特許第5694566号(P5694566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5694566吸熱状態が変化する材料の貯蔵室を有するガス発生器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694566
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】吸熱状態が変化する材料の貯蔵室を有するガス発生器
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/264 20060101AFI20150312BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   B60R21/264
   B01J7/00 A
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-549845(P2013-549845)
(86)(22)【出願日】2012年1月24日
(65)【公表番号】特表2014-508064(P2014-508064A)
(43)【公表日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】EP2012051064
(87)【国際公開番号】WO2012101131
(87)【国際公開日】20120802
【審査請求日】2013年8月26日
(31)【優先権主張番号】1150555
(32)【優先日】2011年1月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509186177
【氏名又は名称】オートリブ ディベロプメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】パットン, イヴォンニ
(72)【発明者】
【氏名】ペレマルティ, フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】コックス, マシュー アラン
(72)【発明者】
【氏名】ルリエーヴル, ザヴィエ
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06196583(US,B1)
【文献】 特開平11−099900(JP,A)
【文献】 特表2011−528300(JP,A)
【文献】 特表2012−520763(JP,A)
【文献】 特表2005−520734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/264 − 21/30
B01J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の膨張可能な保護バッグを膨張させるためのガス発生器であって、ケース(1、1’、1’’)を含み、ケース(1、1’、1’’)には、その長手方向軸線(X−X’)に沿って、
点火器(2)によって点火され得る少なくとも1つの火工装薬(30)を収容する燃焼室(3)と、
前記火工装薬(30)の燃焼によって生じるガスを受け入れ、外部に向かって前記ガスを排出することができる拡散室(4、4’)と、
燃焼によって生じる前記ガスの影響を受けて吸熱的に状態を変化させ、次いで前記拡散室(4、4’)を介して排出されるように、前記火工装薬(30)の前記燃焼の影響を受けて、貯蔵室(6、6’、6’’)から放出され得る材料(M)を貯蔵するための前記貯蔵室(6、6’、6’’)と
が密閉されており、
−前記材料(M)が、大気圧で貯蔵される液体であり、
−前記貯蔵室(6、6’、6’’)が、「入口」と呼ばれる少なくとも1つの開口(52、62)、ならびに「出口」と呼ばれる少なくとも1つの開口(53、63)を含み、これらの開口は、通常、前記火工装薬(30)の燃焼がない限り封止されており、
−前記貯蔵室(6、6’、6’’)が、前記1または複数の出口開口(53、63)が配置される固定壁(50、8)によって拡散室(4、4’)から分離されており、
−前記火工装薬(30)と、前記燃焼室(3)および前記拡散室(4、4’)とが、燃焼の影響を受けて、前記火工装薬(30)によって発生するガスの流れの少なくとも一部が前記1または複数の入口開口(52、62)を開放し、前記1または複数の入口開口(52、62)によって、前記ガスの流れの少なくとも一部が、前記貯蔵室(6、6’、6’’)の中に入り込み、その結果、主として前記拡散室(4、4’)において前記1または複数の出口開口(53、63)を介して前記材料(M)を漏出させ、次いでその吸熱状態変化を引き起こすように、寸法決めされ、
前記拡散室(4)が、前記燃焼室(3)と前記貯蔵室(6)との間に、軸線方向に配置される
ことによって特徴付けられる発生器。
【請求項2】
前記材料(M)が蒸発可能な材料であることによって特徴付けられる、請求項1に記載の発生器。
【請求項3】
前記入口開口(52、62)の表面、または前記入口開口(52、62)の表面の合計が、前記出口開口(53、63)の表面、または前記出口開口(53、63)の表面の合計よりも大きい表面を有することによって特徴付けられる、請求項1または2に記載の発生器。
【請求項4】
前記入口開口(52)が前記長手方向軸線(X−X’)上に心出しされること、および前記出口開口(53)が、前記長手方向軸線(X−X’)の周縁にあることによって特徴付けられる、請求項3に記載の発生器。
