(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板を含有する請求項14に記載の使い捨て物品であって、基板が、ゴム、オレフィンおよびそれらの混合物から成る群から選択されるフィルムである、該使い捨て物品。
【背景技術】
【0003】
一般に、使い捨ての吸収性物品、例えば、おむつは、数種の接着剤を有する。なぜならば、物品の種々の構成要素は異なる機能性を要求し、例えば、コア接着剤は、湿潤時におむつパッドに強度をもたらし、構造用接着剤は、防水の背面シートを不織布製の吸収性パッド結合させ、弾性接着剤は脚、ウエストおよび側面のパネル・シートを固着させる。前述の接着剤は異なる機能性を有しているが、それらはすべて、接着剤として有用であるために、著しい量の粘着付与剤および/または希釈剤を必要とする。
【0004】
オレフィンに基づいた接着剤は、コア接着剤および構造用接着剤として典型的に使用されている。広く用いられている、オレフィン基づいた接着剤は、有効な吸収性物品用接着剤であるために大量の粘着付与剤および希釈剤を必要とする。例えば、噴霧できるエチレンおよび/またはマレイン酸変性エチレンα−オレフィンポリマーに基づく接着剤は、典型的に30wt%よりも多い粘着付与剤および/または希釈剤を必要とする。接着剤中での高濃度のオイルの使用は、昇温時に基材の外部にオイルのマイグレーションをもたらし得る。
【0005】
非晶質のアタクチックポリ−α−オレフィン(APAO)接着剤は、不織布向けの構造用接着剤として幅広く使用されている。これらの接着剤は、典型的に、構造用接着剤および/またはコア接着剤として選択され、弾性接着剤として選択されない。
【0006】
アタクチックおよびアイソタクチックポリエチレンポリマー(IPP)の混合物、およびアタクチックおよびシンジオタクチックポリプロピレン(SPP)の混合物は、接着剤の接着性と接着強度のバランスを保つのに使用されている。接着性と接着強度のバランスを保ったとしても、上記接着剤は、弾性接着剤に要求される性能特性を有さない。
【0007】
近年のポリマー技術には、より良好なクリープ抵抗を可能にするブロックオレフィンポリマーが導入されているが、接着剤中には多量の低分子量可塑剤が必要であり、これは、高温時にクリープ性能を無効にする。接着剤中のブロックオレフィンポリマーの量は、接着剤の総重量に基づき、約50重量%未満、好ましくは30重量%未満、および最も好ましくは約20重量%未満である。
左右対称のアイソタクチック構造のブロックを有するポリマーから製造される接着剤は、接着剤の総重量に基づき、少なくとも30重量%、および70重量%以下の粘着付与剤を必要とする。
【0008】
不十分な弾性特性に起因して、多くの商業的に入手可能な弾性接着剤は、スチレンブロックコポリマーに由来する。このようなブロックコポリマーから生成した接着剤は、容易に入手可能であり、当該技術分野において開示されている。スチレンの硬いブロックは、基板上にしっかりと固定され、その形状を保持し、弾性を可能にする。しかしながら、スチレン系接着剤も、適用温度と粘度のバランスを保つために、多量の粘着付与剤および/または希釈剤を必要とする。
【0009】
ブテンポリ−a−オレフィンに基づく、低い結晶性(10%未満)を有する接着剤も知られているが、このような接着剤も、その剛性に起因して弾性基板に対して適当ではない。
【0010】
このため、低い粘着付与剤および可塑剤含有量を有し、望ましい凝集力とクリープ抵抗を有する費用効率が高い接着剤に対する継続した要求が当該技術分野に存在する。本発明は、この要求に取り組む。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここに引用された文献はすべて、参照によってそれら全体が組み込まれる。
【0018】
全ての重量パーセント(wt%)は、接着剤の総重量から算出され、接着剤の総重量は100重量%である。
【0019】
ここで使用される用語「ポリマー」はホモポリマーまたはコポリマーを示す。コポリマーは、少なくとも2つのモノマーを有する任意のポリマーである。
【0020】
ここで使用される用語「メタロセン触媒ポリマー」は、メタロセン触媒ホモポリマーまたはメタロセン触媒コポリマーを示す。
【0021】
