特許第5694765号(P5694765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5694765グルタミン酸作動性シナプス反応を増強するための二置換アミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694765
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】グルタミン酸作動性シナプス反応を増強するための二置換アミド
(51)【国際特許分類】
   C07D 271/12 20060101AFI20150312BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20150312BHJP
   A61K 31/4245 20060101ALI20150312BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20150312BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20150312BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20150312BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20150312BHJP
   A61P 11/16 20060101ALI20150312BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20150312BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   C07D271/12CSP
   C07D413/12
   A61K31/4245
   A61K31/4439
   A61K31/454
   A61K31/5377
   A61P11/00
   A61P11/16
   A61P25/16
   A61P25/28
【請求項の数】33
【全頁数】71
(21)【出願番号】特願2010-508435(P2010-508435)
(86)(22)【出願日】2008年5月16日
(65)【公表番号】特表2010-527359(P2010-527359A)
(43)【公表日】2010年8月12日
(86)【国際出願番号】US2008006271
(87)【国際公開番号】WO2008143963
(87)【国際公開日】20081127
【審査請求日】2011年5月13日
(31)【優先権主張番号】60/930,633
(32)【優先日】2007年5月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/958,069
(32)【優先日】2007年7月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500195208
【氏名又は名称】コーテックス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ストリート, レスリー
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】リー, スティーブン
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/000793(WO,A1)
【文献】 特表2007−507529(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/049532(WO,A1)
【文献】 特開2007−291087(JP,A)
【文献】 特表2003−519128(JP,A)
【文献】 特表平09−504787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D,A61K,A61P
CAplus,REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式Iに従う化合物であって、
【化1】

式中、Wは酸素であり、
X、Y、及びZは、それぞれ独立して−CRであり、
式中、Rは、H、−Br、−Cl、−F、−CN、−NO、−OR、−SR、−NR、非置換若しくは置換のC−C分岐状若しくは非分岐状アルキルであり、
式中、Rは、H、非置換若しくは置換のC−C分岐状若しくは非分岐状アルキルであり、
FはO又はSであり、
Aは、非置換若しくは置換のC−C分岐状若しくは非分岐状アルキル、非置換若しくは置換のC−C分岐状若しくは非分岐状アルケニル、非置換若しくは置換のC−C分岐状若しくは非分岐状アルキニル、非置換若しくは置換のC−Cシクロアルキル、非置換若しくは置換のC−Cアルキルシクロアルキル、非置換若しくは置換のアリール若しくは複素環、非置換若しくは置換のアルキルアリール、非置換若しくは置換のアルキル複素環であり、
nは、0、1、2、3、4、5、又は6であり、
【化2】

は、非置換若しくは置換のC−Cシクロアルキル又は非置換若しくは置換の−Cアザシクロアルキルであり、該C−Cシクロアルキルは、Bとして、−C=、C−R、O、N、S、C=O、S=O又はSOを有していてもよく、該C−CアザシクロアルキルはBとしてNを有し
は、H、ハロゲン、OH、O−アルキル、シアノ、又は任意にDとC−Cシクロアルキル基を形成する非置換若しくは置換のC−Cアルキル基であり、
Dは、BがO、S、C=O、S=O若しくはSOである場合は存在せず、又は存在するときは、Bが−C=、C−R若しくはNである場合にBと結合し、かつ、H、ハロゲン、OR、任意にRとC−Cシクロアルキル基を形成する非置換若しくは置換のC−C分岐状若しくは非分岐状アルキル、非置換若しくは置換のC−Cカルボキシアルキル、非置換若しくは置換のC−Cスルフォニルアルキル、あるいはBがC−Rである場合、R及びDはBと任意に=N−R又は=N−OR基を形成し、式中、RはH又は非置換若しくは置換C−Cアルキル基であり、
は、H、分岐状若しくは非分岐状である非置換若しくは置換のC−Cアルキル基、非置換若しくは置換のC−Cアシル基である、化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物。
【請求項2】
次の式IIに従う化合物であって、
【化3】

式中、Aは、非置換若しくは置換のC−C分岐状若しくは非分岐状アルキル、非置換若しくは置換のC−Cシクロアルキルであり、
nは、0、1、又は2であり、
Bは、C−R、C=O、又はOであり、
は、H、OH、アルキル又はFであり、
Dは、存在しないか、RがH若しくはアルキルである場合はH若しくはOHであり、
又はRがFである場合はFである、請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物。
【請求項3】
次の式IIIに従う化合物であって、
【化4】

式中、Aは、非置換若しくは置換のC−Cアルキルであり、
Bは、C−R、O又はC=Oであり、
は、H、F、−OH又はアルキルであり、
Dは、存在しないか(BがO又はC=Oである場合)、RがH若しくはアルキルである場合はH若しくはOHであり、又はRがFである場合はFである、請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物。
【請求項4】
次の式IVに従う化合物であって、
【化5】

式中、Aは、非置換若しくは置換のC−Cアルキルであり、
nは、0、1又は2である、請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物。
【請求項5】
次の式Vに従う化合物であって、
【化6】

式中、Aは、非置換若しくは置換のC−Cアルキルであり、
は、H、F、又はC−Cアルキルであり、
は、H、F、CN又はORであり、
は、H、非置換若しくは置換のC−Cアルキルである、請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物。
【請求項6】
次の式VIに従う化合物であって、
【化7】

式中、Aは、非置換若しくは置換のC−Cアルキルであり、
Rは、H、又はC−Cアルキルである、請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物。
【請求項7】
次の式VIIに従う化合物であって、
【化8】

式中、Bは、C−R、O又はC=Oであり、
は、H、F,−OH又はアルキルであり、
Dは、存在しないか(BがO又はC=Oである場合)、RがH若しくはアルキルである場合はH若しくはOHであり、RがFである場合はFである、請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物。
【請求項8】
次の式VIIIに従う化合物であって、
【化9】

式中、Bは、C−R、O又はC=Oであり、
は、H、F、−OH又はアルキルであり、
Dは、存在しないか(BがO又はC=Oである場合)、RがH若しくはアルキルである場合はH若しくはOHであり、RがFである場合はFである、請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物。
【請求項9】
次の式IXに従う化合物であって、
【化10】

式中、Aは、非置換若しくは置換のC−Cアルキルであり、
は、H、又はC−Cアルキルであり、
は、H、又は非置換若しくは置換のC−Cアルキルであり、
は、H、又は非置換若しくは置換のC−Cアルキルであり、
は、H、又は非置換若しくは置換のC−Cアルキルである、請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物。
【請求項10】
前記式Iの化合物が、
N−シクロへキシル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロペンチル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−シアノシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(4−オキソシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、及び
N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
から選択される1種の化合物である、請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物。
【請求項11】
前記式Iの化合物の薬学的に許容可能な塩が、
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]シクロへキシルN,N−ジメチルグリシン酸塩酸塩、
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]シクロへキシルL−アラニン酸塩酸塩、
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]シクロへキシルL−バリン酸塩酸塩、
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]−1−メチルシクロへキシルN,N−ジメチルグリシン酸塩酸塩、
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]−1−メチルシクロへキシルグリシン酸塩酸塩、及び
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]シクロへキシルグリシン酸塩酸塩、
から選択される1種の塩酸塩である、請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物。
【請求項12】
N−シクロヘプチル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(4−4−ジメチルシクロへキシル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−スピロ[2.5]オクト−6−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロブチル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロへキシル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロペンチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロブチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(cis−4−シアノシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−D3−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−エチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロへキシル−N−エチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(シクロへキシルメチル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−ベンジル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−ピリジン−3−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−フェニル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロプロピル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
tert−ブチル−4−[([2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート、
N−メチル−N−ピペリジン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(1−ホルミルピペリジン−4−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−[1−(メチルスルホニル]ピペリジン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(1−オキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−[4−(ヒドロキシイミノ)シクロへキシル]−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−[4−(メトキシイミノ)シクロへキシル]−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(4−4−ジフルオロシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(4−フルオロシクロへキシ−3−エン−1−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(cis−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(cis−4−ヒドロキシ−4−エチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−ヒドロキシ−4−エチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(cis−4−エチニル−4−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(cis−4−ブタ−3−エン−1−イル−4−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−ブタ−3−エン−1−イル−4−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−N−D3−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−メトキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−メトキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボチオアミド、
N−(4−cis−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−[trans−4−(2H−テトラゾール−2−イル)シクロへキシル]−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−アジドシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−アミノシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(cis−3−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−3−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(3−オキソシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(3,3−ジフルオロシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(2−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(2−オキソシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(2,2−ジフルオロシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(2−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(2−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(2−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(2−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(R)−テトラヒドロフラン−3−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(R)−テトラヒドロフラン−3−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−2−(4−モルフォリニル)エチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−2−(4−モルフォリニル)エチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボチオアミド、及び
N−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
から選択される1種の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物。
【請求項13】
N−シクロへキシル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド。
【請求項14】
N−シクロペンチル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド。
【請求項15】
N−(trans−4−シアノシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド。
【請求項16】
N−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド。
【請求項17】
N−メチル−N−(4−オキソシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド。
【請求項18】
N−(trans−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド。
【請求項19】
N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド。
【請求項20】
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]シクロへキシルN,N−ジメチルグリシン酸塩酸塩。
【請求項21】
薬理学的に許容可能なキャリア、添加剤又は賦形剤と組み合わせて、有効量の請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項22】
前記化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物が前記医薬組成物の0.5重量%〜75重量%を構成し、前記キャリア、添加剤又は賦形剤が前記医薬組成物の25重量%〜95.5重量%を構成する、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
低グルタミン酸作動性状態、又は興奮性シナプスの数若しくは強度、あるいはAMPA受容体の数における欠乏を患って、記憶障害または認知機能障害の症状を有する哺乳類対象の治療に使用する薬剤の製造における、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物の使用。
【請求項24】
統合失調症の治療に使用する薬剤の製造における、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物の使用。
【請求項25】
パーキンソン病の治療に使用する薬剤の製造における、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物の使用。
【請求項26】
ADHDの治療に使用する薬剤の製造における、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物の使用。
【請求項27】
レット症候群の治療に使用する薬剤の製造における、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物の使用。
【請求項28】
認知障害の治療に使用する薬剤の製造における、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物の使用。
【請求項29】
呼吸抑制の治療に使用する薬剤の製造における、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物の使用。
【請求項30】
アヘン剤又はオピオイド鎮痛剤と組み合わせて呼吸抑制の治療に使用する薬剤の製造における、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物の使用。
【請求項31】
呼吸関連睡眠障害又は睡眠時無呼吸の治療に使用する薬剤の製造における、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物の使用。
【請求項32】
脆弱性X症候群の治療に使用する薬剤の製造における、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物の使用。
【請求項33】
アルツハイマー病の治療に使用する薬剤の製造における、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、若しくは溶媒和物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な挙動に関与する脳ネットワークにおけるシナプスでの受容体機能の強化を含む、脳不全の防止及び治療において使用するための化合物、医薬組成物、及び方法に関する。これらの脳ネットワークは、呼吸のような基本的な機能、記憶及び認知のようなより複雑な機能に関与する。異なる脳領域間のニューロンの活動の不均衡は、記憶障害、パーキンソン病、統合失調症、注意欠陥及び情動又は気分障害、呼吸抑制、並びに神経栄養因子の欠乏が関係する障害などの精神及び神経障害を含む多くの障害をもたらす可能性がある。特定の態様においては、本発明は、こうした状態の治療に有用な化合物、及びこうした治療のためにこれらの化合物を使用する方法に関する。
【0002】
(関連出願)
本発明は、共に本出願と同一表題の米国仮出願60/930,633(2007年5月17日出願)、及び米国仮出願60/958,069(2007年7月2日出願)の優先権の利益を主張し、これらの出願はそれぞれ、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
哺乳類の前脳の多くの部位におけるシナプスでのグルタミン酸の放出は、2種類のシナプス後イオンチャンネル型グルタミン酸受容体を刺激する。これらの種類は、通常、AMPA及びN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体である。AMPA受容体は、電位非依存性高速興奮性シナプス後電流(高速EPSC)を媒介し、一方で、NMDA受容体は、電位依存性低速興奮性電流を生み出す。海馬又は皮質の薄片で行われる研究は、AMPA受容体媒介高速EPSCが、一般に、ほとんどのグルタミン酸作動性シナプスにおいてはるかに優勢な主要要素であり、AMPA受容体の活性化が、通常、NMDA受容体活性化の必要条件であることを示唆する。AMPA受容体は、中枢神経系の至るところに発現する。これらの受容体は、非特許文献1で報告されるように、新皮質の表層、海馬の主要な各シナプス区域、及び線条体複合体において高濃度で見られる。動物及び人間における研究は、これらの構造が、複雑な知覚−運動プロセスを体系化し、高次挙動への基礎を提供することを示唆する。したがって、AMPA受容体は、多数の認識活動に関与するそれらの脳ネットワークにおいて伝達を媒介する。加えて、AMPA受容体は、呼吸の制御に関与する吸気運動を調節する脳領域で発現する(非特許文献2)。
