【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定しない。実施例では、以下の試験方法を用いた。
【0050】
試験方法
DSC測定
示差走査熱量測定(DSC)を実施して、横延伸プロセス前後の材料の結晶状態を測定した。横延伸前の特徴付けを実施して、縦方向延伸プロセスで加える熱調節レベルを求めた。これらの測定を実施するのに、冷蔵装置(TA RCSモデル♯991100.901)を取り付けた、適切な標準を用いて較正したTA示差走査熱量計(モデル♯2920)を用いた。
【0051】
試料は、まずePTFE膜ウエブの中心から、重量約10ミリグラムを切断(手術用メスの刃又はかみそりの刃を用いて)することにより作製した。試料を計るのに使用したはかりは、Mettler AT20 Electronic Microbalanceであった。次に、切断した試料を、アルミニウム試料パン(TA P/N 990999.901)に嵌め込まれるように、それ自体を折り重ねた。試料をパン内に配置し、供給ふたを試料上に置き、ふたを、試料プレスを用いて所定位置にクリンピングした(TAモデル♯900680.902)。次に、試料を、DSC試験チャンバー内に配置した。空のアルミニウム試料パンとふたを、この一連の測定に標準材料として使用した。
【0052】
試料と標準パンを試験チャンバーに挿入したら、試験チャンバー内と周囲の雰囲気を、窒素ガスをパージして置き換えた。試験サイクルを、−20℃で平衡化した後、10℃/分で60℃に上昇させるように設定した。試験の終わりに、熱流(ワット/グラム)の測定値(すなわち、試験しているePTFE試料の実際の質量に対して正規化された出力測定値)対走査中の温度を示すエネルギープロット出力を作製する。TA Instruments社製のUniversal Analysis2000(バージョン3.0G、ビルド3.0.0.93)と称されるプログラムを用いて、ベースラインを、0℃での実測データと45℃での実測データとの間にラインを引くことにより作成する。次に、実測データとベースラインとの間の領域を積分して、エンタルピー値(ジュール/グラム)を得る。このエンタルピー値を使用して、試験されているePTFE物品の状態を表す。このエンタルピー値は、一般的に5〜15ジュール/グラムである。
【0053】
引張強さ(カレンダーテープ)
未延伸カレンダーテープの機械試験を、ePTFE膜に使用したのと同様の方法で実施した。これらの主要な差は、ここで使用した試料の形状大きさは、幅0.635cm×長さ10.16cmの長方形試料であり、ゲージ長が1.27cmであり、クロスヘッドスピード(引っ張り速度)が2540mm/分であることである。データ解析とマトリックスの引張強さの計算は、以下の膜について示すのと同一である。
【0054】
マトリックスの引張強さ(膜について)
ダイパンチを用いて、ePTFE膜ウエブから、長さ165mm×幅15mmの長方形試料を切断することにより、試料を作製した。膜ウエブを、試料が切断される領域においてしわがないように、切断テーブル上に配置した。次に、165mm×15mmダイを、その縦軸が、試験される方向に平行となるように、膜上(一般的にウエブの中心200mm内)に配置した。この刊行物に示されている方向を、縦方向 (MD)(加工中の移動の方向に平行)及び横方向(TD)(加工中の移動の方向に垂直)で測定した。ダイを整列させたら、それに圧力を加えて、膜ウエブを介して切断した。この圧力を除去した後、試験用長方形試料を、検査して、引張試験に影響することがある角欠けがないかどうかを確認した。縦方向で少なくとも3つの試料、横方向に3つの試料を切断して、膜ウエブを特徴付けした。試料を調製したら、それらの質量(Mettler−Toledo化学天秤、モデルAB104を使用)と、厚さ(Kafer−FZ1000/30スナップゲージを使用)を測定した。続いて、Merlin Series IXソフトウエア(バージョン7.51)で動作するInstron5500引張り試験器を用いて各試料を試験して、その引張り特性を測定した。試料を、引張り試験器に挿入し、Instronカタログ2702−015(ゴムをコーティングした面板)及び2702−016(鋸状面板)グリッププレートを用いて、試料の各端が一つのゴムをコーティングした面板と一つの鋸状面板との間に保持されるようにした。グリッププレートにかけた圧力は、約50psiであった。グリップの間のゲージ長さを、50mmに設定し、クロスヘッドスピード(引張り速度)を、508mm/分に設定した。0.1kNロードセルを使用して、これらの測定を実施し、データを、50ポイント/秒の速度で集めた。試験室温度は、68〜72°Fとして、同様の結果が確実に得られるようにした。最後に、試料がグリップ界面で壊れた場合には、そのデータは破棄した。縦方向での少なくとも3つの試料と横方向での3つの試料は、うまく引っ張られて(グリップからスリップしたり、グリップで破壊することなく)、膜ウエブを特徴付けできた。
