(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記減衰力発生部は、前記半径方向において前記延部の外側から前記流路の前記流路口の間に向けて形成され、前記延部よりも突出高さが低い突出部を更に備える請求項1に記載の圧力緩衝装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の油圧緩衝装置1の全体構成図である。
なお、以下の説明において、
図1に示す油圧緩衝装置1の長手方向を「軸方向」と称する。また、軸方向において、油圧緩衝装置1の下側を「一方側」と称し、油圧緩衝装置1の上側を「他方側」と称して説明を行う。また、
図1に示す油圧緩衝装置1の左右方向を「半径方向」と称し、中心軸側を「内側」、中心軸に対して離れる側を「外側」と称する。
【0013】
[油圧緩衝装置1の構成]
まず、第1実施形態の油圧緩衝装置1の構成について説明する。
第1実施形態の油圧緩衝装置1は、
図1に示すように、オイルを収容する第1シリンダ11と、第2シリンダ12と、一部が第1シリンダ11の内部に入り、軸方向に移動可能なピストンロッド21と、ピストンロッド21に固定され、第1シリンダ11の内側を移動するピストン部100と、第1シリンダ11の一方側の底部に設けられたボトムバルブ部60を有する。
【0014】
〔第1シリンダ11および第2シリンダ12の構成〕
油圧緩衝装置1は、
図1に示すように、半径方向の内側から外側に向けて順に第1シリンダ11と第2シリンダ12とを備える、いわゆる二重管の構造である。
第1シリンダ11の一方側の端部(底部)は、ボトムバルブ部60によって塞がれている。また、第2シリンダ12の一方側の端部は底蓋13によって塞がれている。一方、第1シリンダ11および第2シリンダ12の他方側の端部(上部)は、ロッドガイド14、オイルシール15およびキャップ16によって、ピストンロッド21が通過可能に塞がれている。また、第1シリンダ11と第2シリンダ12との間には、円筒状の空間であるリザーバ室Rが形成されている。リザーバ室Rには、オイルが収容されているとともに、リザーバ室Rの他方側にはガスが封入されている。
【0015】
〔ピストンロッド21の構成〕
ピストンロッド21は、
図1に示すように、一方側における一部が第1シリンダ11の内部に入り、他方側における残りの一部が第1シリンダ11の外部に露出し、軸方向に沿って移動可能とされている。また、ピストンロッド21は、一方側の端部にピストン部100を備えている。そして、ピストンロッド21とピストン部100とは、軸方向に一体的に移動する。また、ピストン部100は、シリンダの内周面に沿って軸方向に移動可能に設けられている。
【0016】
〔ピストン部100の構成〕
ピストン部100は、
図1に示すように、軸方向に貫通する複数の油路(後述)が形成されたピストンボディ30と、ピストンボディ30の他方側に設けられた第1圧側バルブ部40と、ピストンボディ30の一方側に設けられた第1伸側バルブ部50とを備えている。そして、ピストン部100は、第1シリンダ11の内側の空間を、軸方向における一方側(
図1の下側)の空間である第1油室Y1と、軸方向における他方側(
図1の上側)の空間である第2油室Y2とに区画している。
【0017】
〔ボトムバルブ部60の構成〕
ボトムバルブ部60は、
図1に示すように、油圧緩衝装置1の一方側の端部に設けられ、リザーバ室Rと第1油室Y1とを区分する。ボトムバルブ部60は、軸方向に貫通する複数の油路61Rが形成されたボトムピストンボディ61と、ボトムピストンボディ61の他方側(第1油室Y1側)に設けられる第2伸側バルブ部622と、ボトムピストンボディ61の一方側(リザーバ室R側)に設けられる第2圧側バルブ部621とを備えている。
【0018】
続いて、ピストン部100におけるピストンボディ30、第1圧側バルブ部40および第1伸側バルブ部50について詳細に説明する。
図2は、第1実施形態のピストンボディ30を示す図である。
図2(a)はピストンボディ30を他方側からみた上面図であり、
図2(b)は
図2(a)に示すピストンボディ30のIIb−IIb断面図であり、
図2(c)はピストンボディ30を他方側からみた部分斜視図である。なお、
図2(b)ではピストンロッド21および第1圧側バルブ部40および第1伸側バルブ部50を併せて図示している。
【0019】
そして、油圧緩衝装置1(圧力緩衝装置)は、
図1および
図2に示すように、オイル(流体)を収容する第1シリンダ11(シリンダ)と、一方側の端部が第1シリンダ11内に収容され、他方側の端部が第1シリンダ11の開口部から突出し、シリンダ軸方向に移動するピストンロッド21(ロッド)と、第1シリンダ11に対するピストンロッド21の相対的な移動において減衰力を発生させるピストン部100(減衰力発生部,減衰力発生部材)と、を備える。
そして、ピストン部100は、ピストンロッド21の第1シリンダ11に対する相対的な移動に伴ってオイルが流れる第1圧側油路32(流路)が形成されるピストンボディ30(流路形成部)と、ピストンボディ30の第1圧側油路32を開閉する第1圧側バルブ部40(バルブ)と、環状に形成され、ピストンボディ30から第1圧側バルブ部40に向けてピストンボディ30の軸方向に突出する内側環状部34(環状突出部)と、ピストンボディ30の半径方向において内側環状部34の外側から第1圧側油路32の第2油路口322よりも内側に延び、ピストンボディ30から第1圧側バルブ部40に向けて軸方向に突出する延部35とを有する。
以下で、各構成部について詳述する。
【0020】
(ピストンボディ30の構成)
ピストンボディ30は、
図2(a)および
図2(b)に示すように、軸方向に延びる貫通孔31と、ピストンボディ30内に形成される第1圧側油路32および第1伸側油路33と、他方側に設けられる内側環状部34と、他方側であって内側環状部34の半径方向外側に設けられる延部35と、他方側であって延部35のさらに半径方向外側に設けられる外側環状部36とを有する。
また、ピストンボディ30は、
