(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
紙、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステルタイプのポリマーフィルム及び自己粘着性又は感圧粘着性エレメントの粘着面を保護するためのポリマーフィルムより成る群から選択される柔軟基材であることを特徴とする、請求項15に記載の基材。
【背景技術】
【0002】
これらの硬化可能な不粘着性シリコーン組成物は、かかる基材上に可逆的に積層される粘着性材料の除去を容易にするために、これらの基材に適用される。
【0003】
これらの液状シリコーン組成物は、非常に高速(例えば600m/分)で作動するシリンダーを含む工業用コーティング装置を用いて基材フィルムに適用される。これらの非常に高速のコーティング操作においては、もちろん、液状シリコーンコーティング組成物の粘度を綿密にコーティング操作条件に適応させるべきである。
【0004】
実際上は、不粘着性シリコーンの塗布速度は0.1〜2g/m
2の範囲、好ましくは0.3〜1g/m
2の範囲であり、これはμm桁の厚さに相当する。柔軟基材に塗布されたら、このシリコーン組成物は架橋して固体状の撥水性且つ/又は不粘着性シリコーンコーティング(例えばエラストマー)を形成する。
【0005】
非常に高速の工業的コーティング速度を考慮に入れると、適切な架橋をもたらすために架橋速度は極めて迅速であるべきであり、即ち不粘着性シリコーンフィルムは粘着防止というそれらの役割をできる限り果たすことができ且つ所望の機械的品質を有することができるのに充分に架橋すべきである。不粘着性シリコーンコーティングの架橋の品質の評価は、特に架橋していない抽出可能化合物(その量はできる限り少ないべきである)を分析することによって行うことができる。例えば、抽出可能物質の量は、通常の工業的架橋条件下において、5%未満であるのが好ましい。
【0006】
シリコーンコーティングのフリーの外側面の不粘着性は、不粘着性シリコーンコーティングでコーティングされる基材上に置かれることが予定されるエレメントについての剥離力によって表され、この剥離力は弱く且つ調節可能であるべきである。慣用的には、このエレメントは、ラベル又はテープ(同じ名前を持つ)の粘着面であることができる。
【0007】
従って、この弱くて調節可能な不粘着性に加えて、その基材上のシリコーンコーティングの粘着性は非常に強いべきである。この粘着特性は、例えばコーティングの表面を指で擦り、コーティングが損傷する時までに擦った回数を数えることから成るラブオフ(rub off)(擦り取り)技術試験を用いて、評価される。
【0008】
また、これらのシリコーンコーティング組成物であってヒドロシリル化(例えばSi−H/Si−Vi)によって架橋することができるものは、工業用コーティング機中のコーティング浴の形にある時に室温においてできるだけ長い寿命を有することも重要である。
【0009】
不粘着性シリコーンフィルムでコーティングされる柔軟基材は、例えば、
・紙又はポリオレフィンタイプ(ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン若しくはポリエチレン)又はポリエステルタイプ(ポリエチレンテレフタレート(PET))のポリマーフィルム;
・内側面が感圧接着剤の層でコーティングされ且つ外側面が不粘着性シリコーンコーティングを含む粘着テープ;或は
・自己粘着性又は感圧粘着性エレメントの粘着面を保護するためのポリマーフィルム:
であることができる。
【0010】
取扱いの安全性及び毒性という明らかな理由で、有利には溶剤フリーのシリコーン組成物が本発明において求められる。
【0011】
この局面の他に、経済性の観点から、これらの溶剤フリーであるのが有利なシリコーンコーティングは、紙製の柔軟基材に適した標準的な工業用コーティング機に対して用いることができることが好ましい。これは、取扱いを容易にするため、良好なコーティング品質を有するため、及び非常に速い工業的コーティング速度において発現するミスト形成(ミスティング)の問題を低減させるために、この組成物が比較的低粘度(例えば1000mPa・s以下)を有することを意味する。
【0012】
液状シリコーンコーティング組成物の配合のために考慮すべきである別の要件は、ラベル用のライナーとして有用なポリマー(特にPETのようなポリエステル)製の柔軟基材を巻きつけたりほどいたりする操作を容易にするために、架橋したシリコーンエラストマーコーティングの摩擦係数が制御可能であるべきであるということである。
【0013】
この用途にとっては、エラストマーシリコーンコーティングが、滑らかな外観や基材の透明性又は機械的特性に悪影響を及ぼさないことが重要である。滑らかな外観及び機械的特性は、非常に高速で高精度で剥がすために必要である。透明性は、光学検出器を用いてフィルムの均一性を高速で検査するために、望ましい。
【0014】
不粘着性コーティングにおいては、剥離力の制御が重要である。有利には、この制御は低速及び高速において有効であるべきである。低速における剥離力と高速における剥離力との間の釣り合いは通常、不粘着性プロファイルと称される。
【0015】
上に挙げた特性の他に、すべての基材について、基材上のシリコーンコーティングの粘着又は付着(ラブオフ耐摩耗性によって示される)が最適なものであり且つ経時安定であることが、一番最初に望まれることであり、これはラベル用の粘着剤が存在する場合にも同じである。
【0016】
そこで、その他の仕様に害を与えることなく、この基材上のシリコーンコーティングの粘着又は付着のパラメーターを最適化することが、本発明の範疇において特に興味深いことである。
【0017】
欧州特許公開第159693A2号公報から、アルケニル化された線状ポリオルガノシロキサンM
Vi2-5D
50-1000T
