特許第5694616号(P5694616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5694616難消化性デキストリン及び苦味物質を含有する非発酵ビール風味飲料
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  • 特許5694616-難消化性デキストリン及び苦味物質を含有する非発酵ビール風味飲料 図000020
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5694616
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】難消化性デキストリン及び苦味物質を含有する非発酵ビール風味飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20150312BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   A23L2/00 B
   A23L2/00 F
   A23L2/00 T
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-531433(P2014-531433)
(86)(22)【出願日】2014年3月7日
(86)【国際出願番号】JP2014056061
【審査請求日】2014年7月22日
(31)【優先権主張番号】特願2013-113183(P2013-113183)
(32)【優先日】2013年5月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎介
(72)【発明者】
【氏名】藤原 響子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 朋子
(72)【発明者】
【氏名】大橋 巧弥
【審査官】 上條 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−188833(JP,A)
【文献】 特開2011−217706(JP,A)
【文献】 特開2013−021944(JP,A)
【文献】 特表2009−532042(JP,A)
【文献】 特開2014−094003(JP,A)
【文献】 特開2014−094004(JP,A)
【文献】 藤原 英樹,水溶性食物繊維の飲料への利用,Beverage Japan,1999年,vol.11, no.215,p.55, 56
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00
A23L 2/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃度8〜25g/lの難消化性デキストリン、ショ糖換算で3〜9g/lのグルコース、マルトース、果糖ブドウ糖及びアセスルファムKから成る群から選択される少なくとも一種の甘味物質及び0.01〜0.03g/lのイソα酸を含有する非発酵ビール風味飲料。
【請求項2】
麦汁又は大麦エキスを使用しないで製造された、請求項1に記載の非発酵ビール風味飲料。
【請求項3】
前記甘味物質がアセスルファムKであり、その濃度が0.015〜0.045g/lである請求項1又は2に記載の非発酵ビール風味飲料。
【請求項4】
飲用により血中中性脂肪を低減する効果を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非発酵ビール風味飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非発酵ビール風味飲料に関し、特に、非発酵ビール風味アルコール飲料及び非発酵ビール風味炭酸飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール風味飲料には、実質的にエタノールを含有する酒類であるビール風味アルコール飲料、及び実質的にエタノールを含有しない炭酸飲料であるビール風味炭酸飲料等の多種類の製品がある。
【0003】
ビール風味アルコール飲料は、主として、麦芽又は穀類の糖化液を主原料として用いて、これを発酵させて製造される。発酵工程を経て製造されるビール風味アルコール飲料は、以下、「発酵ビール風味アルコール飲料」という。他方、ビール風味アルコール飲料には、飲用水に、麦汁、麦芽エキス、糖類、香料及びエタノールなどを加えることによりビールらしい風味及び味質に仕上げたものもある。発酵工程を経ないで製造されるビール風味アルコール飲料は、以下、「非発酵ビール風味アルコール飲料」という。
