特許第5694814号(P5694814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694814
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】封書作成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 9/00 20060101AFI20150312BHJP
   B43M 5/04 20060101ALI20150312BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   B65H9/00 A
   B43M5/04
   B65B57/00 F
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-47864(P2011-47864)
(22)【出願日】2011年3月4日
(65)【公開番号】特開2012-184070(P2012-184070A)
(43)【公開日】2012年9月27日
【審査請求日】2014年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 利雄
(72)【発明者】
【氏名】田地 学
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0157578(US,A1)
【文献】 特開2009−251393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H9/00−9/20、39/02−39/075
B43M3/04、5/04
B65B57/00−57/02
B65D27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒と内容物を搬送し、封筒に内容物を封入封緘する封書作成装置において、
予め搬送された複数枚の封筒の搬送方向と直交する幅方向の側縁部の位置のずれ量及びばらつきを含むエッジデータに基づく整合位置データを記憶したメモリと、
前記内容物を揃えて位置を調整する整合手段と、
使用する封筒と内容物の各幅方向の寸法差と、前記エッジデータのずれ量及びばらつきとを比較し、前記ずれ量が前記寸法差を越えているとともに前記ばらつきが前記寸法差よりも小さい場合には前記整合手段を制御して内容物の幅方向の位置を前記ずれ量だけ調整し、前記ずれ量及び前記ばらつきが前記寸法差よりも小さい場合には前記整合手段を制御しない制御手段と、
を有することを特徴とする封書作成装置。
【請求項2】
搬送方向と直交する封筒の幅方向の側縁部を検出してエッジデータを検出するセンサをさらに有しており、
予め複数枚の封筒を搬送して前記センサによって封筒の側縁部の位置のデータを取得し、これに基づいて前記整合位置データを生成して前記メモリに記憶することを特徴とする請求項1に記載の封書作成装置。
【請求項3】
前記メモリに記憶された前記整合位置データが、前記封書作成装置における封書作成条件の変更に伴ってリセットされ、新たな封書作成条件による前記封書作成装置の作動に伴って新たな前記整合位置データが取得されて前記メモリに記憶されることを特徴とする請求項1又は2に記載の封書作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒に内容物を封入封緘する作業を自動的に行なえる封書作成装置に係り、特に、実測された封筒の位置データを用いて必要な場合にのみ位置の調整を行なうことにより、作業を高速化して処理時間を短縮することができる高能率の封書作成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
企業の営業部門や小売業者等がDM(ダイレクトメール)の製作を行なう場合、封入する用紙の印刷は印刷業者に依頼し、封筒の宛て名印刷は自己が所有する複写機で印刷するといったように、用紙の印刷と封筒の印刷を別の印刷手段で実施する場合がある。このような場合には、比較的簡易な構成の卓上封入封緘機を利用し、または手作業により、印刷済みの用紙を封筒に封入して封緘するのが一般的である。なお印刷から封入封緘までを連続的に自動処理する装置も存在するが、高価で広い設置面積を必要とするため、DMの製作頻度が低い利用先では購入が困難であった。
【0003】
下記特許文献1には、封筒に封入すべきシートを折り畳むシート折り手段を備えており、前述したような卓上封入封緘機として利用可能な封入封緘機が記載されている。この装置は、載置されたシート束から最上位シートをシート折り手段に自動的に給紙する自動給紙装置と、手差しされたシートをシート折り手段に給紙する手差しシート給紙手段を備えており、自動給紙モードと、手差しシート供給モードと、自動給紙装置と手差し給紙手段からシートを並行供給するミックスモードとを選択して駆動できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−52596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
封入用紙の印刷内容が封筒毎に異なる1to1ダイレクトメールを作成するために、特許文献1に示したような卓上封入封緘機を利用する場合には、その用紙給紙台にセットする封入用紙の積載順序と、その封筒給紙台にセットする封筒の積載順序を一致させる必要があった。しかし、前述したように封筒の印刷は自社で行なうが、内容物の印刷は外注した場合のように、異なる場所で異なる手段により印刷された用紙と封筒では、その出力順序に違いがあったり、間紙の混入の有無に違いがある等、条件の相違が発生しうるため、卓上封入封緘機の給紙台にセットする際には誤封入防止のために十分な確認が必要であった。また、手作業による封入作業では、誤封入防止の施策に工数がかかり、処理が長時間に及ぶことがあった。
