(S3026)、キー操作を待った(S3027)後、処理を終了する(S3028)。
すなわち、ステップS3024とS3025は、
図19のステップS1753と等しい。
【0125】
温度点検部1119による温度チェックの結果、動作保証内温度であった場合(S3025のYES)、チップ装着処理が行われる(S3029)。
チップ装着処理(S3029)の結果、装着された測定チップ2203が不良品であった場合(S3030のNO)、チップ不良画面P1728を表示し(S3031)、キー操作を待って(S3032)、チップロットスキャン処理へ戻る(S2922)。
【0126】
チップ装着処理(S3029)の結果、装着された測定チップ2203が良品であった場合(S3030のYES)、マイコンは血糖値測定部1003として動作する。そして、測定実施処理が行われる(S3033)。
【0127】
測定実施処理(S3033)の後、血糖値表示画面P1732を表示して(S3034)、キー操作を待つ(S3035)。
エンターキー206の操作で選択された項目が「データ」であれば(S3036のNO)、データ表示処理に移行する(S2912)。
【0128】
エンターキー206の操作で選択された項目が「確認」であれば(S3036のYES)、次に制御部1128は、測定処方結果テーブル1408中の、当該患者のレコードに記録されている全てのインスリン投与確認フラグを確認する(S3037)。
ステップS3037において、一つでもインスリン投与確認フラグが偽であった場合、すなわち当該患者に必要な全てのインスリン投与処置が完了していない場合は、処方表示処理に移行する(S3038)。
【0129】
処方表示処理(S3038)の最後に行った、エンターキー206の操作(
図39のステップS3914)で選択された項目が「次の患者」であれば(S3039のYES)、患者IDスキャン処理に戻る(S2914)。
処方表示処理(S3038)の最後に行った、エンターキー206の操作(
図39のステップS3914)で選択された項目が「データ」であれば(S3039のNO且つS3040のYES)、データ表示処理に移行する(S2912)。
処方表示処理(S3038)の最後に行った、エンターキー206の操作(
図39のステップS3914)で選択された項目が「MENU」であれば(S3039のNO且つS3040のNO)、処理を終了する(S3041)。
【0130】
ステップS3037において、全てのインスリン投与確認フラグが真であった場合、すなわち当該患者に必要な全てのインスリン投与処置が完了している場合(S3037のNO)は、表示部に血糖値測定メニュー画面P1731を表示し(S3042)、キー操作を待つ(S3043)。
エンターキー206の操作で選択された項目が「再測定」であれば(S3044のYES)、血糖値測定フラグを「偽」に設定し(S3045)、患者IDスキャン処理に戻る(S2914)。
エンターキー206の操作で選択された項目が「次の患者」であれば(S3044のNO)、血糖値測定フラグを「真」に設定し(S3046)、患者IDスキャン処理に戻る(S2914)。
【0131】
図31及び
図32は、患者IDスキャン処理の流れを示すフローチャートである。
図29のステップS2914に相当する。
図31を参照して、血糖計102の患者IDスキャン処理の流れを説明する。
処理を開始すると(S3101)、患者IDスキャン画面P1707を表示し(S3102)、バーコード又はキー操作を待つ(S3103)。
エンターキー206の操作で選択された項目が「戻る」であれば(S3104のYES)、処理を終了する(S3105)。そして、このときの選択項目の内容(「戻る」)がステップS2915の判定に反映され(S2915のNO)、患者測定画面P1705に戻る(S2908)。
【0132】
バーコードリーダ又はキー操作の結果が「戻る」でない場合(S3104のNO)、次にバーコードが読めたか否かが検証される(S3106)。バーコードが正常に読めた場合は(S3106のYES)、読み取った患者IDと思しきデータを患者テーブル1109と照合する(S3107)。その結果、読み取ったデータが患者テーブル1109内になければ(S3108のNO)、「登録されていません」画面P1708を表示し(S3109)、キー操作を待ち(S3110)、患者IDスキャン画面P1707の表示に戻る(S3102)。
【0133】
ステップS3107において、読み取ったデータが患者テーブル1109内にあれば(S3108のYES)、患者氏名表示画面P1712を表示し(S3111)、キー操作を待つ(S3112)。
エンターキー206の操作で選択された項目が「OK」であれば(S3113のYES)、処理を終了する(S3114)。そして、このときの選択項目の内容(「OK」)がステップS2915の判定に反映され(S2915のYES)、使用者IDスキャン処理に移行する(S2916)。
【0134】
図32を参照して、血糖計102の患者IDスキャン処理の流れを更に説明する。
ステップS3106において、バーコードが正常に読めなかった場合は(S3106のNO)、制御部1128内のエラーカウンタをインクリメントする(S3215)。
次に、エラーカウンタの値が2を越えているか否かを検証する(S3216)。エラーカウンタの値が2を越えていない場合(S3216のNO)、読み取りエラー画面P1709を表示し(S3217)、キー操作を待って(S3218)、患者IDスキャン画面P1707の表示に戻る(S3102)。