【0004】
上記の理由のために、AMPA受容体の機能を調節して強化する薬剤は、オピオイド及びアヘン剤のような薬剤又は他の手段によって誘発される、知的能力及び呼吸抑制の好転に著しい利益を上げることができた。またこうした薬剤は、記憶の符号化も促進するはずである。非特許文献3において報告されるような実験的研究は、AMPA受容体媒介シナプス反応(単数又は複数)の大きさの増大が、長期増強(LTP)の誘導を強化することを示唆する。LTPは、学習の間に脳で生じることが知られている種類の反復性生理的活性に続く、シナプス接合の強度の安定した増大である。
【0005】
グルタミン酸受容体のAMPA亜型の機能を強化する化合物は、いくつものパラダイムで測定されるように、LTPの誘導及び学習タスクの獲得を促進する。例えば、非特許文献4〜16及び特許文献1を参照。LTPが記憶の基礎であることを示すかなり多数の証拠が存在する。例えば、非特許文献17において報告されるように、LTPを遮る化合物は、動物における記憶形成を妨げる。また、人間における学習を混乱させる特定の薬剤は、LTPの安定化に反対に作用する。単純な作業を学ぶことは、高周波刺激によって生成されたLTPを遮断する海馬においてLTPを誘発し(非特許文献18)、LTPを維持する作用が空間記憶を持続する(非特許文献19)。学習の分野において非常に重要なのは、ポジティブAMPA型グルタミン酸受容体の調節因子による生体治療が、中年動物における基底樹状突起のLTPの安定を復元させることの発見である(非特許文献20)。
【0006】
AMPA受容体の機能を強化する薬剤は、鎮痛反応を無効にすることなく、オピオイド及びバルビツール酸が誘発する呼吸抑制を効果的に無効にすることができる(非特許文献21)。したがって、これらの薬剤は、オピオイドが誘発する呼吸抑制を防止又は無効にする際に、並びに鎮静剤使用及び睡眠時無呼吸を含む他の形態の呼吸抑制を軽減するために、有用である可能性がある。興奮性シナプス伝達は、神経栄養因子が特定の脳領域内で増大する主要経路を提供する。このように、調節因子によるAMPA受容体機能の増強作用は、神経栄養因子、特に脳由来神経栄養因子、すなわちBDNFのレベルを上昇させることが見出された。例えば、非特許文献22、特許文献2、非特許文献23及び非特許文献24を参照。他の研究は、BDNFレベルを、パーキンソン病、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症、脆弱性X症候群、及びレット症候群(RTT)のようないくつかの神経障害に関連付けた。例えば、非特許文献25〜28を参照。したがって、AMPA受容体増強剤は、他の神経系疾患と同様に、グルタミン酸作動性不均衡又は神経栄養因子の欠陥の結果であるこれらの神経系疾患の治療に有用である可能性がある。
【0007】
AMPA受容体を選択的に助長する化合物の試作品が、非特許文献29に記載された。これらの著者は、向知性薬剤アニラセタム(N−アニソイル−2−ピロリジノン)が、γ−アミノ酪酸(GABA)、カイニン酸(KA)、又はNMDA受容体による反応に影響を及ぼすことなく、アフリカツメガエル卵母細胞で発現される脳AMPA受容体によって媒介される電流を上昇させることを見出した。海馬の薄片へのアニラセタムの注入は、静止膜特性を変えることなく高速シナプス電位の大きさを実質的に増やすことも示された。その後、アニラセタムが、海馬のいくつかの部位でシナプス反応を増大すること、及びそれがNMDA受容体の媒介能力に影響を及ぼさないことが確認された(非特許文献30、及び非特許文献31)。
【0008】
アニラセタムは、極めて速やかな発現及び流出を有することが分かっている。そして、明らかな持続的影響がなく繰り返し用いることができる。これらは行動に関連した薬剤にとって望ましい特徴である。しかし、アニラセタムは、いくつかの欠点を示す。アニラセタムの末梢投与は、簡単に脳受容体には影響しない。薬剤は、高濃度(およそ1000μM)のみで効き目があり、薬剤の約80%が、人間では末梢投与後にアニソイル−GABAに変わる(非特許文献32)。代謝物質であるアニソイル−GABAは、アニラセタムよりシナプス活性が少ないことが分かっている。これらの問題に加えて、アニラセタムは、脳における多くの他の神経伝達物質及び標的酵素に推定される効果を及ぼし、それはいずれの主張された薬剤の治療効果の作用をも不確実にする。例えば、非特許文献33〜38を参照。
【0009】
アニラセタムに特有の低い効力と固有の不安定性を示さない、ある種類のAMPA受容体調整化合物が述べられている(特許文献1)。「アンパーキン」(登録商標)と呼ばれるこれらの化合物は、置換ベンズアミドであり、例えば、6−(ピペリジン−1−イルカルボニル)キノキサリン(CX516;アンパレックス(Ampalex)(登録商標))である。通常、それらはアニラセタムよりも化学的に安定であり、改善された生体への利用性を示す。CX516は、記憶障害、統合失調症、及び鬱病の治療に有効な薬剤を見つけるために用いられる動物試験において活性である。3つの別々の臨床試験において、CX516は、人の記憶の様々な状態を改善する有効性について証拠を示した(非特許文献12〜14)。
【0010】
アンパカインの別の種類、ベンズオキサジンでは、認知強化を生じさせる可能性を評価する生体外及び生体内モデルにおいて、非常に高い活性を有することが発見された(特許文献3)。置換ベンズオキサジンは、柔軟ベンズアミド、CX516とは異なる受容体調節特性を持つ、強固ベンズアミド類似体である。
【0011】
特定の置換2,1,3−ベンゾキサジアゾール化合物は、特許文献4及び特許文献5で先に開示された化合物よりも、注意欠陥多動性障害(ADHD)、統合失調症、及び認知の動物モデルにおいて、著しく、驚くほど効果があることが見い出された。この新しい種類のN,N−二置換アミド(I)は、AMPA媒介グルタミン酸作動性シナプス反応を増大するために、著しい活性を示す。
【0012】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,747,492号:リンチ(Lynch)及びロジャス(Rogers)
【特許文献2】米国特許第6,030,968号;ガル(Gall)ら
【特許文献3】米国特許第5,736,543号:ロジャス(Rogers)及びリンチ(Lynch)
【特許文献4】米国特許出願2002/0055508
【特許文献5】米国特許出願2002/0099050
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】脳研究(Brain Research)324:160−164頁(1984年)、モナハン(Monaghan)ら
【非特許文献2】神経化学ジャーナル(Journal of Neurochemistry)、74:1335−1345頁(2000年)、パールマン(Paarmann)ら
【非特許文献3】脳研究(Brain Research)598:173−184頁(1992年)、アライ(Arai)及びリンチ(Lynch)
【非特許文献4】シナプス 15:326−329頁(1993年)、グランガー(Granger)ら
【非特許文献5】PNAS 91:777−781頁(1994年)、シュタウプ(Staubli)ら
【非特許文献6】脳研究(Brain Research)638:343−346頁(1994年)、アライ(Arai)ら
【非特許文献7】PNAS 91:11158−11162頁(1994年)、シュタウプ(Staubli)ら
【非特許文献8】神経科学論文(Neurosci. Let.)186:153−156頁(1995年)、ショル(Shors)ら
【非特許文献9】神経科学ジャーナル(Journal of Neurochemistry)15:8023−8030頁(1995年)、ラーソン(Larson)ら
【非特許文献10】シナプス 22:332−337頁(1996年)、グランガー(Granger)ら
【非特許文献11】JPET278:627−638頁(1996年)、アライ(Arai)ら
【非特許文献12】国際臨床精神薬理学(International clinical psychopharmacology)11:13−19頁(1996年)、リンチ(Lynch)ら
【非特許文献13】実験的神経学(Experimental Neurology)145:89−92頁(1997年)、リンチ(Lynch)ら
【非特許文献14】実験的神経学(Experimental Neurology)146:553−559頁(1997年)、イングバル(Ingvar)ら
【非特許文献15】神経科学ジャーナル(Journal of Neuroscience)18:2748−2763頁(1998年)、ハンプソン(Hampson)ら
【非特許文献16】プロス生物学(PLoS Biology)3(9):1−14頁(2006年)、ポリーノ(Porrino)ら
【非特許文献17】神経科学(Neuroscience)49:1−6頁(1992年)、デル・セロ(del Cerro)及びリンチ(Lynch)
【非特許文献18】サイエンス(Science)313:1093−1097頁(2006年)、ホイットロック(Whitlock)ら・
【非特許文献19】サイエンス(Science)313:1141−1144頁(2006年)、パスタルコバ(Pastalkova)ら
【非特許文献20】神経生理学ジャーナル(Journal of neurophysiology)96:677−685頁(2006年)、レックス(Rex)ら
【非特許文献21】アメリカン・ジャーナル・オブ・レスピレートリー・アンド・クリティカル・ケア・メディスン(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine)174:1384−1391頁(2006年)、レン(Ren)ら
【非特許文献22】神経科学ジャーナル(J. Neurosci.)20:8−21頁(2000年)、ローターボーン(Lauterborn)ら
【非特許文献23】JPET 307:297−305頁(2003年)、ローターボーン(Lauterborn)ら
【非特許文献24】神経薬理学(Neuropharmacology)43:1−10頁(2002年)、マクオウィック(Mackowiak)ら
【非特許文献25】ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur. J. Pharmacol.)486:163−174頁(2004年)、オニール(O'Neill)ら
【非特許文献26】精神医学(MoI. Psychiatry)10:939−943頁(2005年)、ケント(Kent)ら
【非特許文献27】ジャーナル・オブ・チャイルド・ニューロロジー(J. Child Neurol.)18:693−697頁(2003年)、リイコネン(Riikonen)ら
【非特許文献28】ニューロン(Neuron)49:341−348頁(2006年)、チャング(Chang)ら
【非特許文献29】生理学ジャーナル(J.Physiol.)424、533−543頁(1990年)
【非特許文献30】精神生物学(Psychobiology)18:377−381頁(1990年)、(シュタウプ(Staubli))ら
【非特許文献31】海馬 1:373−380頁(1991年)、シャオ(Xiao)ら
【非特許文献32】ジャーナル・オブ・クロマトグラフ(J. Chromatogr.)530:397−406頁(1990年)、グエンジ(Guenzi)及びサネッティ(Zanetti)
【非特許文献33】ファーマコロジー・バイオケミストリー・アンド・ビヘイビアー(Pharmacology Biochemistry and Behavior)47:219−225頁(1994年)、ヒモリ(Himori)ら
【非特許文献34】神経化学ジャーナル(Journal of Neurochemistry)61:683−689頁(1993年)、ピーチ(Pizzi)ら
【非特許文献35】ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur. J. Pharmacol.)380:81−89頁(1999年)、ナカムラ(Nakamura)及びシラネ(Shirane)
【非特許文献36】ファーマコロジー・バイオケミストリー・アンド・ビヘイビアー(Pharmacology Biochemistry and Behavior)27:491−495頁(1987年)、スピグノリ(Spignoli)及びペペウ(Pepeu)
【非特許文献37】神経薬理学(Neuropharmacology)26:1573−1579頁(1987年)、ホール(Hall)及びボン・ボイトランダー(Von Voigtlander)
【非特許文献38】ジャーナル・オブ・ファーマコバイオダイナミック(J. Pharmacobiodyn.)10:730−735頁(1987年)、ヨシモト(Yoshimoto)ら
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、1つの態様では、構造Iに示される化合物、及び以下の「発明を実施するための形態」のII節に記載される化合物を含む。この種類の化合物の投与は、AMPA媒介グルタミン酸作動性シナプス反応を増大すること、及びd−アンフェタミン刺激運動試験における齧歯類の挙動を著しく改善することが見出された。この挙動試験は、統合失調症及びADHDを治療する神経弛緩薬の有効性の評価において、有用であることを証明した。この化合物は、生体内でグルタミン酸作動性シナプス反応を増大させることにおいて、先に説明された化合物よりも、著しく、驚くほど効果がある。この活性は、先行技術の組成物と比較して著しく低い濃度の本化合物を利用する、医薬品及び治療方法などの対応する使用方法に転化される。加えて、本発明の化合物は、先に説明された化合物と比較して薬物速度論的特性の改善を示し、良好な経口の生物学的利用能を有する。
【0016】
AMPA受容体媒介反応を増大させる本発明の化合物の能力により、化合物は様々な用途に有用である。これらは、グルタミン酸受容体に依存する挙動の学習を促進すること、AMPA受容体又はこの受容体を利用するシナプスの数又は能力が低減した状態を治療すること、小区域間での不均衡を回復させ又は神経栄養因子のレベルを上昇させるために興奮性シナプス活性を増大することを含む。
【0017】
別の態様において、本発明は、低グルタミン酸作動性状態、又は興奮性シナプスの数若しくは強度の不足あるいはAMPA受容体の数の不足を患っており、記憶又は他の認知機能が損なわれている哺乳類の対象を治療する方法を含む。こうした状態は、皮質/線条体の不均衡も引き起こし、統合失調症又は統合失調症様作用をもたらす可能性がある。
【0018】
別の態様において、本発明は、呼吸抑制を有する対象における呼吸抑制を低減又は抑える方法を含む。この方法は、呼吸抑制を低減又は抑えるのに十分な量の本発明の化合物を対象に投与することを含む。本発明の一実施形態では、対象は人間であり、別の実施形態では、対象は哺乳類である。さらに、特許請求の範囲は、オピオイド鎮痛剤と組み合わせてある量の本発明の化合物を対象に投与することを含む、呼吸抑制を低減又は抑える方法である。こうしたオピオイドの例としては、アルフェンタニル及びフェンタニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
別の態様において、本発明は、睡眠時無呼吸を有する対象において呼吸関連睡眠障害又は睡眠時無呼吸を低減又は抑制する方法を含む。この方法は、呼吸関連睡眠障害を低減又は抑制するのに十分な量の本発明の化合物を対象に投与することを含む。
【0020】
これらの方法に従い、こうした対象を、薬理学的に許容可能なキャリア中で、構造Iに示されるような、そして以下の「発明を実施するための形態」のII節に記載されるような有効量の化合物で治療する。本発明のこれらの及び他の目的並びに特徴は、以下の「発明を実施するための形態」を添付の図面と併せて読むことで、より十分に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
I.定義
以下の用語は、別途示されない限り、次の意味を有する。本発明を記載するために使用される特に定義されない他の用語は、当業者による使用での文脈の範囲内において、それらの用語に与えられる意味と同じ意味を有する。
【0022】
用語「アルキル」は、本明細書において、炭素及び水素を含有する完全飽和の一価ラジカルを指すのに使用され、直鎖状、分岐状又は環状であってもよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘプチル、イソプロピル、2−メチルプロピルである。
【0023】
記号
【化2】
は、アルキレン基を記載するために使用され、二線間の結合はメチレン(CH2)基を表し、nは0〜7の整数である。n=0の整数は、メチレン基が存在しないことを示すのに使用される。
【0024】
本明細書において、用語「シクロアルキル」は、環内に8個以下の炭素及び水素を含有する完全飽和の一価ラジカルを指すのに使用される。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルである。文脈での使用により、用語「シクロアルキル」は、ヘテロ原子B基(複素環)を含有するシクロアルキル基を指すこともある。
【0025】
本明細書において使用する用語「ビシクロアルキル」とは、二環に10個以下の炭素及び水素を含有する完全飽和の一価ラジカルを指す。ビシクロアルキル基の例は、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.3]ノニル、及びビシクロ[3.2.1]オクチルである。
【0026】
本明細書において使用する用語「アザビシクロアルキル」とは、二環に10個以下の炭素及び水素並びに1個の窒素原子を含有する完全飽和の一価ラジカルを指す。アザビシクロアルキル基の例としては、1−アザビシクロ[2.2.2]オクチル、2−アザビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、及び1−アザビシクロ[3.2.1]オクチルが挙げられる。
【0027】
本明細書において使用する用語「アルケニル」とは、1つ又は2つの不飽和部分を含有する、炭素及び水素を含有する一価ラジカルを指すのに使用され、直鎖状、分岐状又は環状であってもよい。アルケニル基の例としては、エテニル、n−ブテニル、n−ヘプテニル、イソプロペニル、シクロペンテニル、シクロペンテニルエチル及びシクロヘキセニルが挙げられる。
【0028】
他の関連する置換基(例えば、カルボニルアルキル、スルホニルアルキル)の中で、「置換アルキル」基(シクロアルキル及びビシクロアルキル基を包含する)、「置換アルケニル」基、及び「置換アルキニル」基に関する用語「置換」とは、3〜7個の炭素原子を含有するシクロアルキルを含む1〜8個の炭素原子を含有するアルキル、アリール、置換アリール、アシル、ハロゲン(すなわち、アルキルハロ、例えばCF3)、アミド、チオアミド、シアノ、ニトロ、アルキニル、アジド、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アルキル及びジアルキルアミノ、アシルアミノ、アシロキシ、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、カルボキシアルキル、カルボキシアミド、チオ、チオエーテル、飽和及び不飽和環状炭化水素、複素環等、又は本明細書で別に記載されるもの(以下の用語「置換」を参照)などの、Hの置換基として使用される1つ以上の官能基(置換基に依存して1〜8個の炭素原子、1〜7個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜3個の炭素原子、2〜8個の炭素原子、2〜7個の炭素原子、2〜6個の炭素原子、3〜8個の炭素原子等を含有する)を指す。
【0029】
用語「アリール」とは、単一環(例えばフェニル)又は複数の縮合環(例えばナフチル)を有する置換又は非置換一価芳香族ラジカルを指す。他の例としては、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリダジニル、ピリミジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、フリル、ピロロリル、ピリジル、チエニル、及びインドリルなどの環内に1つ以上の窒素、酸素又は硫黄原子を有する複素環芳香族環基が挙げられる。したがって、用語「アリール」は、本文中において使用されるように、用語「ヘテロアリール」を包含する。
【0030】
本明細書において、用語「置換アリール、置換芳香族、置換ヘテロアリール、又は置換ヘテロ芳香族」において使用されるような用語「置換」は、1つ以上の置換基が存在してよいことを意味し、前記置換基は原子及び基から選択され、存在する場合、これは化合物がAMPA受容体機能の増強剤として機能するのを妨げない。置換芳香族又はヘテロ芳香族基に存在してよい置換基の例としては、(C1−C7)アルキル、(C1−C7)アシル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール及びヘテロアリール、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミド(任意に1つ又は2つのC1−C7アルキル基で置換される)、チオアミド(任意に1つ又は2つのC1−C7アルキル基で置換される)、アジド、(C2−C7)アルキニル、(C1−C7)アルキルハロ(例えば、CF3)、ヒドロキシ、(C1−C7)アルコキシ、(C2−C8)アルコキシアルキル、アミノ、(C1−C7)アルキル及びジアルキルアミノ、(C1−C7)アシルアミノ、(C1−C7)アシロキシ、アリールオキシ、(C1−C7)アリールオキシアルキル、(C1−C7)カルボキシアルキル、カルボキシアミド、チオ、(C1−C7)チオエーテル、飽和及び不飽和(C3−C8)環状炭化水素、(C3−C8)複素環等のような基が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で開示される各置換基は、それら自体が置換されていてもよい。
【0031】
「複素環」又は「複素環の」とは、1つ以上の炭素原子が、窒素、酸素又は硫黄のような1つ以上のヘテロ原子(6個以下、4個以下、1、2又は3個の原子)で置換された炭素環を指す。複素環の例としては、ピペリジン、ピロロリジン、モルフォリン、チオモルフォリン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2−ピロロリジノン、σ−バレロラクタム、σ−バレロラクタム及び2−ケトピペラジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
「置換複素環」とは、本明細書には記載されない低級アルキル、アシル、アリール、シアノ、ハロゲン、アミド、チオアミド、アジド、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アルキル及びジアルキルアミノ、アシルアミノ、アシロキシ、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、カルボキシアルキル、カルボキシアミド、チオ、チオエーテル、飽和及び不飽和環状炭化水素、複素環等のような、1つ以上の官能基を含有する前述された複素環を指す。
【0033】
本明細書で使用される用語「化合物」は、本明細書に開示される特定の化学物質を指す。文脈でのその使用の範囲内において、通常この用語は1つの化合物を指すが、場合によっては、開示された化合物の立体異性体及び/又は光学異性体(エナンチオピュアな化合物、鏡像異性的に強化された化合物、及びラセミ混合物を含む)も指す。
【0034】
用語「有効量」とは、意図した結果を生じるために、例えば、AMPA受容体活性を増大させることによってグルタミン酸作動性シナプス反応を増大するために、その意図した用途の中で使用される選択された式Iの化合物の量を指す。使用される正確な量は、選択された特定の化合物とその意図した用途、対象の年齢及び重量、その使用期間を包めた投与経路等によって変化するが、ありふれた実験で簡単に決定されるであろう。状態又は病状の治療の場合、有効量は、特定の状態又は病状を効果的に治療するために使用される量である。
【0035】
用語「薬学的に許容可能なキャリア」は、投与される対象に容認し難いほど有毒でないキャリア又は賦形剤を指す。薬学的に許容可能な賦形剤は、E.W.マーチン(E.W. Martin)により、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に詳細に記載されている。
【0036】
本発明において意図されるアミン化合物の「薬学的に許容可能な塩」は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩等の無機アニオン、又は酢酸塩、マロン酸塩、ピルビン酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、ケイ皮酸塩、トシル酸塩等の有機アニオンを対イオンとして有するアンモニウム塩である。
【0037】
用語「患者」又は「対象」は、動物、通常は人間を含む哺乳類動物を表すために本明細書を通して使用され、それに対して、本発明に従う化合物若しくは組成物での治療又は使用が提供される。特定の動物(特に、人間の対象又は患者など)に特有であるそれらの状態又は病状の治療又は使用に対しては、患者又は対象の用語は、その特定の動物を指す。
【0038】
用語「感覚運動問題」は、運動及び行動を含む直接の適した身体的応答を導くように5つの既知の感覚から得られる外部の情報を集積することができないことから起こる、患者又は対象における問題を表すのに使用される。
【0039】
用語「認知的作業」又は「認知機能」は、患者又は対象による思考又は認識を含んだ試み又は過程を表すのに使用される。全ての人間の脳組織のおよそ75%を占める頭頂葉、側頭葉及び前頭葉の連合皮質の多様な機能は、感覚入力と運動出力の間の情報処理の多くに関与する。連合皮質の多様な機能は、認知と呼ばれることが多く、それは文字通り私たちが外界を知るようになる過程を意味する。特定の刺激に選択的に注意を向けること、これに関連した刺激特徴を認識して識別すること、並びに反応を計画及び経験することは、認知に関与する人間の脳によって達成される一部の過程又は能力である。
