(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、産業界の様々な分野において省電力化が求められている。リフローはんだ付け装置は消費電力が大きいので、特に省電力化が望まれている。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、リフローはんだ付け装置および方法において、省電力化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のリフローはんだ付け装置は、電子部品が搭載されたプリント基板を加熱してはんだ付けを行うリフローはんだ付け装置であって、プリント基板を搬送する搬送コンベアと、搬送コンベア上のプリント基板に所定の温度に制御された気体を吹き付けるファンを有する加熱炉と、加熱炉内に搬入されるプリント基板を検出する基板検出センサと、基板検出センサの検出結果に応じて、ファンの回転速度を制御する制御部とを備える。
【0007】
制御部は、基板検出センサによりプリント基板が検出されたとき、ファンの回転速度を該プリント基板のリフロー条件に応じた所定の通常回転速度に制御し、該プリント基板が加熱炉から搬出されたとき、ファンの回転速度を通常回転速度よりも遅い所定のスタンバイ回転速度に制御してもよい。
【0008】
制御部は、基板検出センサによりプリント基板が検出されたとき、搬送コンベアの搬送速度を該プリント基板のリフロー条件に応じた所定の通常搬送速度に制御し、該プリント基板が加熱炉から搬出されたとき、搬送コンベアの搬送速度を通常搬送速度よりも遅い所定のスタンバイ搬送速度に制御してもよい。
【0009】
加熱炉内の空気を排気するための加熱炉排気ファンと、リフロー処理により発生したフラックスを回収するためのフラックス回収ファンと、をさらに備えてもよい。制御部は、基板検出センサによりプリント基板が検出されたとき、加熱炉排気ファンおよびフラックス回収ファンを通常のリフロー処理時の回転速度に制御し、該プリント基板が加熱炉から搬出されたとき、加熱炉排気ファンおよびフラックス回収ファンを通常のリフロー処理時よりも遅い回転速度に制御してもよい。
【0010】
加熱炉は、複数のゾーンから構成されており、各ゾーンは、少なくとも1つのファンを備えてもよい。制御部は、基板検出センサによりプリント基板が検出された時間と、搬送コンベアの搬送速度とに基づいてプリント基板の各ゾーンへの到着時間を推定し、該推定結果に応じて、各ゾーンごとにファンの回転速度を制御してもよい。
【0011】
制御部は、プリント基板が到着したゾーンのファンを該プリント基板のリフロー条件に応じた所定の通常回転速度に制御し、プリント基板が通過したゾーンのファンを通常回転速度よりも遅い所定のスタンバイ回転速度に制御してもよい。
【0012】
制御部は、プリント基板が到着予定のゾーンのファンを予め通常回転速度に制御してもよい。
【0013】
制御部は、プリント基板が通過したゾーンのファンの回転速度を所定時間通常回転速度に維持してもよい。
【0014】
加熱炉に搬入されるプリント基板の種類を識別する基板識別センサをさらに備え、制御部は、基板識別センサの識別結果に基づいて、通常回転速度の値を設定してもよい。
【0015】
前記加熱炉を覆う、開口可能に構成されたカバーをさらに備え、制御部は、当該装置の運転を停止する場合にカバーを開口させてもよい。
【0016】
制御部は、当該装置の運転を停止する場合に、加熱炉に設けられた加熱炉排気ファンを回転させて加熱炉内の温度を低下させてもよい。
【0017】
本発明の別の態様は、リフローはんだ付け方法である。この方法は、電子部品が搭載されたプリント基板を加熱してはんだ付けを行うリフローはんだ付け方法であって、プリント基板を加熱炉に搬送するステップと、加熱炉内において、ファンを用いてプリント基板に所定の温度に制御された気体を吹き付けるステップと、加熱炉内に搬入されるプリント基板を検出するステップと、プリント基板の検出結果に応じて、ファンの回転速度を制御する制御ステップとを備える。
【0018】
制御ステップは、プリント基板が検出されたとき、ファンの回転速度を該プリント基板のリフロー条件に応じた所定の通常回転速度に制御するステップと、該プリント基板が加熱炉から搬出されたとき、ファンの回転速度を通常回転速度よりも遅い所定のスタンバイ回転速度に制御するステップを備えてもよい。
