特許第5694549号(P5694549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694549
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】液剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/295 20060101AFI20150312BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20150312BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   A61K31/295
   A61P35/00
   A61K9/10
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-537456(P2013-537456)
(86)(22)【出願日】2012年9月6日
(86)【国際出願番号】JP2012072794
(87)【国際公開番号】WO2013051363
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2013年11月13日
(31)【優先権主張番号】特願2011-222354(P2011-222354)
(32)【優先日】2011年10月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】505328683
【氏名又は名称】石川 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】石川 義弘
(72)【発明者】
【氏名】江口 晴樹
【審査官】 安居 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/058280(WO,A1)
【文献】 特開2009−173631(JP,A)
【文献】 特開2008−127241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−80
A61K 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属サレン錯体化合物が分散剤によって被覆された磁性粒子を、前記分散剤によって極性溶媒に分散されてなる液剤であって、
体内に適用後、患部である目的領域に毛細血管を介して移動し、前記目的領域には体外からの磁場が適用されており、前記磁性粒子は前記目的領域に至る周辺領域の毛細血管中で前記磁場の影響を受けても凝集しないように前記極性溶媒に分散されてなる液剤。
【請求項2】
前記磁場強度が0.3〜1Tである請求項1記載の液剤。
【請求項3】
前記毛細血管の直径が5〜10μmである請求項1または2記載の液剤。
【請求項4】
前記金属サレン錯体化合物の粒径が、10nm以上、500nm以下である請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の液剤。
【請求項5】
前記分散剤の極性基が保護基で保護されてなる請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の液剤。
【請求項6】
前記金属サレン錯体化合物が、10重量%以上、60重量%以下で含有されてなる請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の液剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性を有する金属サレン錯体化合物を分散剤で被覆した微粒子が溶媒に分散されている磁性組成物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属サレン錯体化合物は磁性を有する有機化合物として知られている(国際公開第2010/058520号公報)。金属サレン錯体化合物をヒトや動物に適用後、この金属サレン錯体化合物に外部から磁場を供給することによって、当該金属サレン錯体化合物を目的の患部組織に誘導し、患部組織に金属サレン錯体化合物を集めることができる。この結果、目的の患部組織において金属サレン錯体化合物の薬理効果を集約して発揮させることができる。金属サレン錯体化合物の薬理効果として、例えば、抗癌作用が知られている。また、金属サレン錯体化合物に医薬分子を結合することによって、医薬分子を目的の領域まで外部磁場によって誘導できることも既述の国際公開公報に記載されている。すなわち、金属サレン錯体化合物は医薬分子のキャリアにもなるものである。
【0003】
また、従来の金属磁性体より多くの平行スピンをもつ「高スピン分子」の合成によって、高分子材料で磁石を作るという有機磁性体の総説も紹介されている。(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
さらにまた、シスプラチンに含まれる白金を他の元素で置き換える技術も紹介されている。(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/058520号公報
【非特許文献1】岩村秀、「有機強磁性体をめざす分子設計」、1989年2月号、第76頁〜88頁
【非特許文献2】Kristy Cochran et al., Structural Chemistry, 13 (2002)、第133頁〜140頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者が検討したところ、金属サレン錯体化合物の注射剤を動物に適用し、その後、動物に磁場を加えても、磁場の適用領域に金属サレン化合物を誘導することが確実に再現できないという課題があった。
【0007】
また、非特許文献1及び2には、薬そのものに磁性が付与されることについては言及されていない。
【0008】
そこで、本発明は、治療が望まれる目的領域に、磁場によって確実に誘導できる磁性組成物、及びこの磁性組成物の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため本発明は、金属サレン錯体化合物が分散剤によって被覆された磁性粒子を、前記分散剤によって極性溶媒に分散させた磁性組成物であることを特徴とするものである。
