特許第5694687号(P5694687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694687
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/52 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   B65H3/52 330B
   B65H3/52 330D
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2010-121372(P2010-121372)
(22)【出願日】2010年5月27日
(65)【公開番号】特開2011-246238(P2011-246238A)
(43)【公開日】2011年12月8日
【審査請求日】2013年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】594074182
【氏名又は名称】株式会社ワクトシステムプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108017
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100166110
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】板橋 幸治
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−263464(JP,A)
【文献】 実開平1−94330(JP,U)
【文献】 実開昭48−25804(JP,U)
【文献】 実開昭50−94678(JP,U)
【文献】 特開平3−111345(JP,A)
【文献】 特開平4−20440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H3/46−3/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタッカ内の媒体を繰り出す繰り出し手段と、
前記媒体の搬送方向に回転し、前記繰り出し手段で繰り出された前記媒体を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラと対向してニップ部を形成し、該ニップ部に前記媒体が無い状態では、当該ニップ部の間隙が所定値に保たれるが、該ニップ部に前記媒体が進入すると当該媒体によって前記間隙が、当該媒体の厚みに応じた間隙に押し広げられる捌きローラと、
前記捌きローラを駆動するモータと、を備えており、
前記捌きローラが、前記モータによる駆動前には、搬送方向にフリーに回転し得るものであり、
前記繰り出し手段と前記搬送ローラの間に配置され、前記媒体の移動を検知する検知手段と、
前記検知手段により前記媒体の移動が検知された時、当該媒体の移動方向先端部が前記ニップ部を通過するのに要する遅延時間経過後であって、前記移動方向先端部が前記ニップ部を通過した後に前記捌きローラを搬送方向と逆方向に回転させるように前記モータを制御する制御手段と
を備えていることを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
多数枚の媒体を積載するスタッカと、
前記スタッカに設けられ、積載されている多数枚の前記媒体から複数枚の前記媒体を繰り出すことが可能な繰り出し口と、
前記スタッカの最下部に設けられ、前記媒体を搬送して前記繰り出し口より複数枚繰り出す繰り出し手段と、
前記繰り出し手段を駆動する第1のモータと、
前記繰り出し口より下方に設けられ、前記繰り出し口より繰り出される前記複数枚の媒体を受け取って搬送する複数の搬送ローラと、
前記複数の搬送ローラを駆動する第2のモータと、
前記複数の搬送ローラのうちの最下流の搬送ローラと対向してニップ部を形成し、該ニップ部に前記媒体が無い状態では、当該ニップ部の間隙が所定値に保たれるが、該ニップ部に前記媒体が進入すると当該媒体によって前記間隙が、当該媒体の厚みに応じた間隙に押し広げられる捌きローラと、
前記捌きローラを駆動する第3のモータと、を備えており、
前記捌きローラが、前記第3のモータによる駆動前には、搬送方向にフリーに回転し得るものであり、
前記複数の搬送ローラで形成される搬送経路上に所定量の前記媒体が溜まったことを検出する第1のセンサと、
前記第1のセンサからの検出信号により、前記第1のモータを停止させるように制御する第1の制御手段と、
前記繰り出し手段と前記搬送ローラの間に配置され、前記媒体の移動を検知する検知手段と、
前記検知手段により前記媒体の移動が検知された時、当該媒体の移動方向先端部が前記ニップ部を通過するのに要する遅延時間経過後であって、前記移動方向先端部が前記ニップ部を通過した後に前記捌きローラを搬送方向と逆方向に回転させるように前記第3のモータを制御する第2の制御手段と
を備えていることを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の媒体搬送装置において、
前記検知手段は、前記繰り出し手段と前記搬送ローラの間に設けられ、前記媒体と接触しその移動に従動して回転するローラと、前記ローラの従動回転を検知する第2のセンサとを含む