【0004】
非発酵ビール風味アルコール飲料は、製造過程で発酵を行わないために、製造するのに特別な発酵装置を必要としない。そのため、低コストで大量生産するのに向いている。しかしながら、どのような成分をどれくらいの量で調合すればビールらしい風味及び味質を再現することができるのかは未だ明確になっておらず、製造方法は研究開発の途上である。
【0005】
他方、ビール風味炭酸飲料はアルコール度数が低く、運転者及び妊娠・授乳中の女性も気軽に飲むことができる。また、一般に、ビール風味炭酸飲料は通常のビールに比べてカロリーが低く、健康志向の人にも支持を受けている。
【0006】
ビール風味炭酸飲料の製造方法は、(1)エタノール除去、(2)発酵抑制、(3)非発酵の3種類に大別される。(1)は通常のビールから特殊な装置でエタノール分だけを抜いて造る。(2)は通常より低温で発酵させるなどして酵母の活動を抑制し、低エタノールに仕上げる。これらの発酵工程を経て製造されるビール風味炭酸飲料は、以下、「発酵ビール風味炭酸飲料」という。
【0007】
発酵ビール風味炭酸飲料は、製造方法に発酵工程があるため、ビールらしい風味になる。しかしながら、発酵工程でエタノールが生成してしまい、エタノール含有量を完全に無くすることは困難である。
【0008】
これに対し、(3)は飲用水に、麦汁、麦芽エキス、糖類及び香料などを加えて製造される。これらの発酵工程を経ないで製造されるビール風味炭酸飲料は、以下、「非発酵ビール風味炭酸飲料」という。非発酵ビール風味炭酸飲料は、製造過程で発酵を行わないために、エタノールを含まなくするのが容易である。また、製造するのに特別な発酵装置を必要としない。そのため、低コストで大量生産するのに向いており、万人向けの飲料である。しかしながら、どのような成分をどれくらいの量で調合すればビールらしい風味及び味質を再現することができるのかは未だ明確になっておらず、製造方法は研究開発の途上である。
【0009】
尚、非発酵ビール風味アルコール飲料は、非発酵ビール風味炭酸飲料の製造過程でエタノールを所定量添加することにより製造することができる。つまり、両者の実質的な相違点はエタノールを含有するかしないかのみである。従って、本明細書では、非発酵ビール風味アルコール飲料及び非発酵ビール風味炭酸飲料を一緒に扱い、両方を含めて「非発酵ビール風味飲料」という。
【0010】
特許文献1には、非発酵ビール風味炭酸飲料の製造工程において、植物性タンパク分解物及び麦芽抽出物を原料として用いることにより、ビール様の苦みやコク感を付与し、香味に厚みとまとまりを加えることができることが記載されている。しかし、麦芽抽出物はそれ自体で甘味や旨味が強い。そのため、麦芽抽出物を非発酵ビール風味飲料に含有させると、過剰な甘味や旨味が目立つ事で風味のバランスを整え難い上、麦芽自体が持つあまり好ましくない臭気が目立ってしまう。
【0011】
その結果、従来の非発酵ビール風味飲料は、通常のビールと対比すると、未だビールらしい風味について差が大きく、特に、「バランスの良さ」、「のどにグッとくる飲み応え」及び「飲んだ後のキレの良さ」が通常のビールに劣っている問題がある。
【0012】
尚、特許文献1には、具体例としてポリデキストロースを含有する非発酵ビール風味炭酸飲料が記載されている。しかし、特許文献1には、ポリデキストロースの使用目的、機能作用について何も説明が無い。それゆえ、ポリデキストロースは単なる成分として記載されているに過ぎず、ポリデキストロースが上記課題を解決する旨の示唆はない。
【0013】
他方、発酵ビール風味アルコール飲料の分野では、飲み応え及び飲んだ後のキレを増大させる方法が知られている。例えば、特許文献2には、原料中の麦芽の使用比率を高率とすることにより飲み応えを確保できること、及び麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留して得た蒸留液を添加することにより、麦芽発酵飲料の飲み応えを損ねることなく、喉越しのキレが付与できることが記載されている。
【0014】
また、昨今の日本の食生活の欧米化に伴う脂質の過剰摂取は、肥満やメタボリックシンドロームのみならず、高脂血症や動脈硬化などの生活習慣病の発症リスクを高めるとされており、国民の健康に重篤な影響をもたらす要因として問題視されている。空腹時における血中中性脂肪値はメタボリックシンドロームの診断基準のひとつであり、この値を低下させることは肥満予防に有効である。一方で近年は、食後に血中中性脂肪値が高い状態が長時間継続する食後高脂血症にも注目が集まってきており、食後高脂血症が心疾患や脳梗塞の危険因子であることが明らかになってきている。すなわち、食後の血中中性脂肪の上昇を抑制することは、肥満だけでなく心疾患や脳梗塞の予防にも有効であると考えられる。
