特許第5694632号(P5694632)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694632
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】障害監視システムおよび障害監視方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20150312BHJP
   G06F 11/30 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   G06Q50/10 130
   G06F11/30 A
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2008-4133(P2008-4133)
(22)【出願日】2008年1月11日
(65)【公開番号】特開2009-169502(P2009-169502A)
(43)【公開日】2009年7月30日
【審査請求日】2010年9月29日
【審判番号】不服2013-5590(P2013-5590/J1)
【審判請求日】2013年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】株式会社富士通エフサス
(74)【代理人】
【識別番号】100089141
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 守弘
(72)【発明者】
【氏名】水澤 信彦
【合議体】
【審判長】 金子 幸一
【審判官】 手島 聖治
【審判官】 須田 勝巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−354554(JP,A)
【文献】 特開平5−165853(JP,A)
【文献】 特開2004−118698(JP,A)
【文献】 特開2006−260344(JP,A)
【文献】 特開2005−100284(JP,A)
【文献】 特開2005−352656(JP,A)
【文献】 特開2007−35061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の装置の品質を評価して監視する障害監視システムにおいて、
顧客に対応づけて当該顧客の装置および当該装置を構成する部品の障害データを登録するデータベースを記憶領域に設け、
コンピュータに、
所定の顧客について、前記データベースを参照し、当該顧客の障害データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出した障害データについて、装置単位、あるいは更に当該装置の部品単位に、当該障害データを分類する分類手段と、
前記分類手段で分類した顧客の装置単位あるいは装置の部品単位の障害データをもとに、該装置あるいは該装置の部品の製品寿命を超えた劣化モード、修正情報を登録した技術データベースを参照して修正未適用である修正未適用モード、該装置あるいは該装置の部品の障害を登録した技術データベースを参照して障害が新規に発生した障害である新規障害モード、顧客の環境が該装置あるいは該装置の部品の仕様を超えた顧客扱いモードのいずれのモードであるかを少なくとも判定するモード判定手段と、
前記判定された劣化モード、修正未適用モード、新規障害モード、顧客扱いモードをもとに、障害の発生していない他の装置あるいは装置の他の部品の各モードに対応して予め定めた作業を指示し、障害発生していない他の装置あるいは部品の障害発生を未然防止する手段と
を備えたことを特徴とする障害監視システム。
【請求項2】
前記所定の顧客は、前記データベースを検索して当該顧客の全装置に対する故障率が所定故障率以上の顧客、あるいは所定故障率以上の顧客かつ全装置数が所定数以上の顧客としたことを特徴とする請求項1記載の障害監視システム。
【請求項3】
前記分類した顧客の装置単位あるいは顧客の装置の部品単位の障害データを画面上に表示する障害データ表示手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載の障害監視システム。
【請求項4】
前記障害データは、ハードウェアおよびソフトウェアの障害データとしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の障害監視システム。
【請求項5】
顧客の装置の品質を評価して監視する障害監視方法において、
コンピュータが備える手段が、
