(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694502
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】印刷回路基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/09 20060101AFI20150312BHJP
H05K 3/42 20060101ALI20150312BHJP
H05K 3/06 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
H05K1/09 C
H05K3/42 620B
H05K3/06 A
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-268846(P2013-268846)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-37181(P2015-37181A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2013年12月26日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0095477
(32)【優先日】2013年8月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ション
(72)【発明者】
【氏名】キャン,ヨン ド
(72)【発明者】
【氏名】ベ,ソン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユン ス
(72)【発明者】
【氏名】リ,ヨン ゼ
【審査官】
小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−212045(JP,A)
【文献】
特開平07−235618(JP,A)
【文献】
特開2009−277905(JP,A)
【文献】
特開2009−253268(JP,A)
【文献】
特開2002−124460(JP,A)
【文献】
特表平10−500609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/09
H05K 3/06
H05K 3/38
H05K 3/42
H05K 3/46
H01L 21/00
H01L 23/12
B05D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された回路パターンと、を含み、
前記回路パターンは、シード層と前記シード層上に形成された金属層とを有し、
前記シード層の両側面にエッチング溝が形成され、前記エッチング溝の長さが回路パターンの線幅の1/8以下である、印刷回路基板。
【請求項2】
前記回路パターンの側壁部に形成された保護層をさらに含む、請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項3】
前記エッチング溝の高さが回路パターンの高さの1/8以下である、請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項4】
前記エッチング溝の入口部の高さとシード層の高さとが一致する、請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項5】
前記回路パターンは、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)およびクロム(Cr)からなる群から選択される一つ以上の金属で形成されている、請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項6】
前記シード層の高さは、前記絶縁層の上面から0.05〜2μmである、請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項7】
シード層を有する絶縁層を設ける段階と、
前記シード層上に開口部が形成されためっきレジストを形成する段階と、
前記開口部にめっき処理を施して回路パターンを形成する段階と、
前記めっきレジストを除去する段階と、
前記回路パターン上に保護層を形成する段階と、
前記保護層の側壁部以外の他の部分をドライエッチングする段階と、
前記ドライエッチングにより表面上に露出したシード層をウェットエッチングする段階と、を含む。印刷回路基板の製造方法。
【請求項8】
回路パターンの側壁部の保護層をプラズマ灰化工程により除去する段階をさらに含む、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記絶縁層にシード層を形成する段階は、スパッタ蒸着法、無電解めっき法および金属薄膜積層法のうち少なくとも一つ以上の方法により行われる、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記シード層上に開口部が形成されためっきレジストを形成する段階は、前記回路パターンに対応する位置に露光処理および現像処理を施すことにより行われる、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記開口部にめっき処理を施して回路パターンを形成する段階は、前記開口部に露出したシード層上において電解めっき法により行われる、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記回路パターン上に保護層を形成する段階は、CH4、C2H2、C4H8、CF4、C2F6、C3F8、C4F8およびCHF3から選択される一つ以上の気体を用いてプラズマ蒸着法により行われる、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記気体は、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)、窒素(N2)および水素(H2)から選択される一つ以上のものを含む、請求項12に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記保護層の側壁部以外の他の部分をドライエッチングする段階は、酸素リアクティブイオンエッチングまたはイオンビームエッチングにより行われる、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項15】
前記酸素リアクティブイオンエッチングは、アルゴン(Ar)、水素(H2)、窒素(N2)、またはこれらが混合した気体を用いて行われる、請求項14に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項16】
前記ドライエッチングにより表面上に露出したシード層をウェットエッチングする段階は、硫酸(H2SO4)、過酸化水素水(H2O2)、塩化銅(CuCl2)、塩化第二鉄(FeCl3)、硝酸(HNO3)、リン酸(H3PO4)、またはこれらの混合物を用いて行われる、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷回路基板のフリップチップボールグリッドアレイ(FCBGA)などのパッケージ用基板において、10μm/10μm以下のピッチ(pitch)に対する需要が急増しており、これに伴い変形されたセミアディティブ工法(modified semi−additive process;MSAP)をはじめ、様々な工法が開発されている。
【0003】
このような微細回路は、5μm/5μm以下のFCBGAと、3μm/3μm以下のインタポーザ(interposer)などの製品において具現される見込みである。
【0004】
微細回路を具現するにあたり、シード層(seed layer)とこれにめっきを施す方式は、最終的に、シード層を残渣が生じることなくエッチングしなければならない。
【0005】
この際、シード層の厚さよりもオーバエッチングすることで残渣のない表面を形成することができるが、回路線幅において変化が生じる。回路線幅の変化は基板の変形を起こし、実際の工程において所望の線幅より高い露光解像度を要求する。
【0006】
さらに、アンダーカット(undercut)の問題も併せて有しており、より高い不均衡の割合で算定するときに3μm/3μmの回路を具現することができる。
【0007】
アンダーカットに対する影響は、微細回路においてさらに問題となり、ひどい場合には数μmの深さをもって進み、回路線(RDL)が剥離される現象さえもたらし、微細回路の具現が極めて困難となる。
【0008】
その他にも、現在より高いアスペクト比(aspect ratio)を有する新たな線幅構造が、以降の微細回路関連技術において要求されているため、回路線の側面を保護して寸法を一定にする技術と、アンダーカットを防止する技術は、フリップチップボールグリッドアレイ、駆動ドライブを実装しなければならないフレキシブル配線板(FPC)、チップダイと基板の線幅の差を補正する役割のインタポーザなどの製品において必要である。
【0009】
一方、特許文献1には、フラッシュエッチングの際に、回路パターンのエッチングを防止する印刷回路基板の製造方法が開示されているが、前記回路パターンの線幅を保護し、アンダーカットを抑制する効果を充分に具現できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許第2010−0029561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、鋭意研究の結果、印刷回路基板の回路パターンのシード層の両側面にエッチング溝を形成することで前記回路パターンの線幅を保護し、アンダーカットを抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明の一つの目的は、回路パターンの線幅を保護し、アンダーカットを抑制できる印刷回路基板を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、前記印刷回路基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一つの目的を達成するための印刷回路基板(以下、「第1発明」とする)は、絶縁層と、前記絶縁層上に形成された回路パターンと、を含み、前記回路パターンは、シード層と前記シード層上に形成された金属層とを有し、前記シード層の両側面にエッチング溝が形成されている。
【0015】
第1発明において、前記回路パターンの側壁部に形成された保護層をさらに含む。
【0016】
第1発明において、前記エッチング溝の長さが回路パターンの線幅の1/8以下である。
【0017】
第1発明において、前記エッチング溝の高さが回路パターンの高さの1/8以下である。
【0018】
