特許第5694675号(P5694675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5694675スプリングを有する関節連結の外科用ポータル装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694675
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】スプリングを有する関節連結の外科用ポータル装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   A61B17/34
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-51160(P2010-51160)
(22)【出願日】2010年3月8日
(65)【公開番号】特開2010-227559(P2010-227559A)
(43)【公開日】2010年10月14日
【審査請求日】2013年1月17日
(31)【優先権主張番号】61/163,490
(32)【優先日】2009年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/701,787
(32)【優先日】2010年2月8日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507362281
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ベトゥッチ
【審査官】 村上 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−532660(JP,A)
【文献】 特表2000−510731(JP,A)
【文献】 特表2005−524482(JP,A)
【文献】 特開2006−271965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ポータル装置であって、
ハウジングであって、該ハウジングは外部アーチ形表面を画定する、ハウジングと、
該ハウジングに接続され、該ハウジングから延びるポータル部材であって、該ポータル部材は長手方向軸を画定し、外科的物体の通過を可能にする長手方向通路を有する、ポータル部材と、
該ハウジングに取り付けられ、該外科的物体と実質的に密閉された関係を確立するように適合された内部シールを有するシールマウントであって、該シールマウントは、関節連結部分およびエンクロージャ部分を含み、該エンクロージャ部分は、該内部シールを含み、該関節連結部分は、アーチ形表面を画定、該シールマウントは、第1の位置と少なくとも1つの第2の位置との間において該ハウジングに対して関節連結するように適合され、該シールマウントは通常、該第1の位置の方に付勢され、該ハウジングの該外部アーチ形表面は、該外科的物体のオフセット操作中に該シールマウントの該アーチ形表面と協働する、シールマウントと、
該ハウジングに対して該第1の位置の方に該シールマウントを付勢する付勢部材であって、該付勢部材は、該エンクロージャ部分および該関節連結部分内に含まれており、両方の部分は、付勢部材チャネルを画定する、付勢部材
を備えており、
該付勢部材チャネルは、軸方向に延びている側壁を含み、該付勢部材は、コイル状のスプリングを含み、該スプリングのコイルの少なくとも一部は、該側壁の間に拘束される、外科用ポータル装置。
【請求項2】
前記スプリングは前記ハウジングおよび前記シールマウントと係合可能である、請求項1に記載の外科用ポータル装置。
【請求項3】
前記シールマウントは、前記関節連結部分に動作可能に接続された前記エンクロージャ部分を含み、該エンクロージャ部分は、前記スプリング部材と係合し、該シールマウントに対する該スプリング部材の取り付けを容易にするように適合される、請求項2に記載の外科用ポータル装置。
【請求項4】
前記内部シールを囲むように前記シールマウントに取り付けられたシールキャップを含む、請求項1に記載の外科用ポータル装置。
【請求項5】
前記シールキャップおよび前記シールマウントは、解放可能に接続される、請求項4に記載の外科用ポータル装置。
【請求項6】
前記ハウジングは、クロージャ弁を含み、該クロージャ弁は、外科的物体がないときに前記長手方向通路を実質的に閉鎖するように適合される、請求項1に記載の外科用ポータル装置。
【請求項7】
前記ハウジングは第1の軸を画定し、前記シールマウントは第2の軸を画定し、該第1の軸および該第2の軸は、該シールマウントの前記第1の位置に概ね整列している、請求項1に記載の外科用ポータル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この特許出願は、2009年3月26日に米国特許商標庁に出願された米国仮特許出願第61/163,490号の優先権および利益を主張する。
