(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記注ぎ口(6)が、前記キャップ本体(2)の外壁(7)から垂直方向に変位した上部(12)を画定する第1の部分から、基部(13)を画定する第2の部分にまで延びており、
前記注ぎ口(6)の前記上部(12)の最上部と前記外壁(7)の頂点との間の距離が少なくとも6mmである、請求項2に記載のキャップ(1)。
前記平坦切欠き部(16)の平坦面(17)は、前記キャップ本体(2)が前記容器のネックに完全に締め付けられる際に容器のネックの前記最上面と接触するように方向付けられている、請求項1に記載のキャップ(1)。
前記橋状部分(15)の頂点と前記平坦切欠き部(16)の平坦面との間の距離「a」が、2.2mm〜2.5mmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のキャップ(1)。
【背景技術】
【0002】
撓み、特に容器のキャップに対するキャップの締め付けによって生じる撓みに対する耐久性を有することにより、効果的な漏れ防止シールを与えるキャップが提供されることが望ましい場合がある。容器の輸送から毎日の使用までの全体にわたるサプライチェーンのすべての段階を通じて、また誤ってひっくりかえした場合に、容器からの不要な漏れが防止されることが特に望ましい。
【0003】
シャワージェル、ヘアシャンプー、サンクリーム、サンローション、ボディーオイルなどの液体ベースの物質を入れる容器における使用に適した容器のキャップとしては、多くの解決策が存在する。これらのキャップの目的は、一方では、中に入れられた物質が漏れず、外部の空気が容器に常に入らないよう、漏れ防止シールを形成することである。他方で、こうしたキャップは開閉が容易でなければならない。
【0004】
この種のキャップは、例えば、容器のネックの上端の、対応した形態を有する(雄)ネジに螺着するための雌ネジがその内壁に設けられた、本質的に管状のキャップ本体を通常は有している。シール機構によって、キャップと容器との間に漏れのない連結が形成される。
【0005】
こうしたキャップの1つの例として、米国特許第6409034B号がある。米国特許第6409034B号は、容器開口部に漏れ防止シールにより取り付けられるように設計されたヒンジ付きキャップ本体に関するものであり、ヒンジ付きの蓋が、キャップ本体に形成された取り出し口を閉じるためにキャップ本体に連結され、キャップ本体及びヒンジ付きの蓋にはロック機構が形成されている。シールは、蓋が閉じられる際に取り出し口内に少なくとも部分的に引っ掛かる、前記ヒンジ付きの蓋から延びる突起によって実現される。ヒンジ付き蓋を開放位置に動かすために、キャップ本体とヒンジ付き蓋との間に付勢力を生じさせる弾性変形可能な材料と、閉鎖位置において、キャップ本体に設けられ、付勢された手動ロック要素に後ろ向きに引っ掛かるロック突起との組み合わせによって容易な開閉が実現される。このロック機構は、手で軽く圧力を加えるだけでロック突起からロック要素が外れ、弾性変形可能な材料によってヒンジ付きの蓋が開くことから、特に使用が簡単である。
【0006】
こうした装置には多くの問題点がある。問題点の1つとして、使用者が誤って容器をひっくりかえした場合にヒンジ付きの蓋が容易に開いて、内容物がこぼれる可能性があることがある。別の問題点として、内容物が取り出し口から流れ出ることを防止する唯一のシール手段が、ヒンジ付きの蓋の突起であり、これが、例えば輸送時の高い衝撃力によって生じる大きな圧力がかかった場合に漏れを生じる可能性があることがある。更なる問題点としては、ヒンジが歪んだ場合における突起と取り出し口とのアラインメントの問題及び/又は、こうした装置が小さな取り出し口にしか適していない点がある。
【0007】
特に薬のチャイルドプルーフ容器など、様々なロック機構を与える他のキャップも存在する。この種のキャップは、「プッシュアンドターン」システムのような機構、又は国際特許出願公開第2006/102601A1号及び米国特許第7404495B2号に述べられるもののような他の機構を用いているが、これらの機構では、キャップを開けるためにロック機構の一部に径方向の力と上向きの力とを組み合わせた力を加える必要がある。これらの機構は、子供がキャップを開けることを防止するには有用であり得るが、高齢者など特定の使用者にとって重要となり得る片手での操作を困難とする。
