特許第5694653号(P5694653)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694653
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】単純構造を有する防水手袋
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/00 20060101AFI20150312BHJP
   A41D 19/015 20060101ALI20150312BHJP
   A41D 19/04 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   A41D19/00 K
   A41D19/015 140
   A41D19/04 Z
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2009-187110(P2009-187110)
(22)【出願日】2009年8月12日
(65)【公開番号】特開2010-77584(P2010-77584A)
(43)【公開日】2010年4月8日
【審査請求日】2012年8月10日
(31)【優先権主張番号】12/190195
(32)【優先日】2008年8月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509227610
【氏名又は名称】アークテリクス イクイップメント インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル,アラン,グリーン
(72)【発明者】
【氏名】カール,モリアーティー
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−031218(JP,U)
【文献】 特開2006−002318(JP,A)
【文献】 特開2008−094999(JP,A)
【文献】 実公昭41−009317(JP,Y1)
【文献】 実開平06−025318(JP,U)
【文献】 特開2002−275713(JP,A)
【文献】 実開平03−078010(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/00 − 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾つかの指部シェル(2)を備える外側シェルを備える防水又は通気性防水手袋(1)であって、
少なくとも1つの指部シェルは、第1の舌部(21)と、第2の舌部(22)と、第3の舌部(23)から形成され、
前記第1の舌部は、前記指部シェル(2)の腹部を形成し、
前記第2の舌部及び前記第3の舌部は、前記指部シェルの背面部及び側部を形成し、
前記舌部(21〜23)は、これらの隣接する縁によって共に繋ぎ合わされ、
前記手袋(1)は、前記隣接する縁に重なると共にこれらの縁に固定される防水ストライプ(41、42)と、
前記第1の舌部(21)と一体形成されると共に前記指部シェルの先端の背面部を形成する接合部(25)とをさらに備え、
前記接合部(25)の折り線は前記指部シェル(2)の末端に位置付けられると共に、前記接合部(25)は、前記第1の舌部の上に折り重ねられ、
前記第1の舌部及び前記接合部は、これらの隣接する縁によって共に繋ぎ合わされる、防水又は通気性防水手袋。
【請求項2】
前記第1の舌部(21)及び前記第2の舌部(22)は、前記指部シェルの第1の側部に位置付けられたこれらの隣接する縁によって共に繋ぎ合わされ、
前記第1の舌部(21)及び前記第3の舌部(23)は、前記指部シェルの第2の側部に位置付けられたこれらの隣接する縁によって共に繋ぎ合わされ、
前記第2の舌部(22)及び前記第3の舌部(23)は、前記指部シェル(2)の前記背面部に位置付けられたこれらの隣接する縁によって共に繋ぎ合わされる、請求項1に記載の防水又は通気性防水手袋。
【請求項3】
前記3つの舌部は共通材料から一体形成される、請求項1又は2に記載の防水又は通気性防水手袋。
【請求項4】
前記第1の舌部と、前記第2の舌部と、前記第3の舌部とは、共に繋ぎ合わされる独立した要素である、請求項1又は2に記載の防水又は通気性防水手袋。
【請求項5】
前記第1の舌部(21)は皮革から作製され、前記第2の舌部(22)及び前記第3の舌部(23)は織物から作製される、請求項4に記載の防水又は通気性防水手袋。
【請求項6】
