(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694663
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】多層シートから熱成形された歯科用器材
(51)【国際特許分類】
A61C 7/08 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
A61C7/08
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2009-525645(P2009-525645)
(86)(22)【出願日】2007年8月23日
(65)【公表番号】特表2010-501261(P2010-501261A)
(43)【公表日】2010年1月21日
(86)【国際出願番号】US2007018765
(87)【国際公開番号】WO2008024482
(87)【国際公開日】20080228
【審査請求日】2010年7月9日
【審判番号】不服2013-12464(P2013-12464/J1)
【審判請求日】2013年7月1日
(31)【優先権主張番号】60/823,278
(32)【優先日】2006年8月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590004464
【氏名又は名称】デンツプライ インターナショナル インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100102808
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 憲通
(74)【代理人】
【識別番号】100128646
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 恒夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100134393
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ,ダン
【合議体】
【審判長】
河原 英雄
【審判官】
山口 直
【審判官】
蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−355352(JP,A)
【文献】
実開平7−42647(JP,U)
【文献】
特開平4−28359(JP,A)
【文献】
特開2006−81747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 1/00-19/10
A63B 71/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱成形可能な材料の少なくとも2つの層を含み、
第1の組合せの特性を有する第1の材料からなる第1の層が、該歯科用器材の第1の主要面を供し、
且つ第2の組合せの特性を有する該第1の層と異なる第2の材料からなる第2の層が、該歯科用器材の反対側の第2の主要面を供し、
該第1の層と第2の層の、熱成形前の厚さの合計が0.25mm〜5mmであり、
該第1の材料が変形可能で、且つ歯科用器材に使用するのに適した特性を有する熱可塑性材料又は弾性材料であり、該熱可塑性材料又は弾性材料がコポリエステル、エチルビニルアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、低密度ポリエチレン、又は高密度ポリエチレンのうちの一つであり、第2の材料がコポリエステルエーテルであり、該コポリエステルエーテルがシクロヘキサンジカルボン酸、エチレングリコール及びシクロヘキサン−l,4−ジメタノールのコポリマーであり、
該第1の主要面が患者の歯牙に面する内面を構成し、
該第2の主要面が患者の口腔内組織に面する外面を形成する、
ことを特徴とする熱成形した歯科用器材。
【請求項2】
該第1の層と該第2の層からなる多層シートから製造した、請求項1に記載の熱成形した歯科用器材。
【請求項3】
該第1の層と第2の層の、熱成形前の厚さの合計が0.25mm〜1mm未満である、請求項1に記載の熱成形した歯科用器材。
【請求項4】
熱成形可能な多層シートを準備する工程と
その後、該多層シートを熱成形して歯科用器材を形成する工程とを含む歯科用器材を製造する方法であって、該多層シートが、多層シートの第1の主要面を供する第1の層であって、第1の組合せの特性を有する第1の材料からなる層と、該多層シートの反対側の第2の主要面を供する第2の層であって、第2の組合せの特性を有する、該第1の材料と異なる第2の材料からなる層とを含み、
該第1の層と第2の層の、熱成形前の厚さの合計が0.25mm〜5mmであり、
該第1の材料が変形可能で、且つ歯科用器材に使用するのに適した特性を有する熱可塑性材料又は弾性材料であり、該熱可塑性材料又は弾性材料がコポリエステル、エチルビニルアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、低密度ポリエチレン、又は高密度ポリエチレンのうちの一つであり、第2の材料がコポリエステルエーテルであり、該コポリエステルエーテルがシクロヘキサンジカルボン酸、エチレングリコール及びシクロヘキサン−l,4−ジメタノールのコポリマーであり、