【0008】
欧州特許公開第2218654A1号に述べられるような防湿閉鎖機構を与える更なるキャップも存在する。欧州特許公開第2218654A1号は、容器の少なくとも一部にわたって延びるように構成された外周部を有する基部と、基部から下方に垂れ下がるスカートと、基部から下方に垂れ下がるリップシール部材とを有するキャップに関するものである。この容器は、容器から上方に延びるリップによって境界を定められた開口部を有する。リップシール部材は、キャップが閉鎖位置にある場合に、リップの内側に当接するように構成されている。
【0009】
こうした装置は、水分が容器に侵入するか又は容器から逃げることを防止するのには適しているものの、衝撃が加わった際に蓋が開くことを防止するだけの充分に強いロック力を与えるものではない。更に、この装置は1つのシール面のみに頼ったものであるため、例えば容器に小さくとも一定の保持圧力が加わる、使用者による容器の取り扱いの際、又は誤ってひっくりかえされた際などに漏れを生じやすい。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特定の要素を説明する場合の「a」及び「an」なる用語は、本明細書においては、「少なくとも1つの」その特定の要素を意味する。
【0019】
本明細書において使用するところの「ロック」又は「ロッキング」なる用語は、キャップがその閉鎖位置にしっかりと固定されることを意味する。上で使用するところの「しっかりと固定」なる用語は、前記キャップが、少なくとも30N、好ましくは少なくとも50N、より好ましくは少なくとも70Nの力に耐えることを意味する。
【0020】
本明細書において使用するところの「大型容器」なる用語は、少なくとも1.5リットル、好ましくは少なくとも2リットルの液体、より好ましくは2リットル〜5リットル、最も好ましくは2リットル〜3リットルの液体が入る容器を意味する。
【0021】
本明細書において使用するところの「径方向の圧力」又は「径圧力」なる用語は、長手方向軸(YY)に対してほぼ垂直な方向の圧力を意味する。
【0022】
本発明は、特に大型容器に適した、特に液体を保持するキャップ(1)に関する。容器は、任意の形状及びサイズのものでよく、弾性、可撓性、剛性、又は他の材料などの任意の材料で形成されたものであってよい。適当な材料としては、これらに限定されるものではないが、プラスチック及びガラスが挙げられる。
【0023】
以下の項では、本発明の基本的な特徴及び好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0024】
キャップ
本発明に基づくキャップ(1)は、容器に連結することが可能なキャップ本体(2)と、そのキャップ本体(2)に連結される蓋(3)とを備える。前記キャップ(1)は、前記キャップ本体(2)に設けられた取り出し口(5)をシールする使い捨てのシール手段(4)と、前記キャップ本体(2)及び前記蓋(3)に配置されて、前記蓋(3)を前記キャップ本体(2)に対してロックするロック手段とを更に備える。
【0025】
キャップ(1)の少なくとも一部は、射出成形又は他の適当な成形技術によってプラスチック材料から形成することができる。例えばキャップ(1)は、ポリプロピレンから成形することができる。好ましくはキャップ(1)は、少なくとも1500MPa、好ましくは1600〜1700MPaの引張り係数を有する。一実施形態において、前記キャップ(1)の少なくとも一部は、一体として形成することができる。あるいは、前記キャップ(1)の少なくとも一部は、別体として成形した後、組み立ててもよい。
【0026】
キャップ本体
本発明のキャップ(1)は、その中心線に平行に延びる長手方向軸(YY)を有するキャップ本体(2)を備え得る。前記キャップ本体(2)はその内部に取り出し口(5)を有してよく、好ましくは、前記キャップ本体(2)は前記取り出し口(5)がその内部に配置された注ぎ口(6)を有する。
【0027】
図2及び