図2(b)に示すように、一方側に設けられる一方側内側環状部37と、一方側であって一方側内側環状部37のさらに半径方向外側に設けられる一方側外側環状部38とを有する。
【0021】
貫通孔31は、
図2(a)〜
図2(c)に示すように略円筒状に形成された孔であって、
図2(b)に示すようにピストンロッド21が挿入される。
【0022】
第1圧側油路32は、
図2(b)に示すように、一方側の第1油室Y1(
図1参照)に向けて開口する第1油路口321と、他方側の第2油室Y2(
図1参照)に向けて開口する第2油路口322とを有する。そして、第1圧側油路32は、本実施形態では、後述する圧縮行程時にて第1油室Y1と第2油室Y2との間でのオイルの流れを可能にする。また、第1圧側油路32は、
図2(a)に示すように周方向において略等間隔に複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられる。
各第2油路口322は、
図2(a)に示すように、略矩形状に形成される。そして、各第2油路口322は、周方向において隣接する2本の延部35の間ではなく、半径方向において延部35よりも外側に配置される。
【0023】
第1伸側油路33は、一方側の第1油室Y1(
図1参照)に向けて開口する第3油路口333と、他方側の第2油室Y2(
図1参照)に向けて開口する第4油路口334とを有する。そして、第1伸側油路33は、本実施形態では、後述する伸張行程時にて第2油室Y2と第1油室Y1との間でのオイルの流れを可能にする。また、第1伸側油路33は、
図2(a)に示すように周方向において略等間隔に複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられる。
また、各第4油路口334は、
図2(a)に示すように、略円形状に形成される。そして、各第4油路口334は、半径方向において第1圧側油路32の第2油路口322の外側に配置される。
【0024】
内側環状部34は、
図2(a)に示すように、貫通孔31の外周において略環状に形成される。そして、内側環状部34は、
図2(b)に示すように、ピストンボディ30の他方側の端部面30Aから第1圧側バルブ部40側に向けて軸方向に突出する。また、内側環状部34の突出高さは、本実施形態では、外側環状部36と同一に形成される。
【0025】
延部35は、
図2(a)に示すように、内側環状部34の外側にて半径方向外側に延びて形成される。延部35は、周方向において複数(本実施形態では8本)設けている。また、延部35の半径方向外側における端部の形状は、
図2(a)に示すように、角を有する略矩形状に形成している。また、
図2(b)および
図2(c)に示すように、延部35の側部の外形は、他方側から一方側にかけて等しく形成される。すなわち、延部35は、端部面30Aから略垂直に立ち上がるように形成される。そして、延部35は、半径方向において、第2油路口322よりも内側まで延びて形成される。さらに、各延部35は、周方向において、第2油路口322と交互に配置される。
【0026】
つまり、各延部35は、周方向において隣接する2つの第2油路口322の間には形成されていない。なお、本実施形態において、隣接する2つの第2油路口322の「間」とは、『複数の第2油路口322の各々の最内周部を結ぶ径と、各々の最外周部を結ぶ径と』で囲まれる範囲を意味する。第1実施形態では、延部35は、第2油路口322よりも内側に延びるように構成しているため、複数の第2油路口322の各々の最内周部を結ぶ径と各々の最外周部を結ぶ径とで囲まれる範囲には形成されていない。
【0027】
また、延部35は、第1圧側バルブ部40に向けて軸方向に突出する。本実施形態では、延部35のピストンボディ30の軸方向における突出高さは、内側環状部34と同一になるように形成している。従って、本実施形態では、
図2(a)〜
図2(c)に示すように、内側環状部34と延部35とは一体的に形成される。
【0028】
なお、延部35のピストンボディ30の軸方向における突出高さは、内側環状部34よりも高く形成されても良い。
【0029】
外側環状部36は、
図2(a)に示すように、略環状に形成される。そして、外側環状部36は、半径方向において第1圧側油路32の第2油路口322と第1伸側油路33の第4油路口334との間に設けられる。また、外側環状部36は、
図2(b)に示すように、他方側の端部面30Aから第1圧側バルブ部40側に向けてピストンボディ30の軸方向に突出する。なお、外側環状部36は、突出高さが内側環状部34と同一に形成される。
【0030】
一方側内側環状部37は、貫通孔31の外周において略環状に形成される。そして、一方側内側環状部37は、
図2(b)に示すように、一方側の端部面30Bから第1伸側バルブ部50側に向けてピストンボディ30の軸方向に突出する。また、一方側内側環状部37の突出高さは、本実施形態では、一方側外側環状部38と同一に形成される。
【0031】
一方側外側環状部38は、環状に形成される。そして、一方側外側環状部38は、半径方向において第1圧側油路32の第1油路口321と第1伸側油路33の第3油路口333との間に設けられる。また、一方側外側環状部38は、
図2(b)に示すように、一方側の端部面30Bから第1伸側バルブ部50側に向けてピストンボディ30の軸方向に突出する。なお、一方側外側環状部38の突出高さは、一方側内側環状部37と同一に形成される。
【0032】
(第1圧側バルブ部40)
第1圧側バルブ部40は、
図2(b)に示すように、最も一方側に配置される圧側第1バルブ41と、圧側第1バルブ41の他方側に配置される圧側第2バルブ42と、圧側第2バルブ42の他方側に配置される圧側第3バルブ43と、圧側第3バルブ43の他方側に配置される環座44と、環座44の他方側に設けられるバルブストッパ45とを有する。
【0033】
圧側第1バルブ41、圧側第2バルブ42、圧側第3バルブ43および環座44は、中央部にピストンロッド21を通す開口を有する円盤状の金属板である。本実施形態では、圧側第1バルブ41、圧側第2バルブ42、圧側第3バルブ43および環座44の厚みは略同一である。
【0034】
圧側第1バルブ41は、