【請求項5】
前記燃焼室(3)と前記拡散室(4’)との間で前記軸線(X−X’)に沿って軸線方向に挿入される中間室(7)を含むこと、前記貯蔵室(6’、6’’)が前記中間室(7)の内側に配置されること、および前記貯蔵室(6’、6’’)の前記1または複数の入口開口(62)が前記中間室(7)の内側に現われることによって特徴付けられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発生器
【請求項6】
前記ケース(1’’)が円筒形であること、前記貯蔵室(6’’)が、前記軸線X−X’上に心出しされる環状形状から成ること、および前記軸線(X−X’)に沿ったその長さが前記中間室(7)の長さよりも短いことによって特徴付けられる、請求項5に記載の発生器。
【請求項7】
前記貯蔵室(6’)が前記軸線(X−X’)に沿って前記中間室(7)の中心に延在することによって特徴付けられ、前記軸線(X−X’)に沿ったその長さが、前記中間室の長さよりも短いことを特徴とする、請求項5に記載のガス発生器。
【請求項8】
前記火工装薬(30)の燃焼がない限り、前記材料(M)が前記入口開口および前記出口開口(52、62;53、63)に対して封止のために適用される脆弱なエンベロープ(60、61)に収容されていることによって特徴付けられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発生器。
【請求項9】
前記火工装薬(30)の燃焼がない限り、前記入口開口および前記出口開口(52、62;53、63)が脆弱なシール(55)によって封止されていることによって特徴付けられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発生器。
【請求項10】
前記火工装薬(30)によって発生するガスの流れの少なくとも一部が、前記入口開口(52、62)と、前記開口(52、62、53、63)のすべてを開放することによって特徴付けられる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の発生器。
【請求項11】
蒸発可能な前記材料(M)が、水と、氷結防止無機化合物、有機化合物、またはこれら2つの混合物とから成ることによって特徴付けられる、請求項2〜10のいずれか一項に記載の発生器。
【請求項12】
蒸発可能な前記材料が、水と、塩化カルシウムまたは炭酸カリウムなどの氷結防止化合物とから成ることによって特徴付けられる、請求項11に記載のガス発生器。
【請求項13】
第2の点火器(2)によって点火され得る少なくとも1つの第2の火工装薬(30)を収容する第2の燃焼室(3)と、外部との、少なくとも1つの連通オリフィス(40)を有する第2の拡散室(4)と、大気圧で貯蔵される液体材料(M)のための第2の貯蔵室(6)とを含み、前記貯蔵室(6)が互いの延長部分であることによって特徴付けられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発生器。
【請求項14】
第2の点火器(2)によって点火され得る少なくとも1つの第2の火工装薬(30)を収容する第2の燃焼室(3)と、外部との、少なくとも1つの連通オリフィス(40)を有する第2の拡散室(4)と、大気圧で貯蔵される液体材料(M)のための単一かつ唯一の貯蔵室(6)とを含むことによって特徴付けられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常「エアバッグ」と呼ばれる自動車用の膨張可能な保護バッグを膨張させるためのガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
その内側に燃焼室および拡散室が連続的に配置される、略円筒形状のエンベロープを含むガス発生器が、先行技術によって既に知られている。これらの2つの室は、シールによってそれ自体封止されるオリフィスで突き抜かれる隔壁によって分離される。
【0003】
燃焼室は、点火器および火工装薬を収容する。拡散室は、いくつかのガス排気オリフィスを備え、これらのガスの排気経路に金属フィルタを収容する。
【0004】
点火器が作動されると、火工装薬の燃焼によって放出される高温ガスが、燃焼室の圧力の増加を引き起こし、それにより、拡散室から燃焼室を分離しているシールの破損が生じる。次いで、ガスは、拡散室を通して排気される。拡散室の内側に配置されるフィルタにより、ガスに含まれる粒子を濾過することができ、また、その実質的な熱交換の表面により、流出ガスを冷却することができる。
【0005】
しかし、このフィルタは、重く、嵩張り、これが吸収するエネルギーは、発生器の出力に有害であるエアバッグを膨張させるために少しも使用されない。結局、バッグを含む材料は、高温ガスによって劣化され得る。
【0006】
これらの欠点を解決するために、火工装薬の燃焼によって生じるガスの影響を受けて、吸熱的に状態を変化させることができる材料のためのリザーブが追加されている発生器もまた、先行技術により知られている。
【0007】
したがって、火工装薬の燃焼によって生じるガスは、この吸熱反応により、ガスの温度が低下し、それにより、上に述べた問題が解決される。
【0008】
この目的を実現するのに広く使用される材料は、極めて簡単なことに水である。
【0009】