【0040】
用語「脳ネットワーク」は、神経細胞のシナプス活性を通して互いに通信する脳の異なる解剖領域を表すのに使用される。
【0041】
用語「AMPA受容体」は、いくつかの膜で見つかるタンパク質の集合体を指し、これは、NMDAでなく、グルタミン酸塩又はAMPA(DL−α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸)と結合して、正イオンが膜を横切ることを可能にする。
【0042】
用語「興奮性シナプス」は、1つの細胞による化学伝達物質の放出が、他の細胞の外部膜の脱分極を引き起こす、細胞−細胞間結合を表すのに使用される。興奮性シナプスは、閾値電位より正である逆転電位を有するシナプス後ニューロンを表し、その結果、こうしたシナプスにおいて、神経伝達物質は、興奮性シナプス後電位が起こるであろう可能性を上昇させる(ニューロンは発火して活動電位を生じるであろう)。逆転電位及び閾値電位は、シナプス後の興奮及び抑制を決定する。シナプス後電位(「PSP」)での逆転電位が活動電位の閾値より正であるならば、伝達物質の影響は興奮性であり、興奮性シナプス後電位(「EPSP」)及びニューロンによる活動電位の発火を生じる。シナプス後電位での逆転電位が活動電位の閾値より負であるならば、伝達物質は抑制性であり、抑制性シナプス後電位(IPSP)を生じることがあり、したがってシナプスが活動電位を発火するであろう可能性が減る。シナプス後作用での一般的な法則は、逆転電位が閾値より正であるならば、興奮が起こり、逆転電位が閾値より負であるならば、抑制が起こる。例えば、デイル・パーベス(Dale Purves)編集、神経科学(NEUROSCIENCE)、7章、シナウア・アソシエイツ社(Sinauer Associates Inc.)、マサチューセッツ州、サンダーランド(Sunderland)、1997年を参照。
【0043】
用語「運動作業」は、患者又は対象によってなされる運動又は行動に関係する試みを表すために使用される。
【0044】
用語「知覚作業」は、感覚入力に注意を傾ける患者又は対象による行為を表すために使用される。
【0045】
用語「シナプス反応」は、密接関係にある細胞による化学伝達物質の放出の結果としての、別の細胞での生物物理学反応を表すのに使用される。
【0046】
用語「低グルタミン酸作動性状態」は、グルタミン酸塩(又は関連のある興奮性アミノ酸)によって媒介される伝達が正常レベル未満に低減される状況又は状態を表すために使用される。伝達は、グルタミン酸塩の放出、シナプス後受容体への結合、及びそれらの受容体に不可欠なチャネルの開口から成る。最終的に低グルタミン酸作動性状態は、興奮性シナプス後電流を低減する。それは、上記3つの伝達の段階のいずれにも起因し得る。低グルタミン酸作動性状態とみなされる、本発明に従う化合物、組成物及び方法を使用して治療され得る状態又は病状としては、例えば、記憶喪失、認知症、鬱病、注意障害、性機能障害、パーキンソン病を含む運動障害、統合失調症又は統合失調症様挙動、記憶及び学習障害、呼吸抑制及び睡眠時無呼吸であり、記憶及び学習障害は老化、精神的外傷、脳卒中及び神経変性障害による障害を含み、神経変性障害としては、薬剤誘発状態、神経毒剤、アルツハイマー病及び老化に関連するようなものなどである。これらの状態は、当業者によって容易に認知及び診断される。
【0047】
用語「皮質−線条体の不均衡」は、相互に連結した皮質とその下の線条体の複合体のニューロン活性のバランスが、通常見られるものから外れる状態を表すのに使用される。「活性」は、電気的記録又は分子生物学的手法によって評価できる。不均衡は、2つの構造に対してこれらの測定を適用することにより、又は機能(行動又は生理学的)基準により、規定され得る。
【0048】
用語「情動障害」又は「気分障害」は、悲しみ若しくは高揚感が過度に激しく、これらが、ストレスの多い生活上の出来事での予期される影響を超えて続く状態、又は内因的に起こる状態を示す。本明細書においては、用語「情動障害」は、例えば、精神障害診断統計便覧(Diagnostic and Statistical Manual of Mental disorder)、第4版(DSM IV)、317−391頁に記載される全ての種類の気分障害を含む。
【0049】
用語「統合失調症」は、妄想及び幻覚のような思考過程における障害、他の人々及び外界からの個人の関心の大きな消退、並びに自分の中でのそれの封鎖(引きこもり)を特徴とする一般的な種類の精神病の状態を表すのに使用される。統合失調症は、現在、単独でなくむしろ精神障害のグループとみなされ、反応統合失調症と過程統合失調症とで区別される。本明細書においては、用語「統合失調症」又は「統合失調症の」は、外来統合失調症、緊張型統合失調症、破瓜型統合失調症、潜在統合失調症、過程統合失調症、偽神経症性統合失調症、反応統合失調症、単純型統合失調症、及び統合失調症と類似しているがそれ自体が統合失調症と必ずしも診断されるわけではない関連した精神病的障害を含むあらゆる種類の統合失調症を包括する。統合失調症及び他の精神病的障害は、例えば、精神障害診断統計便覧(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)、第4版(DSM IV)節293.81,293.82,295.10,295.20,295.30,295.40,295.60,295.70,295.90,297.1,297.3,298.8において確立されるガイドラインを使用して診断される。
【0050】
用語「脳機能」は、外部刺激及び内部誘因過程の把握、統合、選別及び応答の組み合わされた作業を表すのに使用される。
【0051】
用語「損なわれている」は、通常に満たない程度で働いている機能を表すのに使用される。損なわれている機能は、機能がかろうじて実行されるか、事実上存在しないか、又は通常よりも著しく劣る方法で働いているように、著しく影響され得る。損なわれている機能はまた、最適でないこともある。機能の障害は、患者ごとに及び治療される状態で、重症度が異なるであろう。
【0052】
本明細書において、用語「呼吸抑制」は、減少した呼吸頻度並びに頭蓋及び脊髄運動ニューロンへの減少した吸気運動を特徴とする様々な状態を指す。具体的には、呼吸抑制は、活動を引き起こす呼吸リズムと関連する延髄ニューラルネットワークが、血液中の二酸化炭素分圧(PCO2)レベルの増加(又は酸素分圧(PO2)レベルの減少)に応答せず、引き続き肺の筋肉組織を制御する運動ニューロンを不十分な活性にする状態を指す。
【0053】
本明細書において、用語「睡眠時無呼吸」とは、呼吸関連睡眠障害を指し、中枢性及び閉塞性の2種類がある。中枢性睡眠時無呼吸は、通常、血液酸素飽和の減少を伴う、睡眠中の全ての呼吸努力の停止を引き起こす神経学的状態と定義され、呼吸を制御する脳幹中枢が活動停止すると、呼吸努力及び呼吸がなくなる。人は、自動呼吸反射によって睡眠から目覚め、結局、ごくわずかな睡眠しかとらないことになる可能性がある。閉塞性睡眠時無呼吸は、上気道の閉塞及び/又は潰れに起因する睡眠中の呼吸の反復的な中断を特徴とし、その後、呼吸するために目覚める。呼吸努力は、無呼吸の発作の間、続く。
【0054】
本明細書において、用語「プロドラッグ」は、元の形態において薬理学的に不活性であるが、人間又は動物血漿において迅速に代謝され薬理学的に活性な形態になる、代謝的に不安定な誘導体を指す。本明細書において適用できるプロドラッグの例としては、ヒドロキシル含有部分のエステル誘導体又はアミン含有部分のアミド誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。こうしたエステル又はアミドとしては、置換又は非置換天然又は非天然アミノ酸から形成されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
用語「同時投与」又は「併用療法」は、本明細書での他の箇所に記載されるような病状又は状態を治療するために、有効量の少なくとも2つの活性化合物が同時に使用される療法を記載するために使用される。用語「同時投与」は、好ましくは、2つの活性化合物を同時に患者に投与することを含むが、有効量の個々の化合物が患者に同時に存在したとても、化合物を同時に患者に投与することは必要でない。
【0056】
II.本発明の化合物
1つの態様において、本発明は、AMPA受容体機能を強化する特性を有する化合物を対象とする。これらは、下の構造Iを有する化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、若しくは多形体である。
【0057】
【化3】
式中、Wは酸素、硫黄又はCH=CHであり、
X、Y及びZは、−N、又は−CRからなる群から独立して選択され、
式中、Rは、H、−Br、−Cl、−F、−CN、−NO2、−OR1、−SR1、−NR12、非置換若しくは置換のC1−C6分岐状若しくは非分岐状アルキルであり、
式中、R1は、H、非置換若しくは置換のC1−C6分岐状若しくは非分岐状アルキルであり、
Fは、O又はSであり、
Aは、H、又は非置換若しくは置換のC1−C6分岐状若しくは非分岐状アルキル、非置換若しくは置換のC2−C6分岐状若しくは非分岐状アルケニル、非置換若しくは置換のC2−C6分岐状若しくは非分岐状アルキニル、非置換若しくは置換のC3−C7シクロアルキル、非置換若しくは置換のC3−C7アルキルシクロアルキル、非置換若しくは置換のアリール若しくは複素環、非置換若しくは置換のアルキルアリール、非置換若しくは置換のアルキル複素環であり、
nは、0、1、2、3、4、5、又は6であり、
【化4】
は、非置換若しくは置換のC3−C7シクロアルキル、非置換若しくは置換の−C4−C7アザシクロアルキル、非置換若しくは置換のC7−C10ビシクロアルキル、非置換若しくは置換のC7−C10アザビシクロアルキル、非置換若しくは置換のアリール又は非置換若しくは置換の複素環であり、
Bは、−C=、C−Ra、O、N、S、C=O、S=O又はSO2であり、
aは、H、ハロゲン(好ましくはF)、OH、O−アルキル、シアノ、又は任意にDとC3−C7シクロアルキル基を形成する非置換若しくは置換のC1−C6アルキル基であり、
Dは、BがO、S、C=O、S=O若しくはSO2である場合は存在せず、又は存在するときは、Bが−C=、−C−Ra若しくはNである場合にBと結合し、H、ハロゲン(好ましくはF)、ORb、任意にRaとC3−C7シクロアルキル基を形成する非置換若しくは置換のC1−C6分岐状若しくは非分岐状アルキル、非置換若しくは置換のC2−C6分岐状若しくは非分岐状アルケニル、非置換若しくは置換のC2−C6分岐状若しくは非分岐状アルキニル、非置換若しくは置換のC3−C7シクロアルキル、非置換若しくは置換のアリール、非置換若しくは置換の複素環、非置換若しくは置換のC2−C7カルボキシアルキル、非置換若しくは置換のカルボキシアリール、非置換若しくは置換のカルボキシへテロアリール、非置換若しくは置換のC1−C7スルフォニルアルキル、非置換若しくは置換のスルフォニルアリール、非置換若しくは置換のスルフォニルヘテロアリールであり、Bが−C−Raである場合、Ra及びDはBと任意に=N−Rc又は=N−ORc基を形成し、式中、RcはH又は非置換若しくは置換C1−C7アルキル基であり、
bは、H、分岐状若しくは非分岐状である非置換若しくは置換のC1−C7アルキル基、非置換若しくは置換のC2−C7アシル基である。
【0058】
好ましい実施形態は、以下の式IIの化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体を包含する。
【0059】
【化5】
式中、Aは、非置換若しくは置換のC1−C6分岐状若しくは非分岐状アルキル、非置換若しくは置換のC3−C7シクロアルキルであり、
nは、0、1、2、又は3であり、
Bは、C−Ra、O又はC=Oであり、
aは、H、F、OH又はアルキルであり、
Dは、存在しないか(BがOである場合)、RaがH若しくはアルキルである場合はH若しくはOHであり、又はRaがFである場合はFである。
【0060】
好ましい実施形態は、以下の式IIIの化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体を包含する。
【0061】
【化6】
式中、Aは、非置換若しくは置換のC1−C6アルキルであり、
Bは、C−Ra、O又はC=Oであり、
aは、H、F、−OH又はアルキルであり、
Dは、存在しないか(BがOである場合)、RaがH若しくはアルキルである場合はH若しくはOHであり、又はRaがFである場合はFである。
【0062】
更なる好ましい実施形態は、以下の式IVの化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体を包含する。
【0063】
【化7】
式中、Aは、非置換若しくは置換のC1−C6アルキルであり、
nは、0、1又は2である。
【0064】
更なる好ましい実施形態は、以下の式Vの化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体を包含する。
【0065】
【化8】
式中、Aは、非置換若しくは置換のC1−C6アルキルであり、
1は、H、F、又はC1−C4アルキルであり、
2は、H、F、CN、非置換若しくは置換の複素環、又はOR3であり、
3は、H、非置換若しくは置換のC1−C6アルキルである。
【0066】
更なる好ましい実施形態は、以下の式VIの化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体を包含する。
【0067】
【化9】
式中、Aは、非置換若しくは置換のC1−C6アルキルであり、
Rは、H、又はC1−C4アルキルである。
【0068】
また更なる好ましい実施形態は、以下の式VIIの化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体を包含する。
【0069】
【化10】
式中、Bは、C−Ra、O又はC=Oであり、
aは、H、F,−OH又はアルキルであり、
Dは、存在しないか(BがOである場合)、RaがH若しくはアルキルである場合はH若しくはOHであり、RaがFである場合はFである。
【0070】
また更なる好ましい実施形態では、以下の式VIIIの化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体が包含される。
【0071】
【化11】
式中、Bは、C−Ra、O又はC=Oであり、
aは、H、F、−OH又はアルキルであり、
Dは、存在しないか(BがOである場合)、RaがH若しくはアルキルである場合はH若しくはOHであり、RaがFである場合はFである。
【0072】
また更なる好ましい実施形態は、以下の式IXの化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体を包含する。
【0073】
【化12】
式中、Aは、非置換若しくは置換のC1−C6アルキルであり、
1は、H、又はC1−C4アルキルであり、
2は、H、又は非置換若しくは置換のC1−C6アルキルであり、
3は、H、又は非置換若しくは置換のC1−C6アルキルであり、
4は、H、又は非置換若しくは置換のC1−C6アルキルである。
【0074】
更なる態様においては、本発明は、次から選択される式I〜IXの化合物を提供する。
N−シクロヘプチル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(4−4−ジメチルシクロへキシル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−スピロ[2.5]オクト−6−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロへキシル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロペンチル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロブチル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロへキシル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロペンチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロブチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(cis−4−シアノシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−シアノシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−D3−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−エチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロへキシル−N−エチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(シクロへキシルメチル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−ベンジル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−ピリジン−3−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−フェニル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−シクロプロピル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
tert−ブチル−4−[([2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート、
N−メチル−N−ピペリジン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド塩酸塩、
N−メチル−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(1−ホルミルピペリジン−4−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−[1−(メチルスルホニル]ピペリジン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾチアジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(1−オキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルキノキサリン−6−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(4−オキソシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−[4−(ヒドロキシイミノ)シクロへキシル]−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−[4−(メトキシイミノ)シクロへキシル]−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(4,4−ジフルオロシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(4−フルオロシクロへキシ−3−エン−1−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(cis−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(cis−4−ヒドロキシ−4−エチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−ヒドロキシ−4−エチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(cis−4−エチニル−4−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(cis−4−ブタ−3−エン−1−イル−4−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−ブタ−3−エン−1−イル−4−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−N−D3−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−メトキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−メトキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボチオアミド、
N−(4−cis−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−[trans−4−(2H−テトラゾール−2−イル)シクロへキシル]−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−アジドシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−4−アミノシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(cis−3−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(trans−3−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(3−オキソシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(3,3−ジフルオロシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(2−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(2−オキソシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(2,2−ジフルオロシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(2−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(2−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(2−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−(2−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]シクロへキシルN,N−ジメチルグリシン酸塩酸塩、
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]シクロへキシルL−アラニン酸塩酸塩、
N−(R)−テトラヒドロフラン−3−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−(R)−テトラヒドロフラン−3−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]シクロへキシルグリシン酸塩酸塩、
N−2−(4−モルフォリニル)エチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
N−メチル−N−2−(4−モルフォリニル)エチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド塩酸塩、
N−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボチオアミド、
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]シクロへキシル L−バリン酸塩酸塩、
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]−1−メチルシクロへキシル N,N−ジメチルグリシン酸塩酸塩、
N−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド、
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]−1−メチルシクロへキシルグリシン酸塩酸塩。
【0075】
III.合成
本発明の化合物の合成は、好ましくは、次のスキームにより実行される。当技術に存在する手順により類推された代わりの合成もまた、使用されることができる。
