特許第5694800号(P5694800)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694800
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】異物検出装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   B60J5/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-22910(P2011-22910)
(22)【出願日】2011年2月4日
(65)【公開番号】特開2012-162137(P2012-162137A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2013年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】坂槇 良介
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−073654(JP,A)
【文献】 特開2000−171311(JP,A)
【文献】 米国特許第6339305(US,B1)
【文献】 国際公開第2006/101109(WO,A1)
【文献】 特開平11−283459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00, 5/04, 5/06
E05F 15/00−15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアの端部及び前記ドアの移動により開閉される前記車両の開口の縁部のうちの何れかの一方に沿って設けられ、端部には前記何れかの一方の側へ湾曲するセンサ湾曲部が設定されて、異物が接した際の圧力により弾性変形して前記異物を検出する長尺状の感圧センサと、
前記センサ湾曲部に対応して前記何れか一方に設けられ、前記センサ湾曲部に倣って湾曲されて前記センサ湾曲部における曲率半径方向内側が当接されると共に、前記感圧センサの外周形状の一部に倣って前記曲率半径方向外方へ向けて開口した凹形状に形成され、前記湾曲支持部の内側に前記センサ湾曲部が入り込むように設定され、前記センサ湾曲部が前記異物を検出可能な状態で前記センサ湾曲部を支持する湾曲支持部を有するセンサ支持手段と、
を備える異物検出装置。
【請求項2】
前記センサ湾曲部に連続した前記感圧センサの端末部を支持する端末支持部を含めて前記センサ支持手段を構成した請求項に記載の異物検出装置。
【請求項3】
前記端末部の少なくとも一部を被覆するカバーを含めて前記端末支持部を構成した請求項に記載の異物検出装置。
【請求項4】
前記湾曲支持部に連続して形成されて、前記感圧センサの長手方向中間部の一部を前記何れか一方に沿った状態で支持する中間支持部を含めて前記センサ支持手段を構成した請求項1から請求項の何れか1項に記載の異物検出装置。
【請求項5】
前記感圧センサが前記センサ支持手段に接着された状態で前記感圧センサが前記センサ支持手段に支持される請求項1から請求項の何れか1項に記載の異物検出装置。
【請求項6】
前記センサ支持手段の色を前記車両の内装に応じた色とした請求項1から請求項の何れか1項に記載の異物検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両の乗降口や車両後部の開口等に設定された自動ドアに適用される異物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1や特許文献2に示されるように、車両の後部座席に対応したドアをモータの駆動力で前後方向にスライドさせて乗降口を開閉する自動スライドドア装置には、ドアの閉じ移動方向側の端部に感圧センサが設けられており、ドアを閉じ移動させて乗降口を閉止する際に、ドアの閉じ移動方向側端部と乗降口の縁部との間における異物の挟み込み検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−283459号の公報
