【実施例】
【0022】
〔鉄サレン錯体化合物の製造例〕
次に、以下に説明するように、アミノ基を置換基として有する鉄サレン錯体を製造した。
【0023】
Step 1:
【化1】
【0024】
4−(ニトロフェノール)nitrophenol(25g,0.18mol)、(ヘキサメチレン−テトラミン)hexamethylene tetramine(25g,0.18mol)、(ポリリン酸)polyphosphoric acid (200mL)の混合物を100℃で1時間攪拌した。その後、その混合物を500mLの酢酸エチルと1Lの水の中に入れ、完全に溶解するまで攪拌した。さらにその溶液に400mLの酢酸エチルを追加で加えたところ、その溶液は2つの相に分離した。次に、2つの相のうち、水の相を取り除き、残りの化合物を塩性溶剤で2回洗浄し、無水MgSO
4で乾燥させた結果、化合物2が17g(収率57%)合成できた。
【0025】
Step 2:
【化2】
【0026】
次に、化合物2(17g,0.10mol)、(無水酢酸)acetic anhydride(200mL)、硫酸(15mL)を室温で1時間攪拌した。得られた溶液は、氷水(2L)の中で0.5時間混ぜ、加水分解を行った。得られた溶液をフィルターにかけ、大気中で乾燥させたところ白い粉末状のものが得られた。酢酸エチルを含む溶液を使ってその粉末を再結晶化させたところ、24gの化合物3(収率76%)の白い結晶を得ることができた。
【0027】
Step 3:
【化3】
【0028】
次に、化合物3(24g,77mmolとメタノール(500mL)に10%のパラジウムを担持したカーボン(2.4g)の混合物を一晩1.5気圧の水素還元雰囲気で還元した。終了後、フィルターでろ過したところ茶色油状の化合物4(21g)が合成できた。
【0029】
Step 4,5:
【化4】
【0030】
次に、無水ジクロメタン(DCM)(200mL)の中に化合物4(21g,75mmol)、二炭酸ジ-tert-ブチル(di(tert-butyl)dicarbonate)(18g,82mmol)を入れ、窒素雰囲気で一晩攪拌した。得られた溶液を真空中で蒸発させた後、メタノール(100mL)で溶解させた。その後、水酸化ナトリウム(15g,374mmol)と水(50mL)を加え、5時間還流させた後、冷却し、フィルターでろ過し、水で洗浄後、真空中て乾燥させたところ茶色化合物がえられた。得られた化合物は、シリカジェルを使ったフラッシュクロマトグラフィーを2回行うことで、10gの化合物6(収率58%)が得られた。
【0031】
Step 6:
【化5】
【0032】
無水エタノール400mLの中に化合物6(10g,42mmol)を入れ、加熱しながら還流させ、無水エタノール20mLにエチレンジアミン(1.3g,21mmol)を0.5時間攪拌しながら数滴加えた。そして、その混合溶液を氷の容器に入れて冷却し15分間かき混ぜた。その後、200mLのエタノールで洗浄しフィルターをかけ、真空で乾燥させたところ化合物7が8.5g(収率82%)で合成できた。
【0033】
Step 7:
【化6】
【0034】
無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にFeCl
3(2.7g,16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。室温窒素雰囲気で1時間混合したところ茶色の化合物が得られた。その後、真空中で乾燥させた。得られた化合物はジクロロメタン400mLで希釈し、塩性溶液で2回洗浄し、真空中で乾燥させたところ鉄サレン錯体化合物(complex A、但し、R=H))が得られた。
【0035】
〔コバルトサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にCoCl
2(Cobalt(II) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でコバルトサレン錯体化合物を得た。
【0036】
〔ニッケルサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にNiCl
2(Nickel(II) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でニッケルサレン錯体化合物を得た。
【0037】
〔モリブデンサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にMoCl
3(Molybdenum(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g,16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でモリブデンサレン錯体化合物を得た。
【0038】
〔ルテニウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にRuCl
3(Ruthenium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でルテニウムサレン錯体化合物を得た。
【0039】
〔ロジウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にRhCl
3(Rhodium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でロジウムサレン錯体化合物を得た。
【0040】
〔パラジウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にPdCl
2(Palladium(II) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でパラジウムサレン錯体化合物を得た。
【0041】
〔タングステンサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にWCl
6(Tungsten(VI) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でタングステンサレン錯体化合物を得た。
【0042】
〔レニウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にReCl
5(Rhenium(V) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でレニウムサレン錯体化合物を得た。
【0043】
〔オスミウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にオスミウムサレン3水和物(Osmium(III) chloride trihydrate, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でオスミウムサレン錯体化合物を得た。
