【0014】
ここで、スクリュー3の摩耗状態を判定評価する方法の一例について以下に説明する。
<第1の対象物質の成分分析について>
1.先ず、クロム(Cr)が含有されている成形体の原料となるペレットの一定量(約10g)をるつぼに入れて発火点まで昇温し、ペレットに含有されている樹脂が発火した時点で昇温を止め、鎮火するまで放置する。
2.鎮火後、600度まで昇温し、樹脂を完全に除去する。
3.るつぼに残ったものを集め、カルシウム(Ca)の含まれた所定サイズの両面テープ(クロムが含まれていないもの)の粘着部に載置する。載置する量は、ここではミクロスパーテル一杯程度とする。
4.ミクロスパーテルで試料(るつぼに残ったもの)が粘着部上で平ら(均一)になるようにのばす。その際、のばしすぎてテープからはみ出ないようにする。のばす範囲は、直径5mm程度。
5.蛍光X線で分析部11に配置された、前記試料と前記両面テープとからなる第1の対象物質の分析をする。
6.第1の対象物質の分析が終了すると、制御手段16により、第1の対象物質に含まれている各種物質の質量濃度(%)の分析結果が記憶部12に格納され、
図3(a)に示すように、これらは表示部15に一覧として表示される。
7.そして、第1の対象物質(試料+両面テープ)の成分のうち、第1の対象物質に含有されている第1のクロムの質量濃度C(
図3(a)の0.07)と、第1の対象物質に含まれる両面テープのカルシウムの質量濃度とする第1の基準質量濃度A(
図3(a)の51.60)とが制御手段16により抽出され、演算手段13が、第1のクロムの質量濃度Cと第1の基準質量濃度Aとを用いて、数式1(X=C/A)により基準値X(0.001=0.07/51.60)を算出する。
<第2の対象物質の成分分析について>
8.続いて、射出成形機で製造を終えている成形体の一部を削り出し、これから一定量(約10gであり、前記ペレットの一定量と同量)を取り出して、これをるつぼに入れて発火点まで昇温し、成形体に含有されている樹脂が発火した時点で昇温を止め、鎮火するまで放置する。
9.鎮火後、600度まで昇温し、樹脂を完全に除去する。
10.るつぼに残ったものを集め、カルシウム(Ca)の含まれた所定サイズの両面テープ(クロムが含まれていないもの)の粘着部に載置する。載置する量は、ここではミクロスパーテル一杯程度とする。
11.ミクロスパーテルで試料(るつぼに残ったもの)が粘着部上で平ら(均一)になるようにのばす。その際、のばしすぎてテープからはみ出ないようにする。のばす範囲は、直径5mm程度。
12.蛍光X線で分析部11に配置された、前記試料と前記両面テープとからなる第2の対象物質の分析をする。
13.第2の対象物質の分析が終了すると、制御手段16により、第2の対象物質に含まれている各種物質の質量濃度(%)の分析結果が記憶部12に格納され、
図3(b)や(c)に示すように、これらは表示部15に一覧として表示される。
14.そして、ここでは
図3(c)の分析結果に基づいて説明すると、第2の対象物質(試料+両面テープ)の成分のうち、第2の対象物質に含有されている第2のクロムの質量濃度C´(
図3(c)の13.91)と、第2の対象物質に含まれる両面テープのカルシウムの質量濃度とする第2の基準質量濃度A´(
図3(c)の43.80)とが制御手段16により抽出され、演算手段13が、第2のクロムの質量濃度C´と第2の基準質量濃度A´とを用いて、数式2(X´=C´/A´)により比較値X´(0.32=13.91/43.80)を算出する。
15.そして、所定の操作を行なうと、制御手段16が判定評価手段14を実行し、比較値X´(0.32)が基準値X(0.001)の60倍の数値以上のとき(0.060(0.001×60)≦0.32)には、スクリュー3が摩耗していると判別し、表示部15には
図3(c)に示すように「摩耗あり」と表示される。また、例えば
図3(b)の数値に基づくように、比較値X´(0.002=0.10/46.14)が基準値X(0.001)の60倍の数値未満のとき(0.002<0.060(0.001×60))には、表示部15には
図3(b)に示すように「摩耗なし」と表示される。このように、スクリュー3の使用が可能か否かの判別が分析装置10によりなされ、その評価結果が表示部15に対して視覚化して表示される。なお、前記両面テープに含有するカルシウム(Ca)の質量濃度を用いる理由としては、一定量含まれていることが事前にわかっているためであり、また、含まれている量も比較的おおいため用いる。