【特許文献1】特開平11−271154号の公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような自動スライドドア装置に適用される感圧センサは、ドアの上端部近傍や下端部近傍で感圧センサの本体部分から引き出された複数のリード線を互いに結線したり、また、ドアの内側へ引き込んだりしたりするため、ドアの上端部近傍や下端部近傍では感圧センサに所謂不感帯が形成される。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、ドアやドアにより開閉される開口の端部近傍における感圧センサに不感帯の発生を防止又は少なくできる異物検出装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る異物検出装置は、車両のドアの端部及び前記ドアの移動により開閉される前記車両の開口の縁部のうちの何れかの一方に沿って設けられ、端部には前記何れかの一方の側へ湾曲するセンサ湾曲部が設定されて、異物が接した際の圧力により弾性変形して前記異物を検出する長尺状の感圧センサと、前記センサ湾曲部に対応して前記何れか一方に設けられ、前記センサ湾曲部に倣って湾曲されて前記センサ湾曲部における曲率半径方向内側が当接されると共に、前記感圧センサの外周形状の一部に倣って前記曲率半径方向外方へ向けて開口した凹形状に形成され、前記湾曲支持部の内側に前記センサ湾曲部が入り込むように設定され、前記センサ湾曲部が前記異物を検出可能な状態で前記センサ湾曲部を支持する湾曲支持部を有するセンサ支持手段と、を備えている。
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る異物検出装置は、長尺状に形成されて感圧センサのセンサ中間部が車両のドアの端部及びこのドアの移動により開閉される車両の開口の縁部の何れかの一方に沿って設けられる。例えば、車両の開口の縁部とドアの端部との間に異物が存在し、ドアを閉じ移動させることで異物が感圧センサのセンサ中間部に当接すると、感圧センサが異物から受ける押圧力又は感圧センサが異物を押圧した際に感圧センサが異物から受ける押圧反力により感圧センサが弾性変形する。この感圧センサの弾性変形によって異物が検出される。
【0008】
一方、感圧センサの端部にはセンサ湾曲部が連続して設定される。車両のドアの端部に沿って感圧センサが設けられているのであれば、センサ湾曲部はドアの端部側へ向けて湾曲され、車両の開口の縁部に沿って感圧センサが設けられているのであれば、センサ湾曲部は開口の縁部側へ向けて湾曲される。
【0009】
ここで、本発明に係る異物検出装置では、車両のドアの端部及び車両の開口の縁部のうち感圧センサが設けられた方には湾曲支持部を含めて構成されたセンサ支持手段が設けられる。このセンサ支持手段の湾曲支持部は、センサ湾曲部においても異物の検出が可能な状態でセンサ湾曲部を支持している。このため、感圧センサの長手方向端部近傍であるセンサ湾曲部において感圧センサに不感帯が形成されないか、このような不感帯を小さくできる。
【0011】
また、本発明に係る異物検出装置によれば、センサ支持手段の湾曲支持部はセンサ湾曲部に倣って湾曲しており、センサ湾曲部における曲率半径方向内側からセンサ湾曲部に当接して支持している。このため、センサ湾曲部にける曲率半径方向外側からの外力がセンサ湾曲部に作用すると、センサ湾曲部において外力が付与された部分は曲率半径方向内側へ変形できる。これにより、センサ湾曲部においても異物を検出できる。
【0013】
さらに、本発明に係る異物検出装置によれば、センサ支持手段の湾曲支持部はセンサ湾曲部の外周形状に倣ってセンサ湾曲部の曲率半径方向外方へ向けて開口した凹形状に形成され、センサ湾曲部は湾曲支持部の内側に入り込んだ状態で湾曲支持部に支持される。このように、湾曲支持部の内側にセンサ湾曲部が入り込むことで、センサ湾曲部の不用意な変位が抑制され、車両のドアの端部や車両の開口の縁部に取り付けた状態での感圧センサのずれの発生を防止又は抑制できる。
【0014】
請求項に記載の本発明に係る異物検出装置は、請求項1に記載の本発明において、前記センサ湾曲部に連続した前記感圧センサの端末部を支持する端末支持部を含めて前記センサ支持手段を構成している。
【0015】
請求項に記載の本発明に係る異物検出装置は、センサ湾曲部に連続する感圧センサの端末部が湾曲支持部と共にセンサ支持手段を構成する端末支持部により支持される。感圧センサの端部及びその近傍部分が端末支持部に支持されることで、感圧センサの端部及びその近傍部分が不用意に動くことを防止又は抑制できる。これにより、感圧センサの端部及びその近傍部分が不用意に動くことに起因するセンサ湾曲部での不用意な弾性変形を防止又は抑制でき、センサ湾曲部における異物検出の信頼性を向上できる。