【0044】
〔イリジウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にIrCl
3(Iridium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でイリジウムサレン錯体化合物を得た。
【0045】
〔白金サレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にPtCl
2(Platinum(II) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法で白金サレン錯体化合物を得た。
【0046】
〔ネオジムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にNdCl
3(Neodymium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でネオジムサレン錯体化合物を得た。
【0047】
〔サマリウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にSmCl
3(Samarium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でサマリウムサレン錯体化合物を得た。
【0048】
〔ユウロピウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にEuCl
3(Europium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でユウロピウムサレン錯体化合物を得た。
【0049】
〔ガドリニウムサレン錯体化合物の製造例〕
前述した方法で化合物7を製造した後、無水メタノール(50mL)の中に化合物7(8.2g,16mmol)、(トリエチルアミン)triethylamine(22mL,160mmol)を入れ、メタノール(10mL)の中にGdCl
3(Gadolinium(III) chloride, Alfa Aesar製)(2.7g、16mmol)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。その後、鉄サレン錯体化合物の製造方法と同様の方法でガドリニウムサレン錯体化合物を得た。
【0050】
次に、鉄サレン錯体化合物が分散された磁性ナノ粒子分散液の製造例(実施例)について説明する。先ず、極性基を保護基で保護した分散剤を使用した場合について説明する。
〔保護基がBoc保護からアミン系へ変化した場合の実施例〕
10mLのクロロホルムに懸濁させた鉄サレン錯体(10mg/mL程度)に、分散剤である、(Boc-aminooxy)acetic acid(Fluka社)のDMSO溶液(1M、体積1mL)を添加して、室温で3〜5時間激しく攪拌することでクロロホルム分散性の磁性ナノ粒子を得た。その後、1Nの塩化水素溶液を10mL加え、2相系で激しく攪拌した。この時、水相に磁性ナノ粒子が移動し、水分散性を有する磁性ナノ粒子水溶液を得ることができる。この時、水相のpHは2以下とした。(Boc-aminooxy)acetic acid([(tert-ブトキシカルボニル)アミノオキシ]酢酸)は既述の保護基であり、DMSOが分散剤である。
【0051】
ここで得られた磁性ナノ粒子分散液に磁石(磁場強度:約0.5T)を近づけても、粒子の凝集は観測されなかった。さらに透過型電子顕微鏡で粒子分布を確認したとこところ平均粒径は80nm程度であった。
【0052】
〔保護基がFmoc脱保護からアミン系へ変化した場合の実施例〕
10mLのクロロホルムに懸濁させた鉄サレン錯体(10mg/mL程度)に、分散剤である、Fmoc-Asp-OH(渡辺化学)のDMSO溶液(濃度1M、体積1mL)を添加して、室温で3〜5時間激しく攪拌することでクロロホルム分散性の磁性ナノ粒子を得た。その後、10mLの1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加え、2相系で激しく攪拌した。この時、水相に磁性ナノ粒子が移動し、水分散性を有する磁性ナノ粒子水溶液を得ることができる。この時、水相のpHは8以上とした。ここで得られた磁性ナノ粒子分散液に磁石(磁場強度:約0.5T)を近づけても、粒子の凝集は観測されなかった。さらに透過型電子顕微鏡で粒子分布を確認したとこところ平均粒径は70nm程度であった。Fmoc-Asp-OH(N-[(9H−フルオレン―9−イルメトキシ)カルボニル]−(L)-アスパラギン酸)は既述の保護基である。
【0053】
〔保護基がエチルエステルからカルボキシヒドラジンへ変化した場合の実施例〕
10mLのクロロホルムに懸濁させた鉄サレン錯体(10mg/mL程度)に、分散剤である、アジピン酸モノエチル(東京化成)DMSO溶液(濃度1M、体積1mL)を添加して、室温で3〜5時間激しく攪拌することでクロロホルム分散性の磁性ナノ粒子を得た。その後、ヒドラジン1水和物を10mL加え、激しく攪拌した。この時、クロロホルム溶液中に沈殿物が生成してきた。ここで、一旦上澄み溶液を捨てて、蒸留水を添加すると水分散性を有する磁性ナノ粒子水溶液を得ることができる。この時、水相のpHは3以下とした。ここで得られた磁性ナノ粒子分散液に磁石(磁場強度:約0.5T)を近づけても、粒子の凝集は観測されなかった。さらに透過型電子顕微鏡で粒子分布を確認したところ平均粒径は90nm程度であった。アジピン酸モノエチルが既述の保護基である。
【0054】
〔保護基がエチルエステルからカルボン酸へ変化した場合の実施例〕
10mLのクロロホルムに懸濁させた鉄サレン錯体(10mg/mL程度)に、分散剤である、アジピン酸モノエチル(東京化成)DMSO溶液(濃度1M、体積1mL)を添加して、室温で3〜5時間激しく攪拌することでクロロホルム分散性の磁性ナノ粒子を得た。その後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を10mL加え、激しく攪拌した。この時、水相に磁性ナノ粒子が移動し、水分散性を有する磁性ナノ粒子水溶液を得ることができる。この時、水相のpHは8以上とした。ここで得られた磁性ナノ粒子分散液に磁石(磁場強度:約0.5T)を近づけても、粒子の凝集は観測されなかった。さらに透過型電子顕微鏡で粒子分布を確認したとこところ平均粒径は80nm程度であった。
【0055】
次に、金属サレン錯体化合物として、鉄サレン錯体化合物以外の金属サレン錯体化合物(上記実施例にて製造した各々の金属サレン錯体化合物)を使用し、上記実施例に準じて磁性ナノ粒子分散液を各々製造した。次いで、これら各々の磁性ナノ粒子分散液に磁石(磁場強度:約0.5T)を近づけたが、粒子の凝集は観測されなかった。さらに透過型電子顕微鏡で粒子分布を確認したとこところ平均粒径は100〜600nm程度であった。