(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694755
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】サージカルドレープ
(51)【国際特許分類】
A61B 19/08 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
A61B19/08 501
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-282922(P2010-282922)
(22)【出願日】2010年12月20日
(65)【公開番号】特開2012-130387(P2012-130387A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2013年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】594158460
【氏名又は名称】ナガイレーベン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000501
【氏名又は名称】特許業務法人 銀座総合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 尚
【審査官】
佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第4471769(US,A)
【文献】
米国特許第4196723(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第10061851(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平布にて形成したドレープ本体の幅方向中央部に患者の腹部を露出可能とする第1開口部を配置するとともに、この第1開口部とは間隔を介した位置に、患者の陰部及び/又は肛門部を露出可能とする第2開口部を配置したものにおいて、上記ドレープ本体は、下端から第2開口部側にスリットを形成して一部を分離することにより患者の2本の足を個別に被覆可能とする一対の足部被覆片を設け、この一対の足部被覆片の互いに対向する一側のスリット側に、補助片をそれぞれ延設し、各補助片を患者の両足間に垂下可能としたことを特徴とするサージカルドレープ。
【請求項2】
ドレープ本体は、第1開口部と第2開口部との間に、第1開口部及び第2開口部を選択的に被覆可能とする開口被覆片の一側を接続固定したことを特徴とする請求項1のサージカルドレープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術の際に患者に被覆するサージカルドレープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、外科、泌尿器科、産婦人科の手術では、一回の手術で患者の腹部と陰部/肛門部との両方を術野とする場合がある。そこで、このような手術に対応するために、
図4に示す如く患者の腹部と陰部/肛門部に対応する位置に開口部を形成したドレープが従来より使用されている。即ち、このドレープは、
図4に示す如く長方形の平布を組み合わせて形成したものであって、患者の腹部と陰部/肛門部に対応する位置にそれぞれ開口部(40)(41)を形成している。そして、左右の足を個々に被覆するためのスリット等は形成していない。
【0003】
しかしながら、上記手術においては、開脚位や砕石位等のように、患者が足を開く体位をとる場合が多い。そのため、
図4に示す如き従来のドレープを使用すると、ドレープの両側から開脚した足部が露出するため感染管理上問題となる。そこで、上記の如く開脚位や砕石位で手術を行う場合には、予め患者の両足に、足のつま先から大腿部までを被覆可能とする足袋を各足に個別に装着し、その後、
図4のドレープを被覆することが一般的に行われていた。
【0004】
また、他の従来例として、特許文献1に示す如くドレープの足部被覆側にスリットを設けて2分割し、これにより形成された一対の足部被覆片を患者の各足に個別に被覆することを目的としたものが公知となっている。
【0005】