【0019】
加熱炉は、複数のゾーンから構成されており、各ゾーンは、少なくとも1つのファンを備えてもよい。制御ステップは、プリント基板が検出された時間と、プリント基板の搬送速度とに基づいてプリント基板の各ゾーンへの到着時間を推定する第1ステップと、該推定結果に応じて、各ゾーンごとにファンの回転速度を制御する第2ステップを備えてもよい。
【0020】
第2ステップは、プリント基板が到着したゾーンのファンを該プリント基板のリフロー条件に応じた所定の通常回転速度に制御するステップと、プリント基板が通過したゾーンのファンを通常回転速度よりも遅い所定のスタンバイ回転速度に制御するステップとを備えてもよい。
【0021】
加熱炉に搬入されるプリント基板の種類を識別するステップと、プリント基板の識別結果に基づいて、通常回転速度の値を設定するステップとをさらに備えてもよい。
【0022】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、リフローはんだ付け装置および方法において、省電力化を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係るリフローはんだ付け装置の概略斜視図である。
図1に示すリフローはんだ付け装置10は、電子部品が搭載されたプリント基板Wを加熱してはんだ付けを行うための装置である。
図1に示すように、リフローはんだ付け装置10は、プリント基板Wを加熱する加熱炉12と、加熱炉12内にプリント基板Wを搬送する搬送コンベア14とを備える。
図1に示すように、加熱炉12は、上部カバー13および下部カバー19により覆われている。上部カバー13には、加熱炉12の外部の熱を上部カバー13および下部カバー19の外側に排気するための排気ファン11が設けられている。排気ファン11を設けることにより、加熱炉12に設けられたモータ23の加熱を防止できる。
【0027】
図2は、本発明の実施形態に係るリフローはんだ付け装置10を説明するための図である。
【0028】
本実施形態において、加熱炉12は、第1ゾーンZ1〜第12ゾーンZ12の12個のゾーンから構成されている。第1ゾーンZ1〜第10ゾーンZ10は、プリント基板Wを加熱するための「加熱ゾーン」であり、第11ゾーンZ11および第12ゾーンZ12は、プリント基板Wを冷却するための「冷却ゾーン」である。
【0029】
第1ゾーンZ1〜第10ゾーンZ10にはそれぞれ、搬送コンベア14の上下に加熱装置20が設けられており、プリント基板Wを上下方向から加熱可能に構成されている。上下の加熱装置20の基本的構造は同じである。加熱装置20は、加熱炉12内の気体を加熱するヒータ21と、ヒータ21により加熱された気体を熱風としてプリント基板Wに吹き付けるための熱風ファン22と、熱風ファン22を駆動するためのモータ23と、各ゾーンを仕切るための断熱壁24とを備える。
【0030】
第1ゾーンZ1〜第10ゾーンZ10にはそれぞれ、気体温度を測定するための温度センサ(図示せず)が設けられている。第1ゾーンZ1〜第10ゾーンZ10の気体温度は、温度センサによって検出された温度情報に基づいて予め設定された所定温度に制御される。第1ゾーンZ1〜第10ゾーンZ10の気体温度は、それぞれ独立して制御可能である。
【0031】
第11ゾーンZ11および第12ゾーンZ12にはそれぞれ、搬送コンベア14の上下に冷却装置30が設けられており、プリント基板Wを上下方向から冷却可能に構成されている。上下の冷却装置30の基本的構造は同じである。冷却装置30は、プリント基板Wに冷風を吹き付けるための冷却ファン32と、冷却ファン32を駆動するためのモータ33と、ゾーンを仕切るための断熱壁34とを備える。なお、
図2に示す実施形態では、冷却装置30にもヒータ31が設けられている。このヒータ31は、例えばプリント基板Wを徐々に冷却したい場合などに冷風の温度を制御するために用いることができる。
【0032】