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙片、封筒等の媒体を搬送する媒体搬送装置に関し、特に、個々に厚みの異なる媒体の積み重ねられた状態から1つの媒体を分離して搬送する媒体搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の媒体搬送装置として、例えば、紙片、封筒等の媒体を複数枚、スタッカに積載し、スタッカの最下部に設けられた繰り出しローラの回転により、繰り出し口から1枚の媒体を繰り出して搬送ローラにより搬送する装置がある。このような装置では、搬送ローラに直接接触して搬送される媒体以外の媒体が繰り出し口から繰り出された場合に、その媒体を、搬送ローラとは逆方向に回転する分離ローラで規制し、媒体を1枚ずつ確実に搬送して供給するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−15938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の装置では、多数枚の媒体が積載されたスタッカの最下部にある繰り出し口から1枚の媒体を繰り出すようになっているが、あまりに多数の媒体がスタッカに積載された場合等において、繰り出そうとする1枚の媒体の摩擦が増大し、媒体の繰り出しが滞って、搬送がスムーズに行われないなどの不具合が発生することがある。
【0005】
また、上述の装置では、最下層の媒体と共にそれより上層の媒体が繰り出された場合、最下層の媒体と共に進行する上層の媒体は、スタッカから出切らないうちに分離ローラで先端側の進行が規制されるために、変形力が働き、結果的に搬送がスムーズに行われない場合がある。
【0006】
また、積載された多数枚の媒体中に、厚みの異なるものが混在している場合には、繰り出し口から1枚の媒体をうまく繰り出すことができない場合がある。また、積み重ねられた状態から順列を崩さずに搬送したい場合に、最下層の媒体よりも上層の媒体が先に繰り出し口から繰り出されて搬送される順番が狂う場合もあった。
【0007】
また、分離ローラが、常時、搬送方向とは逆方向に回転しているために、搬送される媒体の先端に、搬送ローラによる搬送方向の負荷と分離ローラによる搬送方向と逆方向の負荷が同時にかかり、先端にめくれや傷が生じる不具合が発生することがある。そのため、媒体にかかる負荷を軽減し、めくれや傷が生じるのを防ぐために、分離ローラの摩擦力を一定の範囲内に設定することで媒体の強さとバランスを取っている。ところが、予めミシン目の刻み加工の後、当該刻みに沿って引き裂いて形成されるはがき等の媒体の場合は、その周囲が特に弱いので、そのような媒体の搬送時には、分離ローラの逆回転によるめくれや傷が防止し切れていない。
【0008】
そこで本発明は、上述した課題に鑑み、媒体の繰り出し、搬送をスムーズに行うことができると共に、搬送される媒体の先端のめくれや傷が軽減される媒体搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明の媒体搬送装置は、スタッカ3)内の媒体(2)を繰り出す繰り出し手段(4)と、前記媒体(2)の搬送方向に回転し、前記繰り出し手段(4)で繰り出された前記媒体(2)を搬送する搬送ローラ(11)と、前記搬送ローラ(11)と対向してニップ部を形成し、該ニップ部に前記媒体(2)が無い状態では、当該ニップ部の間隙が所定値に保たれるが、該ニップ部に前記媒体(2)が進入すると当該媒体(2)によって前記間隙が、当該媒体(2)の厚みに応じた間隙に押し広げられる捌きローラ(13)と、前記捌きローラ(13)を駆動するモータ(43)と、を備えており、前記捌きローラ(13)が、前記モータ(43)による駆動前には、搬送方向にフリーに回転し得るものであり、前記繰り出し手段(4)と前記搬送ローラ(11)の間に配置され、前記媒体(2)の移動を検知する検知手段(41,42)と、前記検知手段(41,42)により前記媒体(2)の移動が検知された時、当該媒体(2)の移動方向先端部が前記ニップ部を通過するのに要する遅延時間経過後であって、前記移動方向先端部が前記ニップ部を通過した後に前記捌きローラ(13)を搬送方向と逆方向に回転させるように前記モータ(43)を制御する制御手段(37,46,49)とを備えていることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、多数枚の媒体(2)を積載するスタッカ(3)と、前記スタッカ(3)に設けられ、積載されている多数枚の前記媒体から複数枚の前記媒体(2)を繰り出すことが可能な繰り出し口(40)と、前記スタッカ(3)の最下部に設けられ、前記媒体(2)を搬送して前記繰り出し口(40)より複数枚繰り出す繰り出し手段(4)と、前記繰り出し手段(4)を駆動する第1のモータ(7)と、前記繰り出し口(40)より下方に設けられ、前記繰り出し口(40)より繰り出される前記複数枚の媒体(2)を受け取って搬送する複数の搬送ローラ(10,11)と、前記複数の搬送ローラ(10,11)を駆動する第2のモータ(12)と、前記複数の搬送ローラ(10,11)のうちの最下流の搬送ローラ(11)と対向してニップ部を形成し、該ニップ部