スキームでは、N−メチルアミン4(A=Me)を製造するために用いられる工程A及びBは、標準条件を使用して行われ、例えば、アミン1を好適な有機溶媒、例えばジクロロメタンに溶解し、塩基(例えば、NEt3又は水中NaHCO3)を添加し、次にジクロロメタンなどの有機溶媒中のベンジルオキシ塩化カルボニル(Cbz−Cl)の溶液を添加し、これによりベンジルカルバメート2が形成される(工程A)。次に、カルバメート2を、テトラヒドロフラン(THF)などの好適な有機溶媒中の例えば水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)で還元し、アミン4を得る(A=Me、工程B)。アミン4は、あるいは工程Cに示すように、標準条件、例えばエタノールなどの適当な溶媒中のPd/Cを使用して、アミン(ANH2)の存在下において、ケトン3の還元的アミノ化によって調製されてもよい。酸塩化物8aは、4−アミノ−3−ニトロ安息香酸5から出発して合成され、第一に、水酸化カリウムの存在下で、エタノール中の次亜塩素酸ナトリウムを使用して酸化して中間体6を得て(工程D)、続いて、工程Eに示すように、例えばエタノールなどの好適な溶媒中の亜リン酸トリエチル(P(OEt)3)で6を還元して、ベンゾフラザンカルボン酸7を得る。そのカルボン酸7は、工程Fにおいて、トルエン中にて塩化チオニルで還流することによって、酸塩化物8aに変形された。ベンゾフラザンカルボン酸7は、標準アミドカップリング条件、例えばジクロロメタンなどの好適な溶媒中での1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロ−リン酸塩(HBTU)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)及びトリエチルアミンを用い、それぞれアミン1及び4を使用して、アミド9a及び10aに変形され得る(工程G)。あるいは、酸塩化物8aは、塩基、例えば、溶媒としてのジクロロメタン中のトリエチルアミン、又は水及びジクロロメタン中の含水炭酸水素ナトリウムの存在下で、それぞれアミン1及び4との標準カップリング条件を使用してアミド9a及び10aに変形し得る(工程H)。ベンゾチアジアゾールアミド9b及び10bは、塩基、例えば、溶媒としてのジクロロメタン中のトリエチルアミン、又は水及びジクロロメタン中の含水炭酸水素ナトリウムの存在下で、それぞれアミン1及び4との標準カップリング条件を使用して、市販のベンゾチアジアゾール酸塩化物8bから調製される(工程H)。キノキサリン−6−カルボン酸塩化物8cは、標準的な手順を用いて、市販の3,4−ジアミノ安息香酸とグリオキサルとの縮合、続いてトルエン中の塩化チオニル及び触媒量のDMFでの還流によって調製される。8cは、先に記載した標準的な手順を使用してアミン1及び4とのカップリング反応によってアミド9c及び10cに変形された(工程H)。あるいは、アミド10a−cは、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などの溶媒中の適切な塩基、例えば水素化ナトリウムでの脱プロトン、続いて、10a−cを与えるためのアルキル化剤(RX)での処理により、アミド9a−cから調製され得る(工程I)。チオアミド11は、例えば、10と、好適な溶媒、例えばトルエン中の亜リン酸五酸化物との反応により、標準的な手順を使用してアミド10から調製され得る(工程J)。
【0076】
IV.治療方法
本発明の態様に従うと、低グルタミン酸作動性状態、興奮性シナプスの数若しくは強度あるいはAMPA受容体の数の不足を患う哺乳類対象の治療方法が提供される。こうした対象においては、記憶若しくは他の認識機能が損なわれている可能性があり、又は皮質/線条体不均衡が生じる可能性があり、これらは記憶喪失、痴呆、鬱病、注意障害、性的不全、運動障害、統合失調症若しくは統合失調症様挙動をもたらす。本発明にしたがって治療できる記憶障害及び学習障害としては、例えば、老化、精神的外傷、脳卒中及び神経変性障害から起こる障害が挙げられる。神経変性障害の例としては、薬剤誘発状態、神経毒剤、アルツハイマー病、及び老化に関連するものが挙げられるが、これらに限定されない。これらの状態は、当業者によって容易に認識及び診断され、有効量の本発明の1つ以上の化合物を患者に投与することによって治療される。
【0077】
【化13】
【0078】
別の態様において、本発明は、呼吸抑制を低減又は抑えるのに十分な量の本発明の化合物を対象に投与することを含む、こうした状態を有する対象における呼吸抑制を低減又は抑える方法を提供する。本発明の更なる態様においては、アヘン剤と組み合わせて、ある量の本発明の化合物を対象に投与することを含む、呼吸抑制を低減又は抑える方法を提供する。こうしたアヘン剤の例としては、アルフェンタニル及びフェンタニルが挙げられるが、これらに限定されない。更なる態様においては、本発明は、呼吸関連睡眠障害を低減又は抑えるのに十分な量の本発明の化合物を対象に投与することを含む、睡眠時無呼吸を有する対象における呼吸関連睡眠障害又は睡眠時無呼吸を低減又は抑える方法を提供する。
【0079】
本発明においては、治療方法は、薬学的に許容できるキャリア中で、有効量の下の式Iを有する化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ若しくは多形体を、薬学的に許容できるキャリア、添加剤又は賦形剤と任意に組み合わせて、治療が必要な対象に投与することを含む。
【0080】
【化14】
式中、Wは酸素、硫黄又はCH=CHであり、
X、Y及びZは、−N、又は−CRからなる群から独立して選択され、
式中、Rは、H、−Br、−Cl、−F、−CN、−NO2、−OR1、−SR1、−NR12、非置換若しくは置換のC1−C6分岐状若しくは非分岐状アルキルであり、
式中、R1は、H、非置換若しくは置換のC1−C6分岐状若しくは非分岐状アルキルであり、
Fは、O又はSであり、
Aは、H、又は非置換若しくは置換のC1−C6分岐状若しくは非分岐状アルキル、非置換若しくは置換のC2−C6分岐状若しくは非分岐状アルケニル、非置換若しくは置換のC2−C6分岐状若しくは非分岐状アルキニル、非置換若しくは置換のC3−C7シクロアルキル、非置換若しくは置換のC3−C7アルキルシクロアルキル、非置換若しくは置換のアリール若しくは複素環、非置換若しくは置換のアルキルアリール、非置換若しくは置換のアルキル複素環であり、
nは、0、1、2、3、4、5、又は6であり、
【化15】
は、非置換若しくは置換のC3−C7シクロアルキル、非置換若しくは置換の−C4−C7アザシクロアルキル、非置換若しくは置換のC7−C10ビシクロアルキル、非置換若しくは置換のC7−C10アザビシクロアルキル、非置換若しくは置換のアリール或いは非置換若しくは置換の複素環であり、
Bは、−C=、C−Ra、O、N、S、C=O、S=O又はSO2であり、
aは、H、ハロゲン(好ましくはF)、OH、O−アルキル、シアノ、又は任意にDとC3−C7シクロアルキル基を形成する非置換若しくは置換のC1−C6アルキル基であり、
Dは、BがO、S、C=O、S=O若しくはSO2である場合は存在せず、又は存在するときは、Bが−C=、−C−Ra若しくはNである場合にBと結合し、H、ハロゲン(好ましくはF)、ORb、任意にRaとC3−C7シクロアルキル基を形成する非置換若しくは置換のC1−C6分岐状若しくは非分岐状アルキル、非置換若しくは置換のC2−C6分岐状若しくは非分岐状アルケニル、非置換若しくは置換のC2−C6分岐状若しくは非分岐状アルキニル、非置換若しくは置換のC3−C7シクロアルキル、非置換若しくは置換のアリール、非置換若しくは置換の複素環、非置換若しくは置換のC2−C7カルボキシアルキル、非置換若しくは置換のカルボキシアリール、非置換若しくは置換のカルボキシへテロアリール、非置換若しくは置換のC1−C7スルフォニルアルキル、非置換若しくは置換のスルフォニルアリール、非置換若しくは置換のスルフォニルヘテロアリールであり、Bが−C−Raである場合、Ra及びDはBと任意に=N−Rc又は=N−ORc基を形成し、式中、RcはH又は非置換若しくは置換C1−C7アルキル基であり、
bは、H、分岐状若しくは非分岐状である非置換若しくは置換のC1−C7アルキル基、非置換若しくは置換のC2−C7アシル基である。
【0081】
本発明においては、治療方法は、薬学的に許容できるキャリア中で、有効量の先に明示されたような式II〜IXを有する化合物を、治療が必要な対象に投与することを含む。
【0082】
本発明の化合物は、本化合物によって示される薬物動態の増強の少なくとも一部に起因して、大抵の場合、生物学的利用能の増大を示す。したがって、本化合物は、様々な剤形、特に経口投薬形態で、医薬組成物に好ましいように形成されることができる。
【0083】
上記のように、本発明の方法による対象の治療は、AMPA受容体活性を増大するのに有用であるので、AMPA受容体に依存する挙動の学習を促進するため、並びにAMPA受容体又はこれらの受容体を利用するシナプスの数及び効率が低減する記憶障害などの状態を治療するために使用され得る。この方法は、興奮性シナプス活性を増大して、上記のようにそれ自体が統合失調症若しくは統合失調症様挙動又は他の挙動に現れる脳亜領域間の不均衡を回復させるためにも有用であり得る。この方法に従って投与される化合物は、下記の生体内試験に示されるように、AMPA受容体活性の増大において、前述の化合物よりも効果的であることが見出された。
【0084】
V.生物活性
A.生体内のAMPA受容体機能の強化
AMPA受容体により媒介されるシナプス応答は、本明細書の化合物を使用して、本発明の方法により増大する。
本発明の化合物の電気生理学的効果を、以下の手順に従って、麻酔動物にて生体内で試験した。動物は、ハミルトン注射器ポンプを使用して投与されるフェノバルビタールによって麻酔下に維持される。刺激電極及び記録電極を、それぞれ海馬の有孔質路及び歯状回に挿入する。一旦、電極が埋め込まれたら、刺激電極に1分間当たり3回送達される一様の単相パルス(100μsパルス持続時間)を使用して、誘発反応の安定した基準値を導く。安定した基準値が得られるまで(約20−30分間)フィールドEPSPを監視し、その後、試験化合物の溶液を腹腔内に注入し、誘発電場電位を記録する。薬剤投与後のおよそ2時間、又はフィールドEPSPの振幅が基準値に戻るまで、誘発電位を記録した。後者の例では、点滴投与もまた、その試験化合物の適切な投与と一緒に行われることが一般的である。本発明の化合物を、上記の生体内電気生理学試験にて分析した。代表的な試験化合物のデータを表1の1列に示す。本発明の化合物は、腹腔内(i.p.)投与後のラット歯状回におけるフィールドEPSPの振幅の増大に関し、50mg/kg i.p.においてフィールドEPSPの振幅を9%増大したCX516(1−(キノキサリン−6−イルカルボニル)ピペリジン;米国特許第5,773,434号、米国特許出願2002/0055508)よりも著しく活性である。
【0085】
【表1】
【0086】
B.行動試験:d−アンフェタミン刺激運動の抑制
d−アンフェタミン刺激運動活性を抑制する本発明の化合物の能力を、次の手順に従って試験した。体重25〜30gmの雄CD1マウスを実験室に入れ、少なくとも30分間順応させた。各マウスを、動物の活動を自動的に監視する赤外線配列を持つ試験筐体に入れた。マウスを試験筐体で20分間慣らした後、ホームケージに戻した。マウスに、d−アンフェタミン注入(2mpk)の5分前に、適当な賦形剤中の試験化合物を腹腔内投与した。d−アンフェタミン注入の10分後、マウスの自発運動を合計15分間試験した。データをコンピュータで収集し、「任意運動ユニット」として表した。全てのデータを、試験化合物で治療される群を賦形剤対照群と比較することによって分析した。試験化合物のデータを、表1の2列に示す。示されるデータは、マウスにおける2mg/kgのd−アンフェタミンの急性投与によって誘発される多動性の抑制%である。試験される化合物は、統計的に著しいd−アンフェタミン刺激運動の抑制を生じた。
【0087】
VI.投与、用量、及び剤形
上記のように、本発明の化合物及び方法は、AMPA受容体に媒介されるグルタミン酸作動性シナプス反応を増大させ、低グルタミン酸作動性状態の治療に有用である。これらは、興奮性シナプスの数若しくは強度あるいはAMPA受容体の数の不足によってもたらされる、記憶又は他の認識機能の障害のような状態の治療にも有用である。これらはまた、皮質/線条体不均衡から生じる統合失調症又は統合失調症様挙動の治療において、及びAMPA受容体に依存する挙動の学習の促進においても使用できる。
【0088】
本化合物、医薬組成物及び方法で治療される対象においては、記憶喪失、痴呆、鬱病、注意障害、性的不全、運動障害、統合失調症若しくは統合失調症様挙動をもたらす、記憶若しくは他の認識機能が損なわれている可能性があり、又は皮質/線条体不均衡が起こっている可能性がある。本発明に従って治療可能な記憶障害及び学習障害は、老化、精神的外傷、脳卒中及び神経変性障害から生じる障害を含む。神経変性障害の例としては、薬剤誘発状態、神経毒剤、アルツハイマー病、及び老化に関連したものを含むが、これらに限定されない。これらの状態は、当技術者により容易に認識及び診断され、有効量の1つ以上の本発明の化合物を患者に投与することによって治療される。
【0089】
一般に、化合物の投与の用量及び経路は、標準薬務に従って、対象の大きさ及び状態に従って決定されるであろう。採用される投与レベルは広く異なり得り、当技術者により容易に決定され得る。一般的に、グラム量までのミリグラムの量が採用される。該組成物は、例えば、経口的に、経皮的に、周囲神経的に又は非経口的に、すなわち静脈内、皮下、腹腔内、又は筋肉内注射によって、とりわけ口腔、直腸、経皮投与を包含する様々な経路で対象に投与されてよい。本発明の方法の治療が意図される対象は、人間、ペット、家畜動物、実験動物等の動物、特に哺乳類である。
【0090】
本発明の化合物を含有する製剤は、固体、半固体、凍結乾燥粉末、又は液体の剤形の形をとることができ、例えば、錠剤、カプセル、粉末、持続放出性製剤、溶液、懸濁液、乳液、坐薬、クリーム、軟膏、ローション、エアゾール、パッチ等であり、好ましくは正確な用量の単純な投与に適した単位剤形である。
【0091】
本発明の医薬組成物は、有効量の本発明の1つ以上の化合物を含み、一般的には従来の医薬キャリア又は賦形剤を包含し、さらに他の薬剤、キャリア、助剤、添加物等を包含できる。好ましくは、組成物は、約0.5〜75重量%又はそれ以上が本発明の化合物(単数又は複数)であり、残りは、適した医薬賦形剤から原則的になる。経口投与用のこうした賦形剤としては、医薬品等級のマンニトール、乳糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、ブドウ糖、ゼラチン、ショ糖、炭酸マグネシウム等が挙げられる。必要に応じて、組成物は、湿潤剤、乳化剤、又は緩衝剤のような少量の非中毒性補助物質を含有してもよい。
【0092】
液体組成物は、例えば、水性食塩水、水性デキストロース、グリセロール又はエタノールのようなキャリア中に、化合物(約0.5重量%〜約20重量%又はそれ以上)及び任意の補助薬を溶解又は分散させ、溶液又は懸濁液を形成することにより調製できる。経口液体製剤で使用するために、組成物は、溶液、懸濁液、乳液又はシロップとして調製されることができ、水又は生理食塩水への水和に適した液体状態又は乾燥形態で供給される。
【0093】
組成物が、経口投与のための固体製剤の形態で用いられる場合、製剤は、錠剤、顆粒、粉末、カプセル等にできる。錠剤製剤において、組成物は、一般的に添加剤と共に形成される。添加剤は、例えば、糖類又はセルロース製剤のような賦形剤、澱粉ペースト又はメチルセルロースのような結合剤、増量剤、崩壊剤、及び調合薬剤の製造において一般的に使用される他の添加剤である。
【0094】
非経口投与のための注入可能な組成物は、一般的に、滅菌生理食塩水溶液のような適切な点滴溶液中に化合物を含有する。また組成物は、脂質又はリン脂質中、リポソーム型懸濁液中、又は水性乳液中の懸濁液として形成されてもよい。
【0095】
こうした剤形の調製方法は、既知であり又は当技術者に明らかであろう。例えば、レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical science)(17版、Mack Pub. Co.,1985年)を参照。投与される組成物は、対象においてAMPA受容体の電流を効果的に増大するための薬学的な有効量で、選択された化合物の量を含有する。
【0096】
以下の実施例において実例を示すが、これらは決して本発明を限定することを意図しない。特に明記しない限り、全ての温度は摂氏温度で与えられる。特に明記しない限り、全てのNMRスペクトルは、1H NMRスペクトルであり、内部標準としてテトラメチルシランを用いて、溶媒としての重水素化クロロホルム又は重水素化DMSOで得られた。実施例化合物の全ての名前は、エーシーディー・ラブズ(ACD Labs)によるコンピュータ・ソフトウェア・ケミスケッチ(ChemSketch)で提供されるような、IUPAC命名法に従う。
【0097】
I.化学的方法
中間体1
[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボン酸
【0098】
【化16】
【0099】
機械的攪拌機、還流冷却器、温度計及び窒素入口を備えた3Lの反応装置において、KOH(72.46g)をエタノール(250ml)及び水(250ml)に溶解した。4−アミノ−3−ニトロ安息香酸(100g)を添加し、オレンジ色の懸濁液を30分以内に65〜70℃に加熱した。得られた懸濁液を同じ温度で45分間攪拌し、30分以内に0℃±5℃に冷却した。市販の次亜塩素酸ナトリウムの(13% W/W)溶液(448.93g)を0℃±5℃で1.5時間以内に滴下した。反応混合物を同じ温度で2時間攪拌し、TLC(CHCl3 100/アセトン 2/酢酸 1)で管理した。水(350ml)を0℃±5℃で15分以内に添加し、細かい黄色の懸濁液を得た。次に反応混合物を6N HCl溶液(239ml)で0.5<pH<1に達するまで酸性化した。塩化ナトリウム(58.44g)を添加し、得られた懸濁液を窒素下において0℃±5℃で1.5時間攪拌した。濾過により固体を収集し、3×400mlの水で洗浄し、乾燥し(40℃、30ミリバール、12時間)、83.6gの[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボン酸N−オキシド(収率88.8%)を得た。
【0100】
機械的攪拌機、温度計、添加漏斗、還流冷却器及び窒素入口を備えた2Lの反応装置において、[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボン酸N−オキシド(80g)を無水エタノール(800ml)に溶解した。この溶液に亜リン酸トリエチル(114.05g)を70℃±2℃にて10分以内で添加した。得られた混合物を加熱し、還流し(76〜78℃)、2時間維持した。TLC(CHCl3 100/アセトン 2/酢酸 1)で反応を監視し、反応の完了を確認した。溶媒を真空下(30ミリバール、40℃)で除去し、黒色油(180g)を得た。水(400ml)を添加し、混合物を酢酸エチル(400及び160ml)で抽出した。有機相を、NaOHを含有する水850ml(9.5<pH<10)で抽出した。水相を分離し、酢酸エチル(3×240ml)で抽出した。水相を5℃±2℃で1<pH<2に酸性化し(78ml 6N HCl)、黄色生成物の結晶を得て、これを濾過、乾燥し(40℃、30ミリバール、12時間)、65.56g(収率90%)の[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボン酸を得た。mp=160−161℃,1H NMR(300MHz,DMSO)δ13.8(s,1H);8.57(s,1H);8.56(d,1H,J=0.6Hz);7.87ppm(d,1H,J=0.6Hz)。
【0101】
中間体2
[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボニルクロライド
【0102】
【化17】
【0103】
機械的攪拌機、温度計、添加漏斗、還流冷却器及び窒素入口を備えた500mlの反応装置において、[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボン酸(28g)をトルエン(245ml)に懸濁させた。この懸濁液に塩化チオニル(39.4g)及びDMF(0.35ml)を添加した。得られた混合物を加熱し、還流し、3時間維持した。ショートパスカラム(short pass column)を差し込み、トルエンを蒸留し(大気圧、124ml)、過剰な試薬を除去した。冷却後、残りのトルエンを蒸留し、濃厚油を得た。この油を蒸留し(90℃、2mmHg)、不純物を除去し、生成物を結晶化した(収率79.8%)。mp:55−58℃。
【0104】
実施例1
N−シクロヘプチル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0105】
【化18】
【0106】
エタノール40ml中のシクロへプタノン(1.12g、10mmol)の溶液に、メチルアミン(エタノール中33%溶液2.5ml)を添加し、220mgのPd/C(10%)を添加し、混合物を50psiで一晩水素化した。固体を濾過して取り除き、混合物を真空下で濃縮し、淡黄色油を得た。この材料及び1.2mlのトリエチルアミンを10mlのジクロロメタンに溶解し、[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボニルクロライド(730mg、4mmol)の溶液をゆっくり添加した。混合物を2時間攪拌後、有機相を1N HCl及び濃NaHCO3溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、その後真空下で濃縮し、エーテル(405mg、37%)との粉砕後、白色固体を得た。Mp:80−81℃,1H NMR(300MHz,CDCl3、rotamers)δ7.93(m,1H);7.80(s,1H);7.43−7.37(m,1H);4.75−4.60及び3.70−3.55(m+m、1H);3.01及び2.87(s+s、3H);2.00−1.20ppm(m、12H)。
【0107】
実施例2
N−(4−4−ジメチルシクロヘプチル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0108】
【化19】
【0109】
メチルアミン塩酸塩(10g)及び水酸化ナトリウムペレット(18g)の混合物を加熱することにより生成されたメチルアミンを、40mlのメタノール及び20mlのTHF中の4−4−ジメチルシクロヘキサノン(1.0g、7.9mmol)の溶液に濃縮して入れた(ドライアイストラップ)。10%Pd/C(400mg)を添加し、混合物を室温で一晩水素化した。固体を濾過して取り除き、混合物を真空下で濃縮した。この物質及びトリエチルアミン(2ml)をクロロホルム(50ml)に溶解し、クロロホルム(40ml)中の[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−塩化カルボニル(900mg、4.9mmol)の溶液を、室温でゆっくり添加した。混合物を1時間攪拌後、有機相を1N HCl及び濃NaHCO3溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して油を得て、これをシリカゲルクロマトグラフィーを使用してクロロホルム/酢酸エチル/へキサン(10:20:70)により溶出して精製し、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)/へキサン(38mg)からの結晶化後、白色固体を得た。Mp=143−5℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.91(d,1H,J=8.7Hz);7.81(sb,1H);7.45−7.36(m,1H);4.52−4.35及び3.45−3.30(m+m,1H);3.04及び2.89(s+s,3H)及び1.95−0.80ppm(m,14H)。
【0110】
実施例3
N−メチル−N−スピロ[2.5]オクト−6−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0111】
【化20】
【0112】
THF(40ml)中のベンジル−スピロ[2.5]オクト−6−イルカルバメート(1.1g、3.85mmol)の溶液を、THF(40ml)中のLiAlH4(1.0g)に室温でゆっくり添加し、混合物を2時間攪拌した。次に、混合物を氷/水で冷却し、へキサン(35ml)を添加した後、水(4ml)中の水酸化ナトリウム(1g)の溶液を注意深く添加した。セリットを添加し、混合物を濾過し、濾液を真空下で濃縮した。クロロホルム(60ml)中のトリエチルアミン(2ml)の溶液を残留物に添加し、続いてクロロホルム(10ml)中の[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−塩化カルボニル(704mg、6mmol)の溶液を添加した。混合物を1時間攪拌後、有機相を1N 硫酸及び濃NaHCO3溶液で洗浄し、水相をクロロホルム(100ml)で再抽出し、組み合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/へキサン(30:70)で溶出し、ジクロロメタン/MTBEからの結晶化後、白色固体を得た(410mg、収率37%)。Mp=107−109℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.91(d,1H,J=9.3Hz);7.82(s,1H);7.47−7.35(m,1H);4.66−4.50及び3.55−3.40(m+m,1H);3.05及び2.91(s+s,3H);2.10−1.55及び0.99−0.86(m,8H)及び0.40−0.20ppm(m,4H)。
【0113】
実施例4
N−シクロヘキシル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0114】
【化21】
【0115】
50mlのジクロロメタン中のシクロへキシルアミン(4ml、17.4mmol)及びトリエチルアミン(3ml)の溶液に、クロロギ酸ベンジル(2.4ml、17.4mmol)をゆっくり添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。溶液を1N HCl及び濃NaHCO3溶液で抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮し、2.85gの白色固体を得た。固体をTHF(50ml)に溶解し、ジエチルエーテル(50ml)中のLiAlH4(1.09g)にゆっくり添加し、混合物を70℃で1時間加熱した。次に、混合物を氷/水浴で冷却し、へキサン(40ml)を添加し、続いて10mlの水中の水酸化ナトリウム(5g)の溶液を注意深く添加した。セリットを添加し、混合物を濾過し、続いて真空下で濃縮した。トリエチルアミン(3ml)及びジクロロメタン(50ml)中の得られた残留物の溶液に、[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−塩化カルボニル(1.095g、6mmol)をゆっくり添加した。混合物を1時間攪拌後、有機相を1N HCl及び濃NaHCO3溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮して白色固体(1.45g)を得た。物質をシリカゲルクロマトグラフィーによりクロロホルム/酢酸エチル(4:1)で溶出し、白色固体を得た(406mg、収率26%)。Mp=134−5℃,LC−MS,MH+=260;1H NMR(300MHz,CDCl3,2rotamers)δ7.91(d,1H,J=9.3Hz);7.81(s,1H);7.45−7.36(m,1H)−4.6−4.45及び3.5−3.3(m+m,3H);3.01及び2.87(s+s,1H);1.95−1.00ppm(m,10H)。