図3を参照すると、前記キャップ本体(2)は、そのキャップ本体(2)の形状を画定する外壁(7)を有し得る。好ましくは、前記外壁(7)の平均の厚さは、通常2.0mm〜2.5mmである。前記外壁(7)は、外面(8)及び内面(9)によって画定され得る。前記キャップ本体(2)は、前記外面(8)に配置された第1の接触面(10)を更に有してよく、前記外壁(7)の前記外面(8)の頂点にほぼ近接する部分から下方に延び得る。前記第1の接触面(10)は、ロック手段の少なくとも一部、好ましくはそのパネルの一部が、前記第1の接触面(10)と接触する際に摺動動作が促されるよう、好ましくは非直線状である。前記第1の接触面は、前記外壁(7)の頂点に近接して最大の勾配が位置するように湾曲していることが好ましい。キャップがヒンジ連結される蓋を備える場合には、前記第1の接触面は、ヒンジ(11)の反対側に位置することが好ましい。
【0028】
一実施形態では、前記注ぎ口(6)は、前記外壁(7)から垂直方向に変位した上部(12)を画定する第1の部分から、基部(13)を画定する第2の部分にまで延び得る。前記基部(13)は、内部に前記取り出し口()を有している。好ましくは、前記基部(13)は、前記キャップ(1)が連結される容器の少なくとも一部に入ることが可能なものとすることができる。前記注ぎ口(6)は、ほぼ平坦な上部(12)を有するように構成することができる。また、前記上部(12)は、所定の角度で傾いていてもよく、その最上面において所定の曲率を呈してもよい。注ぎ口(6)の上部(12)の最上部と前記外壁(7)の頂点との間の距離は、少なくとも6mm、好ましくは少なくとも7mm、より好ましくは7〜10mmであることが特に望ましい場合がある。注ぎ口の上部(12)の最上部と前記外壁(7)の頂点との間の前記距離、すなわち注ぎ口(6)の全体の高さも、前記蓋(3)の高さによって決まり得る点は理解される。この実施形態は、液体内容物が外壁(7)及び/又は容器に垂れることなく液体内容物を所定の方向に注ぐことが可能となるので、特に有利である。上部(12)の最上部と前記外壁(7)の頂点との間の距離が上記の範囲を満たすよう、充分な高さを有する注ぎ口(6)を導入することによって、キャップ(1)の全体の高さが大きく左右される。実際、例えば、できるだけ大きな容器を使用するためにキャップ(1)の高さを制限する必要がある場合の棚スペースの制約のため、キャップ(1)の全体の高さをできるだけ低く保つことが望ましい場合がある。このような特定の状況では、容器にキャップ(1)を締め付ける際に生じ得るキャップ本体(2)のいかなる上向きの撓みを更に最小に抑えることによって、注ぎ口(6)がキャップの蓋(3)の一部に押し付けられることを防止することが特に重要となり得る。
【0029】
キャップ本体(2)は、そのキャップ本体(2)を容器に締め付けるために、対応するネジ山が形成された前記容器のネックと嵌合するため、前記内面(9)から延びる雌ネジ(14)を更に備え得る。
【0030】
図4を参照すると、前記キャップ本体(2)は、外壁(7)の一部によって形成された橋状部分(15)を有してよく、好ましくは、前記外壁(7)の一部はその最上部である。この実施形態では、前記橋状部分(15)は、前記キャップ本体(2)が容器のネックに完全に締め付けられる際に、前記容器のネックの最上面と接触することが可能な平坦切欠き部(16)を有している。好ましくは、前記平坦切欠き部(16)は、前記キャップ本体(2)が完全に締め付けられる際に、その平坦面(17)が容器の前記最上面と接触するような向きとなっている。この実施形態では、前記橋状部分(15)の頂点と前記平坦面(17)との間の距離「a」は、2mm〜3mm、好ましくは2.2mm〜2.5mmである。この特定の切欠き部の構成及び厚さの範囲は、キャップ本体(2)を容器のネックに締め付ける際に発生する応力の集中を軽減し、高いトルクでの撓みに対して橋状部分の領域の強化に寄与するうえで特に効果的であることが分かっている。
【0031】
好ましい実施形態では、前記キャップ本体(2)は、前記平坦切欠き部(16)に近接して、前記キャップ本体(2)の長手方向軸(YY)とほぼ平行に延びるプラグシール(18)を有し得る。プラグシール(18)は、前記キャップ本体(2)が容器に連結される際に、前記容器のネックの内面の少なくとも一部と接触することが可能なものとすることができる。
【0032】