ここで使用される用語「メタロセン触媒プロピレンポリマー」は、メタロセン触媒プロピレンホモポリマーまたはメタロセン触媒プロピレンコポリマーを示す。
【0022】
本発明の接着剤は、少なくとも70重量%のポリマー混合物を含有する。ポリマー混合物は、(i)メタロセン触媒ポリプロピレンポリマーと、(ii)非晶質ポリブテンおよび/またはポリプロピレンコポリマーとの混合物である。
【0023】
メタロセン触媒ポリマーは、狭い分子量分布と組成分布および立体特異性をもたらすメタロセン触媒により重合される。狭い分子量分布は、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った低い多分散指数(PDI)を示す。メタロセン触媒ポリマーに関するPDI範囲は、3未満である。
【0024】
一実施態様において、好ましいメタロセン触媒ポリマーは、メタロセン触媒ポリプロピレンホモポリマーまたはコモノマーを有するメタロセン触媒ポリプロピレンコポリマーである。別の実施態様において、メタロセン触媒ポリプロピレンコポリマーのコモノマーは、C
2、C
4-C
10α-オレフィンコモノマーである。別の実施態様において、コモノマーは、エチレンおよび/またはブチレンである。
【0025】
メタロセン触媒ポリプロピレンポリマーの密度範囲は、約0.70〜約0.91g/cm
3である。
【0026】
別の実施態様において、メタロセン触媒ポリプロピレンポリマーは、分子量が低く、そのモジュラス(modulus)は低い。一実施態様において、分子量範囲は約10000〜約200000ダルトンであり、分子量分布は約1〜約4である。
【0027】
メタロセン触媒ポリプロピレンポリマーは約38℃〜約104℃の溶融温度を有し、その溶融粘度は、190℃で約200〜100,000,000cPの範囲である。
【0028】
190℃でのメタロセン触媒ポリプロピレンポリマーの溶融粘度は、好ましくは、約500〜約80000cPであり、より好ましくは、約50000cP以下である。メタロセン触媒ポリプロピレンポリマーの例には、出光製のL-MODU
(登録商標)X400S、X600SおよびX900Sが含まれる。
【0029】
別の実施態様において、ポリマーは、230℃および2.16kg重にて50g/10分よりも高いメルトフローレートを有する。メタロセン触媒ポリプロピレンポリマーの例には、エクソンモービル製のVistamaxx2000シリーズが含まれる。
【0030】
別の実施態様において、メタロセン触媒ポリプロピレンポリマーのモジュラスは、80℃にて約20〜約500MPaである。
【0031】
別の実施態様において、メタロセン触媒ポリプロピレンポリマーは、アアイソタクチックであり、この場合、置換基は、ポリマー骨格の同じ側に配置される。アアイソタクチックポリマーは、通常、半結晶性であり、スパイラル配置を形成する場合が多い。特に好ましいメタロセン触媒ポリプロピレンポリマーは、中程度のアイソタクチシティを有する。
【0032】
非晶質ホモポリマーおよびコポリマーは、チーグラー-ナッタ触媒により製造されるポリマーである。チーグラー-ナッタ触媒を用いて製造した非晶質ポリマーは、幅広い分子量範囲と組成分布を有する。チーグラー-ナッタ触媒を用いて製造した非晶質ポリマーは、非-立体特異的、例えばその形態においてアタクチックである。非晶質ポリマーのPDIは3〜10の範囲である。好ましい非晶質ポリマーは、5〜6のPDI範囲を有する。
【0033】
一実施態様において、非晶質ポリマーは、(ASTM D3236に従い測定した)190℃で約500cP超〜約10000cP、より好ましくは500cP〜3000cPの溶融粘度を有するポリ-α-オレフィンポリマーである。
【0034】
好ましい非晶質ポリ-α-オレフィンポリマーは、非晶質ポリブテンおよび/または非晶質ポリプロピレンコポリマーである。ポリブテンのコモノマーは、C
2-C
3およびC
5-C-
10α-オレフィンコモノマーである。ポリブテンのコモノマーは、C
3α-オレフィンコモノマーである。ポリプロピレンのコモノマーは、C
2およびC
4-C-
10α-オレフィンコモノマーである。一実施態様において、ポリプロピレンのコモノマーは、C
2α-オレフィンコモノマーである。非晶質ポリ-α-オレフィンコポリマーの例には、Rextac製のREXtac
(登録商標)EおよびRTシリーズ、Evonik製のVestoplast
