(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タイミング及び乗算回路は、前記電力スイッチがオン状態にあるときに前記電力スイッチ内を流れる電流が2つの電流値の間で変化するのにかかる時間で乗算された前記入力信号である値に応じた発振器電圧を生成するよう適合され、前記発振器は、前記発振器電圧を受信し、それに応じて前記スイッチング周波数を調整するよう連結される、請求項1に記載の制御器。
前記発振器は、前記スイッチング周波数を有する前記信号を生成するよう前記発振器電圧に応じて2つの電圧間で充電および放電されるキャパシタを含む、請求項7に記載の制御器。
前記タイミング及び乗算回路は、前記電力スイッチ内を流れる電流が2つの電流値の間で変化するのにかかる時間にわたって充電電流で充電されるキャパシタを含み、前記充電電流は前記入力電圧を表わす、請求項1に記載の制御器。
前記電流センサは、前記電力スイッチがオン状態にあるときに前記電力スイッチ内を流れる電流が2つの電流値の間で変化するのにかかる時間を表わすゲート信号を生成し、前記入力電圧センサは、前記入力電圧を表わす充電電流を生成し、前記タイミング及び乗算回路は、前記ゲート信号に応じて、かつ、前記充電電流に応じて前記信号の前記スイッチング周波数を調整する、請求項1に記載の制御器。
前記一定数Kは、前記電力変換器のエネルギー伝達素子のインダクタンス値および前記電力スイッチの保護電流限度しきい値の両方の変化を補償するように1から2の値の間の数である、請求項11に記載の制御回路。
前記ドライブ信号発生器は、フィードバック信号に応じて電力変換器の出力を調節するように前記スイッチのスイッチングを制御するよう前記ドライブ信号を生成する、請求項11に記載の制御回路。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による電力変換器の最大出力電力の制御に関連する例が開示される。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために数多くの特定の詳細が述べられる。しかしながら、この特定の詳細が必ずしも本発明を実践するために使用される必要のないことは当業者に明らかであろう。他の例では、本発明を曖昧にするのを避けるために、よく知られている方法は詳しく述べられていない。
【0013】
本明細書全体を通じての「一実施形態」、「実施形態」、「一実施例」又は「実施例」とは、実施形態に関して記載されている特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態又は実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「一実施形態」、「実施形態」、「一実施例」又は「実施例」という語句は、すべて同一の実施形態を指すとは限らない。特定の特徴、構造又は特性を例えば1つ又は複数の実施形態又は実施例における任意の好適な組合せ及び/又は部分的組合せに組み合わせることができる。また、特定の特徴、構造又は特性を1つ又は複数の実施形態又は具体例における任意の好適な組合せ及び/又は部分的組合せとして組み合わせることができる。また、本明細書とともに提供されている図は、当業者に対する説明を目的としたものであること、及び図面は、必ずしも同じ縮尺で描かれていないことが理解できるであろう。
【0014】
検討されるように、本発明の教示による例は、電力変換器の出力部で出力電圧及び/又は出力電流を感知する必要性を伴わずに電力変換器の最大出力電力を制御するための方法及び装置を含む。さらに、本発明の教示による例はエネルギー伝達素子のインダクタンスの公差及び制御器によって設定される電力スイッチ内を流れる電流の保護電流限度しきい値の公差を補償する。電力変換器の出力部で電力変換器の出力電流を感知する必要性の排除は電力変換器の効率を向上させ、電力変換器の部品数を削減することで、知られている解決策と比べて向上した電力変換器の信頼性につながる。エネルギー伝達素子のインダクタンスの交差の補償及び制御器の保護電流限度しきい値の公差の補償は、電力変換器の信頼性をさらに向上させ、よりコンパクトで信頼性のある電力変換器と負荷の設計を可能にする。
【0015】
一例では、電力変換器の動作中に電力変換器がエネルギー伝達素子のインダクタンスと保護電流限度しきい値に確実に応答するように電力変換器の最大出力電力が電力スイッチの各スイッチング・サイクルの中で制御される。この方式で電力変換器の最大出力電力を制御することによって、電力変換器は当初の電力変換器の設計時に予期することができなかった極めて高い周囲温度などの極端な動作条件に応答し、電力変換器と負荷の信頼性をさらに向上させる。