エラーカウンタの値が2を越えていた場合(S3216のYES)、読み取りエラー画面P1710を表示し(S3219)、キー操作を待つ(S3220)。
【0135】
ステップS3220におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「リスト選択」でなく、「RETRY」であれば(S3221のNO)、患者IDスキャン画面P1707の表示に戻る(S3102)。
ステップS3220におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「リスト選択」であれば(S3221のYES)、患者リスト画面P1711を表示し(S3222)、キー操作による選択を待つ(S3223)。そして、使用者によって選択された患者IDを、血糖値測定をしようとする患者IDと決定し(S3224)、ステップS3111へ戻る。
【0136】
図33及び
図34は、使用者IDスキャン処理の流れを示すフローチャートである。
図29のステップS2916に相当する。
図33を参照して、血糖計102の使用者IDスキャン処理の流れを説明する。
処理を開始すると(S3301)、使用者IDスキャン画面P1713を表示し(S3302)、バーコード又はキー操作を待つ(S3303)。
エンターキー206の操作で選択された項目が「戻る」であれば(S3304のYES)、処理を終了する(S3305)。そして、このときの選択項目の内容(「戻る」)がステップS2917の判定に反映され(S2917のNO)、患者測定画面P1705に戻る(S2908)。
【0137】
バーコードリーダ又はキー操作の結果が「戻る」でない場合(S3304のNO)、次にバーコードが読めたか否かが検証される(S3306)。バーコードが正常に読めた場合は(S3306のYES)、読み取った使用者IDと思しきデータを使用者テーブルと照合する(S3307)。その結果、読み取ったデータが使用者テーブル内になければ(S3308のNO)、「登録されていません」画面P1714を表示し(S3309)、キー操作を待ち(S3310)、使用者IDスキャン画面P1713の表示に戻る(S3302)。
【0138】
ステップS3307において、読み取ったデータが使用者テーブル内にあれば(S3308のYES)、使用者氏名表示画面P1718を表示し(S3311)、キー操作を待つ(S3312)。
エンターキー206の操作で選択された項目が「OK」であれば(S3313のYES)、処理を終了する(S3314)。そして、このときの選択項目の内容(「OK」)がステップS2917の判定に反映され(S2917のYES)、ステップS2918へ移行する。
【0139】
図34を参照して、血糖計102の使用者IDスキャン処理の流れを更に説明する。
ステップS3306において、バーコードが正常に読めなかった場合は(S3306のNO)、制御部1128内のエラーカウンタをインクリメントする(S3415)。
次に、エラーカウンタの値が2を越えているか否かを検証する(S3416)。エラーカウンタの値が2を越えていない場合(S3416のNO)、読み取りエラー画面P1715を表示し(S3417)、キー操作を待って(S3418)、使用者IDスキャン画面P1713の表示に戻る(S3302)。
エラーカウンタの値が2を越えていた場合(S3416のYES)、読み取りエラー画面P1716を表示し(S3419)、キー操作を待つ(S3420)。
【0140】
ステップS3420におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「リスト選択」でなく、「RETRY」であれば(S3421のNO)、使用者IDスキャン画面P1713の表示に戻る(S3302)。
ステップS3420におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「リスト選択」であれば(S3421のYES)、使用者リスト画面P1717を表示し(S3422)、キー操作による選択を待つ(S3423)。そして、使用者によって選択された使用者IDを、血糖値測定を行う使用者IDと決定し(S3424)、ステップS3311へ戻る。
【0141】
図35及び
図36は、チップロットスキャン処理の流れを示すフローチャートである。
図29のステップS2922に相当する。
図35を参照して、血糖計102のチップロットスキャン処理の流れを説明する。
処理を開始すると(S3501)、チップロットスキャン画面P1719を表示し(S3502)、バーコード又はキー操作を待つ(S3503)。
エンターキー206の操作で選択された項目が「戻る」であれば(S3504のYES)、処理を終了する(S3505)。そして、このときの選択項目の内容(「戻る」)がステップS2923の判定に反映され(S2923のNO)、患者測定画面P1705に戻る(S2908)。
【0142】
バーコードリーダ又はキー操作の結果が「戻る」でない場合(S3504のNO)、次にバーコードが読めたか否かが検証される(S3506)。バーコードが正常に読めた場合は(S3506のYES)、読み取ったチップロットと思しきデータをチップロットテーブルと照合する(S3507)。その結果、読み取ったデータがチップロットテーブル内になければ(S3508のNO)、「登録されていません」画面P1720を表示し(S3509)、キー操作を待ち(S3510)、チップロットスキャン画面P1719の表示に戻る(S3502)。
