(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水圧源側からの水道水供給源回路Aと、洗浄用の流体が充填された流体タンク側からの流体供給源回路Bを切り替えて、いずれか一方の流体を医療用ユニット内の流体回路に供給する流体回路切替において、
前記水圧源側からの水道水供給源回路Aと流体タンク側からの流体供給源回路Bを流体回路切替手段にていったん非接触状態に分離する切替行程3と、前記分離する行程を経た後に、前記切替手段にて前記水道水供給源回路Aを医療用ユニット内の流体回路に接続する切替行程2、あるいは前記切替手段にて流体タンク側からの流体供給源回路Bを医療用ユニット内の流体回路に接続する切替行程1とからなる洗浄工程にて医療用ユニット内の流体回路を洗浄するとともに、
前記洗浄行程は、前記切替行程2が、診療状態において水圧源からの水道水を医療用ユニット内の流体回路に供給する行程(S1)であって、前記切替行程1が医療用ユニット内の流体回路を開放し、流体タンクに充填された加圧空気を該流体回路内に供給し該流体回路内の残留流体を排出し、流体タンクに充填された加圧空気の供給を停止して該流体回路内を常圧に戻す行程(S3)であって、前記行程(S1)から前記行程(S3)移行時の非接触状態に分離する行程(S2)が前記切替行程3であって、さらに、行程(S4)として洗浄液が充填された流体タンクから洗浄液を該流体回路内に供給し、行程(S5)として医療用ユニット内の流体回路に洗浄液を消毒処置に必要に応じて滞留させ、行程(S6)として該流体回路を開放し、流体タンクに充填された加圧空気を該流体回路に供給して該流体回路内の残留流体を排出し、行程(S7)として水道水を充填した流体タンクから水道水を該流体回路に供給して該流体回路内を洗浄すること、を含み、さらに、前記行程(S7)から最初の前記行程(S1)移行時に前記非接触状態に分離する行程(S8)が前記切換行程3であることを特徴とする医療用ユニットの流体回路洗浄方法。
流体を一時的に受ける受け容器に流体を貯留させた後に、給水開閉弁を操作して重力で流体を前記流体タンク内に落下させ充填することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の医療用ユニットの流体回路洗浄方法。
前記流体タンク内には、流体を一時的に受ける受け容器に流体を貯留させた後に、ポンプを操作して流体を充填することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の医療用ユニットの流体回路洗浄方法。
前記流体タンクは、その内部を加圧空気にて加圧することにより、該流体タンク内に充填された流体を医療用ユニットの流体回路に供給することを特徴とする請求項1、4、5または6記載の医療用ユニットの流体回路洗浄方法。
【背景技術】
【0002】
従来から医療用ユニット及び医療用ユニットに備えられたインスツルメントには一定の通常圧力に調整された圧力水道水が供給されている。この圧力水道水は診療が終了しても医療用ユニットの流体回路内に残留しているため、翌日の診療開始までの間に細菌が繁殖して不衛生になるという問題がある。このために、毎日の診療開始前に医療用ユニットの流体回路内を洗浄しなければならないという問題があった。
【0003】
そこで、この医療用ユニットの流体回路の洗浄として、残留流体を排出する洗浄方法であるフラッシングや、流体タンクから薬液を流体回路内に供給して洗浄する洗浄方法などが行われていた。また、例えば海外においては、水道水が不衛生であるという理由から口腔内の治療には適さないということで、浄水等を流体タンク内に充填しておいてこれを使用する場合などがある。また水道管や流体タンクに接続された流体回路は、一般的に電磁弁等の切替弁にて切り替えが行われているが、この場合、水道管と医療用ユニットとの流体回路が直接に連結されており、水道管と医療用ユニットとの間の流体回路が完全に分離されていない構成になっている。
【0004】
しかるに水道法では、例えば井戸水や工業用水あるいは冷却用水など、衛生上安全を脅かす中水道が水道(飲料水系統)に連結されている状態のことをクロスコネクションまたは混交配管といっており、クロスコネクションの状態では、中水道の圧力が水道の圧力を上回った時に、中水道の流体が飲料水系統へ逆流し、または水道水の圧力が中水道の圧力に比べて負圧になったときに汚染物質が飲料水系統に逆流する恐れがある。
【0005】
そこで、流体管路の連結部に仕切弁や逆流防止装置を設置することが行われているが、これらの装置も物理的には故障する可能性があり、負圧破壊装置を用いても逆圧に対する効果がない。従って、クロスコネクションの回避としては完全とはいえない。このためにこのような管路の接続を、水道法や建築基準法等においては各条例で原則禁止されている。またこの管路切り替えに関する技術としては、例えば特許文献1及び特許文献2に示される発明が公知である。
