【課題を解決するための手段】
【0005】
本発光半導体部品の少なくとも一実施形態によると、発光半導体部品は、第1の半導体ボディを備えている。この第1の半導体ボディは、成長キャリアの上に例えばエピタキシャルに堆積している。この場合、第1の半導体ボディは、例えば窒化物化合物半導体材料をベースとしている。
【0006】
第1の半導体ボディは、少なくとも1つの活性ゾーンを備えており、本発光半導体部品の動作時、この活性ゾーンにおいて電磁放射が生成される。電磁放射は、例えば、紫外放射もしくは可視光またはその両方とすることができる。少なくとも1つの活性ゾーンにおいて生成された電磁放射は、少なくとも一部分が放射出口領域を通じて第1の半導体ボディから放出される。
【0007】
放射出口領域は、例えば、第1の半導体ボディの主領域の少なくとも一部分である。放射出口領域は、一例として、発光半導体部品が上に実装されている接続キャリアまたは回路基板とは反対側に配置されている、半導体ボディの外側領域、によって形成されている。第1の半導体ボディは、一例として、発光ダイオードである。
【0008】
本発光半導体部品の少なくとも一実施形態によると、発光半導体部品は、第2の半導体ボディを備えており、この第2の半導体ボディは、第1の半導体ボディの少なくとも1つの活性ゾーンにおいて生成された電磁放射を変換するのに適している。この場合、放射出口領域を通じて第1の半導体ボディから放出された電磁放射は、少なくとも一部分が、より長い波長を有する電磁放射に変換される。すなわち、第2の半導体ボディは、いわゆる「ダウンコーバージョン」に適している。第2の半導体ボディは、一例として、その自然のバンドギャップ(natural band gap)によって変換器として機能する。しかしながら、第2の半導体ボディが、第1の半導体ボディにおいて生成された電磁放射によって光学的にポンピングされる少なくとも1つのpn接合部、少なくとも1つの量子井戸構造、または少なくとも1つの多重量子井戸構造を備えていることも可能である。
【0009】
第2の半導体ボディも、例えば、成長キャリアの上にエピタキシャル成長させることによって作製することができる。
【0010】
本発光半導体部品の少なくとも一実施形態によると、第1の半導体ボディおよび第2の半導体ボディは、互いに個別に作製される。すなわち、第2の半導体ボディは、特に、第1の半導体ボディの放射出口領域の上にエピタキシャル成長させるのではない。そうではなく、第1の半導体ボディと第2の半導体ボディを互いに個別に、例えばエピタキシャルに形成し、次いで互いに結合することができる。第1の半導体ボディおよび第2の半導体ボディが互いに個別に作製されるときに従う特徴は、本発明の主題を定義し、かつ完成した発光半導体部品において検出可能な特徴である。すなわち、本発光半導体部品は、第1の半導体ボディの上に第2の半導体をエピタキシャル成長させる発光半導体部品とは明らかに区別される。
【0011】
本発光半導体部品の少なくとも一実施形態によると、第2の半導体ボディは、電気的に不活性である。すなわち、第2の半導体ボディにおける、変換された電磁放射の生成は、第2の半導体ボディの電気ポンピングに基づいて行われるのではなく、動作時に第1の半導体ボディによって生成される電磁放射によって第2の半導体ボディが光学的にポンピングされる。したがって、本発光半導体部品には、例えば、第2の半導体ボディを接触接続するための電気接続部が存在しない。
【0012】
本発光半導体部品の少なくとも一実施形態によると、第2の半導体ボディおよび第1の半導体ボディは、互いに直接接触している。すなわち、第2の半導体ボディは、例えば第1の半導体ボディの放射出口領域に直接接触した状態に位置しており、この領域において、結合手段が存在しない方法で第1の半導体ボディに固定されている。
【0013】
「結合手段が存在しない方法で」とは、例えば接着剤またはいわゆる「屈折率整合ゲル」などの結合手段が、第1の半導体ボディと第2の半導体ボディとの間に配置されていないことを意味する。第1の半導体ボディと第2の半導体ボディとの間の接着は、特に、第1の半導体ボディと第2の半導体ボディとの間の界面の領域における水素結合もしくはファンデルワールス相互作用またはその両方によって与えられる。言い換えれば、第1の半導体ボディと第2の半導体ボディは、いわゆる「ダイレクトボンディング」によって互いに固定されている。
【0014】
第1の半導体ボディと第2の半導体ボディとの間の結合は、機械的に安定している。適切な場合、破壊が生じることなく結合を解放できないようにすることが可能である。すなわち、結合が解放される場合、2つの半導体ボディの少なくとも一方が損傷する、または破壊される。これは例えば、結合が、強い化学結合または一次化学結合(primary chemical bond)である場合である。
【0015】