(登録商標)シリーズ、Eastman製のEastoflex
(登録商標)などが含まれる。
【0035】
別の実施態様において、メタロセン触媒ポリプロピレンポリマー対非晶質ポリマーの比率は1:10〜約1:1の範囲である。
【0036】
接着剤は、粘着付与剤および/または希釈剤を更に含有する。望ましい接着剤は、30重量%未満、25重量%未満、23重量%未満または20重量%未満で、0重量%よりも多い粘着付与剤および/または希釈剤を配合できる。例示的な粘着付与剤は、一般的にASTM E28-58Tに従い測定される、80℃より高い環球軟化点を有する。別の実施態様において、接着剤は、100℃よりも高い環球軟化点を備える粘着付与剤を含有する。
【0037】
有用な粘着付与樹脂には、任意の相溶性樹脂または混合物、例えば、脂肪族石油炭化水素樹脂;ASTM法E28−58Tにより測定した、80℃よりも高い軟化点を有する、芳香族石油炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体;天然および変性ロジン、例えば、ガム・ロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量体化ロジン、樹脂酸塩、および重合ロジン;例えば、淡色ウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル、およびロジンのフェノール変性ペンタエリトリトールエステルを含む、天然および変性ロジンのグリセロールおよびペンタエリトリトールエステル;例えば、スチレン/テルペンとアルファ・メチルスチレン/テルペンを含む、天然テルペンのコポリマーおよびターポリマー;ポリテルペン樹脂;および、例えば、二環式テルペンとフェノールの、酸性媒体中での縮合から生じる樹脂生成物を含む、フェノール変性テルペン樹脂およびそれらの水素化誘導体、が含まれ得る。
【0038】
特に適当な水素化された脂肪族の粘着付与剤の例には、エクソン・モービル化学製品製のEscorez
(登録商標)1000シリーズ、アラカワ製のArkon Pシリーズとイーストマン化学製のRegalite S1100シリーズが含まれる。また、環状または非環式のC
5樹脂、および芳香族変性非環式または環状樹脂、および例えば、エクソン・モービル製のEscorez
(登録商標)2000と5000シリーズを含む。本発明において使用できる市販のロジンとロジン誘導体の例には、アリゾナChemicalから入手可能なSYLVALITE REシリーズが含まれる。市販のポリテルペン樹脂の例には、Pinova製のPiccolyte S、C、FおよびAシリーズが含まれる。特に好ましいポリテルペンは、Piccolyte S115である。
【0039】
好ましい粘着付与剤は、合成炭化水素樹脂である。脂肪族または脂環式炭化水素、芳香族炭化水素類、芳香族変性脂肪族炭化水素または脂環式炭化水素、およびそれらの混合物を含む。非限定的な例には、商品名Escorez
(登録商標)シリーズとしてエクソンから入手可能であるもののような、脂肪族オレフィンに由来する樹脂が含まれる。イーストマン製のEastotacシリーズは、発明においても有用である。本発明に対して好ましいものは、エクソン製のEscorez 5400およびイーストマン化学製のEastotac等級H100およびH130Rが含まれる。
【0040】
非限定的な例には、エクソンからEscorez
(登録商標)シリーズの商品名で入手可能なもののようなオレフィン由来の樹脂が含まれる。イーストマンからのEastotacシリーズも、本発明に有用である。
【0041】
また、Sartomer and Cray Valleyから入手可能でC
9芳香族/脂肪族オレフィン由来の芳香族炭化水素である商品名Norsolene、およびTK芳香族炭化水素樹脂のRutgersシリーズも有用である。
【0042】
イーストマンケミカルスからのKristalexシリーズのようなアルファ−メチルスチレン、Arizonaケミカルズ製の80℃よりも高い環球軟化点を有するSylvares SAも、本発明における粘着付与剤として有用である。二種以上の記載した粘着性樹脂の混合物もはる配合において要求され得る。
【0043】
