(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694608
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】カミソリ刃
(51)【国際特許分類】
B26B 21/56 20060101AFI20150312BHJP
B26B 21/58 20060101ALI20150312BHJP
B26B 21/60 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
B26B21/56
B26B21/58
B26B21/60
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-520362(P2014-520362)
(86)(22)【出願日】2012年7月13日
(65)【公表番号】特表2014-520636(P2014-520636A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】US2012046649
(87)【国際公開番号】WO2013010072
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2014年1月9日
(31)【優先権主張番号】61/507,710
(32)【優先日】2011年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593093249
【氏名又は名称】ザ ジレット カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ケネス、ジェームズ、スクロビス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー、スチュアート、パーカー
(72)【発明者】
【氏名】シェン、ビン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー、ロバート、ストーン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジョセフ、ニスビー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン、スコット、スラタリー
(72)【発明者】
【氏名】ヨンキン、ジュ
【審査官】
齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−245931(JP,A)
【文献】
特表平07−500998(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/008980(WO,A1)
【文献】
実開昭55−001500(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/54 − 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カミソリ刃であって、
基材であって、コーティングされた刃を画定する前記基材に接合されたコーティングを有する基材によって特徴付けられ、前記コーティングされた刃は、50〜350Åの先端半径を有する刃先端部によって画定される切断縁部を含み、前記コーティングされた刃は、前記刃先端部から延びる一対の第1小平面と、前記第1小平面の各々から延びる一対の第2の小平面と、を含み、前記コーティングされた刃は、90°〜135°の小平面角度、0.38μm〜0.65μmの小平面幅、5°〜30°の楔角度を含み、前記コーティングされた刃は、前記刃先端部から1μmの距離で測定した際に、0.8〜1.5μmの厚さを有する、カミソリ刃。
【請求項2】
前記基材が、光学顕微鏡断面により測定した際に、100平方μm当たり200〜1000炭化物の炭化物密度を有するマルテンサイト系ステンレス鋼である、請求項1に記載のカミソリ刃。
【請求項3】
前記コーティングされた刃は、前記刃先端部から0.25μmの距離で測定した際に、0.38〜0.67μmの厚さを有する、請求項1に記載のカミソリ刃。
【請求項4】
前記コーティングされた刃は、前記刃先端部から0.5μmの距離で測定した際に、0.55〜0.95μmの厚さを有する、請求項1に記載のカミソリ刃。
【請求項5】
前記コーティングされた刃は、前記刃先端部から2μmの距離で測定した際に、1.1〜1.7μmの厚さを有する、請求項1に記載のカミソリ刃。
【請求項6】
前記コーティングされた刃は、前記刃先端部から4μmの距離で測定した際に1.6〜2.1μmの厚さを有する、請求項1に記載のカミソリ刃。
【請求項7】
前記コーティングは、前記基材に接合された接着剤層を含む、請求項1に記載のカミソリ刃。
【請求項8】
前記接着剤層は、ニオビウムを含む、請求項7に記載のカミソリ刃。
【請求項9】
前記コーティングは、前記接着剤層に接合されたハードコーティング層を含む、請求項7に記載のカミソリ刃。
【請求項10】
前記ハードコーティング層は、炭素含有材料を含む、請求項9に記載のカミソリ刃。
【請求項11】
前記コーティングは、前記ハードコーティング層に接合されたオーバーコート層を含む、請求項9に記載のカミソリ刃。
【請求項12】
前記オーバーコート層が、クロムを含む、請求項11に記載のカミソリ刃。
【請求項13】