前記3つの舌部は防水材料から作製される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の防水又は通気性防水手袋。
【請求項7】
ユーザの手を収容する内部容積の境界を画する詰め物をさらに備え、
前記詰め物は、前記外側シェルに固定されると共に、前記外側シェルによって取り囲まれる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の防水又は通気性防水手袋。
【請求項8】
前記防水ストライプ(41、42)は、接着剤材料によって覆われている織物から作製される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の防水又は通気性防水手袋。
【請求項9】
前記防水ストライプ(41、42)は、熱溶融性接着剤材料から作製される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の防水又は通気性防水手袋。
【請求項10】
前記隣接する舌部の縁は共に縫い合わされ、縫い目は前記防水ストライプによって覆われている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の防水又は通気性防水手袋。
【請求項11】
前記舌部の縁は、前記指部シェルの縦方向に延在する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の防水又は通気性防水手袋。
【請求項12】
2つの隣接する指部シェルが、指部の叉の付け根においてそれぞれのC字形状の縁によって共に繋ぎ合わされ、
前記手袋は、前記隣接する縁に重なると共にこれらの縁に固定される封止構成要素をさらに備え、
前記封止構成要素は、熱溶融性接着剤材料から作製される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の防水又は通気性防水手袋。
【請求項13】
前記C字形状の縁は、前記指部の叉の付け根の下の掌部から、前記指部の叉の付け根の下の前記外側シェルの前記背面部へ延在する、請求項12に記載の防水又は通気性防水手袋。
【請求項14】
前記C字形状の縁は、手に対して縦方向であり且つ前記手の面に直交する平面に位置付けられる、請求項12又は13に記載の防水又は通気性防水手袋。
【請求項15】
幾つかの指部シェルを備える防水又は通気性防水手袋を製造する方法であって、
接合部と第1の舌部を一体形成するステップと、
前記指部シェルの末端に位置付けられる前記接合部の折り線で、前記接合部を前記第1の舌部の上に折り重ねるステップと、
前記第1の舌部と、第2の舌部と、第3の舌部と、前記接合部とを備えるパターンに基づき、前記第1の舌部及び前記接合部をこれらの隣接する縁によって共に繋ぎ合わせると共に前記3つの舌部の隣接する縁によって前記3つの舌部を共に繋ぎ合わせることによって、指部シェルを形成するステップであって、その結果、前記第1の舌部は前記指部シェルの腹部を形成し、したがって前記第2の舌部及び前記第3の舌部は前記指部シェルの背面部及び側部を形成し、前記接合部は前記指部シェルの先端の背面部を形成するステップと、
前記隣接する縁に重なる防水ストライプを固定するステップと、
前記指部シェルを、前記手袋の掌部及び甲部に固定するステップとを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防水手袋に関し、特にそのような手袋の製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
防水又は通気性防水手袋は、特に山岳活動のために必要とされる。このような手袋は通常、外側シェルを備える。外側シェルは、皮革又は織物から成る、縁を共に縫い合わされた幾つかの部分から構成される。幾つかの縁は、各指の末端位置で交わる。縫い合わされた縁は本質的に、水が外側シェルの内部に入り込む点を形成するため、このような手袋は通常、内側防水シース(sheath)を備える。シースは使用者の手を包むように設計される。シースの指先部はシェルに縫い付けられる突起部分を提供する。シースの壁面は外側シェルに張り付き、内部容積の境界を画する。次に、シースの内側に詰め物が接着される。この詰め物によって、ユーザの快適性が向上すると共に断熱性が提供される。
【0003】
