【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の表示装置、たとえば液晶表示装置の基板1の面に形成される薄膜トランジスタTFTの構成を示す断面図である。薄膜トランジスタTFTは、そのゲート電極が半導体層に対して下方に配置される層として形成される、いわゆるボトムゲート型となっている。また、
図1において基板1は、液晶を挟持して配置される一対の基板のうちの一方の基板となっており、この明細書において、その表面は液晶側の面をいう。
【0020】
図1において、基板1の表面にゲート電極配線2が形成されている。このゲート電極配線2は薄膜トランジスタTFTの形成領域において該薄膜トランジスタTFTのゲート電極として機能する。
【0021】
基板1の表面には、ゲート電極配線2をも被ってゲート絶縁膜3が形成されている。このゲート絶縁膜3は、たとえばSi酸化膜からなり、
図1の点線枠の部分の拡大
図Qに示すように、下層のゲート絶縁膜3aに対して上層のゲート絶縁膜3bは高濃度の水素が含有されている。
【0022】
ゲート絶縁膜3上に薄膜トランジスタTFTの形成領域には島状の半導体膜4が形成されている。半導体膜4はゲート電極配線2を跨ぐようにして形成される。この半導体膜4は、たとえばSiGeからなり、拡大
図Qに示すように、前記ゲート絶縁膜3bの界面において半導体結晶核4aが形成され、この半導体結晶核4aの上層は多結晶膜4bとなっている。なお、前記半導体膜4は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)のうち少なくも一方からなっていてもよい。
【0023】
半導体膜4の表面には、平面的に観て、ゲート電極配線2と重畳する部分を間にし、ゲート電極配線2の一方の側の部分にソース電極配線6aが形成され、ゲート電極配線2の他方の側の部分にドレイン電極配線6bが形成されている。ソース電極配線6aは、ドレイン電極配線6b側の端部においてゲート電極配線2と重畳され、半導体膜4の形成領域からゲート絶縁膜3上に延在されて形成されている。ドレイン電極配線6bは、ソース電極配線6a側の端部においてゲート電極配線2と重畳され、半導体膜4の形成領域からゲート絶縁膜3上に延在されて形成されている。
【0024】
なお、薄膜トランジスタTFTにおけるドレイン電極配線およびソース電極配線は、バイアスの印加状態で名称が変化するが、この明細書においては、説明の便宜上、図中左側の電極配線をソース電極配線、右側の電極配線をドレイン電極配線と称する。
【0025】
また、ソース電極配線6aと半導体膜4の界面には、前記半導体膜4に高濃度の不純物をドープして形成されるコンタクト層5aが形成され、ドレイン電極配線6bと半導体膜4の界面には、前記半導体膜4に高濃度の不純物をドープして形成されるコンタクト層5bが形成されている。なお、図中、半導体膜4の表面であってソース電極配線6aとドレイン電極配線6bの間の部分には凹陷部が形成されている。これは、薄膜トランジスタTFTの製造において、たとえばソース電極配線6aとドレイン電極配線6bをマスクとして、これらソース電極配線6aとドレイン電極配線6bの間の高濃度の不純物層をエッチングし、コンタクト層の分離を図る工程を経ることによる。
【0026】
基板1の表面には、上述のように構成した薄膜トランジスタTFTをも被って保護膜7および保護膜8が形成されている。保護膜7はたとえばSiN等の無機絶縁膜によって構成され、保護膜8はたとえば樹脂等の有機絶縁膜によって構成されている。保護膜8はその表面を平坦化できる効果を奏する。
【0027】
保護膜8の上面にはたとえばITO(Indium Tin Oxide)からなる画素電極9が形成され、この画素電極9は、保護膜8、保護膜7に形成したスルーホールTHを通して前記薄膜トランジスタTFTのドレイン電極配線6bに電気的に接続されている。
【0028】
なお、基板1の表面には、画素電極9をも被って配向膜(図示せず)が形成されている。この配向膜は液晶と接触する膜となっており、液晶の分子の初期配向方向を規制するようになっている。
【0029】
図2ないし