前記オーバーコート層に、潤滑性材料が接合されている、請求項11に記載のカミソリ刃。
【請求項14】
前記潤滑性材料が、ポリマーを含む、請求項13に記載のカミソリ刃。
【請求項15】
前記潤滑性材料が、ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項13に記載のカミソリ刃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カミソリ、より具体的には、先端付近のより大きな前方プロファイル、及び先端と反対の狭いプロファイルを有する、鋭く持続可能な切断縁部を備える、カミソリ刃に関連する。
【背景技術】
【0002】
カミソリ刃は、典型的には、ステンレス鋼などの好適な基材材料で形成され、刃先は、最終的な先端がある半径を有するV字型形状で形成される。ダイヤモンド、非晶質ダイヤモンド、ダイヤモンド様炭素(DLC)材料、窒化物、炭化物、酸化物、又はセラミックなどの硬質コーティングは、強度、耐食性、及びヒゲ剃り能力を改善するために使用されることが多く、用いられる切断抵抗の低い、より薄い縁部の使用を可能にすると同時に、必要とされる強度を保持する。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、摩擦を低減させるために使用することができる。ニオブ又はクロム含有材料の層は、基材、典型的にはステンレス鋼と、DLCなどの硬質炭素コーティングとの接着を改善するのを助けることができる。
【0003】
低い切断力を備え、一方で同時に安全性及び快適性を改善する、カミソリ刃を達成するために、カミソリ刃の形状を変更することが望ましい。理想的な縁部の設計を見つけることにより、より快適な剃毛へと繋がる、皮膚でのより安全な、低い切断力刃をもたらすことが可能である。
【0004】
従来の刃は、体毛の切断に伴うタグアンドプルを低減するために、先端の半径、及び全体的なプロファイルを低減することにより、剃毛の快適性をもたらした。しかしながら、これらのより鋭い縁部は、刃と皮膚の相互作用に伴う不快感を避けるために、特別な実施を必要とする。また、刃の斜角プロファイルを薄くすることの結果として、強度及び耐久性が劣化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低い切断力、より高い安全性、及びより高い快適性に対する要望の調整をとるための問題に対処する。本発明は、小さい先端半径を有する刃先端付近のより広い前方プロファイルを有する一方で、刃先端と反対側のより狭いプロファイルを維持する、刃先端をもたらす。
【0006】
先端付近のより大きな前方プロファイル、並びに先端と反対側のより狭い刃のプロファイルは、より皮膚と係合する傾向の低い、低切断力刃縁部をもたらし、傷つける、切断する、又は引掻くことなく、縁部に沿って皮膚を滑らすことを可能にする。このような刃は、炎症を低減し、快適性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、コーティングされた刃を画定する基材に接合されたコーティングを備える基材を含む、カミソリ刃を提示する。コーティングされた刃は、50〜350Åの先端半径、好ましくは100〜300Åの先端半径を有する、刃先端によって画定された、切断縁部を有する。コーティングされた刃は、刃先端から延びる一対の第1小平面と、第1小平面の各々から延びる一対の第2小平面と、を含む。コーティングされた刃は、90°〜135°の小平面角度、0.38μm〜0.65μmの小平面幅、5°〜30°の楔角度を含む。コーティングされた刃は、刃先端から1μmの距離で測定した際に、0.8〜1.5μmの厚さを有する。
【0008】
好ましくは、コーティングされた刃は、刃先端から2μmの距離で測定された、1.1〜1.7μmの厚さを有する。好ましくは、コーティングされた刃は、刃先端から4μmの距離で測定された、1.6〜2.1μmの厚さを有する。好ましくは、コーティングされた刃は、刃先端から0.25μmの距離で測定された、0.38〜0.67μmの厚さを有する。好ましくは、コーティングされた刃は、刃先端から0.5μmの距離で測定された、0.55〜0.95μmの厚さを有する。好ましくは、コーティングされた刃は、刃先端から8μmの距離で測定された、2.66〜3.16μmの厚さを有する。好ましくは、コーティングされた刃は、刃先端から16μmの距離で測定された、4.06〜5.06μmの厚さを有する。
【0009】
好ましくは基材は、光学顕微鏡断面図(optical microscopic cross-section)で測定した際に、100平方μm当たり、200〜1000炭化物の炭化物密度を有する、マルテンサイト系ステンレス鋼である。
【0010】
コーティングは、基材に接合された接着剤層を含み得る。接着剤層は、ニオビウムを含み得る。
【0011】
コーティングは、接着剤層に接合されたハードコーティング層を含み得る。ハードコーティング層は、炭素を含有する非晶質材料を含み得る。
【0012】
コーティングは、上記ハードコーティング層に接合されたオーバーコート層を含み得る。オーバーコート層は、クロムを含み得る。
【0013】
