(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記前刃が、先端部と本体とを含み、第1のコーティングが前記先端部に塗布され、第2のコーティングが前記本体に塗布され、前記第1のコーティングが、前記第2のコーティングよりも低い摩擦係数を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のかみそり。
前記前刃が、先端部と本体とを含み、前記先端部が30nmまでの半径を有し、前記本体が、前記先端部から約8μmのところで4μm〜5μmの厚さを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のかみそり。
1つ以上の追加のブレードを更に備え、前記1つ以上の追加のブレードのそれぞれが、前記ハウジングの前部に対して向けられた刃先を有し、前記追加のブレードが、前記ガードと前記ブレード対との間で前記ハウジング内に配置される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のかみそり。
1つ以上の追加のブレードを更に備え、前記1つ以上の追加のブレードのそれぞれが、前記ハウジングの前部に対して向けられた刃先を有し、前記追加のブレードが、前記ブレード対と前記キャップとの間で前記ハウジング内に配置される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のかみそり。
1つ以上の追加のブレードを更に備え、前記1つ以上の追加のブレードのそれぞれが、前記ハウジングの前部に対して向けられた刃先を有し、前記1つ以上の追加のブレードの1つが、前記ガードと前記ブレード対との間に位置し、前記1つ以上の追加のブレードのその他が、前記ブレード対と前記キャップとの間に位置する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のかみそり。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明の実施形態は、実施例として添付図面を参照して、以下に説明される。
【
図1】本発明によるかみそりの一実施形態の斜視図である。
【
図2】本発明のカートリッジの一実施形態による概略断面図である。
【
図3】本発明で使用される異なる寸法及び測定値を図示する、追加のブレードがない
図2に示すカートリッジの概略図である。
【
図4a】本発明の一実施形態を使用した場合の、隣接するブレードエッジ間のスパンと生じた毛の伸張との間の関係を図示する。
【
図4b】本発明の一実施形態を使用した場合の、隣接するブレードエッジ間のスパンと生じた毛の伸張との間の関係を図示する。
【
図4c】本発明の一実施形態を使用した場合の、隣接するブレードエッジ間のスパンと生じた毛の伸張との間の関係を図示する。
【
図5a】使用中の本発明のかみそりと毛との間の相互作用を概略的に示す。
【
図5b】使用中の本発明のかみそりと毛との間の相互作用を概略的に示す。
【
図5c】使用中の本発明のかみそりと毛との間の相互作用を概略的に示す。
【
図5d】使用中の本発明のかみそりと毛との間の相互作用を概略的に示す。
【
図5e】使用中の本発明のかみそりと毛との間の相互作用を概略的に示す。
【
図5f】使用中の本発明のかみそりと毛との間の相互作用を概略的に示す。
【
図6a】本発明のカートリッジ内のブレードの異なる幾可学的形状の間の関係を表すデータである。
【
図6b】本発明のカートリッジ内のブレードの異なる幾可学的形状の間の関係を表すデータである。
【
図6c】本発明のカートリッジ内のブレードの異なる幾可学的形状の間の関係を表すデータである。
【
図8a】本発明の異なるブレードオプションの実施形態を示す。
【
図8b】本発明の異なるブレードオプションの実施形態を示す。
【
図9a】
図2のかみそりで示すブレードのレイアオウトの代替実施形態を示す。
【
図9b】
図2のかみそりで示すブレードのレイアオウトの代替実施形態を示す。
【
図9c】
図2のかみそりで示すブレードのレイアオウトの代替実施形態を示す。
【
図10a】本発明のブレード対の代替アセンブリオプションを示す。
【
図10b】本発明のブレード対の代替アセンブリオプションを示す。
【
図10c】本発明のブレード対の代替アセンブリオプションを示す。
【
図11】本発明のブレードの切断力を測定するための単一ファイバ切断リグを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、概して、湿式剃毛用システムで使用されるかみそりカートリッジに関する。