本発光半導体部品の少なくとも一実施形態によると、発光半導体部品は、活性ゾーンを備えた第1の半導体ボディを備えており、発光半導体部品の動作時に活性ゾーンにおいて電磁放射が生成される。第1の半導体ボディにおいて生成された電磁放射は、少なくとも一部分が放射出口領域を通過する。さらに、本発光半導体部品は、第2の半導体ボディを備えており、この第2の半導体ボディは、電磁放射を、より長い波長を有する変換された電磁放射に変換するのに適している。この実施形態の発光半導体部品の場合、第1の半導体ボディと第2の半導体ボディは互いに個別に作製されており、第2の半導体ボディは電気的に不活性であり、第2の半導体ボディは、放射出口領域に直接接触しており、この領域において、結合手段が存在しない方法で第1の半導体ボディに固定されている。
【0016】
本発光半導体部品の場合、特に、ポンピング源(すなわち第1の半導体ボディ)と、変換器(すなわち第2の半導体ボディ)との間の光学的結合、熱的結合、および機械的結合を与える中間層が存在しないようにすることが可能である。代わりに、変換器と、ポンピング源の放射出口領域との間の化学結合が結果として生じるように、変換器がポンピング源に直接貼り付けられている。これによって、変換器の中への光の取り込みと、変換器とポンピング源との間の熱的結合とを大幅に改善することが可能になる。このようにすることで、本発光半導体部品は、高い効率での変換と、したがって多色光または単色光の生成に適している。高い効率が得られるのは、特に、ストークス損失、変換器の過熱、および光取り込み損失もしくは光取り出し損失またはその両方が最小になる結果である。
【0017】
本発明の場合、第2の半導体ボディは変換器として使用される。半導体ボディは、高い吸光係数を有するため、極めて薄くすることができる。したがって、本明細書に記載されている発光半導体部品は、特に小さい構造高さも特徴とし、したがって、例えばLCDパネルなどの画像表示要素の直接的なバックライティングに特に良好に適している。
【0018】
第1の半導体ボディと第2の半導体ボディとの間の接合は、共有結合またはイオン結合とすることができる。第2の半導体ボディから第1の半導体ボディを通じた熱損失の放散は、第1の半導体ボディと第2の半導体ボディとの間の熱抵抗を最小にすることによって、最大にすることができる。第1の半導体ボディと第2の半導体ボディとが強い化学結合によって直接結合していることにより、第2の半導体ボディから第1の半導体ボディへの熱伝達が最大になる。第1の半導体ボディを例えばヒートシンクに結合することができるため、変換時に発生する熱損失を第2の半導体ボディから最適に放散させることができる。
【0019】
この場合、第1の半導体ボディと第2の半導体ボディとの間の直接的な結合は、室温でも行うことができ、したがって、第1の半導体ボディと第2の半導体ボディが互いに熱的に整合していない場合における歪みによって層が損傷することがない。
【0020】
さらに、第2の半導体ボディを変換器として使用することによって、第1の半導体ボディと実質的に同じ光屈折率を有する変換器を使用することが可能になる。したがって、変換効果を持たず損失の大きい結合手段を介在させることなく、電磁放射を変換器の中に直接取り込むことによって、変換が高い効率で行われる。
【0021】
変換器としての第2の半導体ボディは、従来の例えばセラミックの変換器より大幅に小さい半値全幅を有することがさらに好ましく、これにより、特にストークス損失を小さくすることができる。したがって、例えば暖白色光を生成する場合、特に、このとき要求される青色光から赤色光への変換を極めて狭い周波数帯域で行うことができるため、より高い変換効率が可能である。したがって、変換される光のうち一般的に極めて損失の大きい長波長部分が最小化される。
【0022】
本明細書に記載されている発光半導体部品は、通常では変換材料が配置される熱伝導率の低いマトリックス材料が使用されていないため、熱放散が改善されることにより、さらに、高電流に適するようにすることができる。
【0023】
この場合、本明細書に記載されている発光半導体部品は、動作時に有色光(例えば緑色光、黄色光、または赤色光)を生成することができる。さらに、本発光半導体部品は、動作時に白色光を生成することが可能である。
【0024】
第1の半導体ボディと第2の半導体ボディは、例えばウェハレベルの段階ですでに互いに結合することができ、したがって、多数の発光半導体部品を同時に製造することが可能である。
【0025】
さらには、例えば、第1の半導体ボディとは反対側の第2の半導体ボディの外側領域を粗面化することによって、第2の半導体ボディからの光または電磁放射の取り出しを最大にすることができる。
【0026】