に前記媒体が無い状態では、当該ニップ部の間隙が所定値に保たれるが、該ニップ部に前記媒体(2)が進入すると当該媒体(2)によって前記間隙が、当該媒体(2)の厚みに応じた間隙に押し広げられる捌きローラ(13)と、前記捌きローラを駆動する第3のモータ(43)と、を備えており、前記捌きローラ(13)が、前記第3のモータ(43)による駆動前には、搬送方向にフリーに回転し得るものであり、前記複数の搬送ローラ(10,11)で形成される搬送経路上に所定量の前記媒体が溜まったことを検出する第1のセンサ(22)と、前記第1のセンサ(22)からの検出信号により、前記第1のモータ(7)を停止させるように制御する第1の制御手段(35)と、前記繰り出し手段(4)と前記搬送ローラ(10,11)の間に配置され、前記媒体(2)の移動を検知する検知手段(41,42)と、前記検知手段(41,42)により前記媒体(2)の移動が検知された時、当該媒体(2)の移動方向先端部が前記ニップ部を通過するのに要する遅延時間経過後であって、前記移動方向先端部が前記ニップ部を通過した後に前記捌きローラ(13)を搬送方向と逆方向に回転させるように前記第3のモータ(43)を制御する第2の制御手段(37,46,49)とを備えていることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の媒体搬送装置において、前記検知手段は、前記繰り出し手段(4)と前記搬送ローラ(11)の間に設けられ、前記媒体(2)と接触しその移動に従動して回転するローラ(41)と、前記ローラ(41)の従動回転を検知する第2のセンサ(42)とを含むことを特徴とする。
【0012】
なお、上述の課題を解決するための手段の説明におけるかっこ書きの参照符号は、以下の発明を実施するための形態の説明における構成要素の参照符号に対応しているが、これらは、特許請求の範囲の解釈を限定するものではない。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、検知手段により媒体の移動が検知された時、当該媒体の移動方向先端部が前記ニップ部を通過するのに要する遅延時間経過後であって、前記移動方向先端部が前記ニップ部を通過した後に捌きローラを逆方向に回転するように制御するので、1枚の媒体に対して搬送ローラの搬送方向の負荷と捌きローラの搬送方向と逆方向の負荷の双方の負荷が同時に加わることがないため、搬送される媒体の先端にめくれや傷が生じるおそれが軽減される。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、多数枚の媒体が積載されたスタッカの繰り出し口から複数枚の媒体の繰り出しが許容されるので、積み重ねられた状態から順列を崩さずに順番に媒体の繰り出し、搬送をスムーズに行うことができる。また、検知手段により媒体の移動が検知された時、当該媒体の移動方向先端部が前記ニップ部を通過するのに要する遅延時間経過後であって、前記移動方向先端部が前記ニップ部を通過した後に捌きローラを逆方向に回転するように制御するので、1枚の媒体に対して搬送ローラの搬送方向の負荷と捌きローラの搬送方向と逆方向の負荷の双方の負荷が同時に加わることがないため、搬送される媒体の先端にめくれや傷が生じるおそれが軽減される。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、検知手段は、繰り出し手段と搬送ローラの間に設けられ、媒体の移動に従動して回転するローラと、ローラの従動回転を検知する第2のセンサとを含むので、媒体の移動を確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る媒体搬送装置の実施形態の構成を示す概略図である。
図2図1の媒体搬送装置における繰り出し口を説明する概略図である。
図3図1の媒体搬送装置におけるセンサの配置を説明する概略図であり、(A)は側面図、(B)は上面図である。
図4】媒体搬送装置の電気的構成図を示すブロック図である。
図5】媒体搬送装置による搬送状態例を示す説明図である。
図6】媒体搬送装置における各部信号のタイミングチャートである。
図7】媒体搬送装置における各部信号のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の媒体搬送装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る媒体搬送装置の実施形態の構成を示す概略図である。図1において、媒体搬送装置1は、紙片、封筒等の媒体の搬送方向に順次設けられた第1ステージST1、第2ステージST2乃び第3ステージST3の3つのステージから構成されている。
【0019】
第1ステージST1は、媒体2を積載するスタッカ3と、スタッカ3の最下部に配置されたゴム製の繰り出しベルト4と、繰り出しベルト4を駆動する金属製の繰り出しローラ5及び6と、繰り出しローラ44と、ピンチローラ51と、繰り出しローラ5、6及び44を駆動するモータ7とから構成されている。
【0020】