また、特許文献1及び上記従来例とは異なる従来例として、患者が開脚位や砕石位をとった場合でも患者の両足を露出困難に被覆するために、ドレープの足部を被覆する部分の形成幅を、頭部側の形成幅よりも幅広に形成したドレープが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−118934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の如く
図4のドレープと足袋とを組み合わせて使用する場合には、ドレープの他に足袋を2枚別途準備して患者に装着しなければならず、コストが高くつくとともに準備が煩雑なものとなっていた。また、術式によっては手術中に患者の体位を変更する場合があるが、そのような場合には、ドレープの滅菌状態を保つためにドレープの追加が必要になったり、ドレーピングをし直さなければならない場合もある。また、他に両足に装着した足袋の装着状態にも気を使わなければならないため、手術に余分な時間と手間がかかるとともに、患者に余分な負担を強いるものとなっていた。
【0008】
また、特許文献1に記載のドレープは、単にドレープにスリットを設けることにより足部被覆片を形成したものであるため、各足部被覆片の形成幅はドレープの形成幅の半分となり幅狭となる。そのため、特に患者が砕石位の体位をとった場合には、患者の足部が開脚するとともに高さ方向に折り曲げられるため立体的となり、足部被覆片から患者の足部が露出しやすいものとなる。従って、手術中の清潔を確実にするため、特許文献1に記載のドレープを使用する場合は別途患者の各足に足袋を装着する必要があった。よって、特許文献1に記載のドレープを使用した場合も、上記
図4の従来例の場合と同様に手術に余分な時間と手間がかかるとともに、患者に余分な負担を強いるものとなっていた。
【0009】
また、ドレープの足を被覆する部分を広く形成した場合には、足袋を装着することなく開脚した足部を被覆することはできるものの、開脚した患者の両足の間にドレープが連続的に垂れ下がるものとなる。そのため、患者の両足の間に位置して手術を行う医師にとっては、患者の両足間に垂れ下がったドレープが作業の邪魔となっていた。
【0010】
そこで、本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、患者が開脚位や砕石位の態勢をとって両足を開脚した場合でも足袋を使用することなく患者の両足を確実に被覆可能なものとし、患者に負担を強いることなく良好なドレープの装着状態を維持して手術中の清潔を保つことができるとともに、患者の両足間に位置する医師が作業を円滑に行うことができるサージカルドレープを得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上述の如き課題を解決するため、平布にて形成したドレープ本体の幅方向中央部に患者の腹部を露出可能とする第1開口部を配置するとともに、この第1開口部とは間隔を介した位置に、患者の陰部及び/又は肛門部を露出可能とする第2開口部を配置している。このように、1つのドレープに第1開口部と第2開口部との2つの開口部を形成していることから、特に腹部と陰部/肛門部の両方を術野とする外科の腹会陰式直腸切除術、低位前方切除術、S状結腸切除術、腹腔鏡補助下結腸切除術、泌尿器科の膀胱全摘出術、回腸導管造設術、前立腺全摘出術、産婦人科の腹腔鏡下婦人科手術等に使用することができる。尚、腹式帝王切開術、腹式単純子宮全摘出術、広汎性子宮全摘出術については、腹部を術野とするものの、陰部/肛門部の確認のために第2開口部も使用する場合がある。
【0012】
そして、上記ドレープ本体の第2開口部側に、患者の2本の足を個別に被覆可能とする一対の足部被覆片を設け、この一対の足部被覆片の互いに対向する一側に補助片を各々設け、各補助片を患者の両足間に垂下可能としたものである。このように、一対の足部被覆片に各々補助片を設けることにより、各足を個別に被覆する部分を広いものとすることができる。そのため、患者が開脚位や砕石位をとった場合でも開脚した足が露出することなく、ドレープの装着状態を良好に維持して清潔を保つことが可能となる。
【0013】
また、上記の如く、一対の足部被覆片の互いに対向する一側に補助片を各々設けたものであるから、患者の足が開脚状態の場合でも足部被覆片及び補助片を各足毎に分離して配置することが可能となる。そのため、患者の両足の間にドレープが連続的に垂れ下がることなく患者の両足の間隔に広いスペースを確保することができるため、患者の両足間に位置して手術を行う医師は、ドレープに煩わされることなく手術を円滑に行うことができる。
【0014】