【0016】
説明するために、
図1に、電源とも称される本発明の教示による調節されたスイッチング電力変換器100の一例を示す。
図1に示された特定の例では、スイッチング電力変換器100はフライバック・トポロジを有する電力変換器である。しかしながら、本発明の教示に従って最大電力変換器出力電力を制御することが同様に可能なスイッチング電源の多数の他の知られているトポロジや構成があることや、
図1に示されたフライバック・トポロジが説明目的のために与えられることは理解できるであろう。他の例において電力変換器100が本発明の教示に従って複数の出力部を有することに留意するべきである。
【0017】
図示されるように、制御回路115は一例では金属酸化物半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)、バイポーラ型トランジスタなどである電力スイッチ105に連結される。電力スイッチ105は、DC入力電圧V
IN101と出力電力ダイオード117に連結されたエネルギー伝達素子109の入力巻線103に連結される。一例では、DC入力電圧V
IN101は、図示されていないAC電圧源に連結された整流回路の無調節出力である。電力スイッチ105がオン状態にあるときに第1と第2の入力端子190、191、エネルギー伝達素子109の巻線103、電力スイッチ105を通って流れるスイッチング電流に低インピーダンス源を供給するために入力キャパシタ106が電力変換器の入力端子190、191に連結される。一例では、制御回路115とスイッチ105はハイブリッド又はモノリシックの集積回路として製造される集積回路の一部を形成してもよい。制御回路115は、一例では電圧信号であるが他の例では電流信号であってもよく、又は電力変換器の出力及び/又は入力を示す他の信号であってもよく、それでもなお本発明の教示から恩典を得る信号114を受信するように連結される。
【0018】
図1の例では、制御回路115は、電力変換器100の第1と第2の入力端子190、191から負荷121に連結された電力変換器出力端子192、193へと供給される電力を調節するように連結される。エネルギー伝達素子109は入力巻線103、出力巻線110、補助巻線108を含む。信号114は抵抗器111、112で形成される抵抗分割器を通して補助巻線108から制御回路115に送られる。この例に示されるように、制御器115は電力スイッチ105を通る電流を感知するように連結された電流感知回路140、電力変換器100への入力電圧を表す入力信号を受信するように連結されたセンサ回路141、電流感知回路140とセンサ回路141の出力を処理するタイミング及び乗算回路142を含む。制御器115はまた、タイミング及び乗算回路142に応答する発振回路、電力スイッチ105をオン時間の間中オン状態に、オフ時間中オフ状態にドライブするように連結されたドライブ信号発生回路144も含む。一例では制御器115は、電力スイッチ105のデューティ・サイクルを電力スイッチがオン状態にあるときに電力スイッチ内に流れる電流が2つの電流値の間で変化するのにかかる時間で乗算された入力電圧信号の値に比例するように調整するように連結される。
【0019】
回路100の基本的動作をここで
図2の波形200と201を参照して述べる。動作時では、制御回路115は信号114に応答して電力スイッチ105をスイッチングさせることによって電力変換器100の出力を調節する。スイッチ105がオンであるとき、入力キャパシタ106からのエネルギーがエネルギー伝達素子109の入力巻線103のインダクタンスの中に移送される。電力スイッチ105内を流れる通常の電流波形の一例が
図2の波形201に示される。時間202に電力スイッチ105がオンに切り換えられると、電力スイッチ105を通って流れる電流I
D203が増加し始める。例示される例に示されるように、電流I
D203は電力スイッチ105がオンに切り換えられた後に実質的に直線的に増加する。電流波形204の時間に伴う変化の速度は次式で与えられ、
dI
D/dt=V
IN/L
I (1)
ここでV
INは
図1の入力キャパシタ106にかかる入力電圧101であり、L
Iはエネルギー伝達素子109のすべての他の巻線を外部回路から分断して測定したエネルギー伝達素子109の入力巻線103のインダクタンスL
I198である。本発明の教示を曖昧にしないように、式(1)の関係は、電力スイッチ105を横切るどのような電圧降下、又は他の二次的な電圧降下を考慮しないことに留意するべきである。
【0020】
電力スイッチ105がオフに切り換えられる時間205には、電力スイッチ105内を流れる電流I
D203は値I
