(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピリチオン源が、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオン、ピリチオン酸、ジピリチオン、キトサンピリチオン、二硫化マグネシウムピリチオン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の剃毛カートリッジ。
前記石鹸基剤が、トリクロカルバン、トリクロサン、ハロゲン化ジフェニルエーテル、ヘキサクロロフェン、3,4,5−トリブロモサリチルアニリド、2−ピリジンチオール−1−オキシドの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、追加の抗菌剤を更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の剃毛カートリッジ。
前記石鹸基剤が、前記石鹸基剤の0.3重量%〜20重量%の量のpH調整剤を更に含み、前記pH調整剤が、アンモニア溶液、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、可溶性炭酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記石鹸が、10.7以上のpHを達成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の剃毛カートリッジ。
前記可溶性炭酸塩が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の剃毛カートリッジ。
有機カルボン酸亜鉛塩、無機亜鉛塩、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される亜鉛源を更に含み、前記亜鉛源が、0.01重量%〜0.5重量%の量で存在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の剃毛カートリッジ。
前記ポリオキシエチレンが、100,000〜5,000,000の分子量と、シリコーン架橋ポリマーとを有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の剃毛カートリッジ。
ジメチコンPEG−7リン酸パンテニル、ジメチコンPEG−7リン酸塩、ジメチコンPEG−7ウンデシレン酸塩、ジメチコン/メチコンコポリマー、パーフルオロノイルエチル(perfluoronoylethyl)ジメチコンメチコンコポリマー、ジメチコン中のジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマー、鉱油中のビニルジメチコン/ラウリルジメチコン架橋ポリマー、スクアラン中のビニルジメチコン/ラウリルジメチコン架橋ポリマー、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン架橋ポリマー、スクアレン及びラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3架橋ポリマー、トリエチルヘキサノイン及びラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3架橋ポリマー、並びにジメチコン/ポリグリセリン−3架橋ポリマー及びジメチコン、PEG/PPG−20/6ジメチコン、ベヘノキシジメチコン、C24〜28のアルキルメチコン、ジメチコン/ビニルジメツチン(dimethucine)架橋ポリマー、並びにC12〜C14のPareth−12からなる群から選択される、シリコーンポリマーを更に含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の剃毛カートリッジ。
第1のシェービングエイドが、前記前縁部で提供され、第2のシェービングエイドが、前記後縁部で提供され、前記第2のシェービングエイドが、前記ピリチオン源の少なくとも一部分を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の剃毛カートリッジ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
石鹸ベースのシェービングエイド組成物を有するかみそりは、例えば、棒状石鹸、剃毛クリーム、又はジェルなどの別個のシェービングエイドを必要とすることなく使用することができる。これは、例えば、シェービングエイドを皮膚に連続して再適用する必要なく、シャワー中の剃毛を可能にすることによって、かみそりの使用を簡単化することができる。最近、本明細書においてより詳細に記載される様々な利益を提供するために、シェービングエイド及び/又は石鹸基剤にピリチオン源を添加することが望ましいことが発見された。
【0013】
一般に、シェービングエイド組成物は、最初に、石鹸基剤、例えば、押出石鹸基剤又は流入石鹸基剤を取得する(例えば、作製する)ことによって形成することができる。ピリチオン源を含むことができるプロセス敏感成分を、石鹸基剤に組み込み、シェービングエイド組成物を形成させることができる。しかしながら、場合によっては、シェービングエイド組成物又は石鹸基剤の作製中の任意の点で添加することができるように、ピリチオン源を選択し、形成することができる。一般に、石鹸基剤が流入石鹸基剤である場合、これは、流入石鹸基剤を融解し、プロセス敏感成分を添加し、次いでプロセス敏感成分が実質的に分解されていない状態のままである期間内に、例えば、約1時間以内に、例えば、成形型内に定置して組成物を冷却することによって、結果としてもたらされる組成物を冷却することによって達成される。石鹸基剤が押出石鹸基剤である場合、石鹸基剤及びプロセス敏感成分は、ミリング、粉砕、及び/又は他の混合技法によって組み合わせられ、精製され、シェービングエイド組成物を形成するように押出される。更に、プロセス敏感成分の再融解を回避することによって、良質のシェービングエイド組成物を達成することができる。
【0014】
一実施形態では、剃毛カートリッジは、前縁部及び後縁部を有するハウジングと、前縁部と後縁部との間に1つ以上の剃毛ブレードと、シェービングエイドホルダーとを備える。カートリッジは、シェービングエイドホルダー上に装着された、少なくとも1つのシェービングエイド部分を含む。シェービングエイド部分は、約0.1重量%〜約10重量%若しくは1重量%〜約5重量%のポリオキシエチレンと、ピリチオン源と、成形又は押出石鹸基剤とを含む。
【0015】
一実施形態では、石鹸基剤は、約45%〜約99%の石鹸と、約0.01%〜約5%のピリチオン源とを含む。ピリチオン源は、ZPTであってもよく、更には、プレートレットの形態であってもよい。プレートレットZPTは、約0.5μm〜約10μm、あるいは約1μm〜約5μm、及びあるいは約3μmのメジアン粒径、約0.5μm〜約10μm、あるいは約1μm〜約5μm、あるいは約2μm〜約4μm、及びあるいは約3μmの平均粒径、並びに約0.6μm〜約15μm、あるいは約0.6μm〜1μm、あるいは約0.6μm〜約0.8μm、及びあるいは約0.6μm〜約0.7μmの厚さを有する。また、プレートレットZPTは、約5未満、及びあるいは約1のスパンも有することができる。
【0016】
理論に束縛されるものではないが、プレートレットZPTの使用は、石鹸基剤の皮膚への抗微生物効果を改善し、したがって、皮膚への微生物の侵入後に対する保護を改善することができると考えられる。特に、プレートレットZPTを含む組成物の使用の後に表面上に生じ得る微生物の数は、低減されると考えられる。更に、例えば、プレートレットZPTを含む組成物の使用後に表面上に堆積されるZPTの体積基準量の効果は、改善される。このように、組成物の全体的な残留有効性もまた、改善され、表面上への微生物の侵入後に対する保護を改善すると考えられる。
【0017】
一実施形態では、石鹸基剤又はシェービングエイドの潜在的変色を回避するという利点を提供するために、pH調整剤を含むことができる。これは、シェービングエイドが白色である、又は限られた着色剤を有する場合に、特に望ましい可能性がある。芳香剤及び着色剤などの成分は、低からゼロレベルであることが望ましい可能性があるため、これらの場合では、変色を回避することは、製品の向上された保存期間及び使用期間をもたらすことができる。このように、一実施形態では、シェービングエイドは、着色剤及び/又は芳香剤を含まない、又は実質的に含まない(即ち、そのような成分は、いかなる量も意図的には添加されないが、処理条件のために微量は存在する可能性がある)。
【0018】