【0006】
特許文献1の発明は、給水管路中の給水量が変化しても管路洗浄に用いられる薬液希釈混合水の薬液濃度を一定に保つことができ、しかも薬液濃度を診療にも使用しうるような調整が可能な給水管路洗浄装置と、これを用いた歯科用診療装置である。
【0007】
特許文献2の発明は、医療器具への給水管路の消毒が簡易かつ完全で、残留消毒液で給水管路を損傷することがなく、また誤動作の場合でも消毒液の混入がない給水管路の消毒洗浄機能を備えたものである。
【0008】
しかしながら、前記特許文献1および2は、いずれも医療用ユニット内の流体回路を消毒・洗浄するに際して、流体タンク内に貯留した薬液を、切替制御弁を介して水道回路に供給し、治療に際しては薬液の回路を水道回路に切り替える構成であり、総ての流体回路は常に連結された状態になっている。従って、薬液の回路と水道水の回路は完全に分離されていない構成であり、クロスコネクションによる水質汚染の防止としては不完全であるという問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
消毒液や洗浄液が水道水側へ逆流することを防止するという目的を、水供給源と洗浄液供給源との回路相互間をいったん非接触状態に分離する行程と、前記分離する行程を経た後に前記いずれか一方の流体回路を医療用ユニット内の流体回路に接続する行程とからなる流体回路切替手段を備えたことにより実現した。
【実施例1】
【0021】
本発明は、一例として歯科診療用ユニットの流体回路について説明する。本実施例は歯科診療用ユニット1内に構成する管路系統が、
図1に示すように水圧源2に水道水供給源回路Aが接続され、その下流側に向かって順に給水開閉弁3a、フィルタ4a、逆止弁5、給水開閉弁3b、減圧弁6a、フィルタ4bが接続され、その先に、流体回路切替手段として弁付連結継手オス7aが接続されている。一方、空気圧源9には流体供給源回路Bが接続され、その下流に向かって順に減圧弁6b、加圧開閉弁10、流体タンク11、逆止弁5が接続され、その先に流体回路切替手段として弁付連結継手オス7bが接続されている。
【0022】
接続された管路の流体はその先に設けられた自動作動しうる切替弁19にて切替制御され、複数の電磁弁13の開閉制御によりその先に設けられたコップ給水14、マイクロモータ15、タービン16、スケーラ17、スリーウェイシリンジ18等のハンドピースに送られる。また水圧源2側の連結継手オス7aおよび8aと、空気圧源9側の弁付連結継手メス8bおよび7bの相互間を離間して非接触にすることにより流体タンク11からの流体供給源および水圧源2からの水供給源それぞれを遮断すると共に、歯科診療用ユニット1内の流体回路29への流体供給口を完全に遮断することが可能になる。
【0023】
従って、本実施例での流体回路切替は、水圧源2からの水供給源回路を遮断すると共に、流体タンク11からの流体供給源回路Bを歯科診療用ユニット1内の流体回路29に接続する切替手段1と、流体タンクからの流体供給源を遮断するとともに水供給源を歯科診療用ユニット1内の流体回路29に接続する切替手段2と、流体タンクからの流体供給源回路Bおよび水供給源回路Aそれぞれを遮断すると共に歯科診療用ユニット1内の流体回路29への流体供給口を遮断し、3方の回路を非接触状態にする切替手段3とを切替制御手段にて制御するものである。なお、切替手段1にて切替制御する行程を切替行程1、切替手段2にて切替制御する行程を切替行程2、切替手段3にて切替制御する行程を切替行程3として切替制御方法を定義する。
【0024】
流体タンク11には、減圧弁6bと、加圧開閉弁10と、圧力計36が設けられているので、加圧開閉弁10の操作により、歯科診療用ユニット1の空気圧源9からの圧縮空気にて流体タンク11内の流体を加圧し、この加圧力にて流体を歯科診療用ユニット1内の流体回路29内に送り出すことが可能になる。なお前記歯科診療ユニット1の空気圧源9は、歯科診療用ユニット1に付属する外部取り出し口の加圧空気源としてもよい。
【0025】