これらの接着剤の高温性能を向上させるために、上で詳細した更なる粘着付与剤と、少量のアルキル・フェノール粘着付与剤を混合させることができる。接着剤の総重量の20重量%未満の量で添加されるアルキルフェノール樹脂は、相溶性であり、適当な組み合わせは高温接着特性を増加させる。アルキル・フェノール樹脂は、Tamanolの商品名でアラカワ化学から、およびSchenetady Internationalからいくつかの製品ラインで商業的に入手できる。
【0044】
例示的な希釈剤には可塑剤が含まれる。適当な可塑剤には、油、ポリブテン、ポリイソブチレン、ベンゾエート、アジピン酸エステルなどが含まれる。特に好ましい可塑剤には、ポリブテンとポリイソブチレン、鉱油、脂肪族油、オレフィンオリゴマーと低分子量のポリマー、植物油、動物性油、パラフィン油、ナフテン油、芳香族油、長鎖の部分的なエーテル・エステル、アルキル・モノエステル、エポキシ化された油、ジアルキルジエステル、芳香族ジエステル、アルキル・エーテル・モノエステルおよびそれらの混合物が含まれる。
【0045】
本発明の接着剤は、所望により少なくとも1種の安定剤および/または少なくとも1種の酸化防止剤を含有し得る。これらの化合物は、粘着性樹脂などの原料からの熱、光または残留する触媒等により誘導される酸素との反応に起因する分解から接着剤を保護するために添加される。
【0046】
ここに含まれる適用可能な安定剤または酸化防止剤のうち、高分子量の立体障害フェノールおよび多官能性フェノール、例えば硫黄およびリン含有フェノールが含まれる。立体障害フェノールは、当業者に既知であり、また、それらのフェノール水酸基に隣接して立体的に大きな基を含有するフェノール合成物として特徴付けられ得る。特に、第三級ブチル基は一般的に、フェノール水酸基に対してオルト位置の少なくとも1つにおけるベンゼン環上で一般に置換される。水酸基の近くのこれらの立体的に大きな置換基の存在は、その伸張度と、対応して、その反応性を遅らせるのに役立ち;したがって、この障害は、フェノール合成物にその安定した特性をもたらす。立体障害フェノールの代表例には1,3,5-トリメチル-2,4,6-tris-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-ベンゼン; ペンタエリトリチルテトラキス-3(3,5-d i-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート; n-オクタデシル-3(3,5-di-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)- プロピオネート; 4,4’-メチレンビス(2,6-tert-ブチル-フェノール); 4,4'-チオビス(6-tert-ブチル-o-クレゾール); 2,6-di-tertブチルフェノール; 6-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-bis(n-オクチル-チオ)-1,3,5 トリアジン; di-n-オクチルチオ)エチル 3,5-di-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンゾエート; および ソルビトール ヘキサ[3-(3,5-d i-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオネート]が含まれる。
【0047】
このような酸化防止剤は、Ciba Specialty Chemicalsから商業的に入手可能であり、立体障害フェノールであるIrganox
(登録商標)565、1010、1076および1726を含む。これらはラジカル補足剤として機能し、単独または他の酸化防止剤と組合わせて使用され得る酸化防止剤、例えば、Ciba Specialty Chemicalsから入手できるIrgafos
(登録商標)168などを含む。ホスフィット触媒は二次触媒と考えられ、通常、単独では使用されない。これらは、主に過酸化物を分解するものとして使われる。他の利用できる触媒には、Cytec Industriesから入手可能なcyanox
(登録商標)LTDPおよびAlbemarle社から入手可能なEthanox