ポリオキシエチレンは、約100,000〜約5,000,000の分子量を有することができる。シェービングエイド組成物は、シリコーンポリマー(例えば、約0.25重量%〜約5重量%のシリコーンポリマー)を更に含むことができる。シェービングエイド組成物は、ポリエチレン、ポリブテン、及び鉱油組成物を更に含むことができる。組成物は、約0.25重量%〜約5重量%のシリコーンポリマー、約10重量%〜約60重量%の脂肪酸塩、約0.1重量%〜約8重量%のエステル、約0.25重量%〜約10重量%のポリオキシエチレン、並びに約0.3重量%〜約10重量%のポリエチレン、ポリブテン、及び鉱油組成物を含むことができる。石鹸基剤は、流入石鹸基剤、押出石鹸基剤、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0019】
任意選択の耐摩滅性促進成分は、シェービングエイド組成物が、より多くの回数の剃毛を通じて存続するように、及び/又はシェービングエイド組成物が、水の存在下で急速に溶解若しくは崩壊しないように、シェービングエイド組成物の耐摩滅性を高める(耐摩滅性促進成分のないシェービングエイド組成物と比較して)ことができる。多くの耐摩滅性促進成分が、プロセスに敏感である。多くの他の望ましい成分、例えば、保湿剤(moisturizer)、芳香剤などは、同様にプロセスに敏感である。そのようなプロセス敏感成分を成形石鹸ベースのシェービングエイド組成物に組み込むことを可能にする方法が提供される。
【0020】
I.ピリチオン源
本明細書で使用される場合、ピリチオン源は、抗微生物効果並びに/又は他の審美的及び剃毛利益を提供することができるピリチオン及びピリチオン塩であってもよい。好ましいピリチオン塩は、亜鉛、スズ、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム、及びジルコニウムなどの重金属から形成されるものである。亜鉛塩、特に1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン(ジンクピリジンチオン、ジンクピリチオン、ZPTとも名付けられる)の亜鉛塩は、最も好ましい。ナトリウムなどの他のカチオンもまた、好適であり得る。ピリチオン源は、ナトリウムピリチオン、ジンクピリチオン、二硫化マグネシウムピリチオン、ピリチオン酸、ジピリチオン、キトサンピリチオン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。好ましくは、これは、ナトリウムピリチオン又はジンクピリチオンであり、より好ましくは、これは、ジンクピリチオン(ZPT)である。ZPTは、様々な供給業者から市販されている。例えば、Arch Chemicalから入手可能なZPT FPSを使用することができる。これは、48有効%のZPTを含む水分散液である。
【0021】
ピリチオン源は、個人向け洗浄技術分野において周知であり、例えば、米国特許第2,809,971号、米国特許第3,236,733号、米国特許第3,753,196号、米国特許第3,761、418号、米国特許第4,345,080号、米国特許第4,323,683号、米国特許第4、379,753号、米国特許第4,470,982号に記載されている。上述の特許文献内のピリチオン源についての説明は、参照によって本明細書に組み込まれる。ピリチオン源は、約0.05重量%、0.1重量%、若しくは0.4重量%〜約0.5重量%、1重量%、2重量%、又は5重量%の範囲の量で、シェービングエイド組成物内に存在することができる。
【0022】
亜鉛源
シェービングエイド組成物は、約0.01重量%〜約0.5重量%のレベルで、亜鉛源を更に含んでもよい。好適な亜鉛源には、同様に変色抑止利益を提供することができる、米国特許第4,161,526号に記載される亜鉛含有材料が挙げられる。具体的に、亜鉛源は、有機カルボン酸亜鉛塩、無機亜鉛塩、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、及びこれらの組み合わせの亜鉛塩からなる群から選択される。一実施形態では、亜鉛源は、炭酸亜鉛及び/又は酸化亜鉛である。亜鉛源、例えば、炭酸亜鉛もまた、ピリチオン源の有効性を高めることができることで知られている。一実施形態では、シェービングエイドは、0.5%のジンクピリチオン、2%の炭酸ナトリウム、及び0.1%の炭酸亜鉛を含む。
【0023】
ジンクピリチオン
実施形態例によると、シェービングエイドは、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン(「ジンクピリチオン」又は「ZPT」として知られる)の亜鉛塩などのピリチオン又はピリチオンの多価金属塩を更に含むことができる。
【0024】
好ましい実施形態では、石鹸基剤内に含まれるジンクピリチオンは、プレートレット粒子形態(「プレートレットZPT」)の乾燥粉末ジンクピリチオンである。実施形態例によると、石鹸基剤組成物内に含まれるプレートレットZPTは、例えば、約0.5μm〜約10μm、あるいは約1μm〜約5μm、及びあるいは約3μmのメジアン粒径、並びに約0.5μm〜約10μm、あるいは約1μm〜約5μm、あるいは約2μm〜約4μm、及びあるいは約3μmの平均粒径を伴う粒子を含むことができる。また、プレートレットZPTは、出願整理番号12005の2011年2月28日に出願された、Smithらの米国特許出願第13/036,889号の
図1に示されるように、約0.6μm〜約15μm、あるいは約0.6μm〜約1μm、あるいは約0.6μm〜約0.8μm、及びあるいは約0.6μm〜約0.7μmの厚さも有することができる。シェービングエイド内に含まれるプレートレットZPTは、約5未満、あるいは約1のスパンも有することができる。
【0025】
シェービングエイドは、棒状組成物の約0.01重量%〜約5重量%、あるいは約0.1重量%〜約2重量%、及びあるいは約0.1重量%〜約1重量%のプレートレットZPTを含むことができる。プレートレットZPTは、シェービングエイド内に、乾燥粉末として含むことができる、つまり、例えば、石鹸成分で分散させることができる。あるいは、プレートレットZPTを、例えば、石鹸基剤中の水分散液として、シェービングエイド内に含むことができる。
【0026】
一実施形態では、プレートレットZPTを、例えば、凝集に対して安定化させることができる。一実施形態では、プレートレットZPTが相互に付着するのを防止するために、プレートレットZPTのそれぞれは、コーティング又は層を有することができる。コーティング又は層は、ポリナフタレンスルホン酸塩若しくは任意の他の好適な硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、又は例えば、電荷若しくは立体障害によって安定性を提供する他の化合物であってもよい。
【0027】
実施形態例では、ZPTは、米国特許第2,809,971号に図示されるように、ジンクピリチオン沈殿物を形成するために、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン(即ち、ピリチオン酸)又はその可溶性塩を亜鉛塩(例えば、硫酸亜鉛)と反応させることによって作製することができ、ジンクピリチオンは、米国特許第6,682,724号に図示されるように、例えば、音響エネルギーを使用して、プレートレットZPTに形成する、又はそれに加工することができる。
【0028】
シェービングエイド又は石鹸基剤内へのプレートレットZPTの使用は、かみそり及びシェービングエイド(単数又は複数)が使用される表面上に堆積されるZPTの量の効果の改善、並びに使用の後に生じる抗菌剤の量の低減をもたらすことが発見された。より具体的には、約1μm〜約5μmのメジアン粒径、約1μm〜約5μmの平均粒径、及び約0.6μm〜約15μmの厚さを有するプレートレットZPTの使用は、例えば、2011年2月28日に出願された、出願整理番号12005のSmithらの米国特許出願第13/036,889号の
図2に示され、説明される粒子状ZPTなどの粒子状ZPTと比較して、かみそりカートリッジ及びシェービングエイド(単数又は複数)が使用される表面上に堆積されるZPTの量の効果の改善、並びに使用の後に生じる抗菌剤の量の低減をもたらすことが発見された。更に、米国特許出願第13/036,889号の
図3は、約0.70μmのメジアン粒径、約0.75μmの平均粒径、及び0.6μm未満の厚さを有する粒子状ZPTを含む抗菌棒状石鹸組成物を、上述されるプレートレットZPTを含む抗菌棒状石鹸組成物と比較することによって、これらの改善を例証する。米国特許出願第13/036,889号の
図1に示されるように、プレートレットZPTの使用は、粒子状ZPTと比較して、基材上に形成するコロニー形成単位(CFU)の数を低減する。このように、プレートレットZPTの使用は、シェービングエイドの抗菌(antimicrobial)/抗菌(antibacterial)残留有効性を高め、抗菌棒状組成物が使用される表面の微生物の侵入後からの保護を提供する。
【0029】
II.石鹸基剤