先行技術で説明した解決策は、ピストンの動作によって空にされ、または前記室の外部の圧力の作用によって変形され、空にされる貯水室を使用する。圧力の増加によって、ピストンを変位させ、または室の壁を圧縮するのは、火工装薬の燃焼によって発生するガスである。
【0010】
この種の解決策の例は、特に特許文献1ないし5に説明されている。
【0011】
しかし、これらのパラメータ、すなわち、ピストンの適切な変位、またはこれが含む水を排出する目的のための室の適切な圧縮は、制御するのが困難であることが理解されている。
【0012】
さらに、ピストンを使用すると、発生器の実装が複雑になり、そのコストが増大する。
【0013】
さらに、特許文献6は、加圧流体がリザーバに貯蔵されるエアバッグ用のガス発生器を開示している。火工装薬の燃焼は、リザーバの閉鎖シールの開放にのみ関係する。いったんシールが開放されると、流体は自然に排出する。
【0014】
特許文献7は、制御するのが困難な圧力差および流量差が生じる「ピトー(pitot)」と呼ばれるゾーンが実装される構造に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】ベルギー特許第775422号明細書
【特許文献2】ベルギー特許第775997号明細書
【特許文献3】米国特許第6481357号明細書
【特許文献4】米国特許第6076468号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2010/0230942号明細書
【特許文献6】米国特許公報第6244623号明細書
【特許文献7】ドイツ特許第19726296号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本文脈において、本発明の目的は、火工装薬の燃焼の影響を受けてこれが配置される室から放出され、かつこの燃焼によって生じるガスの影響を受けて吸熱的に状態を変化させ得る材料を先行技術の場合のように備えるが、水などの前記材料を収容する容器またはレセプタクルに作用する可動部分を使用しないガス発生器を提案することである。
【0017】
本発明の別の目的は、ガスのモルをできるだけ少ししか失わないが、同時に、少なくともフィルタまたはピストンを有する火工式発生器に対して発生器の質量を減少させることによって、ガス発生器と関連するバッグの織布と両立できる温度で火工式発生器から生じるガスの出口温度を低下させることである。
【0018】
ある環境では、この温度は、火工式発生器の場合、900K(約627℃)の近傍であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらの目的ならびにこれ以外のものは、本発明に従って実現される。
【0020】
したがって、本発明は、自動車用の膨張可能な保護バッグを膨張させるための、ケースを含むガス発生器に関し、このケースには、点火器によって点火され得る少なくとも1つの火工装薬を収容する燃焼室と、火工装薬の燃焼によって生じるガスを受け入れ、外部に向かって前記ガスを排出することができる、外部との少なくとも1つの連通オリフィスを有する拡散室と、この燃焼によって生じるガスの影響を受けて吸熱的に状態を変化させ、次いで前記拡散室を介して排出されるように、前記火工装薬の燃焼の影響を受けて貯蔵室から放出され得る材料の貯蔵室とが、その長手方向軸線X−X’に沿って密閉されており、このガス発生器は、
−前記材料が、大気圧で貯蔵される液体であり、
−前記室が、「入口」と呼ばれる少なくとも1つの開口、ならびに「出口」と呼ばれる少なくとも1つの開口を含み、これらの開口は通常、火工装薬の燃焼がない限り封止されており、
−前記室が、前記1または複数の出口開口が配置される固定壁によって拡散室から分離されており、
−火工装薬と前記燃焼室および拡散室とは、燃焼の影響を受けると火工装薬によって発生するガス流の少なくとも一部が1または複数の入口開口を開放し、この入口開口によって前記室の中に入り込み、その結果、主として前記拡散室において1または複数の出口開口を介して前記材料の漏出を、次いでその吸熱状態の変化を引き起こすような寸法を有する
ことによって特徴付けられる。
【0021】
この構造により、火工装薬によって発生するガス流の一部が、材料の貯蔵室を開放し、材料に圧力を加え、それにより、たとえばこの材料をガスに変化させるように、その噴霧およびその状態変化を引き起こすことによって、出口開口を介して材料の漏出を引き起こす。
【0022】
したがって、その操作が制御するのに困難である移動している部品は1つもない。
【0023】
本発明の他の有利かつ非制限的な特徴によれば、
−材料は、蒸発可能な材料であり、
−前記入口開口の表面、または前記入口開口の表面の合計は、前記出口開口の表面、または前記出口開口の表面の合計よりも大きい表面を有し、
−前記拡散室は、燃焼室と貯蔵室との間に軸線方向に配置され、入口開口はまた、前記固定壁に配置され、
−入口開口は、前記長手方向軸線上に心出しされ、前記出口開口は、周縁にあり、
−ガス発生器は、前記燃焼室と前記拡散室との間で軸線X−X’に沿って軸線方向に挿入される中間室を含み、前記貯蔵室は、前記中間室の内側に配置され、室の前記1または複数の入口開口は、前記中間室の内側に現われ、
−ケースは円筒形であり、前記室は、軸線X−X’上に心出しされる環状形状から成り、軸線X−X’に沿ったその長さが、前記中間室の長さよりも短く、
