(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に熱変色性インキを収容し、且つ該熱変色性インキが吐出可能なボールペンチップを前端に備えたボールペン本体と、前記ボールペン本体の後端部に設けられ、熱変色性インキで形成された筆跡を擦過しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部と、前記ボールペン本体の前部及び後部に着脱自在に装着されるキャップとからなる熱変色性ボールペンであって、
前記ボールペンチップは、チップ内にボールの後端を前方に弾発する弾発部材を配して、非筆記時にはチップ先端の内縁にボールを押圧させて密接状態とし、筆記時には筆圧によりボールを後退させてインキを流出可能に構成し、
前記キャップが両端を開口させた筒体よりなり、
前記キャップをボールペン本体の前部に装着したとき、前記ボールペンチップの前端が前記キャップの内部に位置し、
前記キャップをボールペン本体に後ろ差ししたとき、前記キャップの開口部から前記摩擦部が外部に突出し、
前記キャップを前記ボールペン本体に後ろ差しした状態で前記キャップを把持して前記摩擦部を紙面に押し当てたときの前記キャップの紙面方向の移動を防止するための固定手段を設け、前記固定手段が、前記キャップ内面に設けた係合部と、前記ボールペン本体に設けられ、該係合部と係合可能な被係合部とからなり、
前記キャップをボールペン本体に後ろ差ししたときに前記キャップ内面に設けた係合部はボールペン本体の被係合部と係合し、一方、前記キャップをボールペン本体の前部に装着したときに前記キャップ内面に設けた係合部はボールペン本体と係合しないことを特徴とする熱変色性ボールペン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の熱変色性筆記具は、筆跡を摩擦するための摩擦体が筆記具本体の後端部に装着されている。キャップ式筆記具の場合、キャップを後ろ差しにして筆記することが一般的である。特許文献1の熱変色性筆記具は、キャップを後ろ差しにして筆記しているときに、誤字等を消去しようとしても摩擦体にはキャップが被せられているため、一旦キャップを筆記具後部から外さなければ擦過動作に移れないという不具合があった。
又、前記特許文献2に記載の熱変色性筆記具は、キャップ後ろ差し時には摩擦体が外部に突出しており、熱変色性インキによる筆跡を摩擦することができるが、キャップを後ろ差しにしていない状態、例えばキャップを筆記具から外したままの状態で筆記した筆跡を摩擦しようとした場合などにおいては、摩擦体はキャップ内部に没入しており筆跡を摩擦することができない。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決するものであり、筆記時にキャップを後ろ差しにした状態で、或いはボールペンの不使用時にキャップを装着した状態で、又、キャップを外してボールペンとキャップが離れた状態など、いつでも熱変色性筆跡を摩擦することができる熱変色性ボールペンを提供しようとするものである。
尚、本発明において、「前」とはペン先側を指し、「後」とはその反対側を指す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内部に熱変色性インキを収容し、且つ該熱変色性インキが吐出可能なボールペンチップを前端に備えたボールペン本体と、前記ボールペン本体の後端部に設けられ、熱変色性インキで形成された筆跡を擦過しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部と、前記ボールペン本体の前部及び後部に着脱自在に装着されるキャップとからなる熱変色性ボールペンであって、前記キャップが両端を開口させた筒体よりなり、前記キャップをボールペン本体の前部に装着したとき、前記ボールペンチップの前端が前記キャップの内部に位置し、前記キャップをボールペン本体に後ろ差ししたときに前記キャップの開口部から前記摩擦部が外部に突出することを要件とする。
【0007】
更に、前記キャップをボールペン本体に後ろ差ししたときの前記キャップの移動を防止するための固定手段を設けたこと、前記固定手段が、前記キャップ内面に設けた係合部と、前記ボールペン本体に設けられ、該係合部と係合可能な被係合部とからなること、前記固定手段が前記キャップ内面に設けた凸部と、前記ボールペン本体の外面に設けられ、該凸部と係合可能な凹部とからなること、前記固定手段が前記キャップ内面に設けた凹部と、前記ボールペン本体の外面に設けられ、該凹部と係合可能な凸部ととからなること、前記固定手段が前記キャップ内面に設けた凸部と、前記ボールペン本体の外面に設けられ、該凸部と係合可能な凸部とからなること、及び前記固定手段が前記キャップに設けた溝と、前記ボールペン本体外面に設けられ、該溝と係合可能な凸部とからなること等を要件とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記構成とすることにより、キャップを外して後ろ差し状態で筆記しているとき、キャップをボールペン前部に装着して筆記をしていないとき等、いつでも熱変色性筆跡の摩擦動作を行うことができる利便性の高い熱変色性ボールペンを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の熱変色性ボールペンは熱変色性インキを収容し先端にボールペンチップを備えたボールペン本体、前記ボールペン本体に取り付けられた摩擦部、及び両端が開口したキャップとからなる。
本発明において、前記熱変色性インキは、可逆熱変色性インキが好ましい。前記可逆熱変色性インキは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態または消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、または、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独または併用して構成することができる。