a'''≧0M
0-0.5、ヒドロゲノシロキシル単位(≡Si−H)を有する線状ポリオルガノシロキサン、白金触媒、架橋抑制剤、及び付着促進用添加剤としてのエポキシ、オキシラン又はカルボキシタイプの官能性グラフトを有するMD
xMタイプのポリオルガノシロキサンの1種を含み、紙やポリマー基材に対する改善された粘着性を有する、不粘着性シリコーン組成物は、周知である。より正確には、この添加剤は、M[D
AGE]
xD'M(AGE=アリルグリシジルエーテル)又はM[D
アルコキシシリル]
x[D
カルボキシ]
xD'M(D'=ヒドロゲノシロキシル単位(≡Si−H))であることができる。この添加剤は、ヒドロゲノシロキシル単位を有する慣用の架橋用オイルと共に配合することができないという大きな欠点を有する。実際、このタイプの添加剤をヒドロゲノシロキシル単位を有する架橋用シリコーンオイルと共に配合した場合には、配合物中で濁りや脱混合といった現象が見られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
この範疇で、本発明の主な目的は、有利には溶剤フリーであり且つ即座に架橋して柔軟基材用の撥水性且つ/又は不粘着性コーティングになることができる新規の液状シリコーンコーティング組成物であって、非常に高品質、特に基材に対する付着/粘着性(ラブオフ現象なし)及び不粘着性プロファイル(充分に高い高速剥離力)(後者の特性は特に付着促進用添加剤の結果としてもたらされる)の点で非常に高品質の架橋したシリコーンコーティングを生成するものを提供することにある。
【0020】
本発明の別の主な目的は、有利には溶剤フリーであり且つ迅速に架橋して柔軟基材用の撥水性且つ/又は不粘着性コーティングになることができる新規の液状シリコーンコーティング組成物であって、有効であり且つ該組成物の保存に対して有害作用が何らない付着促進用添加剤を含むものを提供することにある。
【0021】
本発明の別の主な目的は、有利には溶剤フリーであり且つ迅速に架橋して紙やポリオレフィンタイプ(ポリ塩化ビニル(PVC))、ポリプロピレン若しくはポリエチレン)又はポリエステルタイプ(ポリエチレンテレフタレートPET)のポリマーフィルム等の柔軟基材用の撥水性且つ/又は不粘着性コーティングになることができる新規の液状シリコーンコーティング組成物を提供することにある。
【0022】
本発明の別の主な目的は、改良型付着促進剤を添加された新規の液状シリコーンコーティング組成物であって、柔軟物質上に、
・一方で、好適なコーティングの機械的特性及び粘着特性を得るのに充分な架橋を有し、
・他方で、不粘着性の良好な持続(これは、これらの複合物から得られる粘着性ラベルの調製及び使用のために特に好ましい)のために、抽出可能物質含有量が少ない
架橋したコーティングを作ることを可能にするものを提供することにある。
【0023】
本発明の別の主な目的は、改良型付着促進剤を添加され、有利には溶剤フリーであり且つ架橋して柔軟基材用の撥水性且つ/又は不粘着性コーティングになることができる新規の液状シリコーンコーティング組成物であって、この架橋が中庸温度において素早く達成され、これらの組成物がさらに室温において長い浴寿命を有するものである前記組成物を提供することにある。
【0024】
本発明の別の主な目的は、 改良型付着促進剤を添加され、架橋して柔軟基材用の撥水性且つ/又は不粘着性コーティングになることができ、調製するのが容易であり且つ高価ではない新規の液状シリコーンコーティング組成物を提供することにある。
【0025】
本発明の別の主な目的は、少なくとも既知の促進剤と同じぐらい有効であり且つ前記組成物の保存に対して有害作用がない新規の改良型付着促進剤を提供することにある。
【0026】
本発明の別の主な目的は、有利には溶剤フリーであり且つミスティングなしでの高速コーティングに適合する粘度を有する出発組成物を用いて、柔軟基材(例えば紙やポリマー)上に不粘着性の撥水性コーティングであって特に付着促進用添加剤のおかげで特に改善された付着特性(ラブオフ)を有しつつ、さらに剥離力プロファイルの制御、少ない量の抽出可能物質及び適切な摩擦係数といった要件を満たすものを製造するための新規の方法を提供することにある。
【0027】
本発明の別の主な目的は、重付加によって架橋/硬化することができ且つ改良型の有効な粘着促進用添加剤を含むシリコーン組成物から得られ、任意の基材(例えば紙やポリマー)に適用された、不粘着性で撥水性の架橋/硬化したシリコーンコーティングの付着(即ち耐摩耗性)を高めるための新規の方法を提供することにある。
【0028】
本発明の別の主な目的は、有利には溶剤フリーであり且つミスティングなしでの高速コーティングに適合する粘度を有する出発組成物を用いて出発して、新規の柔軟基材(例えば紙やポリマー)であって、重付加によって架橋/硬化させたシリコーン組成物をベースとし且つ付着性(ラブオフ)、剥離力プロファイルの制御、硬度(抽出可能物質の%)及び適切な摩擦係数の点で優れた特性を示す少なくとも1つの不粘着性の撥水性コーティングを有する前記柔軟基材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
これらの目的及び他の目的は、本発明によって達成される。本発明は、まず最初に、重付加によって架橋又は硬化可能なシリコーンベースBを含むシリコーン組成物Aであって、
少なくとも1種の架橋用且つ付着促進用添加剤Xを含み、
この架橋用且つ付着促進用添加剤Xが、次式:
【化1】
(ここで、
aは1又は2であり、bは0、1又は2であり、a+bは1、2又は3であり、
cは1、2又は3であり、
dは1又は2であり、eは0、1又は2であり、d+eは1、2又は3であり、