スタッカ3は、上方から見た場合にコ字状の三方に形成された側壁(図1では、媒体2の長さ方向の側壁3aのみ図示されている)と、側壁3aの底部に回転しないように配置されたゴム製の半円形のゲートローラ8aを有している。媒体2は、スタッカ3の開いている一方向(図1における左側)から繰り出しベルト4上に積載でき、スタッカ3は、高さH(例えば、40cm)までの多数枚(例えば、数10枚〜数100枚)の媒体を積載できるようになっている。側壁3a及びゲートローラ8aの位置は、上下方向に可変できるようになっており、それにより、繰り出しベルト4の載置面とゲートローラ8aで形成される繰り出し口40の垂直方向の間隔d(図2参照)は、複数枚(例えば、2枚以上9枚以下)の媒体2が同時に通過可能に設定されているが、媒体2の厚みに応じて変更できるようになっている。モータ7は、瞬時に起動/停止ができるPM型ステッピングモータが使用されている。ピンチローラ51は、図示しないスプリング等の付勢手段により繰り出しローラ44に接触するように付勢されている。
【0021】
第2ステージST2は、ゴム製の搬送ローラ10及び11と、搬送ローラ10及び11を搬送方向(順方向)に回転するように駆動するモータ12と、搬送ローラ11と対向する位置に配置され、搬送ローラ11との間にニップ部を構成するゴム製の捌きローラ13と、センサ22と、捌きローラ13を駆動するモータ43と、ローラ41と、センサ42と、センサ46とを有している。モータ12及び43は、瞬時に起動/停止ができるPM型ステッピングモータが使用されている。搬送ローラ10及び11の周速度は、搬送時の媒体2間の間隔設定のため、任意に設定可能になっているが、第1ステージST1の搬送速度より第2ステージST2の搬送速度が遅くなるように設定されている。ローラ41と搬送ローラ10及び11は、それぞれの外周の上部接線が一直線となって水平な搬送経路(搬送面)Cを形成すると共に、この搬送経路Cが、第1ステージST1の繰り出しベルト4の搬送面から下方に所定の段差を持つように配置されている。
【0022】
捌きローラ13は、その両端部の軸16が、捌きローラ保持部材14の一方の端部に回転自在に保持されている。捌きローラ13は、搬送ローラ10及び11の周速度より早い周速度(例えば、2倍の周速度)で搬送方向(順方向)とは逆方向に回転したり停止したりするように、モータ43で駆動制御される。捌きローラ保持部材14は、他方の端部がモータ43の回転軸と同じ位置に固定された支軸15に回動自在に保持され、揺動自在に設けられている。この捌きローラ保持部材14により、捌きローラ13は、媒体2がない状態では、搬送ローラ11とのニップ部の隙間が所定値(例えば、0.1mmであるが、任意に設定可能になっている。)に保たれているが、この隙間に進入する媒体2に押し広げられて回動し、搬送ローラ11との間に媒体2の厚みに応じた隙間を作る機構になっている。
【0023】
センサ22は、第2ステージST2の搬送経路C上に所定量の媒体が溜まったことを検知するためのセンサであり、図3に示すように、第2ステージST2のローラ41と搬送ローラ10及び11の各外周で形成される搬送経路Cから高さhの位置に設けられている。センサ22は、搬送ローラ9及び10上を通過する媒体2の幅よりも間隔をおいて媒体の幅方向に配置された、光を発する発光素子22aと、発光素子22aからの光を受光する受光素子22bとから構成されている。センサ22は、所定量の媒体2が搬送経路C上に高さhまで溜まると、発光素子22aからの光が媒体2で遮断されるため受光素子22bでの受光量が変化し、その変化に応じて出力が変化し、第2ステージST2の搬送経路C上に所定量の媒体2が溜まったことを検出する。なお、センサ22の検出ポイントである高さhは、媒体2の厚みに応じて可変できるようになっている。
【0024】
ローラ41は、媒体2の搬送方向への移動を検知するためのものであり、一方向(搬送方向)のみにフリーに回転可能なローラである。センサ42は、ローラ41の回転と停止を検出し、センサ46は、搬送ローラ10の回転を検出するためのものであり、これらのセンサ42、46は、例えば、ロータリーエンコーダで構成され、ローラ(ローラ41及び搬送ローラ10)の周速度の変化に応じてパルス幅が変化するパルス信号を出力する。例えば、ローラ(ローラ41及び搬送ローラ10)の周速度が増加すると、パルス幅が小さくなり、周速度が減少すると、パルス幅が大きくなるパルス信号が出力される。
【0025】
第3ステージST3は、搬送ローラ10及び11と同様にモータ12で駆動されるゴム製の送出ローラ23及び24を有している。送出ローラ23及び24は、それぞれの外周の上部接線が一直線となって、第2ステージST2と同一面となる水平な搬送経路(搬送面)Cを形成する。また、送出ローラ23及び24は、搬送ローラ10及び11と異なるプーリー比を有し、搬送ローラ10及び11より早い周速度で回転するように設定されている。搬送ローラ10及び11と送出ローラ23及び24の周速度は、媒体搬送装置の後段の機器の要求速度に合わせられるように、任意に変えることができるようになっている。
【0026】
また、第2及び第3ステージにまたがって、ケーシング45が備えられている。ケーシング45は、ローラ41、搬送ローラ10及び11、送出ローラ23及び24を収納するケーシング本体45aと、排出部45bとからなる。排出部45bには、ケーシング本体内部の空気を排出する吸引ファン48が取り付けられている。
【0027】