該第1の主要面が患者の歯牙に面する内面を構成し、
該第2の主要面が患者の口腔内組織に面する外面を形成する、
ことを特徴とする歯科用器材を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的に歯科用器材に関し、より詳細には熱成形された歯科用器材に関する。
【背景技術】
【0002】
矯正歯科技工所及び他の歯科技工所は、担当の矯正歯科医又は歯科医によって提供される治療計画及び処方箋に従って個々の患者に歯科用器材をカスタム製作する業務を提供している。例えば、初期の不正咬合といった患者の口腔構造の注入して硬化させた石材レプリカは典型的に、技工所で使用するために医者によって準備される。
【0003】
技工所の歯科技工士は初めに、モデルに伴わずに偏位した歯牙及び隣接する歯牙を切削することによって石材モデルを修正する。次に、技工士は、半固定状態でモデル上にある歯牙の位置を、医者によって特定され且つ医者の診断及びその後の治療計画によって確定される所望の理想的な位置に動かす。石材モデルをこのように修正又は「補正」した後、モデルは器材形成機内に置かれる。熱成形可能な弾性材料のシートは典型的に、石材モデル(複数可)上に「吸引される(sucked-down)」か、又はプレスされる。
【0004】
ビニル系材料及びオレフィン系材料を含む種々の熱成形可能なプラスチックの薄層シートの使用は、多くの現行の器材に応用されている。加圧、減圧及び加熱の迅速な使用を伴う効率的な形成プロセスを伴うこの使用は、従来の成形プロセス及び鋳造プロセスに取って代わっている。シート状及び約1mm(熱成形前)の厚さのポリプロピレンを含むこれらの材料の使用は、天然ゴム、医療規格のウレタン、シリコーン及びビニルシリコーン種の材料により必要とされてきたように、圧力フラスコ内における混合、触媒及び硬化、並びに任意選択的に熱硬化といった多大な時間を要する工程を排除するものである。
【0005】
例えばポリプロピレン(PP)は化学的に非反応性であり且つ十分に生体適合性であるため、歯科用器材を作製するのに使用されることが多い。しかしながら、PPのみでは、経時的な塑性クリープを示し、結果として低度であるが器材形状の望ましくない変化をもたらし、また患者によって望まれる透明度を損なう可能性がある。同様に、熱成形によって歯科用器材を作製するためのPPの特徴は、適切であるが、整合性の高い精密な製品にとっては完全なものではない。このため、歯科医及び患者によって要求される整合性の高い高品質の器材の費用対効果の高い製造に支障をきたすおそれがある。
【0006】
より良好な熱成形特徴は、歯科用器材を作製するのにも使用される医療規格のコポリエステルシートに見られる。しかしながら、コポリエステルシートのみから成る歯科用器材は、経時的に脆性となる傾向にある。結果として、歯ぎしりする傾向にあるこのような器材を装着している患者は、器材に向かって又は器材全体にわたって歯ぎしりするため、器材の有効性を下げるか又は失うおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
異なる材料の多層シートを用いて、歯科用器材に望ましい機械特性を有すると共に、歯科用器材を高品質で整合性良く作製させる熱成形特徴の型も示す歯科用器材を作製することができることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例示的な実施の形態によれば、歯科用器材は、それぞれ異なる材料から成る少なくとも2つの層を有する熱成形可能な材料を含む。第1の層の材料は、第1の組合せの特性を有し且つ器材の第1の表面を形成し、第2の層の材料は、第2の組合せの特性を有し且つ器材の反対側の第2の表面を形成する。層はそれぞれ2つの主要面を有する。第1の層及び第2の層は共通の接合面を有し、一方の層は歯牙と反対の方向に向いた主要面を有し、他方の層は歯牙側に向いた主要面を有する。
【0009】
本発明の別の例示的な実施の形態では、歯科用器材を製造する方法も提供される。当該方法は、好ましくは共押出によって上記のような少なくとも2つの層を有する熱可塑性材料のシートを準備すること、及びその後、シートを熱成形することであって、歯科用器材を形成する、熱成形することを含む。
【0010】
本発明の例示的な実施の形態の一利点としては、単一材料のシートよりも機械特性と熱成形特性との良好な組合せを有する、異なる材料の多層シートから成る熱成形された歯科用器材を提供することが含まれる。
【0011】
本発明の或る特定の例示的な実施の形態の別の利点は、歯科用器材に用いられる多層シートの厚さが、熱成形された歯科用器材に用いられる単層材料のものに匹敵する点である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の例示的な一実施形態による歯科用器材を示す図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態による歯科用器材を形成するのに用いられる共押出しされたシートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書中で用いられる場合、「歯科用器材」とは、ワイヤ等のさらなる構成要素と共に又はさらなる構成要素なしに歯科用途で用いるために形成され得る任意の装置を意味し、ほんの一例として、アライナ、矯正具(positioners)、ナイトガード、保持具、固定具(splints)、漂白トレイ、及び前歯部ブリッジが挙げられる。