所定の顧客について、顧客に対応づけて当該顧客の装置および当該装置を構成する部品の障害データを記憶領域に登録するデータベースを参照し、当該顧客の障害データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップで抽出した障害データについて、装置単位、あるいは更に当該装置の部品単位に、当該障害データを分類する分類ステップと、
前記分類ステップで分類した顧客の装置単位あるいは装置の部品単位の障害データをもとに、該装置あるいは該装置の部品の製品寿命を超えた劣化モード、修正情報を登録した技術データベースを参照して修正未適用である修正未適用モード、該装置あるいは該装置の部品の障害を登録した技術データベースを参照して障害が新規に発生した障害である新規障害モード、顧客の環境が該装置あるいは該装置の部品の仕様を超えた顧客扱いモードのいずれのモードであるかを少なくとも判定するモード判定ステップと、
前記判定された劣化モード、修正未適用モード、新規障害モード、顧客扱いモードをもとに、障害の発生していない他の装置あるいは装置の他の部品の各モードに対応して予め定めた作業を指示し、障害発生していない他の装置あるいは部品の障害発生を未然防止するステップ
を実行することを特徴とする障害監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客の装置の品質を評価して監視する障害監視システムおよび障害監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客の装置の保守・管理する場合、装置の故障監視に主眼を置き、装置単位で品質を測定し、予め定めた当該装置に設定した目標値よりも障害率が高い装置に対して安定化対策などを実施し、装置に障害が発生しないように保守・管理していた。
【0003】
また、ハードウェア製品に関する障害情報を格納した障害情報データベースから、顧客別、製品別、障害発生部品毎に、データベースをそれぞれ予め作成しておき、1つの大きな障害情報データベースから検索すると比較し、それぞれのデータベースを検索することで、簡易な処理で迅速に障害情報を検出する技術がある(特許文献1の図1)。
【特許文献1】特開2003−233686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した前者の技術では、メインフレームなどのような装置(システム)の動作環境、運用環境が比較的均一の場合には、大きな効果が得られた。
【0005】
しかし、近年、システムがオープン化したことにより、サーバ・パソコンなどが中央から拠点単位に分散している。その結果、動作環境、運用環境がお客様単位に変化し、トラブル事象もお客様の環境(動作環境、運用環境)によって大きく変化する事例が多くなり、上述した装置毎の保守・管理では対応しきれないという問題が発生した。
【0006】
また、上述した後者の技術では、ハードウェア(製品)に関する障害情報を、予め顧客別、製品別、障害発生部品毎にデータベースを作成したため、人手あるいは表計算ソフトを用いて分析作業を行わなくても、顧客、製品、障害発生部品毎に個別に迅速に検索できるのみであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、これらの問題を解決するため、顧客の装置の品質を評価して監視する障害監視システムにおいて、顧客に対応づけて当該顧客の装置および当該装置を構成する部品の障害データを登録するデータベースと、所定の顧客について、前記データベースを参照し、当該顧客の障害データを抽出して装置単位、あるいは更に当該装置の部品単位に、当該障害データを分類する分類手段と、分類手段で分類した顧客の装置単位あるいは装置・部品単位の障害データをもとに、製品寿命である劣化モード、修正未適用である修正未適用モード、新規に発生した障害である新規障害モード、顧客の環境による顧客扱いモードのいずれのモードであるかを少なくとも判定するモード判定手段とを備えるようにしている。
【0008】
この際、所定の顧客は、データベースを検索して当該顧客の全装置に対する故障率が所定故障率以上の顧客、あるいは所定故障率以上の顧客かつ全装置数が所定数以上の顧客とするようにしている。
【0009】
また、分類した顧客の装置単位あるいは顧客の装置・部品単位の障害データを画面上に表示する障害データ表示手段を備えるようにしている。
【0010】