図2(b)に示すように、外径が外側環状部36の外径よりも大きく形成される。そして、圧側第1バルブ41は、第1圧側油路32の第2油路口322を覆い、第1伸側油路33の第4油路口334を常に開放する。また、圧側第1バルブ41は、半径方向において、圧側第1バルブ41の外側から内側に向けて切り欠かれることで形成される複数のオリフィス41f(後述する
図4も参照)を有している。オリフィス41fは、後述するように圧側第1バルブ41が変形しない状態であってもオイルが流れることを可能にする。
【0035】
圧側第2バルブ42は、外径が延部35上に位置するように形成される。本実施形態において、圧側第2バルブ42の外径が延部35上に位置するとは、圧側第2バルブ42の外径が、延部35の半径方向における内側から外側までの領域に位置していることを意味する。
さらに、圧側第3バルブ43は、外径が延部35上に位置するように形成される。そして、環座44は、外径が内側環状部34の外径よりも小さく形成される。
【0036】
バルブストッパ45は、中央部にピストンロッド21を通す開口を有する円盤状の部材である。バルブストッパ45は、外径が圧側第1バルブ41と略同一に形成される。また、
図2(b)に示すように、バルブストッパ45の圧側第1バルブ41側に対向する面は、軸方向に対して略垂直に形成され、半径方向において中央部側から外側に向けて勾配が変化しない略平面状に形成されている。そして、バルブストッパ45は、圧側第1バルブ41、圧側第2バルブ42および圧側第3バルブ43が変形した際に、バルブストッパ45よりも他方側に変形することを抑制する。
【0037】
なお、バルブストッパ45は、半径方向において中央部から外側に向けて、すなわち、基端側から外端側に向けて勾配が立ち上がるテーパ面を有していても良い。
【0038】
(第1伸側バルブ部50)
第1伸側バルブ部50は、最も他方側に配置される伸側第1バルブ51と、伸側第1バルブ51の一方側に配置される伸側第2バルブ52と、伸側第2バルブ52の一方側に配置される伸側第3バルブ53と、伸側第3バルブ53の一方側に配置される環座54と、環座54の一方側に設けられるバルブストッパ55とを有する。
【0039】
伸側第1バルブ51、伸側第2バルブ52、伸側第3バルブ53および環座54は、中央部にピストンロッド21を通す開口を有する円盤状の金属板である。本実施形態では、伸側第1バルブ51、伸側第2バルブ52、伸側第3バルブ53および環座54の厚みは略同一である。
【0040】
伸側第1バルブ51は、
図2(b)に示すように、外径が一方側外側環状部38の外径よりも大きく形成される。そして、伸側第1バルブ51は、第1伸側油路33の第3油路口333を覆い、第1圧側油路32の第1油路口321を常に開放する。また、伸側第1バルブ51は、伸側第1バルブ51の半径方向外側から半径方向内側に向けて切り欠かれることで形成され、後述するように伸側第1バルブ51が変形しない状態であってもオイルが流れることを可能にする複数のオリフィス51fを有している。
【0041】
また、伸側第2バルブ52は、外径が一方側外側環状部38上に位置するように形成される。さらに、伸側第3バルブ53は、外径が一方側外側環状部38上に位置するように形成される。そして、環座54は、外径が一方側内側環状部37の外径よりも小さく形成される。
【0042】
バルブストッパ55は、中央部にピストンロッド21を通す開口を有する円盤状の部材である。バルブストッパ55は、外径が伸側第1バルブ51と略同一に形成される。そして、バルブストッパ55は、伸側第1バルブ51、伸側第2バルブ52および伸側第3バルブ53が変形した際に、バルブストッパ55よりも一方側に変形することを抑制する。
【0043】
〔作用・効果〕
次に、第1実施形態に係る油圧緩衝装置1の作用および効果について説明する。
図3は、第1実施形態の油圧緩衝装置1のピストン部100におけるオイルの流れを示す図である。なお、
図3(a)は圧縮行程時におけるオイルの流れを示し、
図3(b)は伸張行程時におけるオイルの流れを示す。
油圧緩衝装置1の圧縮行程時においては、ピストンロッド21が第1シリンダ11に対して軸方向の一方側(
図1の下側)へ移動する。ピストンロッド21に固定されたピストン部100は、第1油室Y1内のオイルを圧縮し、第1油室Y1の圧力を上昇させる。
【0044】
このとき、ピストンロッド21の移動速度が小さい所謂微低速の場合には、圧側第1バルブ41のオリフィス41fをオイルが流れる(図中破線で示す矢印)。一方、ピストンロッド21の移動速度が比較的大きい場合には、第1油室Y1のオイルは、
図3(a)に示すように、第1圧側油路32の第2油路口322を閉塞する第1圧側バルブ部40の圧側第1バルブ41を開く(図中実線で示す矢印)。そして、オイルは、ピストン部100の他方側の第2油室Y2に流入する。
【0045】
また、ボトムバルブ部60において、
図1に示すように、オイルは、ボトムピストンボディ61の油路61Rを閉塞する第2圧側バルブ部621を開き、第1油室Y1からリザーバ室Rに流出する。
【0046】
そして、オイルが油路(第1圧側油路32,油路61R)およびバルブ(第1圧側バルブ部40,第2圧側バルブ部621)を流れる際に生じる抵抗により、油圧緩衝装置1は圧縮工程時の減衰力を発生させる。
【0047】
油圧緩衝装置1の伸張行程時においては、ピストンロッド21が第1シリンダ11に対して軸方向の他方側(
図1の上側)へ移動する。ピストンロッド21が移動すると、その体積分のオイルが第1油室Y1に不足することにより負圧となる。
【0048】
このとき、ピストンロッド21の移動速度が小さい所謂微低速の場合には、伸側第1バルブ51のオリフィス51fをオイルが流れる(図中破線で示す矢印)。一方、ピストンロッド21の移動速度が比較的大きい場合には、第2油室Y2のオイルは、
図3(b)に示すように、第1伸側油路33の第3油路口333を閉塞する第1伸側バルブ部50の伸側第1バルブ51を開く(図中実線で示す矢印)。そして、オイルは、ピストン部100の一方側の第1油室Y1に流入する。
また、リザーバ室R内のオイルは、
図1に示すように、ボトムピストンボディ61の油路61Rを閉塞する第2伸側バルブ部622を開いて第1油室Y1内に流入する。