好ましい実施形態では、前記平坦切欠き部(16)及びプラグシール(18)は、キャップ本体(2)が容器のネックにしっかりと締め付けられる際に、前記キャップ本体(2)と前記容器のネックとの連結部分に形成され得るすべての通路を遮断し、前記通路から内容物が漏れることをいっさい防止することにより、シール手段を与えることができる。
【0033】
更なる実施形態では、前記橋状部分(15)は概ね曲線状であり、好ましくは前記橋状部分(15)は、4.5mm〜5.5mm、好ましくは5.0mmの半径を有する曲率を呈し得る。この構成は、前記キャップ本体(2)が容器のネックにしっかりと締め付けられる際に、橋状部分に作用する応力の集中を軽減することが分かっている。
【0034】
このような強化、撓みに対する強さ、及び形状は、キャップ本体(2)の締め付け又は過剰な締め付けが生じた場合に特に重要となり得る。容器のネックに対するキャップ本体(2)の強い締め付けは、前記キャップ本体(2)のシール性能を最大に高め、キャップ本体(2)が前記容器のネックから不用意に緩むことを防止するために必要とされる場合がある。特に、使用者が開くべき別の蓋をキャップが代わりに備えている場合には、使用者によって容易に緩められることを防止する程度にキャップ本体(2)を締め付けることが望ましい場合もある。このような状況では、前記キャップ本体(2)を、最大で600Ncm、好ましくは240Ncm〜600Ncmのトルクで締めることが望ましい。このような高いトルクの値で生じやすい問題として、最大の力が作用する領域の撓みがある。このような撓みは、注ぎ口(6)などの他の要素を上側に撓ませ、これが蓋を押すことによって、キャップが開いて漏れやすくさせ得るものである。したがって、本発明のキャップ本体(2)は、0.3mmよりも大きい変形を生じることなく、最大で400Ncm、好ましくは最大で500Ncm、より好ましくは最大で600Ncm、最も好ましくは240Ncm〜600Ncmのトルクで容器のネックに連結することが可能であることが特に望ましい。上記の実施形態は、最大で400Ncm、好ましくは100Ncm〜400Ncm、より好ましくは100Ncm〜500Ncm、最も好ましくは240Ncm〜600Ncmのトルクに耐えるうえで特に効果的であることが分かっており、撓みは0.3mm未満である。
【0035】
別の実施形態(図には示されていない)では、橋状部分(15)の少なくとも一部を、力が作用すると弾性変形することが可能な材料でコーティングしてもよい。好ましくは、前記材料はポリオレフィン類から選択される。また、Oリングを取り入れてもよい。このコーティングは、キャップ本体(2)の材料とは異なる材料でよく、好ましくは前記コーティングは、前記キャップ本体(2)の材料と比較してより大きく弾性変形する材料である。この実施形態では、橋状部分(15)のコーティングされた部分が強度の高い構造を与える一方で、コーティングの材料が意図通りに変形して、低いトルクにおいても漏れ防止シールを与える。
【0036】
好ましい実施形態では、キャップ本体(2)は、注ぎ口(6)とほぼ平行且つこれに近接して延びるフランジ(19)を更に有し得る。前記フランジ(19)は、外壁(7)の内面(9)の一部と前記注ぎ口(6)の表面とほぼ平行でそれらの間に配置することができる。この実施形態では、前記フランジと前記内面(9)の部分との間に、前記蓋(3)が閉じられる際に蓋(3)の表面から延びる隆起部(20)が挿入される隙間が形成される。
【0037】
図5を参照すると、注ぎ口は、容器の中の液体内容物を容易に注ぐことができるよう、任意の形状のものとすることができる。前記注ぎ口(6)は、上部において、所定の方向に注ぐことを助ける馬蹄形の外周部を有することが好ましい。キャップ(1)が、前記キャップ本体(2)にヒンジ連結された蓋(3)を備える場合、前記所定の方向は、ヒンジ(11)から離れる方向で且つヒンジ(11)と反対を向くような方向である。更により好ましい実施形態では、前記注ぎ口(6)は、前記注ぎ口(6)の上部(12)の最上部に近接して配置された製品流途絶リップ(21)を有する。前記製品流途絶リップ(21)は、キャップ(1)のスムーズな開閉の妨げとなり得る、キャップ本体()の部分への滴りを低減する効果を有する。
【0038】
蓋
本発明のキャップ(1)は、蓋(3)を備え得る。前記蓋は、その蓋(3)の外形及び外周を画定する第1の蓋面(22)を有し得る。
【0039】