(登録商標)330が含まれる。このような多くの酸化防止剤も、単独で使用でき、または他のこのような酸化防止剤と組合わせて使用できる。これらの化合物は、少量で(典型的におよそ10重量%未満の量で)ホットメルトに添加され、他の物理的特性に影響を及ぼさない。他の物理的特性に影響を及ぼさず、添加され得る他の化合物は、僅か2〜3の、色を加える顔料または蛍光剤である。このような添加物は、当業者に知られている。
【0048】
本発明の接着剤は、所望による添加剤、例えば、ワックス、顔料、染料および充填剤などを含有する。
【0049】
接着剤における使用に適当なワックスには、パラフィン・ワックス、微結晶ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、副生成物ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、酸化フィッシャー・トロプシュワックスおよび官能化ワックス、例えばヒドロキシステアラミドワックスおよび脂肪アミドワックスが含まれる。高密度低分子量ポリエチレンワックス、副生成物ポリエチレンワックスおよびフィッシャー・トロプシュワックスが、合成の高融点ワックスとして当該技術分野において常套のものである。
【0050】
使用する場合、ワックス成分は約10重量%以下の量で一般的に存在する。ワックス成分を含有する接着剤は約0.5〜約5重量%のワックスをより一般的に含有する。好ましいワックスは、49℃〜121℃の間、好ましくは66℃〜120℃の間、および最も好ましくは82℃〜115℃の間に融点を有する。
【0051】
接着剤の最終的使用用途に基づき、他の添加剤、例えば、顔料、染料および充填剤は、通常、ホットメルト接着剤に添加され、少量、すなわち、本発明の配合中に約10重量%以下の量で添加される。
【0052】
メタロセン触媒ポリマーから製造される接着剤は狭いPDI、良好な噴霧性および高い結合力を有する傾向を示すが、それらはまた、高い粘度、硬度を有し、ならびに大量の粘着付与剤およびオイルを必要とする。一方、チーグラー・ナッタ触媒非晶質オレフィンから製造される接着剤は、高いポリマー含有量と低い粘度を有する傾向を示すが、噴霧性および結合力は低下する。2つのポリマーの単なる組合せは、ポリマーの各々の欠点を悪化させる。このような組合わせは、低いポリマー含有量、高い粘度、高いPDIを有し、相溶性を示さない場合もある。驚くべきことに、最小限の希釈剤および/または粘着付与剤を有し、良好な結合力を有する接着剤は、メタロセン触媒ポリマーとチーグラー・ナッタ触媒非晶質ポリマーの特定の混合によりもたらすことができる。すなわち、約0.70〜約0.91g/cm
3の密度範囲を有し、190℃で約1000〜10000cPの溶融粘度範囲を有するメタロセン触媒ポリプロピレンポリマーと、チーグラー・ナッタ触媒非晶質ポリブテンおよび/またはポリプロピレンポリマーとの組合わせは、最小限の希釈剤および粘着付与剤の含有を可能にし、良好な結合力を示す相溶性のポリマー系をもたらす。本発明の接着剤は、許容可能なクリープ抵抗をもたらすために30重量%未満、25重量%未満、23重量%未満、または20重量%未満の粘着付与剤および/または希釈剤を必要とする。
【0053】
均質な混合物を形成するために、本発明の接着剤組成物は約170℃の温度の溶融状態で成分を混合することにより調製される。種々の混合方法、および均質なブレンドを製造する任意の方法が当該技術分野において既知である。その後、混合物は冷却され、貯蔵または搬送のためにペレットまたはブロックに形成され得る。次いで、これらの事前形成接着剤は、再度加熱され、基板上に施される。
【0054】
接着剤のホットメルト用途は、当業者に既知である。本発明の接着剤は、当該技術分野において既知の任意の方法、例えば、非限定的な、ロールコーティング、塗装、乾燥ブラッシング、ディップ・コーティング、噴霧、ストランド−コーティング、スロット-コーティング、渦噴霧(インクジェット印刷)、フレキソ印刷、押出し、粉砕噴霧、グラビア(パターン車輪移動)、静電的な、蒸気堆積、繊維化および/またはスクリーン印刷が含まれる。コーティング用途に関して、種々のパターン、例えば、連続、断続的、痕跡などを弾性基板に施すことができる。
【0055】
発明の別の実施態様において、類似した基板または異種の基板を結合させる方法が提供される。方法は、本発明の溶融接着剤を少なくとも第1基板に施すこと、第1基板に施した溶融接着剤と第2基板とを接触させること、および組成物を凝固させること、を含み、その結果、第1基板および第2基板は相互に結合され、この場合において、本発明の接着剤は、好ましくは、(a)少なくとも70重量%のポリマー混合物であって、該混合物は、(i)約0.70〜約0.91g/cm