そして、オイルが油路(第1伸側油路33,油路61R)およびバルブ(第1伸側バルブ部50,第2伸側バルブ部622)を流れる際に生じる抵抗により、油圧緩衝装置1は伸張行程時における減衰力を発生させる。
【0049】
(ピストンボディ30の作用・効果)
次に、ピストンボディ30の作用および効果について説明する。
図4は、ピストンボディ30の油路口(第2油路口322)におけるオイルの流れを示す図である。
ピストン部100において、第1圧側油路32の第2油路口322から流れ出るオイルは、
図4に示すように、半径方向の外側に流れようとする。このとき、半径方向において第2油路口322が延部35から離れていることによって、オイルが延部35に当たることによる流れの乱れや滞留が抑制される。従って、第2油路口322から流れ出るオイルを、圧側第1バルブ41側やオリフィス41fへとスムーズに流すことができる。その結果、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキを低減することが可能になる。
また、第1実施形態においては、延部35の半径方向外側の端部の形状が曲線状に形成されている。そのため、延部35の端部周辺におけるオイルの流れに乱れや滞留が発生することがさらに抑制される。
【0050】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態の油圧緩衝装置1について説明する。
図5は、第2実施形態のピストンボディ230を示す図である。
図5(a)はピストンボディ230を他方側からみた上面図であり、
図5(b)は
図5(a)に示すピストンボディ230のVb−Vb断面図であり、
図5(c)はピストンボディ230を他方側からみた部分斜視図である。
なお、第2実施形態の説明において、上述した第1実施形態と同様な構成部については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0051】
第2実施形態のピストンボディ230は、
図5(a)〜
図5(c)に示すように、貫通孔31、第1圧側油路32、第1伸側油路33、内側環状部34、延部35、外側環状部36、一方側内側環状部37、一方側外側環状部38および他方側に設けられる突出部239を有している。すなわち、第2実施形態のピストンボディ230は、突出部239を有している点で、他の実施形態とは異なる。
【0052】
突出部239は、
図5(c)に示すように、延部35よりも半径方向外側に配置される。そして、本実施形態では、突出部239は、半径方向において、延部35の外側からさらに外側に向けて外側環状部36まで延びて形成される。そして、突出部239は、半径方向における少なくとも一部が周方向に隣接する2つの第2油路口322の間に位置する。
また、突出部239は、
図5(b)に示すように、他方側の端部面30Aから突出し、突出高さが延部35のよりも低く形成される。
すなわち、突出部239は、ピストンボディ230の半径方向において延部35の外側から第1圧側油路32の第2油路口322の間に向けて形成され、延部35よりも突出高さが低く形成される。
【0053】
以上のように構成される第2実施形態のピストンボディ230では、半径方向において第2油路口322が延部35から離れていることによって、オイルが延部35に当たることによる流れの乱れや滞留が抑制される。従って、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキを低減することができる。
さらに、突出部239は、外側環状部36の周辺に位置するとともに、周方向において隣接する第2油路口322の間に位置することによって、隣接する第2油路口322を流れるオイルの干渉を抑制する。従って、第2油路口322を流れ出たオイルが圧側第1バルブ41側へとスムーズに流れることができ、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキをより低減することが可能になる。
【0054】
<変形例1>
図6は、第2実施形態のピストンボディ230の変形例(変形例1)を示す図である。
第2実施形態のピストンボディ230では、
図6(a)に示すように、延部35の突出高さを内側環状部34よりも低く形成しても良い。
図6(a)に示す変形例のピストンボディ230では、延部35の突出高さが内側環状部34よりも低く形成されることによって、延部35と、延部35の他方側に設けられる圧側第1バルブ41(
図2(b)参照)との間に隙間が形成される。そして、延部35と圧側第1バルブ41との間に隙間にオイルが入り込むことによって、延部35に対する圧側第1バルブ41の貼り付きが抑制され、圧側第1バルブ41の動作が安定する。その結果、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキをさらに低減することが可能になる。
【0055】
また、第2実施形態のピストンボディ230は、
図6(b)に示すように、延部35において、軸方向の一方側に向けて凹む切欠部35Sを形成しても良い。切欠部35Sは、半径方向において延部35の内側に形成される。すなわち、切欠部35Sは、半径方向において、内側環状部34と延部35との間に形成する。
図6(b)に示す変形例のピストンボディ230では、他方側に圧側第1バルブ41が設けられた状態にて、半径方向において第2油路口322から比較的遠い側に配置される切欠部35Sによって周方向におけるオイルの流通がより促進される。その結果、ピストンボディ230では、圧側第1バルブ41(
図2(b)参照)に対して周方向において均一にオイルの圧力を付与することができ、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキをより低減することが可能になる。
【0056】
また、第2実施形態のピストンボディ230において、突出部239の高さは、例えば
図5に示す高さに限定されるものではない。例えば、
図6(c)に示すように、延部35の軸方向における突出高さに対して、軸方向において略半分の高さに形成しても良い。