【0016】
請求項に記載の本発明に係る異物検出装置は、請求項に記載の本発明において、 前記端末部の少なくとも一部を被覆するカバーを含めて前記端末支持部を構成している。
【0017】
請求項に記載の本発明に係る異物検出装置は、端末支持部を構成するカバーによって感圧センサの端末部の少なくとも一部が被覆される。これにより、外部からの荷重や雨水等の水から感圧センサの端末部分を処理するためのリード線や、このようなリード線と感圧センサとの結線部分を保護できる。
【0018】
請求項に記載の本発明に係る異物検出装置は、請求項1から請求項の何れか1項に記載の本発明において、 前記湾曲支持部に連続して形成されて、前記感圧センサの長手方向中間部の一部を前記何れか一方に沿った状態で支持する中間支持部を含めて前記センサ支持手段を構成している。
【0019】
請求項に記載の本発明に係る異物検出装置は、センサ支持手段は湾曲支持部から連続した中間支持部を含めて構成される。感圧センサの長手方向中間部の一部は、この中間支持部によって車両のドアの端部及びこのドアの移動により開閉される車両の開口の縁部のうち感圧センサが設けられる方(何れかの一方)に沿った状態で支持される。
【0020】
このように、感圧センサの長手方向中間部の一部がセンサ湾曲部と共にセンサ支持手段に支持されるので、センサ支持手段を車両のドアの端部や車両の開口の縁部に取り付けることで、センサ湾曲部と共に感圧センサの長手方向中間部を車両のドアの端部や車両の開口の縁部に沿って取り付けることができる。
【0021】
請求項に記載の本発明に係る異物検出装置は、請求項1から請求項の何れか1項に記載の本発明において、前記感圧センサが前記センサ支持手段に接着された状態で前記感圧センサが前記センサ支持手段に支持されるように設定している。
【0022】
請求項に記載の本発明に係る異物検出装置では、接着剤や両面テープ等の接着手段によって感圧センサがセンサ支持手段に接着され、これにより、感圧センサがセンサ支持手段に支持される。このため、センサ支持手段への感圧センサの取り付けが容易になる。
【0023】
請求項に記載の本発明に係る異物検出装置は、請求項1から請求項の何れか1項に記載の本発明において、前記センサ支持手段の色を前記車両の内装に応じた色としている。
【0024】
請求項に記載の本発明に係る異物検出装置では、センサ支持手段の色が車両の内装、例えば、ドアの端部近傍における車両内装の色や、このドアに開閉される開口の縁部近傍における車両内装に応じた色とされている。このため、車両の乗員からセンサ支持手段が目立たず、見栄えが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施の形態に係る異物検出装置の要部を拡大した分解斜視図である。
図2】センサ支持手段の拡大斜視図である。
図3】センサ支持手段の拡大側面図である。
図4】センサ支持手段の拡大正面図である。
図5】センサ支持手段の拡大底面図である。
図6】別の部位に設けられるセンサ支持手段の拡大斜視図である。
図7】感圧センサの拡大斜視図である。
図8】本発明の一実施の形態に係る異物検出装置が適用される車両を後方からみた斜視図である。
図9】本発明の一実施の形態に係る異物検出装置の回路構成を概略的に示す図である。
図10】本発明の一実施の形態に係る異物検出装置の変形例を示す図1に対応した拡大分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<本実施の形態の構成>
図1に示されるように、異物検出装置10の感圧センサ12を備えている。図7に示されるように、感圧センサ12は外皮部14を備えている。外皮部14はゴムや軟質の合成樹脂材等、絶縁性を有する弾性材によって長尺状に形成されている。この外皮部14には断面十字形状の十字孔16が形成されている。十字孔16は外皮部14の長手方向に連続していると共に、外皮部14の方向に沿って外皮部14の中心周りに漸次変位している。
【0027】