Dpk206に増加している。エネルギー伝達素子109の巻線103のインダクタンスL
I198内に蓄えられたエネルギーは
E
LI=1/2(L
I×I
DPK2) (2)
によって与えられる。
【0021】
電力スイッチ105がオフに切り換えられると、入力巻線103のインダクタンスL
I198内に蓄えられたエネルギーは順方向バイアスされた出力電力ダイオード117を通ってキャパシタ118と出力端子192、193に連結された負荷121に流れる電流として電力変換器の出力部に移送される。スイッチ105のオフ期間中に出力電力ダイオード117を通って電流が流れる間の、負荷121にかかる出力電圧V
O119と出力電力ダイオード117を横切る順方向の電圧降下の和は出力巻線110を横切る電圧に実質的に等しい。
【0022】
いくつかのケースで、電力スイッチ105のオフ期間中では出力巻線110から出力電力ダイオード117を通って流れる電流は実質的に停止する。このケースでは、電力変換器の動作は不連続モード動作と称される。不連続モード動作では、エネルギー伝達素子109の入力巻線103のインダクタンスL
I198内に蓄えられた実質的にすべてのエネルギーは、電力スイッチの次のスイッチング・サイクルの開始時に、電力スイッチ105が再びオンに切り換えられる前に電源の出力部に移送される。
図2の例では、エネルギー供給期間t
ed207がt
off208よりも少ないので電力変換器は不連続モードで動作している。不連続モードで動作する電力変換器では、電力スイッチ105内を流れる電流203は各々のスイッチング・サイクルの開始時に実質的にゼロに等しい値から始まる。電力スイッチ105のスイッチング・サイクル周期がT209であれば、電源の出力部に供給される電力(P
out)は以下で与えられ、
P
out=K1×1/2×L
I×I
DPK2×1/T (3)
ここでK1は電力変換器100の入力部から出力部へのエネルギー伝達における失われるエネルギーを考慮した、1未満の係数であり、例えばエネルギーをクランプするクランプ回路102内の漏れエネルギーと称されることがある損失であってインダクタンスL
I198と電力変換器100の出力部との間で結合されない損失を含むこともある。式3の項1/Tは電力スイッチのスイッチング・サイクルの周波数と称され、一例では制御器115によって決定される。
【0023】
不連続モードの動作で動作する電力変換器の最大出力電力性能は以下で書かれることが可能である。
【0024】
P
outmax=K2×1/2×L
I×I
DPKMAX2×1/T (4)
ここでI
DPKMAXは制御器115によって決定される最大保護電流限度の電流しきい値である。K2は式(3)の負荷条件と比較したときの式(4)の最大負荷条件時のエネルギー損失に比例した変化に起因して式(3)のK1とは異なる係数である。電力変換器毎のL
I、I
DPKMAX、Tの公差は変換器毎のP
outmaxの公差を決定する。付け加えると、電力変換器が動作している周囲温度などの変化する動作条件の下での単一の電力変換器におけるL
I、I
DPKMAX、Tの公差もやはりP
outmaxの公差を決定する。
【0025】
ここで式(1)を再配置すると
dI
D×L
I=V
IN×dt (5)
である。最大の電力変換器負荷の条件について値を置き換えると
dI
DPKMAX×L
I=V
IN×dt
onmax (6)
となる。
【0026】
したがって、I
DPKMAX又はL
Iのどちらかにおけるどのような変化も式(6)の関係によるV
IN×dt
onmaxの積の変化に結果としてなる。下記で述べられるように、V
IN×dt
onmaxの積に応答する内部信号を生成するため、及びV
IN×dt
onmaxの積に比例するように電力スイッチ105のスイッチング・サイクル周期を調節するために、例えば制御器115はV
INとdt
ONMAXの両方を検出し測定するように連結される。この方式で、電力スイッチのスイッチング・サイクル周期はI
DPKMAX、L
I又は両方の組合せの変化の結果として生じる電力変換器の最大出力電力の変動を削減するようにI
DPKMAX又はL
Iのどちらかの任意の変化に応答する。
【0027】
制御器115が入力電圧V
IN101を表す信号を受信するように連結されることが可能な多くの方式がある。一例では、入力キャパシタ106と制御器115との間に直接接続130が作られる。他の例では、制御器115は電力スイッチ105がオン状態にあるときに端子123から流れ出る電流I1 180を検出するように連結される。この期間に、端子123の電圧は端子107の電圧と実質的に同じになるようにクランプされる。したがって、電力スイッチ105がオン時間の間にあるときに補助巻線108を横切って現れる電圧はN