【0007】
図1は、ハンドル14に取り付けられたかみそりカートリッジ12から形成された湿式剃毛用かみそり10を示している。かみそりカートリッジは、前部壁部18と、後部壁部20と、第1及び第2の対向側壁部22、24とを有するハウジング16から形成されており、第1及び第2の対向側壁部22、24は、前部壁部と後部壁部に対して横向きにかつそれらの間に配置されている。前刃28及び後刃30から形成されるブレード対26(
図2により明確に示す)は、ハウジング16内に取り付けられている。前刃28及び後刃30のそれぞれは、第1及び第2の対向側壁部22、24の間で延在し、かつ前部壁部に向けられる刃先32、34を有する。1つ以上の追加のブレード36がハウジング16内に配置され、各追加のブレードは、第1及び第2の対向側壁部22、24の間で延在し、かつ前部壁部に向けられる刃先38(
図2)を有する。
【0008】
ヒステリシス切断は、カートリッジ内のブレードエッジの互いに対する近接に依存し、すなわち、第1のブレードは毛に接触し、それを皮膚表面から引き抜き、隣接するブレードは、毛が皮膚表面に完全に後退する前に毛に係合するように、第1のブレードに十分に近くになければならない。本発明者は、毛の伸張を完全に利用するために、毛が第1のブレードによって切断されると同時に、次の/第2のブレードが、毛が後退する前に毛を切断することが望ましいことを発見した。これは、2つの連続ブレードが同じ毛に接触する場合、最も容易に達成される。本発明の一実施形態において、及び
図5で概略的に示すように、対の先行するブレード、この場合は前刃が毛に係合するように配置されて、剃毛ストロークが進むと同時に毛を引き抜き、その後後刃が毛を切断して、ブレード対による毛の二重係合を効果的にもたらす、ブレード対26が提供される。
【0009】
前刃及び後刃の互いに対する並びに皮膚接触平面に対する幾可学的形状は、a)毛の二重係合を達成する確率を増大させる、又はb)毛が後刃によって切断される前の毛の後退を最小限にとどめるのいずれかのために重要である。
【0010】
図3は、
図2のカートリッジを示し、ハウジングの前部における第1の皮膚接点40、ハウジング16の後部に提供される第2の皮膚接点42、及びそれらの間に配置されたブレード対26だけを図示している。
図2及び3に示す実施形態では、第1の皮膚接点はガードであり、第2の皮膚接点はキャップである。しかしながら、第1及び第2の皮膚接点は他の形態をとってもよく、又は、例えばガードがカートリッジの後部に提供され、かつキャップがカートリッジの前部に提供されるように相互交換されてもよいことが理解されるであろう。皮膚接触平面P
sは、第1及び第2の皮膚接点に対して接線方向にあるように画定され、
図3に示す実施形態の場合には、皮膚接触平面P
sはガード及びキャップに対して接線方向にある。本明細書に記載されるように、カートリッジのハウジング16の主本体は、皮膚接触平面P
sの下方に位置する。同様に、ブレードは、典型的には、皮膚接触平面の下方に位置するが、場合によっては、以下に記載するように、ブレードの先端部が皮膚接触平面内又はその上方に配置されてもよい。
【0011】
図2は、ブレードエッジ間のスパン(δs)を示している。スパン(δs)は、
a)皮膚接触面Psに垂直で、かつ前縁32の先端部に交差する第1の線31を引くことと、
b)皮膚接触平面P
sに垂直で、かつ後縁34の先端部に交差する第2の線33を引くことと
c)第1の線31と第2の線33との間の最短距離δsを測定することと、によって算定される。
【0012】
前縁32と後縁34との間のスパン(δs)は、約25μm、100μm、200μm又は300μm〜400μm、550μm、700μm、850μmである。対内のブレードエッジ間のスパンが増大するにつれて、毛が伸張されるための範囲はより大きくなる。しかしながら、隣接するエッジ間のスパンが大きすぎると、後刃30が毛に接触する前に、毛は前刃28によって切断され、解放され及び/又は引き抜かれるであろう。
【0013】
図4は、他の要因、例えば対応するブレードの露出が一定に保たれる場合の、スパンが増大する際のスパンと毛の伸張との間の関係を示す。具体的には、