また、障害データは、ハードウェアおよびソフトウェアの障害データとするようにしている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、顧客の装置からのハードウェア、ソフトウェアの障害情報を受け付けて顧客毎に対応づけてデータベースに登録し、定期的あるいは随時、データベースをもとに、予め設定した故障率よりも大きい顧客などを抽出し、顧客・装置・部品に分類した後、モード判定を行って劣化モード、修正未適用モード、新規障害モード、顧客モードのいずれに該当するかを決定することにより、顧客毎に特徴のある動作環境、運用環境に個別に対応づけて当該顧客の装置・部品(ハードウェア)の品質監視を行い、顧客毎かつ当該顧客の装置・部品対応の早期障害検出を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、顧客毎に特徴のある動作環境、運用環境に個別に対応づけて当該顧客の装置・部品(ハードウェア)の品質監視を行い、顧客毎かつ当該顧客の装置・部品対応の早期障害検出を実現することを実現した。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明のシステム構成図を示す。
図1において、センタ(処理装置)1は、お客様(以下、「顧客」という)から当該顧客の装置の障害を受け付けるものであって、プログラムに従い各種処理を実行する1台あるいは複数台の処理装置であり、ここでは、受付・登録手段11、抽出手段12、分類手段13、障害データ表示手段14、モード判定手段15、2から8のDB(データベース)、表示装置9、および入力装置などから構成されるものである。
【0014】
受付・登録手段11は、顧客からの電話や電子メールなどの通信手段で当該顧客からの装置の障害情報を受け付け、フィールド情報DB(受付・保守)2に登録するものであって、例えば図7の(a)のフィールド情報DB(受付・保守)2に示すように、顧客名、問題発生日時、装置名、号機、現象などを受け付けて登録するものである。
【0015】
抽出手段12は、顧客の障害データをフィールド情報DB(受付・保守)2から抽出するものである(図3図7の(b)を用いて後述する)。
【0016】
分類手段13は、抽出手段12で抽出された顧客の障害データを、顧客、装置、更に、部品に対応づけて分類したり、更に、集計したりなどするものである(図3を用いて後述する)。
【0017】
障害データ表示手段14は、分類手段13で分類(顧客、装置、部品)、更に、集計された障害データを、管理者に見やすいリスト、あるいは円グラフなどで表示するものである(図3図8を用いて後述する)。
【0018】
モード判定手段15は、分類手段13で分類(顧客、装置、部品)、更に、集計された障害データについて、モード1(劣化モード),2(修正未適用モード),3(新規障害モード),4(顧客扱モード)のいずれかを判定するものである(図3から図8を用いて後述する)。 ここで、
・モード1(劣化モード)は、装置寿命による障害多発(所定障害率以上)に至った顧客(顧客の装置)と判定するモードであって、例えば担当営業部門に顧客に当該装置(障害発生した装置、および同時期に納入した他の同一装置があるときは障害発生していない他の装置)のリプレイス(新規装置と置き換える)を提案することを依頼するモードである。これにより、装置寿命による障害多発した顧客について、その装置および同時期に納入した装置のリプレイスを促し、未然に障害発生を防止することが可能となる。
【0019】
・モード2(修正未適用モード)は、顧客の装置について、修正未適用による障害が発生と判定するモードであって、例えばCE(保守員)による対策実施を依頼(障害発生装置および同時期に納入した他の装置の対策実施を依頼)するモードである。これにより、顧客の装置について、修正未適用の装置があると判明した場合にその実施(障害発生装置および障害発生していないば同時期納入の他の同一の装置にその実施)を促し、未然に障害発生を防止することが可能となる。
【0020】
・モード3(新規障害モード)は、新規の障害と判定するモードであって、例えばサーポート部門、設計部門、フィールド部門などと連携して障害低減のための対策・検討を促すモードである。これにより、新規の障害と判定された場合、迅速に関係者が連携して障害低減のための対策・検討を行い、未然に障害発生(他の障害発生)を防止することが可能となる。
【0021】
・モード4(顧客扱モード)は、顧客の使用環境および装置の扱いから発生した障害と判定するモードであって、例えば顧客にその扱い方法をパンフレットなどで注意を呼びかけて装置障害の発生を未然に防止するモードである。例えば連続使用するパソコンのLCDディスプレイ(液晶表示装置)について、所定時間以上継続して使用しないときはバックライトがOFFとなる設定を促し、顧客が装置の耐用期間とする間に、当該ディスプレイの寿命時間を越えないように設定することを、パンフレットなどで顧客(顧客の担当者)に知らせるモードである。
【0022】
フィールド情報DB(受付・保守)2は、顧客に対応づけて当該顧客の障害情報を受け付けて登録するものである(図7の(a)参照)。
【0023】