そのような手袋は幾つかの欠点を有する。皮革部分の縁を通じて水が浸入するため、手袋によって提供される断熱性が弱められる。さらに、防水又は通気性防水シースのコストが比較的高い。縫い合わせ段階中にシースに穴が開いた場合、手袋はもはや防水ではなくなる。(PTFEコーティングステップを含むシースの防水処理によって、シースは接着によって共に繋ぎ合わされる2つの平らな織物層から作製される必要がある)。シースは基本的に、手を挿入するための開口部を残してそれぞれの縁において共に繋ぎ合わされる、手の一般的な外形を有する2つの平らな層から作製される。2つの層の平らな構造に起因して、それらの層は、たとえば溶接によって組み立てることが容易であり、それによって、それらの2つの層の防水組立てが保証される。次に、シースは外側シェルの内側に3次元形状を取り入れる。適切な内部容積の境界を画するために、最初に非常に大きな平らなシースが必要とされる。次にシースは、その3次元形状において指先位置に幾つかの襞を呈する。したがって指先は触感を失い、コインのような小さな物体を拾うのが困難になる。これによって指の可撓性も低減される。また、指部シェルの末端に位置付けられる縫い目によって、触感が失われると共に外観が劣る。触感の喪失及び指部の可撓性制限に起因して、そのような手袋は登山、スキー等のようなスポーツには適切でない。さらに、手の形態に適合するために、外側シェルに3次元形状が必要とされ、これによって縫い目の形状が複雑になる。このような縫い目の形状によって、製造プロセスが複雑になる。
【0004】
衣類製造分野において、2枚のパネル間の組立線を、該組立線と防水ストライプとを重ねることによって封止及び防水加工することが既知である。該組立線は、縫合線、接着線、又は溶接線とすることができる。この技術を使用する場合、平らな組立ては3次元組立てよりもはるかに防水加工が簡単である。手袋よりも大きなサイズの衣類の製造において、組み立てられる様々なパネルのサイズによって、特定の領域、又は特定の長さにわたって組立線を「平らにする」ことが常に可能となるため、3次元組立ての防水加工は可能であり続ける。タイトフィット手袋の製造は、種々の小さなパネルの組立てを必要とする。さらに、合わせて組み立てられるとき、これらのパネルは互いに対して鋭角を画定することが多い。これは特に、指部の末端及び指の叉部(2本の指と手の残りの部分との接合部に相当する手の部分)における事例である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、これらの欠点を克服する手袋に対する需要が存在する。
【0006】
より詳細には、本発明の目的は、その構成において平らな防水シースを備える必要のない防水手袋を提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、指の触知可能性(tactability)を増加させる防水手袋を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、指部の先端において平滑な表面を可能にする防水手袋を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、ユーザの手に合致するように、より密接にフィットする、より詳細にはタイトフィットする防水手袋を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、より高い美的品質を有する防水手袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目標は、幾つかの指部シェルを備える外側シェルを備える防水又は通気性防水手袋であって、少なくとも1つの指部シェルは、第1の舌部と、第2の舌部と、第3の舌部とを備え、第1の舌部は指部シェルの腹部を形成し、第2の舌部及び第3の舌部は指部シェルの背面部及び側部を形成し、これらの舌部は該舌部の隣接する縁によって共に繋ぎ合わされ、該手袋は、これらの隣接する縁に重なると共にこれらの縁に固定される防水ストライプをさらに備える、防水又は通気性防水手袋を提供することによって達成される。
【0012】
好ましくは、第1の舌部及び第2の舌部は、指部シェルの第1の側部に位置付けられたこれらの隣接する縁によって、共に繋ぎ合わされる。第1の舌部及び第3の舌部は、指部シェルの第2の側部に位置付けられたこれらの隣接する縁によって共に繋ぎ合わされ、第2の舌部及び第3の舌部は、指部シェルの背面部に位置づけられたこれらの隣接する縁によって共に繋ぎ合わされる。
【0013】
一実施の形態によれば、3つの舌部は共通材料から一体形成される。
【0014】