シェービングエイド組成物は、石鹸基剤、例えば、流入石鹸基剤又は押出石鹸基剤を含む。石鹸基剤の基本的構成要素は、基剤を形成する鹸化若しくは中和された植物油又は獣脂であってもよく、あるいは合成流入石鹸基剤であってもよい。また、ココナツ酸又は他の脂肪酸の過脂肪材料含有部分(例えば、約25重量%を超える)が使用されてもよい。幾つかの実施形態では、シェービングエイド組成物は、鹸化若しくは中和された植物油又は獣脂など、あるいは前述の材料の組み合わせを含む、基剤を含む。植物油若しくは獣脂の鹸化又は中和は、基剤を形成する脂肪酸のグリセロール及び塩の生成をもたらす。シェービングエイド組成物は、不透明、半透明、又は透明であってもよい、約50重量%〜約100重量%の鹸化又は中和された基剤(例えば、約75重量%〜約100重量%の鹸化又は中和された基剤)を含むことができる。生成され得る例示的な脂肪酸の塩には、最大で約22個の炭素原子を有する、カルボン酸ナトリウム塩が挙げられる。
【0030】
石鹸基剤は、合成石鹸基剤であってもよい。特定の実施形態では、合成石鹸基剤は、グリコール(例えば、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及び/又はメチルプロパンジオールグリコール)、グリセリン、脂肪酸塩(例えば、ステアリン酸ナトリウム及び/又はステアリン酸カリウム)、C15〜C25アルコール(例えば、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、及び/又はミリスチンアルコール)、ステアレス(例えば、例えばBrij(登録商標)−721などのステアレス21)、ステアリン酸、微結晶ろう(例えば、微結晶ろうSP 16、SP 19、SP 16、SP 18、SP−1674、SP 16W、SP 60W、SP 89、Multiwax 180M、X−145、W−445、及び/又はW−835)、1つ以上の界面活性剤(例えば、Tegobetaine F−50、Lonzaine(登録商標)、Mackam(登録商標)群の界面活性剤、Mirataine(登録商標)群の界面活性剤)、並びにラウリルエーテル硫酸ナトリウム(「SLES」)(例えば、25有効%のSLES)を含む。幾つかの実施形態では、グリセリンは、石鹸基剤中に含まれていない。所望により、以下により詳細に記載されるプロセス敏感相の一部又は全体に、グリセリンを含むことができる。
【0031】
特定の実施形態では、石鹸基剤は、全て流入石鹸基剤の、約0.5重量%〜約30重量%のグリコール(例えば、約10重量%〜約25重量%のグリコール又は約12重量%〜約15重量%のグリコール)、約10重量%〜約40重量%のグリセリン(例えば、約18重量%〜約34重量%のグリセリン又は約18重量%〜約24重量%のグリセリン)、約20重量%〜約40重量%の脂肪酸塩(例えば、約25重量%〜約40重量%の脂肪酸塩(例えば、ステアリン酸塩)又は約30重量%〜約35重量%の脂肪酸塩)、約0.1重量%〜約10重量%のステアリン酸(例えば、約2重量%〜約5重量%のステアリン酸)、約0.5重量%〜約10重量%の微結晶ろう(例えば、約0.5重量%〜約5重量%の微結晶ろう又は約1重量%〜約3重量%の微結晶ろう)、約1重量%〜約15重量%のベタイン(例えば、約2有効重量%〜約10有効重量%のベタイン又は約4有効重量%〜約9有効重量%のベタイン)、及び約1有効重量%〜約20有効重量%のSLES(例えば、約1有効重量%〜約20有効重量%のSLES又は約10有効重量%〜約15有効重量%のSLES)を含むことができる。ピリチオン源の添加の前の例示的な一流入石鹸基剤は、以下を含む。
【表1】
【0032】
幾つかの実施形態では、基剤及び合成界面活性剤の組み合わせを採用することができる。
【0033】
追加の抗菌剤
石鹸基剤は、所望により、棒状組成物の抗菌効果を更に向上させる働きをすることができる、1つ以上の追加の抗菌剤を更に含むことができる。存在する場合、抗菌棒状組成物は、約0.001重量%〜約2重量%、好ましくは約0.01重量%〜約1.5重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の抗菌棒状組成物を含むことができる。採用することができる抗菌剤の例は、カルバニリド、例えば、トリクロカルバン(トリクロロカルバニリドとしても知られる)、トリクロサン、チバ−ガイギーからDP−300として入手可能なハロゲン化ジフェニルエーテル、ヘキサクロロフェン、3,4,5−トリブロモサリチルアニリド、及び2−ピリジンチオール−1−オキシドの塩、サリチル酸、並びに他の有機酸である。他の好適な抗菌剤は、米国特許第6,488,943号(抗菌活性剤と称される)に詳細に記載されている。
【0034】
pH及びpH調整剤
一実施形態では、本石鹸基剤のpHは、10.7以上、好ましくは11、11.5、12、12.5、13、及び13.5以上、最大で14までである。本明細書で使用される場合、本組成物のpHは、任意の市販のpH計測器を使用して、25℃前後で測定される。試験される組成物が固体形態である場合、最初に蒸留水中に溶解され、10%の濃度の水溶液を形成させる。次いで、石鹸基剤を表すこの水溶液のpHが試験される。
【0035】
一実施形態では、本石鹸基剤は、上述のpHを達成するのに十分な量のpH調整剤を含む。本組成物に有用なpH調整剤には、アルカリ化剤が挙げられる。好適なアルカリ化剤には、例えば、アンモニア溶液、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、可溶性炭酸塩、アンモニア溶液、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、可溶性炭酸塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
要件pHを達成するために必要とされるpH調整剤の量は、当業者によって、既知の化学パラメータ、例えば、pH調整剤のpKa値に従って計算することができる。
【0037】
本発明の一実施形態では、本石鹸基剤は、変色を低減するために、10.7以上のpHを達成するのに有効な量で存在する、可溶性炭酸塩を含む。可溶性炭酸塩は、20℃の水に0.01g以上の溶解度を有する炭酸塩及び重炭酸塩を含んでもよい。そのような炭酸塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0038】
別の実施形態では、本組成物は、変色を防止するのに有効な量の可溶性炭酸塩を含む。例えば、可溶性炭酸塩は、約0.3%、0.5%、0.8%、1%、若しくは1.5%〜約2%、2.5%、5%、10%、又は20%の範囲の量で本組成物中に存在する。
【0039】
石鹸基剤がピリチオン源及び石鹸界面活性剤を含む一実施形態では、石鹸基剤もまた、アンモニア溶液、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、可溶性炭酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるpH調整剤を含むことができ、石鹸は、10.7以上のpHを達成する。この石鹸基剤は、低減した変色を示し、比較例は、2011年2月28日に出願された、出願整理番号AA00812FのSmithらのPCT中国特許出願第CN2011/000320号の
図1に提供されている。理論に束縛されるものではないが、pHを増加させることによって、ピリチオン基の構成変化が起こり、ピリチオン基が、有色沈殿物を形成する溶解した第二鉄又は第二銅イオンと反応しにくくなり、それによって、変色を抑止又は低減すると考えられる。
【0040】
具体的に、ピリチオン、即ち、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンは、式1に示されるように、ピリジンに関連する芳香族複素環である。
【化1】
【0041】
これは、そのN−ヒドロキシチオアミド基のイオウ及び酸素を介して、亜鉛イオン、第二鉄イオン、及び第二銅イオンからなる群から選択されてもよいが、これらに限定されない、遷移金属を伴う錯体(式2に示される)を形成する。ピリチオンアニオン種内のN−ヒドロキシチオアミド基の化学構造は、負電荷及び隣接する強力な電子ドナー電位によって、二座配位特性を生じさせ、これは、亜鉛、銅、又はイオンなどの金属カチオンとのこの配位を可能にする。
【化2】
【0042】
Irving & Williams Seriesによると、イオン半径が小さいほど、ピリチオンと金属イオンとの間の配位は安定である。Fe3+は、Cu2+の0.73Aより小さく、ひいてはZn2+の0.74Aより小さい、0.64Aの半径を有する。これは、ジンクピリチオンなどの他のピリチオン源の存在下での望ましくないピリチオン変色の形成を説明するのに役立つ。
【0043】
しかしながら、互変異性及び酸塩基平衡のため、ピリチオンは、平衡配置(I)に示されるように、種形成される。
【化3】
【0044】