−前記室は、軸線X−X’に沿って中間室の中心に延在し、軸線X−X’に沿ったその長さは、前記中間室の長さよりも短く、
−前記材料は、火工装薬の燃焼がない限り、開口を封止するために入口開口および出口開口に対して適用される脆弱なエンベロープに収容され、
−前記壁の入口開口および出口開口は、火工装薬の燃焼がない限り脆弱なシールによって封止され、
−火工装薬によって発生するガス流の少なくとも一部は、入口開口、より好ましくは前記開口すべてを開放し、
−蒸発可能な前記材料は、水から、および氷結防止無機化合物、有機化合物から、またはこれらの2つのものの混合物から成り、
−蒸発可能な前記材料は、水から、および塩化カルシウムまたは炭酸カリウムなどの氷結防止化合物から成り、
−発生器は、第2の点火器によって点火され得る少なくとも1つの第2の火工装薬を収容する第2の燃焼室と、外部との、少なくとも1つの連通オリフィスを有する第2の拡散室と、大気圧で貯蔵される液体材料のための第2の貯蔵室とを含み、前記貯蔵室が互いの延長部分であり、
−発生器は、第2の点火器によって点火され得る少なくとも1つの第2の火工装薬を収容する第2の燃焼室と、外部との、少なくとも1つの連通オリフィスを有する第2の拡散室と、大気圧で貯蔵される液体材料のための単一かつ唯一の貯蔵室とを含む。
【0024】
本発明の他の特徴および利点は、好ましい実施形態についての次の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
【0025】
この説明は、添付図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による発生器の、中央長手方向断面平面による正面図である。
図2】材料の貯蔵室から発生器の拡散室を分離する壁の1つの例示の実施形態の正面図である。
図3】発生器の動作を説明することが意図される、図1に類似している図である。
図4】発生器の動作を説明することが意図される、図1に類似している図である。
図5図2の壁の別の実施形態の部分断面図である。
図6】本発明による発生器の他の実施形態を示す概略図である。
図7】本発明による発生器の他の実施形態を示す概略図である。
図8】本発明による発生器の他の2つの実施形態の、中央長手方向断面平面による正面図である。
図9】上記の図に類似している、さらなる2つの実施形態の図である。
図10】材料の貯蔵室から発生器の拡散室を分離する壁の他の実施形態の断面図である。
図11】材料の貯蔵室から発生器の拡散室を分離する壁の他の実施形態の断面図である。
図12】材料の貯蔵室から発生器の拡散室を分離する壁の他の実施形態の断面図である。
図13】他の実施形態の中央長手方向断面平面による正面図である。
図14】他の実施形態の中央長手方向断面平面による正面図である。
図15】他の実施形態の中央長手方向断面平面による正面図である。
図16】他の実施形態の中央長手方向断面平面による正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、本発明によるガス発生器の第1の実施形態を、図1から図5を参照して説明する。
【0028】
この発生器1は、長手方向軸線X−X’について、細長い形状、より好ましくは円筒形の筒状ケース1を含む。
【0029】
ここに示されていない実施形態では、このケースは、円盤形状を有する、すなわち、その直径よりも小さな長手方向の大きさを有することができる。
【0030】
このケースはたとえば金属で作られており、軸線X−X’上に心出しされるその円筒状エンベロープ10は、一方の端部11(図1の左側)で開き、そのようにして口となっており、他端12は閉じて、横断するように、すなわち軸線X−X’に対して垂直に配置される平坦な底部によって封止されている。
【0031】
ケース1は、口11から底部12に向かって、互いの延長部分にその長手方向軸線X−X’に従って、燃焼室3と、拡散室4と、貯蔵室から放出され得る材料のこの貯蔵室6とを取り囲む。
【0032】
本願発明者らは、これらの部品のそれぞれを以降により正確に説明する。
【0033】
発生器は、連結ピンを有する普通型の火工式点火器2を含む。火工式点火器2は、口を形成する開口11によってケース1内に軸線方向に配置される。
【0034】
より正確には、この点火器は、中間部分またはアダプター・スリーブ20の内側に取り付けられる。アダプター・スリーブ20は、溶接または圧着によってエンベロープ10の内側に然るべき位置に維持され、その外径は、前記ケース1の中に場合によっては圧入されるように決定される。
【0035】
火工材料の固定化の手段を形成する構成部品21(たとえば、バネ、またはフォーム・ワッシャー(foam washer))は、軸線X−X’の方向を考慮する場合にはこの点火器2の下流に配置される。
【0036】
構成部品21の中央開口は、210として参照され、点火器2の頭部によって部分的に塞がれる。
【0037】
ここで示される例示の実施形態では、この燃焼室は、推進剤などの火工装薬の別個の2つのモノリシック粒状物30を収容する。
【0038】
しかし、示されていない実施形態では、これは、単一の粒状物または他の形態(たとえば、ペレットやディスク)を有する火工装薬を必要とすることもある。
【0039】
2つの粒状物30の間に、その目的が2つの粒状物を互いから分離して維持することであるスペーサ部材31が配置される。
【0040】
したがって、(図の左側の)第1の粒状物は、部材21と部材31との間に固定される。