【0015】
この血中中性脂肪の上昇抑制効果を有する食品素材として、水溶性食物繊維である難消化性デキストリンが報告されている。その作用機序として、胆汁酸ミセルの崩壊を阻害して安定化させ、脂質の放出を遅延させることにより脂質吸収を抑制すること、また、便中への脂質排泄を促進することが明らかとなっている。難消化性デキストリンは加工適性や安定性に優れていることからこれまでに様々な食品に使用されており、安全性の観点でも非常に優れた食品素材であるといえる。
【0016】
特許文献3〜5には、発酵ビール風味アルコール飲料の醸造原料に難消化性デキストリンを含有させることが記載されている。しかし、難消化性デキストリンの使用目的は、特許文献3ではビールの低カロリー化であり、特許文献4及び5では香味、コク味の付与であり、「バランスの良さ」、「のどにグッとくる飲み応え」及び「飲んだ後のキレの良さ」の付与ではない。また、血中中性脂肪の上昇抑制効果についての記載は一切ない。
【0017】
そもそも、発酵ビール風味アルコール飲料では、低分子量の糖や窒素源は酵母に資化され、最終製品にはほとんど含まれていない。それゆえ、発酵ビール風味飲料は「バランスの良さ」、「のどにグッとくる飲み応え」及び「飲んだ後のキレの良さ」を本来的に有し、解決課題として存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2011−142901号公報
【特許文献2】国際公開2005/056746号公報
【特許文献3】特開平8−9953号公報
【特許文献4】特開平8−249号公報
【特許文献5】特開2006−6342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、非発酵ビール風味飲料にビールらしい風味及び血中中性脂肪の上昇抑制効果を付与することにある。より具体的には、非発酵ビール風味飲料の「のどにグッとくる飲み応え」及び「飲んだ後のキレの良さ」を増強し、適度にバランスさせることにより、非発酵ビール風味飲料に対してビールらしい風味を付与させつつ、血中中性脂肪の上昇抑制効果を持たせることにある。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、非発酵ビール風味飲料に対するビールらしい風味の付与と血中中性脂肪の上昇抑制効果を両立させることである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、濃度8g/l以上の難消化性デキストリン及び苦味物質を含有する非発酵ビール風味飲料を提供する。
【0021】
ある一形態においては、前記苦味物質がイソα酸である。
【0022】
ある一形態においては、前記イソα酸の濃度が0.001g/l以上である。
【0023】
ある一形態においては、前記非発酵ビール風味飲料は麦汁又は大麦エキスを使用しないで製造されたものである。
【0024】
ある一形態においては、前記非発酵ビール風味飲料は甘味物質を更に含有する。
【0025】
ある一形態においては、前記甘味物質の濃度がショ糖換算で18g/l以下である。
【0026】
ある一形態においては、前記甘味物質がアセスルファムKであり、その濃度が0.09g/l以下である。
【0027】
ある一形態においては、前記甘味物質が、単糖、二糖及び三糖から成る群から選択される少なくとも一つの糖である。
【0028】
ある一形態においては、前記非発酵ビール風味飲料は飲用により血中中性脂肪を低減する効果を有する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の非発酵ビール風味飲料は「のどにグッとくる飲み応え」及び「飲んだ後のキレの良さ」が増強され、適度にバランスされており、ビールらしい風味を持ちつつ、血中中性脂肪の上昇抑制効果も併せ持つ。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】空腹時中性脂肪値がやや高めである被験者に本発明の非発酵ビール風味飲料を負荷食と共に摂取させた後、血中中性脂肪値がどのように推移するかを示したグラフである(a:測定値、b:変化量)。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の非発酵ビール風味飲料は難消化性デキストリンを含有する。難消化性デキストリンを含有することで、得られる飲料は、飲んだときにのどに引っかかる感覚を与える。すなわち、本発明によって、発酵ビール風味飲料の特徴である「バランスの良さ」、「のどにグッとくる飲み応え」及び「飲んだ後のキレの良さ」という特徴を有する非発酵ビール風味飲料が提供される。
