(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694744
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】コンタクトレンズ用出荷容器
(51)【国際特許分類】
A45C 11/04 20060101AFI20150312BHJP
B65D 85/38 20060101ALI20150312BHJP
G02C 11/00 20060101ALI20150312BHJP
B65D 75/22 20060101ALI20150312BHJP
B65D 75/32 20060101ALI20150312BHJP
B65D 81/22 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
A45C11/04 B
B65D85/38 B
G02C11/00
B65D75/22
B65D75/32
B65D81/22
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-264090(P2010-264090)
(22)【出願日】2010年11月26日
(65)【公開番号】特開2012-110592(P2012-110592A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2013年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000131245
【氏名又は名称】株式会社シード
(74)【代理人】
【識別番号】100118728
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 圭二
(74)【代理人】
【識別番号】110000327
【氏名又は名称】特許業務法人 クラスター
(72)【発明者】
【氏名】久保田 慎
【審査官】
平田 慎二
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−322911(JP,A)
【文献】
実開昭52−055749(JP,U)
【文献】
実開平02−121811(JP,U)
【文献】
実開昭48−003151(JP,U)
【文献】
実開昭48−057049(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/04
B65D 75/22
B65D 75/32
B65D 81/22
B65D 85/38
G02C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズを収容する窪み部と該窪み部の周囲に形成したフランジ部及び支持部を有する合成樹脂製の容器本体部と、前記窪み部を覆い、アルミ材を有する積層構造又は合成樹脂製の蓋部と、からなるコンタクトレンズ用出荷容器において、
前記蓋部が、前記窪み部内に突出した球面形状を有し、この突出部の曲率半径が前記コンタクトレンズのベースカーブの曲率半径と同一又は大きくなるように形成され、
前記コンタクトレンズの少なくとも周縁部全周が前記蓋部と接するように前記窪み部及び前記蓋部を形成し、
前記フランジ部において前記蓋部と前記容器本体部とを溶着して前記コンタクトレンズを前記蓋部に吸着させることを特徴とするコンタクトレンズ用出荷容器。
【請求項2】
コンタクトレンズを収容する窪み部と該窪み部の周囲に形成したフランジ部及び支持部を有する合成樹脂製の容器本体部と、前記窪み部を覆い、アルミ材を有する積層構造又は合成樹脂製の蓋部と、からなるコンタクトレンズ用出荷容器において、
前記蓋部が、前記窪み部内に突出した形状を有さない平面状をなし、
前記コンタクトレンズの少なくとも周縁部全周が前記蓋部と接するように前記窪み部及び前記蓋部を形成し、
前記フランジ部において前記蓋部と前記容器本体部とを溶着して前記コンタクトレンズを前記蓋部に吸着させることを特徴とするコンタクトレンズ用出荷容器。
【請求項3】
前記蓋部が、該蓋部を開封したときに前記コンタクトレンズの周縁部より下方側に突起部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ用出荷容器。
【請求項4】
前記窪み部が球面形状をなし、該窪み部の曲率半径がコンタクトレンズのフロントカーブの曲率半径より大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のコンタクトレンズ用出荷容器。
【請求項5】