【0041】
第2の粒状物は、隆起格子32に押し当たり、この隆起格子32は、それ自体、ノズルを形成するオリフィス330によってその中心で開いた壁33と接触している。軸線X−X’に対して垂直なこの壁33は、燃焼室3の第2の端部を画定する。
【0042】
壁33は、エンベロープ10に圧着されまたは溶接される。
【0043】
オリフィス330は、火工装薬の燃焼がない限り、燃焼室3を封止する脆弱なシール34によって封止され、このシールは、燃焼室の内側の所定の圧力の影響を受けて降伏することができる。
【0044】
壁33の下流に、拡散室4が延在する。
【0045】
問題の略円筒形の壁は、半径方向に配置される一連の開口40によって発生器の外部に向かって連通する。
【0046】
これは図1では見ることができないが、これらの開口40は、拡散室の内側の所定の圧力の影響を受けて降伏することができるシールによっておそらくは封止され得る。
【0047】
この室には、多数の小さな開口を有する、グリッド41から成る管状円筒形部が取り付けられる。
【0048】
その機能は、以降で説明されることになる。
【0049】
最後に、拡散室は、5として参照されるカップによって貯蔵室6から分離される。ここで示される実施形態では、このカップは、軸線X−X’に対して垂直に延在する平坦な壁50から、および実質的に90°に起こされた端縁から形成され、この端縁は、カップを固定化する目的でケース1の内面に押し当たる。
【0050】
この端縁は、拡散室4の方向に折り返される。
【0051】
カップ5は、エンベロープ10の内側に圧入され、エンベロープ10の中に圧着されまたは溶接される。
【0052】
壁50は、入口52と呼ばれる開口と、この場合は、出口53と呼ばれる一連の開口とを有する。
【0053】
しかし、これは、好ましい実施形態である。したがって、示されていない代替の実施形態では、2つまたはいくつかの入口開口52があることもある。
【0054】
ここで示された例では、入口開口52は、軸線X−X’上に心出しされ、出口開口53は、入口開口の周りに、規則正しい角度分布に従って周方向に配置される。
【0055】
図2は、これらの入口開口および出口開口の可能な分布を示している。
【0056】
単に情報を目的として、開口52は、6mmの大きさの直径を有し、一方、開口53はそれぞれ、乗員タイプの用途の場合、2mmの大きさの直径を有する。
【0057】
優先的に、開口52の直径は、開口53の直径よりもおよそ3倍大きい。
【0058】
室3に存在する火工装薬30の燃焼がない限り、これらの開口52および開口53は、通常、以降でより正確に説明されるようにそれ自体封止される。
【0059】
最後に、発生器は、燃焼室3に存在する火工装薬の燃焼の影響を受けてこの室から放出され得る材料Mの貯蔵室6を収容する。
【0060】
この材料Mは、液体状態にあることがより好ましい。
【0061】
ここで示される例では、貯蔵室6は、ケース1の形状に対して相補形の形状のボックス60から成り、その頂部は、脆いタイプのフィルム61によって閉鎖され、このフィルム61は、壁5、ここではその底部50にしっかりと当てがわれ、底部50の開口52および開口53を封止する。
【0062】
フィルム61は、材料Mに抵抗力のある(すなわち、これは、材料Mとの接触下で経時的に変化しない)任意のタイプの材料から作ることができ、それにより、発生器のライフ・サイクル中に材料Mの蒸発を制限することができる。他の言い方では、この材料は、自動車メーカの仕様に適合しなければならない。
【0063】
たとえば、ポリプロピレン(PP)などのプラスチック材料、ステンレス鋼やアルミニウムなどの金属を挙げることができる。
【0064】
ボックス60は、フィルム61について挙げられたもののような材料から作られ得る。
【0065】
材料Mは、火工装薬30の燃焼によって生じるガスの影響を受けて、吸熱的に状態を変化させることができる特性を有する。
【0066】
この材料は、蒸発可能な材料であることがより好ましい。
【0067】
より好ましくは、この材料は、水と、氷結防止化合物、無機物、有機化合物、またはこれらの2つの混合物とから成る。
【0068】
さらにより好ましくは、この材料は、水と、塩化カルシウムまたは炭酸カリウムなどの氷結防止化合物とから成る。
【0069】
図1の装置の起こり得る動作が、図3および図4に示されており、材料Mが水であることを考慮することによって以降に詳細に述べられる。
【0070】
点火器2の点火に続いて、燃焼室に存在する推進剤グレインが点火される。
【0071】
燃焼室のガスの圧力が増加し、シール34は、所定の圧力を超えると降伏する。
【0072】
発生するガス流は、この場合、壁5の方向に概ね軸線方向に移動されることによって、拡散室4を通過する。
【0073】
室6を封止するフィルム61に対する高温ガス流の衝突の際に、フィルム61は、高温ガスの流れが開口52の傍で前記室6の内側に貫入するやり方で、熱機械的攻撃によって破れまたは燃焼される。
【0074】
この現象は、図4の実線矢印の形で示されている。
【0075】
これらの高温ガスは、ピストンに倣って室6内に存在する液体を軸線方向に「押し」、これは、液体を、開口53を介して出て行くように押す。
【0076】
理想的には、開口52および開口53は、熱的および機械的な共同の攻撃を介して同時に開いている。しかし、開口53は、液体によって加えられる圧力の作用によって、1または複数の開口52の後に僅かにしか開いていないこともある。