次に、図4は、媒体搬送装置1の電気的構成図を示すブロック図である。図4において、媒体搬送装置1は、AC電源に接続された電源スイッチSW1と、給紙スイッチSW2と、モータ駆動回路35、36及び37と、モータ7、12及び43と、センサ42及び46と、遅延処理回路49とを含む。モータ7、12及び43は、それぞれ、モータ駆動回路35、36及び37により、その起動/停止が制御される。モータ駆動回路35は、電源スイッチSW1のオン操作でモータ7を起動し、センサ22の検出信号によりモータ7を停止するように制御すると共に、可変抵抗VR1を可変することによりモータ7の回転速度を変更することができる。モータ駆動回路36は、電源スイッチSW1のオン操作に続く給紙スイッチSW2のオン操作でモータ12を起動すると共に、可変抵抗VR2を可変することによりモータ12の回転速度を変更することができる。モータ駆動回路37は、電源スイッチSW1のオン操作に続く給紙スイッチSW2のオン操作と、センサ42及び46の検出信号に基づく遅延処理回路49の出力信号とにより、モータ43を起動/停止するように制御すると共に、可変抵抗VR3を可変することによりモータ43の回転速度を変更することができる。遅延処理回路49は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller) 等で構成される。なお、図4では、図示されていないが、吸引ファン48は、電源スイッチSW1のオン操作で動作を開始し、ケーシング45内の空気を排出部45bから排出して媒体2をケーシング45の下方に吸引することにより、媒体2を、ローラ41、搬送ローラ10、11及び送出ローラ23、24と接触させて、媒体2の搬送、送出を確実に行わせる。
【0028】
次に、上述の構成を有する媒体搬送装置1の動作について説明する。
【0029】
まず、ゲートローラ8aの位置を調整することにより、第1ステージST1におけるスタッカ3の繰り出し口40の間隔dを、厚みの異なる媒体(例えば、内容物入り封筒やミシン目入りはがき等)2を同時に複数枚繰り出すことができる寸法に設定する。例えば、繰り出し口40は、積載される媒体における最大厚みのものを2枚以上繰り出すことができる寸法に設定する。次に、厚みの異なるものが混在した数10枚の媒体(例えば、内容物入り封筒やミシン目入りはがき等)2をスタッカ3に積載し、電源スイッチSW1をオンすると、モータ7が起動する(図6の時刻t1)。次に、給紙スイッチSW2をオンすると、モータ12が起動する(図6の時刻t2)。
【0030】
モータ7の起動により、繰り出しローラ5及び6と繰り出しベルト4が回転し、繰り出しベルト4の摩擦によりスタッカ3に積載されている最下部の媒体2と、それより上部の媒体2とが、繰り出し口40より数枚繰り出され、繰り出しローラ44とピンチローラ51の間を通過して第2ステージST2の搬送面に落下する。この時、数10枚の媒体が積載されたスタッカ3の繰り出し口40から数枚の媒体の繰り出しが許容されるので、積み重ねられた状態から順列を崩さずに順番に媒体2を繰り出すことができる。
【0031】
第2ステージST2の搬送面に繰り出された媒体2は、モータ12で駆動された搬送ローラ10により搬送される。この時、第1ステージST1の搬送速度より第2ステージST2の搬送速度が遅くなるように設定されているため、第2ステージST2の搬送面Cに媒体2が複数枚溜まり、センサ22の検出位置である高さhに達すると、センサ22よりOFF→ONとなる検出信号が出力される(図6)。モータ駆動回路35は、センサ22の検出信号が入力されることによりモータ7をOFF(回転停止)するように制御し、それにより、第1ステージST1から第2ステージST2への媒体2の供給が停止する。
【0032】
モータ7の回転停止後、第2ステージST2の搬送面に溜まっている媒体2が搬送ローラ10で搬送され、センサ22の検出位置である高さhより減少すると、センサ22の検出信号がヒステリシス特性による所定の遅延時間経過後ON→OFFになり、それにより、モータ駆動回路35は、モータ7を再起動させ、第1ステージST1から第2ステージST2への媒体の供給が再開する。以下、センサ22の検出信号に基づいて、モータ7の起動/回転停止と、それによる第1ステージST1から第2ステージST2への媒体2の供給/停止が繰り返される。
【0033】
次に、第1ステージST1から第2ステージST2に媒体2が供給され、センサ22がONして第1ステージST1からの供給が停止した状態(図5の状態S1)からの動作を、図5の搬送状態説明図と図6及び図7の各部信号タイミングチャートを参照しながら説明する。
【0034】
図5の状態S1)
第1ステージST1から第2ステージST2に複数枚の媒体2(例えば、2a、2b、2c)が供給され、センサ22がONして第1ステージST1からの供給が停止した状態において、給紙スイッチSW2がオンされると、第1ステージST1から供給された複数枚の媒体2のうち、ローラ41と搬送ローラ10に接触している最下層の媒体2aは、搬送ローラ10によって搬送方向に移動する。媒体2aの移動により、ローラ41は回転を開始(ON)し、それにより、センサ42からローラ41が回転中であること(すなわち、媒体2aが移動中であること)を示す検出信号としてのパルス信号が発生する(図7の時刻t2)。また、搬送ローラ10の回転開始から、センサ46より搬送ローラ10が回転中であることを示す検出信号としてのパルス信号が発生する(図7の時刻t2)。センサ42及び46から発生するパルス信号は遅延処理回路49に入力され、それにより、遅延処理回路49は、センサ42からのパルス信号の入力開始から、センサ46からのパルス信号の数カウントの遅延時間ps分遅延されて立ち上がる出力信号をモータ駆動回路37に入力する(図7の時刻t3)。