このように構成される
図6(c)に示す変形例のピストンボディ230では、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキをより低減することが可能になる。
【0057】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態の油圧緩衝装置1について説明する。
図7は、第3実施形態のピストンボディ330を示す図である。
図7(a)はピストンボディ330を他方側からみた上面図であり、
図7(b)は
図7(a)に示すピストンボディ330のVIIb−VIIb断面図であり、
図7(c)はピストンボディ330を他方側からみた部分斜視図である。
なお、第3実施形態の説明において、上述した他の実施形態と同様な構成部については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0058】
第3実施形態のピストンボディ330は、
図7(a)〜
図7(c)に示すように、貫通孔31、第1圧側油路32、第1伸側油路33、内側環状部34、他方側に設けられる延部335、外側環状部36、一方側内側環状部37および一方側外側環状部38を有している。すなわち、第3実施形態のピストンボディ330においては、延部335の構成が他の実施形態と異なる。
【0059】
そして、第3実施形態の油圧緩衝装置1は、第1シリンダ11(シリンダ)(
図1参照)に対するピストンロッド21(ロッド)(
図1参照)の相対的な移動に伴ってオイル(流体)が流れる第1圧側油路32(流路)が形成されるピストンボディ330(流路形成部)と、ピストンボディ330の第1圧側油路32を開閉する第1圧側バルブ部40(バルブ)(
図1参照)と、環状に形成され、ピストンボディ330から第1圧側バルブ部40に向けてピストンボディ330の軸方向に突出する内側環状部34(環状突出部)と、ピストンボディ330の半径方向において内側環状部34の外側から更に外側に延び、ピストンボディ330からの突出高さが内側環状部34よりも低く形成される延部335とを有する。
【0060】
延部335は、
図7(a)に示すように、内側環状部34の外周にて半径方向外側に延びて設けられる。また、延部335は、外側環状部36(外側環状突出部)まで延びて形成される。延部335は、周方向において複数(本実施形態では8本)設けている。そして、延部335は、
図7(a)および
図7(c)に示すように、半径方向における少なくとも一部が、周方向において隣接する2つの第2油路口322の間に形成される。
また、延部335は、
図7(b)に示すように、軸方向の他方側に向けて突出する。本実施形態では、延部335の突出高さは、内側環状部34よりも低くなるように設定している。
【0061】
そして、第3実施形態では、延部335の突出高さが内側環状部34よりも低く形成されることによって、延部335に対する圧側第1バルブ41(
図2(b)参照)の貼り付きが抑制され、圧側第1バルブ41の動作が安定する。その結果として、発生させる減衰力のバラツキを低減することが可能になる。
【0062】
<変形例2>
図8は、第3実施形態のピストンボディ330の変形例(変形例2)を示す図である。
第3実施形態のピストンボディ330において、
図8(a)に示すように、延部335は、周方向に延びて設けられるとともに、軸方向の一方側に向けて凹む切欠部335Sを有していても良い。
そして、
図8(a)に示す変形例のピストンボディ330では、他方側に圧側第1バルブ41(
図2(b)参照)が設けられた状態にて、切欠部335Sによって周方向におけるオイルの流通が促進される。その結果、ピストンボディ330では、圧側第1バルブ41に対して周方向において均一にオイルの圧力を付与することができる。
【0063】
また、第3実施形態のピストンボディ330において、
図8(b)に示すように、延部3335は、半径方向において内側環状部34から第1圧側油路32の第2油路口322の内側まで延びるように形成しても良い。つまり、延部3335は、外側環状部36から離れて形成される。なお、
図8(b)に示す例では、延部3335の半径方向外側の端部の形状は角を有して形成される。
そして、
図8(b)に示す変形例のピストンボディ330では、半径方向において第2油路口322が延部3335から離れていることによって、オイルが延部3335に当たることによる流れの乱れや滞留が抑制される。そのため、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキをより低減することが可能になる。
【0064】
さらに、第3実施形態のピストンボディ330において、
図8(c)に示すように、延部335aの突出高さは、半径方向内側から外側に向けて内側環状部34の突出高さと同一に形成し、半径方向の外側の一部については内側環状部34よりも低く形成しても良い。
図8(c)に示す例では、延部335aの突出高さは、半径方向において第2油路口322が形成される部分を、内側環状部34の突出高さよりも低く形成している。
このように構成される
図8(c)に示す変形例のピストンボディ330では、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキをより低減することが可能になる。
【0065】
<第4実施形態>
続いて、第4実施形態の油圧緩衝装置1について説明する。
図9は、第4実施形態のピストンボディ430を示す図である。
図9(a)はピストンボディ430を他方側からみた上面図であり、
図9(b)は
図9(a)に示すピストンボディ430のIXb−IXb断面図であり、
図9(c)はピストンボディ430を他方側からみた部分斜視図である。
なお、第4実施形態の説明において、上述した他の実施形態と同様な構成部については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0066】
第4実施形態のピストンボディ430は、