本発明者は、上昇したpHが、正電荷を持つ窒素原子を担持するピリチオン(以下の右側の平衡配置IIに示される)から負電荷をもつ窒素原子(以下の左側の平衡配置IIに示される)へのピリチオン種形成の平衡の変化における役割を果たすと考える。平衡配置IIの左側のピリチオン種形成は、第二鉄イオンを含む金属イオンと配位することができない。次いで、遊離第二鉄イオンは、上昇したpH条件下で、Fe(OH)3になり、最終的にFe2O3になることができ、望ましくない着色第二鉄ピリチオンの形成を更に防止する。
【化4】
【0045】
変色
本明細書で使用される場合、「変色」は、ピリチオン源の第二鉄イオン及び/又は第二銅イオンなどの不必要な溶解された金属イオンとの反応から形成される有色沈殿物によってもたらされる色の変化を意味する。変色は、納戸色、青色、黒色、紫色、緑色、及びピリチオン源を含む石鹸基剤の元の色とは異なる他の色であってもよい。「元の色」とは、棒内のピリチオン源が第二鉄及び/又は第二銅イオンと反応する前の石鹸基剤の色を意味する。変色を測定するために、多数の方法が利用可能である。測定の詳細は、本明細書の後のセクションの変色試験方法の下に記載される。
【0046】
III.成形シェービングエイド組成物を作製する方法
多工程プロセス
一実施形態では、シェービングエイドは、成形され、米国特許第7,811,553号の8段落60行目〜11段落6行目に概して記載されるような多工程プロセスによって形成することができる。手短に言えば、2工程プロセスは、流入石鹸基剤を形成する第1の工程を含むことができる。
【0047】
流入石鹸基剤は、獣脂若しくは植物ベースの石鹸基剤、合成石鹸基剤、又はこれらの組み合わせであってもよい。特定の実施形態では、石鹸基剤を形成するプロセスは、石鹸基剤成分を約80℃以上の温度(例えば、約85℃、90℃、95℃、100℃、105℃以上の温度)まで上昇させる工程を含む。幾つかの実施形態では、石鹸基剤成分は、約1時間以上(例えば、約2、3、4、5、10時間以上、又は約20時間以上)の期間、これらの温度にさらされる。
【0048】
第2の工程では、特定のピリチオン源、エステル、ポリオキシエチレン、芳香剤、染料、及び他の任意選択の成分などのプロセスに敏感な成分の1つ以上を含むことができる、第2の相が調製される。グリセリンを約25℃〜約50℃(例えば、約35℃)の温度まで温め、任意のプロセス敏感成分を添加することによって、第2の相を調製することができる。高温は、これらの成分の組み込みを助長することができ、組み込まれる特定の成分を基準に選択することができる。例えば、バターは、典型的に、約35℃で融解し、そのため、第2の相の温度を約35℃まで上昇させることは、バターを相に融解するのを助長することができる。成分の選択及び選択される成分の量は、最終的なシェービングエイド組成物に望まれるレベルによって様々である。幾つかの実施形態では、それ自体はプロセスに敏感ではない成分を第2の相に含むことができる。特定の実施形態では、第2の相の温度を、第2の相が石鹸基剤に添加されるときなどまで、約25℃〜約50℃(例えば、約35℃)に維持することができる。他の実施形態では、第2の相を、石鹸基剤に組み込む前に、冷却する(例えば、室温に)ことができる。
【0049】
第3の工程として、石鹸相の混合物からシェービングエイド組成物を形成することができ、第2の相が、
図1に図示されている。固化流入石鹸基剤202は、融解した石鹸204を形成するように、約90℃〜約100℃(例えば、約91℃、約92℃、約93℃、約94℃、約95℃、約96℃、約97℃、約98℃、約99℃、又は約100℃)の温度まで加熱され、再融解される。融解した石鹸204は、ポンプ206を介して、撹拌機構212を備える加熱された充填剤供給容器210に定量送出される。充填剤供給容器210は、その内容物の温度を約95℃に維持するように構成される。第2の相220は、加熱されたチャンバ222内のプロセス敏感成分224を混合することによって形成される。次いで、第2の相220は、ポンプ228を介して、充填剤供給容器210に定量送出され、融解シェービングエイド組成物230を形成するように、石鹸基剤202と混合される。
【0050】
次いで、融解シェービングエイド組成物230は、充填ポンプ232を介して、シェービングエイド組成物が、成形シェービングエイド組成物240を形成するように冷却される、成形ブロック238内に形成された個々の成形型236に定量送出される。融解シェービングエイド組成物230の温度は、シェービングエイド組成物が成形型236内に定置されるまで、約95℃の温度に維持される。
【0051】
融解シェービングエイド組成物230は、プロセス敏感成分224を含むことができるため、融解シェービングエイド組成物230は、プロセス敏感成分230の実質的な分解をもたらし得るより短い期間、高温に保たれる。例えば、幾つかの実施形態では、融解シェービングエイド組成物230は、成形型内に定置され、冷却される前に、約120分以下(例えば、約110分以下、約100分以下、約90分以下、約75分以下、約60分以下、約50分以下、約40分以下、約30分以下、約20分以下、約10分以下、約5分以下、又は更には約2分以下を含む)、高温に保たれる。このようにして、プロセス敏感成分が実質的に分解されていない、成形シェービングエイド組成物を形成することができる。
【0052】
特定の実施形態では、シェービングエイド組成物は、成形型内に既に位置付けられているシェービングエイド装着デバイス(例えば、以下に記載されるウィング)を有する成形型内に定置される。このようにして、シェービングエイド組成物は、固化すると、自体をシェービングエイド装着デバイスに埋め込むことができる。
【0053】
いったんシェービングエイド組成物が十分な点(例えば、成形型から容易に分離するまで十分に固化した点)まで冷却すると、シェービングエイド組成物を成形型から取り外すことができる。幾つかの実施形態では、シェービングエイド組成物は、成形型から取り外される前に、およそ室温まで冷却される。他の実施形態では、シェービングエイド組成物は、成形型から取り外される前に、約80℃以下(例えば、約75℃、70℃、65℃、60℃、50℃、40℃以下、約30℃以下、約25℃以下、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、又は約0℃以下)の温度まで冷却される。
【0054】
1工程バッチプロセス
幾つかの実施形態では、ピリチオン源及び任意のプロセス敏感成分を、1工程バッチプロセスにおいて、流入石鹸基剤融解物に直接添加することができる。そのような一実施形態では、流入石鹸基剤融解物は、約95℃に維持され、流入石鹸基剤融解物を最初に冷却て次いで再融解することなく、シェービングエイド組成物を形成するように、第2の相が融解物に添加される。次いで、シェービングエイド組成物は、1つ以上の成形型内に定置され、冷却される。別のそのような実施形態では、プロセス敏感成分は、最初にプロセス敏感相に組み込まれることなく、流入石鹸基剤融解物に直接混合される。次いで、結果としてもたらされるシェービングエイド組成物は、1つ以上の成形型内に定置され、冷却される。それぞれの場合において、組成物は、プロセス敏感成分の一部又は全てが実質的に分解するのに十分な時間が経過する前に、成形型内に定置され、冷却される。具体的に、プロセス敏感成分を融解した石鹸基剤に添加してから、融解シェービングエイド組成物を成形型内に定置し、シェービングエイド組成物を冷却するまでの経過時間は、プロセス敏感成分の一部又は全てが、典型的に、混合工程の高温及び剪断で分解し始めるより短い時間であるべきである。一般に、この時間は、約90分未満(例えば、約80、70、60、50、40、30、20、10分未満、又は約5分未満)である。
【0055】
連続プロセス
幾つかの実施形態では、成形シェービングエイド組成物は、連続プロセスで調製される。石鹸基剤の成分は、最初に組み合わせられ、成分の温度を、少なくとも約90℃(例えば、少なくとも約95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、又は少なくとも約120℃)まで上昇させるために、加熱されたチャンバを通して流される。加熱されたチャンバ及びポンピング機構は、成分を十分に融解し、混合するのに十分な、石鹸基剤構成要素の高温での滞留時間を可能にするように構成される。
【0056】
次に、融解物は、約100℃以下(例えば、約90℃以下、約80℃以下、又は約70℃以下)に維持される第2のチャンバに移動される。別の方法では、融解物を、第1のチャンバ内に保持することができ、第1のチャンバの温度を、約100℃以下(例えば、約90℃以下、約80℃以下、又は約70℃以下)に下げることができる。この温度を維持しながら、プロセス敏感成分は、石鹸基剤融解物に導入されかつ混合され、シェービングエイド組成物を形成させる。成分を個々に導入することができる、又は上述されるプロセス敏感相の形態で導入することができる。次いで、シェービングエイド組成物は、成形シェービングエイド組成物を形成するように、例えば、射出成形によって成形型に流し込まれ、冷却される。
【0057】
押出石鹸