別の実施の形態によれば、第1の舌部と、第2の舌部と、第3の舌部とは、共に繋ぎ合わされる独立した要素である。第1の舌部は皮革から作製されることができ、第2の舌部及び第3の舌部は織物から作製されることができる。
【0015】
好ましくは、3つの舌部は防水又は通気性防水材料から作製される。
【0016】
手袋は、ユーザの手を収容する内部容積の境界を画する詰め物を備えることができ、詰め物は、外側シェルに固定されると共に該外側シェルの内側に取り囲まれる。
【0017】
一実施の形態によれば、防水ストライプは接着剤材料によって覆われている織物から作製される。
【0018】
別の実施の形態によれば、防水ストライプは熱溶融性接着剤材料から作製される。
【0019】
好ましくは、手袋は、第1の舌部と一体形成されると共に指部シェルの先端の背面部を形成する接合部をさらに備え、該接合部は第1の舌部の上に折り重ねられ、第1の舌部及び接合部はこれらの隣接する縁によって共に繋ぎ合わされる。
【0020】
好ましくは、上記隣接する舌部の縁は共に縫い合わされ、縫い目は上記防水ストライプによって覆われている。
【0021】
さらなる実施の形態において、上記隣接する舌部の縁は共に接着されるか又は溶接される。
【0022】
接合部の折り線は指部シェルの末端に位置付けることができ、これによって末端は一切の縫い目が除かれている。
【0023】
舌部の縁は、好ましくは指部シェルの縦方向に延在する。
【0024】
本発明の目標は、幾つかの指部シェルを備える外側シェルを備える防水手袋であって、2つの隣接する指部シェルは指部の叉の付け根(finger crotch)においてそれぞれのC字形状の縁によって共に繋ぎ合わされ、該手袋は隣接する縁に重なると共にこれらの縁に固定される封止構成要素をさらに備え、該封止構成要素は熱溶融性接着剤材料から作製される、防水手袋を提供することによっても達成される。
【0025】
C字形状の縁は、指部の叉の付け根の下の掌部から、該指部の叉の付け根の下の外側シェルの甲部へ延在することができる。
【0026】
C字形状の縁は、手に対して縦方向であり且つ手の面に直交する平面に位置付けることができる。
【0027】
本発明は、幾つかの指部シェルを備える防水手袋を製造する方法であって、第1の舌部と、第2の舌部と、第3の舌部とを含むパターンに基づき、これら3つの舌部の隣接する縁によって該3つの舌部を共に繋ぎ合わせることによって指部シェルを形成するステップであって、その結果、第1の舌部は指部シェルの腹部を形成し、したがって第2の舌部及び第3の舌部は指部シェルの背面部及び側部を形成するステップと、隣接する縁に重なる防水ストライプを固定するステップと、指部シェルを、手袋の掌部及び甲部に固定するステップとを含む、方法も提供する。
【0028】
本発明の利点は、添付の図面を参照する以下の幾つかの実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1の実施形態による手袋指部のパターンの平面図である。
図2図1の手袋指部が組み立てられたものの斜視図である。
図3図2の指部が裏返しにされたものの斜視図である。
図4図2及び図3による幾つかの指部を含む手袋の底面図である。
図5図2及び図3による幾つかの指部を含む手袋の上面図である
図6】本発明の第2の実施形態による手袋指部のパターンの平面図である。
図7】組み立てられた図6の手袋指部の斜視図である。
図8】裏返しにされた図7の指部の斜視図である。
図9】2つの指部と掌部との間の接合部における手袋の一部分の底面図である。
図10図9の手袋の一部分の側面図である。
図11図9の手袋の一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、幾つかの指部シェルを含む外側シェルを備える通気性防水手袋を提案する。指部シェルは、第1の舌部と、第2の舌部と、第3の舌部とを備える。第1の舌部は指部シェルの腹部を形成し、第2の舌部及び第3の舌部は指部シェルの背面部及び側部を形成する。これらの舌部は、該舌部の隣接する縁によって共に繋ぎ合わされる。これらの隣接する縁に防水ストライプが重なると共に固定される。
【0031】
このような指部シェル構造は幾つかの利点を提供する。3次元の指部シェルは3つの舌部(tongue)の使用を通じて得られる。そのため、指部シェルは手の形態に良好に適合されている。さらに、3つの舌部は、指部シェルの縫い目の数及び複雑性を限定する。したがって、指部シェルを簡単に平らにすることができるため、防水ストライプの固定が簡単である。指部シェルは通常、縫い目の位置において20mmより長い長さ、好ましくは30mmより長い長さで平らにすることができる。