なお流体タンク11内には、洗浄液として消毒液または飲料水(ナチュラルウォータ、ナチュラルミネラルウォータ、ミネラルウォータ、ボトルドウォータ、浄水、蒸留水等を含む)を充填する。また、ここで言う消毒液とは、流体回路の管壁に付着したバイオフィルムの細菌を消毒しうるものとする。例えば消毒用エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、クエン酸、酢酸等の有機酸、過酸化水素等の水溶性過酸化物、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素酸塩、人が飲んでも問題のなく殺菌に有効な極めて低濃度の消毒液、その他のものを一種または複数種組み合わせで用いることができる。因みに上記飲料水に関しては、農林水産省の「ミネラルウォータ類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」に規定されている。また上記洗浄液には、中性電解水や酸性電解水などの機能水を使用してもよい。なおこの場合は機能水の種類によって滞留が不要になる。
【0026】
因みに前記機能水の概要について次に説明する。機能水とは、「人為的な処理によって再現性のある有用な機能を獲得した水溶液のうち、処理と機能に関して科学的根拠が明らかにされたもの及びされようとしているもの」とされている。(日本口腔機能水学会「口腔機能水ガイドライン」参照)中性電解水は、水道水を電気分解して得られる機能水の一つで、高い殺菌力を持っており、なおかつ中性であるので、ユニット内部に負荷がかからないという利点がある。また酸性電解水やアルカリ性電解水の場合は、流体管路の材質を酸性電解水やアルカリ性電解水によって腐食しない材質の流体管路にすることで対応が可能となる。
【0027】
次に、本実施例の流体回路洗浄方法として
図2に示す三方切替弁12の切替による洗浄行程を
図3のタイムチャートを参照しつつ説明する。本実施例の流体回路の消毒・洗浄は、前記両図中に示す(S1)から(S8)行程手順に従って行われ、(S1)行程は診療状態を示し、水供給源回路A側は
図8に示す流体回路切替装置30に内蔵する三方切替弁12の切替により歯科診療用ユニット1内の流体回路29側に接続され、同時に流体供給源回路B側は遮断されて洗浄液が流体回路29に混入することが防止されている。
【0028】
次に(S2)行程では水圧源2側からの給水供給源回路Aと、流体タンク11側からの流体供給源回路Bを流体回路切替装置30にていったん非接触状態に分離遮断し、(S3)行程に示すように三方切替弁12が流体供給源回路B側に接続され、加圧開閉弁10をONにすることにより加圧空気が流体供給源回路Bに接続された流体タンク11から供給され、コップ給水や各インスツルメントの流体回路29内に残留した流体を排出する。残留流体を排出した後は、加圧開閉弁10をOFFにし、流体タンクからの加圧空気の供給を停止する。これにより流体回路29内が常圧に戻る。
【0029】
次に、流体回路切替装置30から流体タンク11を手動で外し、流体タンク11に洗浄液を充填し流体回路切替装置30に装着する。その後、加圧開閉弁10をONにし(S4)行程に示すように流体供給源回路B側に接続された洗浄液が入った流体タンク11からコップ給水や各インスツルメントを含む流体回路29内に供給され、フラッシングされる。更に加圧開閉弁10をOFFにして洗浄液を流体回路29内に滞留させる。(S5)行程では洗浄液を所定時間滞留させ、コップ給水や各インスツルメントを含む流体回路29内を消毒する。その後、(S6)行程で加圧開閉弁10をONにし、流体供給源回路B側に接続された流体タンク11から加圧空気を供給する。この時、洗浄液は空になっているため流体タンク11は加圧空気のみを供給することができる。加圧空気はコップ給水や各インスツルメントの流体回路29内に残留した流体を排出する。排出後は加圧開閉弁10をOFFにする。なお、(S5)の洗浄液を所定時間滞留させる行程は、洗浄効果が認められる場合は洗浄液を通過させるだけで滞留を省略してもよい。
【0030】
次に、手動にて流体回路切替装置30から流体タンク11を外し、流体タンク11に水道水を充填し流体回路切替装置30に装着する。(S7)行程では加圧開閉弁10をONにし流体タンク11に充填された水道水をコップ給水や各インスツルメントを含む流体回路29内に供給し、加圧空気で排出仕切れなかった残留流体を洗い流す。その後、加圧開閉弁10をOFFにする。最後に、(S8)行程で水供給源回路A側と流体供給源回路B側を流体回路切替装置30にていったん非接触状態に分離遮断した後、三方切替弁12を水道水供給源回路A側に接続することにより最初の(S1)行程である診療状態に戻る。これにて流体回路29の洗浄が終了する。
【実施例2】
【0031】
本実施例は、一例として歯科診療用ユニット1内に構成する管路系統が、