3の密度範囲を有するメタロセン触媒ポリプロピレンポリマーと、(ii)非晶質ポリブチレンコポリマーを含有するポリマー混合物と;および(b)30重量%未満の粘着付与剤および/または希釈剤を含有し、(i)メタロセン触媒ポリプロピレンポリマー対(ii)非晶質ポリブチレンコポリマーの比率は、1:10〜約1:1の範囲であり、接着剤の総重量は100重量%である。基板は、同種であってもよく異種であってもよい。複数の基板を接着剤と併用できる。
【0056】
ここで使用される”基板”は、これらのものに限定されない以下のポリマーフィルムを含有する:ポリオレフィン;ポリエステル;ポリウレタン;ポリアミド;ポリアクリレート;または、その組合せを含有し、ランダム、ブロックまたはグラフトコポリマー、例えば、ポリエステル-b-ポリウレタン・ブロックコポリマー、ポリエーテル-b-ポリウレタンブロックコポリマー、スチレンブロックコポリマー、および/またはポリエーテル-b-ポリアミド・ブロックコポリマーなどを含む。弾性ストランドの例には、Invista社により販売される、LYCRAマルチフィラメント弾性糸、Globe Manufacturing 社により製造される弾性ストランドおよびFulflex製のConfi−Fit(登録商標)が含まれる。
【0057】
接着剤を含有するこれらの複合材料に関して、「クリープ抵抗」または「クリープ抵抗値」は、特定の接着剤の保持力に関する。クリープ抵抗は、基板間の接着剤結合の程度を測定する。
【0058】
本発明の熱溶融接着剤は、例えばパーソナルケア衣類の弾性部分に使用される。おしめ用の再付着タブと異なって、弾性的であり、変形に対する抵抗が要求される弾性部分は、足、腰、および側面パネルシートを結びつける。さらに、本発明の熱溶融接着剤は、パーソナルケア衣類の構造部および/またはコア接着剤として使用される。
【0059】
優れた伸縮性と弾力を備える材料は、種々の使い捨て品および耐久品、例えば、失禁パッド、使い捨ておむつ、トレーニング・パンツ、衣類、下着、スポーツ衣類、自動車トリム、隙間充填材、ガスケットおよび家具材料の製造に必要である。伸縮性と弾性は、例えば、着用者の身体にまたは物品のフレームに対して密着させる機能をもたらす性能属性である。多数の材料が室温にて優れた応力−歪み特性と弾性を示すことが知られているが、弾性材料に対して、体温または夏の自動車内装のような高温での再利用、伸張および収縮を安全で確実にもたらすことが望ましい場合が多い。接着剤は、不織布用途、例えば赤ちゃんおむつ、成人用失禁物品において使用するための弾性接着剤として特に使用できることが見出された。
【実施例】
【0060】
成分
L−MODU400PPは、出光製のメタロセン触媒ポリプロピレンコポリマーであり、190℃にて約7000cpsの溶融粘度と60MPaのモジュラスを有する。
【0061】
Vistamaxx6202は、エクソン製のメタロセン触媒ポリプロピレンコポリマーであり、230℃/2.16kgにて18g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。
【0062】
Versify 4300は、ダウケミカル製のメタロセン触媒ポリプロピレンコポリマーであり、230℃/2.16kgにて25g/10分のMFRを有する。
【0063】
Infuse9807.15は、ダウケミカルから入手可能なメタロセン触媒エチレン−オクテンブロックコポリマーであり、190℃/2.16kgにて15g/10分のMFRを有する。
【0064】
XUS 38608.00は、ダウケミカルから入手可能なメタロセン触媒エチレン−オクテンランダムコポリマーであり、190℃/2.16kgにて1200のMFRを有する。
【0065】
Rextac RT2830は、チーグラー・ナッタ触媒により製造した非晶質コポリマー(プロピレン−ブテン)であり、190℃にて3000cpsのブルックフィールド粘度を有する。
【0066】
Rextac RT2814は、チーグラー・ナッタ触媒により製造した非晶質コポリマー(プロピレン−ブテン)であり、190℃にて1400cpsのブルックフィールド粘度を有する。