図9(a)に示すように、貫通孔31、第1圧側油路32、第1伸側油路33、内側環状部34、他方側に設けられる延部435、外側環状部36、一方側内側環状部37および一方側外側環状部38を有している。なお、第4実施形態のピストンボディ430においては、延部435の構成が他の実施形態と異なる。
【0067】
延部435は、
図9(a)に示すように、内側環状部34の外側にて半径方向外側に延びて設けられる。延部435は、周方向において複数(本実施形態では8本)設けている。また、延部435の半径方向外側における端部の形状は、
図9(a)に示すように、外側に凸となる曲線状に形成している。そして、延部435は、半径方向において、第2油路口322よりも内側まで延びて形成される。さらに、各延部435は、周方向において、第2油路口322とは交互に配置される。
【0068】
そして、延部435は、
図9(b)に示すように、軸方向の他方側に向けてピストンボディ430から突出する。延部435の突出高さは、内側環状部34と同一に形成される。さらに、各延部435は、
図9(c)に示すように、ピストンボディ430の軸方向において凹むとともにピストンボディ430の周方向に延びて形成される切欠部435Sをそれぞれ有している。本実施形態では、
図9(b)に示すように、切欠部435Sは、延部435の軸方向における高さの途中まで凹んで形成される。
【0069】
なお、延部435の突出高さは、内側環状部34の突出高さよりも高く形成されていても良い。
【0070】
以上のように構成される第4実施形態のピストンボディ430は、半径方向において第2油路口322が延部435から離れていることによって、オイルが延部435に当たることによる流れの乱れや滞留が抑制される。そのため、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキをより低減することが可能になる。
さらに、第4実施形態のピストンボディ430では、他方側に圧側第1バルブ41(
図2(b)参照)が設けられた状態にて、切欠部435Sによって周方向におけるオイルの流通がより促進される。その結果、ピストンボディ430では、圧側第1バルブ41に対して周方向において均一にオイルの圧力を付与することができ、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキをより低減することが可能になる。
【0071】
<変形例3>
図10は、第4実施形態のピストンボディ430の変形例(変形例3)を示す図である。
第4実施形態のピストンボディ430では、
図10(a)に示すように、延部435の突出高さは、内側環状部34よりも低く形成しても良い。
そして、
図10(a)に示すピストンボディ430では、延部435の突出高さが内側環状部34よりも低く形成されることによって、延部435に対する圧側第1バルブ41(
図2(b)参照)の貼り付きが抑制され、圧側第1バルブ41の動作が安定する。その結果として、発生させる減衰力のバラツキを低減することが可能になる。
【0072】
また、第4実施形態のピストンボディ430は、
図10(b)に示すように、切欠部435Sの軸方向における深さが延部435の突出高さと同一になるように形成しても構わない。すなわち、切欠部435Sは、他方側の端部面30Aまで形成されていても良い。
そして、
図10(b)に示すピストンボディ430では、他方側に圧側第1バルブ41(
図2(b)参照)が設けられた状態にて、比較的深く形成される切欠部435Sによって周方向におけるオイルの流通がより促進される。その結果、ピストンボディ430では、圧側第1バルブ41に対して周方向において均一にオイルの圧力を付与することができ、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキをより低減することが可能になる。
【0073】
さらに、第4実施形態のピストンボディ430は、
図10(c)に示すように、各延部435の半径方向において複数の切欠部を有していても良い。具体的には、切欠部435Sとは別に、切欠部435Sの半径方向外側に第2切欠部4435Sを形成しても良い。
そして、
図10(c)に示すピストンボディ430では、他方側に圧側第1バルブ41(
図2(b)参照)が設けられた状態にて、切欠部435Sおよび第2切欠部4435Sによって周方向におけるオイルの流通がより促進される。その結果、ピストンボディ430では、圧側第1バルブ41に対して周方向において均一にオイルの圧力を付与することができ、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキをより低減することが可能になる。
【0074】
<第5実施形態>
続いて、第5実施形態の油圧緩衝装置1について説明する。
図11は、第5実施形態のピストンボディ530を示す図である。
図11(a)はピストンボディ530を他方側からみた上面図であり、
図11(b)は
図11(a)に示すピストンボディ530のXIb−XIb断面図であり、
図11(c)はピストンボディ530を他方側からみた部分斜視図である。
なお、第5実施形態の説明において、上述した他の実施形態と同様な構成部については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0075】
第5実施形態のピストンボディ530は、
図11(a)に示すように、貫通孔31、第1圧側油路32、第1伸側油路33、内側環状部34、延部535、外側環状部36、一方側内側環状部37および一方側外側環状部38を有している。すなわち、第5実施形態のピストンボディ530においては、延部535の構成が他の実施形態と異なる。
【0076】
延部535は、
図11(a)に示すように、内側環状部34の外側にて半径方向外側に延びて設けられる。延部535は、周方向において複数(本実施形態では8本)設けている。また、延部535の半径方向外側における端部の形状は、
図11(a)に示すように、外側に凸となる曲線状に形成している。そして、延部535は、半径方向において、第2油路口322よりも内側まで延びて形成される。さらに、各延部535は、周方向において、第2油路口322とは交互に配置される。
【0077】
そして、延部535は、
図11(b)および