図4に示すように水圧源2に水道水供給源回路Aが接続され、その下流側に向かって順に給水開閉弁3a、フィルタ4a、逆止弁5、給水開閉弁3b、減圧弁6b、フィルタ4b、が接続され、その先に、流体回路切替手段として弁付連結継手オス7aが接続されている。一方、空気圧源9には流体供給源回路Bが接続され、その下流に向かって順に減圧弁6b、加圧開閉弁10が接続され、その先は2方向に分岐され、その一方には電磁弁13aと逆止弁5が接続されたバイパス回路28があり、他方には流体タンク11と電磁弁13bと逆止弁5が接続され、その先に流体回路切替手段として弁付連結継手オス7bが接続されている。なお、本実施例は、前記実施例1の(S6)行程のように流体タンク11を使用せずに、流体タンク11に並列に電磁弁13aを介して加圧空気のバイパス回路28を設けることで、空気圧源9から加圧空気を供給した例である。また流体タンク11に水道水や洗浄液を充填する行程は手動で行い、それ以外の(S2)行程から(S7)行程における水道水供給源回路A側と流体供給源回路B側の切り替えと、開閉弁制御や加圧開閉弁制御およびフラッシングなど行程はプログラムによる自動制御にて行われる。
【0032】
接続された管路の流体はその先に設けられた自動作動しうる切替弁19にて切替制御され、複数の電磁弁13の開閉制御によりその先に設けられたコップ給水14、マイクロモータ15、タービン16、スケーラ17、スリーウェイシリンジ18等のハンドピースに送られる。また水圧源2側の弁付連結継手オス7aおよび弁付連結継手メス8a相互間、および空気圧源9側の弁付連結継手オス7bおよび弁付連結継手メス8bの相互間を離間して非接触にすることにより流体タンク11からの流体供給源および水供給源それぞれを遮断すると共に、歯科診療用ユニット1内の流体回路29への流体供給口を完全に遮断することが可能になる。
【0033】
従って、前記流体回路切替手段は、水供給源回路Aを遮断すると共に、流体タンク11からの流体供給源回路Bを歯科診療用ユニット1内の流体回路29に接続する切替手段1と、流体タンク11からの流体供給源回路Bを遮断するとともに、水供給源回路Aを歯科診療用ユニット内の流体回路29に接続する切替手段2と、流体タンク11からの前記流体供給源回路Bおよび水供給源回路Aのそれぞれを遮断すると共に、歯科診療用ユニット1内の流体回路29への流体供給口を遮断し、3方の回路を非接触状態にする切替手段3とからなり、切替手段1、切替手段2、切替手段3それぞれの切り替えを切替制御手段にて制御するものである。
【0034】
流体タンク11には、減圧弁6bと、加圧開閉弁10と、圧力計36が設けられているので、加圧開閉弁10の操作により歯科診療用ユニット1からの圧縮空気にて流体タンク11内の流体を加圧し、この加圧力にて流体を歯科診療用ユニット1内の流体回路29に送り出すことが可能になる。なお流体タンク11に充填できる流体は前記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0035】
次に、
図4の三方切替弁12の切替による洗浄行程を
図3のタイムチャートを参照しつつ
図2に示す(S1)行程から(S8)行程の手順に従って説明する。
(S1)行程は診療状態を示し、水供給源回路A側は流体回路切替装置30に内蔵する三方切替弁12の切替により歯科診療用ユニット1内の流体回路29側に接続され、同時に流体供給源回路B側は遮断されて洗浄液が流体回路29に混入することが防止されている。
【0036】
次に(S2)行程では水道水供給源回路A側と流体供給源回路B側を流体回路切替装置30にていったん非接触状態に分離遮断した後、(S3)行程に示すように三方切替弁12を流体供給源回路B側に接続し、加圧開閉弁10を自動的にON、電磁弁13aを自動的にONにして加圧空気をコップ給水や各インスツルメントの流体回路29内に供給し、流体回路29内に残留した流体を排出する。排出後は自動的に電磁弁13aがOFFになり、加圧空気の供給が停止する。
【0037】
次に、(S4)行程に示すように、自動的に電磁弁13bをONにして、あらかじめ洗浄液が充填された流体タンク11から洗浄液がコップ給水および各インスツルメントを含む流体回路29内に供給されフラッシングされる。その後は流体回路29を洗浄液で満たす。更に電磁弁13bと加圧開閉弁10を自動的にOFFにして加圧空気の供給を停止する。これにより圧力が低下して流体回路内が常圧に戻る。
【0038】
次に、(S5)行程に示すように洗浄液を流体回路29内に所定時間滞留させ、コップ給水および各インスツルメントを含む流体回路29内を消毒する。次に、手動にて流体回路切替装置30から流体タンク11を外し、流体タンク11に水道水を充填して流体回路切替装置30に装着する。その後、(S6)行程に示すように加圧開閉弁10を自動的にON 、更に電磁弁13aを自動的にONにして流体供給源回路B側へコップ給水およびインスツルメントに加圧空気を供給し、流体回路29内に滞留した流体を排出する。その後は自動的に電磁弁13aをOFFにする。