また、本発明のドレープは上記の如く平布にて形成した平面状の構成であるため、袋状の構成とは異なり汚れがたまることなく、洗濯を簡易に行うことができるとともに洗濯後の点検が容易となる。また、平面状の構成であることから洗濯後の折り畳みが容易となり折り畳み作業を円滑に行うことができる。また、使用時には折り畳んだドレープを容易且つスムーズに患者に被覆することができるため、手術を迅速に開始することが可能となる。
【0015】
また本発明は、ドレープ本体の下端から第2開口部側にスリットを形成して一部を分離することにより足部被覆部を設けるとともに、この足部被覆部のスリット側に、補助片をそれぞれ延設したものである。
【0016】
また、ドレープ本体は、第1開口部と第2開口部との間に、第1開口部及び第2開口部を選択的に被覆可能とする開口被覆片の一側を接続固定したものであっても良い。このように第1開口部と第2開口部との間に開口被覆片を設けることにより、第1開口部の術野にて手術を行っている場合には第2開口部に開口被覆片を被覆して第2開口部側の術野を清潔に保つことができるとともに、第2開口部の術野にて手術を行っている場合には、第1開口部に開口被覆片を被覆して第1開口部側の術野を清潔に保つことができる。そのため、第1開口部又は第2開口部を被覆するために別途布を準備する必要がなく、作業を効率良く行うことができる。
【0017】
そして、例えば腹腔鏡下胆嚢摘出術の場合は手術時に第1開口部のみを使用し、腹式単純子宮全摘出術、広汎性子宮全摘出術の場合も手術時に第1開口部のみを使用する場合があることから、このように手術時に一方の開口部のみしか使用しない場合には、他方の開口部に開口被覆片を被覆して使用することによって、清潔を保つことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述の如く構成したものであって、一対の足部被覆片に各々補助片を設けることにより、各足を個別に被覆する部分を広く形成することができる。そのため、患者が開脚位や砕石位の姿勢をとった場合でも、開脚した足がドレープから露出しにくいものとなるため、ドレープの装着状態を良好に維持して清潔を保つことができる。
【0019】
また、上記の如く仰臥位のみならず、開脚位、砕石位の全ての体位に対応することができるため、手術中に体位を変更した場合でも他に足袋や四角布などの余分な部材を必要とすることなく、1枚のドレープのみで上記いずれの体位への変更も可能である。従って、手術にかかるコストや手間、患者への負担を低減することが可能となる。
【0020】
また、一対の足部被覆片の互いに対向する一側に補助片を各々個別に垂下したものであるから、患者の足を開脚した場合でも、足部被覆片及び補助片を各足に分離して配置することができる。そのため、患者の両足の間にドレープが連続的に垂れ下がることなく広いスペースを確保することが可能となる。従って、患者の両足間に位置して手術を行う医師は、ドレープに煩わされることなく手術を円滑に行うことができる。
【0021】
また、本発明のドレープは平布にて形成した平面状の構成であるため、袋状の構成とは異なり汚れがたまることなく、洗濯を簡易に行うことができるとともに洗濯後の点検が容易となる。また、平面状の構成であることから洗濯後の折り畳みが容易となり折り畳み作業を円滑に行うことができる。また、使用時には折り畳んだドレープを容易且つスムーズに患者に被覆することができるため、手術を迅速に開始することが可能となる。
【実施例1】
【0023】
本発明の実施例1について説明すると、本実施例のサージカルドレープは、外科の腹会陰式直腸切除術、低位前方切除術、S状結腸切除術、腹腔鏡補助下結腸切除術、泌尿器科の膀胱全摘出術、回腸導管造設術、前立腺全摘出術、産婦人科の腹式帝王切開術、腹式単純子宮全摘出術、広汎性子宮全摘出術、腹腔鏡下婦人科手術等に使用するものであって、
図1に示す如く、ドレープ本体(1)に第1開口部(2)及び第2開口部(3)を形成するとともに、一対の足部被覆片(27)を形成したものである。尚、本実施例では、ドレープ本体(1)において、患者の頭部を被覆する側を上方とするとともに、患者の足部を被覆する側を下方としている。
【0024】
本実施例のサージカルドレープについて以下に詳細に説明すると、(1)はドレープ本体であって、平布にて形成したものであるこのように平布にて形成することにより、袋状の構成とは異なり汚れがたまることなく、洗濯を簡易に行うことができるとともに洗濯後の点検が容易となる。また、平面状の構成であることから洗濯後の折り畳みが容易となり折り畳み作業を円滑に行うことができる。また、使用時には折り畳んだサージカルドレープを容易且つスムーズに患者に被覆することができるため、手術を迅速に開始することが可能となる。