図11(c)に示すように、他方側に向けて軸方向に突出する。第5実施形態では、延部535は、ピストンボディ530の軸方向における突出高さが、内側環状部34よりも低く形成される。
【0078】
以上のように構成される第5実施形態のピストンボディ530では、半径方向において第2油路口322が延部535から離れていることによって、オイルが延部535に当たることによる流れの乱れや滞留が抑制される。そのため、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキをより低減することが可能になる。
さらに、延部535の突出高さが内側環状部34よりも低く形成されることによって、延部535に対する圧側第1バルブ41(
図2(b)参照)の貼り付きが抑制され、圧側第1バルブ41の動作が安定する。その結果として、発生させる減衰力のバラツキをさらに低減することが可能になる。
【0079】
<第6実施形態および第7実施形態>
続いて、第6実施形態の油圧緩衝装置1について説明する。
図12(a)は第6実施形態のピストンボディ630を示す図であり、
図12(b)は第7実施形態のピストンボディ730を示す図である。
図12(a)および
図12(b)では、ピストンボディ(630,730)を他方側からみた上面図を表示している。
なお、第6実施形態および第7実施形態の説明において、上述した他の実施形態と同様な構成部については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0080】
第6実施形態のピストンボディ630は、
図12(a)に示すように、貫通孔31、第1圧側油路632、第1伸側油路633、内側環状部34、延部635および外側環状部36を有している。
【0081】
第6実施形態のピストンボディ630は、基本構成は、第1実施形態のピストンボディ630と同様である。ただし、第1圧側油路632および第1伸側油路633の形状が、第1実施形態のピストンボディ30の第1圧側油路32および第1伸側油路33と異なる。
具体的には、第1圧側油路632の第1油室Y1(
図1参照)に対向する第2油路口6322は、
図12(a)に示すように、円形状に形成される。また、第1伸側油路633の第2油室Y2(
図1参照)に対向する第4油路口6334は、
図12(a)に示すように、矩形状に形成される。
【0082】
延部635は、
図12(a)に示すように、内側環状部34の外側にて半径方向外側に延びて設けられる。延部635は、周方向において複数(本実施形態では5本)設けている。また、延部635の半径方向外側における端部の形状は、
図12(a)に示すように、矩形状に形成している。そして、延部635は、半径方向において、第2油路口6322よりも内側まで延びて形成される。さらに、各延部635は、周方向において、第2油路口6322とは交互に配置される。
【0083】
以上のように構成される第6実施形態のピストンボディ630は、半径方向において第2油路口6322が延部635から離れていることによって、オイルが延部635に当たることによる流れの乱れや滞留が抑制される。そのため、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキを低減することが可能になる。
【0084】
なお、延部635の突出高さは、内側環状部34の突出高さと同一、または、内側環状部34の突出高さよりも高く形成されていても良い。また、延部635に、周方向に延びて形成されるとともに、軸方向に凹む切欠部を有しても良い。
【0085】
続いて、第7実施形態のピストンボディ730について説明する。
第7実施形態のピストンボディ730は、
図12(b)に示すように、貫通孔31、第1圧側油路632、第1伸側油路633、内側環状部34、延部735および外側環状部36を有している。
第7実施形態のピストンボディ730では、
図12(b)に示すように、延部735は、内側環状部34の外周にて半径方向外側に延びて設けられる。さらに、延部735は、外側環状部36まで形成される。従って、第7実施形態のピストンボディ730では、各延部735は、
図12(b)に示すように、半径方向における少なくとも一部が、周方向に隣接する2つの第2油路口6322の間に形成される。
また、延部735は、軸方向の他方側に向けて突出する。本実施形態では、延部735の突出高さは、内側環状部34よりも低くなるように設定している。
【0086】
以上のように構成される第7実施形態のピストンボディ730は、延部735の突出高さが内側環状部34よりも低く形成されることによって、延部735に対する圧側第1バルブ41(
図2(b)参照)の貼り付きが抑制され、圧側第1バルブ41の動作が安定する。その結果として、発生させる減衰力のバラツキを低減することが可能になる。
【0087】
なお、延部735の突出高さは、内側環状部34の突出高さよりも高く形成されていても良い。また、延部735に、周方向に延びるとともに、軸方向に凹む切欠部を有しても良い。
【0088】
<第8実施形態>
続いて、第8実施形態の油圧緩衝装置1について説明する。
図13は、第8実施形態のピストンボディ830の部分断面図である。
なお、第8実施形態の説明において、上述した第1実施形態と同様な構成部については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
第7実施形態のピストンボディ830は、基本構成は、上述した第1実施形態のピストンボディ30と同様である。ただし、第8実施形態のピストンボディ830は、延部835の構成が他の実施形態と異なる。
具体的には、延部835は、半径方向において内側から外側にかけて突出高さが変化する。第8実施形態では、延部835の高さは、内側環状部34の突出高さ以上にしている。また、延部835は、半径方向において内側から外側に向けて突出高さが次第に高くなるように形成している。
【0089】
以上のように構成された第8実施形態のピストンボディ830においても、半径方向において第2油路口322が延部835から離れていることによって、オイルが延部835に当たることによる流れの乱れや滞留が抑制される。そのため、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキを低減することが可能になる。