Yは独立して、酸素原子等のヘテロ原子を随意に1個以上含み、好ましくは2〜20個の炭素原子を有するエポキシ官能性炭化水素基、さらにより一層好ましくはアルキルグリシジルエーテル、直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状エポキシアルキル、直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状エポキシアルケニル並びにカルボン酸グリシジルエステルより成る群から選択されるエポキシ官能性炭化水素基を表し、
Z
1、Z
2及びZ
3は互いに独立して、1〜30個の炭素原子を有し且つ随意に1個以上のヘテロ原子を含む一価炭化水素基を表し、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基及びアリール基より成る群から選択され、さらにより一層好ましくはメチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、キシリル、トリル及びフェニル基より成る群から選択される)
を有するシロキシ単位(I.1)〜(I.3)を含有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサンCを含み、
前記ポリオルガノシロキサンCがエポキシ官能性炭化水素基を有するシロキシル単位(I−1)を1分子当たり少なくとも1個含み且つヒドロゲノシロキシル基を有するシロキシル単位(I−3)を1分子当たり少なくとも3個含み、
シロキシル単位(I−1)の含有量がポリオルガノシロキサンC100g当たり100ミリモル以下、好ましくはポリオルガノシロキサンC100g当たり10〜80ミリモルの範囲、さらにより一層好ましくはポリオルガノシロキサンC100g当たり20〜60ミリモルの範囲である
ことを特徴とする、前記シリコーン組成物Aに関する。
【0030】
本発明者らは、
・エポキシ官能化されたシロキシル単位、及び
・少なくとも3個のヒドロゲノシロキシル単位
を含むポリオルガノシロキサンCを含む新規の特に有効な架橋用且つ付着促進用添加剤Xを開発するという功績をあげた。
【発明の効果】
【0031】
従って、ポリオルガノシロキサンCのエポキシ官能化されたシロキシル単位(I−1)の含有量をポリオルガノシロキサン100g当たり100ミリモル以下に保つことによって、本発明に従う添加剤は本発明の技術分野において通常用いられる標準的な架橋用シリコーンオイルを用いて配合された時の濁りの形成及び脱混合の問題をもはや示さないということが、全く思いがけずそして予期せずして、見出された。
【0032】
また、不粘着性コーティングを形成するために基材上に付着させるべき組成物において用いるのに好適な、ゲル化していない液体状態において、長期間保存することができるという利点も有する。
【0033】
基材上の付着特性は、厳しい湿度及び/又は温度条件下に少なくとも数日間〜数週間の充分な長期間持続させたならば、より一層はっきりしてくるということに留意すべきである。この持続性は、特に接着剤がアクリル系である場合に、不粘着性コーティングと接着剤とを接触させた時に観察したならば、さらにより一層顕著となる。
【0034】
本発明によれば、得られるコーティングは、優れた付着性(ラブオフ)を有するだけではなく、充分に高い高速剥離力並びに良好な機械的及び物理的特性(滑らかな外観、透明性及び良好な摩擦係数)をも有する。
【0035】
重付加による架橋の品質;反応性/架橋レベル/速度に関して、本発明によって達成される性能は、反応性及び架橋レベルに関して、得られる抽出可能物質の低い量によって示されるように、特に有利である。
【0036】
得られるコーティングは、基材に対して特に粘着性であり、感圧接着剤タイプの接着剤に関して、抗粘着(剥離)特性を提供することができ、アクリル系を含むこれらの接着剤との長期間の接触の際に優れた機械的強度を示す。
【0037】
これらの有利な特徴は、柔軟基材(例えば紙やポリマー)の抗粘着性を得るために特に用いることができ、これは例えば、非常に高速で製造される(例えばフィルムロールやリールの形で提供される)自己粘着性ラベル(感圧接着剤)用のライナーとして、有用である。
【0038】
このことは、これらの結果がシリコーン組成物によって得られれば、シリコーン組成物の流動学的挙動が影響を受けず(粘性過ぎず)、任意の基材上、特に任意の柔軟基材上に完全にコーティングすることができ、工業的コーティング条件下でミスティングが(殆ど)起こらないので、より一層有利である。
【0039】
さらに、本発明に従うシリコーン組成物は、有利なことに「溶剤フリー」であることができる。このことは、それらが溶媒を何ら含有しないことを意味し、特に有機溶剤を含まないことを意味する。このことによって健康及び安全性に関する利点が得られるということは、容易にわかることである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
好ましい実施形態に従えば、シロキシル単位(I.3)の含有量は、ポリオルガノシロキサンC100g当たり1.6モル以下、好ましくはポリオルガノシロキサンC100g当たり0.1〜1.5モルの範囲である。
【0041】
別の好ましい実施形態に従えば、エポキシ官能性炭化水素基を有するシロキシル単位(I.1)の数N1及びシロキシル単位(I.3)の数N3は、次の条件を満たすものとする:
1≦N1≦10、好ましくは1≦N1≦5、及び
3≦N3≦20、好ましくは5≦N3≦20。
【0042】
特に有利には、ポリオルガノシロキサンCのシロキシル単位(I.1)〜(I.3)の総数Nは、3〜25の範囲、さらにより一層好ましくは10〜25の範囲である。
【0043】
好ましくは、ポリオルガノシロキサンCは、5〜100mPa・sの範囲、好ましくは5〜50mPa・sの範囲の粘度を有する。
【0044】
本開示において言及されるすべての粘度は、25℃におけるいわゆる「ニュートン」動的粘度、即ち測定される粘度が剪断速度勾配に依存しなくなるのに充分低い剪断速度勾配においてそれ自体既知の態様で測定される動的粘度である。