フィールド情報DB(障害率データ)3は、フィールド情報DB(受付・保守)2をもとに、顧客毎の障害件数を集計したものである(図7の(b)参照)。
【0024】
フィールド情報DB(障害分析データ)4は、顧客の装置毎の障害データを分類したものである(図7の(c)参照)。
【0025】
顧客別装置分析データDB5は、顧客別の装置毎に分析した障害データである(図7の(d)参照)。
【0026】
部品障害データDB(顧客・装置別)6は、顧客の装置別の部品の障害データを分類したものである(図8の(e)参照)
営業情報DB7は、CE(保守員)に対応づけて担当する顧客情報を登録したものである(図8の(g)参照)。
【0027】
技術DB8は、装置名に対応づけて障害の現象、対策、修正適用方法などを登録したものである(図8の(h)参照)。
【0028】
表示装置9は、障害データのリストや円グラフなどを表示するものである。
入力装置10は、各種指示やデータを入力するものであって、キーボードやマウスなどである。
【0029】
次に、図2のフローチャートの順番に従い、図1の構成のもとで、顧客からの障害情報をフィールド情報DB(受付・登録)2に登録するときの動作を詳細に説明する。
【0030】
図2は、本発明の動作説明フローチャート(受付・登録)を示す。
図2において、S1は、受付を行う。
【0031】
S2は、登録する。これらS1、S2は、コールセンタが行う処理であって、顧客から電話、電子メールなどの通信手段を介して、当該顧客の装置の障害情報を受け付け、例えば図7の(a)の受付データをフィールド情報DB(受付/保守)2に登録する。例えば図示の下記の情報を登録する。
【0032】
・顧客名:顧客A
・問題発生日時:07(年):12(月).17(日) 18:00(時分)
・装置名:FMV****
・号機:XXXXX
・現象:LCDが赤くなる
S3は、保守する。
【0033】
S4は、保守データを登録する。これらS3、S4は、保守員(CE)が行う処理であって、S2で図7の(a)のフィールド情報DB(受付・保守)2に登録されたことに対応して、当該登録された顧客Aを担当する保守員(CE)が顧客先に出向き保守作業を行い、その保守した保守データを登録、例えば図7の(a)のフィールド情報DB(受付・保守)2中の保守データとして図示の、
・原因:LCDパネル劣化
・処置:LCDパネル交換
を登録する。
【0034】
以上によって、顧客から障害データを受け付けると図7の(a)のフィールド情報(受付・保守)2中の受付データとして登録すると、登録されたことに対応して連絡を受けた当該顧客の担当の保守員(CE)が顧客先の装置に出向いて保守作業を行い、図7の(a)のフィールド情報(受付・保守)2中の保守データとして登録することが可能となる。これを繰り返すことにより、顧客毎に装置の障害データおよび当該障害データに対する保守データが逐次登録されて蓄積されることとなる。
【0035】
図3は、本発明の動作説明フローチャート(障害データ表示)を示す。図3は、図2のフローチャートに従い、図7の(a)のフィールド情報DB(受付・保守)2中の受付データおよびその保守データが蓄積されるので、当該蓄積した図7の(a)のフィールド情報DB(受付・保守)2の受付データおよび保守データをもとに、顧客の装置、部品毎の障害データを生成および表示するときの詳細フローチャートを示す。
【0036】
図3において、S11は、顧客毎の毎月の障害データを集計する。例えば右側に記載したように、
・顧客:顧客A
・月:
・件数:
・年間故障率:
をそれぞれ集計する。例えば、図7の(b)のフィールド情報DB(障害率データ)3に示すように、顧客毎に、障害発生月、件数、年間故障率を集計する。
【0037】
S12は、稼動台数が所定台数以上か判別する。これは、S11で顧客毎の障害発生月、件数、年間故障率を集計し、そのうち、障害データを生成する対象とする顧客について、顧客毎の稼動台数が所定台数以上の顧客を、ここでは、対象とする。例えば顧客の稼動台数が700台以上の顧客を抽出し、700台以下の顧客をここでは、対象外とする。稼動台数が700台以上の顧客については、S13に進む。稼動台数が700台以下の顧客については、対象外とし、終了する。
【0038】
S13は、ソートする。これは、例えば右側に記載したように、
・毎月の故障率
の大きい順に顧客をソートする。他に、年間故障率、更に、特定の装置の月、年の故障率でソートしてもよい。
【0039】
S14は、閾値より以上の顧客名を抽出する。これは、閾値、例えば右側に記載したように、
・事業部が規定した目標故障率の3倍以上
の顧客名を抽出する。YESの場合には、S15に進む。NOの場合には、対象外として終了する。
【0040】