前記窪み部の深さが、該窪み部に収納されたコンタクトレンズの中心部から周縁部までの高さに対し、100%〜200%となるように形成されたことを特徴とする請求項1、3又は4に記載のコンタクトレンズ用出荷容器。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のコンタクトレンズ用出荷容器において、当該容器同士を積み重ねられるように前記支持部を形成したことを特徴とするコンタクトレンズ用出荷容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズ用出荷容器に関する。詳しくは、開封時の取り出し性及び、保存時の表裏安定性に優れたコンタクトレンズ用出荷容器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、コンタクトレンズを市場へ流通する際、個別にコンタクトレンズを包装したブリスター容器が用いられている。
【0003】
一般的なブリスター容器は、コンタクトレンズとその保存液を収容する半球状の窪み部と、その開口部周辺に広がるフランジ部と、を有する合成樹脂製の本体部と、ポリプロピレンフィルムとアルミ箔の積層物からなる蓋部で構成されており、本体部と蓋部のシールには、加熱又は超音波による溶着方法が用いられている。
【0004】
しかしながら、従来のブリスター容器は、窪み部の容積が大きいため、容器内におけるコンタクトレンズの安定性が悪く、流通時の取り扱いによっては、容器内でコンタクトレンズの表裏が反転する場合があり、開封後にコンタクトレンズの表裏の判別を行わなければならないためにスムーズな装用ができなかった。
【0005】
このブリスター容器からコンタクトレンズを取り出す方法として、掌に保存液ごと出したコンタクトレンズを指先で摘む方法があるが、この方法では、コンタクトレンズが流失する危険性を有していると共に、摘み上げる際にコンタクトレンズが折り曲げられるため、レンズの光学特性に悪影響を及ぼしたり、レンズ表面に傷を発生させたりすることが懸念される。また、蓋部を本体部から引き剥がし、ブリスター容器を開封した後に、窪み部に手指を入れて指先でコンタクトレンズをすくい上げる方法も一般的に行われているが、指先ですくい上げ、コンタクトレンズを取り出す過程で、蓋部を本体部から引き剥がす際に発生する溶着部の剥がれ跡にコンタクトレンズが接触する可能性が高く、レンズを傷付ける恐れがある。
【0006】
コンタクトレンズ表面の傷は、擦り洗い時に破損の原因となったり、そこに汚れが蓄積しやすいことから、装用感や視力補正性の低下を引き起こす原因となったりするため、好ましくない。
【0007】
さらに、窪み部に手指を入れて指先ですくい上げる方法においては、指ですくい上げる際、装用時に角膜に接するコンタクトレンズのベースカーブ面に手指が接触するため、手指に付着した汚れや細菌によってコンタクトレンズが汚染される恐れがある。特に、手指の洗浄が不十分な場合には、この汚染を原因とした眼疾患を誘発する危険性も懸念される。
【0008】
そこで、ブリスター容器からのコンタクトレンズの取り出し操作が容易であると共に、収納部の一定の位置にコンタクトレンズを安定的に保存できる収納容器として、収納部の底面にコンタクトレンズの凹面部を受ける凸部を設けると共に、該収納部の周壁を底面側から開口部の方向に向かって拡開するように傾斜させた容器が知られている(特許文献1参照)。
【0009】
また、容器内におけるコンタクトレンズの安定性を向上させることにより表裏の反転を抑止する方法として、コンタクトレンズとスプリングディスクをコンタクトレンズのカップの深さ(サジタルデプス)よりも浅いブリスター容器の収容空間に、収容シートに挟み込み押圧状態で収納し、開封により押圧されない状態に戻る際にコンタクトレンズを持ち上げるようにしたコンタクトレンズ用パッケージも知られている(特許文献2参照)。
【0010】
また、コンタクトレンズを封入したブリスター容器を効率的に流通させる方法として、所要個数のブリスター容器を横方向に接合させてパッケージに収納して配送する形態も知られている(特許文献3参照)。さらに、携帯性を向上させる方法として、使用者の必要に応じた任意の数のブリスター容器を、容器同士を嵌め込んで積層するコンタクトレンズ用出荷容器も知られている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−313928号公報
【特許文献2】特開2005−250496号公報
【特許文献3】特開平09−169357号公報
【特許文献4】特開2008−105725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載の収容容器は、容器内からコンタクトレンズを摘み上げる方法により取り出されるため、手指によるコンタクトレンズベースカーブ面への接触回数は低減する一方、コンタクトレンズを摘み上げる際に、容器の凸部とコンタクトレンズのベースカーブ面の接触によって傷が生じる可能性があるという問題がある。