【0045】
好ましくは、シロキシル単位(I.1)について、Yは次式を有する基(R−1)〜(R−4)より成る群から選択される。
【化2】
【0046】
特に好ましい実施形態に従えば、シロキシル単位(I.1)のYは、次式を有する基(R−4)である。
【化3】
【0047】
本明細書全体において、ポリオルガノシロキサンのシロキシル単位M、D、T及びQ単位を示す慣用の命名エレメントを参照する。参照マニュアルとして、NOLLの著書“Chemistry and Technology of Silicones”, chapter 1.1, page 1-9, Academic Press, 1968年、第2版を参照することができる。
【0048】
シロキシル単位(I.1)が基:
【化4】
より成る群から選択される場合にポリオルガノシロキサンCの付着性能をさらに改善するために、架橋用且つ付着促進用添加剤Xは、少なくとも1種の光開始剤(例えばカチオン性のもの)、好ましくはオニウムホウ酸塩から選択されるもの、より一層好ましくはホウ酸ヨードニウム及び/又はボランから選択されるものを含むことができる。
【0049】
光開始剤の例としては、次式:
【化5】
に相当するものを挙げることができる。
【0050】
好適なオニウムホウ酸塩についてのさらなる詳細については、例えば次の特許文献を参照することができる:米国特許第6864311号;同第6291540号及び同第5468902号の各明細書。
【0051】
光開始剤は、プロトン性溶剤中、例えばイソプロピルアルコール中に希釈するのが有利である。希釈率は例えば10〜30%の範囲、特に20%±2%である。
【0052】
組成物が光開始剤を含む場合、反応を促進するためにコーティングを熱及び/又は化学線(例えばUV)に曝露することができる。
【0053】
適切なボランについてのさらなる詳細については、例えば次の特許文献を参照することができる:米国特許第6743883号明細書及び米国特許出願公開第2004−0048975号明細書。
【0054】
好ましい実施形態に従えば、付着促進用添加剤Xは、添加剤Xの総重量に対して
・1〜100重量部の少なくとも1種のポリオルガノシロキサンC、及び
・99〜0重量部の少なくとも1種の、ケイ素に結合した水素原子を1分子当たり少なくとも3個含む架橋用シリコーンオイルD
を含む透明な均質混合物である。
【0055】
好ましくは、シリコーンベースBは、以下のものを含む:
(A)次式:
【化6】
(ここで、
aは1又は2であり、bは0、1又は2であり、a+bは1、2又は3であり、
Wは独立して、アルケニル基、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するもの、さらにより一層好ましくはビニル又はアリル基を表し、そして
Zは独立して、1〜30個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基及びアリール基より成る群から選択され、より一層好ましくはメチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、キシリル、トリル及びフェニル基より成る群から選択される)
を有するシロキシル単位(I.4)を少なくとも2個含む少なくとも1種のアルケニル化ポリオルガノシロキサンE、
(B)随意としての、ケイ素に結合した水素原子を1分子当たり少なくとも3個含む少なくとも1種の架橋用シリコーンオイルD'、
(C)少なくとも1種の重付加触媒F(好ましくは白金族に属する少なくとも1種の金属の化合物)、
(D)随意としての少なくとも1種の架橋抑制剤G、
(E)随意としての粘着性調整用系H、
(F)随意としての少なくとも1種の希釈剤I、
(G)随意としての少なくとも1種のミスティング防止用添加剤J、
(H)随意としての少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂K、及び
(I)随意としての少なくとも1種の、次式:
【化7】
(ここで、
aは0、1、2又は3であり、
Z
1は独立して、1〜30個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基及びアリール基より成る群から選択され、さらにより一層好ましくはメチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、キシリル、トリル及びフェニル基より成る群から選択される)
のシロキシル単位(I.5)から成る非官能化ポリオルガノシロキサンL。
【0056】
架橋用シリコーンオイルD及びD'は好ましくは、次の式(I.6)及び随意としての(I.7)を有するシロキシル単位を含有するポリオルガノシロキサンである。
【化8】
(ここで、
aは1又は2であり、bは0、1又は2であり、a+bは1、2又は3であり、
Hは水素原子を表し、
L
1は独立して1〜30個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基及びアリール基より成る群から選択され、より一層好ましくはメチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、キシリル、トリル及びフェニル基より成る群から選択され、
cは0、1、2又は3であり、
Z
1は独立して1〜30個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基及びアリール基より成る群から選択され、さらにより一層好ましくはメチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル,、キシリル、トリル及びフェニル基より成る群から選択される。)
【0057】