I170に対するN
AUX171の巻き数比で乗算された入力電圧V
IN101に実質的に等しいので、この電流I1 180は入力電圧V
IN101を表す。したがって、抵抗器111の選択は電力スイッチ105のオン時間の間に流れる電流I1 180の値を決定する。したがって、電流I1 180は入力電圧V
IN101を表す信号である。一例では、電流I1 180は
I1=KV
IN (7)
と書かれることが可能であり、ここで
K={N
AUX/N
I}/R
111 (8)
である。上記の式(8)の関係は電力スイッチ105がオン状態にあるときに端子123が実質的に接地端子124の電位にあると仮定している。
【0028】
図3の波形は、式(6)の関係が電力変換器の最大電力出力を制御するためにどのように使用されるかの例を述べるために下記で使用される。この例では、
図3の波形300の例は電力スイッチ105の2つの電流波形303と304を示す。両方の波形303と304において、電力スイッチの電流I
D302は実質的にI
DPKMAX305に等しい最終値へと傾斜しており、この最終値は例えば
図1の制御器115によって設定される電力スイッチ105内を流れることができる最大ピーク電流を規定する保護電流限度しきい値である。図示されるように、波形304のケースにおける、X%高いエネルギー伝達素子入力巻線インダクタンスL
Iは、同じ保護電流限度しきい値I
DPKMAX305に達するために電力スイッチ105が波形303において電力スイッチ105がオンであるよりもX%長くオンであることを必要とする。したがって電力スイッチ105のオン時間の増加はV
INが一定であることを仮定する式(1)の関係において予測されるようにエネルギー伝達素子入力巻線インダクタンスの増加に直接比例する。電力スイッチ105のオン時間のこの増加に応答して式(4)の電力スイッチのスイッチング・サイクル周期TもやはりX%増加させられれば、L
IもやはりさらにX%高いのでP
outmaxの値は実質的に一定を保つことができる。したがって、エネルギー伝達素子入力巻線インダクタンスL
Iの公差のケースでは、係数Ka309について正しい値は実質的に1に等しい。
【0029】
図3の波形301の例は電力スイッチ105の2つの電流波形306と307を示している。図示されるように、波形306と307が保護電流限度しきい値に達するまで電力スイッチ105がオンである間、電流波形306と307は実質的に直線的に増加する。この例では、波形306はI
DPKMAXnom309の保護電流限度しきい値を有し、その一方で波形307はI
DPKMAXY308の保護電流限度しきい値を有し、電流限度しきい値I
DPKMAXnom309よりもY%高い。したがって、保護電流限度しきい値がY%増加すると電力スイッチ105のオン時間は実質的にY%増加する。
【0030】
しかしながら式(4)の関係から、電流限度しきい値のこのY%増加の影響は電力変換器100の最大出力電力性能P
outmaxに対して自乗効果を有する。例えば式(4)のI
DPKMAXの値が5%増加させられれば、式(4)のP
outmaxの値は実質的に10%増加する。例えば±15%などの小さいパーセンテージ変化を自乗することは全体的なパーセンテージ変化の実質的な2倍化に結果としてつながり、電力スイッチ保護電流限度しきい値の変化の影響を実質的に相殺するために
図3の係数Ka310が実質的に2に等しくなるように選択される。
【0031】
図4は電力スイッチのスイッチング・サイクル周期と、電力変換器への入力電圧を表す信号と電力スイッチのオン時間の間t
onとの積との間の関係に関する曲線を示している。上記で検討されたように、実質的に1に等しいKaの値はエネルギー伝達素子入力巻線インダクタンスL
Iのばらつきを実質的に相殺し、その一方で実質的に2に等しいKaの値は制御器115の保護電流限度しきい値のばらつきを相殺する。
【0032】
図5は本発明の教示に従って電力変換器の最大出力電力を制御するための一例の方法のフローチャートを示している。ブロック501で電力スイッチがオンに切り換えられ、ブロック502でタイミング周期が開始される。これまで検討されたタイミング周期は電力スイッチのオン時間の間であるが、電力スイッチ内に2つの別々の電流レベルがあるとき、タイミング周期が電力スイッチのオン時間中の任意の時間に始まって終わることがあることに、上記の記述を参照して留意するべきである。ブロック512で、電力変換器への入力電圧を表す信号が感知される。ブロック503でタイミング周期が始まって以降に電力スイッチの電流が2つの電流しきい値の間で変化したかどうかが判定される。これまでの記述では、第1の電流しきい値は実質的にゼロであり、第2の電流しきい値は保護電流限度しきい値であった。しかしながら、エネルギー伝達素子入力巻線インダクタンスの公差の補正のみが要求される場合、電力スイッチのオン時間中の電力スイッチ電流波形の傾きを判定するために2つの他の電流しきい値が使用されることもある。保護電流限度しきい値の公差の補正が要求される場合、ブロック503における電流しきい値のうちの少なくとも1つが保護電流限度しきい値でなければならない。ブロック504で、タイミングが停止され、入力電圧を表す信号とタイマーの開始と停止との間の測定された時間との積(KV