本発光半導体部品の少なくとも一実施形態によると、放射出口領域と、放射出口領域の側の第2の半導体ボディの外側領域は、それぞれ、二乗平均平方根粗さ値として、最大で2nm、特に1nm以下、好ましくは0.5nm以下を有する。この場合、二乗平均平方根粗さ値Rqとは、粗さプロファイルのすべてのプロファイル値の二乗平均平方根値である。この場合、二乗平均平方根粗さ値にはRMSという表現も使用する。したがって、本発明の場合、第1の半導体ボディと第2の半導体ボディとが互いに結合されている第1および第2の半導体ボディの2つの外側領域は、特に平滑に形成されている。2つの向かい合う表面の少なくとも一方の二乗平均平方根粗さ値は、0.5nmよりも大幅に小さい、例えば0.2nm以下であることが好ましい。
【0027】
本発光半導体部品の少なくとも一実施形態によると、第1の半導体ボディは、窒化物化合物半導体材料をベースとしている。本明細書において、「窒化物化合物半導体材料をベースとしている」とは、半導体積層体または少なくともその一部分、特に好ましくは少なくとも活性ゾーンもしくは成長基板ウェハまたはその両方が、窒化物化合物半導体材料、好ましくはAl
nGa
mIn
1−n−mN(0≦n≦1、0≦m≦1、n+m≦1)を含んでいる、またはこのような材料からなることを意味する。この場合、この材料は、必ずしも上記の化学式に従った数学的に正確な組成を有する必要はない。むしろ、この材料は、例えば1種類または複数種類のドーパントと追加の構成成分を含んでいることができる。しかしながら、説明を単純にする目的で、上記の化学式は、結晶格子の本質的な構成成分(Al、Ga、In、N)のみを含んでおり、これらの構成成分は、その一部分を少量のさらなる物質によって置き換える、もしくは補足する、またはその両方を行うことができる。この場合、第1の半導体ボディを例えばエピタキシャルに形成し、第1の半導体ボディから成長基板を除去する。
【0028】
この場合、第1の半導体ボディには、例えば第2の半導体ボディとは反対側の面から電気的に接触接続することができる。さらには、第1の半導体ボディを接続するための少なくとも1つのコンタクトを、第1の半導体ボディと第2の半導体ボディとの間に配置することが可能であり、または、第2の半導体ボディが少なくとも1つの切取り部を有し、この切取り部の中、第2の半導体ボディの側の第1の半導体ボディの外側領域上に、少なくとも1つのコンタクトを配置することが可能である。
【0029】
本発光半導体部品の少なくとも一実施形態によると、第2の半導体ボディは、II−VI族化合物半導体材料をベースとしている。II−VI族化合物半導体材料は、第2主族または第2亜族の少なくとも1種類の元素(例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Zn、Cd、またはHg)と、第6主族の元素(例えば、O、S、Se、Te)とを含んでいる。特に、II−VI族化合物半導体材料は、第2主族の少なくとも1種類の元素と第6主族の少なくとも1種類の元素とを含んだ、二元化合物、三元化合物、または四元化合物を含んでいる。このような二元化合物、三元化合物、または四元化合物は、例えば1種類または複数種類のドーパントおよび追加の構成成分を、さらに含んでいることができる。II−VI族化合物半導体材料としては、一例として、ZnO、ZnMgO、CdS、ZnCdS、MgBeOが挙げられる。
【0030】
第2の半導体ボディの材料は、例えば材料系(ZnCdMg)(SSe)とすることができる。この材料系は、極めて高い放射効率を特徴とする。さらに、この材料からなる第2の半導体ボディは、成長基板の上にエピタキシャルに堆積させることができ、その表面は原子的に平滑である。この材料系をベースとする変換器は、例えば、非特許文献1に記載されている。この文書は参照によって本明細書に明示的に組み込まれている。
【0031】
本発光半導体部品の少なくとも一実施形態によると、第2の半導体ボディは、III−V族化合物半導体材料をベースとしている。第2の半導体ボディは、一例として、材料系(AlGaIn)(NAsP)をベースとしている。
【0032】
この材料系からなる第2の半導体ボディも、高い放射効率を特徴とし、例えばGaAsまたはInPからなる成長キャリア上の大きな領域の上にエピタキシャルに堆積させることができ、その表面は原子的に平滑である。
【0033】
本発光半導体部品の少なくとも一実施形態によると、第2の半導体ボディは、最大で6μm、特に最大で3μm、好ましくは最大で1.5μmの厚さを有する。このような小さい厚さが可能であるのは、特に、半導体変換層の吸光係数が高いためである。このようにすることで、完成した発光半導体部品の構造高さを極めて小さくすることができ、なぜなら、この構造高さは第2の半導体ボディによってほとんど増大しないためである。
【0034】
さらには、発光半導体部品を製造する方法を開示する。本明細書に記載されている発光半導体部品は、本方法によって製造できることが好ましい。すなわち、本発光半導体部品に関して記載されている特徴すべては、本方法にもあてはまり、逆も同様である。