【0013】
また、特許文献2に記載のコンタクトレンズ用パッケージは、コンタクトレンズのカップの深さよりも浅いブリスター容器にコンタクトレンズがスプリングディスクと共に挟み込まれた状態で保存されるため、外部応力によるコンタクトレンズの光学特性への悪影響や形状不良、また、コンタクトレンズのスプリングディスクとの接触部に傷が発生しやすいという、新たな問題が危惧される。
【0014】
さらに、特許文献2に記載の容器の形態は、省スペース性についても考慮されており、携帯性においても有利であるが、前述のごとく、光学特性への悪影響や形状不良が危惧されるほか、コンタクトレンズの収納空間が極端に浅いため、シートを引き剥がす際に、収納されたコンタクトレンズを落としてしまう恐れもある。
【0015】
そこで、本願発明者は、コンタクトレンズの取り出し時や収納時の傷の発生を低減すること、及び、レンズの光学特性に悪影響を及ぼさないようにすることが、傷の発生に起因するコンタクトレンズの破損発生や、装用感、視力補正性の低下の抑止に対して重要となると考えた。
【0016】
また、最近は、一日で使い捨てるタイプのコンタクトレンズが主流となっているため、宿泊を伴う外出の際、使用者は複数個のブリスター容器を携帯することとなるが、一般的な流通スタイルである特許文献3に記載の連結容器は、個別のブリスター容器同士の組み合わせ性については考慮されておらず、携帯性に優れていない。任意の数のブリスター容器を携帯する際の携帯性を向上させるには、ブリスター容器同士の組み合わせ性を工夫することが必要となるが、この場合においても、コンタクトレンズの光学特性への悪影響や形状不良が発生しないようにすることが最も重要である。
【0017】
特許文献4に記載のコンタクトレンズ用出荷容器は、容器同士を嵌め込んで積層することができ、組み合わせ性が良好で、光学特性に対する悪影響も発生しない一方、容器同士を積層した際の高さが高くなり、省スペース性について改善の余地があった。
【0018】
そこで、本願発明者は、コンタクトレンズ用出荷容器の窪み部からのコンタクトレンズの取り出しを、レンズに傷を生じさせることなく行うことができ、また、収納時にレンズの光学特性に悪影響を及ぼすことなく、一定の位置にコンタクトレンズを保つことを可能としたコンタクトレンズ用出荷容器を提供することを課題とした。さらに、本願発明者は、使用者が必要に応じた任意の数を安定した状態で携帯できるようにコンタクトレンズ用出荷容器同士の組み合わせ性を考慮し、省スペース性及び携帯性を向上させることも課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、本願発明者らは、収納時にコンタクトレンズと蓋部内面が接触するように、コンタクトレンズの形状を考慮して、コンタクトレンズ用出荷容器の容器本体部及び蓋部を形成することにより、コンタクトレンズの取り出しを、容器と接触することなく行う方法の開発を試みた。
【0020】
本発明は、コンタクトレンズを収容する窪み部と該窪み部の周囲に形成したフランジ部及び支持部を有する容器本体部と、前記窪み部を覆う蓋部と、からなるコンタクトレンズ用出荷容器において、前記コンタクトレンズの少なくとも周縁部全周が前記蓋部と接するように前記窪み部及び前記蓋部を形成し、前記コンタクトレンズを前記蓋部に吸着させることを特徴とするコンタクトレンズ用出荷容器を提供するものである。
【0021】
また、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、前記蓋部が、前記窪み部内に突出した球面形状を有し、この突出部の曲率
半径が前記コンタクトレンズのベースカーブの曲率
半径と同一又は大きくなるように形成されたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、前記蓋部が、前記窪み部内に突出した形状を有さない平面状をなすことを特徴とする。
【0023】
また、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、前記蓋部が、該蓋部を開封したときに前記コンタクトレンズの周縁部より下方側に突起部を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、前記窪み部が球面形状をなし、該窪み部の曲率
半径がコンタクトレンズのフロントカーブの曲率
半径より大きくなるように形成されたことを特徴とする。
【0025】