【0006】
本願出願人は、係る課題を解決することを目標として鋭意研究に励み、封筒(又は封筒となる封筒用紙)と内容物の用紙に印刷を施し、内容物を封筒に封入封緘して封書を作成する作業を自動的に行える封書作成装置の開発に成功し、その成果を平成22年9月17日付けで特願2010−209546号として特許出願した。この封書作成装置は、簡易かつコンパクトな構成でありながら、内容物の封入に失敗したり内容物を取り違えて封筒に封入するといった封入ミスが発生しにくいため、ユーザーサイドにおける作業のみで効率的な封書作成を行なうことができ、特に1to1ダイレクトメールの作成等に適している。
【0007】
しかしながら、本願出願人は、先に特許出願した前記封書作成装置についてさらなる改良を加えるべく研究を進める中で、前記封書作成装置の如き発明、すなわち内容物用紙に必要な折りを施して封筒内に自動的に封入できる効率的な自動装置においても、新たな解決すべき課題が存在することを認識するようになった。すなわち、内容物を封筒に円滑に封入するためには、搬送方向に平行な中心線の位置を、封筒と内容物とで可及的に一致させることが必要であるが、そのために前記封書作成装置で行なっている位置合わせ手法では、動作手順が複雑であるために時間がかかりすぎ、作業の高速化による処理時間の短縮が図れないという問題である。
【0008】
図8は、封入に際して封筒と内容物で中心線Cをなるべく一致させることが必要である理由を説明するための図である。前記封書作成装置では、折りを加えることによって封筒形状となる封筒用紙100を用いている。この封筒用紙100は、搬送方向に直交する幅方向の両側縁に感圧接着剤が設けられており、内容物を内包しつつ折りを加えて封筒形状に成形した後、その両側縁の接着範囲110(図9中、斜線で示す)を一対のローラ状の圧着手段で挟持加圧して封緘された封書とすることができる。ここで、特に内容物用紙30の幅と封筒用紙100の幅とが接近している場合には、封入の際に両者の中心線Cをなるべく一致させておかないと、内容物用紙30の側縁が封筒内で封筒用紙100の接着範囲110にかかってしまい、封筒を封緘する際に内容物用紙30と封筒用紙100が接着されてしまうという不具合が生じてしまうのである。
【0009】
図9は、このような不具合を防止するために前記封書作成装置で行なわれている内容物の整合手段Z1の制御手法を示している。すなわち、前記封書作成装置では、封入される複数枚の内容物用紙30を揃えるとともに封筒用紙100に対する位置を調整する手段として、内容物用紙30の整合位置に整合手段Z1が設けられている。内容物用紙30の搬送方向について整合手段Z1の下流側には、整合された複数枚の内容物用紙30を折る図示しない折り手段が設けられている。さらに、内容物用紙30の搬送方向について折り手段の下流側には、折られた内容物用紙30の幅方向の位置を調整する位置合わせ手段Z2が設けられている。さらに、内容物用紙30の搬送方向について位置合わせ手段Z2の下流側には、内容物用紙30を封筒用紙100内に包み込んで封入する図示しない封入封緘手段が設けられており、内包処理を行なえるようになっている。この封入封緘手段の近傍には、封筒用紙100の幅方向の側縁部を検出してエッジデータを検出するエッジセンサSが設けられている。
【0010】
図9に示す前記封書作成装置の制御手法によれば、封入封緘手段の位置に搬送されてくる封筒用紙100の幅方向の位置のずれ量に関しては、予測による数値である最大値(図中「最大ズレ」として示す)を種々の条件に応じて適宜に設定し、これを整合手段Z1における位置調整に利用している。封書作成装置の前段には画像形成装置が配置されて印刷された用紙等を封書作成装置に供給するようになっているが、この画像形成装置で発生する封筒等のずれ量や、封書作成装置の搬送経路において搬送中に発生する封筒等のずれ量などが、最大値を設定する条件となっている。つまり、これらのずれ量を経験的に把握して一定の条件として前記最大値を予測するのである。図9中には、想定されている搬送方向の中心線Cと自らの中心線とが一致したずれ量が0である正規位置にある封筒用紙100aと、中心線について幅方向の左右両方向について各々最大値分だけずれた2つの封筒用紙100b,100cを重ねて示してある。
【0011】
図9に示す前記封書作成装置の制御手法によれば、整合位置において矢印で示すように内容物用紙30を前記最大値に対応する最大ズレ分だけ一方向にシフトさせておく。その後、内容物用紙30は折り手段で折られて封入封緘位置に搬送されるが、ここで封筒用紙100に封入される前に位置合わせ手段Z2で封筒用紙100に対して位置決めされる。すなわち、封入封緘位置にあるセンサSが封筒用紙100の側縁部を実際に検出してエッジデータを取得し、このエッジデータに基づいて位置合わせ手段Z2を制御することにより、最大ズレ位置にある折り後の内容物用紙30を、実際の封筒用紙100の幅方向の位置に合わせて移動させ、位置決めする。
【0012】