第1発明において、前記エッチング溝の入口部の高さとシード層の高さとが一致する。
【0019】
第1発明において、前記回路パターンは、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)およびクロム(Cr)からなる群から選択される一つ以上の金属で形成されている。
【0020】
第1発明において、前記シード層の高さは、前記絶縁層の上面から0.05〜2μmである。
【0021】
本発明の他の目的を達成するための印刷回路基板の製造方法(以下、「第2発明」とする)は、シード層を有する絶縁層を設ける段階と、前記シード層上に開口部が形成されためっきレジストを形成する段階と、前記開口部にめっき処理を施して回路パターンを形成する段階と、前記めっきレジストを除去する段階と、前記回路パターン上に保護層を形成する段階と、前記保護層の側壁部以外の他の部分をドライエッチングする段階と、前記ドライエッチングにより表面上に露出したシード層をウェットエッチングする段階と、を含む。
【0022】
第2発明において、前記方法は、回路パターンの側壁部の保護層をプラズマ灰化工程により除去する段階をさらに含む。
【0023】
第2発明において、前記絶縁層にシード層を形成する段階は、スパッタ蒸着法、無電解めっき法および金属薄膜積層法のうち少なくとも一つ以上の方法により行われる。
【0024】
第2発明において、前記シード層上に開口部が形成されためっきレジストを形成する段階は、前記回路パターンに対応する位置に露光処理および現像処理を施すことにより行われる。
【0025】
第2発明において、前記開口部にめっき処理を施して回路パターンを形成する段階は、前記開口部に露出したシード層上において電解めっき法により行われる。
【0026】
第3発明において、前記回路パターン上に保護層を形成する段階は、CH
4、C
2H
2、C
4H
8、CF
4、C
2F
6、C
3F
8、C
4F
8およびCHF
3から選択される一つ以上の気体を用いてプラズマ蒸着法により行われる。
【0027】
第2発明において、前記気体は、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)、窒素(N
2)および水素(H
2)から選択される一つ以上のものを含む。
【0028】
第2発明において、前記保護層の側壁部以外の他の部分をドライエッチングする段階は、酸素リアクティブイオンエッチングまたはイオンビームエッチングにより行われる。
【0029】
第2発明において、前記酸素リアクティブイオンエッチングは、アルゴン(Ar)、水素(H
2)、窒素(N
2)、またはこれらが混合した気体を用いて行われる。
【0030】
第2発明において、前記ドライエッチングにより表面上に露出したシード層をウェットエッチングする段階は、硫酸(H
2SO
4)、過酸化水素水(H
2O
2)、塩化銅(CuCl
2)、塩化第二鉄(FeCl
3)、硝酸(HNO
3)、リン酸(H
3PO
4)、またはこれらの混合物を用いて行われる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の代表的な具現例による印刷回路基板およびその製造方法によれば、回路パターンのシード層の両側面にエッチング溝が形成された印刷回路基板を提供することで、回路パターンの線幅を保護し、アンダーカットを抑制する効果を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一具現例による印刷回路基板を示す断面図である。
【
図2】本発明の他の具現例による回路パターンの側壁部に保護層が形成された印刷回路基板を示す断面図である。
【
図3】本発明の一具現例による印刷回路基板を製造する工程を概略的に示すブロック図である。
【
図4】本発明の一具現例による印刷回路基板のエッチング溝を形成する過程の各段階を概略的に示す工程図である。
【
図5】本発明の一具現例による印刷回路基板のエッチング溝を形成する過程の各段階を概略的に示す工程図である。
【
図6】本発明の一具現例による印刷回路基板のエッチング溝を形成する過程の各段階を概略的に示す工程図である。
【
図7】本発明の一具現例による印刷回路基板のエッチング溝を形成する過程の各段階を概略的に示す工程図である。
【
図8】本発明の一具現例による印刷回路基板のエッチング溝を形成する過程の各段階を概略的に示す工程図である。
【
図9】本発明の一具現例による印刷回路基板のエッチング溝を形成する過程の各段階を概略的に示す工程図である。
【
図10】本発明の一具現例による印刷回路基板のエッチング溝を形成する過程の各段階を概略的に示す工程図である。
【
図11】本発明の一具現例による印刷回路基板のエッチング溝を形成する過程の各段階を概略的に示す工程図である。
【
図12A】本発明の代表的な具現例によるエッチング溝が形成された印刷回路基板の回路パターンを示す写真である。
【
図12B】アンダーカットが生じた印刷回路基板の回路パターンを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、「一面」、「他面」、「第1」、「第2」などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。以下、本発明を説明するにあたり、本発明の要旨を不明瞭にする可能性がある係る公知技術についての詳細な説明は省略する。
【0034】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0035】