IN×t)が計算される。ブロック505、506、507、508、509は(KV
IN×t)の計算に基づいて必要な措置を決定する。特に、(KV
IN×t)がブロック505において公称値よりも大きい場合、電力スイッチのスイッチング・サイクル時間がブロック507で増加させられる。一例では、この公称値は電源の設計段階において決定されてもよい。特に、設計者は望ましい出力電力を達成するための公称値が何であるか計算することが可能である。説明するために、抵抗器R
111、したがってKを選択することによって設計者は
図4から与えられる(V
IN×t)に関して公称動作周期を選ぶことが可能である。例えば公称周期は
図4における点(1.1)であってもよい。(KV
IN×t)が公称値よりも大きい(例えば
図4において1よりも大きい)場合、周期は増加するであろう。
図5に戻って参照すると、(KV
IN×t)がブロック506において公称値よりも小さい場合、電力スイッチのスイッチング・サイクル時間はブロック508において削減される。(KV
IN×t)が公称値であれば、ブロック509においてスイッチング・サイクル周期への変更は為されない。ブロック510は、次の電力スイッチのスイッチング・サイクルをブロック501で開始する前に現在のスイッチング・サイクルが完全であるかをどうか判定する。
【0033】
上記の記述は(KV
IN×t)積の判定値に基づく調節のための制御パラメータとして電力スイッチのスイッチング周期を使用しているが、さらに一般的には電力スイッチのデューティ・サイクルとして知られているいずれかの電力スイッチのスイッチング・サイクル周期中の電力スイッチのオフ時間に対する電力スイッチのオン時間の比がさらに広義の同じ制御機能の説明であることに留意するべきである。概して、電力スイッチのデューティ・サイクルは電力スイッチのスイッチング・サイクル周期を調節することによって調節されるが、電力スイッチの保護電流限度しきい値を調節すること、各スイッチング・サイクル周期中の電力スイッチがオンである時間を直接制御すること、オンオフ制御、パルス幅変調、又は他の適切な電力変換器スイッチング技術を含めた他の技術によることも同様に可能である。
【0034】
図6は、一例では
図1の制御器115と等価である制御器615の一部分の詳細な結線図を示している。電圧源V
AUX603は一例では
図1の補助巻線電圧V
AUX181と等価である。一例では、制御器615は
図1の電力スイッチ105と等価である電力スイッチをドライブするように連結される。一例では、抵抗器601は
図1の抵抗器R
111と等価である。一例では、接地電位端子605は
図1の接地電位端子124と等価である。
図6の回路600の下記の説明は
図7の波形700を参照する。
【0035】
図6に示されるように、電力変換器への入力電圧V
IN101を表す電流信号606が電力スイッチ105のオン時間中に流れる。トランジスタ632と633のゲートの結合はFB端子603の電圧を実質的に制御器の接地電位605に実質的に等しく維持し、それにより、電力信号606の値はV
AUX/R
601に実質的に等しくなる。電流源634はトランジスタ633をバイアスする。電流606はトランジスタ637と電流ミラーを形成するトランジスタ631内にも同様に流れる。しかしながら、CLKライン607がハイである期間についてのみオンであるトランジスタ636があるせいでトランジスタ631のゲートの電圧がサンプリングされて次回のCLKライン信号607がハイに進むまでキャパシタ663に保持される。電力スイッチ706のオン時間706の開始の後の遅延期間にCLKライン信号の波形703がハイに進むことに留意するべきである。一例では、この遅延期間は実質的に400ナノ秒に等しく、CLKラインのパルスのハイ持続時間は実質的に100ナノ秒に等しい。キャパシタ663を横切って保持される電圧はトランジスタ639がオンであるときにトランジスタ637に流れる電流の値を設定する。トランジスタ639は、一例では
図1の信号122と同等である電力スイッチのゲートをドライブする信号608、701がハイである持続時間に関してオンに切り換えられる。したがってトランジスタ639のオン時間の間、キャパシタ642は