好ましい実施形態では、前記蓋(3)は、前記蓋(3)が閉じられる際にフランジ(19)とキャップ本体(2)の外壁(7)の内面(9)の一部との間に挿入され得る、前記第1の蓋面(22)の内側で前記第1の蓋面(22)とほぼ平行に延びる隆起部(20)を有し得る。この構成は、前記蓋(3)が前記キャップ本体(2)に対してロックされる際に、更なるシール手段を与えるうえで特に有利である。
【0040】
好ましい実施形態では、前記蓋(3)は、キャップ本体(2)に1以上のヒンジ(11)によってヒンジ連結することができる。蓋(3)はいったんロック解除されると使用者によって加えられる圧力によって開放位置へと単純に旋回するため、この構成はキャップ(1)を片手で開く助けとなる。また、ヒンジは、ロック解除時に蓋(3)を強制的に開くバネ要素を含んでもよい。適当なバネ要素としては、これらに限定されるものではないが、カンチレバーバネ、コイルバネ、螺旋バネ、トーションバネを含むバネ、及び/又は、熱可塑性エラストマー(TPE)などの弾性変形可能な材料などの力学的エネルギーを蓄える任意の弾性物体が挙げられる。好ましくは、1以上のヒンジ(11)は、前記蓋(3)及び前記キャップ本体(2)との1個の部材であり、同じ材料で形成される。しかしながら、前記蓋(3)及び前記キャップ本体(2)に溶接又は同様にして接合される埋め込み型ヒンジ、バタフライヒンジ、バットヒンジなどの他の種類のヒンジも同様に適当である点は理解される。
【0041】
図6及び
図7を参照すると、蓋(3)は、その蓋(3)の最上部の外面を画定する上面(23)を有し得る。前記上面(23)は、前記蓋(3)がキャップ本体(2)に対して閉じられる際に、容器の内側に面する内側上面を含み得る。好ましい一実施形態では、前記上面(23)は相互連結された溝(24)を有する。本明細書においては「相互連結された」とは、溝(24)が閉じた形状を形成しており、したがって、溝(24)が始点も終点も有していないことを意味する。好ましくは、前記形状は円形である。しかしながら、楕円形、正方形、長方形、三角形などの他の形状も同様に適当である点は理解される。この実施形態では、このような溝(24)により、前記蓋(3)の上部に計量容器(doser)を取り付けることが可能である。
【0042】
蓋(3)は、キャップ本体と同じ材料で形成することができる。好ましくは、前記材料はポリオレフィン類から選択され、より具体的にはポリプロピレンである。
【0043】
使い捨てシール手段
本発明のキャップ(1)は、キャップ本体(2)の取り出し口(5)をシールする使い捨てシール手段(4)を更に備え得る。
【0044】
好ましい実施形態では、前記使い捨てシール手段(4)を注ぎ口(6)の基部(13)の少なくとも一部に溶接することによって、特に大きな衝撃力により高い圧力が生じた場合に、これに対する耐圧シール手段を形成することができる。前記使い捨てシール手段(4)の材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、アルミ箔、ポリプロピレン、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。この種の適当なフィルムは一般的に、PET(12μm)/接着剤(5μm)/インク(必要に応じて)/軟質アルミニウム箔(38μm)/共押出しした溶接層(116μm)からなる。
【0045】
別の実施形態では、使い捨てシール手段(4)は、その使い捨てシール手段(4)の取り外しを容易にするためのプルタブ(30)を有し得る。プルタブ(30)は、キャップ本体(2)が注ぎ口(6)を有する場合に、剥離性を高めるために特に有効である。前記プルタブ(30)は、キャップ(1)の開閉性を低下させることなく、使用者が容易に届くような寸法に構成されることが好ましい。前記プルタブ(30)は、キャップ本体(2)のフランジ(19)と前記キャップ本体(2)の外壁(7)の内面(9)の一部との間に形成される隙間の中に折り畳むことができるものがより好ましく、その挿入は、前記キャップ(1)が閉じられる際に前記キャップ(1)の蓋(3)の隆起部(20)によって促される。中に折り畳まれている場合、剥離動作を開始するためには、使用者は前記プルタブの一部に容易にアクセスしてこれを摘むことができる。
【0046】