【0077】
出口開口53の寸法を適合させることによって、室6に収容される水の噴霧の細かさが調整される。
【0078】
次いで、火工装薬30の燃焼によって生じる高温ガスは、拡散室4に噴霧される液体と混合し、これにより、液体が加熱され蒸発される。
【0079】
水は、まず第1に拡散室4の内側で蒸発され、次いで、蒸発が、室6内で徐々に生じ、そこでは、この場合水の一部が出て行くことによって放出されるある量がある。
【0080】
この状態の変化は、吸熱反応を介して生じ、それにより、燃焼ガスの温度が低下する。
【0081】
次いで、それ自体発生するガス混合物は、開口40を介して、エアバッグを膨張させるように発生器を出て行く。
【0082】
開口40がシールによって封止されると、シールにより、水の蒸発によって冷却されてしまう前に、ガス流の微小部分が拡散室4から直接出て行くのを防止することができる。
【0083】
拡散室4、より具体的にはそのグリッド41は、機能としては、燃焼されなかった任意の火工粒子、ならびに発生器の動作中に熱機械的に攻撃された要素の残留物を捕捉しなければならない。
【0084】
しかし、先行技術による「従来の」フィルタに対してその厚さの減少により、これは、機能としては燃焼ガスを冷却する必要はない。
【0085】
火工装薬30のサイズならびに拡散室4の長さは、ピストン効果を引き起こすために火工ガスの流れが室6の内側に入ることが確保されなければならないので、重要なパラメータである。
【0086】
例示として、その直径が30mmと50mmとの間であり乗員の保護のために利用される発生器の場合には、拡散室4の長さは、10mmと50mmとの間、より好ましくはおおよそ30mmである。
【0087】
水の蒸発があるためには、水は、好ましくは微小な液滴の形で拡散室内に拡散されなければならない。
【0088】
拡散室4、室6、ならびに開口52および開口53のそれぞれの寸法は、ガスの流れによって液体に加えられる圧力が拡散室4の圧力よりも大きく、したがって液体が拡散室4内に噴霧されるように選択される。
【0089】
拡散室4の圧力は、室6の圧力よりも低く、室6の圧力は、最大20MPaである。拡散室のこの圧力は、できるだけ低い蒸発温度を得るために、できるだけ低くなければならない。
【0090】
示したように、室6内に存在する材料は、典型的には−40℃〜90℃の温度範囲で作用できるように、水および氷結防止化合物であることが好ましい。
【0091】
したがって、70%〜90%の水と、30%〜10%の塩化カルシウムとを含む混合物が、十分に満足を与える。
【0092】
また、60%〜80%の水と、40%〜20%の炭酸カリウムとから成る混合物を使用することも考慮され得る。
【0093】
最後に、水、プロパンジオール、および塩化カルシウム(CaCl)の混合物を使用することもできる。
【0094】
しかし、材料Mは、他の形態を有することができる。特に、シリカ・ビーズにカプセル封入された水に留意されたく、シリカ・ビーズは、火工ガスの燃焼の影響を受けて熱溶融性であり、したがって、これらが含有する水を放出する。
【0095】
図5は、壁5の実施形態の異なる形態を示しており、この場合、底部50は、これに追加される脆弱なシール55によって封止される開口52および開口53を有する。脆弱なシール55は、火工ガスの流れの影響を受けて開かれ得る。
【0096】
次に、本発明の第2および第3の実施形態が、図6および図7に関して説明される。しかし、図6および図7は、同一の数値参照をもつ第1の実施形態と連係して説明されるものと同一の図形要素であり、再び詳細に説明されない。
【0097】
これらの2つの実施形態は、主として拡散室4がもはや発生器の中央に配置されないが、点火器2を担持する反対側の、その端部12の近くに配置されるという点で、および、材料Mの貯蔵室が燃焼室3と前記拡散室4との間に挿入される中間室の内側に収容されるという点で第1の実施形態と異なる。
【0098】
これらの2つの実施形態では、拡散室は、この場合4’として参照され、エアバッグの方向にガスの排気を可能にするその開口は、40’として参照される。
【0099】
中間室は、参照符号7をもつ。
【0100】
図6の実施形態を参照することによって、燃焼室3は、ノズルを形成する中央オリフィス350が設けられる壁35によって中間室7から分離されるということが理解できる。火工装薬が燃焼しない場合には、このオリフィスは、たとえこのことが図に示されていないとはいえ封止される。
【0101】
壁35は、長手方向軸線X−X’に対して垂直である。壁35は、エンベロープ10の内側に圧着されまたは溶接される。オリフィス350は、軸線X−X’上に心出しされる。
【0102】
軸線X−X’に対して垂直な壁8は、拡散室4’から中間室7を分離する。また、壁8も、エンベロープ10の中に圧着されまたは溶接される。
【0103】
6’として参照される、材料Mの貯蔵室は、軸線X−X’に沿って中間室7の中央に延在する。
【0104】
エンベロープ10は、より好ましくは円筒形であり、また、室6’は、ただ、より小さな直径を有するだけである。室6’は、図に示されるように、前記エンベロープ10と同心である。
【0105】
また、この室6’は壁8によって封止される。室6’の出口開口63は、この壁8の内側に配置される。
【0106】
さらに、入口開口62は、壁8を備える室6’の反対側端部に配置される、室6’の壁に配置される。入口開口62は、長手方向軸線X−X’上に心出しされる。