【0010】
本願発明者が鋭意検討したところ、金属サレン錯体化合物の注射剤・輸液剤用溶媒に対する分散性は十分でないことが明らかとなり、金属サレン錯体化合物を分散させた注射剤・輸液剤用溶媒等に磁場を加えると金属サレン錯体化合物が凝集してしまう現象が発生することが分かった。ここで、目的の領域に向けて磁場を加えても、磁場は目的領域の周辺にも当然に影響するため、金属サレン錯体化合物が目的領域に届く前に、周辺領域において磁場の影響によって凝集してしまい、そこから目的領域まで金属サレン錯体化合物が微細・毛細血管中(5〜10μm)を移動できないことがある。
【0011】
本発明に係る磁性組成物は、金属サレン錯体化合物が分散剤よって被覆された磁性粒子を当該分散剤によって極性溶媒に分散させたものであるため、当該金属サレン錯体化合物を前記極性溶媒中に十分に分散させることができる。したがって、金属サレン錯体化合物は、目的領域(目的の病変領域)での周辺領域において磁場に晒されても凝集されることなく、当該目的領域に確実に到達することができる。
【0012】
また、本発明に係る磁性組成物に含まれる金属サレン錯体化合物は、磁場環境下の毛細血管中で凝集することがない非凝集性を示すことができる。よって、例えば、本発明に係る磁性組成物を分散させた注射剤・輸液剤用溶媒等を体内に導入した後、磁場を加えても、前記金属サレン錯体化合物が凝集することをより確実に防止することができる。したがって、前記金属サレン錯体化合物は、微細・毛細血管中(5〜10μm)を移動することができるため、当該金属サレン錯体化合物を目的領域までより確実に到達させることができる。
【0013】
また、本発明は、有機溶媒中で金属サレン錯体化合物と分散剤とを混合して、前記金属サレン錯体化合物を前記分散剤で被覆する第1の工程と、前記金属サレン錯体を極性溶媒に分散させる第2の工程と、備える磁性組成物の製造方法を提供するものである。
【0014】
この製造方法によれば、金属サレン錯体化合物が分散剤によって被覆された磁性粒子を、前記分散剤によって極性溶媒に分散させた磁性組成物を製造することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、治療が望まれる目的領域に、磁場によって確実に誘導できる金属サレン錯体化合物を含む磁性組成物及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願発明に適用される金属サレン錯体化合物は、サレン配位子(N,N’-bis(salicylidene) ethylenediamine)が金属に配位した構造又はその誘導体である。金属サレン錯体化合物の具体例は、既述の国際公開第2010/058520号公報に説明されている。同公報に示されているように、金属サレン錯体構造に医薬分子等の機能性分子が結合したものも本願発明の金属サレン錯体に含まれる。
【0017】
金属サレン錯体化合物に分散剤を被覆するための工程は、有機溶媒に対し親和性を有する分散剤を用いて当該有機溶媒中で行われる。その後、分散剤が被覆された金属サレン錯体化合物を分離して、金属サレン錯体化合物を極性溶媒に投入すると、金属サレン錯体化合物は分散剤によって極性溶媒中で分散される。金属サレン錯体化合物と分散剤との間にはファンデワールス相互作用、及び静電相互作用に基づく結合形態が生じている。
【0018】
好適な形態では、分散剤の極性基を保護基で保護することが好ましい。分散剤の極性基を保護した保護基は、極性溶媒で脱離されて、極性基がイオン化状態になり、分散剤の極性基が金属サレン錯体化合物を生理食塩水等の極性溶媒に分散させる。
【0019】
金属サレン錯体化合物が極性溶媒中で分散されることにより、当該金属サレン錯体化合物は、平均粒径が好ましくは10nm以上、500nm以下であるナノ粒子となり、このナノ粒子が加えられた注射剤・輸液剤用溶媒等を体内に導入した際に、体内の毛細血管中で磁場が加えられても、前記金属サレン錯体化合物が凝集しないようにする(即ち、非凝集性を示す)ことができる。
【0020】
金属サレン錯体化合物に被覆される分散剤としては、金属サレン錯体化合物を生理食塩水等の極性溶媒に分散できるものであれば特に限定されないが、金属ナノ粒子用の分散剤が好ましい。この種の分散剤としては、例えば、特開2011−68988号公報、特開2008−127241号公報に記載のものがある。
【0021】
金属サレン錯体化合物に加えられる磁場が強いと、金属サレン錯体化合物が凝集する虞があり、一方、磁場強度が小さいと、目的領域まで金属サレン錯体化合物が誘導されない虞がある。この観点から、好適な磁場強度の範囲は、0.3〜1Tである。また、磁性組成物における金属サレン錯体化合物の含有割合の好適な範囲は重量で10%以上、60%以下である。
【実施例】
【0022】
〔鉄サレン錯体化合物の製造例〕
次に、以下に説明するように、アミノ基を置換基として有する鉄サレン錯体を製造した。
【0023】
Step 1:
【化1】
【0024】
4−(ニトロフェノール)nitrophenol(25g,0.18mol)、(ヘキサメチレン−テトラミン)hexamethylene tetramine(25g,0.18mol)、(ポリリン酸)polyphosphoric acid (200mL)の混合物を100℃で1時間攪拌した。その後、その混合物を500mLの酢酸エチルと1Lの水の中に入れ、完全に溶解するまで攪拌した。さらにその溶液に400mLの酢酸エチルを追加で加えたところ、その溶液は2つの相に分離した。次に、2つの相のうち、水の相を取り除き、残りの化合物を塩性溶剤で2回洗浄し、無水MgSOで乾燥させた結果、化合物2が17g(収率57%)合成できた。
【0025】
Step 2:
【化2】
【0026】
次に、化合物2(17g,0.10mol)、(無水酢酸)acetic anhydride(200mL)、硫酸(15mL)を室温で1時間攪拌した。得られた溶液は、氷水(2L)の中で0.5時間混ぜ、加水分解を行った。得られた溶液をフィルターにかけ、大気中で乾燥させたところ白い粉末状のものが得られた。酢酸エチルを含む溶液を使ってその粉末を再結晶化させたところ、24gの化合物3(収率76%)の白い結晶を得ることができた。