この十字孔16の内側には4本の電極線18、20、22、24が設けられている。これらの電極線18〜24の各々は銅線等の導電性細線を縒り合わせることにより可撓性を有する長尺状に形成された芯線の外周部を、導電性ゴム等により被覆することで紐状に形成されている。これらの電極線18〜24は、十字形状の十字孔16の各端部に沿って螺旋状に十字孔16の端部に固着されており、これにより、電極線18〜24は、空隙である十字孔16の中央部を介して互いに離間している。このため、外皮部14が弾性変形することで電極線18〜24は撓み、特に、十字孔16が潰れる程度に外皮部14が弾性変形すれば、電極線18又は電極線22が電極線20又は電極線24と接触して導通する。また、外皮部14が復元すれば電極線18〜24もまた復元する。
【0028】
また、図1及び図7に示されるように、この感圧センサ12の長手方向中間部にはプロテクタ30が設けられている。図7に示されるように、プロテクタ30は筒部32を備えている。筒部32は全体的にチューブ(筒)状とされている。筒部32の内周形状は内径寸法が外皮部14(感圧センサ12)の外径寸法に略等しい断面円形若しくは最も短い部分での径方向の寸法が外皮部14の外径寸法に略等しい略楕円形状とされている(なお、本実施の形態において筒部32の内周形状は円形状である)。上記の感圧センサ12は、その長手方向中間部における外周部の少なくとも一部(本実施の形態では外周部のほぼ全部)が筒部32の内周部に接した状態で筒部32の内側に収容されている。この筒部32の側方では筒部32に連続して取付部34が形成されている。取付部34には筒部32とは反対側へ向けて開口した取付溝36が形成されている。
【0029】
一方、図1に示されるように、本異物検出装置10の感圧センサ12が取り付けられる車両40の自動スライドドア装置42を構成するドア44には支持ブラケット46が設けられる。支持ブラケット46は長手方向がドア44の上下方向に沿った金属平板を幅方向中間部にて長手方向を軸方向とする軸周りに略L字形状に屈曲させることで形成されている。支持ブラケット46における上記の屈曲部分よりも幅方向一端側は固定部48とされている。この固定部48は、ドア44が乗降口50(図8参照)を閉止する際の移動方向である閉じ移動方向側の端部(更に詳細には、ドア44における閉じ移動方向側のヘムの車両室内側)の側方でボルト等の締結手段、接着剤等の接着手段、更には溶接等の何れかの手段によりドア44のインナパネル52に固定されている。
【0030】
これに対して支持ブラケット46における上記の屈曲部分よりも幅方向他端側は被挟持部54とされている。被挟持部54は支持ブラケット46の屈曲部分から車両40の前方、すなわち、ドア44の閉じ移動方向側へ延出されている。上記のプロテクタ30は、取付溝36の内側に被挟持部54が入り込んで取付部34が被挟持部54を挟持することにより、支持ブラケット46を介してドア44に取り付けられる。
【0031】
一方、図1に示されるように、プロテクタ30の長手方向上端の側方には、センサ支持手段としてのセンサガイド70が設けられている。センサガイド70は全体的に外皮部14よりも硬質のゴム材や合成樹脂材により形成されている。また、本実施の形態では、センサガイド70の色は、車両40の室内の色、特に、センサガイド70が設けられるドア44の閉じ方向側端部近傍における車両室内の色とされている。図1及び図2に示されるように、センサガイド70はドア44のヘムの車両室内側で車両40の前後方向にインナパネル52と対向するように配置されるベース部72を備えている。このベース部72にはインナパネル52との対向状態でインナパネル52側へ向けて開口した溝部74が形成されており、センサガイド70をインナパネル52に取り付けた際には、溝部74に上記のインナパネル52が入り込む。
【0032】
図2に示されるように、この溝部74の側方には嵌合突起76がベース部72のインナパネル52側の面から突出形成されている。嵌合突起76はベース部72からの突出方向に対して交差する向きに弾性変形可能とされ、ベース部72からの突出方向に対して交差した縮径方向に弾性変形することで嵌合突起76の頭部がインナパネル52に形成された透孔78を通過できる。透孔78を通過した嵌合突起76の頭部が復元することで透孔78の通過が規制され、センサガイド70がインナパネル52に取り付けられるようになっている。
【0033】