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は、患者の体への外科手術器具の導入を可能にするように適合された外科用ポータル装置(surgical portal apparatus)に関する。特に、本開示は、外科用ポータル装置と密閉係合して器具を受容するように適合された関節連結弁システムを含む外科用ポータル装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
最小侵襲性の腹腔鏡の処置は、概して、体内に挿入される任意の器具が密閉されることを必要とし、すなわち、例えば外科手術部位が通気される外科手術処置における場合などに、気体および/または流体が内視鏡切開を通って体内に入ったりまたは体外に出たりしないことを確実にするように対策がなされなければならない。そのような処置に関して、腹膜腔などの解剖学的腔の中に管を導入することは、通常、トロカールおよびカニューレアセンブリを組み込んだシステムを使用することによって達成される。カニューレは、腹膜腔の内部と直接的に連絡するので、腹腔内に達するように患者の体の開口部の中にカニューレを挿入することは、腹腔と外気との間に流体密閉の界面を維持するように適合されるべきである。腔の内部領域の大気の完全性を維持する必要性を考慮して、広範囲の外科手術器具の導入を可能にし、腔の内部領域の大気の完全性を維持する、カニューレのためのシールアセンブリが望ましい。この点において、そのような密閉要求を達成するために先行技術において多数の試みがなされてきた。しかしながら、従来のシールアセンブリが直面する困難は、広範囲のサイズの器具を収容することができないことである。さらに、カニューレ内の器具の屈曲角形成(angulation)および/または操作は、密閉完全性に関してしばしば困難を引き起こす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(概要)
従って、本開示は、ハウジングとポータル部材とを含む外科用ポータル装置に関する。ポータル部材は、ハウジングに接続され、ハウジングから延びる。ポータル部材はまた、長手方向軸を画定し、該ポータル部材は、外科的物体が通路を通って挿入される通過を可能にする長手方向通路を含む。
【0005】
シールマウントは、ハウジングに取り付けられ、シールキャップによって固定され、外科的物体と実質的に密閉された関係を確立する内部シールまたは物体シールを有する。シールマウントは、第1の位置と第2の位置との間においてハウジングに対して関節連結される。付勢部材(例えば、スプリング)は、シールマウント内に取り付けられ、シールマウントをハウジングに対して第1の位置の方に向けるように付勢する(すなわち戻す)。
【0006】
シールマウントは、ハウジングの対応する表面と協働し、外科的物体のオフセット操作時にシールマウントの関節連結の動きを容易にするアーチ形表面を画定する関節連結部分を含む。ハウジングは、外科的物体のオフセット操作中にシールマウントの対応する表面と協働する外部アーチ形表面を画定する。ハウジングはまた第1の軸を画定し、シールマウントは第2の軸を画定し、この場合、第1の軸および第2の軸は、第1の位置において概ね整列している。
【0007】
シールマウントは、さらに、関節連結部分に動作可能に接続されたエンクロージャ部分を含み、スプリング部材と係合し、シールマウントに対するスプリング部材の取り付けを容易にする。
【0008】
さらに、クロージャ弁がシールハウジングとベースハウジングとの間に取り付けられ、クロージャ弁は、外科的物体がないときに長手方向通路を実質的に閉鎖するように適合される。
【0009】
複数の実施形態において、シールキャップおよびシールマウントは、バヨネット型フィッティング、ねじ切りされたフィッティング、スナップフィッティング、グルーフィッティング、または溶接フィッティングによって接続され得る。同じ方法で、エンクロージャ部分および関節連結部分は、上記の接続によって接続され得る。
【0010】
本開示の上記の特徴は、次の実施形態の詳細な説明を参照することによって、より容易に明らかになり、かつより良く理解され、該実施形態の詳細な説明は、図面を参照して以下に説明される。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
外科用ポータル装置であって、
ハウジングであって、該ハウジングは外部アーチ形表面を画定する、ハウジングと、
該ハウジングに接続され、該ハウジングから延びるポータル部材であって、該ポータル部材は長手方向軸を画定し、外科的物体の通過を可能にする長手方向通路を有する、ポータル部材と、
該ハウジングに取り付けられ、該外科的物体と実質的に密閉された関係を確立するように適合された内部シールを有するシールマウントであって、該シールマウントは、アーチ形表面を画定する関節連結部分を含み、該シールマウントは、第1の位置と少なくとも1つの第2の位置との間において該ハウジングに対して関節連結するように適合され、該シールマウントは通常、該第1の位置の方に付勢され、該ハウジングの該外部アーチ形表面は、該外科的物体のオフセット操作中に該シールマウントの該アーチ形表面と協働する、シールマウントと
を備えている、外科用ポータル装置。
(項目2)
上記ハウジングに対して上記第1の位置の方に上記シールマウントを付勢する付勢部材をさらに含む、上記項目に記載の外科用ポータル装置。
(項目3)