【0067】
Rextac 2315は、チーグラー・ナッタ触媒により製造した非晶質コポリマー(エチレン−プロピレン)であり、190℃にて1500cpsのブルックフィールド粘度を有する。
【0068】
Escorez 5400は、エクソンモービルから入手可能な脂環式炭化水素樹脂であり、103℃の軟化点を有する。
【0069】
Eastotac H130Rは、イーストマンケミカルから入手可能な脂肪族炭化水素樹脂であり、130℃の軟化点を有する。
【0070】
Eastotac H−100Rは、イーストマンケミカルから入手可能な脂肪族炭化水素樹脂であり、100℃の軟化点を有する。
【0071】
Wingtack 98Hは、Cray Valleyから入手可能な脂肪族炭化水素樹脂であり、98℃の軟化点を有する。
【0072】
Indopol H300は、INEOSから入手可能な液体ポリブテンオリゴマーであり、1300Mnの分子量を有する。
【0073】
Krystol オイルは、ペトロカナダから入手可能な工業銘柄の白色鉱油である。
【0074】
Kaydolオイルは、Sonnebornから入手可能な工業銘柄の白色鉱油である。
【0075】
Irganox1010/225は、チバ・スペシャリティー・ケミカルズから入手可能な立体障害フェノール酸化防止剤である。
【0076】
ゴム系コントロールA接着剤は、Dispomelt EL 897Bであり、スチレンブロックコポリマー由来の接着剤であり、Henkel Corporationから入手できる。
【0077】
ゴム系コントロールB接着剤は、Dispomelt 898Bであり、スチレンブロックコポリマー系接着剤であり、Henkel Corporationから入手できる。
【0078】
試験方法
粘度は、ASTM D3236、スピンドル27、標準ブルックフィールド粘度計を用いて302°F(150℃)にて測定した。
【0079】
断続的な弾性コーティングに関して:
2枚の不織シート間または不織シートとポリマーフィルムとの間で、延伸状態で接着させたフィラメント(例えば、スパンデックス)の長さを測定し、マークした(「出発長さ」)。スパンデックスの両端を、接着接合領域(断続的な領域)の外側で切断した。結果として生じる自由端フィラメント収縮量を、38℃で4時間後に測定する。その後、パーセントクリープを以下の方法で算出した:
【0080】
【数1】
【0081】
例えば、マーク間の初期距離が20cmで、マーク間の最終距離が15cmである場合、パーセントクリープは25%である。好ましくは、各条件で5個のサンプルが試験され、各弾性ストランドの結果を平均化する。
【0082】
連続弾性コーティングに関して:
2枚の不織シート間または不織シートとポリマーフィルムとの間で、延伸状態で接着させたフィラメント(例えば、スパンデックス)の長さを測定し、マークした(「出発長さ」)。サンプル長さは、マークした領域の外部で測定する。フィラメント収縮量を、38℃で4時間後に測定する。その後、パーセントクリープを以下の方法で算出した:
【0083】
【数2】
【0084】
一般的に、ゴム系接着剤は高いクリープ抵抗または許容可能なクリープ抵抗を生じる。接着剤の許容可能なクリープ抵抗は、約35%以下である。
【0085】
スパイラルまたはストランド用途によるクリープ性能を試験する場合、使用される不織布基板は13.5gsmスパンボンドであり、Avogolにより製造され、ポリプロピレンフィルムは0.5milの易成形性ポリフィルムであり、Pliant社から供給される。また、使用したスパンデックスは、620デシテックス(LYCRA
(登録商標)XA
(登録商標))であり、繊維のドラフト(draft)は4.0xである。
【0086】
ストランドコーティングを介して製造される接着に関するクリープ性能を測定する場合、接着剤を約140℃〜約160℃の温度範囲で、ITWオメガ塗布器による0.1秒のオープンタイムおよび300fpmでの高速ラミネーターを用いる連続または断続モードでストランドコーティングを用いて、不織布基板およびスパンデックスに施す。接着剤の施される濃度は、3つの弾性繊維を用いて25−35mg/m/ストランドである。
【0087】