図1に示されるように、ベース部72の側方(車幅方向外側)には中間支持部及び湾曲支持部としてのセンサ支持部80が形成されている。センサ支持部80には中央部分側溝部84及び湾曲部分側溝部86により構成されたセンサ保持溝82が形成されている。図3から図5の各図に示されるように、このセンサ保持溝82のうち中央部分側溝部84は内周形状の曲率半径が外皮部14の半径寸法に略等しい略半円形状に形成されており、車両40の前方側、すなわち、ドア44の閉じ移動方向側へ向けて開口している。
【0034】
センサ保持溝82の湾曲部分側溝部86は中央部分側溝部84の上端から連続している。湾曲部分側溝部86は中央部分側溝部84と同様に内周形状の曲率半径が外皮部14の半径寸法に略等しい略半円形状とされている。さらに、湾曲部分側溝部86は中央部分側溝部84とは異なり、中央部分側溝部84よりも後方で且つセンサ支持部80の上端よりも下方の所定位置を曲率の中心として全体的に湾曲し、湾曲部分側溝部86はこの湾曲の曲率半径方向外方へ向けて開口している。
【0035】
プロテクタ30の上端部から延び出た感圧センサ12(図1及び図2参照)は、センサ保持溝82の中央部分側溝部84内に部分的に収容された状態でドア44の上方へガイドされ、更に、部分的に湾曲部分側溝部86に収容された状態でインナパネル52側へ湾曲されている(以下、便宜上、感圧センサ12のうち湾曲部分側溝部86に収容された部分を「センサ湾曲部12A」と称する。また、センサ湾曲部12Aよりも感圧センサ12の長手方向中央側を「センサ中間部12B」と称し、このセンサ中間部12Bのうちプロテクタ30の端部から延び出た部分を「センサ露出部12C」と称する)。
【0036】
ここで、センサ支持部80において湾曲部分側溝部86が設定された部分の湾曲の曲率半径(湾曲部分側溝部86の内周部の曲率半径ではなく、センサ支持部80の曲率半径)は、湾曲部分側溝部86にセンサ湾曲部12Aが入り込んだ状態で電極線18〜24が互いに接触していない程度に感圧センサ12が湾曲する程度に設定されている。
【0037】
また、このセンサ保持溝82の内周部には接着剤が塗布されており、感圧センサ12においてセンサ保持溝82に収容された部分は、その外皮部14が接着剤によってセンサ保持溝82の内周部、すなわち、センサ支持部80に一体的に固着されている。なお、センサ保持溝82の内周部における接着剤の塗布範囲は、センサ保持溝82の内周部全域であってもよいし、センサ保持溝82の内周部の一部であってもよい。また、センサ保持溝82の内周部に感圧センサ12の外皮部14を固着させるための固着手段は接着剤に限定されるものではなく、両面テープを用いてもよい。
【0038】
さらに、湾曲部分側溝部86の中央部分側溝部84とは反対側ではセンサガイド70に端末支持部としてのカバー92が形成されている。カバー92は軸方向が概ね車両40の前後方向、すなわち、ドア44の閉じ移動方向及びその反対方向に沿った筒形状(特に、軸方向中間部よりも後端側は円筒形状)に形成されており、その後端は底部94により閉止されている。このカバー92の内側には外皮部14の長手方向上端部及び外皮部14の上端部から引き出された電極線18〜24の端部を処理した部分を含む端末部96が収容されている。
【0039】
図9に示されるように、端末部96では電極線18の上端と電極線22の上端とが図示しない基板上で結線されており、例えば、基板における電極線18の上端と電極線22の上端との結線部分とは反対側で電極線20の上端と電極線24の上端とが結線されている。なお、この端末部96は筒状のケースに別途収容してカバー92の内側に収容したり、合成樹脂材等により端末部96をモールドしてカバー92に収容したりしてもよい。
【0040】
このように端末部96が収容されたカバー92に対応してインナパネル52には円孔98が形成されており、カバー92はその軸方向後端側が円孔98を通過してドア44の内側に入り込んでいる。
【0041】
一方、図1に示されるように、プロテクタ30の長手方向下端の側方には、全体的に外皮部14よりも硬質のゴム材や合成樹脂材により形成されたセンサ支持手段としてのセンサガイド110が設けられている。図1及び図6に示されるように、センサガイド110はセンサガイド70とは上下が逆の構造となっていると共に、カバー92に底部94が形成されておらず、カバー92の軸方向両端が開口している点以外は基本的にセンサガイド70と同じ構成であるため、対応する部位に同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0042】