【0039】
次に、(S7)行程で電磁弁13bを自動的にONにし、流体供給源回路B側に接続された流体タンク11内の水道水をコップ給水およびインスツルメントに供給し、加圧空気で排出し切れなかった残留流体を洗い流す。その後、電磁弁13bと加圧開閉弁10を自動的にOFFにする。最後に、(S8)行程で水道水供給源回路A側と流体供給源回路B側を流体回路切替装置30にていったん非接触状態に分離遮断した後、三方切替弁12を水道水供給源回路A側に接続する。これにより最初の(S1)行程に戻って、流体回路29の洗浄が終了する。
【0040】
本実施例2では、流体タンク11に並列に電磁弁13aを介して加圧空気のバイパス回路28を設けることで、洗浄液や水道水が流体タンク11に残っていても、電磁弁13aを接続することで歯科診療用ユニット1内の流体回路29に滞留した流体を排出することが可能になる。
【実施例3】
【0041】
本実施例は、一例として歯科診療用ユニット1内に構成する管路系統が、
図5に示すように水圧源2に水道水供給源回路Aが接続され、その下流側に向かって順に給水開閉弁3a、フィルタ4a、逆止弁5、給水開閉弁3b、減圧弁6a、フィルタ4b、が接続され、その先に流体回路切替手段として弁付連結継手オス7aが接続されている。一方、空気圧源9には流体供給源回路Bが接続され、その下流に向かって順に減圧弁6b、加圧開閉弁10が接続され、その先は2方向に分技し、一方には電磁弁13aと逆止弁5が接続されたバイパス回路28があり、他方には受け容器20a、20bがそれぞれ開閉弁3c、3dを経て接続された流体タンク11と、電磁弁13bと逆止弁5が接続され、その先に流体回路切替手段として弁付連結継手オス7bが接続されている。接続された管路の流体はその先に設けられた自動作動しうる切替弁19にて切替制御され、複数の電磁弁13の開閉制御によりその先に設けられたコップ給水14、マイクロモータ15、タービン16、スケーラ17、スリーウェイシリンジ18等のハンドピースに送られる。
【0042】
また、水圧源2側の弁付連結継手オス7aおよび弁付連結継手メス8a、および空気圧源9側の弁付連結継手オス7bおよび弁付連結継手メス8b相互間を離間して非接触にすることにより流体タンク11からの流体供給源および水供給源それぞれを遮断すると共に歯科診療用ユニット1内の流体回路29への流体供給口を完全に遮断することが可能になる。従って、前記流体回路の切替は、水供給源回路を遮断すると共に、流体タンク11からの流体供給源回路Bを歯科診療用ユニット1内の流体回路29に接続する切替手段1と、流体タンク11とからの流体供給源を遮断するとともに、水供給源を歯科診療用ユニット1内の流体回路29に接続する切替手段2と、流体タンク11からの流体供給源および水供給源のそれぞれを遮断すると共に、歯科診療用ユニット1内の流体回路29への流体供給口を遮断し、3方の回路を非接触状態にする切替手段3とからなり、切替手段1、切替手段2、切替手段3それぞれの切替は切替制御手段にて制御される。
【0043】
流体タンク11には、減圧弁6bと、加圧開閉弁10と、圧力計36が設けられているので、加圧開閉弁10の操作により、歯科診療用ユニット1からの圧縮空気にて流体タンク11内の流体を加圧し、この加圧力にて流体を歯科診療用ユニット1内の流体回路29に送り出すことが可能になる。なお流体タンク11に充填できる流体は前記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0044】
次に
図5に示す三方切替弁12の切り替えによる洗浄行程を
図2及び
図3に従って説明する。本実施例における流体回路の消毒・洗浄は、
図3のタイムチャートを参照しつつ
図2に示す(S1)行程から(S8)行程手順で行われる。なお受け容器20a、20bに水道水や洗浄液を充填する行程は手動で行い、それ以外の(S2)行程から(S7)行程における水道水供給源回路A側と流体供給源回路B側の切り替えと、開閉弁制御や加圧開閉弁制御およびフラッシングなど行程はプログラムによる自動制御にて行われる。
【0045】
(S1)行程は診療状態を示し、水道水供給源回路A側は流体回路切替装置30に内蔵する三方切替弁12の切替により歯科診療用ユニット1内の流体回路側に接続され、同時に流体供給源回路B側は遮断されて洗浄液は流体回路29に混入することが防止されている。