上記付勢部材はスプリングであり、該スプリングは上記ハウジングおよび上記シールマウントと係合可能である、上記項目のいずれかに記載の外科用ポータル装置。
(項目4)
上記シールマウントは、上記関節連結部分に動作可能に接続されたエンクロージャ部分を含み、該エンクロージャ部分は、上記スプリング部材と係合し、該シールマウントに対する該スプリング部材の取り付けを容易にするように適合される、上記項目のいずれかに記載の外科用ポータル装置。
(項目5)
上記内部シールを囲むように上記シールマウントに取り付けられたシールキャップを含む、上記項目のいずれかに記載の外科用ポータル装置。
(項目6)
上記シールキャップおよび上記シールマウントは、解放可能に接続される、上記項目のいずれかに記載の外科用ポータル装置。
(項目7)
上記ハウジングは、クロージャ弁を含み、該クロージャ弁は、外科的物体がないときに上記長手方向通路を実質的に閉鎖するように適合される、上記項目のいずれかに記載の外科用ポータル装置。
(項目8)
上記ハウジングは第1の軸を画定し、上記シールマウントは第2の軸を画定し、該第1の軸および該第2の軸は、該シールマウントの上記第1の位置に概ね整列している、上記項目のいずれかに記載の外科用ポータル装置。
【0011】
(摘要)
ハウジングとポータル部材とを含む外科用ポータル装置が提供される。ポータル部材は、ハウジングに接続され、ハウジングから延びる。ポータル部材は、外科的物体が通路を通過することを可能にする長手方向通路を含む長手方向軸を有する。シールマウントは、ハウジングに取り付けられ、外科的物体と実質的に密閉された関係を確立するように適合された内部シールを有し、シールマウントは、ハウジングに対する第1の位置とハウジングに対する少なくとも1つの第2の位置との間においてハウジングに対して関節連結するように適合され、シールマウントは、通常、第1の位置の方に付勢される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の原理に従う外科用ポータル装置の斜視図である。
図2図2は、ポータル装置の部品が分離された斜視図である。
図3図3は、図1のポータル装置のシールキャップおよびシールマウントの斜視図である。
図4図4は、ポータル装置のシールマウントの代替の実施形態の側断面図である。
図5A図5Aは、図1のシールマウントの側断面図であり、第1の位置のシールマウントを示す。
図5B図5Bは、図1のシールマウントの側断面図であり、第2の位置のシールマウントを示す。
図6A図6Aは、図1のシールマウントの側断面図であり、第1の位置の外科的物体を示す。
図6B図6Bは、図1のシールマウントの側断面図であり、第2の位置の外科的物体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な説明)
本開示の外科用ポータル装置2は、下にある体組織へのアクセスを提供し、また、器具の挿入前、器具の挿入中、そして器具の挿入後に、患者の体腔と大気との間に実質的なシールを提供する。さらに、本開示のポータル装置2は、該装置を通って外科用器具が挿入されたとき、実質的に空気密閉のシールを提供することによって、例えば5mm〜15mmなどの様々な直径の器具を収容することが可能である。本外科用ポータル装置は、内視鏡外科手術中にユーザが、単一の外科処置中にしばしば必要とされる種々の直径の様々な器具を利用することを可能にする。外科用ポータル装置はまた、ユーザが器具およびシールマウントを操作することによって患者の体腔内に器具の屈曲角形成をする様々な位置を提供する。
【0014】
ポータル装置2は、器具の周りに流体密閉の界面を維持し、気体および/または流体の漏出から外科手術処置の大気の完全性を保ちながら、様々なタイプおよびサイズの器具の導入および操作に適合したシールを組み込む。具体的には、シールマウントは、ポータル装置の長手方向軸に対する外科手術器具の角度ついた操作に適応する。本開示のこの特徴は、器具がユーザによって操作される際のシールに対する応力を最小限にする。器具の例は、クリップアプライア(clip applier)、グラスパ(grasper)、解剖器具、開創器、ステープラ、レーザプローブ、写真デバイス(photographic device)、内視鏡および腹腔鏡、管などを含む。そのような器具は、総称的に「器具(instruments)」または「器具(instrumentation)」と呼ばれる。
【0015】
以下の説明において、従来のように、用語「近位」はユーザに最も近い器具の部分をいい、一方、用語「遠位」はユーザから最も遠いデバイスの部分をいう。
【0016】
ここで図面を参照すると、図面において同様の参照番号は、いくつかの図を通して同一または実質的に類似の部品を識別し、図は、本開示の外科用ポータル装置2を例示する。ポータル装置2は、例えば腹腔などの体腔にアクセスするという意図した目的に適したカニューレとしての使用に適合され得、カニューレを通って器具の導入を可能にし得る。代替の実施形態として、ポータル装置2は、手のアクセスが望まれる最小侵襲性の処置中に手と、おそらく外科医の腕とを受容するように適合され得る。ポータル装置2は、腔内にある内部器官から腔壁を持ち上げるために、患者の腹膜腔が例えばCOなどの適切な気体を用いて通気される腹腔鏡外科手術における使用に特に適合される。ポータル装置2は、典型的には、ポータル装置2の通路内に配置可能な鋭く尖った器具である栓子アセンブリ(図示されていない)と共に用いられる。栓子アセンブリは、腹壁を貫通するために利用され、次いでその後、ポータル装置から除去され、処置を行うために利用され得る外科手術器具の導入を可能にする。