【0107】
この軸線X−X’に沿った室6の長さは、中間室7の長さよりも短く、入口開口62は、オリフィス350の向かいに、しかしオリフィス350からある距離をおいて配置される。
【0108】
また、これは、単一のものの代わりにいくつかの入口オリフィス62を有することもできるであろう。
【0109】
火工装薬30の燃焼がない限り、前記開口62および開口63は、たとえこのことが図に示されていないとはいえ、通常、封止される。
【0110】
最後に、壁8は、室6’の周りに延在する壁8の環状ゾーンに、より好ましくは規則正しい角度分布に従って配置される、いくつかのオリフィス81で突き抜かれる。これらのオリフィス81は、中間室7と拡散室4’との間の直接連通を可能にする。
【0111】
オリフィス81は、通常、封止されない。しかし、これは、封止される場合もある。
【0112】
最後に、ケースは、1’として参照されることに留意されたい。
【0113】
この装置の動作は、次のとおりである。
【0114】
点火器2の点火に続いて、燃焼室3に存在する推進剤グレイン30が点火される。
【0115】
次いで、発生するガス流は中間室7の中に貫入し、ガス流の大部分によって入口開口62を封止するシールが破壊または燃焼される。
【0116】
さらに、高温ガスの一部がまた、中間室7の環状部分に方向付けられ、オリフィス81を通過し、拡散室4’の内側に現われる。
【0117】
室6’の内側に貫入する高温ガスは、室6’に存在する液体を「押し」、これは、効果をねらって出口開口63を封止するシールの破損を引き起こし、かつ上記で説明したように主として拡散室4’の内側で液体の蒸発を引き起こさなければならない。次いで、冷却ガスが、エアバッグの方向にオリフィス40’を通して排気される。
【0118】
図7に示される本発明による発生器の第3の実施形態は、材料Mの(6’’として参照される)貯蔵室が環状であるという点で第2の実施形態と異なる。
【0119】
貯蔵室は、その外壁が円筒形エンベロープ10の内壁と接触するように、中間室7の内側に配置される。
【0120】
また、軸線X−X’に沿った室6’’の長さは、中間室7の長さよりも短い。
【0121】
壁35は、今度は、より好ましくは一様な角度分布により配置され、かつ火工装薬30の燃焼がない限り封止される複数のオリフィス351で突き抜かれる。
【0122】
1または複数の入口開口62は、壁35の向かいに配置される室6’’の外面に、各開口62をオリフィス351と同心にするように配置される。
【0123】
最後に、オリフィス81は、今度は、中間室7の中央に配置され、すなわち軸線X−X’上に心出しされる。
【0124】
ケースは、1’’として参照される。
【0125】
この第3の実施形態の動作は、発生するガスの流れがオリフィス351により出て行き、入口開口62のシールにぶつかり、その結果、出口開口63を経由した液体の流出と室4’の内側のこの材料の蒸発とを引き起こすということ以外は、第2の実施形態と同様である。
【0126】
今説明したばかりの2つの実施形態では、入口開口62の表面と出口開口63の表面との間の割合に関する基準は、第1の実施形態による発生器について説明されているものと同一である。脆弱なエンベロープまたは開口62および開口63を封止する脆弱なシールに関しても、同じことが適用される。
【0127】
図8aおよび図8bは、発生器の別の代替の実施形態に非常に近い2つの実施形態を示している。これは、特に図1で説明したそのタイプの2つの発生器を特定の方法でひとまとめにするということにより、「二重発生器(double generator)」とみなされ得る。実際には、これらの発生器は、液体Mを収容する2つの室の間に位置する領域に、2つの発生器を分離する少なくとも1つの壁12を備える。
【0128】
壁12は、図8bに示されるようにエンベロープ10から成り、かつ、たとえば溶接、圧着、または前部嵌合を介してエンベロープ10の内側に組み立てられる部品であることができ、あるいは図8aに示されるように液体Mを収容する室のうちの1つの底壁であることができる。
【0129】
これらの装置のそれぞれの左側部分では、これは、たとえば2つの推進剤グレイン30の形の第1の火工装薬を備える燃焼室3を必要とし、一方、右側部分は、たとえば推進剤の単一の粒状物の形の第2の火工装薬を備える。
【0130】
この装置は、2つの燃焼室が同時に(ガスの高流量を必要とする)、またはずれた状態で点火されるように設けられ得る。
【0131】
いずれにせよ、発生器のそれぞれの部分は、他のものから独立して動作することができる。
【0132】
これらの図では、上記の図の数値参照と同一である使用される数値参照は、同じ要素を示している。
【0133】
図9aおよび図9bの発生器は、上記のものと実質的に同じタイプのものである。しかし、これらは、単一かつ唯一の室6を有するという特殊性を有する。
【0134】
したがって、大気圧の液体が、単一の室6に貯蔵され、この室6は、2つの対向する壁50によって閉鎖される。
【0135】
この室が単一の部品として作られる場合、部品および材料の数を節約することができる。
【0136】
この室は、一体化された壁50を有する単一体のプラスチック材料で作られる容器の形をとることができ、他の壁は、たとえば超音波溶接で追加され固定される。
【0137】