これらの架橋用シリコーンオイルD及びD'の(25℃における)動的粘度η
dは、5mPa・s以上、好ましくは10mPa・s以上、さらにより一層好ましくは20〜1000mPa・sの範囲である。
【0058】
架橋用シリコーンオイルD及びD'は、線状、分岐鎖状又は環状構造であることができる。重合度は2以上である。より一般的には、重合度は5000以下である。
【0059】
式(I.6)のヒドロゲノシロキシル単位の例には、次のものがある:
M':H(CH
3)
2SiO
1/2、
D': HCH
3SiO
2/2、及び
フェニル化された基を持つD':H(C
6H
5)SiO
2/2。
【0060】
架橋用シリコーンオイルD及びD'の例には、次のものがある:
・M
2'D
xD
y':ヒドロゲノジメチルシリル末端を有するジメチルポリシロキサン、ポリ(ジメチルシロキサン)(メチルヒドロゲノシロキシ)α,ω−ジメチルヒドロゲノシロキサン、
・M
2D
xD
y':トリメチルシリル末端を有するジメチルヒドロゲノメチルポリシロキサン(ジメチル)単位を持つコポリマー、
・M
2'D
xD
y':ヒドロゲノジメチルシリル末端を有するジメチルヒドロゲノメチルポリシロキサン単位を持つコポリマー、
・M
2D
x':トリメチルシリル末端を有するヒドロゲノメチルポリシロキサン、
・D'
4:環状ヒドロゲノメチルポリシロキサン
(ここで、x及びyは採用する構造に応じて変化する整数又は小数(平均値)であり、当技術分野における慣用の技術に従って決定される)。
【0061】
前記のアルケニル化ポリオルガノシロキサンEは、少なくとも10mPa・s、好ましくは50〜1000mPa・sの範囲の(25℃における)粘度を有するのが有利である。
【0062】
前記アルケニル化ポリオルガノシロキサンEは、線状、分岐鎖状又は環状構造を有することができる。その重合度は、2〜5000の範囲であるのが好ましい。式(I.4)のシロキシル単位の例には、ビニルジメチルシロキサン単位、ビニルフェニルメチルシロキサン単位及びビニルシロキサン単位がある。
【0063】
ポリオルガノシロキサン(I.4)の例には、ジメチルビニルシリル末端を有するジメチルポリシロキサン、トリメチルシリル末端を有するメチルビニルジメチルポリシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシリル末端を有するメチルビニルジメチルポリシロキサンコポリマー、環状メチルビニルポリシロキサンがある。
【0064】
重付加触媒Fもまたよく知られている。白金化合物及びロジウム化合物を用いるのが好ましい。特に、米国特許第3159601号、同第3159602号及び同第3220972号並びに欧州特許公開第0057459A号、同第0188978A号及び同第0190530A号に記載された白金と有機化合物との錯体、米国特許第3419593号、同第3715334号、同第3377432号及び同第3814730号に記載された白金とビニル化オルガノシロキサンとの錯体を用いることができる。一般的に好ましい触媒Fは、白金である。この場合、白金金属の重量として計算した触媒Fの重量による量は、ポリオルガノシロキサンC、D、D'及びEの総重量を基準として一般的に2〜400ppmの範囲、好ましくは5〜200ppmの範囲である。
【0065】
本発明に従う組成物の1つの利点は、白金タイプの触媒を非常に少量で用いること、即ちポリオルガノシロキサンC、D、D'及びEの総重量を基準として30ppm程度の量で用いることが可能であるということである。
【0066】
特定的な実施形態に従えば、構成成分の量は、[≡SiH]/[≡Siアルケニル]のモル比が1〜7の範囲、好ましくは1〜5の範囲となるような量とする。ここで、
・[SiH]はケイ素に結合した水素原子を含むシロキシル単位の総モル数であり、
・[Siアルケニル]はケイ素に結合したアルケニル基を含むシロキシル単位の総モル数である。
【0067】
架橋抑制剤G(又は付加反応遅延剤)は、次の化合物から選択することができる:
・少なくとも1つのアルケニルで置換された(有利には環状の)ポリオルガノシロキサン(テトラメチルビニルテトラシロキサンが特に好ましい)、
・ピリジン、
・有機ホスフィン及びホスファイト、
・不飽和アミド、
・アルキル化マレエート、並びに
・アセチレン性アルコール。
【0068】
これらのアセチレン性アルコール(仏国特許第1528464B号及び同第2372874A号)はヒドロシリル化反応用の好適な熱ブロッカーであり、次式を有する。
(R
1)(R
2)C(OH)−C≡CH
(式中、
R
1は直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基又はフェニル基であり、
R
2は水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基又はフェニル基であり、
基R
1とR
2と三重結合に対してα位に位置する炭素原子とが随意に環を形成することもでき、
R
1及びR
2中に含有される炭素原子の総数は、少なくとも5、好ましくは9〜20である。)
【0069】
前記アルコールは、250℃超の沸点を有するものから選択するのが好ましい。例として、次のものを挙げることができる。
・1−エチニル−1−シクロヘキサノール;
・3−メチル−1−ドデシン−3−オール;
・3,7,11−トリメチル−1−ドデシン−3−オール;
・1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オール;
・3−エチル−6−エチル−1−ノニン−3−オール;
・3−メチル−1−ペンタデシン−3−オール。
これらのα−アセチレン性アルコールは、工業製品である。
【0070】
かかる架橋抑制剤は、オルガノポリシロキサンポリオルガノシロキサンC、D、D'及びEの総重量に対して最大3000ppmの量、好ましくは100〜2000ppmの量で、存在させる。