【0116】
実施例5
N−シクロペンチル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0117】
【化22】
【0118】
実施例2に記載の手順を使用して、シクロペンタノン及び[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキニルクロライドから、表題の化合物を調製した。Mp=110−111℃,LC−MS,MH+=246;1H NMR(300MHz,CDCl3,2rotamers)δ7.91(d,1H,J=9.3Hz);7.83(s,1H);7.42(d,1H,J=9.3Hz);5.1−4.9及び4.15−3.95(m+m,1H);2.995(s,3H);2.1−1.40ppm(m,8H)。
【0119】
実施例6
N−シクロブチル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0120】
【化23】
【0121】
実施例4に記載の手順を使用して、シクロブチルアミン及び[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキニルクロライドから、表題の化合物を調製した。Mp=51−2℃,LC−MS,MH+=232;1H NMR(300MHz,CDCl3,2rotamers)δ7.91(d,1H,J=9.0Hz);7.81(s,1H);7.42(d,1H,J=9.0Hz);5.1−4.9及び4.35−4.15(m+m,1H);3.110(s,3H);2.40−1.40ppm(m,6H)。
【0122】
実施例7
N−シクロヘキシル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0123】
【化24】
【0124】
ジクロロメタン(20ml)中シクロへキシルアミン(1ml)及びトリエチルアミン(1.7ml)の溶液に、ジクロロメタン(10ml)中の[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボニルクロライド(730mg、4mmol)の溶液を添加した。混合物を1時間攪拌後、有機相を1N HCl及び濃NaHCO3溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。残留物をエーテルと粉末化し、白色固体を得た(265mg、収率=27%)。Mp=172−173℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.15(s,1H),7.90(d,1H,J=9.0Hz);7.82(d,J=9.0Hz,1H);6.09(“s”,NH,1H),4.05−3.97(m,1H)及び2.09−1.18ppm(m,10H)。
【0125】
実施例8
N−シクロペンチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0126】
【化25】
【0127】
実施例7に記載の手順を使用して、シクロペンチルアミンからこの化合物を調製した。Mp:169−170℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.17−8.14(m,1H),7.90(dd,1H,J=9.0及び0.6Hz);7.81(dd,J=9.0及び0.9Hz,1H);6.25(“s”,NH,1H),4.50−4.35(m,1H)及び2.16−1.45ppm(m,8H)。
【0128】
実施例9
N−シクロブチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0129】
【化26】
【0130】
実施例7に記載の手順を使用して、シクロブチルアミンから表題の化合物を調製した。Mp:175−176℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.20−8.17(m,1H),7.90(dd,J=9.0及び0.9Hz,1H);7.82(dd,J=9.0及び0.9Hz,1H);6.46(“s”,NH,1H),4.70−4.50(m,1H)及び2.50−1.60ppm(m,6H)。
【0131】
実施例10及び実施例11
N−(シス−4−シアノシクロヘキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド及びN−(トランス−4−シアノシクロヘキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0132】
【化27】
【0133】
t−ブチルメチル(4−オキソシクロへキシル)カルバメート(4.54g、20mmol)及びトルエンスルフォニルメチルイソシアニド(5.07g、26mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(100ml)に溶解し、0℃に冷却した。カリウムtert−ブトキシド(5.16g、46mmol)をゆっくり添加し、混合物を20℃に温め、3時間攪拌した。反応混合物を蒸発させて乾燥し、酢酸エチル(150ml)と水(50ml)との間で分配した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥して、蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/へキサン(66:34)で溶出して、1.43gのt−ブチルメチル(4−シアノシクロへキシル)カルバメートを得た。
【0134】
t−ブチルメチル(4−シアノシクロへキシル)カルバメート(710mg、3mmol)をジクロロメタン(20ml)に溶解し、トリフルオロ酢酸(3ml)を添加した。2時間後、溶媒を蒸発させ、残留物をジオキサン中の4N HCl(3ml)溶液に再溶解し、溶媒を蒸発させた。ジクロロメタン(30ml)及びNEt3(2ml)を残留物に添加し、続いてジクロロメタン(10ml)中の[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−塩化カルボニル(548mg、3mmol)の溶液を添加した。混合物を室温で1時間攪拌後、有機相を1N HCl及び濃NaHCO3溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。物質をシリカゲルカラムにより酢酸エチル/クロロホルム(1:1)で溶出して精製し、白色固体として170mgのN−(cis−4−シアノシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド及び極性が低い異性体を得た。Mp=222−223℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.93(d,1H,J=9.0Hz);7.85(s,1H),7.42(d,J=9.0Hz,1H);4.65−4.50及び3.55−3.40及び3.15−2.80(m,5H)及び2.20−1.30ppm(m,8H)。
【0135】
ジエチルエーテルからの結晶化後、極性が高いN−(trans−4−シアノシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを白色固体として得た(180mg)。Mp=180−181℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.93(d,1H,J=8.7Hz);7.83(s,1H),7.42(d,J=8.7Hz,1H);4.60−4.45及び3.60−3.40及び3.05−2.80(m,5H)及び2.50−1.40ppm(m,8H)。
【0136】
実施例12
N−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0137】
【化28】
【0138】
メチルアミン塩酸塩(10g)及び水酸化ナトリウムペレット(18g)の混合物を加熱することにより生成されたメチルアミンを濃縮して(ドライアイストラップ)、メタノール(50ml)中のテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(1.0g、10mmol)の溶液に入れた。10%Pd/C(350mg)を添加し、混合物を室温で7時間水素化した。固体を濾過して取り除き、濾液を真空下で濃縮した。残留物をクロロホルム(70ml)及びトリエチルアミン(2ml)に溶解し、クロロホルム(10ml)中の[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−塩化カルボニル(500mg、2.73mmol)の溶液をゆっくり添加した。反応混合物を30分間攪拌後、有機相を100mlの水及び硫酸(→pH2)で抽出し、水相をクロロホルム(100ml)で再抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮して油を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/へキサン(75:25)及びクロロホルム/アセトン(85:15)で溶出して精製し、酢酸エチルからの結晶化後、白色固体として表題の生成物を得た。Mp=160−2℃,LC−MS,MH+=262;1H NMR(300MHz,CDCl3,2rotamers)δ7.93(d,1H,J=9.0Hz);7.84(s,1H);7.42(d,1H,J=9.0Hz);4.90−4.70及び4.20−3.10(m+m,5H);2.927(s,3H);2.1−1.5ppm(m,4H)。
【0139】
実施例13
N−D3−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0140】
【化29】
【0141】
実施例12に記載の手順を使用して、D3−メチルアミン及びテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オンからこの化合物を調製した。Mp=165−166℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,2rotamers)δ7.93(d,1H,J=9.0Hz);7.84(s,1H);7.42(d,1H,J=9.0Hz);4.90−4.70及び4.20−3.10(m+m,5H)及び2.1−1.5ppm(m,4H)。
【0142】
実施例14
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0143】
【化30】
【0144】
エタノール(100ml)中のヒドロキシルアミン塩酸塩(5.56g)、酢酸ナトリウム(6.56g)及びテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(4g、40mmol)の混合物を一晩還流した。固体を濾過して取り除き、溶媒を蒸発させた。得られた物質を100mlの乾燥THFに懸濁し、デカンテーションした。LiAlH4(6.07g)をゆっくり添加し、混合物を1時間還流した。冷却した混合物を10%水酸化ナトリウム溶液で急冷し、セリットを添加し、固体を濾過して取り除いた。溶媒を蒸発させ、残留物をジクロロメタン(10ml)及びトリエチルアミン(1ml)に再溶解した。この混合物をジクロロメタン(10ml)中の[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−塩化カルボニル(365mg、2.0mmol)の溶液にゆっくり添加し、室温で0.5時間攪拌した。混合物を1N HCl(100ml)及びNaHCO3(100ml)溶液で洗浄し、水溶物をジクロロメタン(100ml)で再抽出した。組み合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮して白色固体(410mg)を得た。Mp=204−205℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.20−8.18(m,1H),7.92(dd,1H,J=9.3及び1.2Hz);7.82(dd,1H,J=9.3及び1.2Hz);6.25−6.10(m,NH,1H);4.33−4.17(m,1H),4.07−4.00(m,2H),3.59−3.51(m,2H),2.07−2.03(m,2H)及び1.69−1.58ppm(m,2H)。
【0145】
実施例15
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0146】
【化31】
【0147】
実施例7に記載の手順を使用して、3−アミノテトラヒドロピラン塩酸塩及び[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボニルクロライドからN−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを調製した。Mp=204−205℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.24−8.10(m,1H),7.93(dd,1H,J=9.0及び0.9Hz);7.84(dd,1H,J=9.0及び1.2Hz);6.70−6.60(m,NH,1H);4.24−4.22(m,1H),3.86−3.60(m,4H)及び1.97−1.61ppm(m,4H)。
【0148】
実施例16
N−メチル−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0149】
【化32】
【0150】
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(371mg、1.5mmol)を乾燥DMF(5ml)中の水素化ナトリウム(216mg、9mmol)の懸濁液に添加し、続いてヨウ化メチル(1.0ml)を添加し、混合物を20℃で1時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、ジクロロメタン(30ml)を添加し、有機相を1N HCl(100ml)及びNaHCO3溶液(100ml)で洗浄した。水溶物をジクロロメタン(100ml)で再抽出し、有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮し、ジエチルエーテルとの粉砕後、表題の化合物を白色固体として得た(186mg)。Mp:134−135℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.93(d,1H,J=9.0Hz);7.83(s,1H);7.40(d,1H,J=9.0Hz);4.70−3.20(m,4H),3.01(sb,3H)及び2.10−1.50ppm(m,4H)。
【0151】
実施例17
N−エチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0152】
【化33】
【0153】
メタノール(60ml)中のテトラヒドロ−4−ピラン−4−オン(1.0g、10mmol)の溶液に、エチルアミン塩酸塩(815mg、10mmol)、1mlのNEt3、及びC上の10%Pd(350mg)を添加した。混合物を室温で一晩(18時間)水素化した。固体を濾過し、メタノール(20ml)で洗浄し、真空下で濃縮した。残留物をクロロホルム(70ml)及びNEt3(2ml)に溶解し、クロロホルム(10ml)中の[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−塩化カルボニル(600mg、3.28mmol)の溶液をゆっくり添加した。0.5時間攪拌後、混合物を水(100ml)とH2SO4(→pH2)とNaHCO3溶液(100ml)とで洗浄した。水溶物をクロロホルム(100ml)で抽出し、組み合わせた有機物をMgSO4で乾燥し、真空下で濃縮して油を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/へキサン(75:25)及びクロロホルム/アセトン(85:15)で溶出して、ジエチルエーテルからの結晶化後、白色固体を得た(470mg)。Mp=102−4℃,LC−MS,MH+=276;1H NMR(300MHz,CDCl3,2rotamers)δ7.93(d,1H,J=9.0Hz);7.80(s,1H);7.38(d,1H,J=9.0Hz);4.75−4.45及び4.15−3.90及び3.75−3.05(m+m+m,7H);2.04−1.05ppm(m,7H)。
【0154】
実施例18
N−シクロヘキシル−N−エチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0155】
【化34】
【0156】
実施例17に記載の手順を使用して、塩酸エチルアミン及びシクロへキサノンから表題の化合物を調製した。シリカゲルクロマトグラフィー後、生成物は白色固体として分離された。Mp=51−2℃,LC−MS,MH+=274;1H NMR(300MHz,CDCl3,2rotamers)δ7.91(d,1H,J=9.0Hz);7.78(s,1H);7.76(d,1H,J=9.0Hz);4−4−4.3及び3.55−3.2(m+m,3H);1.95−0.95ppm(m,13H)。
【0157】
実施例19
N−(シクロヘキシルメチル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0158】
【化35】
【0159】
実施例4に記載の方法を使用して、シクロへキシル−4−メチルアミンから表題の化合物を調製し、白色固体として分離した。Mp=71−2℃,LC−MS,MH+=274;1H NMR(300MHz,CDCl3,2rotamers)δ7.94−7.78(m,2H);7.48−7.38(m,1H);3.43+3.16(d+d,2H);3.10及び3.01(s+s,3H);1.90−1.55及び1.47−0.95及び0.73−0.57ppm(m+m+m,HH)。
【0160】
実施例20
N−ベンジル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0161】
【化36】
【0162】
前記手順に従って、N−ベンジル−N−メチルアミン及び[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボニルクロライドから調製した。N−ベンジル−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを白色固体として分離した。Mp=105−106℃,LC−MS,MH+=268;1H NMR(300MHz,CDCl3,2rotamers)δ7.96−7.86(m,1H);7.90(d,1H,J=9.6Hz);7.43−7.30(m,5H);7.19−7.13(m,1H);4.78+4.56(s+s,2H);3.11及び2.94ppm(s+s,3H)。
【0163】
実施例21
N−メチル−N−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0164】
【化37】
【0165】
実施例7及び16の調製にて記載されたように、テトラヒドロフラン−2−メチルアミンと[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−塩化カルボニルとの反応生成物のN−メチル化により調製された。N−メチル−N−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを淡黄色油として分離した。LC−MS,MH+=262;1H NMR(300MHz,CDCl3,2rotamers)δ7.94−7.85(m,2H);7.51−7.44(m,1H);4.31−3.22(m,5H);3.18及び3.14(s+s,3H);2.18−1.25ppm(m,4H)。
【0166】
実施例22
N−メチル−N−ピリジン−3−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0167】
【化38】
【0168】
実施例4に記載された実験手順を使用して、3−アミノピリジンから調製した。N−メチル−N−ピリジン−3−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを黄色油として分離した。LC−MS,MH+=255;1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.44(d,1H,J=4.8Hz);8.39(d,1H,J=2.1Hz);7.74(s,1H);7.72(d,1H,J=9Hz);7.51(dd,1H,J=8.4及び2.1Hz);7.35(d,1H,J=9Hz);7.27(dd,1H,J=8.4及び4.8Hz);3.56ppm(s,3H)。
【0169】
実施例23
N−メチル−N−フェニル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0170】
【化39】
【0171】
実施例7に記載された手順を使用して、N−メチルアニリン及び[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−塩化カルボニルから調製した。N−メチル−N−フェニル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを黄色油として分離した。
LC−MS,MH+=254;1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.74(s,1H);7.64(d,1H,J=9.6Hz);7.34(d,1H,J=9.6Hz);7.29−7.09(m,5H);3.54ppm(s,3H)。
【0172】
実施例24
N−シクロプロピル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0173】
【化40】
【0174】
実施例17に記載された手順を使用して、テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン及びシクロプロピルアミンから、N−シクロプロピル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを調製し、白色固体として分離した。Mp=108−109℃,LC−MS,MH+=288;1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.91(t,1H,J=1.0及び1.0Hz,1H);7.76(dd,J=9.2及び1.0Hz,1H);7.51(dd,J=9.2及び1.0Hz,1H);4.50−4.39(m,1H);4.11−4.06(m,2H);3.58−3.49(m,2H);2.70−2.60(m,1H);2.28−2.12(m,2H);1.90−1.85(m,2H);0.75−0.53ppm(m,4H)。
【0175】
実施例25
N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0176】
【化41】
【0177】
実施例17に記載された手順を使用して、テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン及び2,2,2−トリフルオロエチルアミンから表題の化合物を調製し、白色固体として分離した。Mp=134−135℃,LC−MS,MH+=330;1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.79(dd,J=9.2及び1.0Hz,1H);7.91−7.85(m,1H);7.40(dd,J−9.2及び1.0Hz,1H);4.20−3.85(m,5H);3.35−3.15(m,2H);2.02−1.65ppm(m,4H)。
【0178】
実施例26
tert−ブチル−4−[([2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート
【0179】
【化42】
【0180】
メチルアミン(10gのメチルアミン塩酸塩と18gの水酸化ナトリウムとの混合物を加熱することにより生成)を、メタノール(30ml)及びTHF(30ml)中のBoc−4−ピペリドン(3.5g、17.6mmol)の溶液中に濃縮した。10%Pd/C(600mg)を添加し、混合物を室温で18時間水素化した。固体を濾過して取り除き、メタノール(20ml)とで洗浄し、真空下で濃縮した。残留物をクロロホルム(50ml)及びNEt3(4ml)に溶解し、ジクロロメタン(20ml)中の[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−塩化カルボニル(2.1g、11.5mmol)の溶液をゆっくり添加した。混合物を1時間攪拌後、有機相を水(100ml)とH2SO4(→pH2)とNaHCO3溶液(100ml)とで洗浄した。水溶物をクロロホルム(100ml)で抽出し、有機物を組み合わせ、乾燥し(MgSO4)、真空下で濃縮して油を得た。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/へキサン(40:60)→(60:40)で溶出して精製し、MTBE/へキサンからの結晶化後、白色固体を得た(3.14g)。Mp=98−100℃,LC−MS,MH+=361;1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.93(d,J−9.0Hz,1H);7.84(s,1H);7.42(d,J=9.0Hz,1H);4.80−3.40(m,5H);3.10−2.85(m,3H);1.90−1.60(m,4H);1.47ppm(s,9H)。
【0181】
実施例27
N−メチル−N−ピペリジン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド塩酸塩
【0182】
【化43】
【0183】