オーバーコート層に、潤滑性材料が適用されてもよい。潤滑性材料は、ポリマーを含み得る。潤滑性材料は、ポリテトラフルオロエチレンを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書は、本発明とみなされる主題を特定して指摘し明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付の図面と関連させた次の説明から更によく理解されると考えられる。
【
図1】本発明のカミソリ刃を例示する、図解的な図である。
【
図4】コーティングした刃の先端直径を決定する方法を例示するコーティングされたカミソリ刃の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで
図1〜3を参照し、基材11を含むカミソリ刃10が示されており、コーティング30が基材11に接合され、結果、コーティングされたブレード13を生じている。コーティング30は、1つ以上の層を含み得る。示されるコーティング30は、接着剤層34、コーティング層36、及びオーバーコートした層38を含む。基材11は、典型的には、ステンレス鋼で作製されるが、他の材料を使用してもよい。
【0016】
接着剤層34は、ハードコーティング層36の基材11に対する結合を促進するために使用される。好適な接着剤層材料の例は、ニオビウム、チタン、及びクロムを含む材料である。接着剤層は、100Å〜500Åの厚さを有し得る。特定の接着剤層は、150Å〜350Åの厚さを有するニオビウムから作製される。国際特許出願第92/03330号は、接着剤層としてのニオビウムの使用について記載する。
【0017】
ハードコーティング層36は、強度、耐食性、及び剃毛能力を改善し、微細結晶、マイクロ結晶、又はナノ結晶性炭素含有材料(例えば、ダイヤモンド、非晶質ダイヤモンド又はDLC)、窒化物(例えば、窒化ホウ素、窒化ニオブ、窒化クロム、窒化ジルコニウム、又は窒化チタン)、炭化物(例えば、炭化ケイ素)、酸化物(例えば、アルミナ、ジルコニア)、他のセラミック材料(ナノ層又はナノ複合材料を含む)、金属、又は金属合金から作製することができる。炭素含有材料は、タングステン、チタン、銀、又はクロムなどの他の元素で、例えばスパッタリングによる塗布中にこれらの添加物を標的に含めることにより、ドープされてもよい。材料は水素、例えば水素添加DLCを組み込んでもよい。好ましくは、ハードコーティング層36は、ダイヤモンド、非晶質ダイヤモンド又はDLCで作られる。特定の実施形態は、5000Å、好ましくは300Å〜3000ÅのDLCを含む。DLC層及び蒸着方法は、米国特許第5,232,568号に記載されている。「Handbook of Physical Vapor Deposition(PVD)Processing」に記載されるように、DLCは、ダイヤモンドの望ましい特性の多くを示すがダイヤモンドの結晶構造を有しない非晶質炭素材料である。
【0018】
オーバーコート層38は、潤滑性材料のハードコーティングへの結合を促進するために使用され得る。オーバーコート層38は、好ましくは、クロム含有材料、例えば、クロム、又はクロム合金、又は例えばCrPt等のポリテトラフルオロエチレンと適合性であるクロム化合物から作製される。具体的なオーバーコート層は、100〜200Åの厚さのクロムである。オーバーコート層は、50Å〜500Å、好ましくは約100Å〜約300Åの厚さを有してもよい。他の材料は、特定の潤滑性材料の接着を促進するために、オーバーコート層38のために使用され得る。
【0019】
潤滑性材料40は、より低い摩擦をもたらすために使用され得る。潤滑性材料40の厚さは当然、コーティングされた刃13の寸法を計算する目的で無視される。潤滑性材料40は、ポリマー組成物又は修飾ポリマー組成物であってもよい。ポリマー組成物は、ポリフルオロカーボンであってもよい。好適なポリフルオロカーボンは、テロマーと呼ばれることもある、ポリテトラフルオロエチレンである。特有のポリテトラフルオロエチレン材料は、DuPontから入手可能であるKrytox LW 2120である。この材料は、安定な分散体を生じさせる小粒子からなる、不燃性及び安定な乾燥した潤滑剤である。これは、約20重量%固形分の水性分散体として供給され、浸漬、噴霧、又ははけ塗りにより塗布されて、その後空気乾燥、又は溶融コーティングされることができる。潤滑性材料は、好ましくは5000Å厚さ未満であり、典型的には、1500Å〜4000Å厚さであり、100Åほどの薄さであってもよいが、ただし連続的なコーティングは維持される。連続的なコーティングが得られる限り、テロマーコーティングの厚さの減少は、最初のひげ剃り結果を改善することが提供できる。米国特許第5,263,256号及び第5,985,459号は、付与されるテロマー層の厚さを減少するために使用できる技術を記載しており、この特許は参考として本明細書に組み入れられる。
【0020】
コーティングされた刃13は、刃先端12を有する楔型の鋭い縁部を含み、第1小平面14及び16が刃先端12から延びている。第1小平面14及び16は、これらが刃先端12から延びるに伴って分岐している。第2小平面18及び20はそれぞれ、第1小平面14及び16から延びている。コーティングされた刃13は、第1小平面14と16との間の小平面角度αを有する。小平面角度αは90°〜135°の範囲である。楔角度βは、小平面14と線形延長部14’と第2小平面18との間、及び小平面16の線形延長部16’と第2小平面20との間にある。2つの楔角度βは、好ましくは角度において同一でないにしてもほぼ同じである。楔角度βは、5°〜30°である。