【0032】
また、難消化性デキストリンは食後の血中中性脂肪の上昇を抑制する作用を有し、本発明の非発酵ビール風味飲料は、肥満、心疾患及び脳梗塞等の予防に有効である。ビール風味飲料には脂質エネルギー比率の高い食事(高脂肪食品)とともに摂取される傾向があり、ビール風味飲料に食後の血中中性脂肪の上昇抑制機能が付与される意義は高い。
【0033】
難消化性デキストリンはデンプン分解物であり、デンプンを酸焙焼して得られるデキストリンにアルファーアミラーゼなどの酵素を作用させて得られる。
【0034】
本発明の非発酵ビール風味飲料に含まれる難消化性デキストリンの量は、濃度8g/l以上である。難消化性デキストリンの濃度が8g/l未満になると、非発酵ビール風味飲料ののどに対する引っかかり感が弱くなり、また、血中中性脂肪の上昇抑制効果も弱くなる。好ましくは、難消化性デキストリンの濃度は9〜25g/l、より好ましくは12.8〜16.2g/lである。難消化性デキストリンの濃度が25g/lを超えると、非発酵ビール風味飲料の風味が悪くなることがある。
【0035】
本発明の非発酵ビール風味飲料は甘味物質を適度に含有することが好ましい。甘味物質とは、ヒトが口に含んだときに甘味を感じる物質をいう。代表的な甘味物質は甘味料である。甘味料とは、飲料又は食品に甘みを付けるために使用される調味料をいう。甘味物質を含有することで、得られる飲料は、酸味と甘味のバランスが良くなり、酸味又は甘味等の後味感を与え難くなり、「飲んだ後のキレの良さ」を増す。
【0036】
甘味物質の例として、糖類または糖アルコール類、高甘味度甘味料等が挙げられる。上記糖類としては、ぶどう糖、果糖、木糖、ソルボース、ガラクトース、異性化糖(果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖、高果糖液糖など)、蔗糖、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖、パラチノース、イソマルトース、マルトトリオース、ラフィノース、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、パラチノースなどが挙げられる。上記糖アルコール類としては、例えば、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトールなどが挙げられる。上記高甘味度甘味料としては、例えばアスパルテーム、ステビア、酵素処理ステビア、ソーマチン、スクラロース、アセスルファムK、ネオテーム、ラカンカ等が挙げられる。
【0037】
ある一形態においては、甘味物質として低分子糖が使用される。低分子糖とは各種の糖がグリコシド結合によってつながったオリゴマーをいう。より好ましい甘味物質は、単糖、二糖及び三糖から成る群から選択される一種以上である。更に好ましい甘味物質は、グルコース、フルクトース、マルトース、果糖ぶどう糖及びぶどう糖果糖から成る群から選択される一種以上である。
【0038】
非発酵ビール風味飲料に含まれる甘味物質の濃度は、ショ糖換算で18g/lを超えない範囲で適宜調節される。
【0039】
本発明における甘味物質としてはアセスルファムKが好ましい。その場合、非発酵ビール風味飲料に含まれるアセスルファムKの濃度は、0.09g/l以下、好ましくは0.015〜0.060g/l、より好ましくは0.015〜0.045g/lである。
【0040】
例えば、甘味物質の含有量は、非発酵ビール風味飲料に含まれるエタノールの量を考慮して調節される。エタノールは呈味機能として甘味も有しているからである。なお、添加するエタノールの形態は限定されず、例えば、原料用アルコール、ビール、焼酎、泡盛、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、テキーラ、ジン、スピリッツ等を添加できる。
【0041】
非発酵ビール風味飲料がエタノールを実質的に含まない非発酵ビール風味炭酸飲料である場合は、非発酵ビール風味飲料に含まれる甘味物質の濃度は、ショ糖換算で18g/l以下、好ましくは3〜12g/l、より好ましくは3〜9g/lである。
【0042】
非発酵ビール風味飲料がエタノールを実質的に含む非発酵ビール風味アルコール飲料である場合は、非発酵ビール風味飲料に含まれる甘味物質の濃度は、ショ糖換算で0.1〜1.8g/l、好ましくは0.4〜1.3g/l、より好ましくは0.6〜1.1g/lである。
【0043】