このように、本願出願人が先に特許出願した前記封書作成装置は、封筒用紙100内に内容物用紙30を自動的に封入封緘できる効率的な自動装置ではあるが、内容物を封筒に封入する際の位置合わせについては、すべての封筒を整合時に一旦最大ズレ位置まで一律に移動させ、その後、折り後の封入直前において封筒の実際の位置に合わせて再度幅方向に移動させて位置決めしているため、動作手順が複雑で時間がかかりすぎ、作業の高速化による処理時間の短縮が図れないという問題があった。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、封筒内に内容物を自動的に封入封緘する封書作成装置において、実測された封筒の位置のデータを効率的に用いることにより必要な場合のみ位置の調整を行ない、以て作業を高速化し、処理時間の短縮と高能率化を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載された封書作成装置は、封筒と内容物を搬送し、封筒に内容物を封入封緘する封書作成装置において、
予め搬送された複数枚の封筒の搬送方向と直交する幅方向の側縁部の位置のずれ量及びばらつきを含むエッジデータに基づく整合位置データを記憶したメモリと、
前記内容物を揃えて位置を調整する整合手段と、
使用する封筒と内容物の各幅方向の寸法差と、前記エッジデータのずれ量及びばらつきとを比較し、前記ずれ量が前記寸法差を越えているとともに前記ばらつきが前記寸法差よりも小さい場合には前記整合手段を制御して内容物の幅方向の位置を前記ずれ量だけ調整し、前記ずれ量及び前記ばらつきが前記寸法差よりも小さい場合には前記整合手段を制御しない制御手段と、
を有することを特徴としている。
【0016】
請求項に記載された封書作成装置は、請求項1に記載の封書作成装置において、
搬送方向と直交する封筒の幅方向の側縁部を検出してエッジデータを検出するセンサをさらに有しており、
予め複数枚の封筒を搬送して前記センサによって封筒の側縁部の位置のデータを取得し、これに基づいて前記整合位置データを生成して前記メモリに記憶することを特徴としている。
【0017】
請求項に記載された封書作成装置は、請求項1又は2に記載の封書作成装置において、
前記メモリに記憶された前記整合位置データが、前記封書作成装置における封書作成条件の変更に伴ってリセットされ、新たな封書作成条件による前記封書作成装置の作動に伴って新たな前記整合位置データが取得されて前記メモリに記憶されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載された封書作成装置によれば、搬送されてきた封筒の側縁部を検出して得られたエッジデータを元に整合位置データを作成し、これをメモリに記憶している。封筒作成の際には、メモリに記憶した封筒の整合位置データを用いて制御手段が整合手段を制御するので、内容物は適切に揃えられるとともに必要な場合には封筒に対する幅方向の位置が適切に調整される。従って、内容物は折り後は直ちに封筒に封入できるため、従来に比べて不要な動作が少なく、処理時間が短縮化されて高能率化が達成される。
すなわち、この封書作成装置の制御部は、使用する封筒と内容物の各幅方向の寸法差と、エッジデータのずれ量及びばらつきとを比較することによって、整合手段による整合及び位置の調整が可能で必要と判断される場合のみ、整合手段を制御して内容物と封筒の適切な位置調整を行なうことができ、特に位置調整しなくても内容物を支障なく封筒に封入できるような場合には、整合手段を制御しない。よって、従来に比べて不要な動作が確実に少なくなり、処理時間の短縮化と作業の高能率化を確実に達成することができる。
【0020】
請求項に記載された封書作成装置によれば、指定したサイズの封筒及び内容物を用いて行なう封筒作成ジョブについて、最初に搬送されてくる例えば数通の封筒の側縁部をセンサが検出して複数のエッジデータを出力し、これらエッジデータを元に整合位置データを作成してメモリに記憶することができる。このようなデータを用いて前述した整合手段の制御を実行すれば、処理時間の短縮化と作業の高能率化をさらに確実に達成することができる。
【0021】
請求項に記載された封書作成装置によれば、指定したサイズの封筒及び内容物を用いて行なう封筒作成ジョブが完了した場合、又は新たなジョブの指定に伴って封書作成条件が変更された場合には、完了したジョブ又は先行のジョブについて使用されていた整合位置データは消去され、新たなジョブに関する新たな整合位置データが取得されてメモリに記憶されるので、封書作成条件の異なるジョブを短い処理時間で次々に能率良く実行していくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る封書作成装置の構造を示す模式的断面図である。
図2】(a)は実施形態に係る封書作成装置において整合機能を実現するための構成を示す図であり、(b)は(a)における制御手段の機能ブロック図である。
図3】実施形態に係る封書作成装置において、封入封緘手段の前段に設けられた位置合わせ手段の構造を示す平面図である。
図4】実施形態に係る封書作成装置の封入封緘部が備える圧着部の構造と、その封緘作用を示す模式的斜視図である。
図5】実施形態に係る封書作成装置において、圧着手段の前段に設けられた主走査方向位置ずれ補正手段を示す平面図である。
図6】実施形態に係る封書作成装置において使用される封筒用紙の構造と、折り工程の一部を示す斜視図である。
図7】実施形態に係る封書作成装置において、(a)は位置合わせ動作を行なう場合の封書において内容物を透視して示す図であり、(b)は位置合わせ動作を行なわない場合の封書において内容物を透視して示す図である。
図8】封書作成装置における内容物の封筒への封入に際し、封筒と内容物で中心線をなるべく一致させることが必要である理由を説明するための図である。