tert−ブチル−4−[([2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ)]ピペリジン−1−カルボキシレート(1.2g、3.33mmol)をクロロホルム(30ml)に溶解し、TFA(3ml)を添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。混合物を真空下で濃縮し、残留物をクロロホルム(30ml)、エタノール(30ml)及び濃HCl(1ml)に溶解した。混合物を真空下で濃縮して固体を得て、これをクロロホルム、エタノール、及びTHFの混合物で洗浄し、オフホワイトの固体を得た(920mg)。Mp>260℃,1H NMR(300MHz,DMSO)δ9.04−8.78(m,2H);8.20−8.05(m,2H);7.62−7.52(m,1H);4.70−4.50及び3.88−3.72(m,1H);3.30−2.70(m,7H)及び2.20−1.80ppm(m,4H)。
【0184】
実施例28
N−メチル−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0185】
【化44】
【0186】
実施例16に記載されたように、N−メチル−N−ピペリジン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドのN−メチル化により調製し、酢酸エチル/ジクロロメタンからの結晶化後、ベージュ色の固体として分離した。Mp>260℃,LC−MS,MH+=275.2;1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.28−7.20(m,2H);6.67(d,J=9.6Hz,1H);3.70−6.57及び2.90−2.70(m,1H);3.70−1.95ppm(m,14H)。
【0187】
実施例29
N−(1−アセチルピペリジン−4イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0188】
【化45】
【0189】
N−メチル−N−ピペリジン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド塩酸塩(0.58g、1.9mmol)をクロロホルム(50ml)に懸濁し、無水酢酸(2ml)及びトリエチルアミン(4ml)を添加した。1時間攪拌後、混合物を水(100ml)とH2SO4(→pH2)とNaHCO3溶液(100ml)とで洗浄した。水溶物をクロロホルム(2×100ml)で抽出し、組み合わせた有機物を乾燥し(MgSO4)、真空下で濃縮した。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム/メタノール(50:45:5)で溶出して精製し、酢酸エチル/MTBE/へキサンからの結晶化により、白色固体を得た(470mg)。Mp=173−175℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.93(d,J=9.0Hz,1H);7.85(s,1H);7.42(d,J=9.0Hz,1H);4.90−4.70及び4.05−3.80(m,5H);2.89(sb,3H);2.13(sb,3H),1.95−1.60ppm(m,4H)。
【0190】
実施例30
N−(1−ホルミルピペリジン−4−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0191】
【化46】
【0192】
N−メチル−N−ピペリジン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド塩酸塩(0.5g、1.7mmol)をクロロホルム(20ml)に懸濁し、THF(20ml)及びトリエチルアミン(6ml)を添加した。ギ酸(1ml)及び無水酢酸(1ml)の混合物を室温で1.5時間攪拌し、その後、懸濁液にゆっくり添加した。混合物を1時間攪拌後、水(100ml)とH2SO4(→pH2)とNaHCO3溶液(100ml)とで洗浄した。水溶物をクロロホルム(2×100ml)で抽出し、組み合わせた有機物を乾燥し(MgSO4)、真空下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム/メタノール(50:45:5)で溶出して精製し、白色固体を得た(341mg)。Mp=163−165℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.05(s,1H),7.93(d,J=9.3Hz,1H);7.86(s,1H);7.42(d,J=9.3Hz,1H);4.90−4.45及び3.85−2.60(m,5H);2.88(sb,3H);及び1.95−1.60ppm(m,4H)。
【0193】
実施例31
N−メチル−N−[1−(メチルスルホニルピペリジン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0194】
【化47】
【0195】
N−メチルN−ピペリジン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド塩酸塩(0.38g、1.3mmol)をクロロホルム(70ml)に懸濁し、トリエチルアミン(2ml)を添加した。クロロホルム(10ml)中の塩化メタンスルホニル(0.14g、1.26mmol)の溶液を添加し、混合物を20℃で2時間攪拌した。混合物を水(50ml)とH2SO4(→pH2)とNaHCO3溶液(50ml)とで洗浄し、水溶物をジクロロメタン(2×50ml)で再抽出した。組み合わせた有機物を乾燥し(MgSO4)、真空下で濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムによりジクロロメタン/THF(85:15)で溶出して精製し、MTBE/へキサンからの結晶化後、白色結晶性生成物を得た(204mg)。Mp=177−179℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.93(d,J=9.3Hz,1H);7.85(s,1H);7.42(d,J=9.3Hz,1H);4.75−4.46及び4.10−3.90及び3.10−2.40(m,5H);2.92(s,3H),2.83(s,3H)及び2.10−1.70ppm(m,4H)。
【0196】
実施例32
N−メチル−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾチアジアゾール−5−カルボキシアミド
【0197】
【化48】
【0198】
N−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン(0.4g、3.4mmol)、[2,1,3]−ベンゾチアジアゾール−5−カルボン酸(0.23g、1.4mmol)、DMAP(0.2g:1.6mmol)、HOBT(0.2g、1.5mmol)、トリエチルアミン(1.0ml)及びEDCI(1g、6.4mmol)をDMF(30ml)に溶解した。混合物を室温で18時間攪拌後、真空下で濃縮した。クロロホルム(100ml)を添加し、混合物を水(100ml)とH2SO4(→pH2)とNaHCO3溶液(100ml)とで洗浄した。水溶物をクロロホルム(100ml)で抽出し、組み合わせた有機物を乾燥し(MgSO4)、真空下で濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムによりクロロホルム/THF(90:10)で溶出して精製し、放置して結晶化された油として生成物を得た。Mp=106−108℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ8.06(d,J=9.0Hz,1H);8.01(s,1H);7.60(d,J=9.0Hz,1H);4.92−4.75及び4.15−3.10(m,5H);3.10−2.80(m,3H)及び2.05−1.50ppm(s,4H)。
【0199】
実施例33
N−メチル−N−(テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0200】
【化49】
【0201】
テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−オン(1.0g、8.6mmol)をメタノール(40ml)に溶解し、エタノール中のメチルアミン(3.3mlの33%溶液)を添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。混合物を−78℃に冷却し、THF(10ml)中のLiBH4(0.34g)の懸濁液を添加し、18時間攪拌し、室温まで温めた。水(1ml)を添加した後、蒸発させ、残留物をクロロホルム(20ml)に溶解した。トリエチルアミン(2ml)を添加し、混合物を0℃に冷却して、クロロホルム(15ml)中の[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−塩化カルボニル(1.28g、7mmol)の溶液をゆっくり添加した。混合物を0.5時間攪拌した後、水(100ml)とHCl(→pH2)とNaHCO3溶液(100ml)とで洗浄した。水溶物をクロロホルム(100ml)で抽出し、組み合わせた有機物を乾燥し(MgSO4)、真空下で濃縮し、ジエチルエーテルとの粉砕後、白色固体を得た(1.6g)。Mp=155−156℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.92(d,J=9.3Hz,1H);7.83(sb,1H);7.40(d,J=9.3Hz,1H);4.60−4.45及び3.50−3.30(m,1H);3.10−2.40(m,7H)及び2.20−1.85ppm(s,4H)。
【0202】
実施例34
N−メチル−N−(1−オキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0203】
【化50】
【0204】
N−メチルN−(テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.83mg、3mmol)をTHF(30ml)及びメタノール(20ml)に溶解した。水(30ml)中の過ヨウ素酸ナトリウム(0.71g)の溶液を添加し、混合物を一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによりクロロホルム/THF/メタノール(60:20:20)で溶出して精製し、2つのスルホン異性体を得た。極性の低い異性体を白色固体として分離した(0.35g)。Mp−172−173℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.94(d,J=9.3Hz,1H);7.87(sb,1H);7.43(d,J=9.3Hz,1H);4.80−4.65及び3.70−3.50(m,1H);3.0(s,3H),3.30−1.60ppm(m,8H)。極性の高い異性体を、極性の低い異性体との2:1混合物として分離した(0.45g)。Mp=145−146℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.96−7.85(m,2H);7.45−7.39(m,1H);4.80−4.65及び3.70−3.40(m,1H);3.0(s,3H),3.30−1.70ppm(m,8H)。
【0205】
実施例35
N−メチル−N−(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0206】
【化51】
【0207】
N−メチル−N−(テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.5g、1.8mmol)をクロロホルム(40ml)に溶解し、m−クロロ過安息香酸(0.93g)を添加して、1時間攪拌した。混合物をNa2CO3溶液(100ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させ、残留物をジクロロメタン/ジエチルエーテルから結晶化し、白色固体を得た(44mg)。Mp=238−239℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.95(d,J=9.0Hz,1H);7.87(sb,1H);7.41(d,J=9.0Hz,1H);4.90−4.70(m,1H);3.35−3.10(m,4H);2.97(s,3H);2.60−2.10ppm(m,4H)。
【0208】
実施例36
N−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルキノキサリン−6−カルボキシアミド
【0209】
【化52】
【0210】
DMF(6ml)及びジクロロメタン(6ml)中のキノキサリン−6−カルボン酸(0.7g、4mmol)及びN−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン(0.7g、6mmol)の懸濁液に、DMAP(0.49g、4mmol)、HOBT(0.54g、4mmol)、NEt3(1.6ml)及びEDCI(1.26g)を添加した。反応混合物を室温で4時間攪拌後、真空下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムによりクロロホルム/メタノール/トリエチルアミン(95:5:0.5)で溶出して精製し、油を得て(1.5g)、ジクロロメタン/ジエチルエーテルとの粉砕により、ベージュ色の固体を形成した。Mp=130−131℃,LC−MS,MH+=272;1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.91(s,2H);8.18(d,J=8.4Hz,1H);8.11(s,1H);7.79(d,J=8.4Hz,1H);4.95−3.50(m,5H);3.07及び2.91(s+s,3H);2.02−1.65ppm(m,4H)。
【0211】
実施例37
N−メチル−N−(4−オキソシクロヘキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0212】
【化53】
【0213】
1−4−シクロへキサンジオンモノ−エチレンケタール(3.12g、20mmol)、メチルアミン塩酸塩(1.35g、20mmol)及びトリエチルアミン(2.42g)をメタノール(80ml)に溶解し、10%Pd/C(1g)を添加し、混合物を室温にて50psiで2時間水素化した。固体を濾過して取り除き、メタノール(40ml)で洗浄し、混合物を真空下で濃縮した。生成物をクロロホルム(75ml)に溶解し、トリエチルアミン(4ml)を添加し、続いて、クロロホルム(15ml)中の[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−塩化カルボニル(2.74g、15mmol)の溶液をゆっくり添加した。混合物を1時間攪拌後、水(100ml)とHCl(→pH2)とNaHCO3溶液(100ml)とで洗浄した。水溶物をクロロホルム(100ml)で抽出し、組み合わせた有機物を乾燥し(MgSO4)、真空下で濃縮し、黄色固体として生成物を得た(4.2g)。この物質をTHF(30ml)に溶解し、2N HCl(40ml)を添加し、混合物を一晩攪拌した。THFを蒸発させ、残りの水溶物をジクロロメタン(100ml)で抽出し、水(100ml)及び飽和NaHCO3溶液(100ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を真空下で蒸発させ、ベージュ色の固体(3.5g)を得て、これをジクロロメタン/ジエチルエーテルから結晶化させ、白色固体を得た。Mp=183−184℃,LC−MS,MH+=274;1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.95(d,J=9.0Hz,1H);7.87(m,1H);7.40(“d”,J=9.0Hz,1H);5.10−4.95及び4.10−3.90(m,1H);2.93(“s”,3H);2.70−1.95ppm(s,8H)。
【0214】
実施例38
N−[4−(ヒドロキシイミノ)シクロへキシル]−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0215】
【化54】
【0216】
N−メチル−N−(4−オキソシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.41g、1.5mmol)をクロロホルム(10ml)に溶解し、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.63g)及びトリエチルアミン(1.6ml)を添加し、混合物を一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、シリカゲル上の残留物をクロマトグラフィーによりクロロホルム/酢酸エチル(3:2)で溶出し、白色固体を得た(0.37g)。Mp=197−198℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.49(s,1H);7.93(d,J=9.0Hz,1H);7.86(m,1H);7.43(d,J=9.0Hz,1H);4.90−4.70及び3.80−3.35(m,1H);2.99及び2.88(s+s,3H);2.80−1.50ppm(s,8H)。
【0217】
実施例39
N−[4−(メトキシイミノ)シクロへキシル]−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0218】
【化55】
【0219】
N−メチル−N−(4−オキソシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.41g、1.5mmol)をクロロホルム(10ml)に溶解し、メトキシルアミン塩酸塩(0.75g)及びトリエチルアミン(1.6ml)を添加し、混合物を一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによりクロロホルム/酢酸エチル(3:2)で溶出し、白色固体を得た(0.32g)。Mp=167−168℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.93(d,J=9.3Hz,1H);7.84(m,1H);7.42(d,J=9.3Hz,1H);4.85−4.70及び3.80−3.30(m,1H);3.83(s,3H);2.99及び2.88(s+s,3H);2.60−1.60ppm(s,8H)。
【0220】
実施例40及び実施例41
N−(4−4−ジフルオロシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド及びN−(4−フルオロシクロへキシル−3−エン−1−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0221】
【化56】
【0222】
N−メチル−N−(4−オキソシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(1.5g、5.5mmol)をジクロロメタン(50ml)に溶解し、0℃に冷却した。ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド、「DAST」(1.8ml、2.4当量)をゆっくり添加し、混合物を室温で3時間攪拌した。溶液をジクロロメタン(100ml)で希釈し、pH9に達するまでNaHCO3溶液をゆっくり添加した。有機相をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによりへキサン/酢酸エチル(65:35)で溶出し、エーテルとの粉砕後、白色固体としてN−(4−4−ジフルオロシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.32g)を得た。Mp=137−138℃,LC−MS,MH+=296;1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.93(d,J=9.0Hz,1H);7.84(s,1H);7.41(d,J−9.0Hz,1H);4.75−4.60及び3.65−3.55(m,1H);3.01及び2.91(s+s,3H);2.30−1.60ppm(s,8H)。
【0223】
ジエチルエーテルとの粉砕後、第二生成物を、白色固体のN−(4−フルオロシクロへキサ−3−エン−1−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.1g)として分離した。Mp=117−118℃,LC−MS,MH+=276;1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.93(d,J=9.0Hz,1H);7.84(s,1H);7.41(d,J=9.0Hz,1H);5.30−5.00(m,1H);4.90−4.70及び3.80−3.65(m,1H);3.02及び2.92(s+s,3H);2.60−1.80ppm(s,6H)。
【0224】
実施例42
N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0225】
【化57】
【0226】
クロロホルム(10ml)中のtrans−4−アミノシクロへキサノール塩酸塩(0.46g、3.0mmol)及び[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボン酸(0.33g、2.0mmol)の混合物に、DMAP(0.24g、2.0mmol)、HOBT(0.27g、2.0mmol)及びトリエチルアミン(1.6ml)を添加した。10分間攪拌後、DMF(3ml)中のEDCI(1.26g、6.6mmol)を添加し、混合物を45℃で2時間加熱した。溶媒を真空下で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム(3:1)で溶出して精製し、酢酸エチルとの粉砕後、白色固体を得た(0.4g)。Mp=242−243℃,1H NMR(300MHz,DMSO+CDCl3)δ8.41−8.39(m,1H),7.95(dd,J−9.3及び1.2Hz,1H);7.85(d,J=9.3Hz,1H);7.82(“s”,NH,1H),4.00−3.88(m,1H),3.70−3.50(m,2H);2.15−1.95(m,4H);1.55−1.35ppm(m,4H)。
【0227】
実施例43
N−(trans−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0228】
【化58】
【0229】
実施例42に記載された方法を使用して、trans−4−アミノ−1−メチルシクロへキサノールから調製した。生成物を白色固体として分離した。Mp=208−209℃,1H NMR(300MHz,DMSO+CDCl3)δ8.18−8.16(m,1H),7.91(d,J=9.6Hz,1H);7.82(dd,J=9.6及び0.9Hz,1H);6.10(“s”,NH,1H),4.05−3.90(m,1H),2.00−1.50(m,8H);1.29ppm(s,3H)。
【0230】
実施例44及び実施例45
N−(4−cis−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド及びN−(4−trans−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0231】
【化59】
【0232】
メタノール(100ml)中の1,4−シクロへキサンジオンモノ−エチレンケタール(5.0g、32mmol)、メチルアミン塩酸塩(2.16g、32mmol)及びトリエチルアミン(6.7ml)の混合物に、10%Pd/C(1g)を添加し、混合物を室温で(50psi)2時間水素化した。固体を濾過して取り除き、メタノール(40ml)で洗浄し、真空下で濃縮した。残留物をメタノール(10ml)、THF(50ml)及び2N HCl(65ml)に溶解し、18時間攪拌した。水酸化ナトリウム溶液(濃(concn))をpH10まで添加し、水溶物をジクロロメタン(5×100ml)で抽出し、組み合わせた有機物を乾燥し(MgSO4)、真空下で濃縮し、4−N−メチルアミノシクロヘキサノン(4.97g)を得た。この物質をジクロロメタン(80ml)中のジ−tert−ブチルジカルボネート(8.38g)の溶液にゆっくり添加し、混合物を2時間攪拌した。混合物を水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、真空下で蒸発させ、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/へキサン(30:70)で溶出し、白色固体としてtert−ブチル−(4−シクロヘキサノン)カルバミン酸メチルを得た(6.14g)。−70℃の無水THF(100ml)中の先行のケトン(0.91g、4.0mmol)の溶液に、臭化メチルマグネシウム(6mmol)を添加し、混合物を1時間攪拌した。混合物を2N NH4Cl溶液に注ぎ入れ、クエン酸を使用してpHを7に調整した。水溶物をジクロロメタン(5×100ml)で抽出し、組み合わせた有機物を乾燥し(MgSO4)、蒸発して油(1g)を得て、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/へキサン(1:1)で溶出し、無色油及び極性のより低い異性体としてtert−ブチル(cis−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)カルバミン酸メチル(0.42g)を、白色固体としてtert−ブチル(trans−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)カルバミン酸メチル(0.4g)を得た。tert−ブチル(cis−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)カルバミン酸メチル(0.42g)をジクロロメタン(10ml)に溶解し、TFA(2ml)を添加し、3時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、残留物をジクロロメタン(10ml)及び濃HCl(1ml)に溶解した。溶媒を蒸発させ、物質を高真空下で一晩乾燥させた。残留物をDMF(5ml)及びクロロホルム(3ml)に溶解し、[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボン酸(0.28g、1.7mmol)、DMAP(0.21g、1.7mmol)、HOBT(0.23g、1.7mmol)及びトリエチルアミン(1.4ml)を添加した。0.1時間後、EDCI(1.07g、5.6mmol)を添加し、45℃で2時間攪拌後、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム(3:1)で溶出し、ジエチルエーテルとの粉砕後、白色固体としてN−(cis−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを得た(0.34g)。Mp=154−155℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.91(d,J=9.3Hz,1H),7.82(sb,1H);7.46−7.37(m,1H);4.60−4.45及び3.50−3.30(m,1H),3.05及び2.91(s+s,3H);2.10−1.00(m,8H)及び1.29及び1.16ppm(s+s,3H)。