【0143】
ステップS3507において、読み取ったデータがチップロットテーブル内にあれば(S3508のYES)、次に当該ロットが使用期限内であるか否かを検証する(S3511)。期限切れであれば(S3511のNO)、期限切れエラー画面P1721を表示し(S3512)、キー操作を待ち(S3510)、チップロットスキャン画面P1719の表示に戻る(S3502)。
使用期限内のロットであると判明したら(S3511のYES)、チップロット表示画面P1725を表示し(S3513)、キー操作を待つ(S3514)。
エンターキー206の操作で選択された項目が「OK」であれば(S3515のYES)、処理を終了する(S3516)。そして、このときの選択項目の内容(「OK」)がステップS2923の判定に反映され(S2923のYES)、ステップS3024へ移行する。
【0144】
図36を参照して、血糖計102のチップロットスキャン処理の流れを更に説明する。
ステップS3506において、バーコードが正常に読めなかった場合は(S3506のNO)、制御部1128内のエラーカウンタをインクリメントする(S3617)。
次に、エラーカウンタの値が2を越えているか否かを検証する(S3618)。エラーカウンタの値が2を越えていない場合(S3618のNO)、読み取りエラー画面P1722を表示し(S3619)、キー操作を待って(S3620)、チップロットスキャン画面P1719の表示に戻る(S3502)。
エラーカウンタの値が2を越えていた場合(S3618のYES)、読み取りエラー画面P1723を表示し(S3621)、キー操作を待つ(S3622)。
【0145】
ステップS3622におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「リスト選択」でなく、「RETRY」であれば(S3623のNO)、チップロットスキャン画面P1719の表示に戻る(S3502)。
ステップS3622におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「リスト選択」であれば(S3623のYES)、チップロットリスト画面P1724を表示し(S3624)、キー操作による選択を待つ(S3625)。そして、使用者によって選択されたチップロットを、血糖値測定に使用する測定チップ2203のロットと決定し(S3626)、ステップS3513へ戻る。
【0146】
図37は、チップ装着処理の流れを示すフローチャートである。
図30のステップS3029に相当する。
処理を開始すると(S3701)、制御部1128は表示部615に「チップをつける」画面P1727を表示して(S3702)、チップ装着点検部1123を稼動させる。制御部1128はスイッチ1126をオン制御して、調整値データ925をD/A変換器611にてアナログ電圧に変換し、ドライバ610を駆動して、発光ダイオード609を発光制御する。そして、フォトトランジスタ612にて試験片1127の反射光を受光し、反射光の測定を行う(S3703)。
フォトトランジスタ612からA/D変換器613を介して、チップ装着検出部1124に入力される反射光データをポーリングし続ける(S3704)。フォトトランジスタ612が反射光を検出したら(S3704のYES)、処理を終了する(S3705)。
【0147】
図38は、測定実施処理の流れを示すフローチャートである。
図30のステップS3033に相当する。
処理を開始すると(S3801)、制御部1128は表示部615に「測定中」画面P1729を表示する(S3802)。
フォトトランジスタ612から得られる反射光データに変化があるか否か、ポーリングする(S3803)。
反射光量の変化を検出したら(S3803のYES)、制御部1128は内部のタイマを起動し(S3804)、表示部615に「カウントダウン」画面P1730を表示する(S3805)。
タイマに設定した時間(12秒±α)が経過したら(S3806のYES)、反射光量の測定を実行し、反射光量から血糖値を計算して(S3807)、処理を終了する(S3808)。
【0148】
図39及び
図40は、処方表示処理の流れを示すフローチャートである。
図30のステップS3038に相当する。
図39を参照して、血糖計102の処方表示処理の流れを説明する。
処理を開始すると(S3901)、インスリン投与メニュー画面P1733を表示して(S3902)、キー操作を待つ(S3903)。
ステップS3903におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「インスリン」であれば(S3904のYES)、血糖値測定フラグを真に設定する(S3908)。
ステップS3903におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「再測定」であれば(S3905のYES)、血糖値測定フラグを偽に設定する(S3906)。ステップS3903におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「次の患者」であれば(S3905のNO)、血糖値測定フラグを真に設定する(S3907)。