第11ゾーンZ11〜第12ゾーンZ12にはそれぞれ、気体温度を測定するための温度センサ(図示せず)が設けられている。第11ゾーンZ11〜第12ゾーンZ12の気体温度は、温度センサによって検出された温度情報に基づいて予め設定された所定温度に制御される。第11ゾーンZ11〜第12ゾーンZ12の気体温度は、それぞれ独立して制御可能である。
【0033】
加熱炉12は、はんだ付け前のプリント基板Wを搬入するための基板搬入口40と、はんだ付けされたプリント基板Wを搬出するための基板搬出口41とを備える。基板搬入口40および基板搬出口41は、外気の侵入を防止するためのラビリンス機構42を備える。
【0034】
搬送コンベア14は、加熱炉12の基板搬入口40から基板搬出口41にかけてプリント基板Wを搬送するように構成されている。搬送コンベア14は、コンベア駆動源15により駆動される。搬送コンベア14は、例えばチェーンコンベア等であってよい。
【0035】
本実施形態において、加熱炉12の基板搬入口40近傍には基板検出センサ16が設けられている。基板検出センサ16は、基板検出センサ16は、搬送コンベア14に載って搬送されてくるプリント基板Wの有無を検出する。基板検出センサ16は、例えば赤外線を用いたセンサであってよい。
【0036】
リフローはんだ付け装置10は、制御部18により制御される。制御部18は、例えば熱風ファン22および冷却ファン32の回転速度や、搬送コンベア14の搬送速度を制御する。
【0037】
図3は、
図2に示す実施形態における制御部の構成を説明するための図である。なお、本明細書において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0038】
図3に示すように、制御部18は、回転速度制御部52と、温度制御部53と、搬送速度制御部54とを備える。
【0039】
温度制御部53は、温度センサ51からの温度情報に基づいて、各ゾーンの温度が所定温度になるようヒータ21および31を制御する。
【0040】
回転速度制御部52は、モータ23および33を駆動することにより、熱風ファン22および冷却ファン32の回転速度を制御する。本実施形態においては、回転速度制御部52は、基板検出センサ16の検出結果に応じて、熱風ファン22および冷却ファン32の回転速度を制御する。このように基板検出センサ16の検出結果に応じて熱風ファン22および冷却ファン32の回転速度を変化させることで、省電力化を図ることができる。
【0041】
具体的には、回転速度制御部52は、基板検出センサ16がプリント基板Wを検出するまでは、熱風ファン22および冷却ファン32を、プリント基板Wのリフロー条件に応じた回転速度(「通常回転速度」と呼ぶ)よりも遅い回転速度(「スタンバイ回転速度」と呼ぶ)で回転させる。そして、回転速度制御部52は、基板検出センサ16がプリント基板Wを検出した場合、熱風ファン22および冷却ファン32を通常回転速度で回転させる。その後、プリント基板Wが加熱炉12の基板搬出口41から搬出された場合、回転速度制御部52は、熱風ファン22および冷却ファン32の回転速度をスタンバイ回転速度に戻す。プリント基板Wが基板搬出口41から搬出されるタイミングは、基板検出センサ16がプリント基板Wを検出した時間と、搬送コンベア14の搬送速度とに基づいて計算できる。また、基板搬出口41に別の基板検出センサを設けてもよい。
【0042】
図4(a)および
図4(b)は、プリント基板検出前後におけるリフローはんだ付け装置の設定条件の変化の一例を示す。
図4(a)は、プリント基板W検出前の設定条件を示す。また、
図4(b)は、プリント基板W検出後から搬出までの設定条件を示す。
図4(a)および
図4(b)には、リフローはんだ付け装置10の設定条件として、温度およびファン回転速度が示されている。なお、ファン回転速度は、通常回転速度に対する比率(%)で表している。リフローはんだ付け装置10の設定条件としては、他に搬送コンベア14の搬送速度や加熱炉12内の酸素濃度などがあるが、ここでは省略している。
【0043】
図4(a)および
図4(b)に示すように、本実施形態に係るリフローはんだ付け装置10においては、第1ゾーンZ1〜第12ゾーンZ12を異なる温度に設定可能である。
図4(a)および