【0035】
遅延時間psは、後述するように、センサ42で媒体2が移動中であることの検出が開始された時点から、当該媒体2の先端部が確実に搬送ローラ11と捌きローラ13のニップ部を通過するまでに要する時間になるように設定されている。また、センサ42及び46からのパルス信号のパルス幅がローラ(ローラ41及び搬送ローラ10)の周速度の変化に応じて変化するので、この遅延時間psは、搬送ローラ10の周速度が変更された場合、その変更に応じて変化し、搬送ローラ10の周速度が変更されても、遅延時間psの間に媒体2が移動してその先端部が搬送ローラ11と捌きローラ13のニップ部を通過した位置が同じになるように設定されている。
【0036】
媒体2aの搬送時、媒体2aの上にある媒体2bや2cも、媒体2aと共に重送されることがある。搬送された複数枚の媒体、すなわち、最下層の媒体2aと、媒体2aと共に重送されたその上部の媒体2bや2cは、搬送ローラ11と捌きローラ13のニップ部に達する。
【0037】
図5の状態S2)
この時点では、モータ43は起動されておらず励磁解放(停止)状態になっており、捌きローラ13は、逆回転駆動されることなく、搬送方向にフリーに回転し得る状態になっている。そのため、搬送ローラ11と捌きローラ13のニップ部に達した媒体2は、捌きローラ13で戻されることがなく、搬送ローラ11と捌きローラ13のニップ部を通過可能な状態になっている。例えば、最下層の媒体2aとその上部の媒体2bの先端部が、搬送ローラ11と捌きローラ13のニップ部を通過する。この時、捌きローラ13は、媒体2bの接触により搬送方向に従動回転する。そして、最下層の媒体2aの先端部が、搬送ローラ11と捌きローラ13のニップ部を通過した後、遅延処理回路49からの立ち上がり出力信号がモータ駆動回路37に入力されると、モータ駆動回路37は、直ちにモータ43の励磁を開始させ、起動させる。それにより、捌きローラ13が搬送方向と逆方向に回転開始する(図7の時刻t3)。
【0038】
図5の状態S3)
捌きローラ13が搬送方向と逆方向に回転開始すると、捌きローラ13及び媒体2間の摩擦力と、媒体2と媒体2間の摩擦力の関係が、(捌きローラ13と媒体2間の摩擦力)>(媒体2と媒体2間の摩擦力)になっているため、捌きローラ13と接触している上側の媒体2bは、捌きローラ13の逆回転により捌きローラ13の上流側へ戻される。
【0039】
しかし、搬送ローラ11と接触している下側の媒体2aは、搬送ローラ11及び媒体2間の摩擦力と捌きローラ13及び媒体2間の摩擦力の関係が(搬送ローラ11と媒体2間の摩擦力)>(捌きローラ13と媒体2間の摩擦力)となっているため、捌きローラ13の上流側へ戻されることなく、下流側へ搬送される。次に、媒体2aの後端がローラ41を通過すると、ローラ41の回転が停止(OFF)し、センサ42からのパルス信号がなくなる(図7の時刻t4)。遅延処理回路49は、センサ42からのパルス信号の消滅時から、センサ46からのパルス信号の数カウントの遅延時間pu分遅延されて立ち下がる出力信号を、モータ駆動回路37に入力する(図7の時刻t5)。モータ駆動回路37は、遅延処理回路49からの立ち下がり信号が入力されると、直ちにモータ43を励磁解放し、回転停止させる(図7の時刻t5)。それにより、捌きローラ13は、再び搬送方向にフリーに回転し得る状態になる。
【0040】
遅延時間puは、2枚以上の媒体2の先端部が同時に搬送ローラ11と捌きローラ13のニップ部を通過しても、捌きローラ13の逆回転で上側の媒体2をニップ部の手前に戻すことができるタイミングとなるようにすると共に、先端部がニップ部を通過し後端がローラ41を通過した媒体2aの先端部と、次に搬送されるその上部の媒体2bの先端部との間隔が適宜な値になるように(すなわち、後述するように、重なり程度が両者を最終的に完全に分離するのに適宜な間隔になるように)設定される。たとえば、遅延時間puを増加させると、媒体2同士の重なりを少なくする方向に作用し、また、ニップ部の手前に戻すことができる媒体2の数を増やすことができる。また、ローラ41は、媒体2の多少の動きにも追従して回転するため、その回転停止は、センサ42の出力パルスのOFFがセンサ46の数カウント分の時間継続していることで確定しており、遅延時間puは、この確定に要する時間も考慮して適正値が設定される。
【0041】
図5の状態S4)