このセンサガイド110のセンサ保持溝82にはプロテクタ30の下端から延び出た外皮部14が部分的に収容された状態でドア44の下方へガイドされ、更に、インナパネル52側へ湾曲されている。さらに、センサガイド110のカバー92には外皮部14の下端部から引き出された電極線18〜24の端部を処理した部分を含む端末部112が収容されている。
【0043】
図9に示されるように、端末部112では電極線20の下端と電極線22の下端とが図示しない基板上で抵抗114を介して結線されており、例えば、基板における電極線20の下端と電極線22の下端との結線部分とは反対側で電極線18の下端はリード線116の一端に結線され、電極線24の下端がリード線118の一端に結線されている。リード線116、118はセンサガイド110のカバー92を通過してドア44内に引き込まれており、リード線116の他端は車両40に搭載されたバッテリー120に接続され、リード線118の他端は電流センサ122を介してアースされている。
【0044】
電流センサ122は電極線18〜24を含めて構成される回路を流れる電流を検出し、その大きさに応じた信号を出力する。外皮部14が弾性変形することで電極線18又は電極線20と電極線22又は電極線24と接触して電流が抵抗114を介さずに流れると、回路を流れる電流値が上昇し、これに応じて電流センサ122から出力された電気信号が自動スライドドア装置42のモータを制御するECU(制御手段)に入力されると、このECUはモータを停止させ、又は、ドア44を閉じ移動とは反対方向、すなわち、乗降口50を開放する際のドア44の移動方向である開移動方向へドア44を移動させるべくモータを反転駆動させる。
【0045】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本異物検出装置10の作用並びに効果を説明する。
【0046】
本実施の形態においてドア44が乗降口50を開放した状態で自動スライドドア装置42のモータを駆動させ、ドア44を車両40の前方側へ向けてスライドさせると、乗降口50がドア44により閉止される。このようにドア44が前方へスライドして乗降口50を全閉する際のドア44のスライド軌道上に異物が存在すると、ドア44の閉移動方向側端部(前端部)が異物に当接して異物を押圧する。このときの異物からの押圧反力でプロテクタ30及び外皮部14が弾性変形すると、外皮部14内の電極線18又は電極線22が電極線20又は電極線24と接触して導通して短絡する。
【0047】
上述したように、このとき電極線18〜24を含む電気回路を流れる電流は抵抗114を介さずに流れるため、例えば、一定の電圧でこの回路に電流を流していれば電流値が変化し、電流センサ122がこのときの電流値の変化を検知する。電流センサ122が電流値の変化を検知すると、ECUが自動スライドドア装置42のモータを停止させ、又は、反転駆動させる。ドア44による異物の挟み込みを防止できる。
【0048】
ここで、本実施の形態では、センサ支持部80において湾曲部分側溝部86が形成された部分の湾曲の曲率半径は、湾曲部分側溝部86にセンサ湾曲部12Aが入り込んだ状態で電極線18〜24が互いに接触していない程度にセンサ湾曲部12Aが湾曲する程度に設定されている。このセンサ湾曲部12Aが収容される湾曲部分側溝部86が形成されたセンサガイド70、110は感圧センサ12の外皮部14よりも硬質である。
【0049】
このため、センサ湾曲部12Aに対してセンサ支持部80とは反対側から外力が作用すると、湾曲部分側溝部86の内周部に支持された外皮部14が弾性変形し、センサ湾曲部12Aにおいても外皮部14内の電極線18又は電極線22が電極線20又は電極線24と接触して導通して短絡する。これにより、本異物検出装置10では、ドア44の上端部や下端部近傍でも異物の挟み込みを検出でき、ドア44の上下方向に沿った感圧センサ12の設置範囲において感圧センサ12の不感帯をなくすことができる。
【0050】