図1は、本発明の一実施形態による例示的な歯科用器材5を示す。歯科用器材5は、装着したときに患者の口腔内組織、並びに患者の口腔に入る任意の食品又は飲み物に曝される第1の表面、即ち外面15を有する。歯科用器材5の第2の表面、即ち内面25は、患者の歯牙の1つ又は複数の表面に接するように配置される。
【0014】
歯科用器材5は、
図2に示されるような多層シート10から成る。多層シート10は、第1の材料の第1の層100と、第1の材料と異なる第2の材料の第2の層200とを備える。多層シート10は、第1の層100の第1の表面110によって成る第1の表面11と、第2の層200の第1の表面210によって成る反対側の第2の表面12とを有する。多層シート10の第1の表面11は、歯科用器材の製造プロセス中に配置されて、歯科用器材5の外面15又は内面25のいずれか一方を形成し得る。これにより、シートの反対側の第2の表面12は歯科用器材5の反対面25を形成する。
【0015】
多層シート10中の第1の層100は、加熱又は加圧下で永久変形可能であり且つ歯科用器材に使用するのに適した特性を有する任意の熱可塑性材料又は弾性材料であり得る。例えば、熱成形プロセス中に硬化し得る熱硬化性材料を使用してもよい。「永久変形可能」とは、材料が高圧及び/又は高温条件下で所望の形状に成形することができ且つ口腔内で受ける一般的な条件下でその形状を実質的に維持することを意味するが、材料を高圧及び高温に曝しても新たな別の形状へと永久変形が起きないと一概に意味するものではない。歯科用器材に使用するのに望ましい特性としてはほんの一例として、透明度、靭性及び生体適合性が挙げられる。コポリエステルは、厳密に整合する熱成形された歯科用器材を提供する特徴を有し、第1の層100として使用されるのに特に好適な材料であると考えられる。第1の層100として使用される他の例示的な材料としては、エチルビニルアセテート(EVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
【0016】
多層シート10中の第2の層200は、第1の層材料と異なる組成である、加熱又は加圧下で永久変形可能な任意の熱可塑性材料又は弾性材料であり得る。第2の層材料はまた、歯科用器材中に使用される好適な特性を有し、且つ第1の層材料に匹敵するか又は等しい熱膨張率を有するものとする。そうでなければ、歯科用器材5を作製するための続く熱成形プロセスによって、一方の層が別の層に対して不均一に収縮し、低品質又は望ましくない歯科用器材をもたらし得る望ましくない縮れ又はしわが生じるおそれがある。第2の層200に好適な一材料としては、コポリエステルエーテルが挙げられるが、第1の層材料と異なる組成のコポリエステルを使用してもよい。第2の層200として使用される他の例示的な材料としては、エチルビニルアセテート(EVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられ、ゴム化(rubberizing)添加剤を含むか又は含まない高分子材料のブレンドも挙げられ得る。
【0017】
或る特定のコポリエステルは、優れた熱成形特性を有し得るが、望ましい機械的特徴を有し得ないため、第2の層200として選択される材料は、所望の特性の組合せを有する多層シート10を提供するように機械特性に関して選択され得る。逆に、第2の層200について選択される材料が良好な機械特性を有する場合には、第1の層100用の材料が熱成形特徴に関して選択されるのであれば、第2の層200について選択される材料は比較的良好な熱成形特性を必ずしも有する必要はない。
【0018】
多層シート10が共押出によって作製される好ましい実施形態では、2つの層100及び200の材料は、押出動作に対して互いに適合性であるか、又は当業者に既知の適合剤の添加によって適合性となり得るものとする。
【0019】
シート10は多層であるため、また層100及び200が異なる特性を有するため、層100及び200の各々について選択される材料は、或る層が歯牙表面と主に接触するか(即ち、この層は歯科用器材5の内面25を提供する)、それとも、この層が口腔内の軟部組織と主に接触するか(即ち、この層は歯科用器材5の外面15を提供する)に応じて選択され得る。当然のことながら、異なる材料は、異なる高分子種(例えば、コポリエステルに対してコポリエステルエーテル)を有していても、又は同様の種であってもよいが、異なる組成(例えばコポリエステルAに対してコポリエステルB)を有するものであり得る。
【0020】
本発明において好ましい実施形態によれば、シート10は、コポリエステル/コポリエステルエーテル共押出シートであり、より詳細にはMedstar及びEcdelの層を有する共押出シートである。「Medstar」は、Eastman Chemical Co.(Kingsport, Tenn)から市販されているコポリエステルに対する商標である。「Ecdel」は、同様にEastman Chemicalから市販されている、シクロヘキサンジカルボン酸、エチレングリコール及びシクロヘキサン−l,4−ジメタノールのコポリマーに対する商標である。