図4は、皮膚に対してa)90°、b)45°及びc)20°で配置された毛を切断する場合の関係を示している。全ての状況において、スパンが増大すると、予想される毛の伸張もまた増大することが、これらの図面から見ることができる。皮膚に対して横になった(例えば、20°の)毛については、同様な毛の伸張をもたらすために、スパンのより大きな増大が必要とされる。どの方向に毛が向いているかに関係なく、ある角度で伸びる毛について同一の伸張が予想され、例えば毛がブレードに向いてもブレードから離れて向いても、予想される毛の伸張は同様である。
【0014】
体毛及び/又は女性の毛は、典型的には顔の毛及び/又は男性の毛よりも細く、通常はそれほど頻繁に剃毛されない。更に、体毛を剃毛するのに対して顔の毛を剃毛する場合、ユーザーは、ブレードが顔の毛を引き抜くことによって発生する痛みにより敏感である傾向がある。この不快感のレベルは、当然、毛が皮膚から引き抜かれる量に関連する。したがって、体毛の除去については、スパンは250μm〜850μmであることが好ましい。これとは対照的に、顔の毛の除去については、スパンは25μm〜150μmであることが好ましい。
【0015】
ブレードエッジの露出(e)は、皮膚接触平面P
sにほぼ垂直な方向における、皮膚接触平面P
sからのブレードエッジの距離として算定される。
図3は、露出が、
a)皮膚接触平面Psに垂直で、かつ前縁32の先端部に交差する第1の線31を引き、線31に沿って先端部から皮膚接触平面P
sまでの距離e
Lを測定することと、
b)皮膚接触平面P
sに垂直で、かつ後縁34の先端部に交差する第2の線33を引き、線33に沿って先端部から皮膚接触平面P
sまでの距離e
Tを測定することと、によって算定できることを示す。
【0016】
露出差δeは、前刃の露出と後刃の露出との間の差である。
【0017】
ブレードエッジは、皮膚接触平面の上方に位置することができ、別名「正の露出」を有するといい、皮膚接触平面と一直線にある又は皮膚接触平面の下方にあるときは、別名「負の露出」という。ブレードの切断効率は、一部は、その露出によって決定される。皮膚接触平面内又はその上方に位置する刃先は、皮膚接触平面の下方に位置する同一のエッジに比べてより効率的に毛を切断する傾向がある。本発明では、前刃が毛を切断することなく毛に係合することが好ましいため、前刃エッジが皮膚接触平面の下方に配置されることが好ましい。
【0018】
これに加えて、前刃が毛と係合すると、前刃は毛を皮膚表面に向かって曲げさせる。前刃が皮膚表面に近すぎて配置されるならば、毛が前刃によって伸張されるときに皮膚の上に横になるであろう。このことは、後刃が効率の悪い角度で毛に侵入し、これがいわゆる「削ぎ落とし」へとつながる場合があるため、後刃が毛のきれいな切断を行う可能性を低減させる。削ぎ落としは、ブレードエッジが、まっすぐに毛を横切って切断するのではなく、毛の片側に切り込み、軸を斜めに切断して、体毛の一方の側がもう一方の側よりも長く残されるときに生じ、したがってきれいな切断が得られない。したがって、前刃エッジは、皮膚接触平面(P
s)の下方に25μm以上の露出(e
L)を有する。
【0019】
前縁による毛の係合は、切断される毛の長さに更に依存する。前刃の露出があまり大きいと、短い毛は見落とされるであろう。したがって、前刃は、皮膚接触平面の下方500μmの最大露出e
Lを有する。実施形態において、前刃は、皮膚接触平面の下方50μm、75μm、100μm又は150μmから200μm、250μm、300μm又は400μmの露出を有する。
【0020】
対の後刃は、前刃によって引き抜かれる毛を実際に切断することが必要とされるために、後刃は、少なくとも前刃と同程度に効率的に、好ましくは前刃よりも効率的に切断するよう設計される。張力下にある毛は、張力下にない毛よりも低い切断力を必要とする。本発明では、後刃が同じ毛に侵入するときに、前刃がその毛にまだ接触している可能性がある。このように、後刃が前刃のものと同一の露出を有する場合でも、後刃はやはり効率的に切断することができる。したがって、後刃は、前刃と一直線に又は前刃の上方に配置される。ヒステリシス効果の利益を最大化するために、毛が可能な限りそれらの毛根近くで切断されることが好ましい。後縁は、結果的に、皮膚接触平面の上方150μm〜皮膚接触平面の下方300μmの露出e
Tを有するよう配置される。皮膚接触平面の上方にブレードを配置させることは、ブレードエッジが皮膚に一層接触する可能性があるために、場合によっては、刺激の恐れが増大することがある。したがって、好ましい実施形態では、後刃は、皮膚接触平面内に位置する。
【0021】
後刃によって毛が切断される前に毛の潜在的伸張を最大化するために、前刃と後刃との間のスパンとそれらのそれぞれの露出との間にバランスがなければならない。予想される毛の伸張の量は、スパンδs、ブレード間の露出差δe及び切断される毛の角度αに関連する。