また、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、前記窪み部の深さが、該窪み部に収納されたコンタクトレンズの中心部から周縁部までの高さに対し、100%〜200%となるように形成されたことを特徴とする。
【0026】
また、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、上記コンタクトレンズ用出荷容器において、当該容器同士を積み重ねられるように前記支持部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、コンタクトレンズを収容する窪み部と該窪み部の周囲に形成したフランジ部及び支持部を有する容器本体部と、前記窪み部を覆う蓋部と、からなり、前記コンタクトレンズの少なくとも周縁部全周が前記蓋部と接するように前記窪み部及び前記蓋部を形成し、前記コンタクトレンズを前記蓋部に吸着させる構成により、蓋部内面にコンタクトレンズの少なくとも周縁部全周が接することによって発生する陰圧や保存液の表面張力などにより、コンタクトレンズを蓋部内面に吸着させて保存することに特徴がある。
【0028】
従って、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、開封時に、コンタクトレンズが蓋部に吸着した状態で容器本体部から簡単に取り出すことができ、レンズ表面に傷が発生することなく、また、容易にコンタクトレンズを取り出すことができる。また、コンタクトレンズは、蓋部内面に吸着して保存されるから、容器内部で一定の位置に保たれることにより、保存時の表裏反転を抑止でき、レンズ装用時の取り扱いの煩雑さを解消することができる。その結果、手指によるコンタクトレンズベースカーブ面への接触がなくなり、レンズの汚染を防止して、この汚染を原因とした眼疾患を軽減することができる効果がある。
【0029】
また、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、前記蓋部が、前記窪み部内に突出した球面形状を有し、この突出部の曲率
半径が前記コンタクトレンズのベースカーブの曲率
半径と同一又は大きくなるように形成されたことにより、蓋部の突出部がコンタクトレンズの少なくとも周縁部全周と接して、コンタクトレンズを蓋部に確実に吸着させることができる効果がある。
【0030】
また、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、前記蓋部が、前記窪み部内に突出した形状を有さない平面状をなすことにより、簡易な形状の蓋部とコンタクトレンズの周縁部全周とが接して、簡単な構成でコンタクトレンズを蓋部に吸着させることができる効果がある。
【0031】
また、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、前記蓋部が、該蓋部を開封したときに前記コンタクトレンズの周縁部より下方側に突起部を有することにより、蓋部を開封したときに、蓋部に吸着したコンタクトレンズがずれ落ちるのを防止することができる効果がある。
【0032】
また、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、前記窪み部が球面形状をなし、該窪み部の曲率
半径がコンタクトレンズのフロントカーブの曲率
半径より大きくなるように形成されたことにより、コンタクトレンズのフロントカーブ面と窪み部との接触面積が小さくなり、コンタクトレンズが容器本体部に吸着するのを防止して、蓋部に確実に吸着させることができる効果がある。
【0033】
また、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、前記窪み部の深さが、該窪み部に収納されたコンタクトレンズの中心部から周縁部までの高さに対し、100%〜200%となるように形成されたことにより、コンタクトレンズの周縁部全周が蓋部と接するようにして窪み部に収容することができると共に、容器の高さを低くして安定性を向上することができる効果がある。
【0034】
また、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器は、上記コンタクトレンズ用出荷容器において、当該容器同士を積み重ねられるように前記支持部を形成したことにより、容器同士の積み重ねが容易な構成であるから、省スペース化を達成でき、出荷時や携帯時の利便性を向上することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明のコンタクトレンズ用出荷容器の第一態様を示す断面図。
【
図2】本発明のコンタクトレンズ用出荷容器の第二態様を示す断面図。
【