以上のS11からS14は、抽出手段12によって処理され、障害分析の対象となる顧客名を決定できたこととなる。
【0041】
S15は、顧客名毎に障害分析に必要なデータ抽出する。これは、S11からS14で抽出された顧客名の障害分析に必要なデータとして、例えば右側に記載した
・顧客名:
・受付年月:
・現象:
・個所ID:
などのデータを、図7の(a)のフィールド情報(受付・保守)DB2から、顧客毎に抽出し、図7の(d)の顧客別装置分析データDB5を作成する。
【0042】
S16は、顧客毎に、障害分類を行う。これは、図15で作成した図7の(d)の障害別装置分析データDB5をもとに、顧客毎に障害分類、例えば右側に記載した
・機種名:
・障害数:
・出荷時期:
で分類し、図7の(c)のフィールド情報DB(障害分析データ)4を作成する。
【0043】
S17は、顧客毎に装置単位で分類する。これは、障害データJについて、顧客の装置毎に装置単位で分類、例えば右側に記載した
・装置:
・現象:
・発生月:
毎に分類し、例えば図8の(e)に示す、部品障害データDB6に示すように分類する。
【0044】
以上のS15、S16、S17は、分類手段13によって処理され、障害データについて、障害分析の対象となる顧客毎に、機種名、障害数、出荷時期などで分類、更に、顧客の装置毎に分類することが可能となる。
【0045】
S18は、顧客・装置・部品の障害データを表示する。例えば右側に記載した
・リスト表示
・円グラフ表示
として、図8の(e)の部品障害データDB(FMV3MG9L2)6に示すようにリスト表示、および図8の(f)の分析情報:顧客別(FMV3MG9L2)の円グラフ表示のように、表示装置9の画面上に表示する。
【0046】
以上のS18は、障害データ表示手段14によって行われ、顧客の装置、更に、装置の部品毎の障害データが図8の(e)、(f)のように表示することが可能となる。
【0047】
以上のS1からS18によって、図7の(a)のフィールド情報DB(受付・保守)2をもとに、顧客毎の故障率が所定閾値以上かつ稼働台数が所定台数以上の顧客名を抽出し、当該抽出した顧客毎の障害データを抽出し、抽出した顧客毎の障害データをもとに、顧客毎の分類・集計、更に、顧客の装置毎に分類・集計し、顧客の装置の部品毎の障害データを図8の(e)のようにリスト表示したり、図8の(f)のようにフラグ表示したりすることが可能となる。これらリスト表示、グラフ表示を見て、管理者(保守者)は顧客毎の装置、更に、装置の部品の障害データとその割合を容易に認識することが可能となる。
【0048】
次に、図4から図6のフローチャートの順番に従い、図3で分類・集計した顧客毎の装置、更に、顧客の装置毎の部品の障害データ(内容と件数)をもとに、既述したモード1,2,3,4を自動判定する動作を詳細に説明する。
【0049】
図4は、本発明の動作説明フローチャート(顧客取扱モード/新規障害)を示す。
図4において、S21は、モード1(劣化モード(5年以上))か判別する。これは、既述した図3のX(S14)に続けて、モード1(劣化モード)か判別、例えば使用開始時から5年以上経過した劣化モード(モード1)か判別する。モード1(劣化モード)か否かの判別は、右側に記載したように、モード判定対象の顧客毎の装置について、
図8の(g)の営業情報DB7を参照し、
・顧客:顧客A
・機種名:FMC3MG9L2
・現調完年月日:20030325
・劣化推定日:2008.3.25(現調完年月日+5年)
の情報を取り出しおよび劣化推定日を算出し、ここでは、現在年月日が、劣化推定日(現調完年月日から通常5年経過)を越えて劣化モード(モード1)か判別する。ここでは、現在年月日が劣化推定日を越えて無くモード1ではないので、S22に進む。尚、劣化モード(モード1)については、図6で詳細に説明する。
【0050】
S22は、モード2(修正未適用モード)か判別する。ここでは、右側に記載したように、
図8の(h)の技術DB8を参照し、
・装置名:FMV4MG101(一致せず)
と判明、即ち、モード判定の対象の顧客の装置名、ここでは、”FMV4MG101”が図8の(h)の技術DB8に登録されている装置名と一致するものが見つからなかったので、モード2ではないと判定する。モード2ではない場合には、S23に進む。尚、モード2の場合については、図5で詳細に説明する。
【0051】
S23は、モード4(顧客取扱モード)か判別する。ここでは、顧客の製品の使用環境が、製品の仕様を超えているか判別、例えば、右側に記載した例えば
・製品仕様:LCDパネル
・12000時間:
・期間5年:
である製品仕様(使用時間が12000時間または使用開始から5年を経過のいずれか)を判別する。YESの場合には、顧客の使用環境が、製品の仕様を越えていると判明したので、S24で顧客モード(モード4)と判定する。一方、NOの場合には、顧客の使用環境が、製品の仕様を越えていないと判明したので、S25に進む。尚、全ての装置(製品毎)に仕様を予め図示外のデータベースに登録しておく。
【0052】
S25は、モード3(新規障害モード)か判別する。ここでは、右側に記載したように、
図8の(h)の技術DB8を参照し、
・なしか(障害発生した装置名が登録されていないか)
判別する。YESの場合には、新規障害(新規障害モード)と判明したので、S26で新規登録、即ち、図8の(h)の技術DB8に新規障害の情報を登録、例えば図8の(h)の技術DB8の右側に新規と矢印を付した
・装置名:FMV3MG9L2
・現象:LCDが赤くなる
・対策:ユーザ使用環境で8000時間で障害発生
を登録する。
【0053】
以上によって、既述した図3のS11からS17で生成した顧客毎の装置、部品の障害データをもとに、モード1,2,4,3と順番に判定し、ここでは、モード4(顧客取扱モード)、モード3(新規障害モード)を自動判別することが可能となる。
【0054】
図5は、本発明の動作説明フローチャート(モード2の事例(修正未適用))を示す。
図5において、S31は、モード1(劣化モード(5年以上))か判別する。ここでは、右側に記載したように、
図8の(g)営業情報DB7を参照し、
・顧客名:顧客A
・機種名:FMV3MG9L2
・現調日:2003.3.25
・劣化予測日:2008.3.25(現調日+5年)
の情報を取り出しおよび劣化予測日を算出し、現在年月日が、劣化予測日(現調日から通常5年経過)を越えて劣化モード(モード1)か判別する。ここでは、現在年月日が劣化推定日を越えて無くモード1ではないので、S32に進む。尚、劣化モード(モード1)については、図6で詳細に説明する。
【0055】
S32は、モード2(修正未適用モード)か判別する。ここでは、右側に記載したように、
図8の(h)の技術DB8を参照し、
・装置名:FMV3MG9L2(一致)
・対策:補強リング取り付け
と判明、即ち、モード判定の対象の顧客の装置名、ここでは、”FMV3MG9L2”が図8の(h)の技術DB8に登録されている装置名と一致したので、モード2と判定し、S33で登録されている対策”補強リンク取り付け”の修正適用する(実施を指示し、保守員に実施させる)。
【0056】
図6は、本発明の動作説明フローチャート(モード1の事例(劣化モード))を示す。
図6において、S41は、モード1(劣化モード(5年以上))か判別する。ここでは、右側に記載したように、
図8の(g)営業情報DB7を参照し、
・顧客名:顧客A
・機種名:FMV2MG6L2
・現調完了日:2002.11.01
・劣化日:2007.11.01(現調日+5年)
(劣化)
の情報を取り出しおよび劣化日を算出し、現在年月日が、劣化日(現調日から通常5年経過)を越えて劣化モード(モード1)か判別する。ここでは、現在年月日が劣化日を越えているので、YESとなり、S42で、劣化を営業部門へ連絡し、顧客に該当装置の劣化(耐用期間を経過して劣化)した旨を知らせ、装置のリプレイスを促す。
【0057】
図7および図8は、本発明のDB例、DB/表示例を示す。
図7の(a)は、フィールド情報DB(受付・保守)の例を示す。フィールド情報DB(受付・保守)2は、顧客から受け付けた障害情報を当該顧客名に対応づけて登録して管理するものであって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて登録して管理するものである。
【0058】
・顧客名:
・問題発生日時:
・装置名:
・号機:
・現象:
・原因:
・処置:
・その他:
ここで、顧客名は保守契約した顧客名である。問題発生日時、装置名、号機は、顧客から受け付けた当該顧客の問題発生日時、装置名、号機である。これら顧客名、問題発生日時、装置名、号機は受付データとして登録する。現象、原因、処置は、装置に発生した障害の現象、原因、および保守員が取った処理であって、保守データとして登録する。
【0059】
図7の(b)は、フィールド情報DB(障害率データ)3の例を示す。これは、図7の(a)のフィールド情報DB(受付・保守)2をもとに、顧客毎に集計したものであって、ここでは、図示の下記の項目に対応づけて集計して登録したものである。
【0060】
・NO:
・企業名称:
・出荷台数:
・障害発生件数:
・年間故障率(AFR%):
・監視:
・その他:
ここで、NOは顧客名を管理するユニークな番号である。企業名称は企業(顧客)の名称である。出荷台数は顧客毎の出荷台数である。障害発生件数は月毎の障害発生件数である。年間故障率は年間の故障率である。監視は監視の有無などを登録するものである。