【0027】
Step 3:
【化3】
【0028】
次に、化合物3(24g,77mmolとメタノール(500mL)に10%のパラジウムを担持したカーボン(2.4g)の混合物を一晩1.5気圧の水素還元雰囲気で還元した。終了後、フィルターでろ過したところ茶色油状の化合物4(21g)が合成できた。
【0029】
Step 4,5:
【化4】
【0030】
次に、無水ジクロメタン(DCM)(200mL)の中に化合物4(21g,75mmol)、二炭酸ジ-tert-ブチル(di(tert-butyl)dicarbonate)(18g,82mmol)を入れ、窒素雰囲気で一晩攪拌した。得られた溶液を真空中で蒸発させた後、メタノール(100mL)で溶解させた。その後、水酸化ナトリウム(15g,374mmol)と水(50mL)を加え、5時間還流させた後、冷却し、フィルターでろ過し、水で洗浄後、真空中て乾燥させたところ茶色化合物がえられた。得られた化合物は、シリカジェルを使ったフラッシュクロマトグラフィーを2回行うことで、10gの化合物6(収率58%)が得られた。
【0031】
Step 6:
【化5】
【0032】
無水エタノール400mLの中に化合物6(10g,42mmol)を入れ、加熱しながら還流させ、無水エタノール20mLにエチレンジアミン(1.3g,21mmol)を0.5時間攪拌しながら数滴加えた。そして、その混合溶液を氷の容器に入れて冷却し15分間かき混ぜた。その後、200mLのエタノールで洗浄しフィルターをかけ、真空で乾燥させたところ化合物7が8.5g(収率82%)で合成できた。
【0033】
Step 7:
【化6】
【0034】
無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にFeCl(2.7g,16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。室温窒素雰囲気で1時間混合したところ茶色の化合物が得られた。その後、真空中で乾燥させた。得られた化合物はジクロロメタン400mLで希釈し、塩性溶液で2回洗浄し、真空中で乾燥させたところ鉄サレン錯体化合物(complex A、但し、R=H))が得られた。
【0035】
〔コバルトサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にCoCl(Cobalt(II) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でコバルトサレン錯体化合物を得た。
【0036】
〔ニッケルサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にNiCl(Nickel(II) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でニッケルサレン錯体化合物を得た。
【0037】
〔モリブデンサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にMoCl(Molybdenum(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g,16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でモリブデンサレン錯体化合物を得た。
【0038】
〔ルテニウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にRuCl(Ruthenium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でルテニウムサレン錯体化合物を得た。
【0039】
〔ロジウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にRhCl(Rhodium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でロジウムサレン錯体化合物を得た。
【0040】
〔パラジウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にPdCl(Palladium(II) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でパラジウムサレン錯体化合物を得た。
【0041】
〔タングステンサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にWCl(Tungsten(VI) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でタングステンサレン錯体化合物を得た。
【0042】
〔レニウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にReCl(Rhenium(V) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でレニウムサレン錯体化合物を得た。
【0043】
〔オスミウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にオスミウムサレン3水和物(Osmium(III) chloride trihydrate, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でオスミウムサレン錯体化合物を得た。
【0044】
〔イリジウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にIrCl(Iridium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でイリジウムサレン錯体化合物を得た。
【0045】