【0025】
そして、
図1に示す如く、患者の頭部から腹部側を患者の左右方向に幅広な長方形状の上部布(30)を配置するとともに、腹部から足部側を患者の身長方向に長尺で上記上部布(30)よりも幅狭な長方形状の下部布(31)を配置している。尚、本実施例のドレープ本体(1)はポリエステル長繊維製であって、通気性及び撥水性を有している部分と親水性でありながら防水性を有している部分とから成り、洗浄することによって再使用可能なものである。また、上記ポリエステル長繊維は不織布の場合と比較して燃えにくく、手術で使用する電気メス等の火花によりサージカルドレープに穴が開いて燃え広がる危険性が少ないものとなる。
【0026】
そして、上記の如きドレープ本体(1)の中央部には、略長方形の第1開口部(2)を開口形成しており、この第1開口部(2)は、患者の腹部の術野を露出可能とするものである。また、この第1開口部(2)とは間隔を介した下方に第2開口部(3)を形成している。この第2開口部(3)は、患者の腹部の術野に第1開口部(2)を配置した状態で、患者の陰部及び/又は肛門部の術野に配置して術野を露出可能としている。
【0027】
また、上記の如く形成した第1開口部(2)の外周には、
図1に示す如く外周フラップ(4)を配置している。この外周フラップ(4)は、第1開口部(2)の外周縁のみをドレープ本体(1)に縫い付けるとともに、第1開口部(2)の両側をドレープ本体(1)と分離した自由片(6)としている。そして、この一対の自由片(6)にはそれぞれスナップ(7)を複数個配置し、これらのスナップ(7)を留めることにより
図2に示す如く、第1開口部(2)の両側に一対のポケット(8)が形成される。
【0028】
上記の如く第1開口部(2)の両側にポケット(8)を形成することにより、第1開口部(2)から流出した洗浄水、血液、体液が上記ポケット(8)で受け止められるため、床面への洗浄水、血液、体液の流出を抑えて汚染を防止することができる。また、手術中に使用する器具を一時的にポケット(8)内に挿入して保持することができるため、作業を効率良く行うことができる。
【0029】
また、上記第2開口部(3)の外周には裏面の防水シート(図示せず。)を貼り合わせた緩衝シート(10)を配置している。この緩衝シート(10)は、
図1に示す如く略長方形に形成したものであって、第2開口部(3)の配置側の縁部(11)、及び第2開口部(3)の外周縁をドレープ本体(1)に縫い付けるとともに、第2開口部(3)の下方をドレープ本体(1)とは分離した分離片(13)としている。
【0030】
そして、この緩衝シート(10)の表面を織りによって凹凸に形成しており、これにより、第2開口部(3)から洗浄水、血液、体液等を排出する際に、排出された液体が上記緩衝シート(10)によって緩衝されやすいものとなる。また、裏側に貼り合わされた防水シートにより、排出された液体が裏面に浸透することなく、感染防止の働きをする。そのため、第2開口部(3)の周囲で洗浄水、血液、体液などの跳ね返りが生じにくいものとなり、手術時の汚染や感染防止を保つことが可能となる。
【0031】
また、上記第1開口部(2)と第2開口部(3)との間には、
図1に示す如く略長方形の開口被覆片(14)を配置している。この開口被覆片(14)は、上端側の一側を第1開口部(2)と第2開口部(3)との間のドレープ本体(1)に縫い付けてフラップ状としている。そして、このように形成配置した開口被覆片(14)を第1開口部(2)側に配置することにより第1開口部(2)を被覆可能とするとともに、第2開口部(3)側に配置することにより第2開口部(3)を被覆可能なものとしている。
【0032】
このように開口被覆片(14)を設けることにより、第1開口部(2)の術野にて手術を行っている場合には第2開口部(3)に開口被覆片(14)を被覆して第2開口部(3)側の術野を清潔に保つことができるとともに、第2開口部(3)の術野にて手術を行っている場合には、第1開口部(2)に開口被覆片(14)を被覆して第1開口部(2)側の術野を清潔に保つことができる。そのため、第1開口部(2)又は第2開口部(3)を被覆するために別途布を準備する必要がなく、作業を効率良く行うことができる。また、第1開口部(2)及び第2開口部(3)の両方を開放状態とする場合には、