特定の実施形態では、押出石鹸を採用することができる。押出石鹸を形成するためのプロセス250が、
図1Bに図示される。石鹸基剤は、一般に、液体石鹸基剤256、及び液体石鹸基剤256から除去されるグリセリン258を形成する(例えば、鹸化又は中和反応によって)ように、反応容器254内で石鹸基剤成分252を組み合わせることによって形成される。液体石鹸基剤は、少なくとも一部の水が除去される(例えば、真空スプレー乾燥によって)乾燥チャンバ260に移動されて、実質的に乾燥した石鹸ペレット262(例えば、乾燥石鹸麺又は削屑)を形成させる。次いで、乾燥石鹸ペレット262は、アマルガム器264に導入される乾燥石鹸ペレット266をプロセス敏感成分270と共に混合及び/又は粉砕するための1つ以上のパドル266を有する、アマルガム器264に導入され、押出石鹸乾燥ブレンド272を形成させる。幾つかの実施形態では、押出石鹸乾燥ブレンド272を、巨大分子均質化することができる(例えば、プロセス敏感成分の乾燥石鹸ペレット中への実質的に均一の分布を達成することができる)。次いで、押出石鹸乾燥ブレンド272は、例えば、押出石鹸乾燥ブレンド272を1つ以上の圧延装置274に導入することによって、精製され、実質的に均一の質感を達成する。次いで、押出石鹸乾燥ブレンド272は、更なる処理工程278(例えば、所望の最終形状に切断及び/又は打ち抜きする工程)を施すことができる、連続棒状の押出石鹸278を形成するために、押出機276を使用して、所望により熱(例えば、95℃、90℃、85℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃、30℃以下、若しくは25℃以下)及び/又は圧力を使用して押出される。
【0058】
IV.シェービングエイド組成物内の他の成分
耐摩滅性促進剤
シェービングエイド組成物は、1つ以上の耐摩滅性促進成分を含む。好適な耐摩滅性促進成分には、ステアリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン、ポリエチレン、エステル、及びシリコーンポリマーが挙げられる。これらの成分(例えば、エステル及びポリオキシエチレン)の多くは、典型的に、プロセスに敏感である。また、耐摩滅性促進材料は、シェービングエイド組成物に、例えば、向上された潤滑などの他の性質又は特性も付与することができる。
【0059】
ポリオキシエチレン
好適な一耐摩滅性促進成分は、プロセス敏感材料である、ポリオキシエチレンである。ポリオキシエチレンは、典型的に、それらの通常又は平均(数平均)分子量によって特徴付けられる。数平均分子量とは、個々の分子量の合計をポリマーの数で除算したものである。この分野において既知であるように、ポリオキシエチレンの試料は、一般に、試料が数平均分子量より大きい、及び小さい個々のポリマー分子を含むような、分子量の分布を含む。
【0060】
いずれの公称分子量のポリオキシエチレンを含むことも、成形シェービングエイド組成物の摩滅特性を改善することができる。ポリオキシエチレンは、例えば、約100,000ダルトン以上(例えば、約500,000、1,000,000、2,000,000、3,000,000、4,000,000、5,000,000、6,000,000ダルトン以上、若しくは約7,000,000ダルトン以上)及び/又は約8,000,000ダルトン以下(例えば、約7,000,000、6,000,000、5,000,000、4,000,000、3,000,000、2,000,000ダルトン以下、若しくは約1,000,000ダルトン以下)の近似公称分子量を有することができる。所望により、異なる公称分子量を有する2つ以上のポリオキシエチレンを採用することができる。ポリオキシエチレンは、例えば、シェービングエイド組成物の約0.1重量%以上(例えば、約0.25重量%以上、約0.5重量%以上、約1重量%以上、約2重量%以上、約3重量%以上、約4重量%以上、約5重量%以上、約6重量%以上、約7重量%以上、約8重量%以上、若しくは約9重量%以上)及び/又は約10重量%以下(例えば、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、若しくは約0.5重量%以下)のレベルで存在することができる。例示的なポリオキシエチレンには、Union Carbide Corpから入手可能なPOLYOX(登録商標)群のポリオキシエチレン、及び日本京都のMeisei Chemical Worksから入手可能なALKOX(登録商標)ポリオキシエチレンに属するものが挙げられる。
【0061】
シリコーンポリマー
また、シリコーンポリマーも、耐摩滅性促進成分として採用することができる。特に、シリコーン架橋ポリマーが使用されてもよい。シリコーン架橋ポリマーは、架橋結合することができる(例えば、架橋される)シリコーン(例えば、シリコーンベースの主鎖を有する)を含む、ポリマーである。シリコーンポリマー、特にシリコーン架橋ポリマーは、溶媒中に少なくとも約0.25有効%(例えば、少なくとも約0.5有効%、1有効%、1.5有効%、2有効%、2.5有効%、3有効%、3.5有効%、4有効%、若しくは少なくとも約4.5有効%)及び/又は最大で約5有効%(例えば、最大で約4.5有効%、4有効%、3.5有効%、3有効%、2.5有効%、2有効%、1.5有効%、1有効%、若しくは最大で約0.5有効%)のレベルで存在することができる。特定の実施形態では、シリコーン架橋ポリマーは、約0.25%〜約5%のレベルで存在する。例示的なシリコーン架橋ポリマーには、例えば、ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3架橋ポリマー(例えば、30%のラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3架橋ポリマー)が挙げられる。市販のシリコーン架橋ポリマーが既知であり、米国特許第7,811,553号の6段落に開示されている。
【0062】
エステル
エステル(例えば、バター及び他の非液体エステル)は、シェービングエイド組成物に組み込むことができ、耐摩滅性促進剤として、及び/又は皮膚軟化剤(skin-softener)として機能することができる。具体的に、半固体エステルが採用されてもよく、それらは、一般に、プロセス敏感材料である。半固体エステルは、皮膚軟化剤(emollient)及び/又は保湿剤(moisturizer)として作用することができる。例示的な半固体エステルには、例えば、シアバター、カカオバター、コクムバター(kokum butter)、アボカドバター、オリーブバター、マンゴーバター、及びこれらの混合物などのバターが挙げられる。エステルは、約0.5%以上(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%以上、若しくは約7%以上)及び/又は約8%以下(例えば、約7%、6%、5%、4%、3%、2%以下、若しくは約1%以下)のレベルで、シェービングエイド組成物に組み込むことができる。
【0063】
ポリエチレン組成物
シェービングエイド組成物は、耐摩滅性促進成分として、1つ以上のポリエチレン組成物を含むことができる。一般に、ポリエチレンは、シェービングエイド組成物の摩滅特性を改善することができるが、組成物に直接組み込むことが困難である。代わりに、ポリエチレンを、次いでシェービングエイド組成物に組み込まれる組成物に組み込むことができる。例えば、ポリエチレン、ポリブテン、及び鉱油を含む組成物(例えば、Sensient Technologiesによって商標名Covaglossで販売される)を採用することができる。幾つかの実施形態では、シェービングエイド組成物は、約0.5%以上(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%以上、若しくは約7%以上)及び/又は約8%以下(例えば、約7%、6%、5%、4%、3%、2%以下、若しくは約1%以下)のポリエチレン、ポリブテン、及び鉱油組成物を含む。
【0064】
保湿剤(moisturizer)構成要素及び他の任意選択の成分