図9】本願出願人が先に提案した封書作成装置における内容物の整合手段の制御手法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に説明する本発明の実施形態に係る封書作製装置は、作製すべき封書ごとに、折りによって封筒となる用紙と、内容物となる用紙を、時間的な効率が最も良くなるような順序で連続して印刷し、それぞれ異なる搬送経路で搬送しながら必要な折りを加えて最後に合流させて封筒に内容物を封入し、最終的に封筒のフラップを閉じて封緘された封書として装置の上部に揃えて排出する装置である。
【0024】
そして、この封書作成装置は、後に詳述するように、封書作成に使用する封筒と内容物の寸法差に対し、実測された封筒の位置とそのばらつきから、封筒に対する内容物の位置合わせ動作を行なうか否かを判断し、必要な場合にのみ最小限の位置合わせ動作を行なって迅速かつ確実な封入封緘動作を実現する機能を備えたことを特徴とするものである。
【0025】
1.封書作成装置の全体構成と作用の概略について(図1図5
図1に全体構成を示す封書作成装置について、各部の詳細等を示す図2図5を適宜参照しつつ説明する。
図1に示すように、この封書作製装置1は、封筒となる封筒用紙100及び内容物となる内容物用紙30を印刷して排出する印刷部2を備えている。この印刷部2は、装置の各部を収納する筐体4の内部又は側面等に複数の給紙台P(P1〜P4)を備えている。本例では、筐体4の側面に取り付けられた給紙台P1に封筒用紙100が収納され、筐体4の内部に設けられた給紙台P2〜P4に内容物となる枚葉状の内容物用紙30が収納されている。
【0026】
これら給紙台Pから出た用紙等は、導入路からループ状の搬送路5に送り込まれて搬送され、搬送路の下半部に沿って下向きに所定間隔で配置された印刷手段によって画像が形成される。本例では、印刷手段として、シアン、ブラック、マゼンタ、イエローの各色のインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェット装置C、K、M、Yが配置されている。
【0027】
このループ状の搬送路5には、印刷手段の下流の隣部に、ほぼ水平な方向で用紙をループ外に排出する第1の排出路6が分岐して設けられている。また、ループ状の搬送路5の上半部には、用紙をループ外に排出する第2の排出路7が分岐して設けられている。さらに、第2の排出路7と給紙台Pからの導入路との間にはスイッチバック路8が分岐して設けられている。このスイッチバック路8は、搬送路5を搬送されてきた用紙を受け入れた後に逆行させて搬送路5に戻すことにより、搬送路5中における用紙の上下を反転させる手段である。このスイッチバック路8を用い、用紙の上下面を逆転させて搬送路5を2回通過させれば、インクジェット装置C、K、M、Yで用紙の両面にカラー画像を形成するカラー両面印刷を行なうことができる。
【0028】
図1に示すように、印刷部2の隣部には、印刷部2の第1の排出路6から送られた封筒用紙100や内容物用紙30を受け入れて処理し、当該封筒に当該用紙を封入して封緘するための封入封緘部3が設けられている。
【0029】
前記印刷部2の第1の排出路6は水平に延設されて外部に突出しており、隣にある封入封緘部3の筐体9内に導入されている。筐体9内では、この排出路6は、第2の搬送経路20と第1の搬送経路10に分岐しており、それぞれ斜め下方に延設されている。
【0030】
図1に示すように、封入封緘部3の筐体9内に導入された排出路6の近傍であって、第2の搬送経路20と第1の搬送経路10が分岐する手前の位置には、センサS2が設けられている。このセンサS2は、後述するセンサS1の代わりに使用可能なセンサであり、排出路6を通過する封筒用紙100の一方の側縁部、すなわち搬送方向と直交する幅方向の片側のエッジを検出し、エッジデータを出力する。ここで、搬送経路10における搬送の中心線に対して封筒用紙100が中心線を一致させた状態を、搬送方向に直交する幅方向の位置のずれ量が0である理想状態であるとすると、前記エッジデータとは、封筒用紙100の側縁部が理想状態から幅方向に偏差した長さである「ずれ量」を意味する。さらに、後述するように、複数枚の封筒のエッジを測定して複数の「ずれ量」を得た場合には、制御手段における演算によって得られる「ずれ量」の中央値又は平均値を意味するとともに、それら「ずれ量」の範囲を示す「ばらつき」をも意味することとなる。
【0031】
第1の搬送経路10の前半の経路11は、封筒用紙100を第1の折り手段に搬送する案内路である。第2の搬送経路20の前半の経路21は、内容物用紙30を第2の折り手段に搬送する案内路である。第1及び第2の搬送経路10,20の切り替えは、第1の排出路6において、第1の搬送経路10と第2の搬送経路20の分岐点に設けられた図示しない切り替えフラップで行なう。
【0032】
第1の搬送経路10の前半の経路11の終端には、センサS1が設けられている。このセンサS1は、図2に示すように、経路11を通過する封筒用紙100の一方の側縁部、すなわち搬送方向と直交する幅方向のエッジの一方を検出し、エッジデータを出力する。エッジデータの意味は、先にセンサS2で説明した内容と同一であり、封筒用紙100の側縁部が理想状態から幅方向にずれた長さである「ずれ量」を意味する。さらに、後述するように、複数枚の封筒のエッジを測定して複数の「ずれ量」を得た場合には、制御手段90における演算によって得られる「ずれ量」の中央値又は平均値を意味するとともに、それら「ずれ量」の範囲を示す「ばらつき」をも意味することとなる。具体例を挙げれば、次々に搬送されてくる複数枚の封筒用紙100の各側縁部をセンサS2で検知した場合において、前記理想状態にある封筒用紙の一側縁部の位置から外方向(仮にこの方向を+方向とする)に2mmの位置を最内側とし、同6mmの位置を最外側とする範囲内に、各封筒の各側縁部が検出された場合には、後述するように、制御手段90によって「ずれ量」はこれら各値の中央値である+4mmと算出され、「ばらつき」はこの中央値を中心として±2mmの範囲であるとの演算結果が得られることとなる。