また、センサ湾曲部12Aはプロテクタ30に被覆されておらず、また、センサ中間部12Bのうちセンサ露出部12Cもプロテクタ30に被覆されていない。しかしながら、センサ湾曲部12Aやセンサ露出部12Cはセンサ保持溝82(中央部分側溝部84及び湾曲部分側溝部86)の内側に収容されているため、ドア44の厚さ方向に沿ったセンサ湾曲部12Aやセンサ露出部12Cの変位が防止又は抑制される。これにより、センサ湾曲部12Aやセンサ露出部12Cの不用意なずれの発生等を防止又は抑制でき、感圧センサ12における異物検出の信頼性を向上できる。
【0051】
しかも、センサ湾曲部12Aやセンサ露出部12Cをセンサ保持溝82に嵌め込むことで、センサ湾曲部12Aやセンサ露出部12Cに過剰な負荷をかけることなく、センサ露出部12Cをドア44の閉じ方向側端部に沿わせてセンサ湾曲部12Aを適切に湾曲させることができるので、ドア44への感圧センサ12の組み付け作業を容易にできる。また、センサガイド70、110への感圧センサ12の組み付けも、予めセンサ保持溝82の内周部に塗布した接着剤でセンサ保持溝82の内周部にセンサ湾曲部12Aやセンサ露出部12Cを簡単に固着させることができる。
【0052】
さらに、センサ湾曲部12Aのセンサ露出部12Cとは反対側の端末部96、112はカバー92の内側に収容されている。このため、端末部96、112が不用意に動くことを防止又は抑制でき、端末部96、112において電極線18〜24や抵抗114、リード線116、118等との結線部分に断線が生じることやセンサ湾曲部12Aに不用意な弾性変形が生じることを防止又は抑制でき、この意味でも感圧センサ12における異物検出の信頼性を向上できる。しかも、端末部96、112はカバー92の内側に収容されていることで、端末部96、112に雨水等が被水することを防止又は抑制できる。
【0053】
また、センサガイド70、110は色が車両40の室内の色、特に、センサガイド70が設けられるドア44の閉じ方向側端部近傍における車両室内の色とされている。このため、センサガイド70、110が目立たず、これにより、見栄えが向上する。
【0054】
なお、本実施の形態では、プロテクタ30は筒部32の長手方向端部から感圧センサ12を引き出して、センサ支持部80のセンサ保持溝82に感圧センサ12のセンサ露出部12Cやセンサ湾曲部12Aを支持させた構成であった。しかしながら、例えば、図10に示されるように、プロテクタ30のうち、内側に感圧センサ12が収容された筒部32のみをセンサガイド70まで延出し、感圧センサ12と共に筒部32をセンサ保持溝82に嵌め込み、更に、端末部96等を筒部32の先端側をカバー92に収容する構成としてもよい。
【0055】
また、本実施の形態では、感圧センサ12の外皮部14の外周形状を円形とし、この外皮部14の外周形状に応じてセンサ支持部80に内周形状が略半円形のセンサ保持溝82を形成した。しかしながら、外皮部14の外周形状は円形以外であってもよく、また、センサ支持部80にセンサ保持溝82を形成しなくてもよい。すなわち、例えば、外皮部14の外周形状を車両後方側が平面上の半円形等に形成すると共に、センサ支持部80の感圧センサ12側の面にセンサ保持溝82を形成せず、センサ支持部80の感圧センサ12側の面を平面やセンサ湾曲部12Aに応じた湾曲面としてもよい。
【0056】
また、本実施の形態では、感圧センサ12を外皮部14の内側に4本の螺旋状の電極線18〜24を設けた構成とした。しかしながら、感圧センサ12の長手方向に対して交差する向きからの外力で感圧センサ12が弾性変形して外力を検知できる構成であれば、感圧センサ12の具体的な態様に限定されるものではない。
【0057】
さらに、本実施の形態は、感圧センサ12をドア44に取り付ける構成であったが、感圧センサ12を乗降口50の内周縁に設ける構成としてもよい。また、本実施の形態は、本異物検出装置10を自動スライドドア装置42の異物挟み込み検出用として適用したが、異物検出装置10は他の自動ドア装置等、例えば、車両後部に設けられたバックドアをモータの駆動力により開閉する自動バックドア装置等における異物の挟み込みの検出に適用することもできる。
【符号の説明】
【0058】
10・・・異物検出装置、12・・・感圧センサ、12A・・・センサ湾曲部、12B・・・センサ中間部、40・・・車両、44・・・ドア、70、110・・・センサガイド(センサ支持手段)、80・・・センサ支持部(湾曲支持部、中間支持部)、92・・・カバー(端末支持部)、96、112・・・端末部
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図10