ステップS3906及びS3907の処理の後は、
図29の患者IDスキャン処理(S2914)に戻る。
【0149】
ステップS3908の処理の後は、制御部1128は検索部1503を制御して、処方情報テーブル1502を検索し(S3909)、インスリン投与量表示画面P1734を表示し(S3910)、キー操作を待つ(S3911)。
使用者によってエンターキー206が押されると、投与選択画面P1735を表示して(S3912)、インスリン投与量表示フラグを真に設定し(S3913)、キー操作を待つ(S3914)。
【0150】
図40を参照して、血糖計102の処方表示処理の流れを更に説明する。
ステップS3914におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「投与済」であれば(S4015のYES)、「投与しました」画面P1736を表示し(S4016)、キー操作を待つ(S4017)。
ステップS4017におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「戻る」であれば(S4018のNO)、再び投与選択画面P1735を表示して(S3912)、現在表示した薬剤についてのインスリン投与量表示フラグを真に設定し(S3913)、キー操作を待つ(S3914)。
ステップS4017におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「OK」であれば(S4018のYES)、現在表示した薬剤についてのインスリン投与確認フラグを真に設定し(S4019)、次のステップS4020に移行する。
【0151】
ステップS3914におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「未投与」であれば(S4015のNO)、「投与しませんでした」画面P1737を表示し(S4021)、キー操作を待つ(S4022)。
ステップS4022におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「戻る」であれば(S4023のNO)、再び投与選択画面P1735を表示して(S3912)、現在表示した薬剤についてのインスリン投与量表示フラグを真に設定し(S3913)、キー操作を待つ(S3914)。
ステップS4022におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「OK」であれば(S4023のYES)、次のステップS4020に移行する。つまり、現在表示した薬剤についてのインスリン投与確認フラグは偽のままである。
【0152】
ステップS4019及びステップS4023のYESの後は、制御部1128は現在の患者の処方に関する確認を行う(S4020)。制御部1128は、測定処方結果テーブル1408の当該患者のレコードにある「インスリン投与情報」フィールド中の全てのレコード、つまり全ての処方に関するインスリン投与確認フラグを確認する。その結果、一つでもインスリン投与確認フィールドが「偽」である場合、つまり当該患者に対する投与の済んでいない薬剤が一つでも存在しているならば(S4020のYES)、投与確認画面P1740を表示し(S4024)、キー操作を待つ(S4025)。
【0153】
ステップS4025におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「戻る」であれば(S4026のNO)、再度処方情報テーブル1502を検索し(S3909)、インスリン投与量表示画面P1734を表示し(S3910)、キー操作を待つ(S3911)。
【0154】
ステップS4025におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「OK」であれば(S4026のYES)、完了確認画面P1742を表示し(S4027)、キー操作を待つ(S4028)。
ステップS4028におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「戻る」であれば(S4029のNO)、ステップS4020に戻る。
ステップS4028におけるエンターキー206の操作で選択された項目が「はい」であれば(S4029のYES)、「次の患者」画面P1738を表示し(S4030)、処理を終了する(S4031)。
【0155】
ステップS4020において、制御部が、測定処方結果テーブル1408の当該患者のレコードにある「インスリン投与情報」フィールド中の全てのレコード、つまり全ての処方に関するインスリン投与確認フラグを確認した結果、全てのインスリン投与確認フィールドが「真」である場合、つまり当該患者に対する薬剤の投与が完了しているならば(S4020のNO)、投与確認画面P1741を表示し(S4032)、キー操作を待つ(S4033)。
ステップS4033では「完了」しか選択肢がないので、その後は「次の患者」画面P1738を表示し、処理を終了する(S4031)。
【0156】
本実施形態には、以下のような応用例が考えられる。
(1)
図20のステップS1754及び