スパイラルコーティングを介して製造された結合に関してクリープを測定する場合、接着剤は約140℃〜約160℃の温度範囲で、Nordson0.018''スパイラル塗布器による0.1秒のオープンタイムおよび300fpmでの高速ラミネーターを用いる断続モードで包装していないスパイラルパターンを用いて不織布基板およびスパンデックスに施す。接着剤の施される濃度は、不織布基板に取り付けられる3つの弾性繊維を用いて12gsmである。
【0088】
剥離強度を測定するために、基板上に140℃〜160℃の間でSigunatureノズルヘッドを介して2.5gsmにて接着剤を噴霧し、次いで接着を形成するように、接着剤上に第2基板を施すことにより、ラミネートを準備した。一般的な基板は、一般的に約10〜25gsm範囲の基本重量を有し、ポリオレフィンなどの可撓性シート状のフィルム基板、例えば、ポリエチレン不織布またはポリプロピレン不織布、ポリウレタンフィルム、ポリウレタンフォーム、セルロース誘導体のフィルムまたは成形体(例えば、ティッシュ)、ポリアクリレートまたはポリメタクリレートのフィルムまたは成形体、あるいは、ポリエステル(polylester)のフィルムまたは成形体である。本発明に係る接着剤を、類似の基板または異種の基板を相互に接着させるのに使用できる。
【0089】
剥離強度を、2インチのラミネートサンプルを用いて23℃および50%の相対湿度にてSintech 1/Dインストロン試験機により測定した。ラミネートサンプルを、角度180°にて12インチ/分の速度で分離した。剥離の結果をg/インチで表す。コーティングラミネートを、接着剤の製造後、少なくとも72時間試験した。
【0090】
サンプルの準備
表1−3に示したサンプルを、当該技術分野において既知の技術により準備した。各接着剤サンプルに対する成分を表に示す。例示的な手順は、回転子を装着し、ジャケットを装着した混合ケトル中に粘着付与剤総量の約半分を導入し、約100℃〜約170℃の温度に昇温させることを含む。粘着付与剤が溶融した際、撹拌を開始し、均質な塊が得られるまで残りの成分を添加した。
【0091】
複数のサンプルの粘度を測定した。
【0092】
【表1】
【0093】
サンプル1のみが、150℃にて11000cP未満の粘度を有する。比較サンプルA−Cは、150℃にて11000cPよりも高い粘度を有した。このことは、標準的な適用温度にて施すには極めて高い。
【0094】
接着剤サンプルを連続弾性コーティング塗布方法により施し、それらのクリープ抵抗を測定し、表2に示した。
【0095】
【表2】
【0096】
ゴム系接着剤は、一般的に、許容可能なクリープ値を有するので弾性接着剤として使用される。接着剤に関する許容可能なクリープ%は、約35%未満である。表2は、非晶質ポリマーに基づく接着剤が、一般的なゴム系弾性接着剤よりも著しくより高いクリープ値を有することを示す。
【0097】
接着剤サンプルを断続的な弾性コーティング塗布法により施し、それらのクリープ抵抗を測定し、表3に示した。
【0098】
【表3】
【0099】
サンプル1に関するクリープ抵抗は、ゴム−系接着剤に類似する
【0100】
上述のようにして、0.25gsmの付加レベルでUniversal Signature連続噴霧ノズルを用いて折りパターン(signature pattern)で接着剤を施すことにより、ラミネートした物品を準備した。剥離接着力試験を、ラミネートしたサンプルで行い、それらの値を表4に示した。
【0101】
【表4】
【0102】
サンプル2を用いるラミネート物品の初期剥離強度は、ゴム系接着剤および比較サンプルCよりも高かった。また、サンプルCはゴム系接着剤と同等の初期剥離強度を有したが、噴霧粘度をもたらすために多量の粘着付与剤および希釈剤を必要とする。サンプルDは、高いポリマー含有量を有するが、剥離強度は低い。したがって、メタロセン触媒ポリプロピレンとチーグラー・ナッタ触媒非晶質ポリマーとの特定の組み合わせが、良好な剥離強度と許容できるクリープ抵抗をもたらすのに必要である。
【0103】
当業者には明らかであるように、本発明の精神と範囲を外れることなく、本発明の多くの改変および変更を行うことができる。本明細書に記載された特定の実施形態は、単なる一例として記載されており、本発明は、特許請求の範囲の十分な均等の範囲も加えて、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定される。