図5は上述した構成の製造方法を示す工程図である。この工程図は、薄膜トランジスタTFTの形成に至るまでを描画し、保護膜7、保護膜8、および画素電極9の形成を省略している。以下、工程順に説明する。
【0030】
まず、
図2に示すように、たとえばガラスからなる基板1を用意し、この基板1の表面にゲート電極配線2を形成する。たとえばNb、Mo、W、Ta、Cr、Ti、Fe、Ni、Co、Al、Cu等からなる金属膜をスパッタリング法により形成し、フォトリソグラフィ技術による選択エッチングによって前記ゲート電極配線2を形成する。厚さとしてはたとえば100nmが適当である。
【0031】
次に、
図3に示すように、基板1の表面に、ゲート電極配線2をも被ってゲート絶縁膜3を形成する。ゲート絶縁膜3は、たとえばSiO、SiN、SiON等からなり、たとえばプラズマCVD法、スパッタリング法によって形成する。また、プラズマ酸化、光酸化等を併用することもできる。膜厚はたとえば50〜300nmとし、これにより、ゲート電極配線2によって反映される段差を小さくし、また絶縁膜としての耐圧を確保する。
【0032】
ここで、ゲート絶縁膜3は、ゲート絶縁膜3aとゲート絶縁膜3bの順次積層膜からなり、ゲート絶縁膜3bは高濃度の水素を含んだ層となっている。ゲート絶縁膜3bの膜厚をdnm、ゲート絶縁膜3b中の水素濃度をN
Hcm
-3とした場合、次式(1)の関係が成立するように水素が含有されている。
【0033】
d×N
H≧1×10
14cm
-2 …… (1)
ゲート絶縁膜3b中への水素の含有は、たとえば、プラズマCVD法によって成膜する際に成膜中の雰囲気に水素を供給することによって行うことができる。また、他の方法として、成膜後に水素化処理を行ってゲート絶縁膜3b中に水素を取り込ませることができる。ここで、水素化処理として、たとえば原子状水素あるいは水素プラズマの雰囲気中でアニール(基板温度300〜350℃、圧力約1torr)する方法がある。
【0034】
次に、ゲート絶縁膜3上に半導体結晶核4aの形成を行う。半導体結晶核4aとしては例えばSiGe結晶核を形成し、この形成には、半導体水素化ガスとハロゲン化ガスの酸化還元反応による反応性熱CVD法を利用する。反応性熱CVDとは、半導体水素化ガスとハロゲン化ガスを基板表面上で化学反応させて、基板上に、直接、多結晶性の膜を生成する方法である。
【0035】
ここで、供給する半導体水素化ガスとしてはSi
nH
2n+2(n>1)を用いることができる。ただし、反応性熱CVD法により形成する膜の結晶性向上には原料ガスの気相反応を抑制する必要があることから、低温での成膜を実現するには、Si
nH
2n+2(n>1)には例えば反応性の高い高次のSi
2H
6の使用が望ましい。ハロゲン化ガスとしては例えばGeF
4を使用すればよい。この他に、ガスの組み合わせは、例えばシラン類とゲルマン(GeH
4)とF
2、さらにGeH
4とSiF
4等でも可能である。ガス流量比は、例えばSi
2H
6とGeF
4を用いた場合、Si
2H
6が1に対してGeF
4は例えば0.005〜2とすればよい。成膜圧力は、結晶核を一定以上の形成レートで発生させるために10Paから10000Pa程度とする。このため、成膜中には例えばHe、Ar、H
2といったキャリアガスを導入する。これらの中で例えばHeを選択すれば、Si
2H
6とHeの流量比としては例えば1:10〜5000と設定すれば好適である。成膜温度は、核形成の生じる300℃以上とし、気相反応による膜結晶性の悪化を防ぐため、600℃以下とすれば好適である。成膜条件の一例は、Si
2H
6流量:0.5sccm、GeF
4流量:0.5sccm、He流量:1000sccm、基板温度500℃、全圧1300Paである。反応性熱CVDによって、ゲート絶縁膜3上に形成されるSiGeからなる結晶核4aの大きさは、次に成膜する半導体膜4bで良好な結晶性を実現するために下限は10nmであり、一方、表面凹凸の増大を抑制するために上限は200nm以下とするのが好適である。形成されるSiGe結晶核のGe組成比は、SiとGeは全率固溶であることから0〜100%とすることができる。
【0036】