図3】本発明のコンタクトレンズ用出荷容器の第三態様を示す断面図。
【
図4】本発明のコンタクトレンズ用出荷容器の第四態様を示す断面図。
【
図5】第一態様におけるコンタクトレンズ用出荷容器を積み重ねた状態を示す断面図。
【
図6】第三態様におけるコンタクトレンズ用出荷容器を積み重ねた状態を示す断面図。
【
図7】(a)第一態様において蓋部に突起部を付した態様を示す断面図。 (b)第一態様において蓋部に突起部を付した態様を示す正面図。
【
図8】
図7のコンタクトレンズ用出荷容器を開封した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明に係るコンタクトレンズ用出荷容器は、コンタクトレンズ5を収容する窪み部1と該窪み部1の周囲に形成したフランジ部2及び支持部3を有する容器本体部と、前記窪み部1を覆う蓋部4と、からなり、前記コンタクトレンズ5の少なくとも周縁部10全周が前記蓋部4と接するように前記窪み部1及び前記蓋部4を形成し、前記コンタクトレンズ5を前記蓋部4に吸着させることを特徴とする。
【0037】
本願発明者らは、流通の際に用いるブリスター容器からコンタクトレンズ5を取出す際の簡便性を改善すべくブリスター容器の態様と、開封時に生じる接着部の剥がれ跡による悪影響の低減に着眼した。
【0038】
本願発明は、窪み部1に収容されたコンタクトレンズ5の周縁部10の全周が蓋部4に接するように、窪み部1及び蓋部4を形成して、蓋部4とコンタクトレンズ5で囲まれた空間に発生する陰圧によって、コンタクトレンズ5を蓋部4に吸着させることを特徴とするものである。
【0039】
容器の蓋部4は、熱伝導率の高いアルミ材を有するため、蓋部4を容器本体部にヒートシールする際、蓋部4とコンタクトレンズ5で囲まれた空間の温度は窪み部1内で最も高くなり、この空間に存在する保存液及び気体は熱膨張する。保存液及び気体は、やがて室温まで空冷され、空冷により生じる保存液及び気体の熱収縮により、蓋部4とコンタクトレンズ5で囲まれた空間に陰圧が発生し、コンタクトレンズ5は蓋部4に吸着することとなる。
【0040】
また、蓋部4に通常用いられるアルミ材の厚みは、0.1mm以下と極めて薄いため、ヒートシールの際に蓋部4自体も熱膨張しやすく、空冷による蓋部4の熱収縮も蓋部4とコンタクトレンズ5で囲まれた空間に陰圧を発生させる一つの要因となる。
【0041】
なお、蓋部4とコンタクトレンズ5の吸着の要因は、陰圧に限られるものではなく、窪み部1内にコンタクトレンズ5と共に収容される保存液の表面張力や各素材の親水性などの影響も受け得ると考えられる。
【0042】
以下に、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0043】
本コンタクトレンズ用出荷容器は、コンタクトレンズ5とその保存液を収容する球面形状の窪み部1と、この窪み部1の開口部周辺に広がるフランジ部2と、支持部3を有する容器本体部と、窪み部1を覆う蓋部4と、で構成されたブリスター容器である。
【0044】
蓋部4の形状は、コンタクトレンズ5の形状と窪み部1の深さに基づいて決定される。蓋部4は、できる限り高い陰圧を発生させて、コンタクトレンズ5の吸着性を向上させるために、
図1に示すように、窪み部1内に突出した球面形状を有していることが好ましい。なお、蓋部4の形状は、コンタクトレンズ5の少なくとも周縁部10全周が蓋部4と接して、蓋部4の内面にコンタクトレンズ5を吸着できるように形成されていればよく、通常のブリスター容器の蓋部4のように平面形状でもよい。
【0045】
蓋部4の突出部の形状は、蓋部4の内面とコンタクトレンズ5の少なくとも周縁部10全周において接するように形成されたことにより、コンタクトレンズ5と蓋部4を効果的に且つ均一に接することを可能とし、平面形状の場合より高い陰圧を発生させることができる。
【0046】
また、蓋部4の突出部の曲率
半径は、コンタクトレンズ5のベースカーブの曲率
半径と同一又は大きくなるような球面形状に形成することにより、吸着性が向上することから好ましい。好ましい蓋部4の突出部の曲率
半径は、コンタクトレンズ5のベースカーブの曲率
半径に対して、100%〜150%に形成されていることであり、より好ましくは100%〜125%である。
【0047】
蓋部4とコンタクトレンズ5の吸着力は、蓋部4とコンタクトレンズ5で囲まれた空間に発生する陰圧のみならず、コンタクトレンズ5のフロントカーブと窪み部1の空間に生じる外部圧力の影響も受ける。本コンタクトレンズ用出荷容器において、外部圧力とは、窪み部1内の保存液がコンタクトレンズ5のフロントカーブを押す圧力であり、コンタクトレンズ5のフロントカーブと保存液との接触面積が広いほど圧力は大きくなる。すなわち、容器本体部の窪み部1の形状は、外部圧力の強弱に影響を及ぼすこととなる。コンタクトレンズ5の周縁部全周が蓋部4に効果的且つ均一に接するためには、上記外部圧力がコンタクトレンズ5の全面に対して均一に作用することが好ましい。容器本体部は、窪み部1内においてコンタクトレンズ5が一定の位置に保たれるように窪み部1を形成することで、外部圧力は均一に作用する。