【0055】
Merlinソフトウエア又は他のデータ解析パッケージを用いて、データ解析と計算を実施した。最初に引張り試験中に試料により支持されることができる最大負荷を見つけた。次に、この最大負荷を、下式により試料の物性(厚さ及び密度)に対して正規化して、マトリックスの引張強さを計算した:
【化1】
(式中、MTS=マトリックスの引張強さ(MPa)、
Fmax=試験中に測定した最大負荷(ニュートン)、
ρo=PTFEの理論密度(2.2グラム/cc)、
l=試料の長さ(cm)、
m=試料の質量(グラム)である)。
【0056】
膜密度
本発明の膜材料例と比較例の密度を測定するために、引張り試料について測定した特性データを使用した。上記したように、165mm×15mmの試料を測定して、それらの質量(Mettler−Toledo化学天秤、モデルAB104を使用)と、厚さ(Kafer−FZ1000/30スナップゲージを使用)を測定した。このデータを用いて、下式により密度を算出できる:
【化2】
(式中、ρ=密度(g/cc)、
m=質量(g)、
w=幅(1.5cm)、
l=長さ(16.5cm)、
t=厚さ(cm)である)。
【0057】
ガスケットの密度
本発明のガスケッチング材料例の密度と比較例の密度を測定するために、寸法が長さ約25.4mm×幅25.4mmである試験片を、例シートから切断した。各試験片の長さ、幅、厚さ及び質量を、測定し、記録した。試験片の密度を、下式から求めた:
密度(g/cc)=質量(g)/容積(cc)
(式中、容積(cc)=長さ(cm)×幅(cm)×厚さ(cm)である)。
【0058】
ガスケットの引張強さ
ASTM D638−00及びASTM F152−95試験法に概略記載されている方法により引張強さを求めた。I型試験片のASTM規格D638−00(プラスチックの引張特性の標準試験法)に準じた寸法の試験片を、ガスケッチング材料例から切り取った。試験片を、シートの縦方向(MD)と横方向(TD)として定義した方向で切り取った。シートの配向がわからないか、又は関連していない場合には、一組の試験片を、シートのエッジの一つと一致させて切り取り、2組目を、一組目に対して90°で切断した。試験片の幅と厚さを、試験片の狭い部分で測定し、記録した。
【0059】
10kNロードセルを備えたInstron試験機を用いて、試験片を試験した。伸長速度は、12インチ/分(305mm/分)に設定し、初期ジョー分離を4インチ(102mm)に設定した。Instron試験機は、負荷と伸長データを自動的に記録した。試験データから、引張強さを、試験中に得られる最大負荷を、試験片の狭い領域の初期断面積により割ることにより求めた:
引張強さ(TS)=最大負荷/断面積
【0060】
報告されている引張強さは、一定の試料について、2つの直交する方向で測定したより高い引張強さである。
【0061】
マトリックスの引張強さ
延伸PTFEから実質的になるガスケット材料のマトリックス引張強さ(MTS)を、下式を用いて算出した:
MTS=TS×(2.2/ρ)
(式中、TS=引張強さ、
ρ=ガスケット材料の密度、
及び2.2は固体PTFEの密度である)。
【0062】
結晶度指数及び配向指数
広角X線散乱を使用して、ガスケット及び膜のPTFE成分の結晶度指数及び配向指数を求めた。全ての測定は、黒鉛モノクロメータ及び0.3mmピンホールコリメータを備えた理学ウルトラ18kW回転アノードX線発生器上に取り付けた理学R軸IV画像プレートX線アナライザーを用いて、透過モードでおこなった。全ての実験について、発生器の動作条件は、50kV及び200mAであった。放射型は、CuK
αであった。試料と検出器との間の距離は、125〜135mmに設定し、シリコン粉末標準を用いて較正した。二次元画像データを、理学R軸画像処理ソフトウエアを用いて処理して、ラジアル(I対2θ)スキャン及び方位(I対φ)スキャンを得た。方位スキャンは、Δφ=1.0°の増分で2θ=17.5°〜2θ=19.0°の角度範囲について積分することにより集めて、繊維軸の方向の配向に関連する、ポリテトラフルオロエチレンの100面における配向度を求めた。ラジアルスキャンは、典型的にはΔ2θ=0.044°の増分で2θほぼ0°〜2θほぼ55°の角度範囲にわたって積分することにより集めた。
【0063】