好ましい実施形態では、前記プルタブ(30)は、キャップ本体(2)の側面上に、好ましくは蓋(3)とのヒンジ連結部に近接して配置することができる。この構成によれば、特に注ぎ口(6)の上部(12)が所定の角度で傾いている場合に容易な剥離が可能となる。
【0047】
別の実施形態では、使い捨てシール手段(4)は、7N〜15N、好ましくは7N〜11N、より好ましくは9N〜11Nの剥離力を有し得る。本明細書において使用するところの剥離力とは、使い捨てシール手段(4)を剥離するのに要する力のことを指す。この力が上記の範囲を下回ると、使用者は意図された品質ではないという印象を受けるのに対して、上記の範囲を上回る力は、使用者の疲労感が大きくなり、破れ及び不完全な剥離が生じやすくなるために望ましくない。
【0048】
別の実施形態では、使い捨てシール手段(4)は、少なくとも250kPa(2.5bar)、好ましくは250kPa(2.5bar)〜400kPa(4bar)の破裂圧を有し得る。本明細書において使用するところの破裂圧とは、使い捨てシール手段(4)の破断(又は破裂)を生じるのに要する圧力のことを指す。上記の範囲内に破裂圧を有する使い捨てシール手段(4)は、高い衝撃力においても漏れ防止シールを与えることが分かっている。
【0049】
表Aに、多くの材料の剥離力及び破裂圧を示す。
【表A】
【0050】
ロック手段
本発明のキャップ(1)は、キャップ本体(2)及び蓋(3)に配置されて、前記蓋(3)を前記キャップ本体(2)に対してロックするロック手段を備え得る。
【0051】
図6を参照すると、ロック手段は、キャップ(1)の蓋(3)の外周でキャップ(1)の蓋(3)に連結された、好ましくは第1の蓋面(22)の一部に連結されたパネル(25)、前記キャップ(1)のキャップ本体(2)の一部に設けられた溝(27)と嵌合する、前記パネル(25)の一部から前記蓋(3)の内側に向かって延びる少なくとも1つの突起(26)、及び、前記パネル(25)を前記蓋(3)と連結する弾性変形可能な材料(28)を備え得る。好ましくは、前記弾性変形可能な材料(28)は、熱可塑性エラストマー(TPE)、シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0052】
パネル(25)は、閉鎖位置にあるキャップ(1)の前方から見た場合に、底部、2つの側面、及び上部を有し得る。前記底部が直線状ではなく曲線を有する一方で、上部及び2つの側面は、前記パネル(25)の外周がアーチ形状を形成するよう、直線状であることが好ましい。しかしながら、正方形、円形、長方形などの他の形状も同様に適当である点は理解される。
【0053】
好ましい実施形態では、パネル(25)の少なくとも一部は、圧力が前記パネル(25)に加えられる際に、キャップ本体(2)の第1の接触面(10)の少なくとも一部と当接し得る。第1の接触面(10)は、パネル(25)の少なくとも一部と前記第1の接触面(10)との間の摺動を助けるように曲線状となっていてよい。好ましくは、前記パネル(25)の少なくとも一部は、前記パネル(25)の高さの少なくとも一部に沿って延びる少なくとも1つの突起(29)を有する。好ましくは、前記突起(29)は前記高さの少なくとも50%にわたって延びる。本明細書においては、パネル(25)の高さは、パネル(25)の底部からパネル(25)の上部にまで、長手方向軸(YY)にほぼ平行な平面に沿った垂直距離として規定され、好ましくは前記高さは、前記パネル(25)の2つの側縁にほぼ平行に延びる。突起(29)は、前記第1の接触面(10)上での摺動性を高めるための勾配を更に有してもよく、これにより蓋(3)を開くことが容易となる。このような突起(29)は、パネル(25)の、前記第1の接触面(10)上での摺動性を高めると同時にパネル(25)を強化することができる。
【0054】
別の好ましい実施形態では、突起(26)の少なくとも一部は、角度cで延びてよく、その角度cは1〜2°である。この実施形態では、また、溝(27)の少なくとも一部は、蓋(3)がキャップ本体(2)に対して押し付けられる際に前記突起(26)との嵌合が得られるよう、角度bで傾いており、その角度bは0〜2°である。この構成により、2個の部材が相互により強くロックすることが可能となり、1以上の指によってパネル(25)に圧力を加えることによりロック手段を解除しないかぎり、開栓に対する大きな抵抗力が与えられる。