【0048】
容器本体部は、窪み部1の形状を球面形状とすることで、コンタクトレンズ5は自重により、コンタクトレンズ中心部9が窪み部1の最深部である中心部9に接して、安定して保持することができる。
また、窪み部1は、コンタクトレンズ5を最深部に安定して保持するように、球面形状の曲率
半径をコンタクトレンズ5のフロントカーブの曲率
半径よりも大きくなるように形成していることが好ましい。すなわち、窪み部1の曲率
半径は、コンタクトレンズ5のフロントカーブの曲率
半径に対して、101%〜175%に形成されていることが好ましく、105%〜150%に形成されていることがより好ましい。この構成により、容器本体部は、コンタクトレンズ5のフロントカーブ面と窪み部1との接触面積が小さくなり、コンタクトレンズ5が容器本体部に吸着するのを防止して、蓋部4に確実に吸着させることができる。
【0049】
本コンタクトレンズ用出荷容器において、蓋部4は、開封時に、蓋部4の全体が取り除き可能な一体のシート構造により形成されたシートタイプ、又は、窪み部1の開口部のみが取り除き可能なプルトップ構造により形成されたプルトップタイプにより形成される。
図1〜4に示す容器は、蓋部4がシートタイプのものである。図中の8は、フィルム溶着部であり、通常のブリスター容器と同様に、窪み部1周辺のフランジ部2において蓋部4と容器本体部とを溶着することにより密閉される。
【0050】
蓋部4は、ポリプロピレンフィルムとアルミ箔の積層物で形成してある。蓋部4は、ポリプロピレンとアルミ箔の積層物、又は、容器本体部と同一の合成樹脂で形成してあることが好ましく、前者は押圧成形によることが好ましく、後者は射出成型によることが好ましい。蓋部4と容器本体部との接合方法には、熱溶着、超音波溶着、高周波溶着などの通常のプラスチックの溶着方法を用いることが好ましく、材質によっては接着剤や溶剤による接着方法を用いてもよい。接合方法は、蓋部4とコンタクトレンズ5で囲まれた空間に陰圧を効率よく発生することができ、コンタクトレンズ5を蓋部4に確実に吸着させることができるから、熱溶着を用いることが最も好ましい。
【0051】
本発明の容器に用いる合成樹脂は、コンタクトレンズ5と保存液を封入した後に滅菌工程を行う必要があるので、オートクレーブ滅菌に耐えうる程度の耐熱性や耐薬品性を有するものが好ましい。一般的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、脂環式ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。本容器には、例えば、容器本体部と蓋部4に同一の合成樹脂を用いると成型加工の点で好ましい。また、本容器は、容器本体部及び蓋部4のいずれか一方に熱可塑性エラストマー等の柔軟性のある樹脂を用いると、容器同士の嵌め込みが容易となる利点がある。さらに、本容器は、耐熱性を有する生分解性の樹脂を使用することで、使用後の廃棄処理を容易にするという利点も得られる。
【0052】
本コンタクトレンズ用出荷容器において、蓋部4内面へコンタクトレンズ5を効果的に吸着させるためには、窪み部1の周縁位置11から、窪み部1の内壁側中心部9までの深さcと、コンタクトレンズ5の周縁部10から、コンタクトレンズ5の中心部9までのカップの深さ(サジタルデプス)dとの関係性が重要となる。蓋部4内面へコンタクトレンズ5を効果的に吸着するためには、c/dの値が100%〜200%となるように設計することが好ましく、125%〜175%となるように設計することがより好ましい。c/dの値が100%未満となった場合は、コンタクトレンズ5の周縁部10が、窪み部1の周縁位置11よりも高くなってしまうため、蓋部4を容器本体部に接合する際に、コンタクトレンズ5を押しつぶした状態で窪み部1内において保持することとなり、レンズの光学的特性へ悪影響を及ぼすことが懸念される。一方、c/dの値が200%を超えた場合は、窪み部1の深さが深くなり、支持部3の長さも長くなりすぎて、容器の安定性が低下するために好ましくない。
【0053】
なお、c/dの値が100%、すなわち、コンタクトレンズ5の周縁部10と、窪み部1の周縁位置11が同じ高さになる場合は、