図4(b)に示す例では、第1ゾーンZ1から第10ゾーンZ10にかけてプリント基板Wが徐々に加熱され、第11ゾーンZ11および第12ゾーンZ12でプリント基板Wが冷却されるように温度条件が設定されている。
【0044】
本例では、プリント基板Wの検出前後において、温度条件は変化していない。しかしながら、
図4(a)に示すように、プリント基板W検出前のファン回転速度(すなわち、スタンバイ回転速度)は、通常回転速度の30%にまで低下している。このように、プリント基板Wが加熱炉12内にあるときだけ熱風ファン22および冷却ファン32を通常回転速度で回転させ、プリント基板Wを待っているときには熱風ファン22および冷却ファン32を通常回転速度よりも低いスタンバイ回転速度で回転させることにより、常時通常回転速度でファンを回転させた場合よりも消費電力を低減できる。
【0045】
リフローはんだ付け装置の主な設定条件としては、(1)各ゾーンの温度、(2)各ゾーンのファン回転速度、(3)コンベアの搬送速度、(4)コンベア幅、(5)酸素濃度(窒素雰囲気リフローの場合)がある。これらのうち、(1)各ゾーンの温度と(5)酸素濃度については、変更するのに長い時間(例えば10分〜30分)が必要である。一方、(2)各ゾーンのファン回転速度については、極短時間(例えば、数秒から数十秒)で変更が可能である。そこで、本願発明者は、プリント基板を待っている間はファンを低速で回転させておき、プリント基板が到着したときにファンを通常回転速度で回転させれば省電力化が可能となることを着想し、本発明を想到するに至った。
【0046】
上記では、スタンバイ回転速度を通常回転速度の30%に低下する例を示したが、プリント基板Wを待っている間には熱風ファン22および冷却ファン32を停止してもよい。この場合、スタンバイ回転速度を0%に設定したと考えることができる。但し、軸受の焼き付き防止、雰囲気温度の均一化などのために、必要最低限な速度でファンを回転させておくことが好ましい。
【0047】
図3に戻り、制御部18の説明を続ける。搬送速度制御部54は、コンベア駆動源15を駆動することにより、搬送コンベア14の搬送速度を制御する。本実施形態においては、搬送速度制御部54は、基板検出センサ16の検出結果に応じて、搬送コンベア14の搬送速度を制御する。搬送コンベア14の搬送速度もまた比較的短時間で変更できるので、プリント基板を待っている間は搬送コンベア14を低速にしておき、プリント基板が到着したときに高速にすれば省電力化が可能となる。
【0048】
具体的には、搬送速度制御部54は、基板検出センサ16がプリント基板Wを検出するまでは、搬送コンベア14を、プリント基板Wのリフロー条件に応じた搬送速度(「通常搬送速度」と呼ぶ)よりも遅い搬送速度(「スタンバイ搬送速度」と呼ぶ)で動作させる。そして、搬送速度制御部54は、基板検出センサ16がプリント基板Wを検出した場合、搬送コンベア14を通常搬送速度で動作させる。その後、プリント基板Wが加熱炉12の基板搬出口41から搬出された場合、搬送速度制御部54は、搬送コンベア14の搬送速度をスタンバイ搬送速度に戻す。このような搬送速度制御をファンの回転速度制御と併せて行うことにより、さらなる省電力化が可能となる。
【0049】
リフローはんだ付け装置10は、リフロー処理により発生したフラックスを回収するためのフラックス回収ファン(図示せず)をさらに備えてもよい。フラックス回収ファンは、リフローはんだ付け装置10が備えるフラックス回収装置に設けられる。フラックス回収装置は、フラックス回収ファンにより吸引された加熱炉12内の気体を冷却・液化することでフラックス成分を回収する。
【0050】
また、リフローはんだ付け装置10は、加熱炉内の空気を排気するための加熱炉排気ファン(図示せず)をさらに備えてもよい。
【0051】
制御部18は、基板検出センサ16の検出結果に応じて、加熱炉排気ファンおよびフラックス回収ファンの回転速度を制御可能に構成されてもよい。具体的には、制御部18の回転速度制御部52は、基板検出センサ16によりプリント基板Wが検出された場合、加熱炉排気ファンおよびフラックス回収ファンを通常のリフロー処理時の回転速度に制御する。その後、プリント基板Wが加熱炉12から搬出されたとき、回転速度制御部52は、加熱炉排気ファンおよびフラックス回収ファンを通常のリフロー処理時よりも遅い回転速度に制御する。加熱炉12内にプリント基板Wが存在しないときには、フラックスが発生しないので、フラックス回収ファンの回転速度を下げることが可能である。また、加熱炉12内にプリント基板Wが存在しないときには、加熱炉内の空気を排気する必要性も低いので、加熱炉排気ファンの回転速度を下げることができる。このように加熱炉排気ファンおよびフラックス回収ファンの回転速度を低速にすることにより、さらなる省電力化が可能となる。