【0033】
センサS1の下流、経路11の終端には、封筒用紙100を折って封筒の形態を作製するために使用できる第1の折り手段が設けられている。この第1の折り手段には、回動自在の主折りローラA’と、これに接して回動する用紙搬送ローラD’及び第1折りローラB’が設けられている。これらのローラはゴム製であり、その軸方向の長さは封筒用紙100の幅よりも大きい。また、主折りローラA’と用紙搬送ローラD’の先には、先端に用紙の突き当て部を有する経路51が設けられている。
【0034】
第1の搬送経路10の第1の折り手段の主折りローラA’と第1折りローラB’の間からは、第1の搬送経路10の後半の経路13が水平方向に延設されている。この後半の経路13の終端は、後に詳述する封入封緘手段に導かれている。
【0035】
この折り手段では、後述する三つ折りの封筒用紙100(図6に示す)を折らずに単に通過させ、後述する封入封緘手段で必要な折りを行なって封入封緘を行なわせる。但し、四つ折りの封筒用紙を使用する場合には、前記第1の折り手段において主折りローラA’と用紙搬送ローラD’で搬送して経路51に送り込み、末端の突き当て部に突き当てて撓ませる。撓んだ部分は主折りローラA’と用紙搬送ローラB’の間に挟まれ、後半の経路13で搬送されるので、封筒用紙100は1回折られた形態で封入封緘手段に送り込まれる。
【0036】
次に、排出路6から分岐した第2の搬送経路20は、前記第1の搬送経路10よりも下方に配置されており、印刷部2の排出路6から水平方向に送られた用紙を斜め下方に送る前半の経路21を有している。
【0037】
この経路21の中途には、まず整合手段Z1が設けられている。整合手段Z1は、図2に示すように、経路21における搬送の中心線の両側にそれぞれ1個ずつが互いに平行に配置された板状の整合板から構成されている。各整合板は、互いの平行状態を保ちながら、それぞれ独立して所望の方向に所望の寸法だけ移動することができる。また、経路21において、整合手段Z1の下流には、用紙搬送ローラ22と、開閉自在なゲート23が設けられている。ゲート23で経路21を閉止することにより、搬送されてきた内容物用紙30を経路21内で重ねて貯留することができる。そして、この状態において、前記整合手段Z1は、後に詳述するように制御手段90から送られてくる整合位置データに基づいて移動し、経路21内で重ねられた内容物用紙30を揃え、その幅方向の位置を、後に封入封緘手段で合流する封筒用紙100の幅方向の位置に合わせて調整することができる。
【0038】
この経路21の終端には、図1中に示すように、内容物用紙30を折り畳むための第2の折り手段が設けられている。この第2の折り手段には、回動自在な中央の主折りローラAが設けられ、さらに、第1折りローラB、第2折りローラC及び1つの用紙搬送ローラDが主折りローラAにそれぞれ回動自在に接触している。これらのローラはゴム製であり、その軸方向の長さは内容物用紙30の幅よりも大きい。また、主折りローラAと用紙搬送ローラDの先には、先端に用紙の突き当て部を有する経路52が設けられており、また主折りローラAと用紙搬送ローラBの先には、先端に用紙の突き当て部を有する経路53が設けられている。
【0039】
第2の搬送経路20の第2の折り手段の主折りローラAと第2折りローラCの間からは、第2の搬送経路20の後半の経路26が、斜め上方に延設されている。この後半の経路26は、前記封入封緘手段において第1の搬送経路10の後半の経路13と合流している。
【0040】
第2の搬送経路20に設けられた前記第2の折り手段で内容物用紙30を折る場合には、内容物用紙30を、主折りローラAと用紙搬送ローラDで搬送して経路52に送り込み、末端の突き当て部に突き当てて撓ませる。用紙の撓んだ部分が主折りローラAと用紙搬送ローラBの間に挟まれて搬送され、1回目の折りが行われる。さらに折られた内容物用紙30を経路53に沿って搬送し、末端の突き当て部に突き当てて撓ませる。撓んだ部分が主折りローラAと用紙搬送ローラCの間に挟まれて搬送され、2回目の折りが行われる。このように、内容物用紙30は2回折られて三つ折りにされ、後半の経路26を経て封入封緘手段に送られる。
【0041】
図1に示すように、経路26には、前記封入封緘手段の手前の位置に、折り後の内容物用紙30の幅方向の位置を調整する位置合わせ手段Z2が設けられている。この位置合わせ手段Z2は、図2中に矢印で仮想的に示すように、折り後の内容物用紙30の封筒用紙100に対する幅方向の位置合わせを行なう装置であり、本実施形態においては必ず使用されるものではなく、必要に応じて駆動される装置である。図3に平面図で示すように、この位置合わせ手法Z2は、モータ等の駆動手段200によって幅方向に移動自在とされた搬送基板201に、搬送ローラ202を設けたものであり、内容物用紙30を搬送しながら幅方向に移動することができる。そして、封筒用紙100に対して位置合わせされた内容物用紙30が封入封緘手段に送り込まれて封入封緘が行なわれる。
【0042】
図1に示すように、第1の搬送経路10と第2の搬送経路20の合流点には、封入封緘手段が設けられている。
この封入封緘手段は、封筒用紙100に必要に応じて折りを与える第3の折り手段としての機能を備えている。また封入封緘手段は、折られた封筒用紙100に内容物用紙30を合わせた後に折りを加えることにより、内容物を封筒内に包み込ませる封入手段でもある。さらに封入封緘手段は、この封筒を封緘する封緘手段も備えている。