次に受け容器20aに洗浄液、受け容器20bに水道水を手動にて充填する。この受け容器20a、20bはバケツのようなもので、受け容器20a、20bと流体タンク11は落差が設けられており、重力で流体を流体タンク11に落下させ供給するようになっている。上部に設けられた受け容器20a、20bから、流体タンク11までは管路で接続されており、その管路途中に設けられた開閉弁3cと開閉弁3dを自動制御することで、流体タンク11に必要な分量の水道水や洗浄液が入る仕組みになっている。次に(S2)行程では、水道水供給源回路A側と流体供給源回路B側を流体回路切替装置30にていったん非接触状態に分離遮断した後、(S3)行程に示すように三方切替弁12を流体供給源回路B側に接続し、自動で開閉弁3dをONにして受け容器20a から洗浄液を流体タンク11に充填する。その後、開閉弁3dは自動的にOFFになり、更に自動で加圧開閉弁10および電磁弁13aをONにして加圧空気をコップ給水や各インスツルメントの流体回路29に供給し、流体回路29内の残留流体を排出する。排出後は自動的に電磁弁13aがOFFになる。
【0046】
次に、(S4)行程に示すように、電磁弁13bをONにして、流体供給源回路B側に接続された流体タンク11からコップ給水および各インスツルメントを含む流体回路29内に洗浄液が供給されフラッシングされる。その後、流体回路29内を洗浄液で満たし、電磁弁13bおよび加圧開閉弁10を自動的にOFFにして加圧空気の供給を停止する。これにより圧力が低下して流体回路内が常圧に戻る。
【0047】
次に、(S5)に行程に示すように洗浄液を流体回路内に所定時間滞留させ、コップ給水および各インスツルメントを含む流体回路29内を消毒する。その後、自動で開閉弁3cをONにして受け容器20bから水道水を流体タンク11に充填する。その後、開閉弁3cは自動的にOFFになる。その後、(S6)行程で自動的に加圧開閉弁10および電磁弁13aをONにすることで、加圧空気が流体供給源回路B側に供給される。これによりコップ給水および各インスツルメントの流体回路内に滞留した流体が排出される。
【0048】
次に、(S7)行程では、自動的に電磁弁13bをONにして、流体供給源回路B側に接続された流体タンク11内に充填された水道水がコップ給水および各インスツルメントに供給され、加圧空気で排出し切れなかった流体回路29内の残留流体が洗い流される。その後、電磁弁13bおよび加圧開閉弁10が自動的にOFFになる。最後に、(S8)行程で水道水供給源回路A側と流体供給源回路B側を流体回路切替装置30にていったん非接触状態に分離遮断した後、三方切替弁12を水道水供給源回路A側に接続し最初の(S1)行程に戻って、流体回路29の洗浄が終了する。
【0049】
なお、本実施例では、受け容器を
図5に示すように20a、20bの二つに分けた状態でそれぞれを流体タンク11に接続したが、これに限らず、
図6の点線枠内に示す2層式受け容器24としてもよい。また受け容器はバケツのようなものに限らず、点滴注射に用いるような液体をパックにしたタイプにしてもよい。
【0050】
本実施例3では、水道水や洗浄液等を予め受け容器に供給し貯留しておくことで自動で、流体タンク11に流体の供給が可能で、その都度流体タンク11を外して流体を詰めかえたりする手間が省ける。なお、バイパス回路28を使用した例を記載したが、バイパス回路28がなくとも良い。
【実施例4】
【0051】
実施例3では受け容器と流体タンクには落差が設けられており、重力で流体を流体タンク11に落下させ供給する構造を示したが、本実施例4では、重力に代えてポンプ22a,22bを使用した例について説明する。また給水開閉弁3c、3dに代えて、ポンプ22a、22bにすることで受け容器20a、20bと流体タンクに落差がなくとも実施例3と同様な実施が可能となる。ポンプ22a、22bの動作時間を自動制御することで、流体タンク11に必要な分量の水道水や洗浄液が入る仕組みになっている。なお逆止弁5は、水道水、洗浄液の受け容器20a、20b間での逆流を防止するものである。ポンプ22a、22bからの管路を合流することなく直接流体タンク11に連結する場合は、逆止弁5は不要である。その他は実施例3と同様であるのでその説明を省略する。
【0052】
以上、実施例1から4の歯科診療用ユニット1の流体回路29は、水道水の流体回路と、消毒・洗浄用の洗浄液を供給する流体タンク11の流体回路とを完全に分離し、クロスコネクションを防止することができるので、洗浄液が水道水側へ逆流する恐れが無い。また流体回路を洗浄するときも水圧源を分離してから行うので、洗浄液が水道側に逆流する恐れがなく、安全に洗浄することができる。
【実施例5】
【0053】
本実施例では前記歯科診療用ユニットの水回路洗浄方法にて用いる流体回路切替装置30について説明する。