【0052】
図5は、本発明の別の実施形態に係るリフローはんだ付け装置を説明するための図である。
図5に示すリフローはんだ付け装置10は、
図2で説明したリフローはんだ付け装置と同様の構成を有するので、詳細な説明は適宜省略する。本実施形態に係るリフローはんだ付け装置10は、加熱炉12内におけるプリント基板Wの位置に応じて、熱風ファン22および冷却ファン32の回転速度を変化させる点が、
図2で説明したリフローはんだ付け装置と異なる。
【0053】
図6は、
図5に示す実施形態における制御部の構成を説明するための図である。
図6に示す制御部18は、到着時間推定部55をさらに備える点が
図3に示す制御部と異なる。
【0054】
本実施形態において、回転速度制御部52は、プリント基板Wを待っている間は熱風ファン22および冷却ファン32をスタンバイ回転速度で回転させる。基板検出センサ16がプリント基板Wを検出した場合、到着時間推定部55は、その検出時間と、搬送コンベア14の搬送速度とに基づいてプリント基板Wの各ゾーンへの到着時間を推定する。回転速度制御部52は、該推定結果に応じて各ゾーンごとにファンの回転速度を制御する。すなわち、プリント基板Wを検出したらすぐに全てのゾーンのファンを通常回転速度に制御するのではなく、プリント基板Wが到着したゾーンのファンを通常回転速度に制御し、プリント基板Wが未到着または通過したゾーンのファンをスタンバイ回転速度に制御するのである。
【0055】
図5においては、第1プリント基板W1、第2プリント基板W2、第3プリント基板W3の3枚のプリント基板が加熱炉12内に位置している。第1プリント基板W1、第2プリント基板W2および第3プリント基板W3は、同一種類のプリント基板である。
【0056】
図7は、プリント基板が
図5に示す位置にあるときのリフローはんだ付け装置の設定条件を示す。
図7に示すように、第1プリント基板W1が位置している第1ゾーンZ1と、第2プリント基板W2が位置している第4ゾーンZ4および第5ゾーZ5と、第3プリント基板W3が位置している第11ゾーンZ11および第12ゾーンZ12のファンが通常回転速度(100%)に制御されており、その他のゾーンのファンはスタンバイ回転速度(30%)に減速されている。もちろん、
図7に示す設定条件は、プリント基板Wの移動に応じて変化する。
【0057】
本実施形態のような制御を行うことにより、プリント基板Wが位置していないゾーンの消費電力を低減できるので、より一層の省電力化を図ることができる。
【0058】
上述の実施形態では、回転速度制御部52は、プリント基板Wがあるゾーンに到着したときに、該ゾーンのファンを通常回転速度に制御している。しかしながら、回転速度制御部52は、プリント基板Wが到着予定のゾーンのファンを予め通常回転速度に制御しておいてもよい。すなわち、プリント基板Wがあるゾーンに到着する時間よりも所定時間前(例えば1分前)に、該ゾーンのファンを通常回転速度に制御しておくのである。これにより、プリント基板Wが到着したときのリフロー条件を安定化させることができる。
【0059】
また、回転速度制御部52は、プリント基板Wが通過したゾーンのファンの回転速度を、すぐにスタンバイ回転速度に制御するのではなく、所定時間(例えば30秒間)通常回転速度に維持してもよい。この場合も、リフロー条件を安定化させることができる。
【0060】
図8は、本発明のさらに別の実施形態に係るリフローはんだ付け装置を説明するための図である。
図8に示すリフローはんだ付け装置10は、加熱炉12に搬入されるプリント基板Wの種類を識別するための基板識別センサ17をさらに備える点が
図2に示すリフローはんだ付け装置と異なる。
【0061】