図3に示すように、蓋部4が窪み部1内に突出しない平面形状であったとしても、コンタクトレンズ5を蓋部4に吸着させることが可能である。この場合、コンタクトレンズ5は、蓋部4と周縁部10で周接して吸着する。
【0054】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0055】
[容器の第一態様]
図1は、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器の第一態様を示す断面図である。
図1に示す容器本体部は、コンタクトレンズ5とその保存液を収容する球面形状の窪み部1と、この窪み部1の開口部周辺に広がるフランジ部2と、該フランジ部2に連設した支持部3を両端に有する。また、
図1に示す容器は、蓋部4が窪み部1内に突出した形状を有し、2箇所の支持部設置部12と、窪み部1の外壁側中心部7との3箇所において設置され、容器本体部が傾かずに支持されるように形成されている。なお、
図1に示す容器は、2箇所の支持部設置部12のみにおいて設置され、容器本体部が傾かずに支持されるように形成されていてもよい。すなわち、この容器は、窪み部1の周縁位置11から外壁中心部7までの深さaと、支持部3の高さbの関係が、a≦bであることが好ましい。
【0056】
また、本コンタクトレンズ用出荷容器は、蓋部4内面の最先端部6と、窪み部1の最深部(窪み部外壁側中心部)7を垂直方向で一致させることにより、窪み部1内での保存中におけるコンタクトレンズ5の位置安定性を最も向上させることが可能となる。また、本容器は、このように形成することにより、効果的且つ均一にコンタクトレンズ5を蓋部4の内面に押圧することができる。
【0057】
図5は、第一態様におけるコンタクトレンズ用出荷容器を積み重ねた状態を示す断面図である。容器本体部は、支持部3をフランジ部2から先端部に向かって外側に広げて形成し、容器本体部を積み重ね可能にしてある。また、本容器は、蓋部4が窪み部1内に突出した形状を有するから、蓋部4に他の容器の窪み部1を嵌入可能な凹部が形成される。従って、本容器は、この凹部に他の容器の窪み部1を嵌入させることにより、積み重ねて使用した際の高さを低くし省スペースで収納することが可能となる。
【0058】
支持部3は、先端部を下方に向けて形成してあり、支持部3の先端が他の容器の支持部3に当接して、容器の間隔を既定するように構成してある。このように、本容器は、容器を積み重ねて携帯する際に、支持部3を支持点として容器が支持されるように形成されていることが好ましい。本容器において、容器本体部の窪み部1と蓋部4の凹部とで容器を支持するように形成した場合には、下側の容器の蓋部4は上側の容器の重さにより押圧され、コンタクトレンズ5と蓋部4が周接することにより発生する陰圧が弱まり、蓋部4にコンタクトレンズ5が吸着され難くなる。
【0059】
本コンタクトレンズ用出荷容器は、携帯の際に積み重ねて使用できる。安定性を考慮した場合、ブリスター容器を水平平面に置いた場合に、容器本体が傾いて支持されないように形成されていることが好ましい。
【0060】
[容器の第二態様]
図2は、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器の第二態様を示す断面図である。
図2に示す容器本体部は、コンタクトレンズ5とその保存液を収容する球面形状の窪み部1と、この窪み部1の開口部周辺に広がるフランジ部2と、該フランジ部2に連設した支持部3を片端に有する。容器本体部は、支持部3を片端にのみ有する場合、支持部接地部12と、窪み部1の最深部(窪み部外壁側中心部)7との2箇所において設置され、容器本体部が傾かずに支持されるように形成されている。すなわち、この容器は、窪み部1の周縁位置11から外壁中心部7までの深さaと、支持部3の高さbの関係が、a=bである。本容器の他の構成は、第一態様と同様である。
【0061】
[容器の第三態様]
図3は、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器の第三態様を示す断面図である。本コンタクトレンズ用出荷容器は、蓋部4が窪み部1内に突出した形状を有さない平面状をなすと共に、窪み部1の深さcを、コンタクトレンズ5のカップの深さdに等しくなるように形成してある。本容器は、コンタクトレンズ5を、蓋部4と周縁部10で周接して吸着する。
【0062】
図3に示す容器本体部は、コンタクトレンズ5とその保存液を収容する球面形状の窪み部1と、この窪み部1の開口部周辺に広がるフランジ部2と、該フランジ部2に連設した支持部3を両端に有する。本容器は、蓋部4が水平な平面形状となるように、2箇所の支持部設置部12において設置され、容器本体部が傾かずに支持されるように形成されている。すなわち、この容器は、窪み部1の周縁位置11から外壁中心部7までの深さaと、支持部3の高さbの関係が、a<bである。なお、この容器は、容器同士を積重ねない場合には、a=bの関係に形成してもよい。