図7に波形704で例示されるような一定の電流で充電される。充電電流610の値は上記に述べられたように電流信号606の値によって決定されるので、上昇電圧707の傾斜は電力変換器への入力電圧を表す電流信号606の値に応答する。キャパシタ642は電力スイッチのオン時間の間にこの速度で充電され、それにより、電力スイッチのオン時間の間の終了時のキャパシタ642を横切る電圧は入力電圧信号と電力スイッチのオン時間の間との積を表す。ゲート信号608を電力スイッチのオン時間の間の一部についてのみハイである信号で置き換えることによって電力スイッチの全部のオン時間の間以外の時間が選択されることに留意するべきである。さらなるゲート信号CLK−GF609は、一例ではキャパシタ643がキャパシタ642を横切る電圧をサンプリングして保持することを可能にする実質的に100ナノ秒である短期間についてトランジスタ641をオンに切り換える。次のスイッチング・サイクル中の次の電力スイッチのオン時間に備えるようにキャパシタ642をリセットするためにCLK−GF信号609の遅延バージョンがトランジスタ640に印加される。キャパシタ643の放電を阻止する補助をするようにキャパシタ643が高インピーダンスにのみ連結されることを確実にするために、部品644、645、646、647、648、649が高インピーダンスのバッファ回路を供給する。この高インピーダンスのバッファは、キャパシタ643を横切る電圧に実質的に等しい抵抗器610を横切る電圧を供給するように動作する。したがって分かっている抵抗器610を横切って分かっている電圧が確立され、分かっている電流618がトランジスタ651内を流れてトランジスタ652内を流れる電流616としてミラーされる。トランジスタ657のベースに加えられる基準電圧レベルV
bg+V
be612は、一例では抵抗器610に実質的に等しい値を有する抵抗器611を横切る電圧V
bgを印加することで電流619を設定し、これがいったんトランジスタ656によって反映され、再びトランジスタ655と654によって反映されることで電流613を供給する。上述の電流616が電流613の値を超えるまでダイオード653が逆バイアスされ、したがって電流617が実質的にゼロに等しいことは理解できるであろう。電流613を超える電流616の値のために、電流617が抵抗器661を流れる電流677に寄与し、これが今度は他方で発振器の電圧レベル、したがって電力スイッチのスイッチング・サイクル周期の逆数である発振器周波数を調節する。一例では発振器604は抵抗器661の2つのノードの電圧の間で充電され放電されるキャパシタを含む。
【0036】
しきい値よりも下では電流616は電力スイッチのスイッチング・サイクル周期に影響を及ぼさないことを、電流613とダイオード653の作用が保証することに留意するべきである。これは補償されることが可能なエネルギー伝達素子の入力巻線インダクタンスと制御器の保護電流限度しきい値の公差を限定する。
【0037】
上記の回路説明から、発振器のスイッチング周波数に対して有する影響電流677の度合いが抵抗器661の値の関数であるので
図4のKaの値が実質的に一定であることは明らかである。したがって、制御器が実質的に完全にエネルギー伝達素子のインダクタンスを、したがって部分的にのみ保護電流限度しきい値の公差を補償するべきかどうか選択することが必要である。あるいは、抵抗器661の選択は実質的に完全に保護電流限度しきい値を補正し、したがってエネルギー伝達素子のインダクタンスを余分に補償するようになされることもある。実際の回路では、
図4に例示されたKa=1とKa=2の値の間のある場所で妥協点を与えるように選択される。Kaの値に関する一例の実際の選択は実質的に1.3に等しい。
【0038】
図1の回路を参照すると、
図6の回路は一例ではセンサ141に等価であるセンサ回路699、一例ではタイミング及び乗算回路142に等価であるタイミング及び乗算回路698、一例では発振回路143に等価である発振器604を含む。
図6の回路は一例では
図1の信号146に等価であってドライブ信号発生回路144に連結される信号691、及び一例では
図1の電流感知回路140からの出力信号145に等価である信号608もやはり示している。
【0039】
図6の特定の例では、制御器のゲート・ドライブ信号608は保護電流限度しきい値に到達したときに生成されるので、電力スイッチ105へのゲート・ドライブは
図1の出力信号145に等価である。しかしながら、保護電流限度しきい値以外の電流しきい値がタイミング及び乗算回路142を信号145で制御するために使用された場合、信号145が電力スイッチのゲート・ドライブ信号608に相当しないことに留意するべきである。