シェービングエイド組成物は、他のスキンケア成分及び/又は他の添加剤を更に含むことができる。組成物を向上させるために基剤に添加されてもよいスキンケア成分には、界面活性剤(例えば、イソステアロイル乳酸ナトリウム、イソステアリン酸アンモニウム、DEA−ミリスチン酸塩、スルホン酸アルキルグリセリル、及びラウレス−16)、ペトロラタム(例えば、皮膚軟化剤(emollient)、潤滑剤、保湿剤(humectant)、保湿剤(moisturizing agent)、及びコンディショナー)などのスキンケア剤、発泡剤、育毛抑制剤、植物抽出物、酸化防止剤、抗菌剤、抗炎症剤、収斂剤、抗刺激剤、脱毛剤、薬剤、吸収剤、芳香剤、着色剤(例えば、染料及び顔料)、及び角質除去剤(例えば、ヘチマ、海藻、オートミール、軽石、杏子の種など)が挙げられるが、これらに限定されない。スキンケア剤の例示的な例には、グリセリン、ソルビトール、及びプロピレングリコールなどの保湿剤(humectant)、メントール、アロエ、アラントイン、及びコラーゲンなどのスキンフレッシュニング並びに鎮静剤、ポリオキシエチレンなどの潤滑剤、及びシリコーン(例えばジメチコン、ジメチコノール、ジメチコンコポリオール、ステアリルジメチコン、セチルジメチコンコポリオール、フェニルジメチコン、シクロメチコンなど)、ナトリウム又はカリウム塩(例えば、乳酸塩、塩化物、スルホン酸塩など)、ビタミン及びビタミン錯体(ビタミン前駆体及び誘導体を含む)、ヤシ脂肪酸塩、金属酸化物、油(例えば、カカオバター)、ジメチコン、アラントイン、ヤシ脂肪酸スクロース、ラノリン酸オレイル、チオ尿素、酢酸トコフェロール、PPG−33、ウンデセス−3、蜂蜜、藻類、並びにアロエバルバデンシスが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、スキンケア成分は、約35%以下(例えば、約30%、25%、20%、15%、12%、10%、8%、6%、4%以下、又は約2%以下)の量で存在することができる。吸収剤は、粘土又は粘土ベースの組成物、カオリン、木粉、塩化ナトリウム、シクロデキストリン、胡粉、滑石、シリカ、ポリテトラフルオロエチレンなどであってもよく、約9%以下(例えば、約5%以下又は約3%以下)の量で存在することができる。添加されてもよい粘土には、ベントナイト、カオリン、前述の粘土の組み合わせなどが挙げられる。
【0065】
例示的な着色剤には、単独若しくは組み合わせの染料及び顔料、例えば、二酸化チタン、マンガンバイオレット、酸化亜鉛、ウルトラマリン(例えば、ウルトラマリン青色4)、オレンジ色4、緑色3、又は化粧品での使用が認められている他の染料若しくは顔料が挙げられる。特定の実施形態では、約6重量%以下(例えば、約4重量%、2重量%、1重量%、0.1重量%、0.01重量%、0.001重量%、0.0001重量%以下、若しくは更には約0.00001重量%以下)及び/又は約0.000001重量%以上(例えば、約0.00001重量%、0.0001重量%、0.001重量%、0.01重量%、0.1重量%以上、若しくは約1重量%以上)の量の着色剤を添加することができる。
【0066】
芳香剤は、組成物に所望の香りを付与するために使用される着香剤であり、更に、組成物の他の構成要素のそれほど望ましくない臭いを隠し得る。化粧品での使用が認められている任意の芳香剤が採用されてもよい。特定の実施形態では、最大で約4%(例えば、最大で約2%、最大で約1.5%、又は最大で約1%)の量の少なくとも1つの芳香剤成分を添加することができる。
【0067】
例示的なプロセス敏感相には、以下のものが挙げられる。
【表2】
【0068】
シェービングエイドの摩滅特性
幾つかの実施形態では、シェービングエイド組成物は、良好な摩滅特性を呈する。多数の方法で摩滅特性を判定することができる。例えば、シェービングエイド組成物を、かみそりの上に組み込むことができ、特定の剃毛性能特性が低下し始める前の剃毛の回数を判定することができる。他の実施形態では、シェービングエイド組成物を、研削条件(例えば、例えば研削砥石などの研削デバイスの所与の表面組成物及び速度)に設定し、所与の期間内にどれだけの組成物が摩滅するかを判定することによって、摩滅を判定することができる。
【0069】
幾つかの実施形態では、質感付けした表面上、及びこの質感付けした表面とシェービングエイド本体との間への水流を維持することによって、耐摩滅性を測定することができる。このプロセスは、米国特許第7,811,553号の12段落33行目〜56行目に記載されている。別の摩滅試験は、ホルダー上に成形されたシェービングエイド組成物のカートリッジを利用し、湿式ホイール装置を使用してカートリッジを試験する。このプロセスは、米国特許第7,811,553号の12段落57行目〜13段落13行目に記載されている。
【0070】
V.かみそりの詳細
成形シェービングエイド組成物を含むかみそり
特定の実施形態では、成形シェービングエイド組成物は、かみそり、例えば、かみそりの頭部分に組み込まれる。例えば、成形シェービングエイド組成物を、かみそりの頭部分に取り付け可能に構成される1つ以上のホルダーに取り付けることができる。
図2A、
図2B、及び
図3を参照すると、剃毛かみそり10は、使い捨てカートリッジ12と、柄14とを含む。
図3に示されるように、カートリッジ12は、カートリッジ12を柄14の連結部分19に取り外し可能に連結する連結部材18と、連結部材18に枢動可能に連結されるブレードユニット16と、ブレードユニット16上に装着されるシェービングエイドホルダー30と、を含む。
図2Aを参照すると、ブレードユニット16は、プラスチックハウジング20と、ハウジング20の前側にガード22と、ガード22とハウジング20の後側との間のブレード28と、を含む。
【0071】
ブレードユニット16は、米国特許第5,661,907号に記載されるブレードユニットと同様であってもよい。柄14は、米国特許第5,855,071号、同第5,956,851号、及び/又は同第6,052,903号に記載されるものと同様であってもよい。ブレードユニット16を柄14に連結するために使用される連結部材18は、2004年10月20日に出願された、名称が「Shaving Razors and Cartridges」の米国特許公開第2006/0080837A号、及び同第2006/0080838A号、並びに/又は米国特許第8,033,023号に記載される連結部材と同様であってもよい。
【0072】
以下に更に詳細に記載されるように、ホルダー30は、一対のシェービングエイド部分31A、31Bを担持する。前側シェービングエイド部分31Aは、ブレードの前方の皮膚、即ち、剃毛の前に接触し、後側シェービングエイド部分31Bは、ブレードの後方の皮膚に接触する。シェービングエイド部分の一方又は両方は、本明細書に記載される成形シェービングエイド組成物で形成され、一方、シェービングエイド部分の一方は、所望により、異なる、又は追加の組成物を含むことができる。例えば、前側シェービングエイド部分は、成形シェービングエイド組成物を含んでもよく、一方、後側部分は、シェービングエイド部分の代わりに、又はそれに加えて、皮膚軟化剤及び保湿剤(moisturizer)などの皮膚鎮静並びにコンディショニング成分を含んでもよい。
【0073】
シェービングエイド部分は、それらが、皮膚と接触すると、通常の撓んでいない位置(
図4E)から曲がった位置(
図4F)に弾性的に撓むように装着される。この撓みによって、脇の下の窪み(腋窩)又は膝の後ろなどの到達が困難又は制限された区域内で、かみそりが容易に使用できるようになる。シェービングエイド部分の撓みはまた、シェービング中に過度の圧力をユーザーが加える場合に、シェービングエイド部分の早過ぎる摩滅及びユーザーへの不快感も防ぐ。好ましくは、撓みの角度(
図4Fの角度A)は、少なくとも約10度、例えば、約10度〜60度、典型的には約20度〜40度である。角度Aは、弾性ヒンジのほぼ中心に位置する枢動点Pから、シェービングエイド部分がその撓んでいない位置にある際のシェービングエイド部分31Aの最高点まで線を引き、シェービングエイド部分がその撓んでいない位置にある際のこの線とシェービングエイド部分がその設計限界に撓まされた際の同一の線との間の角度を測定することによって、測定される。シェービングエイド部分の弾性装着は、以下に更に詳細に記載される。シェービングエイド部分の撓んでいない位置(
図4E)にある際の高さH1及びH2は、様々であるが、例えば、約1〜4mm、例えば、約1.5〜3.0mmであってもよい。H1及びH2は、一般に、相互の約0〜50%内である。一般に、2つのシェービングエイド部分の高さは、シェービングエイド部分がほぼ同時に使い尽くされるように、使用される組成物の磨耗速度に比例する。
【0074】
ホルダー30は、消費者がカートリッジ本体から取り外し可能であるように(例えば、消費者が、シェービングエイドホルダーを含まないカートリッジにシェービングエイドホルダーを追加することを望む場合に)装着されてもよく、又は別の方法としては、カートリッジ本体に永久的に装着されるか、若しくはカートリッジ本体と一体成形されてもよい。
図2A〜
図6Dに示される実施形態では、ホルダー30は、
図2Bに示されるようなクリップ32及び34(
図4B)のブレードユニットのハウジング20の背面37との嵌合によって、カートリッジ上にクリップ嵌めされる。ホルダー30は、ハウジングをクリップ34の下に摺動させ、次いでそれらが適所にスナップ嵌めされるようにクリップ32を撓ませることによって、ハウジングと嵌合されてもよい。
【0075】
シェービングエイドホルダーの構造