本発明は、例えば、
図1に示されたような印刷回路基板において、絶縁層10上に形成されたシード層20と金属層21とを有する回路パターン30において、前記シード層20の両側面にエッチング溝が形成された印刷回路基板およびその製造方法を提供する。
【0036】
(印刷回路基板)
図1は、本発明の一具現例による印刷回路基板を示す断面図である。
【0037】
本発明の代表的な具現例による印刷回路基板は、絶縁層上に無電解めっきによりシード層を形成し、前記シード層上に電解めっきにより金属層を形成することで、前記絶縁層上に回路パターンを形成する。次に、電気的な接続のために絶縁層上に形成されたシード層の一部をエッチングする過程において回路パターンのシード層の両側面にエッチング溝が形成された印刷回路基板を形成する。
【0038】
エッチング溝は、シード層がエッチングされる過程で形成されるものであり、回路パターンの両側面に形成され、半球形の凹状のアーチ模様を形成する。
【0039】
図1を参照すると、エッチング溝の長さcは特に制限されず、回路パターンの線幅aの1/8以下であり、エッチング溝の高さdもまた回路パターンの高さbの1/8以下であることが好適である。
【0040】
前記エッチング溝の長さおよび高さが回路パターンの線幅および高さの1/8以上である場合には、従来のアンダーカットの問題が生じる虞があるため、回路パターンの線幅を保護し、アンダーカットを防止するためには、エッチング溝の長さおよび高さが回路パターンの線幅および高さの1/8以下であることが好適である。
【0041】
また、前記エッチング溝の入口部の高さは、形成されていたシード層の高さと一致してもよく、前記絶縁層の上面から0.05〜2μmの高さを有することが好適である。
【0042】
高さが0.05μm未満の場合にはシード層のエッチング過程において絶縁層の一部までオーバエッチング(over etching)されることがあり、2μmを超える場合には印刷回路基板の軽量化および薄板化を図ることができないという問題点が生じうる。
【0043】
回路パターンは、絶縁層上において無電解めっきおよび電解めっきにより形成されたものであり、特に制限されず、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)およびクロム(Cr)からなる群から選択される一つ以上の金属を用いて形成してもよく、電気的な抵抗性および経済性を鑑みて、銅(Cu)を用いることが好適である。
【0044】
図2は、本発明の一具現例による回路パターンの側壁部に保護層が形成された印刷回路基板を示す断面図である。
【0045】
図2を参照すると、シード層20上に存在する金属層21の側壁部に保護層45が形成された回路パターン30を含む印刷回路基板を形成することができる。また、側壁部に保護層が形成された状態で絶縁層をさらに積層すると、前記保護層およびエッチング溝が重なる領域が形成されて、絶縁層と回路パターンとの間の物理的な結合(anchor)が生じることもある。
【0046】
(印刷回路基板の製造方法)
図3は、本発明の一具現例による印刷回路基板を製造する工程を概略的に示すブロック図である。
【0047】
図4から
図11は、本発明の一具現例による印刷回路基板のエッチング溝を形成する過程の各段階を示す断面図である。
【0048】
本発明の代表的な具現例による印刷回路基板の製造方法は、例えば、
図3に示されたようなブロック図において、シード層を有する絶縁層を設ける段階と、前記シード層上に開口部が形成されためっきレジストを形成する段階と、前記開口部にめっき処理を施して回路パターンを形成する段階と、前記めっきレジストを除去する段階と、前記回路パターン上に保護層を形成する段階と、前記保護層の側壁部以外の他の部分をドライエッチングする段階と、前記ドライエッチングにより表面上に露出したシード層をウェットエッチングする段階と、を含み、前記製造方法は、回路パターンの側壁部の保護層をプラズマ灰化(plasma ashing)工程により除去する段階を選択的に含んでもよい。
【0049】
図4を参照すると、絶縁層10にシード層20を形成する段階は、特に制限されず、スパッタ蒸着法、無電解めっき法および金属薄膜積層法のうち少なくとも一つ以上の方法により行われてもよく、無電解めっき法によりシード層20を形成することが好適である。
【0050】
前記シード層20は、前記絶縁層10の上面から0.05〜2μmの高さを有することが好適であり、電気的な抵抗性および経済性の面を鑑みて、銅(Cu)で形成することが好適である。また、変形されたセミアディティブ工法(MSAP)による銅張積層板(copper clad laminate、CCL)を用いてシード層を形成することも可能である。
【0051】
図5を参照すると、シード層20上に開口部25が形成されためっきレジスト35を形成する段階は、回路パターンに対応する位置に露光処理および現像処理を施すことにより行われることができる。前記めっきレジスト35は、本発明において特に制限されず、感光性物質からなるフォトレジスト(photo resist)を用いることが好適である。また、前記めっきレジスト35を露光させ、回路パターンに対応する位置にレーザ加工を施すことにより開口部25を形成してもよい。
【0052】