【0032】
したがって、防水シースは不要になる。このため、手袋のコストが低減され、指部の可撓性が向上する。さらに、指部シェルの腹部において、縫い目が一切存在しない。このため、指の触感及び屈曲能力が向上する。
【0033】
図1は指部シェル2を形成するのに使用される材料の単一片のパターンを示す。パターンは、第1の舌部21と、第2の舌部22と、第3の舌部23とを備える。舌部21〜舌部23は接合部25から延在する。舌部21〜舌部23の隣接する縁を共に繋ぎ合わせることによって、図2に示される指部シェル2の3次元形状が得られる。指部シェルの向きを強調するために、指部シェルの傍に指3が示される。
【0034】
舌部21の1つの縁が舌部22の1つの縁に重なる。舌部21の1つの縁が舌部23の1つの縁に重なる。舌部22の1つの縁が舌部23の1つの縁に重なる。これらの重なり合う縁は共に縫い合わされる。したがって、隣接する縁の各対は、指部シェル2の縦方向に延在する縫い目を呈する。顕著には縫い目51は指部シェル2の一方の側面において舌部21及び舌部22を繋ぎ合わせる。縫い目52は指部シェル2の背面部において舌部22及び舌部23を繋ぎ合わせる。縫い目52のこのような位置によって、単に舌部22及び23の幅をより大きなサイズに増大させることによって指部シェルの可変交差部を簡単に作製することができる。縫い目(図示せず)は指部シェル2の他方の側面において舌部21及び舌部23を繋ぎ合わせる。手袋の外観を向上させるために、縫い目は好ましくは手袋の内側に位置付けられる。
【0035】
図3は、裏返しにされたときの指部シェル2を示す。水に対して指部シェルを封止するために、隣接する縁には防水ストライプが重ねられる。舌部21及び22の隣接する縁に防水ストライプ41が重なると共に固定される。舌部22及び23の隣接する縁に防水ストライプ42が重なると共に固定される。舌部21及び23の隣接する縁に防水ストライプ(図示せず)が重なると共に固定される。防水ストライプは通常、接着層、例えば熱溶融性接着剤に覆われた織物から作製される。防水ストライプは隣接する縁に接触して融着される防水材料から作製することもできる。好ましくは、防水ストライプの接触面の全体が縁及び縫い目に接着する。
【0036】
この実施形態において、舌部21〜舌部23は共通材料から一体形成される。これによって縫い目の数が低減し、指部シェルの耐久性が増大する。この材料は、皮革若しくは適切な防水合成材料、又はさらには幾つかの異なる層を積み重ねたものとすることができる。
【0037】
有利には、接合部25は第1の舌部21と一体形成される。接合部25は第1の舌部21に折り重ねられる。したがって、接合部25は指部シェル2の先端の背面部を形成する。接合部25の隣接する縁と第1の舌部21の隣接する縁とが重なる。これらの縁は、舌部22及び23を共に舌部21に繋ぎ合わせる縫い目と同じ縫い目によって共に繋ぎ合わされる。これらの縁にも、上述した防水ストライプが重ねられる。第1の舌部21に対する接合部25の折り線が、指部シェルの末端に位置付けられる。したがって、指部シェル2の末端は平滑で、曲線的であり、且つ縫い目を有しない。これによってユーザの触感及び手袋の外観が向上する。接合部の折り線は、実際には縫い目51を延長したものである。このような接合によって、通常縫い目を形成することが困難である指先を平らにすることも可能になる。これによって、指先において防水ストライプを固定することがより簡単になる。図2において交差線によって示される横方向の縫い目を、概ね指の爪の根本の位置において終了させることが可能である。横方向の縫い目は、好ましくは指部シェルの末端の少なくとも10mm手前で終了する。
【0038】
見てとることができるように、いずれの縫い目も鋭角を形成しない。縫い目はほぼ直線である。したがって、直線状の防水ストライプを使用することができ、簡単に指部シェルに固定することができる。
【0039】
図1図3に示される指部シェル2は、左手の人差し指のために設計されている。舌部21において弧状の切り欠き211が形成される。同様に、舌部22において弧状の切り欠き221が形成される。舌部21及び22が共に繋ぎ合わされるとき、切り欠き211及び221は指部の叉の付け根の位置においてC字形状の縁を形成する。このC字形状の縁を、中指のために設計された指部シェルの対応する隣接する縁に固定することができる。
【0040】