【0035】
本方法の少なくとも一実施形態によると、最初の方法ステップでは、成長キャリアの成長領域の上に第1の半導体ボディをエピタキシャルに堆積させ、成長領域はシリコンによって形成されている。この場合、一例として、成長キャリアがシリコンからなることができる。しかしながら、成長キャリアが、シリコンからなる層を含んでおり、この層の外側領域が成長領域を形成していることも可能である。
【0036】
さらなる方法ステップによると、成長キャリアを、エッチングによって第1の半導体ボディから除去する。すなわち、成長キャリアは、特に、湿式化学的に除去する。この場合、シリコン表面の極めて良好な研磨品質を利用する。第1の半導体ボディから成長キャリア(すなわち特にシリコン表面)を湿式化学的に除去した後、もともと成長キャリアの側であった第1の半導体ボディの外側領域を、第2の半導体ボディを結合する目的にそのまま使用することができ、なぜなら、第1の半導体ボディのこの外側領域は、極めて平滑なシリコン表面の複製とみなされるためである。すなわち、原子的に平滑なシリコン表面が、本方法によって、第1の半導体ボディの外側領域に転写され、この外側領域を利用することで、第1の半導体ボディと第2の半導体ボディとを接合することができる。
【0037】
さらなる方法ステップにおいて、第1の半導体ボディを、もともと成長領域の側であり放射出口領域を備えたその外側領域において、第2の半導体ボディに結合する。
【0038】
したがって、本方法の場合、第1の半導体ボディの外側領域を処理するさらなる方法ステップなしに、放射出口領域が、二乗平均平方根粗さ値として、最大で2nm、特に最大で1nm、好ましくは最大で0.5nmを有することが可能である。これを目的として、成長キャリアの成長領域自体が、第1の半導体ボディの外側領域に転写される二乗平均平方根粗さ値として、最大で2nm、特に最大で1nm、好ましくは最大で0.5nmを有することが好ましい。
【0039】
本方法の少なくとも一実施形態によると、第2の半導体ボディは、成長キャリアの上に分子線エピタキシ(MBE)によってエピタキシャルに堆積され、成長キャリアとは反対側のその外側領域によって、第1の半導体ボディに結合される。この場合、第2の半導体ボディの成長キャリアは、例えば、GaAs、Ge、またはInPからなる成長領域を有する成長キャリアとすることができる。成長キャリアは、一例として、上記材料のうちの1種類によって形成されている。分子線エピタキシにおいて、平滑な外側領域を形成することができる。さらには、2つの半導体ボディを接合する前に、例えば研磨または化学研磨によって外側領域を平滑化することが可能である。
【0040】
本方法の少なくとも一実施形態によると、第2の半導体ボディの成長キャリアは、第2の半導体ボディの側のその外側領域において、二乗平均平方根粗さ値として、最大で2nm、特に最大で1nm、好ましくは最大で0.5nmを有する。第2の半導体ボディを堆積させた後、第2の半導体ボディから成長キャリアを除去し、第2の半導体ボディを、成長キャリアの側のその外側領域によって第1の半導体ボディに結合する。この場合、例えば、GaAs、Ge、またはInPからなる成長領域の極めて良好な研磨品質を利用することができる。
【0041】
第1の半導体ボディと第2の半導体ボディとを接合するのに要求されるクリーンな表面は、インサイチュで、すなわち例えばエピタキシリアクタ内で形成することができる。
【0042】
一例として、接合する対象の表面上の吸着層および汚染層を、スパッタリングまたはイオン衝撃(特にアルゴンイオンを使用する)によって微粒化する(atomize)ことができる。さらには、熱脱離(thermal desorption)もしくは紫外線によって引き起こされる脱離(UV-induced desorption)またはその両方によるクリーニングも可能である。クリーニングステップによって活性化された表面を再不動態化に対して保護する目的で、第1の半導体ボディと第2の半導体ボディとの間の接合は、不活性雰囲気中または真空中(特に超高真空中)で行われることが好ましい。
【0043】
さらに、第1の半導体ボディとは反対側の第2の半導体ボディの外側領域のメサエッチングまたはテクスチャリングを行うこともでき、これによって取り出し効率が向上する。
【0044】
以下では、本発光半導体部品および本方法について、例示的な実施形態に基づき、対応する図面を参照しながら説明する。
【0045】
図面において、同じ要素、同じタイプの要素、または同じ機能の要素には、同じ参照数字を付してある。図面と、図面に示した要素間の互いのサイズの関係は、正しい縮尺ではないものとみなされたい。むしろ、便宜上、または深く理解できるようにする目的で、個々の要素を誇張した大きさで示してある。