【0043】
まず封入封緘手段には、第3の折り手段である回動自在の主折りローラA”と、これに接して回動する用紙搬送ローラD”及び第1及び第2折りローラB”,C”が設けられている。これらのローラはゴム性であり、その軸方向の長さは封筒用紙100の幅よりも大きい。三つ折りの封筒用紙100は、第1の折り手段(主折りローラA’及び第1折りローラB’等)を折られることなく単に通過した後、第3の折り手段である主折りローラA”等に送られ、ここで内容物30を封入された状態で折りが実行される。
【0044】
封入封緘手段の主折りローラA”と用紙搬送ローラD”の搬送方向に沿って、これらローラの下方には、下端に用紙の突き当て部を有する経路46が上下方向に沿って配置されている。
【0045】
封入封緘手段の主折りローラA”と第1用紙搬送ローラB”の搬送方向に沿って、これらローラの図中右方には、先端に用紙の突き当て部を有する経路59が配置されている。この経路59の突き当て部の手前下方には、後述する封筒用紙100の再湿糊107に水を付けて接着力を発揮させ、封筒用紙100を後述する再湿糊107で接着して封筒にする接着力付与手段として、加水手段60が設けられている。
【0046】
封入封緘手段の主折りローラA”と第2折りローラC”の間には、斜め上前方に向けて傾斜した経路47が配置されている。この経路47には、封筒の搬送方向に沿って、図示しない搬送ローラと、封入封緘手段の一部を構成する封緘手段としての圧着ローラ80が設けられている。図4に示すように、圧着ローラ80は、上下1組で左右2対が設けられており、内容物用紙30が封入された封筒用紙100の幅方向の両縁部を、それぞれ上下から挟持して圧力を加え、後述する感圧接着剤106による封緘を行なうことができる。
【0047】
図5に示すように、圧着ローラ80の手前には、主走査方向についての封筒用紙100の位置を調整する位置ずれ補正手段Z3が設けられている。位置ずれ補正手段Z3は、モータ等の駆動手段210によって幅方向に移動自在とされた搬送基板211に、搬送ローラ212を設けたものであり、内容物用紙30を内包して封筒形状に折られた封筒用紙100を搬送しながら幅方向に移動して主走査方向の位置を調整することができる。そして、圧着ローラ80に対して封筒用紙100を位置合わせし、封筒用紙100の両側縁部の圧着領域を圧着ローラ80で挟持搬送して封緘を完成することができる。
【0048】
封緘を終えて作製された封書は、経路47を経て、筐体9の上面に設けられた排出トレイ48に排出される。
【0049】
そして、図1に示すように、封書作製装置1は、以上説明した印刷部2と封入封緘部3からなる装置全体を統括して制御する制御部90を有している。
【0050】
2.封筒用紙について(図6
本実施形態で使用する封筒用紙100の形状・構造について図6を参照して説明する。 図6は本実施形態で使用される三つ折りタイプの封筒用紙100を裏面(宛て名が印刷される側と反対側)から見た図であって、封筒に折る中途の状態で示した図であるが、内包される内容物30は示していない。この封筒用紙100は、第1紙片101、第2紙片102、第3紙片103の3つの略同形の矩形の紙片が折り線で折り曲げられた矩形の用紙である。
【0051】
図6に示すように、三つ折りの封筒用紙100を折って封筒の形態にするためには、まず第3紙片103を裏面に折り返して第2紙片102の裏面の上に重ねる。内容物用紙30は、第2紙片102と第3紙片103の間に封入するが、手順によっては第3紙片103の表面の上に載置してもよい。さらに第1紙片101を裏面に折り返して第3紙片103の表面(又はその上にある内容物用紙30の上)に重ねれば、封筒の形状となる。
【0052】
図6に示すように、第3紙片103の表面において、第2紙片102の表面との間の折り線の近傍には、幅方向に平行な再湿糊107のパターンが形成されている。再湿糊107は、封入封緘手段において前述した加水手段60で水を付けられると接着力が生じるので、加水後に折り手段の主折りローラA”と第2折りローラC”の間を通過すれば、封筒は封緘される。
【0053】
図6に示すように、各紙片の幅方向の両側縁には、互いに対応する位置に感圧接着剤106が帯状のパターンで設けられている。前述した封書作成装置1の機能により、封筒用紙100に内容物用紙30を内包しつつ、封筒用紙100の各紙片を重ねて封筒の形態を作り、感圧接着剤106同士を対面させた状態とする。そして、図4を参照して説明したように、この封筒形態の封筒用紙100を圧着ローラ80で挟み込んで搬送し、その両側縁部に圧力を加えれば、重ねられた紙片同士が感圧接着剤106で接着され、封筒の形態が形成される。
【0054】
3.制御手段90によるセンサS1及び整合手段Z1等を用いた制御について(図2及び図7
次に、封書作成装置における封筒用紙100と内容物用紙30の位置合わせ動作と、その制御について、図2及び図7等を参照して説明する。なお、図2中に示した制御手段90は、前述したように印刷部2と封入封緘部3からなる封書作製装置1の全体を統括して制御する手段であるが、本項ではセンサS1及び整合手段Z1等を用いた用紙の整合乃至位置調整制御等に関連する機能のみについて図示し、説明するものとする。
【0055】
図2(a)に示すように、この封書作成装置1では、前記センサS1によって封筒用紙100のエッジを実測し、制御手段90がエッジデータとしてのエッジのずれ量を取得する。制御手段90は、エッジのずれ量から整合手段Z1を制御するためのデータである整合位置データを生成し、これを記憶部に保持して以降の制御に用いることにより、迅速な位置合わせを行なうことができる。