図5は、切断される毛の角度が毛の切断前の伸張にどのように影響を及ぼすかを概略的に示す。
図5a)〜c)は、ブレード対102(前縁104及び後縁106を備える)を組み込むかみそりカートリッジ100と、皮膚表面110に対して角度αで突出する毛108(毛は、皮膚表面110に対してほぼ垂直に配置されている)と、の間の相互作用を示す。前縁は、皮膚接触平面に対して負の露出を有する。後縁は、それが前縁の上方に配置されるように、ほぼ皮膚接触平面内に配置される。エッジ間の露出差は、δeとして示す。前縁と後縁との間のスパンは、δsとして示し、この概略的な例では、δsはδeを超える。
【0022】
図5b)は、かみそりカートリッジ100が皮膚表面110に対して移動する際に前縁が毛108と接触し、この時点では、後縁が毛と接触しないことを示している。かみそりカートリッジ100が、皮膚表面110に沿って更に移動されるにつれて、前縁は毛108をつかみ、後刃106が毛108と接触しそれを切断するまで、毛を皮膚表面110から引き伸ばす。
図5d)〜f)は、同一のプロセスを示し、ここでは、毛は皮膚表面に対してより浅い角度で配置されている。具体的には、
図5d)〜5f)は、皮膚表面に対して約60°で配置された毛を示している。切断される毛の伸張された部分Eは、前縁と後縁との間の距離(
図5bでは「y」として示す)から前刃の係合点と毛との間の距離(
図5bでは「l」として示す)を減じて算定する。
E=y−l
lは、毛の角度及び後刃と前刃との間の露出差(δe)によって決定される。
l=δe/Sin α
yは、ブレードエッジの隣接する先端部間の距離である。
y
2=δs
2+δe
2
【0023】
図5a)〜5c)及び5d)〜5f)にそれぞれ示すスパンδsのそれぞれの幾可学的形状及びブレード対の露出差δeは同じである。毛の伸張Eは、毛が皮膚表面に対して約60°で配置される場合(
図5d〜5f)の伸張Eに対して、毛が皮膚表面110に対して約90°で配置される場合(
図5a〜5c)により大きいことが明確に分かる。長さlは、毛が向く方向とは無関係に(すなわち、ブレード対に向くか、ブレード対から離れて向くか)、毛の角度αに依存することから、これは真実である。かみそりカートリッジによって切断され得る毛の角度を予測することは不可能であるため、α=45°である毛の平均角度に基づいて仮定が行われる(この場合、特に女性の脚の毛を考慮する)。
図6は、可変のスパン及び露出差を有するa)20°、b)45°、及びc)90°で配置された毛の異なる伸張を示す。見られるように、20°で傾いた毛については、いくらかでも伸張を得るためには、露出はスパンよりも著しく小さいことが好ましい。45°では、露出がスパンよりも小さいという条件で(異なる大きさとは無関係に)、若干の伸張がある。90°では、露出がスパンを超える場合でも若干の伸張があると思われるが、有意な伸張を達成するためには、前刃は皮膚接触平面のかなり下方に配置される必要があり、このような状況では、どの毛とも接触しないであろう。したがって、yがlを超えるために、また前刃がやはり毛と接触するために、対内のブレード間のスパンは、露出差以上でなければならない。
【0024】
図5a)〜5f)は、カートリッジ内で前刃よりも高く後刃を物理的に配置することによって達成されるブレードエッジの相対的露出における差を示す。あるいは、皮膚接触平面に対して負の露出を有する前刃エッジは、皮膚をブレードエッジから離すことによって達成され得る。例えば、
図7は、皮膚偏向支柱/バンプ50がブレードの皮膚接触側に位置するブレードを示し、これは、使用中、ブレードエッジから皮膚を離して、有効な負の露出をもたらす。この実施形態では、前刃エッジは、皮膚表面に近すぎて毛に侵入する前刃エッジの影響を受けることなく、皮膚接触平面内に位置し得る(すなわち、0の露出)。
【0025】