【0017】
ここで図1を参照すると、ポータル部材4と、シールマウント12と、シールキャップ20とを有するポータル装置2が例示される。シールマウント12およびその構成要素は、より詳細に以下に論議される。ポータル部材4は、近位端8と遠位端10とを有するポータルスリーブ6を含み、シールハウジング18は、従来の手段によってポータルスリーブ6の近位端8に取り付けられるか、またはスリーブ6に一体に固定され得る。ポータルスリーブ6は、スリーブ6の長さに沿って延びる長手方向軸「A」を画定し、外科手術器具の通過を可能にするような寸法で作られる内部の長手方向通路22をさらに画定する。スリーブ6は、ステンレス鋼もしくはポリマー材料チタン(polymeric material titanium)などの任意の他の適切な剛性の材料、または類似のものから形成され得る。スリーブ6はまた、器具がポータル部材4を通って挿入され、かつ/または除去されているときにユーザが器具を監視することを可能にするために、透明または不透明であるように構成され得る。スリーブ6の直径は、変化し得るが、典型的には本開示のシールハウジング18と共に使用するために10mm〜15mmの範囲である。
【0018】
ここで図2を見ると、ポータル装置2の部品が分離されている斜視図が描かれる。シールキャップ20は、シールマウント12の近位部分に取り付くように構成され、該シールマウント12の近位部分は、物体シール24を固定し、そして含むエンクロージャ部分14とも呼ばれる。シールマウント12は、物体シール24を取り付けるように提供し、ハウジング18上で物体シール24を操ることを容易にする。
【0019】
図3に描かれるように、シールキャップ20は、バヨネットタイプフィッティングによってシールマウント12のエンクロージャ部分に固定される。エンクロージャ部分14は、周囲に沿い、溝23も有する内部チャネル25を画定する。シールキャップは、複数のタブ21を備え、タブ21はシールキャップ20の内部リップ上に画定される。シールキャップ20は、エンクロージャ部分14上に配置されるので、タブ21は、エンクロージャ部分14の溝23を通過するように構成されかつ溝23を通過するような寸法で作られる。シールキャップ20が溝23の中に配置されるとき、シールキャップ20は時計回り方向かまたは反時計回りの方向かのいずれかの方向に回転され得、タブ21は内部チャネル25内に導かれる。エンクロージャ部分14の内部チャネル25はまた、内部チャネル25に沿ってタブ21を導くように、わずかな傾斜を有し得る。タブ21は、内部チャネル25に沿って動くので、摩擦力がタブ21の方に加えられ得、従って物体シール24の方への確実なシールを作り得る。複数の実施形態において、シールキャップ20は、スナップフィット装置、ねじ切り結合、クランプ結合、バヨネット結合などを含む任意の従来の技術によって、シールマウント12に接続され得る。
【0020】
外科手術処置中にユーザは、異なるタイプおよび/またはサイズの外科手術器具を用いることを必要とし得る。このような状況が起ったとき、ユーザは、ポータル装置2からシールキャップ20を除去し得、現在の物体シール24を異なるサイズの物体シールと取り替え得る。物体シールのみを取り替えることによって、ユーザは、ポータル装置2を異なるタイプおよび/またはサイズのポータル装置と取り替える必要なく、異なるタイプおよびサイズの外科器具を安全にかつ効果的に用い得る。
【0021】
さらに、本開示に従って、物体シール24は、ゴムまたは当該分野において企図される任意の他の適切なエラストマー材料から構成され得る。上記のように、物体シール24の長手方向通路22は、用いられている器具のタイプに従ってサイズが変化し得る。外科手術処置中、物体シール24は、図6Aおよび図6Bに示されるように、例えば外科手術器具などの外科手術物体「I」の周りに実質的なシールを形成することによって、ポータル部材4を通る通気気体の損失を最小限にするように構成される。
【0022】
ここで図4を見ると、シールマウント112を有するポータル装置102の別の実施形態が、一体形設計で構成される。シールマウント112は、ポータル装置2に同様に示されるように、シールキャップ120と、物体シール124と、向勢部材128と、ゼロクロージャ弁126とを含む。シールキャップ120および物体シール124は、ポータル装置2に関して上記された方法と同様な方法でシールマウント112に固定される。一体形シールマウント112はエラストマー材料から構成され得、シールマウント112の関節連結部分がシールハウジング118上に拡張することを可能にし、したがって、シールマウント112がシールマウント12と実質的に同様の操作特性を有することを可能にし得、このことは以下に詳細に説明される。
【0023】