【0071】
粘着性調整用系Hは、既知の系から選択される。これには、仏国特許第2450642B号、米国特許第3772247号又は欧州特許公開第0601938号に記載されたものが包含され得る。例として、
・タイプMD
ViQ、MM
ViQ、MD
ViT、M[M
ヘキセニル]Q又はM[M
アリルオキシプロピル]Qの少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂(A)96〜85重量部、
・タイプMD'Q、MDD'Q、MDT'、MQ又はMDQの少なくとも1種の樹脂(B)4〜15重量部
をベースとする調整剤を挙げることができる
(ここで、
・T':HSiO
3/2、
・D':H(CH
3)SiO
2/2、
・M:(CH
3)
3SiO
1/2、
・Q:SiO
4/2、
・D:(CH
3)
2SiO
2/2、
・D
Vi:(CH
3)(ビニル)SiO
2/2、
・M:(CH
3)
3SiO
1/2、
・M
Vi:(CH
3)
2(ビニル)SiO
1/2、
・M
ヘキセニル:(CH
3)
2(ヘキセニル)SiO
1/2)。
【0072】
前記組成物はまた、別の付着促進用添加剤を含むこともできる。後者は好ましくはエポキシ官能性シランから、好ましくは次のものを含む群から選択される:
・(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン[Coatosil(登録商標)1770]、
・トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート[A-Link 597]、
・(γ−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン[Dynasilan(登録商標)GLYMO]、
・(γ−メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン[Dynasilan(登録商標)MEMO]、
・SiVi基及びエポキシ官能基の両方を含有するシリコーン化合物、並びに
・それらの混合物。
【0073】
この別の付着促進用添加剤について好適な濃度は、例えば、組成物の総重量に対して0.5〜5重量%の範囲、好ましくは1〜3重量%の範囲である。
【0074】
組成物中に随意に存在させる希釈剤Iは、有利にはα−オレフィンから、特に1分子当たり4〜15個の炭素原子を有するものから、選択される。
【0075】
その他の官能性添加剤を組成物中に組み込むこともできる。これらの添加剤は、例えばガラスミクロビーズのようなフィラー、ミスティング防止剤J(当技術分野においてよく知られたもの)から選択することができる。
【0076】
撥水性且つ不粘着性コーティングの製造用のコーティングベースとして特に用いることができる上記のタイプの本発明に従うシリコーン組成物の調製は、単純に、当業者に周知の混合手段及び方法を用いて本発明に従う構成成分を混合することから成る。
【0077】
これらの組成物はまた、抗粘着性を提供するため及び攻撃的な接着剤(例えばある種のアクリル系感圧接着剤「PSA」)に対するシリコーンコーティングの改善された耐性を提供するための紙基材の処理用にも、用いることができる。
【0078】
量的観点からは、本発明に従えば、架橋用且つ付着促進用添加剤Xの濃度は、(組成物の総質量に対する重量%として表して)有利には0.1〜40の範囲、好ましくは0.5〜20の範囲、さらにより一層好ましくは1〜18の範囲である。
【0079】
本発明の別の主題は、前記の本発明に従うシリコーン組成物Aを架橋及び/又は硬化させることによって得ることができるシリコーンエラストマーに関する。
【0080】
本発明の別の局面に従えば、本発明は、不粘着性の撥水性コーティングを基材上に製造するための方法であって、この基材の少なくとも1つの面上に本発明に従う前記のシリコーン組成物Aの少なくとも1つの層を塗布し、この層を(好ましくは加熱することによって活性化することによって)架橋させることから成ることを特徴とする、前記方法に関する。
【0081】
本発明に従うシリコーン組成物Aは、柔軟な紙又はポリマー基材上に付着させることができる。柔軟基材としては、例えば、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(例えばPET等)のようなポリマーフィルム、様々なタイプの紙(スーパーカレンダー仕上げ紙、コート紙等)、厚紙、セルロースシート又は金属シートを挙げることができる。不粘着性シリコーン層でコーティングされた柔軟なポリエステル基材(例えばPETタイプのもの)は、粘着性ラベル用のライナーとして用いられる。
【0082】
混合手段及び方法は、溶剤フリー組成物又はエマルションについて、当業者に周知である。
【0083】
これらの組成物は、5本ロールコーティングヘッド、エアーナイフ又は均し棒システムのような紙をコーティングするための工業用機械に用いられる装置手段によって柔軟な基材又は材料上に塗布することができ、次いで70〜200℃に加熱されたトンネル式オーブン中を循環させることによって硬化させることができる;これらのオーブン中の通過時間は温度に依存する;この時間は一般的に、100℃程度の温度において5〜15秒程度、180℃程度の温度において1.5〜3秒程度である。
【0084】
前記組成物は、様々なタイプの紙(スーパーカレンダー仕上げ紙、コート紙等)、厚紙、セルロースシート又は金属シート、プラスチックフィルム(ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等)のような任意の柔軟な材料又は基材上に付着させることができる。
【0085】
付着させる組成物の量は、処理すべき表面1m
2当たり0.5〜2g程度であり、これは0.5〜2μm程度の層の付着に相当する。
【0086】