本発明の非発酵ビール風味飲料は穀物由来タンパク質分解物を含有することが好ましい。穀物由来タンパク質分解物を含有することで、非発酵ビール風味飲料の飲んだときにのどに引っかかる感覚、すなわち、「のどにグッとくる飲み応え」がより増強される。また、穀物由来タンパク質分解物は泡保持効果も有する。
【0044】
穀物由来タンパク分解物とは、大豆、エンドウ、トウモロコシ、小麦、大麦、米、落花生、菜種、ヒマワリ等から得られた、分離たん白等のタンパク質を多く含む画分を植物タンパク原料とし、この穀物タンパク原料を酸、アルカリまたは酵素によって加水分解したものである。穀物由来タンパク原料としては、大豆およびエンドウ等の豆科植物に由来する蛋白質が好ましく、加水分解方法は酵素法が好ましい。酵素法は、1種または2種以上のプロテアーゼを用い、それらに適した温度、pH、時間で加水分解を行う。分解の程度は適宜調節することができるが、概ね15重量%TCA可溶化率30〜100%が適している。また、分子サイズが大きすぎると、後工程や保存中にオリとなって不溶化してくる画分が多く、小さすぎると違和感のある旨味の原因となりやすくなる。よって、穀物由来タンパク分解物中に含有する水溶性画分の平均分子量が、550以上3、000以下、好ましくは600以上1、500以下が適している。
【0045】
尚、上記穀物由来タンパク分解物のパラメータである15重量%TCA可溶化率、及び水溶性画分の平均分子量の意義は、特許文献1の第0017段落及び第0018段落にそれぞれ記載されている通りである。
【0046】
本発明の非発酵ビール風味飲料に含まれる穀物由来タンパク質分解物の量は、少なすぎると効果が弱く、多すぎると逆に雑味の原因となり易く、更にpH上昇による微生物リスクを引き起こす原因となりうる。一般には、最終の飲料中の濃度が10g/l以下、好ましくは0.1〜6g/l、より好ましくは0.5〜4g/lになる量で使用される。
【0047】
本発明の非発酵ビール風味飲料は、麦汁又は大麦エキスを含有しないことが好ましい。麦汁とは大麦麦芽を粉砕して糖化を行った液をいう。大麦エキスとは大麦、大麦麦芽又はこれらの粉砕物から水又は熱湯で成分を抽出した抽出液、抽出液の濃縮物又は乾燥物をいう。麦汁又は大麦エキスは比較的低分子量の糖又は窒素源を多く含み、それ自体で甘味や旨味が強い。そのため、麦汁又は大麦エキスを非発酵ビール風味飲料に含有させると、風味のバランスを整え難く、後味として甘味が残ったり、不快な臭気が発生し易くなるからである。
【0048】
本発明の非発酵ビール風味飲料は、麦汁又は大麦エキスを使用しないで製造することが好ましい。「麦汁又は大麦エキスを使用する」とは、非発酵ビール風味飲料に対し、麦汁又は大麦エキスを麦汁又は大麦エキスとして実質的な量で配合することを意味する。例えば、香料等に麦汁又は大麦エキスが含まれていて、麦汁又は大麦エキスが香料として非発酵ビール風味飲料に少量配合された場合は、麦汁又は大麦エキスを使用して製造したことに該当しない。
【0049】
麦汁とは大麦麦芽を粉砕して糖化を行った麦糖化液をいう。麦糖化液は、例えば、大麦麦芽を麦芽由来の酵素を用いて糖化反応させて得られる。麦糖化液は、大麦を酵素を用いて糖化反応させて得たものでもよい。大麦エキスとは大麦、大麦麦芽又はこれらの粉砕物から水又は熱湯で成分を抽出した抽出液、抽出液の濃縮物又は乾燥物をいう。麦汁又は大麦エキスは比較的低分子量の糖又は窒素源を多く含み、それ自体で甘味や旨味が強い。そのため、麦汁又は大麦エキスを非発酵ビール風味飲料の製造に使用すると、風味のバランスを整え難く、後味として甘味が残ったり、不快な臭気が発生し易くなる。
【0050】
しかしながら、得られる非発酵ビール風味飲料のバランスの良さ、飲んだ後のキレの良さを損なわない場合は、本発明の非発酵ビール風味飲料は麦汁又は大麦エキスを使用して製造してよい。
【0051】
本発明の非発酵ビール風味飲料の麦汁又は大麦エキスの含有量は、麦汁又は大麦エキスの不揮発性成分の濃度が2重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下になる量である。
【0052】
本来、酵母発酵させたビール風味飲料では、低分子量の糖や窒素源は酵母に資化され、最終製品にはほとんど含まれていない。逆に、高分子量の糖は酵母に資化されないために最終製品にそのまま残存する。発酵ビール風味飲料では、この少量の低分子糖(甘味物質)と多量の高分子糖の含有バランスによって、過度な甘味や旨味といった過剰な後味が抑制され、のどにグッとくる飲み応えが提供され、ビールらしい風味が実現されていると考えられる。
【0053】