そして、引き続いて半導体膜4bを形成する。この場合、半導体膜4bは半導体結晶核4aをシード(種)として成長する。半導体膜4bは、SiまたはSiGeからなり、微結晶膜あるいは多結晶膜として形成される。ここで、微結晶膜とは粒径1〜30nmの微小な結晶粒から構成された膜をいう。また、多結晶膜とは粒径30nm以上の結晶粒から構成された膜をいう。
【0037】
半導体膜4bの成膜条件は半導体結晶核4aの成膜条件と同じでよい。ただし、例えばSi
2H
6の流量を1.5sccmに増やしても、下地が半導体結晶核4aであることから結晶成長させることは可能である。半導体膜4bの膜厚は、半導体結晶核4aの膜厚を加えて100〜300nmとするように調整するのが好ましい。これは、後段の工程において、半導体膜4にソース電極配線およびドレイン電極配線をマスクとしてエッチングを施す必要があり、これによってトランジスタ特性を維持できないほど半導体膜4が薄くなってしまうのを回避するためである。
【0038】
ここで、
図6は、半導体膜4中におけるGe組成比のグラフを示し、
図1のA−A’線に沿った分布を示している。横軸は深さ(nm)を、縦軸はGe組成比(%)をとっている。また、横軸においては、半導体膜4b、半導体結晶核4a、絶縁膜3b、絶縁膜3aの位置を対応づけて示している。
【0039】
半導体結晶核4aは、上記の成膜条件で形成しており、半導体膜4bの形成条件はSi
2H
6流量を1.5sccmとし、他は前記成膜条件と同じである。
図6において、半導体結晶核4aは、Ge組成比が約20%のSiGe結晶核となっている。さらに、半導体膜4bは、Ge組成比が約15%程度のSiGe膜となっている。反応性熱CVD法による成膜では、半導体結晶核4aと半導体膜4bとを比較すると、半導体結晶核4aの方がGe組成比が高くなっている。半導体結晶核4aでGe組成比が高いのは、下地の層であるゲート絶縁膜3bの表面に形成されているSi原子−H原子結合においてSi
2H
6よりもGeF
4の方が反応しやすいからである。そして、この反応によって生じたGeが集まることにより、Ge組成比の高い半導体結晶核4aとして形成される。しかし、半導体結晶核4aおよび半導体膜4b中のGe組成比は上記の値に限定されるものではなく、原料ガスの例えばSi
2H
6とGeF
4の流量比や成膜温度の調整により、種々の値に制御されることになる。
【0040】
また、
図7は、半導体膜4および絶縁膜3における水素濃度のグラフを示し、
図1のA−A’線に沿った分布を示している。横軸は深さ(nm)を、縦軸は水素濃度をとっている。また、横軸においては、半導体膜4b、半導体結晶核4a、絶縁膜3b、絶縁膜2aの位置を対応づけて示している。
図7から明らかとなるように、水素濃度は絶縁膜3bにおいて10×10
20cm
-3となっており、絶縁膜3a中の水素濃度よりも多くなっている。
【0041】
そして、
図4に示すように、半導体膜4上に、たとえばプラズマCVDを用いて、n
+Si膜からなる高濃度半導体層5を形成する。高濃度半導体層5の成膜条件は、たとえばプラズマ周波数13.56MHzを用い、水素希釈した10%のモノシラン(SiH
4)を100sccm供給し、基板温度200℃、ガス圧力133Paと設定し、追加でn型のドーピングガスとしてホスフィン(PH
3)、またはその水素希釈ガス(PH
3/H
2)を供給すればよい。不純物のドーピング濃度は、n
+Si膜の膜厚を20nm程度として、低抵抗なコンタクト層を形成するために1×10
17cm
−3以上とし、またドーパント原子のクラスタリングや偏析による結晶性の悪化と高抵抗化を抑制するために1×10
22cm
−3以下とすることが望ましい。この後、フォトリソグラフィ技術による選択エッチングを行うことによって高濃度半導体層5、半導体膜4からなる積層膜を島状に加工する。
【0042】
さらに、