【0055】
一実施形態では、突起(26)は、蓋(3)の内側に向かって0.80mm〜0.85mmだけ延びてよく、溝(27)の深さは0.86mm〜0.9mmである。本明細書における「蓋の内側」とは、突起(26)が第1の蓋面(22)の内面から、前記蓋(3)に形成された隆起部(20)に近づくように長手方向軸(YY)にほぼ垂直な方向に所定の長さだけ延びることを意味する。本明細書において使用するところの「深い又は深さ」なる用語は、溝(27)の開放端から閉鎖端まで長手方向軸(YY)にほぼ垂直な平面から測った寸法のことを指す。
【0056】
好ましい実施形態では、突起(26)の長さは、溝(27)の長さよりも短くてよい。本明細書において使用するところの「長さ」なる用語は、長手方向軸(YY)にほぼ垂直な平面に沿って測った場合、前記突起(26)又は前記溝(27)の一端から他端までの距離のことを意味する。この構成の効果は、蓋(3)を閉じる際に溝(27)内に突起(26)を配置することが簡単になる点である。
【0057】
好ましい一実施形態では、パネル(25)に圧力が加えられると、パネル(25)は長手方向軸(YY)に垂直な軸を中心として回転することが可能であり、これにより、溝(27)から突起(26)が外れることと、パネル(25)の少なくとも一部がキャップ本体(2)の第1の接触面(10)に当接することとが、ほぼ同時に起こる。この実施形態では、使用者によって径方向の圧力が加えられるとパネル(25)が回転し、突起(26)が溝(27)から外れ、同時に、パネル(25)の一部が第1の接触面(10)の一部と当接して、それらの面同士間の摺動運動を引き起こす。この時点では、突起(26)は、突起(26)が溝(27)と再び嵌合することなく径方向の圧力が解放されるよう、前記溝(27)に対して異なる軸方向の位置にある。次にこれよりも弱い上向きの圧力を加えることによって、蓋(3)を完全に持ち上げる。この構成の効果の1つは、使用者がキャップ(1)をロック解除するのに必要とされる力が、てこの原理及び摺動運動の組み合わせによって低減される点である。別の効果は、キャップ(1)のロック解除を、キャップ(1)の径方向にのみ圧力を加えることによって実現することができる点である。この後、使用者は蓋(3)に上向きの圧力を加えることによって、蓋(3)を容易に持ち上げることができる。これに要する上向きの力は、キャップ本体(2)から蓋(3)をロック解除するために要する径方向の最初の圧力よりも大幅に低いため、キャップ(1)を開くプロセス全体が使用者にとって容易となる。本明細書におけるロック手段は、開栓の容易性を低下させることなく、より大きな嵌合力を発生させることが可能な突起(26)及び溝(27)を構成することを可能とするものである。
【0058】
一実施形態では、ロック手段は、前記ロック手段がロックされている場合に、30N〜70N、好ましくは50N〜70Nの貫通力に耐え得るものとすることができる。上記で用いた貫通力とは、ロック手段を解除することなくキャップ(1)を開くのに要する力であって、蓋(3)の内側上面に対して長手方向軸(YY)にほぼ平行な方向に加えられる力のことを意味する。この力は、内側から外側に向かって加えられる。上記の力に耐え得るロック手段は、特に日常の使用において誤ってひっくりかえされた際の衝撃力による、特に圧力の上昇に対して、キャップ(1)を閉じた状態に保つことを可能とすることが分かっている。
【0059】
更なる実施形態では、ロック手段は、前記パネル(25)の一部に15N〜35Nの力を加えることによって解除することができる。上記で使用したロック手段の解除とは、前記キャップ本体(2)の第1の接触面(10)に対して前記パネル(25)の一部が当接して最初に摺動するのと同時に、溝(27)から突起(26)が外れることを意味する。このような力は、このロック手段がロックされている場合に耐え得る力を大きく左右することなく、キャップ(1)を片手で開くのに適していることが分かっている。潤滑用添加剤を、キャップ本体(2)、蓋(3)及びロック手段の、最大の接触が生じる部分の樹脂に添加することができる。好ましくは、前記潤滑用添加剤は、エルカミド、シロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0060】