図4Aを参照すると、シェービングエイドホルダー30は、ホルダー30が適所にある際にカートリッジ本体の周辺に延在する、フレーム部材36を含む。一般に、フレーム部材36は、成形プラスチックで形成される。幾つかの実施形態では、フレーム部材の側部38は、ホルダーを適所にしっかりと保持するように、カートリッジ本体の側部領域にわたって延在する。シェービング性能が損なわれないように、側部38は一般に、ブレード端部の隣では十分に薄くされるべきである。幾つかの実施形態では、ブレード端部の隣の非常に薄い縁部40と縁部の外側の区域との間に、傾斜区域が提供される。例えば、側部38は、一般に、縁部40で0.15mm未満、及び線Lで0.4mm未満、縁部40の内側で約0.5mmの厚さを有する。この傾斜区域59は、線Lとホルダー30の外側縁部63との間にレール61を提供し、これは、使用中のかみそりの追従を向上させ得る。
【0076】
図4E、
図5A〜
図5D、及び
図6A〜
図6Dを参照すると、シェービングエイド部分31A及び31Bは、一対のウィング42、44上に担持される。ウィング42、44は、フレームと同一のプラスチックで形成されてもよく、又は異なる材料で形成されてもよい。例えば、ウィングは、ウィングとフレームとを接合するヒンジ52、54(
図5B、以下に記載される)と同一の材料で形成されてもよい。この場合、ウィング及びヒンジは、単一の成形工程においてフレームの上に重ね成形されてもよい。
【0077】
ウィングは、シェービングエイドがウィングの厚さを通って流れることを可能にし、ウィングの裏側上に機械的インターロックを形成し(例えば、一体型質量を形成するように共に流れることによって)、シェービングエイドをウィングに固定する、複数の開口部46(
図5B)を含む。
【0078】
シェービングエイド部分が使い果たされる際に、ユーザーの皮膚が硬質プラスチックというよりはむしろエラストマーに接触するように、ウィングの角部に、弾性バンパー48、50が提供され、シェービングエイド部分の下に位置する。一般に、弾性バンパーは、少なくとも1mm、例えば、約1.5〜3mmの厚さT(
図6C)を有する。幾つかの実施形態では、エラストマーは、ユーザーの快適さのために、及びヒンジが柔軟に曲がるように、比較的柔軟である。例えば、エラストマーは、約50ショアA未満、例えば、約40ショアA未満の硬度を有してもよい。エラストマーは、例えば、商標名KRATON(登録商標)で入手可能なものなどのブロックコポリマーであってもよい。幾つかの実施形態では、エラストマーは、シェービングエイド組成物の成分との長期にわたる接触中に分解しないように、十分な耐化学性を有する。
【0079】
図6Dを参照すると、ウィング42、44は、それらの通常の撓んでいない位置でさえ、ブレード縁部によって画定される平面よりはるかに下方に、下向きに湾曲している。この湾曲は、使用中に皮膚に常に接触するのに、シェービングエイド部分の上面が、ブレード縁部の平面の上方に遠くに延在しすぎる、又はシェービングエイド部分の最下区域が低くなりすぎることなく、ウィングが、比較的大きい量の石鹸を担持することを可能にする。一般に、ウィング42、44のそれぞれの最下点は、ブレード縁部によって画定される平面の少なくとも約1mm下方である、例えば、この平面の約2〜6mm下方である。所望の場合、例えば、シェービングエイドが比較的耐摩滅性である場合、ウィングは、フレームから比較的まっすぐに延在してもよい。一実施形態では、シェービングエイド及びシェービングエイドホルダーは、2つの機能を備えるかみそりのVenus Breeze(登録商標)シリーズ、及び/又はSchick(登録商標)Intuition(登録商標)シリーズのかみそりで使用されるものと同様であってもよい。別の実施形態では、シェービングエイド及びシェービングエイドホルダーは、米国特許公開第2006/225285A号及び同第2006/080837A号、並びに/又は米国特許第7,811,553号に開示されるものと同様であってもよい。
【0080】
シェービングエイド部分の弾性的装着
ウィング42、44は、シェービングエイド部分31A、31Bが、剃毛中に、
図4Eに示される通常位置から
図4Fに示される撓んだ位置に撓むことができるように、フレーム部材36上に弾性的に装着される。可撓性ヒンジ52、54(
図5B)は、ウィングとフレームとの間のこの弾性連結を提供する。
【0081】
幾つかの実施形態では、ヒンジ52、54は、エラストマー材、例えば、ブロックコポリマーで形成される。典型的に、ヒンジは、上述される弾性バンパー48、50と同一のエラストマー材で形成される。ユーザーの皮膚と接触すると、ウィングが容易に撓み、その上に良好なバネ戻りもウィングにもたらすように、エラストマー材は一般に、柔軟に曲がるように選択される。例えば、エラストマー材は、約100〜300psiの曲げ弾性率を有してもよい。所望の製品特性をもたらす弾性率は、ヒンジの厚さT及び長さL(
図5D)に依存する。2つのヒンジの厚さ及び長さは、同一であっても異なってもよく、2つのウィングに所望の曲げ特性を与えるように、これらの寸法及び使用されるエラストマー材を選択することができる。ヒンジの厚さは、例えば、約0.5〜2.0mmであってもよく、長さは、約0.5〜3.0mmであってもよい。
図5A〜
図5Dに示される実施形態では、ヒンジは、ホルダー30のほぼ全幅に延在する。しかしながら、所望の場合、ヒンジは、より細くてもよく、又は不連続なヒンジ部分で構成されてもよい。
【0082】
弾性ヒンジは、フレームの上に重ね成形されてもよい。このプロセスを助長するために、
図5A〜
図6Dに示される実施形態では、フレームは、フレームからウィングに一体的に延在する一対の連結部材56(
図6B)によって、ウィングのそれぞれに連結される。所望の場合、これらの連結部材は、重ね成形が完了した後で、切断されてもよい。あるいは、ウィング及びフレームは、挿入成形型内に定置され、エラストマーと重ね成形される、別個の構成要素であってもよい。エラストマー単独で(即ち、実質的に硬質プラスチック無しで)ヒンジを形成すると、場合によっては、より柔軟に曲がるヒンジを生じる可能性がある。また、2011年3月8日に出願された、名称が「Shaving Cartridge Having Mostly Elastomeric Wings」の米国特許公開第2011/0247216A号に記載されるように、シェービングエイド部分をフレームに取り付けることもできる。
【0083】
シェービングエイド部分の輪郭形成
図4Eを参照すると、前側シェービングエイド部分31Aは、剃毛中にシェービングエイド部分31Aが皮膚に接触する際に、カートリッジが後方に傾かないように、シェービングエイド部分が皮膚に接触すると撓むように輪郭形成された、傾斜した先端表面33を含む。
図4A及び
図4Dに見ることができるように、シェービングエイド部分31Aの先端縁部110は、ホルダー30の側面の隣で第1の厚さt1を有し、シェービングエイド部分の中央領域の隣での第2のより薄い厚さt2へと徐々に減少する。この形状は、前側シェービングエイド部分が、傾斜した先端表面33を有し、一方、側面の隣で可能な限り多くのシェービングエイドを依然として提供することを可能にする。所望の場合、先端縁部全体が、より薄い厚さt2を有することができる。シェービングエイド部分31Aの前面35は、先端表面33の石鹸撓み輪郭を向上させ、剃毛中に不快である可能性がある縁部及び角部を回避し、脇下及び膝裏などの狭い区域の剃毛を容易にするように、滑らかに湾曲した弓状側部区域37A、37Bを含む。同様に、先端表面33と前面35との交差部分39は、滑らかな放射状である。
【0084】
前側シェービングエイド部分31A及び後側シェービングエイド部分31Bの両方は、ウィング44が撓まされる際に、それぞれのシェービングエイド部分の上面(シェービングエイド部分31Aの表面41及びシェービングエイド部分31Bの表面43)がユーザーの皮膚に対して比較的平らになるように輪郭形成される。
図4Fに示されるこの平らな位置は、剃毛中に、可能な限り多くのシェービングエイドがユーザーの皮膚と接触することを可能にする。
【0085】
剃毛の容易化
シェービングエイド部分31A、31Bは、それらの最も幅が広い点で、ホルダー30のフレーム36幅と等しい、又はそれよりわずかに狭い、幅Wを有する(
図4C)。したがって、シェービングエイド部分は、フレーム36の側壁を越えて延在しない。結果として、フレームの側壁の周囲の区域には、遮るものがなく、剃毛する人が、目視及び/又は触感によって、どの区域が剃毛されているかを判定することを可能にする。所望の場合、シェービングエイド部分は、フレームの側壁をわずかに越えて、例えば、2mm以下、それぞれの側部に延在してもよい。
【0086】
また、剃毛は、剃毛中にユーザーの皮膚に嵌合することができる、上述されるレール61(
図4A、5C)によっても容易にされ、カートリッジの追従を潜在的に向上させる。
【0087】
上述される実施形態は、一対のシェービングエイド部分を有するが、別の方法では、かみそりは、ブレードの前側、ブレードの後側に位置することができる、又はブレードの周囲に完全に延在することができる、単一のシェービングエイド部分を有する。
【0088】
VI.特性
ZPT粒径試験方法