図2に戻ると、シールマウント12のエンクロージャ部分14は、ハウジング18にクロージャ弁を固定することを容易にする。関節連結部分16は、カップ形状の設計で構成され、任意の適切な材料または材料(例えば、金属またはプラスチック、ポリウレタンなど)の組み合わせから構成される。シールマウント12の関節連結部分16は、球形の内部表面を含み、ハウジング18の底部分の回りに回転する旋回動作を提供する。
【0024】
シールマウント12はまた、エンクロージャ部分14および関節連結部分16内に含まれる向勢部材28を含み、両方の部分は、構成部材チャネル12aを画定する。付勢部材28(例えば、スプリング)は、第1の位置に戻るようにシールマウント12を復帰させることを容易にすることを助け、該第1の位置は、平坦であり、ハウジング18に対して通常垂直な位置である。図6Aおよび図6Bに示されるように、付勢部材28は、快適で、柔軟性および抵抗のある動作を提供し、従って、シールマウント12が「B」軸を画定する任意の第2の位置に、ユーザによってハウジング18の周りに関節連結されることを可能にする。シールマウント12は、ユーザが外科手術器具「I」を選択すると、「A」軸に沿った、ハウジング18に対する第1の位置に戻るように適合される。
【0025】
図2はまた、エンクロージャ部分14およびハウジング18内に囲まれそして位置するゼロクロージャ弁26を例示する。ゼロクロージャ弁はハウジング18に位置し、一方、エンクロージャ部分14はゼロクロージャ弁26に固定することを容易にする。クロージャ弁26は、ダックビル(duck bill)弁であり得、該ダックビル弁は、図に示されるように、密閉構成になるように遠位かつ内側に先細になっている。弁26は、開き、外科手術器具の通過を可能にし、器具「I」のないときに閉鎖する。弁26は、内部の腔における通気気体によって加えられる力を受けると、閉鎖するように適合される。単一または複数のスリット弁装置、トランペット(trumpet)弁、フラッパ(flapper)弁などの他のゼロクロージャ弁もまた、企図される。
【0026】
図5Aおよび図5Bは、ポータル装置2の側断面図を例示し、第1および第2の位置におけるシールマウント12をさらに例示する。ハウジング18およびシールマウント12の両方は、それぞれ、長手方向通路である軸「A」および軸「B」を含む。ハウジング18およびシールマウント12の両方が第1の位置(すなわち、互いに整列している)にあるとき、器具「T」はシールマウント12およびハウジング18を通過し、従って長手方向通路「A」および「B」の両方を通過する。ハウジング18は、ポータル装置2に対して固定された位置にある。しかしながら、シールマウント12は、上記のように1つの位置に固定されないで、ハウジング18の周りに可動である。シールマウント12の動きは、アーチ形表面を有するシールマウント12の関節連結部分16によって提供される。シールマウント12の内部アーチ形表面は、図6Aに示されるように、ハウジング18の外部アーチ形表面と協働し、器具「I」の任意のオフセット操作時にシールマウント12の関節連結の動きを容易にする。
【0027】
図6Bに示されるように、シールマウント12は、可変の「B」軸に沿って、第2の位置に動かされ得、該第2の位置は、関節連結部材16がハウジング18の周りに回転し旋回し得る任意の場所であり得る。シールマウント12が第1の位置にあるとき、シールマウント12およびハウジング18は、互いに整列していて、従って、軸「A」および軸「B」は互いに整列している。シールマウント12が第2の位置にあるとき、シールマウント12およびハウジング18は整列していなく、従って、軸「B」の位置は変化し、軸「A」とは整列していない。
【0028】
図6Aおよび図6Bに示されるように、器具「I」は、シールマウント18の中にさらに遠位に入り、ゼロクロージャ弁26およびポータルスリーブ6を通過し、患者の体腔(図示されていない)の中に入る。シールマウント12が器具「I」に沿って軸「B」の周りに実質的に動くように構成されているので、上記の関節連結は、ポータル装置2の内部シールに実質的な応力を加えることなく、ユーザが器具「I」を容易に操作することを可能にする。
【0029】
本発明が実施形態を参照して詳細に示されかつ説明されたが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、実施形態の形式および細部において様々な修正および変更がなされ得ることは当業者に理解され得る。従って、上記に示唆された修正であるが、それに限定されない修正は、本発明の範囲内であると考えられるべきである。
【符号の説明】
【0030】
2 外科用ポータル装置
4 ポータル部材
6 ポータルスリーブ
8 近位端
10 遠位端
12 シールマウント
14 エンクロージャ部分
18 シールハウジング
20 シールキャップ
21 タブ
22 長手方向通路
23 溝
24 物体シール
25 内部チャネル
102 ポータル装置
112 シールマウント
120 シールキャップ
124 物体シール
128 付勢部材
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B