こうしてコーティングされた材料又は基材は、次いでゴム、アクリル等のような任意の感圧接着剤材料と接触させることができる。この接着剤材料は次いで前記の基材又は材料から容易に脱着可能である。
【0087】
別の局面に従えば、本発明は、支持体上、好ましくはポリマーフィルム上、より一層好ましくはポリエステルポリマーフィルム上に不粘着性の撥水性コーティングを製造するための方法であって、この基材上に前記のシリコーン組成物の少なくとも1つの層を塗布し、この層を好ましくは加熱することによって活性化することによって架橋させることから成ることを特徴とする、前記方法に関する。
【0088】
これらの組成物は、例えば5本ロールコーティングヘッド、エアーナイフ又は均し棒システムのような紙をコーティングするための工業用機械に用いられる装置手段によって柔軟な基材又は材料上に塗布することができ、次いで70〜200℃に加熱されたトンネル式オーブン中を循環させることによって硬化させることができる;これらのオーブン中の通過時間は温度に依存する;この時間は一般的に、100℃程度の温度において5〜15秒程度、180℃程度の温度において1.5〜3秒程度である。
【0089】
付着させる組成物の量は、例えば処理すべき表面1m
2当たり0.5〜2g程度であり、これは0.5〜2μm程度の層の付着に相当する。
【0090】
こうしてコーティングされた材料又は基材は、次いでゴム、アクリル等のような任意の感圧接着剤材料と接触させることができる。この接着剤材料は次いで前記の基材又は材料から容易に脱着可能である。
【0091】
本発明に従えば、コーティングの架橋のためには、重付加シリコーン組成物でコーティングされた基材を好ましくは180℃以下の温度に10秒未満の間、置く。
【0092】
別の主題に従えば、本発明はまた、本発明に従う方法に従って得られた前記の少なくとも1種の不粘着性の撥水性コーティング又は本発明に従う前記のシリコーン組成物Aから得られた前記の少なくとも1種の不粘着性の撥水性コーティングを含むことを特徴とする基材にも関する。
【0093】
好ましくは、前記基材は、紙、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステルタイプのポリマーフィルム及び自己粘着性又は感圧粘着性エレメントの粘着面を保護するためのポリマーフィルム、より成る群から選択される柔軟基材である。
【0094】
本発明に従う不粘着性シリコーンコーティングは、厳しい湿度及び温度条件下においてさえ、そしてアクリル系接着剤と長期間接触させた際にも、柔軟基材に適切に且つ耐久性よく付着する。これらは、架橋/硬化する(少ない抽出可能物質)。これらは、剥離力が高速においてさえ高いままであるような剥離力プロファイルを有する(良好な抗粘着性)。これらは、平滑であり且つ透明であり、結果としてこのことはそれらを有効なラベル用の基材にする。
【0095】
以下の実施例は指標として与えたものであり、本発明の分野及び思想を制限するものと見なすべきではない。
【実施例】
【0096】
I:付着用添加剤中に用いられるポリオルガノシロキサンの調製:
【0097】
例1:ポリオルガノシロキサンC1(Si−エポキシ及びSiH官能化されたもの)の調製:本発明
【0098】
1リットルの反応器中にトルエン200g及びPt/C(白金1.5%)1.80gを導入する。この混合物を撹拌し、80℃に加熱する。アリルグリシジルエーテル(AGE)(53g、0.465モル)とポリジメチルメチルヒドロゲノシロキサン(500g、SiH=1.75モル)との混合物を30分かけて滴下する。添加が完了したら、加熱を1時間続ける。次いで加熱を停止し、室温に戻した後に、反応媒体を濾過してPt/Cを除去する。最後に、反応媒体を10ミリバール下で80℃において3時間脱蔵(揮発分除去)して、次の特徴を有する官能化されたシリコーンオイルを得た(516g、収率93%)。
[SiH]=0.25モル/100g;[Epox]=75ミリモル/100g;粘度=13cP。
【0099】
例2:ポリオルガノシロキサンC2(Si−エポキシ及びSiH官能化されたもの)の調製:本発明
【0100】
500ミリリットルの反応器中にトルエン100g及びPt/C(白金1.5%)0.51gを導入する。この混合物を撹拌し、80℃に加熱する。アリルグリシジルエーテル(AGE)(17.5g、0.153モル)とポリジメチルメチルヒドロゲノシロキサン(150g、SiH=1.02モル)との混合物を30分かけて滴下する。添加が完了したら、加熱を1時間続ける。次いで加熱を停止し、室温に戻した後に、反応媒体を濾過してPt/Cを除去する。最後に、反応媒体を10ミリバール下で80℃において2時間脱蔵して、次の特徴を有する官能化されたシリコーンオイルを得た(150g、収率90%)。
[SiH]=0.53モル/100g;[Epox]=71ミリモル/100g;粘度=21cP。
【0101】
例3:付着用添加剤比較例1(Si−エポキシ及びSiH官能化されたもの)の調製:比較例
【0102】
500ミリリットルの反応器中にトルエン100g及びPt/C(白金1.5%)0.64gを導入する。この混合物を撹拌し、80℃に加熱する。アリルグリシジルエーテル(AGE)(47.8g、0.419モル)とポリジメチルメチルヒドロゲノシロキサン(150g、SiH=1.02モル)との混合物を30分かけて滴下する。添加が完了したら、加熱を1時間続ける。次いで加熱を停止し、室温に戻した後に、反応媒体を濾過してPt/Cを除去する。最後に、反応媒体を10ミリバール下で80℃において2時間脱蔵して、次の特徴を有する官能化されたシリコーンオイルを得た(169.2g、収率85%)。
[SiH]=0.33モル/100g;[Epox]=181ミリモル/100g;粘度=47cP。
【0103】
例4:ポリオルガノシロキサンC3(Si−エポキシ及びSiH官能化されたもの)の調製:本発明