フローセルを伴うHoriba LA−910粒径分析器などの従来の光散乱手段によって、ZPT粒径を測定することができる。より具体的には、水中に、ZPT懸濁液を標的光学密度、約90%に分散させ、例えば、全ての計算に球面前提を使用する、Horiba LA−910粒径分析器を用いて粒径を測定し、体積分布に基づき、粒径及び他のパラメータを計算する。計算に、虚数部分を伴わない、1.28の相対屈折率が使用され、撹拌は、2に設定される。スパンとは、分布の90%、10%、及び50%での平均直径を使用して、[D90−D10]/D50として、分布の広さとして計算される、単位のないパラメータである。
【0089】
付着試験方法
ZPTの基材上に付着される量を判定するために、カップスクラブ手順を実施する。カップスクラブ手順を実施するために、ZPT(プレートレット及び粒子)を可溶化し、除去するために、80%の0.05MのEDTA及び20%のエタノールで構成される抽出溶媒などの抽出溶媒又は溶液を、上述される2×2.5cmの長方形の小片のブタの皮膚などの基材表面に適用する。例えば、1mLの抽出溶液を含む2cmの直径のガラスカップを、基材表面上に定置する。ガラスカップに外接し、抽出溶液と接触している基材区域を、グレースポリスマン(glace policeman)を用いて、30秒間撹拌する、又は擦る。撹拌した後、又は擦った後、移送ピペットを介して、ガラスカップから抽出溶液を除去し、抽出溶液の第1のアリコートを琥珀色のガラス製バイアル瓶内に定置する。手順を繰り返す、例えば、抽出溶液の1mLの第2のアリコートを含む2cmの直径のガラスカップを定置し、上述されるように撹拌する、又は擦り、移送ピペットを介して、ガラスカップから第2のアリコート溶液を除去する。次いで、抽出溶液の第2のアリコートを、抽出溶液の第1のアリコートを含む琥珀色のガラス製バイアル瓶に添加する(抽出区域当たり合計で2mLの抽出溶液)。次いで、抽出溶液の単位体積当たりのZPTの測定をもたらすことができるように、HPLC−UV測定を使用して、抽出溶液(第1及び第2のアリコートを組み合わせた)を分析する。次に、単位体積当たりのZPT及び基材表面の抽出領域の面積に基づき、単位面積当たりに付着されるZPTを計算する。
【0090】
水分活性試験方法
水分活性(「Aw」)とは、組成物中の水のエネルギー状態の測定値である。水分活性(「Aw」)は、同一の温度(P0)での試料(P)上方の水蒸気圧対純水蒸気圧の比として定義され、分数で表現される。
【0091】
Aw=P/P0
水分活性は、鏡面冷却式露点、及び組成物上方の平衡ヘッドスペースの容量を含むが、これらに限定されない、多数の従来の自動化技法によって測定される。平衡で、チャンバ内の空気の相対湿度は、試料の水分活性と同一である。
【0092】
本発明の目的のために、Pullman,Washington USAのDecagon Devices,Inc.から入手可能なAquaLab Series 3水分活性計測器を使用して、棒状組成物のAwを測定することができる。水分活性は、以下の手順を利用して、25℃で測定される。
1.試験の前に、計測器の試料コンテナが確実に清潔であり、乾燥していることを確認する。
2.ステンレス製のナイフで、石鹸基剤組成物を0.2〜0.4cmの厚さの小片に切断する。
3.小片を、計測器のコンテナの0.84cm〜1.27cm(1/3”〜1/2”)の深さに置く。
4.コンテナの底が確実に被覆されるように、組成物を、手袋をした指で軽く押す。
5.試料コンテナを計測器の試料キャビネットに戻し、カバーし、計測器を作動させるようにダイヤルを回す。
6.緑色のLEDが点滅するまで、及び/又はビープ音が鳴るまで、平衡を待つ。
7.試験温度及びAwを記録する。
【0093】
変色試験方法
変色抑止有効性を定量的に測定する一方法が記載される。最初に、pH測定のための石鹸溶液調製で上述されるプロセスに従って、10%の溶液に到達するまで、石鹸が水中に溶解される。次いで、溶液の重量に基づき、20ppmの総鉄濃度に到達するまで、石鹸溶液に鉄酸塩が添加される。次いで、添加した後の値から添加する前に測定された値を減算することによってΔLを取得するために、鉄酸塩を添加する前及び後の石鹸溶液の色(L値)が測定される。ここで、「L」は、測定される試料の輝度又は白色度を表す。鉄酸塩を添加する前に測定された元のL値で除算されたΔLの絶対値は、百分率で表現される。百分率が7%未満、好ましくは5%、3%、1%、0.5%未満である際、試料棒は、それほど大きい変色問題を有さないと見なすことができる。L値を測定するために、分光光度計(例えば、GretagmacbethからのMacbeth COLOR−EYE 3100分光光度計)を使用することができる。
【0094】
変色抑止有効性を示す別の方法は、鉄釘突き刺し試験である。この試験は、ピリチオン源を含む棒状石鹸が、製造中及び/又は消費者による高水分環境での使用中に金属表面と接触する機会を有し、それによって変色問題を引き起こす、現実の状況を模倣する。突き刺し試験では、突き刺され、今、埋め込まれた鉄源を含有する棒状石鹸が、室温で30分間、完全に水中に浸漬される。次いで、水が除去され、該棒状石鹸は、室温で24時間放置される。次いで、鉄釘が除去され、次いで、該棒状石鹸表面の、鉄釘が棒に接触していた区域の変色が確認される。
【実施例】
【0095】
本発明は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を制限しない、以下の実施例において更に記載される。
【0096】
ピリチオン源を含む石鹸基剤
本発明に従って、石鹸麺の形態の実験用の石鹸基剤が作製される。米国特許第7,811,553号の実施例の1つ以上で、前記参照文献において開示される石鹸基剤の代わりに、この実験用の石鹸基剤を使用することができる。石鹸麺は、クラッチング(crutching)工程及び真空乾燥工程を伴う従来のプロセスを介して作製される。次いで、石鹸麺は、アマルガム器に添加される。水及びプレートレットZPTの成分がアマルガム器に添加され、次いで、約30〜45秒間混合される。次いで、この石鹸混合物は、完成棒状組成物を生じるように、従来のミリング、プロッディング(plodding)、及び打ち抜き工程を通して処理される。実施形態例によると、完成棒状組成物は、既存の石鹸基剤と同様であってもよく、又はわずかにより小さくてもよい(例えば、典型的な石鹸基剤の半分の寸法を有することができる)。例えば、シェービングエイド組成物を形成するように、完成棒状組成物を寸法決定することができる。
【表3】
a これらの実施例で利用される石鹸麺は、以下の近似組成:約67.2%の獣脂石鹸、約16.8%のココナツ石鹸、約2%のグリセリン、及び約14%の水を有する。これらの百分率量は、石鹸麺の重量%である。
b Arch Chemicals,Inc.,Norwalk,Connecticut,USAの25有効%の懸濁液から添加されたU2ジンクピリチオン
c Arch Chemicals,Inc.の48有効%の懸濁液から添加された微細粒径ジンクピリチオン
【0097】
本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されたものとして包含すると理解されるべきである。本明細書の全体を通じて与えられる全ての最小の数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、そうしたより大きい数値限定が恰も本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものである。本明細書の全体を通じて与えられる全ての数値範囲は、そうしたより広い数値範囲に含まれる全てのより狭い数値範囲を、そうしたより狭い数値範囲の全てが恰も本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものである。
【0098】
特に指定がない限り、本明細書の明細、実施例、及び請求の範囲における全ての部、比、及び百分率は重量基準であり、全ての数値限定は、当該技術分野により提供される通常の程度の精度で使用される。
【0099】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。全ての測定は、特に指定しない限り、25℃で行われる。
【0100】
「発明を実施するための形態」において引用する全ての文献は、その関連部分において参照として本明細書に組み込まれるものであるが、いずれの文献の引用も、こうした引用が本発明の先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献におけるいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。特に指定のない限り、前置詞の「a」、「an」、及び「the」は「1つ以上」を意味する。
【0101】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。