【0233】
上記手順を使用して、tert−ブチル(trans−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)カルバミン酸メチルからN−(trans−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを調製し、白色固体として分離した。Mp=175−176℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.92(d,J=9.0Hz,1H),7.82(s,1H);7.40(d,J=9.0Hz,1H);4.60−4.45及び3.60−3.40(m,1H),3.02及び2.90(s+s,3H);1.90−1.20(m,8H)及び1.31ppm(s,3H)。
【0234】
実施例46及び実施例47
N−(cis−4−ヒドロキシ−4−エチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド及びN−(4−trans−4−ヒドロキシ−4−エチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0235】
【化60】
【0236】
実施例44及び45に記載された方法を用い、臭化エチルマグネシウムを使用してこれらの化合物を調製した。N−(cis−4−ヒドロキシ−4−エチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを白色固体として分離した。Mp=145−146℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.91(d,J=9.0Hz,1H),7.82(sb,1H);7.46−7.37(m,1H);4.60−4.45及び3.50−3.30(m,1H),3.05及び2.91(s+s,3H)及び2.10−0.80ppm(m,13H)。
【0237】
N−(trans−4−ヒドロキシ−4−エチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを白色固体として分離した。Mp=110−111℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.92(d,J=9.0Hz,1H),7.82(s,1H);7.40(d,J=9.0Hz,1H);4.60−4.45及び3.60−3.40(m,1H),3.00及び2.89(s+s,3H)及び1.95−0.90ppm(m,13H)。
【0238】
実施例48
N−(cis−4−エチニル−4−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0239】
【化61】
【0240】
実施例44及び45に記載の方法をを用い、臭化エチニルマグネシウムを使用して調製し、白色固体として分離した。Mp=160−161℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.92(d,J=9.0Hz,1H),7.83(sb,1H);7.46−7.36(m,1H);4.65−4.50及び3.60−3.40(m,1H),3.03及び2.90(s+s,3H);2.60(s,1H)及び2.30−1.35ppm(m,8H)。
【0241】
実施例49及び実施例50
N−(cis−4−ブタ−3−エン−1−イル−4−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド及びN−(trans−4−ブタ−3−エン−1−イル−4−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0242】
【化62】
【0243】
実施例44及び45に記載の方法をを用い、ブタ−3−エン−1−イル臭化マグネシウムを使用して、表題の化合物を調製した。
N−(cis−4−ブタ−3−エン−1−イル−4−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを白色固体として分離した。Mp=143−144℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.91(d,J=9.3Hz,1H),7.82−7.79(m,1H);7.46−7.37(m,1H);5.95−5.70(m,1H);5.15−4.90(m,2H);4.60−4.45及び3.50−3.30(m,1H),3.05及び2.91(s+s,3H)及び2.60−1.10ppm(m,12H)。
【0244】
N−(trans−4−ブタ−3−エン−1−イル−4−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを白色固体として分離した。Mp=145−146℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.92(d,J=9.0Hz,1H),7.82(s,1H);7.40(d,J=9.0Hz,1H);5.95−5.80(m,1H);5.12−4.98(m,2H);4.60−4.45及び3.60−3.40(m,1H),3.01及び2.90(s+s,3H)及び2.25−1.20ppm(m,12H)。
【0245】
実施例51
N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0246】
【化63】
【0247】
trans−4−アミノシクロへキサノール塩酸塩(60.6g、0.40mol)及びNaHCO3(140g)を水(700ml)に溶解した。酢酸エチル(500ml)を添加し、機械的攪拌機を使用して混合物を急速に攪拌し、酢酸エチル(200ml)中のクロロギ酸エチル(48ml)の溶液をゆっくり添加した。混合物を一晩攪拌し、その後、酢酸エチル(1l)及び水(500ml)を添加し、沈殿物を溶解した。水溶物を酢酸エチル(2×500ml)で抽出し、組み合わせた有機相を2N HClで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、溶媒を蒸発させ、白色固体(73.7g)を得た。この物質を乾燥THF(600ml)に溶解し、THF(600ml)中のLiAlH4(29.6g)の懸濁液に溶液をゆっくり(〜1時間)添加した。20℃で一晩攪拌後、混合物を氷浴で冷却し、水(50ml)中の水酸化ナトリウム(77g)の溶液をゆっくり添加した。1時間後、いくらかのセリットを添加し、混合物を濾過して、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を乾燥し(MgSO4)、真空下で蒸発させ、白色固体としてtrans−4−メチルアミノシクロへキサノールを得た(45.9g)。
【0248】
trans−4−メチルアミノシクロへキサノール(37.1g、0.28mol)、[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボン酸(42.7g、0.26mol)、DMAP(32g、0.26mol)、HOBT(11g、0.08mol)及びトリエチルアミン(54ml)をジクロロメタン(750ml)に溶解し、15分後、EDCI(10Og、0.52mol)を添加し、混合物を2時間還流した。混合物を2N HCl(500ml)及びNaHCO3溶液(500ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、その後、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/クロロホルム(3:1)を溶出液として使用してシリカゲルでクロマトグラフィーにかけ、酢酸エチルとの粉砕後、白色固体(37g)として表題の生成物を得た。Mp=170−171℃,LC−MS,MH+=276;1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.92(d,J=9.0Hz,1H);7.82(s,1H);7.40(d,J=9.0Hz,1H);4.60−4.40及び3.70−3.40(m,2H);2.99及び2.87(s+s,3H);2.20−1.05ppm(s,8H)。
【0249】
実施例52
N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−N−D3−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0250】
【化64】
【0251】
LiAlH4をLiAlD4に代えて、実施例51に記載の手順を使用して、表題の化合物を調製した。Mp=170−171℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.92(d,J=9.0Hz,1H);7.82(s,1H);7.40(d,J=9.0Hz,1H);4.60−4.40及び3.70−3.40(m,2H)及び2.20−1.05ppm(s,8H)。
【0252】
実施例53
N−(trans−4−メトキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0253】
【化65】
【0254】
DMF(5ml)中のN−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.55g、2.0mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(0.12g、4.8mmol)、続いてヨウ化メチル(1.1ml)を添加し、混合物を40℃で2時間攪拌した。DMFを蒸発させ、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム(3:1)で溶出し、白色固体を得た(0.42g)。Mp=143−144℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.92(d,J=9.0Hz,1H);7.82(s,1H);7.40(d,J=9.0Hz,1H);4.60−4.40及び3.60−3.00(m,2H);3.37及び3.29(s+s,3H);2.99及び2.88(s+s,3H);2.30−0.95ppm(s,8H)。
【0255】
実施例54
N−(trans−4−メトキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0256】
【化66】
【0257】
トルエン(40ml)中でN−(trans−4−メトキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.91g、3.2mmol)及び五硫化リン(1.42g)を3時間還流した。混合物を冷却し、シリカゲルの2cm層を通して濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。溶媒を蒸発させ、ジエチルエーテルと共に粉砕し、黄色固体を得た(0.11g)。Mp=137−138℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.89−7.83(m,1H);7.58−7.55(m,1H);7.36−7.30(m,1H);5.50−5.40及び3.90−3.75及び3.50−3.00(m,2H);3.44及び3.38(s+s,3H);3.27及び3.04(s+s,3H);2.30−0.95ppm(s,8H)。
【0258】
実施例55
N−(4−cis−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0259】
【化67】
【0260】
N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(1.26g、4.57mmol)、4−ニトロ安息香酸(1.50g、9mmol)及びトリフェニルホスフィン(2.36g、9mmol)をTHF(60ml)に溶解した。THF(3ml)中のジエチルアゾジカルボキシレート(DIAD、1.82g、9mmol)の溶液をゆっくり添加し、混合物を一晩攪拌した。混合物をNaHCO3溶液(100ml)で洗浄し、水溶物を酢酸エチル(2×100ml)で抽出し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物を、酢酸エチル/へキサン(3:1→1:1)を溶出液として使用してシリカゲルカラムで精製し、白色固体として4−ニトロ安息香酸エステルを得た(1.4g)。この物質を無水メタノール(150ml)に懸濁し、無水メタノール(50ml)中のナトリウム(0.4g)の溶液を添加した。20℃で1時間攪拌後、混合物を濃HClで酸性化し、シリカゲル(10g)上で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによりクロロホルム/THF/メタノール(80:17:3)で溶出し、ジクロロメタン/MTBEからの結晶化後、白色固体を得た(0.67g)。Mp=177−179℃,LC−MS,MH+=276;1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.91(d,J=9.6Hz,1H);7.82(s,1H);7.40(d,J=9.6Hz,1H);4.65−4.48及び4.17−3.92及び3.55−3.37(m,2H);3.05及び2.91(s+s,3H);2.22−1.25ppm(s,8H)。
【0261】
実施例56
N−メチル−N−[trans−4−(2H−テトラゾール−2−イル)シクロへキシル]−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0262】
【化68】
【0263】
N−(4−cis−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.28g、1.0mmol)、1H−テトラゾール(0.14g、2mmol)及びトリフェニルホスフィン(0.52g、2mmol)をTHF(25ml)に溶解し、THF(5ml)中のDIAD(0.40g、2mmol)の溶液をゆっくり添加し、混合物を3時間攪拌した。混合物を真空下で蒸発させ、残留物を、酢酸エチル/へキサン/クロロホルム(35:50:15)を溶出液として使用してシリカゲルカラム上で精製し、続いてクロマトグラフィーによりトルエン/アセトン(80:20)で溶出し、ジクロロメタン/MTBE/へキサンからの結晶化後、白色結晶性生成物を得た(0.06g)。Mp=172−175℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ8.49(sb,1H),7.94(d,J=9.3Hz,1H);7.86(s,1H);7.43(d,J=9.3Hz,1H);4.85−4.60及び3.75−3.60(m,2H);3.10−2.90(m,3H);2.50−1.80ppm(s,8H)。
【0264】
実施例57
N−(trans−4−アジドシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0265】
【化69】
【0266】
THF(50ml)中のN−(4−cis−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.55g、2.0mmol)、ジフェニルホスホリルアジド(2.2ml、10mmol)及びトリフェニルホスフィン(2.62g、10mmol)の冷却した溶液(−25℃)に、THF(5ml)中のDIAD(2.0ml、10mmol)の溶液をゆっくり添加し、混合物を−25℃で2時間、及び20℃で3時間攪拌した。水(40ml)を添加し、酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。組み合わせた有機物をMgSO4で乾燥し、真空下で濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/へキサン/クロロホルム(2:1:1)で溶出し、ジエチルエーテルとの粉砕後、白色固体として生成物を得た(0.29g)。Mp=149−150℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.92(d,J=9.3Hz,1H);7.82(s,1H);7.40(d,J=9.3Hz,1H);4.60−4.40及び3.60−3.10(m,2H);2.99及び2.88(s+s,3H);2.20−1.10ppm(s,8H)。
【0267】
実施例58
N−(trans−4−アミノシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0268】
【化70】
【0269】
N−(trans−4−アジドシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.18g、0.6mmol)をピリジン(4ml)に溶解し、Ph3P(0.26g、1.0mmol)を添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。濃アンモニア溶液(6ml)をゆっくり添加し、20℃で2時間攪拌した。混合物を真空下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲル上でクロロホルム/メタノール/トリエチルアミン(90:10:1)で溶出して精製し、ジエチルエーテルとの粉砕後、白色固体を得た(0.067g)。Mp=145−146℃,1H NMR(300MHz,DMSO+CDCl3,rotamers)δ7.93(d,J=8.7Hz,1H);7.82(s,1H);7.41(d,J=8.7Hz,1H);4.60−4.50及び3.55−3.35及び2.80−2.55(m,2H);3.00及び2.88(s+s,3H);2.10−0.90ppm(s,8H)。
【0270】
実施例59及び実施例60
N−(cis−3−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド及びN−(trans−3−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0271】
【化71】
【0272】
実施例51に記載された手順を使用して、ベンジル(3−オキソシクロへキシル)カルバメートから表題の化合物を調製した。cis−及びtrans−異性体を、シリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム(3:1)で溶出して分離した。
Less polar isomer,mp=159−16O℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.90(d,J=9.3Hz,1H);7.83(s,1H);7.41(d,J=9.3Hz,1H);4.95−4.80及び4.37−3.95(m,2H);2.99及び2.87(s+s,3H);2.20−1.25ppm(s,8H)。More polar isomer,mp=131−132℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.92(d,J=9.0Hz,1H);7.83(s,1H);7.41(d,J=9.0Hz,1H);4.65−4.50及び3.90−3.37(m,2H);3.02及び2.89(s+s,3H);2.20−1.00ppm(s,8H)。
【0273】
実施例61
N−メチル−N−[3−オキソシクロへキシル]−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0274】
【化72】
【0275】
N−(3−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.38g、1.38mmol)をジクロロメタン(10ml)に溶解し、PCC(3g)を添加し、混合物を20℃で3時間攪拌した。溶媒をシリカゲル上で蒸発させ、生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム(3:1)で溶出し、ジエチルエーテルとの粉砕後、白色固体として生成物を得た(0.19g)。Mp=164−165℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.93(d,J=9.3Hz,1H);7.84(s,1H);7.40(d,J=9.3Hz,1H);4.90−4.67及び4.00−3.75(m,1H);3.00(sb,3H);2.71−1.30ppm(s,8H)。
【0276】
実施例62
N−メチル−N−[3,3−ジフルオロシクロへキシル]−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0277】
【化73】
【0278】
実施例40の調製で記載された方法を使用して調製した。Mp=119−120℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.93(d,J=9.0Hz,1H);7.84(s,1H);7.41(d,J=9.0Hz,1H);4.80−4.60及び3.85−3.70(m,1H);2.94(sb,3H);2.40−1.25ppm(s,8H)。
【0279】
実施例63
N−(2−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0280】
【化74】
【0281】
実施例51に記載された手順を使用して、ベンジル(2−オキソシクロへキシル)カルバメートから調製した。1つの異性体のみが観察された。Mp=148−149℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.92−7.86(m,2H);7.51−7.46(m,1H);4.50−4.38及び3.75−3.35(m,2H);3.05及び2.94(s+s,3H);2.42−1.00ppm(s,8H)。
【0282】
実施例64
N−メチル−N−(2−オキソシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0283】
【化75】
【0284】
実施例61に記載の方法を使用して、N−(2−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドから調製した。Mp=144−145℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.94−7.74(m,2H);7.53−7.30(m,1H);5.30−5.20及び4.20−4.10(m,1H);3.04及び2.94(s+s,3H);2.62−1.50ppm(s,8H)。
【0285】
実施例65
N−メチル−N−(2,2−ジフルオロシクロへキシル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0286】
【化76】
【0287】
実施例40の調製に記載された方法を使用して調製した。Mp=101−102℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.95−7.77(m,2H);7.48(m 1H);5.10−4.90及び3.80−3.60(m,1H);3.17及び3.03(s+s,3H);2.30−1.10ppm(s,8H)。
【0288】
実施例66及び実施例67
N−(2−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド及びN−(2−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0289】
【化77】
【0290】
ジクロロメタン(30ml)中の3−アミノペンタン−1−5−ジオール(2.38g、20mmol)(HeIv. Chim. Acta 1964年、47(5)、2145−2153頁)及びトリエチルアミン(4ml)の溶液に、ジクロロメタン(20ml)中の[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボン酸クロライド(1.82g、10mmol)の溶液を0℃でゆっくり添加し、混合物を1時間攪拌した。メタノール(30ml)及び4N 炭酸カリウム溶液(20ml)の混合物を添加し、3時間攪拌した。混合物をシリカゲル上で蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム/メタノール(60:30:10)で溶出して精製した。ジクロロメタン/酢酸エチル/ジエチルエーテルからの結晶化後、白色固体としてN−(1,5−ジヒドロキシペンタン−3−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを得た(Mp:87−88℃)。N−(1,5−ジヒドロキシペンタン−3−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.5g、1.9mmol)をクロロホルム(20ml)に懸濁し、45℃に温め、ペルヨージナン(periodinane)(デス・マーチン試薬(Dess Martin reagent);1.6g)を添加し、1時間攪拌した。反応混合物をシリカゲル上で蒸発させ、クロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム(60:40)で溶出して精製し、ジエチルエーテルとの粉砕後、白色固体及び2つの成分の中の極性の小さい方としてN−(2−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.12g)を得た(Rf:0.55)。Mp=91−92℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.22(s,1H);7.96−7.81(m,2H);7.10−7.00及び6.40−6.05(m,2H);4.65−4.40(m,1H);4.15−3.70(m,2H)及び2.15−0.60ppm(m,4H)。