図4及び図5は、それぞれ手袋1の底面図及び上面図である。隣接する指部シェル2が共に繋ぎ合わされる。指部シェル2は、掌部6及び甲部7に、それぞれの縫い目56及び縫い目57によって固定される。防水ストライプ(図示せず)は、手袋の内側に位置付けられ、縫い目56及び57を覆う。
【0041】
手袋1は、耐熱性を向上させるために、外側シェルの内側に詰め物(図示せず)を含むことができる。詰め物はユーザの手を収容する内部容積の境界を画する。詰め物は、たとえば接着によって外側シェルに固定される。
【0042】
図6図8は指部シェル構造の別の実施形態を示す。図6に示されるパターンによって、材料歩留まりが大幅に向上する。これは、舌部21〜舌部23がほとんど直線状であり、切り欠きによって得ることができるためである。舌部21は皮革から作製されるのに対し、舌部22及び23は防水織物から作製される。接合部25は、有利には第1の舌部と一体形成される。したがって指部シェル2の先端24には繋ぎ合わせる縫い目がなく、これによってユーザの触感が増大する。舌部22及び23は縫い目54によって接合部25に固定される。図8に示されるように、縫い目54は、手袋1の内側に位置付けられる防水ストライプ44によって覆われている。
【0043】
図9図11は、隣接する指部シェルを指部の叉の付け根において共に固定することを示す。指部シェル2a及び2bは、手袋の甲部7に固定される。指部シェル2a及び2bは、指部の叉の付け根において縫い目55によって共に縫い合わされる重なり合う縁を有する。これらの縁は共に、指部の叉の付け根の形態に適合するためにC字形状をしている。垂直平面に手を置いた状態で見ると、これらの縁は指部の叉の付け根の下の掌部から、該指部の叉の付け根の下の外側シェルの甲部へ延在する。これらの縁は好ましくは指部の叉の付け根の少なくとも5mm上、好ましくは少なくとも10mm上、最も好ましくは少なくとも15mm上から始まる。図示されるように、封止構成要素8が手袋の内側に位置付けられ、縫い目55及びC字形状の縁を取り囲む。封止構成要素8は防水材料から作製される。防水テープはC字形状の縁に合致させるのに不適切である場合があるため、封止構成要素8は好ましくは、熱溶融性接着剤から作製される2つのC字形状のストライプ81及び82から作製される。ストライプ81及び82は、好ましくは同じ形状を有する。顕著にはC字形状のストライプ81及び82はウレタンから作製することができる。各ストライプ81又は82は、C字形状の縁及び縫い目55を覆う部分と、他方のC字形状のストライプの部分を覆う部分とを有する。組立てプロセスの間、ストライプ81及び82は、共に繋ぎ合わせられ且つそれぞれのC字形状の縁に繋ぎ合わせられるまで加圧及び加熱される。ストライプ81及び82が繋ぎ合わせられると、ユーザの指部の叉の付け根を傷つけないようにするために、突起部分が縁のうちの1つの上に折り返され、再び熱加圧される。C字形状の縁を画定する舌部が共に繋ぎ合わせられた後、ストライプ81及び82が指部シェル2a及び2bに固定される。
【0044】
2つのC字形状のストライプ81及び82から作製された封止構成要素8によって、指部シェルを指部の叉の付け根において固定することが遥かに簡単になる。ストライプ81及び82の固定をさらに容易にするために、C字形状の縁は、手の面に直交する平面に位置付けられる。この平面は、好ましくは手に対して縦方向である。
【0045】
適切な加圧・加熱器具は、好ましくはストライプ81及び82が互いに重なる部分の幅を制限する形状を有する。したがって、封止構成要素8はユーザの指部の叉の付け根を傷つける可能性の低い形状及び接触面を有する。
【0046】
指部シェル2a及び2bは、有利には2つの重なり合う層を備える。外側の層は、掌握力及び耐磨耗性を提供するために皮革から作製することができる。内側の層は、防水通気性織物とすることができ、それによって耐候性がもたらされると共に汗が排出される。舌部23aは内側の織物層232aと、外側の皮革層233aとを備える。舌部21aは内側の織物層212aと、外側の皮革層213aとを備える。舌部21a及び23aは縫い目53aによって共に繋ぎ合わされる。舌部21bは、内側の織物層212bと、外側の皮革層213bとを備える。舌部21b及び22bは縫い目51bによって共に繋ぎ合わされる。
【0047】
手袋を構成する種々のパネルの縫合は、任意の他の接着方法、例えば溶接、糊付けによって置き換えることができる。
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