上述したように、二重係合を容易にするために、前刃は、いくらか効率が悪いように設計される。特に、前刃は、毛に侵入するのに十分であるが、理想的には毛を終わりまで切断しない切断力を有することが好ましく、ここでは、切断力は、ブレードが毛又はその他の定義された材料を切り通すために必要とされる努力の尺度となる。比較すると、既に伸張された毛を引き抜く後刃によって引き起こされる不快感を最小限にとどめるために、後刃は、毛又はその他の定義された材料を切断することにおいて前刃よりも効率的であるよう設計される。ブレードの相対的露出に関して上述したように、後刃は、毛が前刃によって引っ張られた状態で保持される場合、前刃よりも効率的に毛を切断するであろう。このように、インビトロで測定されるとき、前刃及び後刃のそれぞれの切断力が同じである場合でも、後刃は、前刃よりも効率的に毛を切断することができた。しかしながら、後刃が接触するまで前刃が接触する全ての毛に前刃が係合するという保証はないため、実施形態では、後刃は、前刃よりも低い切断力を有する。毛の特性は、それらの例えば密度、直径等に関して大きく異なるため、このことは望ましいが、全ての毛でこの目的を達成するブレードを設計することは不可能であることが理解できる。例えば、場合によっては、前刃は、完全に毛を切断してもよく、その他の場合には、前刃は、前刃が接触する全ての毛に侵入しなくてもよい。
【0026】
好ましくは、単一ファイバ切断リグ(以下に記載)で測定される場合、前刃の切断力は、60mN、80mN、100mN又は120mN〜140mN、160mN、180mN、又は200mNである。
【0027】
ブレードエッジ60の切断力に影響を与え得る多くの要因が存在する。例えば、異なる摩擦特性を有するコーティングがブレードに塗布されてもよく、又はブレードによる切断をより効率的に又は効率が悪くなるように、プロファイルが変更されてもよい。
図8a)は、2つの異なるブレードプロファイルを示し、これらは、それ以外が同一であるならば、異なる切断力を有するであろう。比較測定値を以下に示すが、ここでは、w1、w2及びw3は、それぞれ先端部62から4μm、8μm及び16μmで測定されたブレードの幅である。
【0029】
以下の表は、以下に記載の単一ファイバ切断法により測定されたときの、ブレード1 64及びブレード2 66によって経験される切断力を示す。
【0031】
ブレード2(実験のブレード)は、ブレード1(対照ブレード)と似た大きさの先端半径を有するが、これは場合によっては全ての測定点でブレード1よりも厚い。上記で見ることができるように、ブレード2は、ブレード1よりも高い切断力を有する。したがって、ブレード2は、ブレード1とほぼ等価である初期侵入力を有するが、ブレードの本体における厚さの増大は、ブレード2がブレード1よりも全体として高い切断力を有することを可能にし、すなわち、一旦ブレードが毛に侵入すると、これは毛を通り抜けるために(対照ブレードと比較して)よりしっかりと作用しなければならない。
【0032】
この効果が達成され得る多くの方法があり、本出願は、上記で提供される特定の例に限定されない。例えば、
図8b)に示す別の実施形態では、第1のコーティングが前刃の先端部62に塗布され、第2のコーティングが、ブレードの本体70に塗布される(又はこのコーティングが塗布されない場合もある)。実施形態において、第1のコーティングは、第2のコーティングよりも低い摩擦係数を有し、
図8b)に示す特定の実施形態では、第1のコーティングはテロマーコーティングであり、ブレードの残部は、テロマーを含まないままにされる。この場合、ブレードは、毛に容易に侵入することができるが、終わりまで容易に通り抜けるべきではない。
【0033】
あるいは、両ブレードのプロファイルは同じに保たれてもよいが、前刃はテロマー上塗りなしに形成され得る。テロマーコーティングを有すると、ブレードから毛への境界面での摩擦係数を低減させ、結果的に切断力を低減させる。したがって、テロマー外塗りを除くことによって、又は初めからコーティングを塗布しないことによって、切断力は増大する。
【0034】
ブレードエッジに対する上述の変形の全ては、単独で、又は毛の切断力に影響を及ぼすために変動され得る他の要因と共に、使用されることができる。
【0035】
図2に戻って参照すると、1つ以上の追加のブレード36が、カートリッジ内に配置されてもよい。実施形態において、ブレード対26は、ガード40に隣接して位置し、追加のブレード36は、ブレード対26とキャップ42との間に位置する。しかしながら、追加のブレードは、ガードとブレード対との間に位置してもよく、あるいは、