本発明の非発酵ビール風味飲料は、ビール特有の爽やかな苦味を再現するために、苦味物質を含有する。苦味物質とは、ヒトが口に含んだときに苦味を感じる物質をいう。苦味物質を含有することで、得られる飲料は、難消化性デキストリン添加によるべたつき、重い後味感を与え難くなり、「飲んだ後のキレの良さ」を示すようになる。苦味物質としては、ビールと同質若しくは近似する苦味を呈するものであれば特に限定されるものではなく、ホップ中に含まれている苦味成分であってもよく、ホップには含まれていない苦味成分であってもよい。当該苦味物質としては、具体的には、マグネシウム塩、カルシウム塩、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ナリンジン、クワシン、イソα酸、テトライソα酸、β酸の酸化物、キニーネ、モモルデシン、クエルシトリン、テオブロミン、カフェイン等の苦味付与成分、及びゴーヤ、センブリ茶、苦丁茶、ニガヨモギ抽出物、ゲンチアナ抽出物、キナ抽出物等の苦味付与素材が代表的に挙げられる。特に、難消化性デキストリン添加によるべたつきを押さえてよりビールらしい風味を付与できることから、イソα酸が好ましい。
【0054】
単離したイソα酸を用いることができる。また、イソα酸はホップに含有されており、ホップまたはホップエキスとして用いることもできる。ホップまたはホップエキスとは、ホップの葉やその磨砕物、これらを水や熱湯で抽出した抽出液、抽出液の濃縮物や乾燥物を指す。
【0055】
本発明の非発酵ビール風味飲料に含まれるイソα酸の量は、濃度0.001g/l以上である。イソα酸の濃度が0.001g/l未満になると、難消化性デキストリンを含んだ非発酵ビール風味飲料の後味がべたつき、重くなる。好ましくは、イソα酸の濃度は0.005〜0.08g/l、より好ましくは0.01〜0.03g/lである。イソα酸の濃度が0.08g/lを超えると、非発酵ビール風味飲料の風味が悪くなることがある。
【0056】
他にも、本発明の非発酵ビール風味飲料には、本発明の目的を損わない範囲において、糖類、糖アルコール、サポニン等の各種配糖体、香料、食物繊維や多糖類、酸類、酵母エキス等の原料を併用することができる。糖類としては、グルコース、フルクトース、マルトース等の還元糖や蔗糖等の少糖類、各種デキストリンやオリゴ糖類が挙げられ、香料としては、モルトフレーバー(麦や麦芽由来の天然抽出物を含んでも良い)、ホップフレーバー(ホップ由来の天然抽出物を含んでも良い)、ビールフレーバー、アルコールフレーバー、カラメルフレーバー等を挙げることができる。酸類としては、クエン酸、乳酸酸、酒石酸等の有機酸や、塩酸、リン酸等の鉱酸が例示できる。
【0057】
本発明の非発酵ビール風味飲料の製造方法は、非発酵ビール風味飲料を製造する際に通常行われる工程を包含する。一例として、まず、高分子糖、甘味物質及びその他の成分を所定量混合して配合物を調製する。次いで、配合物に飲用水を所定量添加して一次原料液を調製する。一次原料液を煮沸後、必要に応じて発酵アルコールを加え、カーボネーション工程によって炭酸を添加する。
【0058】
必要により、各段階において、濾過、遠心分離等で沈澱を分離除去することもできる。また、上記原料液を濃厚な状態で作成した後に、炭酸水を添加しても良い。これらは通常のソフトドリンクの製造プロセスを用いることで、発酵設備を持たなくても、簡便に非発酵ビール風味飲料の調製が可能である。
【0059】
カーボネーション工程や炭酸水添加工程の前に沈殿を除去すると、オリや雑味の原因物質が除去でき、より望ましい。尚、カーボネーション工程や炭酸水の添加工程の前に、必要に応じてろ過又は殺菌を行ってもよい。
【0060】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例】
【0061】
比較例
難消化性デキストリンの配合
表1に掲げる配合物(単位はg)を混合し1Lになるように水でメスアップし、1時間煮沸を行った後、蒸発分の水を追加し、清澄化のため珪藻土濾過およびフィルター濾過を実施し、液中に炭酸ガスを吹き込む事で炭酸ガスを2.9ガスボリュームとなるように溶解させた。
【0062】
[表1]
【0063】
難消化性デキストリンは松谷化学社製「ファイバーソル2」(商品名)を使用した(以降のデータも同じ)。ファイバーソル2における難消化デキストリン含量は90重量%である。大豆タンパク質分解物については飲み応え感付与及び泡保持目的、カラメルは着色目的、リン酸はpH調整目的で、それぞれ配合した。
【0064】