基板識別センサ17は、基板搬入口40近傍に設けられている。基板識別センサ17は、基板に記載された基板ID(バーコードやQRコードで記載)を読取可能に構成されている。基板識別センサ17により読み取られた基板IDは、制御部18に送られる。
図8においては、基板識別センサ17を基板検出センサ16と別の構成要素として図示したが、基板識別センサ17を用いてプリント基板の検出がなされてもよい。
【0062】
図9は、
図8に示す実施形態における制御部の構成を説明するための図である。
図9に示す制御部18は、リフロー条件認識部56をさらに備える点が
図6に示す制御部と異なる。
【0063】
リフロー条件認識部56は、基板識別センサ17から送られてきた基板IDに基づいて、該当基板ID用のリフロー条件を認識する。また、到着時間推定部55は、プリント基板Wの検出時間と、搬送コンベア14の搬送速度とに基づいてプリント基板Wの各ゾーンへの到着時間を推定する。そして、回転速度制御部52は、該推定結果と基板IDから認識したリフロー条件に基づいて、各ゾーンのファンの回転速度を制御する。
【0064】
図8においては、第1プリント基板W1、第2プリント基板W2、第3プリント基板W3の3枚のプリント基板が加熱炉12内に位置している。第1プリント基板W1、第2プリント基板W2および第3プリント基板W3は、異なる種類のプリント基板である。
【0065】
図10(a)〜
図10(c)は、それぞれ、第1プリント基板W1、第2プリント基板W2、第3プリント基板W3のリフロー条件を示す。
図10(a)〜
図10(c)においては、第1プリント基板W1の通常回転速度を100%とし、それに対する比率で第2プリント基板W2と第3プリント基板W3の通常回転速度を表している。すなわち、第2プリント基板W2の通常回転速度は、第1プリント基板W1の通常回転速度の90%であり、第3プリント基板W3の通常回転速度は、第1プリント基板W1の通常回転速度の80%である。
【0066】
図11は、プリント基板が
図8に示す位置にあるときのリフローはんだ付け装置の設定条件を示す。
図11に示すように、第1プリント基板W1が位置している第1ゾーンZ1のファンの回転速度が第1プリント基板W1の通常回転速度(100%)に制御されており、第2プリント基板W2が位置している第4ゾーンZ4および第5ゾーZ5のファンの回転速度が第2プリント基板W2の通常回転速度(90%)に制御されており、第3プリント基板W3が位置している第11ゾーンZ11および第12ゾーンZ12のファンが第3プリント基板W3の通常回転速度(80%)に制御されており、その他のゾーンのファンはスタンバイ回転速度(30%)に減速されている。もちろん、
図11に示す設定条件は、プリント基板Wの移動に応じて変化する。
【0067】
このように、プリント基板Wごとに基板IDを読み取り、リフロー条件を認識することにより、各ゾーンのファンを各プリント基板Wに最適な回転速度に制御できる。本実施形態は、異なる種類のプリント基板Wを同時に加熱炉12内に投入できるので、他品種少量生産に適した実施形態であると言える。
【0068】
ところで、リフローはんだ付け装置10の運転を停止する場合、通常であればヒータを全てオフにして放置し、加熱炉12内の温度が降下するのを待つ。しかしながら、この場合、加熱炉12内の温度降下に時間がかかる。
【0069】
そこで、上部カバー13を開口可能に構成し、制御部18は、当該装置の運転を停止する場合に上部カバー13を開口させてもよい。
図12は、上部カバー13が開口した様子を示す。加熱炉12を覆う上部カバー13を開口することにより、加熱炉12内の温度降下時間を短縮できる。なお、上部カバー13に加えてまたは代えて、下部カバー19を開口してもよい。
【0070】
また、制御部18は、当該装置の運転を停止する場合、上部カバー13を開口させる代わりに、加熱炉内の空気を排気するための加熱炉排気ファンを回転させて加熱炉内の温度を低下させてもよい。この場合も、加熱炉12内の温度降下時間を短縮できる。
【0071】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せによりいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。