図9a)〜9c)に示される実施形態のいずれかに図示されるように、追加のブレードの1つ以上が、ガードとブレード対の間に位置することができ、その他のブレードは、ブレード対とキャップとの間に位置することができることが理解されるであろう。ブレード対がガードに隣接して位置する場合、先行するブレードによって切断された場合よりも毛は一般的に長いため、前刃が係合する毛の割合は増大する。このことは、女性の毛及び/又は体毛を切断することを目的とするかみそりには望ましく、ユーザーは、低減したレベルの痛み/不快感を経験する。男性の毛及び/又は顔の毛の切断に関しては、剃毛される領域がより敏感であり、毛は一般的により太いため、毛がブレード対に接触するときに毛がより短い状態であるように、1つ以上の追加のブレードがガードとブレード対との間に配置されることが好ましい。毛がより短いため、全体として少量の毛が前刃によって係合されて、皮膚から引き抜かれる毛の集中度が低減するために、不快感の低減がもたらされる。上述したように、男性の毛及び/又は顔の毛の切断に関しては、前刃と後刃との間により小さいスパン、具体的には25μm〜150μmのスパンを有することが好ましい。
【0036】
図2に示すような、ブレード対がガードに隣接して配置されている実施形態では、ガードと前刃との間に、500μm又は750μm〜1000μm、1250μm又は1500μmのスパンs
Gが存在することが好ましい。ガードと前刃との間のスパンを増大させることは、2つの皮膚接点の間のギャップに皮膚が突き出る可能性が高いために、前刃が皮膚に接触する、又は少なくとも毛の根元に近すぎて毛に係合する可能性の増大につながる。このことは、ガードの摩擦特性を増大させることによって、例えば、ガード上に皮膚を引き伸ばすために提供されるプラスチックフィンを差し込むか、又はその数を増加させることによって、ある程度オフセットされ得る。
【0037】
好ましくは、後刃と、後刃とキャップ42との間に位置する隣接する追加のブレードと、の間に、400μm、600μm又は800μm〜1000μm、1250μm又は1500μmのスパンs
Tが存在する。
【0038】
図2及び9に示す全ての実施形態は、4つの追加のブレードを有する。しかしながら、上述したように、ブレード対とキャップとの間により少ない又はより多いブレードがあってもよいが、1つ以上の追加のブレードが、この代わりに又はこれに加えて、ガードとブレード対との間に配置され得ることが理解されるであろう。
【0039】
図2及び9に示すカートリッジでは、追加のブレード並びに前刃及び後刃は、皮膚接触平面P
sに対して15°〜45°の角度で配置される。ブレードの角度は、ブレード毎に変動し得ることが理解されるであろう。特に
図2に示す実施形態では、追加のブレード36は、カートリッジの前部から後部に向かって徐々に増大する露出を有するように示されている。具体的には、ブレード対に隣接するブレードは、負の露出を有し、キャップに隣接するブレードは、正の露出を有する。この漸次的な幾何学形状の形態が、欧州特許第0,722,379号に詳細に記載されている。カートリッジ全体にわたるブレードの露出が変動する結果として、カートリッジのブレード全体にわたる負荷分布が変動する。それぞれのブレードにかかる負荷は、露出が減少するにつれて低下する。
【0040】
前刃及び後刃は、互いに対して固定されてもよく、又はハウジングに直接固定されてもよい。
図10a)は、前刃及び後刃がスペーサ300の両側に固定されている実施形態を示す。図示した実施形態では、前刃及び後刃は、屈曲ブレードであり、ここではブレード自体がスペーサに固定される。しかしながら、代替実施形態では、ブレードはブレード支持体202に固定されてもよく、支持体202はスペーサに固定されてもよいことが理解されるであろう。あるいは、
図10b)に示すように、ブレード対は、両端に刃先を備えて1枚の金属シートから形成されてもよく、あるいは、
図10c)に示すように、前刃及び/又は後刃の1つは、エッジ304だけがスペーサ302によって他方に固定されてもよい。
【0041】
追加のブレード36は、任意の既知の方式でハウジングに固定されてよく、例えば、ブレードは、ブレード支持体に取り付けられてもよく、又はブレードは、直接ハウジングに固定される屈曲ブレードであってもよい。本発明の各実施形態において、ハウジングは、複数のスロットを有するブレード保持部材を有しており、それらのスロットは、ブレード支持体を、又は屈曲ブレードが使用される場合はブレードを受容するためのものである。皮膚接触平面に対するそれぞれのブレードの角度は、ブレード支持体が使用される場合はブレード支持体における角度によって、又は屈曲ブレードが使用される場合はブレードにおける曲がりによって決定され得る。あるいは、それぞれのブレード支持体における曲がり又は屈曲ブレードの角度は同じに保たれてもよく、ブレード保持部材におけるそれぞれのスロットの角度は、様々な角度のブレードエッジをもたらすように変動してもよい。
【0042】