【0021】
線形延長部14’に対して垂直な直線17は、線形延長部14’と、第2小平面18の線形延長部18’との交点に引かれる。線形延長部16’に対して垂直な直線19は、線形延長部16’と、第2小平面20の線形延長部20’との交点に引かれる。小平面の幅ωは、直線17及びコーティングされた刃13の交点と、直線19及びコーティングされたブレード13の交点との間で測定される。コーティングされた刃13は、0.38〜0.65μmの小平面幅を有する。
【0022】
刃先端12は好ましくは50〜350Åの半径を有する。刃先端は好ましくは100〜300Åの先端半径を有する。ここで
図4を参照し、先端半径は、最初に、コーティングされた刃13を半分に分割する直線60によって決定される。直線60がコーティングされた刃13を分割する場所に、第1点65が描かれる。第2直線61は、点65から75Åの距離で直線60と垂直に引かれる。直線61がコーティングされた刃13を分割する場所において、2つの追加的な点66及び67が描かれる。円62はその後、点65、66、及び67から構成される。円62の半径は、コーティングされた刃13の先端半径である。
【0023】
図1〜3を参照し、コーティングされたブレード13は、刃先端12から1μmの距離54で測定された、0.8〜1.5μmの厚さ55を有する。
【0024】
好ましくはコーティングされた刃13は、刃先端12から2μmの距離56で測定された、1.1〜1.7μmの厚さ57を有する。好ましくはコーティングされた刃13は、刃先端12から4μmの距離58で測定された、1.6〜2.1μmの厚さ59を有する。好ましくはコーティングされた刃13は、刃先端12から0.25μmの距離50で測定された、0.38〜0.67μmの厚さ51を有する。好ましくはコーティングされた刃13は、刃先端12から0.5μmの距離52で測定された、0.55〜0.95μmの厚さ53を有する。
【0025】
好ましくは、コーティングされた刃13は、刃先端12から遠位において細いプロファイルを維持する。コーティングされた刃13は好ましくは、刃先端12から8μmの距離で測定された、2.66〜3.16μmの厚さを有する。コーティングされた刃13は好ましくは、刃先端12から16μmの距離で測定された、4.06〜5.06μmの厚さを有する。
【0026】
厚さは、より改善された剃毛のための枠組みをもたらす。厚さは、縁部強度と低切断抵抗又は鋭さとの間のバランスを提供する。小さな厚さを有する刃は、より低い強度を有し、強度が低すぎる場合には、究極的には縁部の破損に繋がる場合がある。より大きい厚さを有する刃は、タグアンドプルの増加、及びひげ剃り中のユーザの不快感の増加を導く高い切断抵抗を有する。
【0027】
適切に鋭くされた縁部の作製を促進することができるある基材11の材料は、より小さく、かつより微細に分散した炭化物を有するが、類似の全炭素重量%を有するステンレス鋼である。微細な炭化物基材は、より硬く、かつより脆性である後硬化基材を提供し、より薄く、かつより強い縁部の作製を可能にする。かかる基材材料の例は、光学顕微鏡断面積により測定したとき、100平方μm当たり少なくとも200、300、400の炭化物〜100平方μm当たり600、800、1000炭化物以上の炭化物密度を有する、より微細な平均炭化物寸法のマルテンサイト系ステンレス鋼である。
【0028】
カミソリ刃10は一般に、上記の参照特許に記載される方法により作製される。特定の実施形態はニオビウム接着剤層34、DLCハードコーティング層36、クロムオーバーコート層38、及びKrytox LW 2120ポリテトラフルオロエチレン潤滑性材料40を含む。クロムのオーバーコート層38は、最低100Åから最高500Åまで蒸着される。直流バイアス(−50Vより小さく、好ましくは−200Vより小さい)及び約0.27Pa(2mTorr)のアルゴン圧を用いてスパッタリングすることにより蒸着される。
【0029】
本発明の刃先端半径、及び小平面プロファイルは、刃の鋭利さ、安全性、及び剃毛快適性の改善をもたらす。カミソリ刃10は、低い切断力、より高い安全性、及びより高い快適性に対する要望の調整をとるための問題に対処する。刃先端は、先端付近の大きな前方プロファイルを有し、一方で、刃先端と反対側で狭いプロファイルを維持する。先端付近のより大きな前方プロファイル、並びに先端と反対側のより狭い刃のプロファイルは、より皮膚と係合する傾向の低い、低切断力刃縁部をもたらし、傷つける、切断する、又は引掻くことなく、縁部に沿って皮膚を滑らすことを可能にする。より小さい先端半径は効率性を維持し、幅広い前方プロファイルは安全性及び快適性を増加させ、先端と反対側の細いプロファイルは、毛髪の引張を低減する。このような刃は、炎症を低減し、快適性を向上させる。
【0030】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものである。
【0031】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に援用するが、いずれの文献の引用もそうした文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0032】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。