【0056】
図2(b)に示すように、制御手段90は、データの演算や他の機能構成部分に対する制御指令を行なう制御部91を備えている。制御部91には、センサS1から送られるエッジデータが入力されるとともに、封書作成に使用する封筒用紙100及び内容物用紙30の種類を指定する封書作成情報が入力手段92から入力される。
【0057】
ジョブ開始時、センサS1は、当該ジョブ中の最初の複数枚の封筒用紙100のエッジを検出し、複数のずれ量を制御部91に送る。制御部91は、これらの複数のずれ量から中央値又は平均値として代表となるずれ量を演算する。また、これらの複数のずれ量からばらつきを演算する。これら算出された「ずれ量」及び「ばらつき」は、後述する比較判断部93に送られる。
【0058】
所定複数枚の封書を作成する一ジョブごとに、ユーザーは入力手段92から制御部91に封書作成情報を与えるが、この封書作成情報においては、使用する封筒用紙100及び内容物用紙30の種類が指定されている。なお、封筒のサイズは郵便法で定められているので、封筒用紙100の種類は規格に定められたものに限定されるのが普通であるが、内容物については限定がないので、規格に定められた用紙の種類を指定できる他、任意の形状の用紙を指定したい場合には、その寸法(幅及び長さ)を入力手段92で数値により指定することもできる。
【0059】
図2(b)に示すように、制御手段90は記憶部M1を有している。記憶部M1には、規定の封書用紙100及び規定の内容物用紙30の幅方向及び縦方向の寸法等の用紙基本データが記憶されるとともに、封書用紙100及び内容物用紙30の各組み合わせについての幅方向の寸法差のデータがテーブル形式で記憶されている。制御部91は、入力手段92から入力される封書作成情報に従い、記憶部M1から必要な寸法差のデータを後述する比較判断部93に出力させる。
【0060】
なお、詳細は後述するが、封筒用紙100と内容物用紙30の位置合わせの制御においては、封筒用紙100と内容物用紙30の幅方向の寸法差が重要なデータであり、この寸法差のテーブルデータは、位置合わせによる制御の必要性等を判断するために必要である。すなわち、図7(b)に示すように、封筒用紙100の内幅が内容物用紙30の外幅に対して十分に大きければ、ずれが大きくても位置合わせすることなく封入できる場合があるが、図7(a)に示すように、封筒用紙100の内幅が内容物用紙30の外幅に対してあまり余裕がなければ、ずれが小さくても位置合わせが必要になる場合もあるからである。従って、本実施形態では、封筒用紙100と内容物用紙30の幅方向の寸法差と、封筒のずれ量との関係から、封入のために位置合わせの必要性を判断することとしている。
【0061】
図2(b)に示すように、比較判断部93には、記憶部M1から送られる寸法差と、制御部91から送られる「ずれ量」及び「ばらつき」が入力される。比較判断部93では、これらのデータから、封筒用紙100に対する内容物用紙30の位置を整合手段Z1のみによって調整する制御を行なうか否かを判断するとともに、行なう場合には整合手段Z1を駆動する整合位置データを生成し、記憶部M2に保存する。また行なわない場合において、そのまま封入を行なうか、又は位置合わせ手段Z2も併用して折り後の内容物用紙30を位置合わせする他の制御を行なうかについても判断する。
【0062】
まず、ばらつきとずれ量の両方が、寸法差よりも小さい場合には、整合手段Z1による位置調整を行なわない。位置を調整せず、そのままで内容物用紙30を封筒用紙100に封入しても、内容物用紙30は封筒用紙100の両側縁の接着範囲110(例えば図7(b)中、斜線で示す)から十分に離れた位置に包み込まれるからである。
【0063】
例えば、封筒用紙100の内部幅が220mmで、内容物用紙30の幅が210mmであった場合を例にとる。この場合には、寸法差は片側5mmである。ここで、封筒用紙100のずれ量の中央値が2mmであり、ばらつきが±2mm以内(中央値の2mmの位置から両側に2mmずつの範囲)であれば、そのジョブについては内容物用紙100を移動させる必要はない。
【0064】
次に、ずれ量は寸法差を越えているが、ばらつきが寸法差よりも小さい場合には、整合手段Z1による位置調整を行なう。封筒用紙100のずれ量だけ、内容物用紙30を反対方向にシフトさせてやれば、ばらつきは寸法差の範囲内に収まっているので、修正することが可能だからである。
【0065】
例えば、前述の寸法差が片側5mmの例において、封筒用紙100のずれ量の中央値は5mmを越えているが(例えば6mm)、ばらつきが±2.5mm以内であれば、内容物用紙100を、封筒用紙100のずれ方向と反対方向に、封筒用紙100のずれ量(例えば前述した6mm)だけ移動させれば、調整することができる。この場合には、比較判断部93は、制御部91から送られたずれ量の中央値を整合位置データとして記憶部M2に記憶させる。このジョブについては、記憶部M2に記憶させた前記整合位置データによって制御することができる。
【0066】
次に、ばらつきが寸法差を越えている場合には、整合手段Z1のみによる位置調整は行なわない。この場合には、[発明が解決しようとする課題]の項で説明したように、整合手段Z1によって内容物用紙30を、予測された最大値(最大ズレ)だけ予め移動しておき、折り後の内容物用紙30の位置を、センサS1で実測した封筒用紙100のエッジ位置に応じて位置合わせ手段Z2で調整する。図2(a)において一点鎖線で囲んだ部分は、このような場合に位置合わせ手段Z2を作動させることを示している。
【0067】