得られた飲料の評価を表2に示した。評価はビール類専門パネル5人による各9点満点の採点を平均した。官能評価時は香りによる影響を避けるためノーズクリップを鼻に付けた状態で実施した。難消化性デキストリンの含まれていない対照区に対し、試験区ではいずれも「バランスの良さ」、「飲んだ後のキレの良さ」で低い評価となっており、コメントでもべたつく、もったり、後味残る等のビールとして好ましくない評価が見られ、特に難消化性デキストリンを12.8g/L以上添加した試験区2や3で糊様のべたっとした口当たりにより飲みづらさが生じ、ビール風味としての後キレの良さという特性を損なう傾向が見られた。
【0065】
[表2]
【0066】
実施例1
イソα酸の配合
比較例で評価が好ましくなかった試験区2の配合に対し、糊様のべたっとした口当たりを改善するためにホップ由来のイソα酸を添加した。イソα酸はホップ(表3)、苦味料(表4)の形態でそれぞれ添加し、最終的にイソα酸量に整合するように添加量を調節した。表3、4に掲げる配合物(単位はg)を混合し1Lになるように水でメスアップし、1時間煮沸を行った後、蒸発分の水を追加し、清澄化のため珪藻土濾過およびフィルター濾過を実施し、液中に炭酸ガスを吹き込む事で炭酸ガスを2.9ガスボリュームとなるように溶解させた。
【0067】
[表3]
【0068】
ホップはBarth−Haas Group社製の「CO2 Hop Extract」(商品名)を用いて、表に記載のイソα酸含量(g/l)になるように調整した。
【0069】
[表4]
【0070】
苦味料はBarth−Haas Group社製の「ISOHOP」(商品名)を用いて、表の記載のイソα酸含量(g/l)になるように調整した。
【0071】
得られた飲料の評価を表5に示した。評価はビール類専門パネル3人による各9点満点の採点を平均した。官能評価時は香りによる影響を避けるためノーズクリップを鼻に付けた状態で実施した。対照区に比べ、ホップ、苦味料のいずれの形態でイソα酸を付与したものどちらも、「バランスの良さ」、「飲んだ後のキレの良さ」において最終イソα酸含量0.01〜0.03g/Lで評価が良くなっており、特に0.02g/Lでもっとも高い評価となっていた。べたつく、もったり、後味残る等のコメントも目立たなくなっていた一方で、トップからミドルにかけて酸味が目立っており、全体のバランスが整っていないように感じられた。
【0072】
[表5−1]
【0073】
[表5−2]
【0074】
実施例2
甘味物質の配合
表6に掲げる配合物(単位はg)を混合し1Lになるように水でメスアップし、1時間煮沸を行った後、蒸発分の水を追加し、清澄化のため珪藻土濾過およびフィルター濾過を実施し、液中に炭酸ガスを吹き込む事で炭酸ガスを2.9ガスボリュームとなるように溶解させた。
【0075】
[表6]
【0076】
甘味物質は、グルコース、マルトース、果糖ぶどう糖、アセスルファムK、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ソーマチンを、それぞれ甘味度を揃えた上で、配合した。甘味物質のショ糖換算濃度は5g/lである。ホップはBarth−Haas Group社製の「CO2 Hop Extract」(商品名)を用いて、イソα酸含量が0.02g/Lになるように調整した。
【0077】
得られた飲料の評価を表7に示した。評価はビール類専門パネル3人により各9点満点の採点を平均した。官能評価時は香りによる影響を避けるためノーズクリップを鼻に付けた状態で実施した。対照区に比べ、試験区である単糖、2糖類、およびアセスルファムKで「バランスの良さ」、「飲んだ後のキレの良さ」の評価が上昇している事が確認された。またこれらの低分子糖および甘味料を用いたサンプルのエネルギーを確認したところ、アセスルファムKをはじめとする甘味料で非常に低いエネルギー量となり、これは肥満やメタボリックシンドロームを気にする方々のエネルギー摂取量を低減できる配合である事が確認された。
【0078】
[表7]
【0079】
実施例3
アセスルファムKの配合
表8に掲げる配合物を混合し1Lになるように水でメスアップし、1時間煮沸を行った後、蒸発分の水を追加し、清澄化のため珪藻土濾過およびフィルター濾過を実施し、液中に炭酸ガスを吹き込む事で炭酸ガスを2.9ガスボリュームとなるように溶解させた。
【0080】
[表8]
【0081】
ホップはBarth−Haas Group社製の「CO2 Hop Extract」(商品名)を用いて、イソα酸含量が0.02g/Lになるように調整した。
【0082】
得られた飲料の評価を表9に示した。評価はビール類専門パネル5人により各9点満点の採点を平均した。「バランスの良さ」、「飲んだ後のキレの良さ」において、アセスルファムK添加量0.015〜0.045g/Lで評価が良くなっており、特に0.030g/Lでもっとも高い評価となっていた。
【0083】
[表9]
【0084】
実施例4
血中中性脂肪低減効果