そこで、捌きローラ13の上流側へ戻されていた媒体2bが、媒体2aに一部重なり合い、媒体2aに連れられて上流側に留まっていた媒体2cと共に搬送方向に移動する。移動する媒体2bはローラ41と接触し、ローラ41を従動回転させながら、その先端部が、上側の媒体2cと共に捌きローラ13と搬送ローラ11のニップ部を通過する。また、媒体2bと接触しているローラ41は、媒体2bの移動に伴って回転を開始(ON)し、それにより、センサ42からローラ41が回転中であることを示す検出信号としてのパルスが発生する(図7の時刻t6)。遅延処理回路49は、センサ42及び46から発生するパルス信号が入力されると、センサ42からのパルス信号の入力開始から、センサ46からのパルス信号の数カウントの遅延時間ps分遅延されて立ち上がる出力信号をモータ駆動回路37に入力する(図7の時刻t7)。それにより、モータ駆動回路37はモータ43を起動させ、捌きローラ13は、再び、搬送方向と逆方向に回転開始する(図7の時刻t7)。
【0042】
図5の状態S5)
そのため、媒体2b上の媒体2cは上流側に戻されるが、媒体2bは、媒体2aの移動に連れられて捌きローラ13の下流側へ搬送される。続いて、媒体2aの後端が搬送ローラ10を通過し、媒体2bが搬送ローラ10に接触し、媒体2bは、引き続き搬送ローラ10により搬送方向に移動する。次に、媒体2bの後端がローラ41を通過し、捌きローラ13の上流側に留められている媒体2cがローラ41に接触すると、ローラ41の回転が停止(OFF)し、センサ42からのパルス信号がなくなる(図7の時刻t8)。遅延処理回路49は、センサ42からのパルス信号の消滅時から、センサ46からのパルス信号の数カウントの遅延時間pu分遅延されて立ち下がる出力信号を、モータ駆動回路37に入力する(図7の時刻t9)。モータ駆動回路37は、遅延処理回路49からの立ち下がり信号が入力されると、直ちにモータ43を励磁解放し、回転停止させる(図7の時刻t9)。それにより、捌きローラ13は、再び搬送方向にフリーに回転し得る状態になる。
【0043】
図5の状態S6)
そこで、捌きローラ13の上流側に留められていた媒体2cが、媒体2bに一部重なり合い、媒体2aに連れられて次に供給された媒体2dと共に搬送方向に移動する。移動する媒体2cはローラ41と接触し、ローラ41を従動回転させながら、その先端部が、上側の媒体2dと共に捌きローラ13と搬送ローラ11のニップ部を通過する。また、媒体2cと接触しているローラ41は、媒体2cの移動に伴って回転を開始(ON)し、それにより、センサ42からローラ41が回転中であることを示す検出信号としてのパルスが発生する(図7の時刻t10)。遅延処理回路49は、センサ42及び46から発生するパルス信号が入力されると、センサ42からのパルス信号の入力開始から、センサ46からのパルス信号の数カウントの遅延時間ps分遅延されて立ち上がる出力信号をモータ駆動回路37に入力する(図7の時刻t11)。モータ駆動回路37は、遅延処理回路49からの立ち上がり出力信号が入力されると、モータ43を起動させ、捌きローラ13は、再び、搬送方向と逆方向に回転開始する(図7の時刻t11)。
【0044】
図5の状態S7)
そのため、媒体2c上の媒体2dは上流側に戻されるが、媒体2cは、媒体2bの移動に連れられて捌きローラ13の下流側へ搬送される。続いて、媒体2bの後端が搬送ローラ10を通過し、媒体2cが搬送ローラ10に接触し、媒体2cは、引き続き搬送ローラ10により搬送方向に移動する。次に、媒体2cの後端がローラ41を通過し、捌きローラ13の上流側に留められている媒体2dがローラ41に接触すると、ローラ41の回転が停止(OFF)し、センサ42からのパルス信号がなくなる(図7の時刻t12)。遅延処理回路49は、センサ42からのパルス信号の消滅時から、センサ46からのパルス信号の数カウントの遅延時間pu分遅延されて立ち下がる出力信号を、モータ駆動回路37に入力する(図7の時刻t13)。モータ駆動回路37は、遅延処理回路49からの立ち下がり出力信号が入力されると、直ちにモータ43を励磁解放し、回転停止させる(図7の時刻t13)。それにより、捌きローラ13は、再び搬送方向にフリーに回転し得る状態になる。
【0045】
以上のように状態S1〜S7で説明した動作により、第1ステージST1から第2ステージST2に供給された媒体2は、以下同様に、順次、その先端部が搬送ローラ11と搬送方向にフリー回転可能状態にある捌きローラ13とのニップ部を通過した後、搬送方向と逆回転する捌きローラ13の上流側に一旦戻され、その後再び搬送方向にフリー回転可能状態になった捌きローラ13の下流側へ搬送され、複数の媒体2が互いにその一部が重なり合いながら、送出ローラ23に送られる。互いにその一部が重なり合いながら送出ローラ23に送られた複数の媒体2は、(送出ローラ23と媒体2間の摩擦力)>(媒体2と媒体2間の摩擦力)になっていると共に送出ローラ23及び24が搬送ローラ10及び11より早い周速度で回転するように設定されているため、送出ローラ24で送出されて排出される時点には、それぞれ完全に分離される。
【0046】
搬送終了時には、給紙スイッチSW2をオフし、続いて電源スイッチSW1をオフすることにより、媒体搬送装置1が停止する。
【0047】
このように、本発明の実施形態によれば、第1ステージST1において、スタッカ3に積載された多数枚(例えば、数10枚〜数100枚)の媒体2のうち、複数枚(例えば、2枚以上9枚以下)の媒体2が繰り出し口40から繰り出されて第2ステージST2へ供給され、第2ステージST2及び第3ステージST3において、捌きローラ13でさばかれることによって互いに一部分が重なり合って搬送され、最終的に送出ローラ23,24により、1枚の媒体2に分離されて送出ローラ24より排出される。したがって、スタッカ3の繰り出し口より複数枚の媒体2の繰り出しが許容されているので、積み重ねられた状態から順列を崩さずに順番に媒体2の繰り出し、搬送をスムーズに行うことができる。