【0291】
極性が大きい成分(Rf:0.45;0.035g)を、N−(2−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドとして特定した。Mp=157−158℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.42−8.36(m,1H);7.95−7.86(m,2H);7.74−7.66(m,1H);4.77−4.36(m,3H);3.02(dd,J=7.2及び17.7Hz,1H);2.72(dd,J=4.5及び17.7Hz,1H)及び2.38−2.07ppm(m,2H)。
【0292】
実施例68
N−メチル−N−(2−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0293】
【化78】
【0294】
5−6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−オン(1.0g、10.2mmol)をエタノール中のメチルアミンの33%溶液3mlに溶解し、55℃で一晩加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物をメタノール(20ml)及び濃HCl(20ml)に溶解し、混合物を95℃で2.5時間加熱した。混合物を蒸発させて乾燥し、残留物をTHF(20ml)、ジクロロメタン(20ml)及びトリエチルアミン(3ml)に溶解し、ジクロロメタン(5ml)中の[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボン酸塩化物(2.0g、11mmol)の溶液を添加した。混合物を0.75時間攪拌後、混合物を1N HCl及び濃NaHCO3溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/へキサン/ジクロロメタン(70:20:10)を使用してシリカゲルカラムで精製し、ジクロロメタン/メタノールからの結晶化後、白色固体としてN−メチル−N−(2−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを得た(0.21g)。Mp=169−171℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.97(d,J=9.0Hz,1H);7.90(s,1H);7.40(d,J=9.0Hz,1H);5.10−4.40(m,3H);3.01(s,3H);3.00−2.74(m,2H)及び2.60−2.10ppm(s,2H)。
【0295】
実施例69
N−(2−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0296】
【化79】
【0297】
クロロホルム(20ml)中のN−(1,5−ジヒドロキシペンタン−3−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(実施例66参照;0.9g、3.4mmol)の懸濁液に、無水酢酸の溶液(3ml)及びピリジン(3ml)を室温にて滴下して、混合物を2時間攪拌した。クロロホルム(50ml)を添加し、混合物を1N HCl、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム(3:2)で溶出し、淡黄色固体としてN−(1,5−ジアセトキシペンタン−3−イル)−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを得た。
【0298】
DMF(40ml)中の先行のジアセテート(2.4g、6.8mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(0.49g、20mmol)を添加し、混合物を室温で0.25時間攪拌した。ヨウ化メチル(1.0ml)を添加し、混合物を60℃で0.5時間加熱し、溶媒を蒸発させた。残留物をクロロホルム(100ml)に溶解し、1N HCl及び飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、淡茶色油としてN−(1,5−ジアセトキシペンタン−3−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを得た。
【0299】
メタノール(10ml)中のN−(1,5−ジアセトキシペンタン−3−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(1.37g、3.8mmol)の溶液に、10mlの3N 炭酸カリウム溶液を添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。メタノールを真空下で蒸発させ、残留物をクロロホルム(100ml)に溶解し、1N HCl及び飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム/メタノール(1:1:8%)で溶出し、ジエチルエーテルとの粉砕後、淡黄色固体としてジオールを得た(0.42g)。Mp=90−91℃。
【0300】
実施例66及び67に記載されるように、N−(1,5−ジヒドロキシペンタン−3−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドをペルヨージナン(periodinane)と反応させて、淡黄色固体としてN−(2−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドを得た。Mp=<90℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.92(d,J=9Hz,1H);7.85(s,1H),7.41(d,J=9Hz,1H);6.40−6.05(m,1H);5.20−4.75(m,1H);4.20−3.60(m,3H),3.10−2.80(m,3H),及び2.25−1.50ppm(m,4H)。
【0301】
実施例70
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]シクロへキシルN,N−ジメチルグリシン酸塩酸塩
【0302】
【化80】
【0303】
DMF(10ml)中のN−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.55g、2.0mmol)の溶液に、N,N−ジメチルグリシン(0.52g、5.0mmol)、DMAP(0.244g、2.0mmol)、HOBT(0.27g、2.0mmol)及びEDCI(1.15g、6.1mmol)を添加し、混合物を45℃で一晩加熱した。溶媒を真空下で蒸発させ、クロロホルム(100ml)を溶解した残留物を水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム/メタノール(1:1:10%)で溶出し、白色固体として得た。mp=174−175℃。生成物をジオキサン中の4N HClに溶解し、その後、蒸発させて乾燥し、塩酸塩を得た。Mp=252−253℃,1H NMR(300MHz,D2O,2−rotamers)δ8.03−7.99(m,2H),7.52−7.49(m,1H),4.43−4.34(m,0.5H),4.10及び4.03(s,3H),3.60−3.40(m,0.5H),3.02−2.91(m,9H),及び2.22−1.20ppm(m,8H)。
【0304】
実施例71
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]シクロへキシルL−アラニン酸塩酸塩
【0305】
【化81】
【0306】
クロロホルム(20ml)中のN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニン(0.38g、2.0mmol)の溶液に、CDI(0.32g、2mmol)を添加し、混合物を室温で1.5時間攪拌した。N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.55g、2.0mmol)を添加し、混合物を一晩攪拌した。水(50ml)及び硫酸(→pH2)を添加し、ジクロロメタン(2×70ml)で抽出した。組み合わせた有機物を重炭酸ナトリウム溶液(50ml)で洗浄し、乾燥し(NaSO4)、蒸発させた。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/へキサン(70:30)で溶出し、発泡体として生成物を得た(0.55g)。この物質をクロロホルム(20ml)に溶解し、TFA(3ml)を添加し、混合物を1時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、クロロホルム(30ml)及びジオキサン(3ml)中の4N HClを添加した。溶媒を蒸発させ、無色油として表題の化合物を得て、これを放置して凝固させ、低融点固体を得た(0.59g)。1H NMR(300MHz,D2O,2−rotamers)δ8.03−7.98(m,2H),7.52−7.49(m,1H),4.94−4.64(m,1H),4.43−4.34(m,0.5H),4.20−4.10及び4.10−4.00(q,J=7.2Hz,1H),3.60−3.44(m,0.5H),3.01及び2.90(s,3H),及び2.20−1.20(m,8H),1.55及び1.45ppm(d,J=7.2Hz,3H)。
【0307】
実施例72
N−(R)−テトラヒドロフラン−3−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0308】
【化82】
【0309】
中間体2及び(R)−(+)−テトラヒドロ−3−フリルアミンp−トルエンスルホン酸から、実施例1の調製に記載されたのと同様の手法で調製した。表題の化合物を白色固体として分離し、続いて、ジエチルエーテル/酢酸エチルから再結晶化した。Mp=157−158℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.20(s,1H),7.92(dd,J=1.2及び9.3Hz,1H),7.82(dd,J=1.2及び9.3Hz,1H),6.48(br s,1H),4.60−4.64(m,1H),4.10−3.80(m,4H),2.50−2.38(m,1H),2.03−1.94ppm(m,1H)。
【0310】
実施例73
N−メチル−N−(R)−テトラヒドロフラン−3−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0311】
【化83】
【0312】
実施例16に記載された方法を使用して、N−(R)−テトラヒドロフラン−3−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドから調製した。表題の化合物を淡黄色油として分離した。1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.93(d,J=9.3Hz,1H),7.84(s,1H),7.42(d,J=9.3Hz,1H),5.5−5.25(m,0.5H),4.56−4.30(m,0.5H),4.18−3.5(m,4H),3.16−2.90(br s,3H),2.52−1.90ppm(m,2H)。
【0313】
実施例74
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]シクロへキシルグリシン酸塩酸塩
【0314】
【化84】
【0315】
実施例71に記載のように、N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドから表題の化合物を調製し、オフホワイトの固体として分離した。Mp=245−246℃(dec),1H NMR(300MHz,D2O,rotamers)δ8.05(d,J=9.3Hz,1H),8.00(s,1H),7.51(dd,J=2.5及び9.3Hz,1H),4.98−4.64(m,1H),4.48−4.37及び3.60−3.44(m,total 1H),3.92及び3.82(s,total 2H),3.02及び2.92(s,total 3H),2.03−1.20ppm(m,8H)。
【0316】
実施例75
N−2−(4−モルフォリニル)エチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0317】
【化85】
【0318】
実施例1に記載された方法を使用して、中間体1及び4−(2−アミノエチル)モルフォリンから調製し、白色結晶性固体として分離した。Mp=145−148℃,1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.19(br s,1H),7.93(dd,J−=1.2及び9.3Hz,1H),7.85(dd,J=1.5及び9.3Hz,1H),6.92(br s,1H),3.77−3.73(m,4H),3.62−3.56(m,2H),2.64(t,J=5.8Hz,2H),2.55−2.51ppm(m,4H)。
【0319】
実施例76
N−メチル−N−2−(4−モルフォリニル)エチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド塩酸塩
【0320】
【化86】
【0321】
実施例16に記載の方法を使用して、N−2−(4−モルフォリニル)エチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドから調製した。塩酸塩をオフホワイトの固体として分離した。Mp=210−212℃,1H NMR(300MHz,D2O)δ8.12(s,1H),8.05(d,J=9.4Hz,1H),7.59(d,J=7.4Hz,1H),4.57−4.18(m,2H),4.03(t,J=6.3Hz,2H),4.00−3.40(m,6H),3.59(t,J=6.3Hz,2H),3.13ppm(s,3H)。
【0322】
実施例77
N−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0323】
【化87】
【0324】
実施例54に記載の手順を使用して、N−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドから表題の化合物を調製し、黄色固体として分離した。Mp=174−175℃,1H NMR(300MHz,CDCl3,rotamers)δ7.89及び7.86(dd,J=1.2及び9.3Hz,total 1H),7.58(d,J=1.2Hz,1H),7.36及び7.33(dd,J=1.5及び9.3Hz,total 1H),5.78−5.64(m,0.5H),4.20−3.04(m,2.5H),3.63−3.55(m,1H),3.48及び3.08(s,total 3H),3.20−3.14(m,1H),2.17−1.54ppm(m,4H)。
【0325】
実施例78
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]シクロへキシルL−バリン酸塩酸塩
【0326】
【化88】
【0327】
実施例71に記載されたように、N−(4−trans−ヒドロキシシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミドから表題の化合物を調製し、白色固体として分離した。Mp=257−258℃(dec),1H NMR(300MHz,D2O,rotamers)δ8.06−7.93(m,2H),7.53−7.47(m,1H),4.94−4.70(m,1H),4.43−4.35及び3.60−3.46(m,total 1H),4.00及び3.89(d,J=3.6Hz,total 1H),3.02及び2.91(s,total 3H),2.43−1.62(m,8H),1.40−1.20(m,1H),1.10−0.92ppm(m,6H)。
【0328】
実施例79
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]−1−メチルシクロへキシルN,N−ジメチルグリシン酸塩酸塩
【0329】
【化89】
【0330】
クロロホルム(10ml)中のN−(trans−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.7g、2.4mmol)の溶液に、0℃で、ジメチルアニリン(0.44g、3.6mmol)、次に塩化クロロアセチル(0.23ml、2.9mmol)を添加し、混合物を室温に温め、一晩攪拌した。反応混合物を1N HCl及び重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム(5:2)で溶出し、クロロアセチル付加物を得た。ジメチルアミン(3mlのメタノール中33%溶液)をクロロホルム(15ml)中の先行の生成物(0.275g、0.75mmol)の溶液に添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を蒸発させ、残留物をクロロホルムと水との間で分配し、有機層を重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム/メタノール(1:1.5:7%)で溶出して精製した。クロロホルム中の生成物の溶液にジオキサン中の4N HClの混合物を添加することにより、塩酸塩を調製した。溶媒を真空下で除去し、生成物をメタノール/ジエチルエーテルから再結晶化し、オフホワイトの固体として表題の化合物(0.13g)を得た。Mp=201−202℃,1H NMR(300MHz,D2O,2−rotamers)δ8.07(d,J=9.3Hz,1H),8.02(s,1H),7.53(d,J=9.3Hz,1H),4.45−4.37及び3.63−3.50(both m,total 1H),4.09及び4.00(both s,total 2H),3.05,3.00,2.95及び2.91(all s,total 9H),2.40−1.56(m,8H),1.69及び1.63ppm(both s,total 3H)。
【0331】
実施例80
N−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド
【0332】
【化90】
【0333】
THF(30ml)中のメチルアミン(メチルアミン塩酸塩と水酸化ナトリウムペレットの混合物を加熱することにより生成)の溶液にメチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレート(5ml、40.0mmol)を添加し、混合物をボンベ反応炉にて一晩110℃で加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物をTHF(100ml)に溶解し、LiAlH4(4.6g、121mmol)を添加し、混合物を70℃で1時間加熱した。混合物を0℃に冷却し、濃NaOH溶液を添加し、THFを蒸発させた。クロロホルム(100ml)を残留物に添加し、得られた固体を濾過して除去し、濾液を真空下で濃縮し、淡茶色油としてN−メチル−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチルアミンを得た。先行のアミン(1g、7.8mmol)をジクロロメタン(50ml)に溶解し、トリエチルアミン(4ml)及び[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−塩化カルボニル(1.7g、9.3mmol)を、ジクロロメタン(20ml)中の溶液としてゆっくり添加した。混合物を室温で1時間攪拌し、混合物を1N HCl(20ml)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(20ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム(3:1)で溶出して精製し、淡茶色油として表題の化合物を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3,2−rotamers)δ7.93(d,J=9.3Hz,1H),7.83(br s,1H),7.38−7.45(m,1H),4.10−3.90(m,2H),3.52−3.20(m,4H),3.13及び3.05(both s,total 3H),2.18−1.80(m,1H),1.73−1.40ppm(m,4H)。
【0334】
実施例81
trans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]−1−メチルシクロへキシルグリシン酸塩酸塩
【0335】
【化91】
【0336】
N−(trans−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロへキシル)−N−メチル−[2,1,3]−ベンゾキサジアゾール−5−カルボキシアミド(0.49g、2.0mmol)をTHF(40ml)に懸濁し、ジメチルアニリン(0.3ml、2.2mmol)を添加した。混合物を70℃で0.1時間加熱し、臭化ブロムアセチル(0.2ml、2.4mmol)を添加して、70℃で3時間攪拌した。混合物を室温に冷却し、クロロホルム(50ml)を添加し、水(50ml)、1N HCl(25ml)及び飽和重炭酸ナトリウム溶液(25ml)で洗浄した。有機物をMgSO4で乾燥し、蒸発させ、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより酢酸エチル/クロロホルム(1:1)で溶出して精製し、白色固体としてブロモアセチル誘導体を得た(0.63g、76%;Mp=133−134℃)。
【0337】
DMF(8ml)中の先行の臭化アセチル(0.61g、1.5mmol)の溶液に、アジ化ナトリウム(0.59g、9mmol)を添加し、混合物を50℃で3時間加熱した。DMFを真空下で除去し、残留物をクロロホルムと水との間で分配した。クロロホルム抽出物を1N HCl及び飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させ、所望のアジドを得た。この物質(0.56g、1.5mmol)に、ピリジン(5ml)及びトリフェニルホスフィン(0.63g、2.4mmol)を添加し、混合物を室温で0.5時間攪拌し、濃水酸化アンモニウム溶液(10ml)を添加して室温で2時間攪拌した。ピリジンを真空下で除去し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより、酢酸エチル/へキサン(1:1)、続いてクロロホルム/メタノール/トリエチルアミン(90:10:3)で溶出して精製し、黄色固体としてtrans−4−[(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルカルボニル)(メチル)アミノ]−1−メチルシクロへキシルグリシン酸を得た(0.42g)。前記のように塩酸塩を調製し、白色固体として分離した。Mp=188−189℃。1H NMR(300MHz,D2O,2−rotamers)δ8.05(d,J=9.3Hz,1H),7.99(s,1H),7.50(d,J=9.3Hz,1H),4.45−4.37及び3.63−3.50(both m,total 1H),3.84及び3.71(both s,total 2H),3.03及び2.93(both s,total 3H),2.40−1.56(m,8H),1.66及び1.59ppm(both s,total 3H)。
【0338】
II.生物学的方法
実施例82
生体内電気生理学
次の手順に従って、本発明の化合物の電気生理学的効果を、麻酔動物の生体内で試験した。
動物を、ハミルトン注射器ポンプを使用して投与されるフェノバルビタールにより麻酔下に維持する。刺激電極及び記録電極を海馬の有孔質路及び歯状回にそれぞれ挿入する。一旦、電極が埋め込まれたら、刺激電極に1分間当たり3回送達される一様の単相パルス(100μsパルス持続時間)を使用して、誘発反応の安定した基準値を導く。安定した基準値が得られるまで(約20−30分間)、フィールドEPSPを監視した後、試験化合物の溶液を腹膜内に注入し、誘発電場電位を記録する。薬剤投与後およそ2時間、又はフィールドEPSPの振幅が基準値に戻るまで、誘発電位を記録する。後者の例では、点滴投与もまた、その試験化合物の適切な投与と一緒に行われることが一般的である。
【0339】
実施例83
d−アンフェタミン刺激運動の抑制
体重25〜30gmの雄CD1マウスを実験室に入れ、少なくとも30分間順応させた。各マウスを、動物の活動を自動的に監視する赤外線ビーム配列付の試験筐体に入れた。マウスを20分間試験筐体で慣らした後、ホームゲージに返した。d−アンフェタミン注入の5分前に、適当な賦形剤中の試験化合物をマウスの腹膜内に投与した。d−アンフェタミン注入の10分後、マウスの自発運動を合計15分間試験した。データをコンピュータで収集し、「任意運動ユニット」として表した。全てのデータを、試験化合物で治療される群を賦形剤対照群と比較することによって分析した。統計分析をANOVAにより実行し、続いてダネットのt−検定を行った。0.05未満のPは著しく異なると考えられた。
【0340】
本発明は、特定の方法及び実施形態に関して記載されたが、本発明を逸脱せずに様々な変更がされる可能性があることは明らかであろう。