図5に示すように、基板1の表面に、たとえばスパッタリング法を用いて金属膜を形成する。この金属膜の材料としては、たとえばNb、Mo、W、Ta、Cr、Ti、Fe、Ni、Co等を用いる。また、これらの金属の合金、これらの金属の積層膜を用いることができる。また、プロセスの上限温度を低下させるために、AlやCu等の低抵抗金属を用いることもできる。金属膜の膜厚は、配線抵抗低減のため500nm程度で形成する。そして、前記金属膜をフォトリソグラフィ技術による選択エッチングし、ソース電極配線6aおよびドレイン電極配線6bを形成する。さらに、ソース電極配線6a、ドレイン電極配線6bをマスクとし、これらソース電極配線6a、ドレイン電極配線6bから露出された高濃度半導体層5の全部、およびこの高濃度半導体層5の下層の半導体層4の表面側の一部をエッチングする。これによって、前記高濃度半導体層5を、ソース電極配線6aと半導体層4との界面に介在されるコンタクト層5aとして形成し、ドレイン電極配線6bと半導体層4との界面に介在されるコンタクト層5bとして形成する。これにより薄膜トランジスタTFTが形成される。
【0043】
その後は、
図1に示すように、基板1の表面に、薄膜トランジスタTFTをも被って、たとえばSiN膜からなる保護膜7をプラズマCVD法で形成する。膜厚はたとえば500nmである。次いで、保護膜7上にたとえば有機樹脂から成る保護膜8を形成する。この後、フォトリソグラフィ技術による選択エッチングによって保護膜8と保護膜7にコンタクトホールTHを形成し、薄膜トランジスタTFTのドレイン電極配線6bの一部を露出させる。そして、基板1の表面に、たとえばITO(Indium Tin Oxide)膜をスパッタリング法によって形成し、このITO膜をフォトリソグラフィ技術による選択エッチングをすることにより画素電極9を形成する。画素電極9の膜厚はたとえば100nm程度が好適である。
【0044】
図8は、液晶表示装置の断面を示す図で、
図1に示した基板1とともに、この基板1と液晶27を介して対向配置される基板25をも示している。基板1の液晶27に接触する面には画素電極9をも被って配向膜20が形成されている。配向膜20は液晶27の分子の初期配向を規制するための膜である。基板25の液晶側の面には、カラーフィルタ層21、オーバーコート層22、ITO膜からなる対向電極23、配向膜24が順次形成されている。基板1と基板25の間にはスペーサ26が配置され、このスペーサ26によって基板1と基板25との間のギャップを均一化し、ひいては液晶27の層厚の均一化を図っている。
【実施例3】
【0047】
図10は、本発明の表示装置の実施例3を示す説明図である。
図10は、
図7と対応させて描画した図で、
図1のA−A’における水素濃度プロファイルを示している。
【0048】
図10において、
図7の場合と比較して異なる構成は、半導体結晶核4aにおける水素濃度が1桁高くなっている(1×10
20cm
−3)ことにある。この実施例3において、半導体結晶核4aは、たとえばSi
2H
6−GeF
4系の反応熱性CVDを用いることにより、たとえば450〜500℃で形成する。この温度によって半導体結晶核4aを形成する際は、下地の絶縁膜3bに含まれている水素が脱離し、この水素を半導体結晶核4aに取り込ませることができる。ここで、
図10に示した水素濃度プロファイルをSIMSにより調べた結果を
図11に示す。
図11には、Ge組成比も併せ示している。Si酸化膜(絶縁膜3b)における水素濃度はほぼ1×10
21cm
−3である。さらに、SiGe結晶核(半導体結晶核4a)中にも約1×10
20cm
−3以上の水素が取り込まれていることが判る。なお、この水素濃度において、Si酸化膜(絶縁膜3b)とSiGe結晶核(半導体結晶核4a)の界面における約3×10
21cm
−3というピーク濃度はSIMS分析により高めに見積もられた値であり、実際の濃度とは異なる可能性がある。この結果から、絶縁膜に水素を含ませることにより、反応熱性CVDによる成膜時の水素脱離を利用して、SiGe結晶核(半導体結晶核4a)中に水素を取り込ませることが可能なことが判る。また、Ge組成比プロファイルから、Geは、SiGe結晶核(半導体結晶核4a)中では約23%、微結晶SiGe膜中では約17%となっており、SiGe核中の方が実際に高いGe組成比をもつことが判る。なお、半導体結晶核4aの水素化処理において、上述した方法以外の他の方法として、半導体結晶核4aの形成後に、たとえば、実施例1で示した水素分子、原子状水素、または水素プラズマ雰囲気中でのアニール等がある。
【0049】