典型的なカートリッジにおいて、ブレードは通常、一般的には成形プラスチックフレームであるハウジングによって、互いに独立して、又は剃毛中に皮膚からブレードに付与される力を受けて同時に担持される。ハウジング内の支持体の一実施形態において、ブレードは、ブレード保持部材のスロット内に固定されて装着される。ほとんどの例において、ハウジング内に配置されたブレードを適切にかつ不動に支持するために、ハウジングの長さに沿って配置された1つ以上の硬質なブレード保持部材が存在する。別の例では、ブレードは、ハウジング内に浮動可能に取り付けられてもよく、ここでは、ブレードは、これらが剃毛中に遭遇した力に応答することができるように、1つ以上のばね負荷ブレード保持部材によって支持される。
【0043】
実施形態において、潤滑ストリップが、キャップ上に又はキャップの代わりに提供されてもよい。使用時に、皮膚接触平面が、プラスチックハウジングよりもむしろ潤滑ストリップによって画定される場合、前刃及び後刃の相対的露出が潤滑ストリップに対するガードの接線により決定されるべきであることが理解されるであろう。
【0044】
ブレードの切断力を定量化するために、異なる方法が提供される。米国特許出願第2011/0214493号に記載される「単一ファイバ切断法」は、Gillette Companyにより使用される1つの方法である。
図11に示すように、押切りリグ400が、ファイバ402を保持するためのファイバマウント404及びブレード406を保持するためのブレードマウント408を有して提供される。
図11に概略的に示すように、ブレードマウントは、ブレードがファイバを切断するまで、ファイバに向かって直線状に移動される。ブレードがファイバを切断する際、センサが、ブレードによってファイバに及ぼされる切断力を測定する。ファイバを切断するために必要な力は、使用されるファイバに依存することが理解されるであろう。更に、ブレードがファイバに対して提示される角度もまた、測定される切断力に影響を与えるであろう。したがって、この例については、同一のファイバが2回切断され(ブレード1で1回及びブレード2で1回)、両ブレードは、ファイバを切断するとき、同じ位置で保持される。完全性のために、ブレードがファイバと係合するときだけ測定値が取得され、ブレードがファイバに接触するがファイバを押し倒す場合には、無視できるほどの力がセンサによって測定されるであろう。上記で提供されるデータについて、ブレードはファイバマウントの表面に対して21.5°の角度で配置され(21.5°の皮膚接触平面に対する角度αを有することに等しい)、ファイバはファイバマウントの表面にほぼ垂直(90°)で配置される。ブレードエッジは、ファイバマウントから100μmに配置され(したがって、皮膚接触平面の下方におよそ100μmの露出e
fを有する)、ブレードマウントは、50mm/秒の速度でファイバに向かってそれを横切る。これらのパラメータを変更することは、測定される切断力に影響を及ぼし、異なる結果をもたらすことが理解されるであろう。
【0045】
単一ファイバ切断法で測定される切断力は、切断されるファイバの特性によって影響される。再現可能な測定を容易にするために、単一ファイバ切断法は、70μm〜90μmの範囲の毛の直径を有し、例えば、大径と小径との間で1.5未満の比を有するほぼ円形で直径を有する、約650mmの長さであるアジア人の女性の毛髪を使用する。切断力が測定される毎に、約0.5mmの毛髪が切断される。各毛髪は、約1200回切断されることができ、切断力の1200個の測定値を得る。再現性を更に保証するために、実験のブレードによる各切断には、対照ブレードによる切断が差し込まれ、両ブレード間の差が算定される。これは、ファイバの直径、機械的特性、環境条件(例えば、温度及び湿度)における変動、並びに計器変動を軽減するためになされる。
【0046】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40ミリメートル」として開示される寸法は、「約40ミリメートル」を意味するものである。
【0047】
相互参照されるか又は関連する全ての特許若しくは特許出願を含む、本願に引用される全ての文書は、特に除外すること又は限定することを明言しない限りにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参照により組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0048】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。