図30のステップS3037では、インスリン重複投与を禁ずるための判断の根拠を、インスリン投与確認フラグに求めていた。これに代えて、インスリン投与量表示フラグを、インスリン重複投与を禁ずるための判断の根拠に用いることができる。
図41は、応用例に基づく画面遷移図の一部抜粋である。
図20のステップS1754の差し替えに相当する。すなわち、
図20において「カウントダウン」画面P1730の表示後、(ステップS1754におけるインスリン投与確認フラグの確認に代えて)ステップS4154にてインスリン投与量表示フラグの状態を確認して、血糖値表示画面P1731又はP1733のいずれかに分岐する。
図42は、応用例に基づくフローチャートの一部抜粋である。
図30のステップS3037の差し替えに相当する。すなわち、(ステップS3037におけるインスリン投与確認フラグの真偽判断に代えて)ステップS4237にてインスリン投与量表示フラグの状態を確認して、ステップS3038或はS3042のいずれかに分岐する。
【0157】
図43は、応用例に基づく画面遷移図の一部抜粋である。
図21のステップS1761の差し替えに相当する。すなわち、
図21において「投与しました」画面P1736を表示して「OK」を選択した後、或は「投与しませんでした」画面P1737を表示して「OK」を選択した後、(ステップS1761におけるインスリン投与確認フラグの確認に代えて)ステップS4361にてインスリン投与量表示フラグの状態を確認して、投与確認画面P1740又は投与確認画面P1741のいずれかに分岐する。
図44は、応用例に基づくフローチャートの一部抜粋である。
図40のステップS4020の差し替えに相当する。すなわち、(ステップS4020におけるインスリン投与確認フラグの真偽判断に代えて)ステップS4420にてインスリン投与量表示フラグの状態を確認して、ステップS4024或はS4032のいずれかに分岐する。
【0158】
(2)血糖計に予め転送する測定処方テーブル1602の「処方数」フィールドの値を「0」に設定して、処方情報テーブル1502に対応する患者のレコードを記録しないことにより、当該患者に対して血糖値測定だけを実施することができる。
【0159】
(3)血糖計とクレードルとの間の通信方式は、IrDAに限らない。ICカードに用いられる近距離非接触電磁誘導方式の通信方式、Bluetooth(登録商標)、無線LAN等であってもよい。また、クレードルに通信機能を持たせず、血糖計とパソコンとの間を直接無線LAN等で通信させることも可能である。
【0160】
(4)処方情報テーブル1502のフィールドの構成は、
図16(c)に示した形態に限られない。
測定処方結果テーブル1408の「インスリン投与情報」フィールドのように、「血糖値範囲」フィールド及び「処方」フィールドを備えるレコードを複数備える可変長フィールドの「区分情報」フィールドを設けると、一レコードを「患者ID」フィールド、「区分番号」フィールド、「薬剤名」フィールドと「区分情報」フィールドで構成することができる。処方情報テーブル1502をこのようなフィールドで構成すると、「患者ID」フィールド、「区分番号」フィールド及び「薬剤名」フィールドの重複する値を削減できる。
更に、各レコードを患者テーブル1109の順番に並べ、測定処方テーブル1602の「処方数」フィールドの値を参照することで、「患者ID」フィールドを省略することができる。
【0161】
(5)測定処方テーブル1602のフィールドの構成は、
図16(a)に示した形態に限られない。
処方情報テーブル1502のフィールド構成が、
図16(c)のように患者IDで絞込みを行うと当該患者IDの区分番号が把握可能になっているならば、測定処方テーブル1602の「処方数」フィールドを省略することができる。
測定処方テーブル1602及び処方情報テーブル1502は、患者に対して血糖値測定を行うか否か、またインスリン投与を行うか否か、インスリン投与を行う際にはどの程度の量を投与すべきなのか等の、血糖計の使用者が患者に対して具体的に何をすべきかを記す情報が格納される。この、「患者に対して実施しなければならないこと」を正確に表現できる形態であれば、
図16(a)及び(c)のフィールド構成に限られない。
【0162】
本実施形態においては、血糖計を開示した。
血糖値測定フラグを真に設定して、血糖値と患者IDを測定処方結果テーブルに記録する。
この後、「次の患者」を選択すると、インスリン投与確認フラグを偽にしたまま、次の患者のレコードを同様に測定処方結果テーブルに記録する。
一通り患者の血糖値測定が終わった後、再び患者IDをスキャンすると、測定処方結果テーブル内に、当該患者IDについて、血糖値測定フラグフィールドが真且つ「インスリン投与確認フラグ」フィールドが偽であるレコードの存在を見つける。そして、処方情報テーブル1502を当該血糖値にて検索して、処方データを得た後、表示部にて表示する。
この機能により、安全且つ確実に、迅速な「まとめて測定、まとめて処方」の業務を実現できる。
【0163】
一度、インスリン投与量表示フラグが真に設定されると、誤って同じ患者の血糖値を測定しても、再度インスリン投与のための画面の表示が禁じられる。
この機能により、インスリン重複投与の事故を確実に防ぐことができる。
【0164】
以上、本発明の実施形態例について説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含むことは言うまでもない。