例えば、前述の寸法差が片側5mmの例において、封筒用紙100のずれ量の中央値に関わらず、ばらつきが±2.5mmを越えていれば(例えば±5mm)、このジョブについては、封筒用紙100ごとに内容物用紙30の位置をその都度調整する制御を行なうこととする。
【0068】
以上説明したように、この封書作成装置によれば、所定種類の封筒用紙100及び内容物用紙30から所定複数枚の封書を作成する一ジョブごとに、最初の複数枚(例えば10枚)の封筒用紙100についてエッジを検出して複数のエッジデータ(ずれ量)を取得し、当該ジョブにおける封筒用紙100のずれ量の中央値及びばらつきを制御手段90で算出する。そして、制御手段90では、このデータと、当該ジョブに使用される封筒用紙100及び内容物用紙30の幅の寸法差から、整合手段Z1による制御を実行するか否かを判断するとともに、実行する場合には必要な整合位置データを生成して記憶部M2に保存する。一旦、必要な整合位置データが記憶部M2に保存されれば、後は一切センサS1によって封筒用紙100を検出する必要がなく、当該ジョブ中は、既に取得している整合位置データで整合手段Z1を駆動し、前記内容物用紙30を揃えて封筒用紙100に対する位置を調整するだけで、失敗のない迅速な封入を実行して、高速で封書作成を行なうことができる。
【0069】
本実施形態では、ジョブごとに必要な整合位置データが記憶部M2に保存されて制御に使用されるが、当該ジョブが終了した場合、又は次のジョブが指定されて封書作成情報が装置に与えられた場合には、記憶部M2に記憶された従前の整合位置データをリセットし、新たな封書作成条件による封書作成装置の作動に伴って新たな整合位置データが生成されて記憶部M2に記憶されるようにしてもよい。
【0070】
なお、本実施形態では封入封緘部3の入口である排出路6にセンサS2を設けているので、このセンサS2を前記センサS1の代わりに使用することもできる。この場合には、封筒用紙100のエッジ位置を早期に知ることができるため、記憶部にデータを記憶することなく、封筒用紙100を搬送する都度、エッジデータを制御手段90に送り、そのずれ量だけ内容物用紙30を移動して封筒用紙100に対する位置を調整することができる。ただし、この場合には、エッジ位置を検出したセンサS2の位置が封入封緘手段よりもかなり上流であるため、エッジデータ取得後に封筒用紙100の幅方向の位置が搬送中にさらにずれれば、その分だけ封筒のエッジデータの正確度は低下する可能性がある。
【0071】
4.実施形態の変形例について
以上説明した実施形態では、封入封緘部3の側に設けられたセンサS1によって複数の封筒用紙100のエッジデータを取得し、これを基として制御手段90が封筒用紙100及び内容物用紙30の寸法差から、整合位置データを生成していた。しかしながら、封筒用紙100のエッジを検出するセンサは画像形成部2の側にあってもよいし、整合位置データを生成するために必要な封筒用紙100及び内容物用紙30の寸法差のデータも画像形成部2に専用の制御手段から供給されるものであってもよい。
【0072】
以上説明した実施形態の封書作成装置1における封入封緘部3の構成は一例にすぎず、封入封緘部における封筒用紙100及び内容物用紙30の搬送経路は必ずしも別々にする必要はなく、全部又は一部共通の搬送経路を両用紙が時差をもって搬送されるようにしてもかまわない。
【0073】
以上説明した実施形態の封書作成装置1は印刷部2を備えていたが、印刷部は本発明の封書作成装置としては必須の条件ではない。なお、印刷部を有する場合においては、印刷部は封入封緘部と一体の装置に限らず、既設の画像形成装置であってもよい。すなわち、既に事業所等に設置してある通常の画像形成装置を本実施形態における印刷部2とし、これに封入封緘部3を接続することによって本発明の封書作製装置1とすることができる。このため、1台の既設の画像形成装置を利用して封筒用紙100と内容物用紙30の印刷を行なうことができ、自動的な封書作製装置の設置コストが少なくて済む。また、画像形成装置としては、実施形態で説明したようなインクジェット装置を用いるものでもよいし、その他の種類の画像形成手段でもよく、画像形成原理は問わない。
【0074】
以上説明した実施形態の封書作成装置1では、封筒用紙100を折って封筒を形成していたが、当初から完成した封筒を使用してもよい。
【0075】
以上説明した実施形態では、封筒用紙100及び内容物用紙30として枚葉状の用紙を使用したが、例えばロール状の用紙を使用し、使用の都度、必要な長さに切断して供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…封書作製装置
2…印刷部
3…封入封緘部
10…第1の搬送経路
11…第1の搬送経路の一方の経路
13…第1の搬送経路の他方の経路
20…第2の搬送経路
21…第2の搬送経路の一方の経路
26…第2の搬送経路の他方の経路
30…内容物用紙
60…接着力付与手段としての加水手段
80…封入封緘手段の一部を構成する圧着ローラ
90…制御手段
91…制御部
93…比較判断部
100…封筒用紙
A,A’…折り手段としての主折りローラ
B.B’…折り手段としての第1折りローラ
C…折り手段としての第2折りローラ
D,D’…折り手段としての用紙搬送ローラ
A”…封入封緘手段の一部を構成する主折りローラ
B”…封入封緘手段の一部を構成する第1折りローラ
C”…封入封緘手段の一部を構成する第2折りローラ
D”…封入封緘手段の一部を構成する用紙搬送ローラ
Z1…整合手段
Z2…位置合わせ手段
Z3…位置ずれ補正手段
S1,S2…センサ
M1,M2…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9