〔白金サレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にPtCl(Platinum(II) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法で白金サレン錯体化合物を得た。
【0046】
〔ネオジムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にNdCl(Neodymium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でネオジムサレン錯体化合物を得た。
【0047】
〔サマリウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にSmCl(Samarium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でサマリウムサレン錯体化合物を得た。
【0048】
〔ユウロピウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にEuCl(Europium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でユウロピウムサレン錯体化合物を得た。
【0049】
〔ガドリニウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にGdCl(Gadolinium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でガドリニウムサレン錯体化合物を得た。
【0050】
次に、鉄サレン錯体化合物が分散された磁性ナノ粒子分散液の製造例(実施例)について説明する。先ず、極性基を保護基で保護した分散剤を使用した場合について説明する。
〔保護基がBoc保護からアミン系へ変化した場合の実施例〕
10mLのクロロホルムに懸濁させた鉄サレン錯体(10mg/mL程度)に、分散剤である、(Boc-aminooxy)acetic acid(Fluka社)のDMSO溶液(1M、体積1mL)を添加して、室温で3〜5時間激しく攪拌することでクロロホルム分散性の磁性ナノ粒子を得た。その後、1Nの塩化水素溶液を10mL加え、2相系で激しく攪拌した。この時、水相に磁性ナノ粒子が移動し、水分散性を有する磁性ナノ粒子水溶液を得ることができる。この時、水相のpHは2以下とした。(Boc-aminooxy)acetic acid([(tert-ブトキシカルボニル)アミノオキシ]酢酸)は既述の保護基であり、DMSOが分散剤である。
【0051】
ここで得られた磁性ナノ粒子分散液に磁石(磁場強度:約0.5T)を近づけても、粒子の凝集は観測されなかった。さらに透過型電子顕微鏡で粒子分布を確認したとこところ平均粒径は80nm程度であった。
【0052】
〔保護基がFmoc脱保護からアミン系へ変化した場合の実施例〕
10mLのクロロホルムに懸濁させた鉄サレン錯体(10mg/mL程度)に、分散剤である、Fmoc-Asp-OH(渡辺化学)のDMSO溶液(濃度1M、体積1mL)を添加して、室温で3〜5時間激しく攪拌することでクロロホルム分散性の磁性ナノ粒子を得た。その後、10mLの1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加え、2相系で激しく攪拌した。この時、水相に磁性ナノ粒子が移動し、水分散性を有する磁性ナノ粒子水溶液を得ることができる。この時、水相のpHは8以上とした。ここで得られた磁性ナノ粒子分散液に磁石(磁場強度:約0.5T)を近づけても、粒子の凝集は観測されなかった。さらに透過型電子顕微鏡で粒子分布を確認したとこところ平均粒径は70nm程度であった。Fmoc-Asp-OH(N-[(9H−フルオレン―9−イルメトキシ)カルボニル]−(L)-アスパラギン酸)は既述の保護基である。
【0053】
〔保護基がエチルエステルからカルボキシヒドラジンへ変化した場合の実施例〕
10mLのクロロホルムに懸濁させた鉄サレン錯体(10mg/mL程度)に、分散剤である、アジピン酸モノエチル(東京化成)DMSO溶液(濃度1M、体積1mL)を添加して、室温で3〜5時間激しく攪拌することでクロロホルム分散性の磁性ナノ粒子を得た。その後、ヒドラジン1水和物を10mL加え、激しく攪拌した。この時、クロロホルム溶液中に沈殿物が生成してきた。ここで、一旦上澄み溶液を捨てて、蒸留水を添加すると水分散性を有する磁性ナノ粒子水溶液を得ることができる。この時、水相のpHは3以下とした。ここで得られた磁性ナノ粒子分散液に磁石(磁場強度:約0.5T)を近づけても、粒子の凝集は観測されなかった。さらに透過型電子顕微鏡で粒子分布を確認したところ平均粒径は90nm程度であった。アジピン酸モノエチルが既述の保護基である。
【0054】
〔保護基がエチルエステルからカルボン酸へ変化した場合の実施例〕
10mLのクロロホルムに懸濁させた鉄サレン錯体(10mg/mL程度)に、分散剤である、アジピン酸モノエチル(東京化成)DMSO溶液(濃度1M、体積1mL)を添加して、室温で3〜5時間激しく攪拌することでクロロホルム分散性の磁性ナノ粒子を得た。その後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を10mL加え、激しく攪拌した。この時、水相に磁性ナノ粒子が移動し、水分散性を有する磁性ナノ粒子水溶液を得ることができる。この時、水相のpHは8以上とした。ここで得られた磁性ナノ粒子分散液に磁石(磁場強度:約0.5T)を近づけても、粒子の凝集は観測されなかった。さらに透過型電子顕微鏡で粒子分布を確認したとこところ平均粒径は80nm程度であった。
【0055】
次に、金属サレン錯体化合物として、鉄サレン錯体化合物以外の金属サレン錯体化合物(上記実施例にて製造した各々の金属サレン錯体化合物)を使用し、上記実施例に準じて磁性ナノ粒子分散液を各々製造した。次いで、これら各々の磁性ナノ粒子分散液に磁石(磁場強度:約0.5T)を近づけたが、粒子の凝集は観測されなかった。さらに透過型電子顕微鏡で粒子分布を確認したとこところ平均粒径は100〜600nm程度であった。