図10は、燃焼室4の側部に、シール55が追加される壁50を示している。このシールは、発生器が点火されるまで室の内側に液体を保持するための、シールの機能を有するだけである。
【0138】
理想的には、入口ノズルを封止するシールの部分が、それの向こうで点火された燃焼室によって発生するガスの流れの影響を受けて開く。
【0139】
冷却システムの有効性に有害な、液体の漏れを発生することもある、単一の燃焼室の点火によって入口ノズルのすべてが開口するのを防止するために、追加装置を組み込むことができ、それにより、液体の圧力を受けて入口ノズルが開口することを防止する。
【0140】
したがって、図11の実施形態では、壁50は、開口52の端縁においてその周縁の部分で保持される追加部品56をさらに備えている。
【0141】
したがって、室6に収容される液体は、壁50に追加部品を押し付けるが、一方、発生するガスの流れは、その周縁上で前記部品の分離を可能にするようになる。
【0142】
図12の実施形態では、追加部品56、壁50、およびシール55が、同じ単一の部品を形成している。応力(ガスの流れの圧力、または液体の圧力)によって、入口ノズルを封止する要素には、引っ張りまたはせん剪断応力が加えられる。選択される寸法によって、要素は、液体の圧力を受けてではなく、専らガスの流れの影響を受けて開く。
【0143】
図13に示される実施形態は、図1の発生器に関して既に説明した一般的なアーキテクチャを含んでいる。この第1の実施形態に関する数値参照と同一である数値参照は、同一の要素を示している。
【0144】
このことは、図13の実施形態に当てはまるが、また図14から図16の実施形態にも当てはまる。
【0145】
図13の代替の実施形態において、これは、一緒に圧着される2つの部分1aおよび1bで形成されるケース1から成る発生器に関する。部分1aは、リレー・チャージを有する火工式点火器2と、火工装薬がペレットになっている燃焼室3とを収容する。
【0146】
点火器の延長部分には、点火器によって発生するガスを火工装薬のペレットの方向に方向付けることが意図される穿孔されたチューブ22があり、同時に火工装薬のデブリが燃焼室の中から排出されるのを防止する。
【0147】
よく知られているように、この円筒形部品22には、ガスは通過できるが、火工装薬粒子の漏出を防止できるようになっている多数の小さな穴が設けられる。
【0148】
この要素22は、部分1aの底部に配置される開口によって拡散室4と連通する。
【0149】
拡散室4、ならびに液体材料Mの貯蔵室6は、同じ直径を有し、部分1bの外壁に対して拡散室4によって形成されるユニットと貯蔵室6との間に環状ゾーンがあるように、ケースの部分1bの内側で係合される。この環状ゾーンは、その目的がガスを発生器から出て行く前に冷却することである、プレナム室Pを構成する。
【0150】
もちろん、既に以上に説明したのと同じタイプの壁50が、拡散室と貯蔵室6との間に挿入される。
【0151】
したがって、火工装薬の燃焼中に、貯蔵室6は、開口し、高温ガスの温度を低下させ、かつプレナム室Pを介して外部に向かって高温ガスを方向付ける「液体ピストン(liquid piston)」の排出を生じる。
【0152】
外部に向かうガスの流出は、室Pを介してこの出口に向かって流れるガスの部分がこの移動中にさらなる温度の低下を受けるように、開口のうちのいくつかが必ずしも完全にプレナム室4の向かいにあるとは限らない開口40を通して行われる。
【0153】
プレナム室Pを画定する領域により、発生器の係止突起9を車両の要素に比較的容易に固締することができることに留意されたい。
【0154】
図14の実施形態は、ここに火工装薬30が、長手方向に互いに対して配置される火工材料の3つのシリンダから構成されることを除いて、今説明したばかりの実施形態に非常に類似している。
【0155】
図15は、図9aの構造に比較的類似している構造、すなわちここで2つの対向する燃焼室30と、2つの拡散室4と、単一の液体材料貯蔵室6とがある構造に関する。
【0156】
さらに、室6は、以上に説明されているものに従って、隔壁50を介して拡散室4のうちの1つとのみ連通する。
【0157】
他の表現では、図15の右側に配置される燃焼室30は、火工装薬30の燃焼によって生じる高温ガスの冷却を可能にするいかなる手段も含まない。
【0158】
これらのガスは、プレナム室Pの中に直接開口する開口41を含む(図の右側に配置さていれる)第2の拡散室4を介して燃焼室を出て行く。
【0159】
同じことが、室6に収容される材料によって冷却される、他の燃焼室3から現われるガスに適用できる。
【0160】
また、これらのガスは、プレナム室Pに収容され、開口40を介して存在するガスがその温度を正しく低下させるように、他の室から生じるガスと混合される。
【0161】
理論的に、冷却付きの第1の燃焼室の始動は、第一に冷却ガスを発生させるように第2の室の始動前に開始される。
【0162】
最後に、図16では、これは、ここで以上に述べたような隔壁50を介して関連する燃焼室30とそれぞれ連通する液体を貯蔵するための2つの別個の室6があるということ以外は、実質的に同じ構造に関するものである。
【0163】
これらの条件では、プレナム室Pを介して発生器を出て行くガスは、第1の燃焼室から生じようと第2の燃焼室から生じようと実質的に同等の方法で冷却される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16