この実施例3による効果は次のとおりである。ボトムゲート型の薄膜トランジスタTFTでは、半導体膜4のゲート絶縁膜3側の界面がチャネルとなる。このため、この部分における欠陥準位密度が大きいと、欠陥準位にキャリアが捕獲され、薄膜トランジスタTFTでは移動度が低下し、しきい値電圧V
thが増大し易くなる。これに対し、この実施例3では半導体結晶核4aの表面や内部に存在する欠陥準位が水素により終端される。したがって、薄膜トランジスタTFTの特性の向上が図れるようになる。
【実施例5】
【0053】
図13は、本発明の表示装置の実施例5を示す図であり、
図1と対応させて描いた図である。
【0054】
図13において、
図1の場合と比較して異なる構成は、半導体膜104、105にあり、これら半導体膜104、105は順次積層され薄膜トランジスタTFTの半導体層を構成するようになっている。他の構成は
図1と同様であり、
図1の場合の符号と同一の符号を付している。
【0055】
下層の半導体層104は、
図1の場合と同様に、半導体結晶核104a、半導体膜104bによって構成されているが、その膜厚は、
図1の場合より薄く、10nm以上で形成されている。
【0056】
上層の半導体膜105は、たとえばプラズマCVD法により形成され、水素化アモルファスSi膜によって構成されている。成膜温度は室温以上とすることができるが、薄膜トランジスタTFTの製造のスループットを向上するには一定以上の成膜速度の確保が必要となり、200℃以上とするのが望ましく、また、水素が脱離するのをできるだけ抑制するために500℃以下とするのが好適である。
【0057】
上層の半導体膜105の膜厚は、半導体膜104の膜厚と併せて100〜300nmとなるように調整するのが好適である。この理由は、半導体層の形成後において、薄膜トランジスタTFTのソース電極配線6a・ドレイン電極配線6bを形成する際にエッチングを実施するが、それによって薄膜トランジスタTFTの特性を維持できないほど半導体膜104が薄くなるのを回避するためである。
【0058】
下層の半導体膜104中に形成されている欠陥準位の水素終端を促進するため、上層の半導体膜105には水素が1×10
19cm
−3以上、1×10
22cm
−3以下含まれていることが望ましい。上層の半導体膜105として、水素化アモルファスSi膜を成膜するには、たとえばプラズマ周波数13.56MHzを用い、水素希釈した10%のモノシラン(SiH
4)を100sccm供給し、基板温度200℃、ガス圧力133Paに設定すればよい。
【0059】
結晶化した半導体膜104が下層となることから、上層の半導体膜105として微結晶Si膜を形成するようにしてもよい。ここで、微結晶Si膜を成膜するには、たとえばプラズマ周波数13.56MHzを用い、フッ化シラン(SiF
4):H
2=3:1、基板温度250℃、ガス圧力40Paの条件を用いればよい。
【0060】
図14は、
図13のB−B’線における水素濃度プロファイルを示している。
図14を実施例4に示した
図12の場合と比較した場合、積層体となる半導体膜104b、半導体膜105において、いずれも水素濃度が、1×10
20cm
−3となっていることに相違を有する。
【0061】
実施例5に示した構成によれば、上層の半導体膜105としてたとえば水素化アモルファスSiを形成することから、この半導体膜105の成膜中に、下層の半導体膜104が水素化されることになる。また、半導体膜105の成膜前に、水素プラズマ処理を実施して半導体膜104に水素を取り込ませることもできる。このため、実施例3や実施例4のように、半導体結晶核4a、半導体膜4bの形成後にいったん水素化処理を行う必要は必ずしもない。このことから、実施例3や実施例4の場合よりもプロセス工程の低減を図ることができる。
【0062】
また、高濃度の水素を含む半導体膜105を積層させることから、下層の半導体膜104中の欠陥準位が水素終端され、キャリアの動きが抑制され。薄膜トランジスタTFTのオフ電流を低減させることができる。
【0063】
以上、本発明を実施例を用いて説明してきたが、これまでの各実施例で説明した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、それぞれの実施例で説明した構成は、互いに矛盾しない限り、組み合わせて用いてもよい。