【0104】
500ミリリットルの反応器中にトルエン100g及びPt/C(白金1.5%)0.52gを導入する。この混合物を撹拌し、80℃に加熱する。アリルグリシジルエーテル(AGE)(12.8g、0.112モル)とポリジメチルメチルヒドロゲノシロキサン(150g、SiH=1.59モル)との混合物を30分かけて滴下する。添加が完了したら、加熱を1時間続ける。次いで加熱を停止し、室温に戻した後に、反応媒体を濾過してPt/Cを除去する。最後に、反応媒体を10ミリバール下で80℃において2時間脱蔵して、次の特徴を有する官能化されたシリコーンオイルを得た(148g、収率91%)。
[SiH]=0.96モル/100g;[Epox]=43ミリモル/100g;粘度=17cP。
【0105】
例5:付着用添加剤比較例2(Si−エポキシ及びSiH官能化されたもの)の調製:比較例
【0106】
500ミリリットルの反応器中にトルエン100g及びPt/C(白金1.5%)0.60gを導入する。この混合物を撹拌し、80℃に加熱する。アリルグリシジルエーテル(AGE)(36.4g、0.319モル)とポリジメチルメチルヒドロゲノシロキサン(150g、SiH=1.59モル)との混合物を30分かけて滴下する。添加が完了したら、加熱を1時間続ける。次いで加熱を停止し、室温に戻した後に、反応媒体を濾過してPt/Cを除去する。最後に、反応媒体を10ミリバール下で80℃において2時間脱蔵して、次の特徴を有する官能化されたシリコーンオイルを得た(171.5g、収率92%)
[SiH]=0.74モル/100g;[Epox]=128ミリモル/100g;粘度=30cP。
【0107】
例6:ポリオルガノシロキサンC4(Si−エポキシ及びSiH官能化されたもの)の調製:本発明
【0108】
1リットルの反応器中にトルエン200g及びPt/C(白金1.5%)0.85gを導入する。この混合物を撹拌し、80℃に加熱する。アリルグリシジルエーテル(AGE)(36g、0.317モル)とポリメチルヒドロゲノシロキサン(423g、SiH=6.3モル)との混合物を30分かけて滴下する。添加が完了したら、加熱を1時間続ける。次いで加熱を停止し、室温に戻した後に、反応媒体を濾過してPt/Cを除去する。最後に、反応媒体を10ミリバール下で80℃において3時間脱蔵して、次の特徴を有する官能化されたシリコーンオイルを得た(400g、収率87%)。
[SiH]=1.33モル/100g;[Epox]=40ミリモル/100g;粘度=15cP。
【0109】
例7:付着用添加剤比較例3(Si−エポキシ及びSiH官能化されたもの)の調製:比較例
【0110】
500ミリリットルの反応器中にトルエン50g及びPt/C(白金1.5%)0.40gを導入する。この混合物を撹拌し、80℃に加熱する。アリルグリシジルエーテル(AGE)(23.1g、0.203モル)とポリメチルヒドロゲノシロキサン(100g、SiH=1.35モル)との混合物を30分かけて滴下する。添加が完了したら、加熱を1時間続ける。次いで加熱を停止し、室温に戻した後に、反応媒体を濾過してPt/Cを除去する。最後に、反応媒体を10ミリバール下で80℃において2時間脱蔵して、次の特徴を有する官能化されたシリコーンオイルを得た(108.5g、収率88%)。
[SiH]=0.96モル/100g;[Epox]=116ミリモル/100g;粘度=12cP。
【0111】
【表1】
【0112】
II:付着用添加剤の調製:架橋用シリコーンオイルD+ポリオルガノシロキサンCの混合物:
【0113】
例8:
【0114】
この例においては、添加剤Xを、架橋用シリコーンオイルD(ポリメチルヒドロゲノシロキサン、濃度=0.96モルSiH/オイル100g)5g及びポリオルガノシロキサンC(Si−エポキシ及びSiH官能化されたもの)100mgから調製する。得られた混合物の外観を下記の表2に示す。
【0115】
【表2】
【0116】
III:例9:用途試験1:付着用添加剤を用いたコーティング及び架橋のための条件:
【0117】
すべてのコーティング操作は、ROTOMEC5本ロールコーティング機を用いて実施し、紙基材上に付着させたシリコーンを架橋させた(グラシン紙、Ahlstrom 2010 Classic Yellow/オーブン=120℃/速度=100m/分);0.3〜1g/m
2の範囲の付着。
【0118】
シリコーン処理紙がコーティング機から出てきたら、これを下記のラブオフ試験に従うコーティングの耐摩耗性及び粘着性の検査、並びに抽出可能物質(架橋しなかったシリコーンの画分)の含有量(これは系の反応性を特徴付けることを可能にする)の検査に付す。
【0119】
次に、エージング試験を実施する。この試験は、シリコーン処理紙を50℃/湿度70%の制御環境オーブン中に入れて(促進エージング)耐摩耗性の経時変化を観察することから成る。
【0120】
MIBK(メチルイソブチルケトン)で抽出可能なシリコーンの画分、即ち非架橋シリコーンの量を、原子吸収により、抽出用溶剤中のシリコーンを分析することによって、測定する。
【0121】
基材に対する粘着性及びシリコーン層の耐摩耗性を検証するラブオフ測定は、シリコーン処理された基材上を人差し指で擦って層に物理的応力を加えることから成る。ラブオフ現象(擦り取り)が現れる(シリコーンコーティングが裂けて切れっ端になることに相当)までの指の前後運動の回数を記録する。評点1はシリコーン層の耐摩耗性が劣っていることを示し、評点10はシリコーン層の耐摩耗性が優れていることを示す。
【0122】
結果を表3に示す。
【0123】
【表3】
【0124】
IV:例10:用途試験2:付着用添加剤を用いたコーティング及び架橋のための条件:
【0125】
基材及び架橋条件を変えて、例9の試験を繰り返す。
フィルム基材:PETフィルム/オーブン=180℃/滞在時間≡3.6秒/付着量=0.3〜1g/m
2)
【0126】
【表4】