一実施形態では、パネル(25)の少なくとも一部を、弾性変形可能な材料(28)よりも低い弾性変形率を有する第2の材料によって蓋(3)と更に連結することができ、好ましくは前記第2の材料は、前記蓋(3)の材料と同一である。この実施形態では、パネル(25)は、回転を可能とする2個の平行な旋回点を形成するように互いに平行且つ対称的にパネル(25)の両面のそれぞれに1箇所ずつの2つの別々の位置に、第2の材料によって蓋(3)と連結することができる。パネルの残りの部分は、弾性変形可能な材料(28)によって蓋(3)と連結することができる。2つの別々の位置は、2つの平行な旋回点とパネル(25)の上部との間により長い回転アームが形成されるよう、パネル(25)の底部に近接して、パネル(25)の上部から遠い位置であることが好ましい。
【0061】
好ましい一実施形態では、弾性変形可能な材料(28)は、前記パネル(25)の少なくとも1つの面、好ましくは使用者が圧力を加える面、より好ましくは前記蓋(3)の内側から遠ざかる方向に面した面を覆う。この構成の効果は、グリップ性が向上していることにより、使用者が、1以上の指が滑るリスクなしでロック解除に必要な圧力を加えることが可能であるため、片手による開栓が容易となる点である。更なる効果は、弾性変形可能な材料(28)が、更なる張力を加え、好ましくはこの張力がその結果生じる力を長手方向軸(YY)とほぼ垂直な方向に加えることによって、突起(26)が溝(27)に嵌まる助けとなる点である。
【0062】
更なる実施形態では、前記弾性変形可能な材料(28)は、その表面の少なくとも一部、好ましくは使用者が1以上の指で圧力を加える表面に標示を有してもよい。好ましくは、前記標示は、使用者が可能な最小の労力でロック解除するために押すべき最適な位置を示すことができる。
【0063】
使用方法
図8A〜Cは、キャップ(1)の動作の一例を示している。
図8Aは、使用前に閉鎖位置にあるキャップ(1)の静止位置を示している。使用者は、少なくとも、ロック手段の一部を形成するパネル(25)の部分に1以上の指で、好ましくは径方向に圧力を加えることによって蓋(3)を解除する。この圧力の方向及び位置を
図8Aに矢印Aにより示す。この圧力により、突起(26)が溝(27)から外れるのとほぼ同時に、前記パネル(25)の一部がキャップ本体(2)の第1の接触面(10)の少なくとも一部と当接するよう、プレート()が長手方向軸(YY)に垂直な軸上で回転する。これと同時に、前記パネル(25)の一部が前記第1の接触面(10)上を滑り始めることにより、溝(27)から突起(26)が容易に外れる。
図8Bは、溝(27)から突起(26)が外れる状態を示している。次に使用者は、ほぼ上向きの圧力を加えることによって、蓋(3)を、蓋(3)に連結された容器の内容物を注ぐための完全に開いた位置へと持ち上げる。また、使用者は、蓋(3)を持ち上げるための上向きの圧力と組み合わせて、前記パネル(25)の一部に径方向の圧力をより小さい大きさであっても引き続き加えることによって、溝(27)から突起(26)が外れて蓋が持ち上げられるまでの移行を円滑に行うこともできる。
図8Bは、より小さい大きさの径方向の圧力A’及び上向きの圧力Bの両方を示している。本明細書において使用するところの「より小さい大きさ」なる用語は、突起(26)と溝(27)とが外れる際に加えられる径方向の圧力の大きさが、外れる前に加えられる径方向の圧力よりも小さいことを意味する。
図8Cは、完全な開放位置にあるキャップ(1)を示している。使用者は、内容物を注ぎ終えた後、突起(26)が溝(27)に嵌まってキャップ(1)がその閉鎖位置にロックされるまで蓋(3)をキャップ本体(2)上に押し戻すことによって、蓋(3)を片手で閉じることができる。この操作を後の使用において繰り返すことができる。
【0064】
本明細書に開示される寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきでない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法はそれぞれ、記載された値及びその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味するものとする。