【0061】
図7の(c)は、フィールド情報DBの例を示す。これは、顧客名に対応づけた障害分析データを登録して管理するものであって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて登録して管理するものである。
【0062】
・グループ企業コード:
・グループ企業名:
・受付年月:
・障害現象名:
・障害個所ID:
・障害箇所中小分類名:
・その他:
ここで、グループ企業コード、グループ企業名は顧客のコード、企業名である。受付年月、障害現象名、障害箇所ID,障害箇所中小分類名は、障害の受付年月であり、社内の記述ルールに基づいて定義された現象名、障害個所ID,障害個所の中小分類名である。
【0063】
図7の(d)は、顧客別装置分析データDBの例を示す。これは、顧客別の装置の分析した障害データを登録したものであって、ここでは、図示の下記の情報を顧客別に対応づけて登録したものである。
【0064】
・F型(装置型):
・障害数:
・出荷時期:
・工場出荷台数:
・保守契約台数:
・工場出荷AFR(%):
・保守契約AFR(%):
図8の(e)は、製品障害データDBの例を示す。これは、顧客の製品、部品の障害データを集計したものであって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて登録したものである。また、図8の(e)の製品障害データDB6の各エントリの情報を、表示装置9の画面上に顧客毎の装置、部品の障害リストとして表示する。顧客毎の装置、部品の障害内容と障害割合を、円グラフで表示すると、図8の(f)に示すようになる。
【0065】
図8の(f)は、分析情報:顧客別(FMV3MG9L2)の円グラフの表示例を示す。これは、図8の(e)の部品障害データDB6の情報を、円グラフで表示したものである。
【0066】
図8の(g)は、営業情報DBの例を示す。これは、CE(保守員)に対応づけて顧客名などを登録したものであって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて登録したものである。
【0067】
・CEユーザNo:
・グループ企業ID:
・顧客名:
・業種名:
・納入型名:
・稼動台数:
・現調完了年月日:
ここで、CEユーザNoは顧客のIDである。グループ企業ID,顧客名、業種名は、保守契約した顧客の企業ID,顧客名、業種名である。納入型名、稼動台数、現調完了年月日は、顧客に納入した装置の型名、稼動台数、現調完了年月日である。
【0068】
図8の(h)は、技術DBの例を示す。これは、障害発生した装置に対応づけて現象、対策などを登録したものであって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて登録して管理するものである。
【0069】
・項:
・装置名:
・現象:
・対策:
・修正適用方法:
・その他:
ここで、項は登録するエントリにシーケンシャルに付与した番号(項)である。装置名は障害発生した装置名である。現象、対策、修正適用方法は、障害発生した装置の現象、対策、修正適用方法である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、顧客毎に特徴のある動作環境、運用環境に個別に対応づけて当該顧客の装置・部品(ハードウェア)の品質監視を行い、顧客毎かつ当該顧客の装置・部品対応の早期障害検出を実現する障害監視システムおよび障害監視方法に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本発明のシステム構成図である。
図2】本発明の動作説明フローチャート(受付・保守)である。
図3】本発明の動作説明フローチャート(障害データ表示)である。
図4】本発明の動作説明フローチャート(顧客取扱モード/新規障害モード)である。
図5】本発明の動作説明フローチャート(修正未適用モード)である。
図6】本発明の動作説明フローチャート(劣化モード)である。
図7】本発明のDB例である。
図8】本発明のDB例/表示例である。
【符号の説明】
【0072】
1:センタ(処理装置)
11:受付・登録手段
12:抽出手段
13:分類手段
14:障害データ表示手段
15:モード判定手段
2:フィールド情報DB(受付・保守)
3:フィールド情報DB(障害率データ)
4:フィールド情報DB(障害分析データ)
5:顧客別装置分析データDB
6:部品障害データDB(顧客・装置別)
7:営業情報DB
8:技術DB
9:表示装置
10:入力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8