図7は、本実施例の流体回路切替装置30に流体タンク11を装着した状態の外観を示す斜視図である。図に示すように流体回路切替装置30は、カバー34で覆われており、その前面にスライド機構操作部31と、三方切替弁操作部41と、左右に一対のカップリング解除ボタン32を備え、流体回路切替装置30の下面には流体タンク11が接続されている。流体タンク11の上部には流体タンク11の内部を加圧する加圧開閉弁10と、流体タンク11内の圧力を示す圧力計36と、圧力調整用の加圧調整ネジ37と、流体タンク11内の流体を加圧する減圧弁6が設けられている。なお前記流体回路切替装置30は医療用ユニット1近傍に設けられ、かつ流体タンク11は流体回路切替装置30に対して着脱自在に構成されている。
【0054】
図8は、
図7における流体回路切替装置30カバー34を外した状態を示す斜視図である。なお、本実施例では水道水供給源回路Aを水道水、流体供給源回路Bを洗浄液とする。図に示すように流体回路切替装置30は、左右に移動するスライド機構39と、これを手動にて操作するスライド機構操作部31を備え、一例として、水道水供給源回路A側の弁付連結継手オス7がこれに対向する弁付連結継手メス8にワンタッチ接続手段により接続されている。この接続はカップリング解除操作部40を押すことで解除することができる。また前記弁付連結継手オス7と弁付連結継手メス8を接続した上で、三方切替弁操作部41を水道水供給源回路A側に回すことで水道水供給源回路A側への通水が可能になる。これにより、三方切替弁12は歯科診療用ユニット1側につながり、水道水供給源回路Aからの水道水が歯科診療用ユニット1へ給水される。
【0055】
このように水道水供給源回路A側が弁付連結継手7および8にて接続され、かつ三方切替弁12を水道水供給源回路A側に切り替えると同時に、流体供給源回路B側は弁付連結継手オス7と弁付連結継手メス8の相互間が離間され、切り離される。これにより流体供給源回路B側と流体回路との間が完全に分離され、流体供給源回路B側の流体がA側に逆流することが不可能になる。
【0056】
また、流体回路切替装置30に接続された流体タンク11には、減圧弁6と、加圧調整ネジ37と、圧力計36が設けられているので、加圧開閉弁10の操作により、歯科診療用ユニット1からの圧縮空気にて流体タンク11内の流体を加圧し、圧縮空気の加圧力にて流体を歯科診療用ユニット1内の流体回路に送り出すことが可能になる。なお流体タンク11に充填できる流体は前記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0057】
図9(a)(b)(c)は流体回路切替装置30の正面図であり、
図9(a)に示すように水平方向にスライドするスライド機構31が中央に位置し、弁付連結継手8は水道水供給源回路A側および流体供給源回路B側のいずれにも離間され接続されていない非接触状態を示している。なお図中の水道水供給源回路Aは水道水、流体供給源回路Bは洗浄液とする。
【0058】
図9(b)(c)は流体回路切替装置30の作動を示す。
図9(b)に示すようにスライド機構操作部31を手動操作してスライド機構31を水道水供給源回路A側に移動させ、水道水供給源回路A側の弁付連結継手7と弁付連結継手8とを接続し、更に三方切替弁12を水道水供給源回路A側に切り替えることで歯科診療用ユニット1内に通水が可能になる。これと同時に、流体供給源回路B側は、弁付連結継手オス7および弁付連結継手8の間が離間し完全に分離されて通水が不可能な状態になることを示している。なお、この状態から接続を解除する場合は、カップリング解除操作部40押すことにより水道水供給源回路A側の弁付連結継手オス7と弁付連結継手メス8を分離することができる。
【0059】
また
図9(c)に示すようにスライド機構操作部31を手動操作してスライド機構39を流体供給源回路B側に移動させることで、流体供給源回路B側の弁付連結継手7と弁付連結継手8とが接続され、同時に水道水供給源回路A側の弁付連結継手オス7と弁付連結継手8との間が離間され分離される。これにより水道水供給源回路Aと歯科診療用ユニット1内の流体回路との間が遮断され、更に三方切替弁12を流体供給源回路B側に切り替えて通水することで流体供給源回路B側の流体が歯科診療用ユニット1内の流体回路に供給される。
【0060】
また、前記における三方切替弁12に替えて逆止弁付三方管路46を設けてもよい。接続と分離の方法は上記と同様であるのでその説明を省略する。この場合、逆止弁付三方管路46はスライド機構39に連動しない構成であり、流路の切り替えに逆止弁付三方管路46を使用することにより切替動作が不要になり、手間をかけずに通水することが可能になる。
【0061】
次に、
図10を用いて三方切替弁12の切り替えによる通水操作を説明する。(S1)行程はスライド機構39の操作により水道水供給源回路A側を接続するとともに、三方切替弁12を水道水供給源回路A側に切り替ることにより歯科診療用ユニット1内の流体回路29側に供給が可能となり、同時に流体供給源回路B側が遮断され、流体供給源回路B側からの流体は流体回路29内に逆流することが防止される。(切替手段2)