【0090】
<変形例4〜変形例6>
続いて、第1実施形態の油圧緩衝装置1の変形例4〜変形例6について説明する。
図14は、変形例4〜変形例6の油圧緩衝装置1を示す図である。
図14(a)は第1実施形態の変形例4の油圧緩衝装置1を示し、
図14(b)は第1実施形態の変形例5の油圧緩衝装置1を示し、
図14(c)は第1実施形態の変形例6の油圧緩衝装置1を示す。
【0091】
変形例4〜変形例6の油圧緩衝装置1は、基本構成は、上述した第1実施形態と同様である。ただし、第1圧側バルブ部(440,540,640)の構成が、第1実施形態の第1圧側バルブ部40とは異なる。
【0092】
図14(a)に示すように、変形例4の第1圧側バルブ部440は、圧側第1バルブ441の外径が外側環状部36の外径よりも大きく形成される。また、圧側第2バルブ442は、外径が延部35の外径よりも大きく形成される。すなわち、圧側第2バルブ442は、延部35上には形成されていない。
【0093】
図14(b)に示すように、変形例5の第1圧側バルブ部540は、圧側第1バルブ541の外径が外側環状部36の外径よりも大きく形成される。また、圧側第2バルブ542は、圧側第1バルブ541の外径と同一に形成される。
【0094】
図14(c)に示すように、変形例6の第1圧側バルブ部640は、圧側第1バルブ641の外径が外側環状部36の外径よりも大きく形成される。また、圧側第2バルブ642は、圧側第1バルブ641の外径よりもさらに大きく形成される。
【0095】
以上のように構成された変形例4〜変形例6の油圧緩衝装置1では、ピストンボディ30において、半径方向において第2油路口322が延部35から離れていることによって、オイルが延部35に当たることによる流れの乱れや滞留が抑制される。そのため、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキを低減することが可能になる。
【0096】
なお、変形例4〜変形例6については、第1実施形態の油圧緩衝装置1に適用する例を用いて説明しているが、他の第2実施形態〜第8実施形態の油圧緩衝装置1に適用しても良い。
【0097】
<変形例7〜変形例9>
次に、第1実施形態の油圧緩衝装置1の変形例7〜変形例9について説明する。
図15は、変形例7〜変形例9の油圧緩衝装置1を示す図である。
図15(a)は第1実施形態の変形例7の油圧緩衝装置1を示し、
図15(b)は第1実施形態の変形例8の油圧緩衝装置1を示し、
図15(c)は第1実施形態の変形例9の油圧緩衝装置1を示す。
【0098】
図15(a)に示すように、変形例7のピストンボディ30では、延部35は、他方側からみた平面視において、延部35の半径方向外側の端部の形状が角を有する矩形状に形成される。また、延部35の側部の外形は、他方側と比較して一方側が大きく形成される。すなわち、延部35は、軸方向においてテーパ状に形成される。このように、第1実施形態の延部35の形状について、変形例7のように形成しても良い。
【0099】
図15(b)に示すように、変形例8のピストンボディ30では、延部35は、他方側からみた平面視において、延部35の半径方向外側の端部の形状が、半径方向外側に向けて凸となる曲線状に形成される。また、延部35の側部の外形は、他方側から一方側にかけて等しく形成される。このように、第1実施形態の延部35の形状について、変形例8のように形成しても良い。
【0100】
図15(c)に示すように、変形例9のピストンボディ30では、延部35は、他方側からみた平面視において、延部35の半径方向外側の端部の形状が、半径方向外側に向けて凸となる曲線状に形成される。また、延部35の側部の外形は、他方側と比較して一方側が大きく形成される。すなわち、延部35は、軸方向においてテーパ状に形成される。このように、第1実施形態の延部35の形状について、変形例9のように形成しても良い。
【0101】
以上のように構成される、変形例7〜変形例9においても、半径方向において第2油路口322が延部35から離れていることによって、オイルが延部35に当たることによる流れの乱れや滞留が抑制され、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力のバラツキを低減することが可能になる。また、特に、変形例8および変形例9においては、延部35の半径方向外側の端部の形状が曲線状に形成されているため、延部35の端部周辺におけるオイルの流れに乱れや滞留が発生することがさらに抑制される。
【0102】
なお、変形例7〜変形例9については、第1実施形態の油圧緩衝装置1に適用する例を用いて説明しているが、他の第2実施形態〜第8実施形態の油圧緩衝装置1に適用しても良い。
【0103】
また、第1実施形態では延部35を他方側にのみ形成しているが、延部35は他方側のみならず一方側に形成しても構わない。このことは、他の実施形態の油圧緩衝装置1においても同様である。
さらに、上述した実施形態におけるピストンボディ(30,230,330,430,530,630,730,830)の構成を、ボトムピストンボディ61に適用しても良い。
【0104】
なお、上述した実施形態における油圧緩衝装置1は、いわゆる二重管の油圧緩衝装置1であるが、本発明は、軸を中心として半径方向の内側から外側に向けて順に配置される第1シリンダ、第2シリンダおよび「第3シリンダ」を備えた、いわゆる三重管の油圧緩衝装置1でもよい。
ピストン部は、ピストンロッド21の第1シリンダに対する相対的な移動に伴ってオイルが流れる第1圧側油路32が形成されるバルブシート30と、バルブシート30の第1圧側油路32を開閉する第1圧側バルブ部40と、環状に形成され、バルブシート30から第1圧側バルブ部40に向けてバルブシート30の軸方向に突出する内側環状部34と、バルブシート30の半径方向において内側環状部34の外側から第1圧側油路32の第2油路口322よりも内側に延び、バルブシート30から第1圧側バルブ部40に向けて軸方向に突出する延部35とを有する。