【0048】
また、第1ステージから最下層の媒体と共に繰り出された上層の媒体は、第2ステージまで運ばれてから捌きローラ13でその進行が規制されるために、上述の従来装置のような変形力が働かないので変形することなく、順次、搬送がスムーズに行われる。
【0049】
また、媒体は、その先端部が搬送方向にフリー回転可能状態にある捌きローラ13と搬送ローラ11のニップ部を通過した後、搬送方向と逆回転する捌きローラ13によってその上流側に一旦戻され、その後再び搬送方向にフリー回転可能状態になった捌きローラ13の下流側へ搬送され、複数の媒体2が互いにその一部が重なり合いながら、送出ローラ23に送られる。そのため、捌きローラ13が逆回転していない時は、捌きローラ13と搬送ローラ11のニップ部を複数枚の媒体2の先端部が通過可能となっており、捌きローラ13が逆回転している時には、1枚の媒体に対して搬送ローラの搬送方向の負荷と捌きローラの搬送方向と逆方向の負荷の双方の負荷が同時に加わることがないため、搬送されるミシン目入りはがき等の媒体の先端にめくれや傷が生じるおそれが軽減される。
【0050】
また、捌きローラ13の逆回転開始は、移動する媒体2の接触に基づくローラ41の回転開始の検出時から所定の遅延時間ps経過後になるように制御されているので、媒体2の先端が捌きローラ13の逆回転で留められることはなく、先端が捌きローラ13を通過した後に捌きローラ13の逆回転が開始されるので、捌きローラ13の逆回転による媒体2のめくれや傷が生じない。また、捌きローラ13の回転停止は、ローラ41に接触している媒体2が離脱してローラ41が回転停止してから遅延時間pu経過後になるように制御されているので、2枚以上の媒体2の先端部が同時に搬送ローラ11と捌きローラ13のニップ部を通過しても、捌きローラの逆回転で上側の媒体をニップ部の手前に戻すことができると共に、ニップ部を通過して順次搬送される媒体2の重なり程度を適宜なものにして、媒体2の分離を確実に行うことができる。
【0051】
以上の通り、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
【0052】
例えば、上述の実施の形態では、第1ステージST1では媒体2の繰り出しに繰り出しベルト4を用いているが、これに代えて、繰り出しローラで繰り出すように構成しても良い。
【0053】
また、搬送ローラ、送出ローラ等のローラは、1本のローラでも、長さが媒体の幅以下の短いローラを媒体の幅方向に間隔をおいて複数個配置した構成でも良い。
【0054】
また、上述の実施形態では、センサ22として、発光素子と受光素子が分離されている透過型センサを使用しているが、これに代えて、発光素子と受光素子が同一ハウジングに収容された反射型センサを使用しても良い。
【0055】
また、上述の実施形態において、センサ22は、高さhの設定によっては、第1ステージST1から落ちてくる媒体2が瞬間的に横切り、所定量の媒体2が第2ステージST2に溜まる前に短いパルス幅の検出信号を出力することによりモータ7が停止してしまう誤動作を行うことがあり得る。そこで、この場合には、センサ22の検出信号のパルス幅を検出し、上述のような短いパルス幅の検出信号が検出されてもその検出信号を無効にするパルス幅検出手段(例えば、タイマー)を、センサ22とモータ駆動回路35の間にさらに設けるように構成しても良い。
【0056】
また、上述の実施形態では、厚みの異なる媒体が混在している場合について説明したが、本発明は、同一厚みの媒体をスタッカに積載して搬送する場合にも、もちろん適用することができる。
【0057】
また、上述の実施形態では、捌きローラ13は、ローラ41及びセンサ42による媒体2の移動の検知時には、モータ43で搬送方向と逆方向に回転駆動され、媒体2の移動が検知されない時には、モータ43による回転駆動が行われず搬送方向にフリーに回転可能になっているが、他の実施例として、逆方向に回転駆動されている時以外は、停止とするかまたはモータ43により順方向(搬送方向)に回転駆動されるように制御しても良い。
【0058】
また、上述の実施形態では、捌きローラの通過時点では、媒体は互いに一部分が重なり合って通過し、送出ローラから排出される時点で1枚ずつに分離されるように構成されているが、他の実施例として、送出ローラを備えず搬送ローラの数や間隔を適宜設定することにより、捌きローラの通過時点で媒体が1枚ずつに分離されるように構成しても良い。
【符号の説明】
【0059】
1 媒体搬送装置
2 媒体
3 スタッカ
4 繰り出しベルト(繰り出し手段)
7 モータ(第1のモータ)
10,11 搬送ローラ
12 モータ(第2のモータ)
13 捌きローラ
22 センサ(第1のセンサ)
35 モータ駆動回路(第1の制御手段)
37 モータ駆動回路(第2の制御手段)
40 繰り出し口
41 ローラ
42 センサ(第2のセンサ)
43 モータ(第3のモータ)
46 センサ
49 遅延処理回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7