【0062】
次に(S2)行程に示すように、スライド機構39の操作により水道水供給源回路A側および流体供給源回路B側を遮断する。これにより、水道水供給源回路A側および流体供給源回路B側の流体はいずれも流体回路29側に供給することができなくなる。(切替手段3)
【0063】
次に、(S3)行程に示すようにスライド機構39の操作により流体供給源回路B側を接続すると共に三方切替弁12を流体供給源回路B側に切り替えることにより流体供給源回路B側から流体回路29側に流体を供給することが可能になり、同時に水道水供給源回路A側が遮断され、流体供給源回路B側からの流体は水道水供給源回路A側に逆流することが防止される。(切替手段1)
なお前記切替手段1から3において遮断された接続端の相互間は離間されるので連結接続される状態となることが防止される。
【実施例6】
【0064】
本実施例は、流体回路の切り替えをモータにて自動制御するものである。
図11(a)(b)(c)に示すようにモータ48の回転軸にギア42を設けると共に、スライド機構39の上面および下面にラック43を設け、前記ギア42とラック43を歯合させることにより回転運動を直線運動に変換するラック・ギア機構を構成している。更に三方切替弁操作部41の円周上にギア42を設けて、スライド機構39の下面に設けられたラック43に歯合させ、スライド機構39の上部に設けられたモータ48を回転することで、この回転に連動してスライド機構39を左右に連動させる。
【0065】
即ち、ラック・ギア機構にて、スライド機構39と三方切替弁12とが左右に連動する構成である。またモータ48による自動制御のために、自動的に接続および解除が行われる。従ってワンタッチ操作は不要となる。またモータ48は三方切替弁操作部41の下側に設けてもよい。また電動による連動の際には、接続時に、音、光、ディスプレイ表示等で報知する制御にしてもよい。
【0066】
図11(b)は、モータ48をスライド機構39の上部に設けた場合における水道水供給源回路A側と通水した状態を示す。このように、三方切替弁12が水道水供給源回路A側に正しく通水するように連動制御される。
図11(c)は、流体供給源回路B側に通水した状態を示す。
【0067】
また、前記において、連動するのはスライド機構までとし、三方切替弁12のみ手動で操作する構成にしてもよい。
また、前記
図11において、連動するのはスライド機構までとし、三方切替弁12のみ手動で操作する構成にしてもよい。この場合も、図に示すようにスライド機構39の上面にラック43を設けると共に、スライド機構の上部にモータ48を設け、モータ48の回転軸に設けられたギア42と前記ラック43を歯合させることによりラック・ギア機構を構成し、モータ48の回転にて回転運動を直線運動に変換する。これによりモータ48の回転に連動してスライド機構39が左右に移動する。またモータ48による自動制御のため、自動的に接続および解除が行われる。従って、ワンタッチ解除操作は不要となる。また接続された後、手動にて三方切替弁12を通水方向に操作することで通水が可能になる。
【0068】
また、前記における三方切替弁12に替えて逆止弁付三方管路46を用いてもよい。その接続と分離の構成は前記と同様であるのでその説明を省略する。なお逆止弁付三方管路46はスライド機構39に連動しない構成であり、通水させる切替操作も不要である。
【0069】
以上、実施例5および6に述べた本発明の歯科診療用ユニット1において、回転運動を直線運動に変換する機構としてラックとギアが歯合するラック・ギア機構を用いた例について説明したが、これに限定するものではなく、本発明の流体回路切替装置30における切替操作を満足するものであれば他の変換機構を用いることができる。
【0070】
以上により本発明の医療用ユニットの流体回路洗浄方法および装置は、水道水の流体回路と、消毒・洗浄用の流体を供給する流体タンクの流体回路とを完全に分離し、クロスコネクションを防止することが出来るので、消毒液が水道水側へ逆流する恐れがない。また流体回路を洗浄するときも、水圧源を分離してから行うので、消毒液や洗浄液が水道水側に逆流する恐れがなく、安全に洗浄することができる。
【0071】
なお本実施例では歯科診療用ユニットの流体回路に対して本願発明を適用した例について述べたが、本願発明は前記歯科診療用ユニットに限らず、水を用いて治療をする診療器具を有する診察装置の総てに適用することが可能である。例えば耳鼻咽喉科、産婦人科、泌尿器科、眼科などで用いられる管路洗浄装置または診療装置などに適用可能である。