【0021】
本発明において好ましい実施形態によれば、多層シート10は共押出によって作製されるが、多層シート10を形成するのに化学的結合技法及び/又は機械的結合技法を使用してもよい。化学的結合技法及び/又は機械的結合技法としては、ほんの一例として、接着剤、表面張力、接合要素を使用すること、又は一層が別の層にしっかりと接続するような蟻継ぎ等の表面仕上げを行うことが挙げられる。
【0022】
異なる材料の2つ以上の層のシートを共押出しする技法は、当業者にとって既知である。本発明の例示的な実施形態によれば、共押出プロセスに用いられる成形型(複数可)の大きさ及び寸法を変えて、約0.25mm〜約5mm、より好ましくは約1mm未満、さらに好ましくは約0.875mm未満の総厚(熱成形前)を有する多層シート10が作製される。多層シート中の各層の厚さは典型的に等しいが、相対厚さは様々な値をとり、一方は約70%〜約90%もの相対厚さをとり、他方は約10%〜約30%の相対厚さをとり得る。
【0023】
図2を参照して、第1の層100の反対側の第2の表面120を、第2の層200の反対側の第2の表面220に対面させて配置する。当然のことながら、シート10は、層100及び200が接合面150で互いに直に接触するように押出され得る。代替的に、結合剤又は接着剤を、2つの層100及び200の間に介在させて、層の互いに対する接着を化学的又は機械的に高めて、1つのシート10を作製してもよい。
【0024】
さらに当然のことながら、3つ以上の層を使用してもよいが、全体シート厚さは上記のままでなければならない。任意の次の層について選択される材料は、任意の他の層に用いられる材料と同じであっても又は異なっていてもよいが、異なる材料の少なくとも1つの層は典型的に、同じ材料の任意の2つの層の間に介在させる。実施形態によっては、生体適合性ではないが特に望ましい他の特徴を有する材料の介在層を、例えば結合層としてさらに使用してもよく、この介在層を、生体適合性である2つの外層の間に挟持することによって、介在する材料の生体不適合性は打ち消される。
【0025】
多層シート10を作製したら、例えば、それを、当業者に既知であるような方法で最終形状に熱成形することによって歯科用器材5の製造に使用し得る。一般的に、熱成形は、石材モデル上に配置させて多層シート10を加圧、加熱及び/又は減圧の組合せに付すことによって達成され、これにより、シート10をモデル形状に合致させて歯科用器材5を作製する。カスタム器材は、歯科用器材を用いる特定の患者の口腔モデルを準備することによって作製され、この石材モデルは患者の実際の口腔のモデルであってもよく、又は例えばアライナの場合、石材モデルは、実際の口腔が経時的に合致すると予想される、技工士によって作製されるわずかに改良した患者の口腔型であってもよい。
【0026】
多層シート10は典型的に、互いに異なる特徴を有する2つの表面11及び12を有するため、熱成形に備えてシート10を石材に整合させたら、歯牙に主に接触する層は、歯科用器材5の内面25を形成するように、石材に接するように配置されるものとする。言い換えると、多層シート10の第1の表面11(即ち、第1の層100の外面110)が、歯科用器材5の外面15に対応するか又は内面25に対応するかは、第1の層100について選択される材料が、患者の歯牙表面と接するのに適するか又は離した方が良いのかに応じて決まる。例えば、多層シート10がMedstarの第1の層100と、Ecdelの第2の層200とを有する
図1aに示される好ましい実施形態によれば、Medstar材料(即ち、第1の層100)が歯科用器材5の内面25を形成すると共に、Ecdel材料(即ち、第2の層200)が歯科用器材5の外面15を形成するように、シート10を配置して、製造プロセスが実行される。
【0027】
場合によっては、任意の単一歯科用器材5を作製するのに通常使用されるものよりも大きい寸法の多層シート10を作製することが経済的であり得る。このため、多層シート10を大型ロール、又は技工士によってより小さい切片へと切断され得るシート形態で提供してもよい。代替的に、多層シート10は、熱成形装置の1つ又は複数の特定モデルで用いられる製造プロセス及び包装プロセスの一部として個々のサイズの切片へと切り分けられ得る。より小さい多層シート10が互いに固着するのを防ぐために、また運搬中の損傷を防止するために、保護膜をシート10の各表面11及び12に着脱可能に取り付けてもよい。
【0028】
上記明細書では例示的な実施形態を例示及び記載しているが、本発明の範囲を逸脱しない限り種々の変更が為され得ること、及び等価物をその構成要素の代わりに使用し得ることは、当業者によって理解されるであろう。さらに、本質的な範囲を逸脱しない限り、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合するように多くの変更形態を作製することができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために検討された最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲内にある実施形態を全て含むことを意図している。