【0011】
また、前記可逆熱変色性インキに含有される色材は、従来より公知の(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体、の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が好適に用いられる。
【0012】
本発明では、
図9に示すように、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t
1)以下の低温域での発色状態、または完全消色温度(t
4)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t
2〜t
3の間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で記憶保持できる色彩記憶保持型熱変色性インキが適用されることが好ましい。
図9において、ΔHは、ヒステリシスの程度を示す温度幅(即ちヒステリシス幅)を示す。ΔHの値が小さいと、変色前後の両状態のうち一方の状態しか存在しえない。ΔHの値が大きいと、変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0013】
本発明では、前記熱変色性インキの摩擦部の摩擦熱による変色温度は、25℃〜95℃(好ましくは36℃〜95℃)に設定される。即ち、本発明では、前記高温側変色点〔完全消色温度(t
4)〕を、25℃〜95℃(好ましくは、36℃〜90℃)の範囲に設定し、前記低温側変色点〔完全発色温度(t
1)〕を、−30℃〜+20℃(好ましくは、−30℃〜+10℃)の範囲に設定することが有効である。それにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持を有効に機能させることができるとともに、可逆熱変色性インキによる筆跡を摩擦部による摩擦熱で容易に変色することができる。
【0014】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、粒子径の平均値が0.5〜5.0μm、好ましくは1〜4μmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径が5.0μmを越える系では、ボールペンチップや多孔質ペン体の毛細間隙からの流出性が低下し、平均粒子径が0.5μm以下の系では高濃度の発色性を示し難くなる。
【0015】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、インキ組成物全量に対し、2〜50重量%(好ましくは3〜40重量%、更に好ましくは、4〜30重量%)配合することができる。2重量%未満では発色濃度が不充分であり、50重量%を越えるとインキ流出性が低下し、筆記性が阻害される。
【0016】
本発明の摩擦部は軟質材料から構成されることが好ましい。前記摩擦部を構成する軟質材料とは、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。
【0017】
前記摩擦部を構成する弾性を有する合成樹脂は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に消しカスが生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。
【0018】
前記ボールペンチップは、従来より汎用のチップ機構、例えば、金属を切削加工して内部にボール受け座とインキ導出部を形成したもの、金属製パイプの先端近傍の内面に複数の内方突出部を外面からの押圧変形により設け、前記内方突出部の相互間に、中心部から径方向外方に放射状に延びるインキ流出間隙を形成したもの等を適用でき、特に押圧変形によるチップは、ボール後面との接触面積が比較的小であり、低筆記圧でのスムーズな筆記感を与えることができる。
前記ボールペンチップに抱持されるボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等の外径0.1〜2.0mm、好ましくは0.3〜1.5mm、より好ましくは0.4〜1.0mmのボールが有効である。
【0019】
なお、前記ボールペンチップには、チップ内にボールの後端を前方に弾発する弾発部材を配して、非筆記時にはチップ先端の内縁にボールを押圧させて密接状態とし、筆記時には筆圧によりボールを後退させてインキを流出可能に構成することが好ましく、不使用時のインキ漏れを抑制できる。
前記弾発部材は、金属細線のスプリング、前記スプリングの一端にストレート部(ロッド部)を備えたもの、線状プラスチック加工体等を例示でき、10〜40gの弾発力により、押圧可能に構成して適用される。
【0020】
前記ボールペンチップと直接、或いは、接続部材を介して連結されるインキ収容管は、汎用の筒状成形部材、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂による成形部材がインキの低蒸発性、生産性の面で好適に用いられる。
又、前記インキ収容管は、2.5〜10mmの内径を有するものが好適に用いられる。
更に、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
【0021】
前記インキ収容管に収容したインキの後端にはインキ逆流防止体が充填される。
前記インキ逆流防止体は不揮発性液体及び/又は難揮発性液体(基油)からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
【0022】
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