【0040】
したがって上記の説明は電力スイッチに連結され、かつ電源への入力電圧を表す入力電圧信号を受信するように連結された制御器の一部分を形成することもある回路実装例の詳細な具現化を例示している。電力スイッチがオン状態にある時間である期間は一例では電力スイッチ内を流れる電流が2つの値の間で変化するように、制御器が電力スイッチのスイッチング・サイクル周期を入力電圧信号と時間との積に比例するように調整するように取り入れられる時間である。
【0041】
制御回路615の上記の記述では、発振器604の周期は抵抗器661を横切る電圧に応答する。しかしながら、他の例では発振器の周期はその代わりにデジタル・カウンタ回路の値に応答してもよく、それでもなお本発明の教示から恩典を受ける。一例では、デジタル・カウンタ回路は電力スイッチのスイッチング周波数よりも高い周波数で電力変換器への入力電圧を表す入力信号の値に応答してインクリメントされる。次いで、発振器604の周波数を後に続くスイッチング・サイクル内で設定するためにデジタル・カウンタのカウントの値がしきい値の数と比較される。発振器の周期を制御するために上記の記述の代替として他の技術が使用されることが可能であるが、それでもなお本発明の広義の教示から恩典を得ることに留意するべきである。
【0042】
図6に述べられた回路の具現化が発振器の周期のサイクル毎の調節を供給することに留意するべきである。複数のサイクル全体にわたって発振器の周期が調節される上記の記述の代替形態が使用されることも可能であり、それでもなお本発明の広義の教示から恩典を得ることに留意するべきである。
【0043】
前述の説明は、入力電圧を表す信号と電力スイッチ内を流れる電流が2つのしきい値の間で変化する時間との積に応答して電力スイッチのスイッチング周期が調節される技法を述べている。しかしながら、電力スイッチ内を流れる電流が2つのしきい値の間で変化する時間を測定し、この時間を電源への入力電圧を表す入力電圧信号に応答する期待時間又は対照時間と比較するために同様の機能を達成するための同等の方法があることに留意するべきである。次いで、測定された時間と対照時間との間の差異に応答して電力スイッチのデューティ・サイクルを調節する。一例では、電力スイッチのデューティ・サイクルを調節するために使用される方法は電力スイッチのスイッチング・サイクル周期を調節することである。
図8のフローチャートはそのような方法を例示している。ブロック801で電力スイッチがオンに切り換えられ、電源への入力電圧を表す信号がブロック802で感知される。812でタイマーが開始され、電力スイッチ内の電流が2つのしきい値の間で変化したかどうかの判定がブロック803でなされる。ブロック804で、タイミングが停止されてt
measuredが計算される。ブロック811で、期待時間又は対照時間t
controlが計算される。ブロック805、806、807、808、809で、t
controlとt
measuredとの間の比較に応答して電力スイッチのスイッチング・サイクル周期が調節される。特に、ブロック805でt
measured>t
controlであればブロック807で電力スイッチのスイッチング・サイクル周期が増加させられる。ブロック806でt
measured<t
controlであればブロック808で電力スイッチのスイッチング・サイクル周期が減少させられる。t
measuredが実質的にt
controlに等しければブロック809で電力スイッチのスイッチング・サイクル周期は変えずに残される。
【0044】
要約に述べられる事項を含めて本発明の例示された例の上記の説明は完全であること、又は開示された正確な形態への限定であることが意図されていない。本発明の特定の実施形態及び例が例証の目的で本願明細書に記述されるが、本発明の広義の精神と範囲から逸脱することなく様々な同等の改造形態があり得る。実際に、説明目的のために特定の電圧、電流、周波数、電力範囲の値、時間などが与えられていること、及び本発明の教示に従って他の値が他の実施形態及び例において使用されることもやはりあることは理解できるであろう。
【0045】
上述の説明を考慮に入れて、これらの改造が本発明の例に為されることが可能である。添付の特許請求項に使用される用語は、明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に本発明を限定するように解釈されるべきではない。そうではなく、範囲は完全に添付の特許請求項によって決定され、これらは確立された特許解釈の原則に従って解釈されるべきである。したがって、本明細書及び図面類は限定ではなく、例証と見なされるべきである。