図2に示す如く開口被覆片(14)をロール状にまとめて両側を布鉗子(16)にて留めておく。
【0033】
上記について具体的に説明すると、例えば第1開口部(2)及び第2開口部(3)の両方を術野として使用する腹会陰式直腸切除術の場合には、開口被覆片(14)をロール状にまとめて両側を布鉗子(16)で固定した後、まず、第1開口部(2)において腹部の手術を行う。次に、第2開口部(3)において会陰部の手術を行い、この会陰部での手術が終了すると、開口被覆片(14)を留めていた布鉗子(16)を外し、この開口被覆片(14)を第2開口部(3)に被覆する。
【0034】
尚、上記では第1開口部(2)及び第2開口部(3)の両方を術野とする場合について説明したが、腹腔鏡下胆嚢摘出術の如く第1開口部(2)のみを術野とする場合や、膣式子宮全摘出術、頚管縫縮術(シロッカー、マクドナルド等)、子宮頚部円錐切除術の如く第2開口部(3)のみを術野とする場合にも、術野としない側の開口部を開口被覆片(14)にて被覆することにより、本実施例のサージカルドレープを使用することが可能である。
【0035】
また、
図1に示す如く、ドレープ本体(1)の下端から第2開口部(3)の下方にかけてスリット(17)を形成することにより、ドレープ本体(1)の下端側を分離して一対の足部被覆片(27)を形成している。そして、この足部被覆片(27)のスリット(17)側の一側に補助片(26)を延設している。この補助片(26)は、
図1の二点鎖線に示す如く長方形であって、その形成長さを足部被覆片(27)の形成長さとほぼ同一とするとともに、形成幅を足部被覆片(27)の形成幅よりもやや幅狭なものとしている。
【0036】
尚、上記足部被覆片(27)及び補助片(26)は、第1開口部(2)及び第2開口部(3)を腹部、及び陰部/肛門部の術野に臨ませて各々配置した状態で、患者の足部を完全に被覆可能とする形成長さとしている。
【0037】
上記の如く一対の足部被覆片(27)に補助片(26)を各々個別に延設することにより、ドレープ本体(1)の各足を被覆する部分の面積を広いものとすることができる。そのため、
図3に示す如く患者が開脚位や砕石位をとった場合でも開脚した足が露出することなく、ドレープの装着状態を良好に維持して清潔を保つことができる。
【0038】
このように、本実施例のドレープは、仰臥位、開脚位、砕石位のいずれの体位をとった場合にも足部を完全に被覆することができるため、手術の途中で患者の体位を、例えば仰臥位から砕石位へ変更する等他の体位に変更した場合でも、足袋や別のドレープを必要とすることなく1つのドレープで上記体位の全てに即座に対応することが可能となる。従って、余分な費用や手間、患者への負担をかけることなく手術を効率良く行うことが可能となる。
【0039】
また、補助片(26)は、上記の如くスリット(17)側の一側のみを足部被覆片(27)に接続したものであって、他側が自由端となっていることから、患者の足を開脚状態とした場合も補助片(26)の他側が垂下するため、足部被覆片(27)及び補助片(26)を各足ごとに分離して配置することができる。そのため、患者の両足の間でドレープが連続的に垂れ下がるという事態が生じることなく、両足間に広いスペースを確保することができる。従って、患者の両足間に位置して手術を行う医師は、ドレープに煩わされることなく、患者の術野に近接して作業を円滑に行うことが可能となる。
【0040】
上記の如く構成したものを使用する場合には、まず、第1開口部(2)を患者の腹部の術野に臨ませて配置するとともに、第1開口部(2)の外周を両面テープにて腹部の術野の外周に貼り付け固定することにより、より安全に術野の確保を行うことができる。尚、上記の如く第1開口部の外周を両面テープにて貼り付け固定しなくても、本実施例のサージカルドレープを使用することはできる。そして、ドレープ本体(1)の上方を患者の頭部側に被覆するとともに、一対の足部被覆片(27)及び補助片(26)を患者の両足にそれぞれ被覆する。次に、第2開口部(3)を患者の陰部/肛門部の術野に臨ませて配置する。最後に、開口被覆片(14)を第1開口部(2)又は第2開口部(3)に配置するか、若しくはロール状にまとめて布鉗子(16)にて留めておく。これにより、患者への本実施例のドレープの装着が完了する。
【符号の説明】
【0041】
1 ドレープ本体
2 第1開口部
3 第2開口部
14 開口被覆片
17 スリット
21 布片
22 対向部
24 配置間隔
25 重ね部
26 補助片
27 足部被覆片