前記インキ逆流防止体の基油としては、ポリブテン又はシリコーン油が好適に用いられ、増粘剤としては脂肪酸アマイド又はシリカが好適に用いられる。
なお、インキ逆流防止体には、樹脂製の固体栓を併用することもできる。
【0023】
通常、筆記具には、一端が開口し他端が閉鎖された筒状体、或いは両端が開口した筒状体の一端を頭冠等で密閉する形態のキャップが用いられるが、本発明の熱変色性ボールペンに適用されるキャップは両端が開口していることを特徴とする。
両端が開口されたキャップを用いることでキャップを後ろ差ししたときにおいても、ボールペン後端部に装着された摩擦部を用いて、熱変色性インキで形成された筆跡を擦過して熱変色させることができる。
【0024】
又、前記キャップを前記ボールペン本体後部に後ろ差しして、擦過動作を行うときのために、前記キャップの移動を防止するための固定手段を設けることが好ましい。
前記固定手段が設けられていない場合、後ろ差ししたキャップを把持し、摩擦部を紙面に押し当てると、前記キャップが紙面方向に移動してしまい、筆跡の擦過ができなくなる。
【0025】
前記固定手段としては例えば前記キャップ内面に設けた凸部と前記ボールペン本体外面に設けた凹部とからなる構成、或いはキャップ内面に設けた凹部とボールペン本体外面に設けた凸部とからなる構成を挙げることができる。前記凸部及び前記凹部は環状、点状、異形形状等適宜選択されるが、環状凸部と環状凹部、或いは点状凸部と環状凹部の組合せであれば周方向の係合位置に制約がないため好適である。
【0026】
他の固定手段として、前記キャップ内面に設けた凸部と、前記ボールペン本体に設けた凸部とからなる構成を挙げることができる。
この構成の固定手段においては、前記キャップの後ろ差し時に前記キャップ内面に設けられた凸部が、前記ボールペン本体外面に設けられた凸部を乗り越えて係止することにより前記キャップの移動を防止することができる。
前記凸部同士で構成される固定手段において該凸部は、環状凸部と環状凸部とからなる構成、或いは環状凸部と点状凸部とからなる構成から選択することが好ましい。
【0027】
更に別の態様として、前記キャップに設けた溝と、前記ボールペン本体外面に設けた凸部とからなる構成が挙げられる。例えば前記キャップにL字状の溝を設け、前記ボールペン本体外面に該溝に係合可能な凸部を設け、両者を係合することにより擦過動作時にキャップを固定することができる。
【実施例】
【0028】
本発明の第1の実施の形態を説明する(
図1及び
図2参照)。
本実施の形態は、ボールペン本体2と、前記ボールペン本体2の後端に取り付けられる摩擦部3と、ペン先側に着脱自在に取付けられた両端が開口したキャップ4とからなる熱変色性ボールペン1である。前記ボールペン本体2は、ボールペンレフィルを内部に収容している。前記ボールペンレフィルは熱変色性インキが内蔵されたインキ収容管の一端にボールペンチップが嵌着され、前記熱変色性インキの後端にはインキ逆流防止体が配設されている。
【0029】
図1は本実施の形態の熱変色性ボールペン1のキャップ装着状態を示し、
図2は本実施の形態の熱変色性ボールペン1のキャップ後ろ差し状態を示す。
本実施の形態の熱変色性ボールペン1は、キャップ後ろ差し時に、キャップ4内面に設けた凸部42と、前記ボールペン本体2外面に設けた凹部21との係合により前記キャップ4が固定され、擦過動作時のキャップ4の移動が防止される。
本実施の形態におけるキャップ固定手段は、前記キャップ4内面に周方向に等間隔に設けられた略半球形状の4個の点状凸部42と、前記ボールペン本体2に軸心に対して直角方向に設けられた環状の凹部21とから構成される。
上記構成以外にも、前記キャップ内面に設けた環状の凸部とボールペン本体に設けた環状の凹部とから構成されてもよい。
【0030】
本発明の第2の実施の形態を説明する(
図3及び
図4参照)。
図3は本実施の形態の熱変色性ボールペン1のキャップ装着状態を示し、
図4は本実施の形態の熱変色性ボールペン1のキャップ後ろ差し状態を示す。
本実施の形態の熱変色性ボールペン1は、キャップ後ろ差し時に、キャップ4内面に設けた凹部41と、前記ボールペン本体2外面に設けた凸部22との係合により前記キャップ4が固定され、擦過動作時のキャップ4の移動が防止される。
本実施の形態におけるキャップ固定手段は、前記キャップ4内面に、軸心に対して直角方向に設けられた環状の凹部41と、前記ボールペン本体2に、軸心に対して直角方向に設けられた環状の凸部22とから構成される。
上記構成以外にも、前記キャップ内面に設けた環状の凹部とボールペン本体に設けた点状の凸部とから構成されてもよい。
【0031】
本発明の第3の実施の形態を説明する(
図5及び
図6参照)。
図5は本実施の形態の熱変色性ボールペン1のキャップ装着状態を示し、
図6は本実施の形態の熱変色性ボールペン1のキャップ後ろ差し状態を示す。
本実施の形態において前記キャップ4の内面に周方向に等間隔に設けられた略半球形状の4個の凸部42と、前記ボールペン本体に、軸心に対して直角方向に設けられた環状の凸部22とから構成される。本実施の形態において、前記キャップ4を後ろ差ししたときに前記キャップ4の内面の凸部42と、前記ボールペン本体2外面に設けられた凸部22が乗越え係止することにより摩擦動作時に前記キャップ4の移動が防止される。
【0032】
本発明の第4の実施の形態を説明する(
図7及び
図8参照)。
図7は本実施の形態の熱変色性ボールペン1のキャップ装着状態を示し、
図8は本実施の形態の熱変色性ボールペン1のキャップ後ろ差し状態を示す。
本実施の形態において前記キャップ4のペン先挿入側の開口端にL字形状の溝43を設け、前記ボールペン本体2後部外面に凸部22を設ける。前記キャップ4の後ろ差し時に前記ボールペン本体2外面の凸部22を、前記キャップ4に設けた溝43に挿入後、前記キャップ4を周方向に回転することにより前記キャップ4が固定され、摩擦動作時のキャップ4の移動を防止することができる。