1Lあたりの配合量が、表10に掲げる配合(単位はg)になるように香料以外を水に溶解し、1時間煮沸を行った後、蒸発分の水を追加し、冷却後表10記載の香料を添加し、清澄化のため珪藻土濾過およびフィルター濾過を実施し、液中に炭酸ガスを吹き込む事で炭酸ガスを2.9ガスボリュームとなるように溶解させ、容器詰めした後に、内温が65℃10分以上になるように熱殺菌した。
【0085】
[表10]
【0086】
空腹時血中中性脂肪が正常高値域からやや高め(120〜200mg/dL)の20歳以上65歳未満の男女80名を被験者とし、プラセボ対照ランダム化二重盲検クロスオーバー試験を実施した。脂質量42.5gの負荷食とともに調製した飲料350mlを被験者に摂取させ、摂取2、3、4、6時間後に採血を行い、血中中性脂肪濃度を測定した。結果を表11及び図1に示す。
【0087】
[表11]
【0088】
試験の結果、負荷食摂取後2、3、4時間での血中中性脂肪測定値及び変化量において、被験飲料群は対照飲料群よりも有意に低い値を示した(摂取後2、4時間p<0.05、摂取後3時間p<0.01)。本試験中において、試験飲料の摂取に起因すると考えられる有害事象の発生は認められなかった。これらの結果より、本試験に用いた難消化性デキストリン配合炭酸飲料は安全であり、空腹時血中中性脂肪が正常高値域からやや高めの方の食後血中中性脂肪の上昇抑制に有用な飲料であることが示された。
【0089】
実施例5
難消化性デキストリンの配合量による効果
1Lあたりの配合量が、表12に掲げる配合(単位はg)になるように香料以外を水に溶解し、1時間煮沸を行った後、蒸発分の水を追加し、冷却後表12記載の香料(対照・試験ともに全て同じ香料)を添加し、清澄化のため珪藻土濾過およびフィルター濾過を実施し、液中に炭酸ガスを吹き込む事で炭酸ガスを2.9ガスボリュームとなるように溶解させ、容器詰めした後に、内温が65℃10分以上になるように熱殺菌したものを作成した。
【0090】
[表12]
【0091】
ホップはBarth−Haas Group社製の「CO2 Hop Extract」(商品名)を用いて、イソα酸含量が0.02g/Lになるように調整した。
【0092】
得られた飲料の評価を表12に示した。評価はビール類専門パネル6人による各9点満点の採点を平均した。難消化性デキストリンの含まれていない対照区に対し、試験区ではいずれも「バランスの良さ」の評価を落とさず、「のどにグッとくる飲み応え」や「飲んだ後のキレの良さ」の評価が添加量に従い上昇傾向にある事が確認された。本配合にて難消化性デキストリンが含まれる事で、糊様のべたっとした口当たりによる飲みづらさを感じさせる事無く、効果的に飲み応えを付与する事ができ、その後の味の落差によりキレの良さを感じさせたものと考えられる。
【0093】
[表13]
【0094】
実施例6
麦糖化液配合による効果
表14及び表15に掲げる配合物を混合し1Lになるように水でメスアップし、1時間煮沸を行った後、蒸発分の水を追加し、清澄化のため珪藻土濾過およびフィルター濾過を実施し、液中に炭酸ガスを吹き込む事で炭酸ガスを2.9ガスボリュームとなるように溶解させた。麦糖化液については大麦麦芽を麦芽由来の酵素を用いて糖化反応させた上で濾過したものを使用した(但し大麦を酵素にて糖化したものでもよい)。
【0095】
[表14]
【0096】
[表15]
【0097】
麦糖化液は濾過後エキス分(不揮発性成分)15重量%のものを指定量添加した(最終エキス分0.5重量%、1.5重量%分になるように添加)。ホップはBarth−Haas Groupの「CO2 Hop Extract」(商品名)を用いて、最終イソα酸0.02g/Lになるように調整した。
【0098】
得られた飲料の評価を表16及び17に示した。評価はビール類専門パネル3人により各9点満点の評価を平均した。官能評価時は香りによる影響を避けるためノーズクリップを鼻に付けた状態で実施した。対照区に比べ、試験区である単糖、2糖類、およびアセスルファムKで「バランスの良さ」、「飲んだ後のキレの良さ」の評価が上昇している事が確認された。またこれらの低分子糖および甘味料を用いたサンプルのエネルギーを確認したところ、アセスルファムKをはじめとする甘味料で非常に低いエネルギー量となり、これは肥満やメタボリックシンドロームを気にする方々のエネルギー摂取量を低減できる配合である事が確認された。
【0099】
[表16]
【0100】
[表17]
【要約】
発明の課題は、非発酵ビール風味飲料に対するビールらしい風味の付与と血中中性脂肪の上昇抑制効果を両立させることである。課題の解決手段は、濃度8g/l以上の難消化性デキストリン及び苦味物質を含有する非発酵ビール風味飲料である。
図1