【0063】
図6は、第三態様におけるコンタクトレンズ用出荷容器を積み重ねた状態を示す断面図である。容器本体部は、支持部3をフランジ部2から先端部に向かって外側にやや広げた形状とし、容器本体部を積み重ね可能にしてある。本容器は、容器本体部の窪み部1を蓋部4に嵌入することはできないが、支持部3を外側に広げた形状とすることにより、組み合わせ性が向上し、積み重ねて使用した際の省スペース性を達成できる。なお、
図6の実施例では、支持部3の先端が他の容器の支持部3に当接して既定される容器の間隔を、窪み部1の深さaに一致させて、容器の間隔を最小にしてある。
【0064】
[容器の第四態様]
図4は、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器の第四態様を示す断面図である。
図4に示す容器本体部は、コンタクトレンズ5とその保存液を収容する球面形状の窪み部1と、この窪み部1の開口部周辺に広がるフランジ部2と、該フランジ部2に連設した支持部3を両端に有する。支持部3は、それぞれ異なる高さに形成してあり、容器本体部を水平平面に置いた際に傾いて支持される。本容器は、2箇所の支持部設置部12において設置され、支持されるように形成してもよく、2箇所の支持部設置部12と、窪み部1の外壁側中心部7との3箇所において容器本体を支持するように形成してもよい。
【0065】
この容器は、窪み部1の周縁位置11から外壁中心部7までの深さa、a'と、支持部3の高さbの関係が、a'<a<bである。この容器は、容器を多数積み重ねた場合に、他の形状と比べて安定性が低下するため、少数を持ち運ぶのに適している。この容器は、a'とaの差、及び、aとbの差を小さくなるように形成することで、積み重ねた際の安定性を向上することが可能である。本容器の他の構成は、第一態様と同様である。
【0066】
[第一態様の変形例]
図7(a)は、第一態様の容器において蓋部4に突起部13を付した態様を示す断面図であり、
図7(b)は、その正面図である。
図8は、本態様のコンタクトレンズ用出荷容器を開封した状態を示す断面図である。
【0067】
蓋部4は、開封片(図示しない)の反対側で、蓋部4を開封した際にコンタクトレンズ5の周縁部10より下方側に、内面方向に突出する突起部13を有する。蓋部4は、突起部13を有することで、蓋部4の内面に吸着したコンタクトレンズ5がずれ落ちるのを防止することが可能となる。この突起部13の形状及びサイズは、コンタクトレンズ5のずれ落ちを抑止できる程度であればよく、特に制限はない。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0069】
本発明のコンタクトレンズ用出荷容器の第一態様及び第三態様において、コンタクトレンズ5のベースカーブ及びフロントカーブ、蓋部4の突出部並びに窪み部1は、表1に示す曲率
半径で作製し、窪み部1の深さは、表1に示す深さ(コンタクトレンズ5のカップ深さ(サジタルデプス)に対する比率で表している)で作製した。また、比較例には、現在市場に流通しているブリスター容器(シード社製/シード 2week Pure)を使用した。
【0070】
表1は、実施例1,2及び比較例について、各々100サンプルに対する蓋部4へのコンタクトレンズ5の吸着枚数と、窪み部1内でのコンタクトレンズ5の表裏反転枚数を示したものである。表1の評価結果は、従来のブリスター容器では吸着枚数が0であったのに対し、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器では100%近い確率でコンタクトレンズ5が蓋部4に吸着していることを示している。
【0071】
また、表1の最下欄には、実施例1,2及び比較例について、各々のブリスター容器を10個積み重ねたときの高さを示している。表1の評価結果は、本発明のコンタクトレンズ用出荷容器では、従来のブリスター容器に対して、積重ね高さが半分以下になることを示している。
【0072】
【表1】
【符号の説明】
【0073】
1 窪み部
2 フランジ部
3 支持部
4 蓋部
5 コンタクトレンズ
6 蓋部内面の最先端部
7 窪み部最深部(窪み部外壁側中心部)
8 フィルム溶着部
9 コンタクトレンズ中心部(窪み部内壁側中心部)
10 コンタクトレンズ周縁部
11,11' 窪み部周縁位置
12 支持部設置部
13 蓋部内面突起部
a,a' 窪み部周縁位置からの窪み部の深さ(外壁側)
b 支持部の高さ
c 窪み部周縁位置からの窪み部の深さ(内壁側)
d コンタクトレンズの深さ