図6を参照すると、開口部にめっき処理を施して回路パターンを形成する段階は、前記開口部25に露出したシード層20上において電解めっき法により行われることができる。前記回路パターンは、印刷回路基板の電気的信号が伝達される通路であり、シード層20上に電流を流して電解めっき法を用いて形成することができる。前記電解めっき法によりシード層20上に形成される金属層21は、特に制限されず、電気的な抵抗性および経済性の面を鑑みて、銅(Cu)で形成することが好適である。
【0053】
図7を参照すると、めっきレジストを除去する段階は、回路パターンに影響を及ぼさない水酸化ナトリウム(NaOH)などのアルカリ性物質を用いてめっきレジスト層を除去することでシード層20および金属層21を露出させる。
【0054】
図8を参照すると、シード層20および金属層21上に保護層45を形成する段階は、CH
4、C
2H
2、C
4H
8、CF
4、C
2F
6、C
3F
8、C
4F
8およびCHF
3から選択される一つ以上の気体を用いてプラズマ蒸着法により行われることができる。
【0055】
前記保護層45は、プラズマ3D−ネットワークポリマー(plasma 3D−network polymer)からなり、真空状態でシード層20および金属層21上に電力を印加してから放電させて炭素(C)、水素(H)、フッ素(F)および窒素(N)を含む単分子を蒸着させた後、CH
4、C
2H
2、C
4H
8、CF
4、C
2F
6、C
3F
8、C
4F
8およびCHF
3から選択される一つ以上の気体とプラズマの安定性および反応後に蒸着された膜の酸に対する化学的抵抗性を向上するために、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)、窒素(N
2)および水素(H
2)から選択される一つ以上の気体を含み、プラズマ蒸着法により形成することができる。
【0056】
図9を参照すると、保護層45の側壁部以外の他の部分をドライエッチングする段階は、酸素リアクティブイオンエッチング(O
2 RIE)またはイオンビームエッチング(Ion Beam Etching)により行われることができる。
【0057】
前記酸素リアクティブイオンエッチングは、アルゴン(Ar)、水素(H
2)、窒素(N
2)、またはこれらが混合した気体を用いて行われ、エッチング速度を高めるために基板を加熱することが好適である。
【0058】
前記酸素リアクティブイオンエッチングは、プラズマを形成し、電圧をかけてシード層20および金属層21上に形成された保護層45を垂直異方性エッチングする方式である。また、電圧をかけずに行うと等方性エッチングを行うことができる。
【0059】
前記イオンビームエッチングにおいて、イオンビームはプラズマを形成し、電圧をかけてイオンを引き出して直進性を持たせることで、所望のエネルギー分布を図るものであり、酸素(O
2)または酸化窒素(N
2O)を用いてもよい。前記イオンビームをエッチング工程に適用する場合にもエッチング速度を高めるために基板を加熱することが好適である。
【0060】
図10を参照すると、ドライエッチングにより表面上に露出したシード層20をウェットエッチングする段階は、金属の腐食を可能にする硫酸(H
2SO
4)、過酸化水素水(H
2O
2)、塩化銅(CuCl
2)、塩化第二鉄(FeCl
3)、硝酸(HNO
3)、リン酸(H
3PO
4)、またはこれらの混合物を用いて行われることができる。
【0061】
前記ウェットエッチングは、特に制限されず、フラッシュエッチング(flash Etching)が好適である。
【0062】
また、
図11を参照すると、前記ウェットエッチング後に回路パターンの側壁部に残存している保護層は、酸素プラズマ(O
2 plasma)を用いて基板に電圧をかけることなく、プラズマ灰化工程により除去してもよく、これに限定されるものではない。また、前記回路パターンの側壁部に残存している保護層は、除去してもよく、除去しなくてもよく、前記保護層を除去する工程段階は省略してもよい。
【0063】
図12Aは、本発明の代表的な具現例によるエッチング溝が形成された印刷回路基板の回路パターンを示す写真である。
【0064】
図12Bは、アンダーカットが生じた従来の印刷回路基板の回路パターンを示す写真である。
【0065】
図12Aおよび
図12Bを参照すると、
図12Aは、本発明の代表的な具現例によるエッチング溝が形成された印刷回路基板の回路パターンを示す写真であり、
図12Bは、アンダーカットが生じた印刷回路基板の回路パターンを示す写真である。
【0066】
つまり、本発明の代表的な具現例による印刷回路基板は、従来のアンダーカットが生じた印刷回路基板に比べ、回路パターンの線幅を保護することができ、アンダーカットより著しく小さいエッチング溝が形成されて、回路パターンの変形または不良を防止することができる。
【0067】
上述の印刷回路基板およびその製造方法によれば、回路パターン上に保護層を形成することで、ウェットエッチングに対するアンダーカットを抑制することができ、これにより、前記回路パターンの線幅を保護することができる。
【0068】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0069】
本発明の単純な変形乃至変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、印刷回路基板およびその製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 絶縁層
20 シード層
21 金属層
25 開口部
30 回路パターン
35 めっきレジスト
45 保護層