膜試料は、幅約2.54cmのストリップを切断し、積層することにより作製した。スタックにおける全てのストリップを、最初の膜試料の縦方向と横方向に対して同じ方向に整列した。大きなシートから、エッジを縦方向と横方向にほぼ平行に整列させた状態で、ほぼ0.5cm×0.5cm角片を切り取った後、それらをそれらの面に対して平行にスライスして総試料厚さをほぼ0.6〜1.0mmに減少させることにより試料をセクショニングすることにより、ガスケット試料を作製した。全ての試料について、X線ビームを、MDとTDの両方に垂直であるガスケット又は膜のシートに対して直角の方向に平行にあてて測定して、平面配向及び平面結晶度についての情報を得た。便宜上、膜試料は、MDを水平に配置した状態で測定し、ガスケット試料は、MDを垂直に配置した状態で測定した。
【0064】
結晶度指数は、Materials Data社製Jade6.1コマーシャルXRD処理ソフトウエアを用いてI対2θスキャンのピークフィッティングにより得た。スキャンを、ソフトウエアプログラムに読み込み、さらなる処理なしにフィッティングさせた。フィッティングは、以下の手順でおこなった。プロファイルフィッティングレンジを、2θ=12°〜22.0°に限定し、線形バックグラウンドを、2θ=12°及び2θ=22°での測定強度と一致するように規定した。このバックグラウンドは、空気散乱、及びフィッティング範囲にわたって直線である「ブランク」スキャンから求めた検出器の読取ノイズによる強度寄与を考慮する必要がある。2つの初期ピークを、ほぼ18.2°及びほぼ16.5°で挿入し、それぞれ結晶部分及び非晶質ピークの100ピークの位置を近似した後、プロファイルフィッティング関数を使用して、ピークをスキャンにフィッティングさせた。PearsonVII関数を使用して、両方のピークをフィッティングした。これは、最初に両方のピークの形状とスキューを統合し、同時に線形バックグラウンド及び高さ、2θ位置、最大半減強度(FWHM)での全幅、形状及びスキューをフィッティングした後、最初にピークスキューを統合する条件をリリースした後、ピーク形状を統合する条件をリリースすることによりさらにプロファイルを微調整した。このフィッティングシーケンスを用いて、非晶質及び結晶ピークの両方の高度に再現性のあるフィッティングを、2.5%以下のフィッティング値の残留誤差で得た。典型的なフィッティングプロファイルを、
図19に示す。次に、結晶度指数を、フィッティングした100の結晶ピーク(A
100)下の面積及びフィッティングした非晶質ピーク(A
amorphous)下の面積から、式[1]に従って計算した:
結晶度指数={A
100/(A
100+A
amorphous)}×100% [1]
結晶度指数は、このようにして、膜試料とガスケット試料の両方について求めた。
【0065】
配向度は、2つの異なるパラメータである配向角指数及び方位強度比指数を用いて、I対φ方位スキャンから定量化した。代表的な方位スキャンを、
図20及び
図21に示す。
図21に示すような方位スキャンにおける4つの強度ピークが現れることは、例えばMD及びTDの両方において、異なる2方向の結晶配向を表す。これは、本発明による単層膜材料に独特の特徴であると思われる。
【0066】
各方位スキャンについて、ピーク強度(I
peak)、最小測定強度(I
min)、及びその方位スキャンのバックグラウンド強度(I
φ-bkg)を表す強度値を明らかにする。方位スキャンについてのバックグラウンド強度を、I対2θ積分強度スキャンから抽出する。これには、非晶質寄与、空気散乱、及び検出器読取ノイズからの寄与が含まれる。非晶質寄与は、I
φ-bkgを算出する目的には合っていないと思われる。I
φ-bkgは、方位強度を算出する範囲の直前と後の範囲のI対2θスキャンにおけるデータ点の平均強度から求める。より詳細には、I
φ-bkgは、方位スキャン積分範囲(2θ=17.5°〜19.0°)の全ての2θ値についての方位スキャンにおける強度の合計について正規化し、全360°方位範囲にわたって積分した総強度を360Δφ=1.0°値に分割した、17.0°≦2θ≦17.5°及び19.0°≦2θ≦19.5°のI対2θスキャンにおけるデータ点に対応する強度値の平均の平均値に等しい。最小測定強度I
minは、ビーム停止による物理的ブロッキングに相当する見かけ上低い強度値をデータセットから除去した後の、I対φプロットについて観察される2つの最低強度最小値の各々に相当する最小数値強度値の平均として定義される。ピーク強度I
peakは、I対φプロット上の観察される強度ピークに相当する最大数値強度値に等しいように単純に選択した。
【0067】
各I対φスキャンにおける2つの最高強度ピークについては、最大ピーク強度半減での全幅を、ピークのどちらかの側のI
peak/2に最も近い強度値に相当する角度の差から求める。これらの2つのFWHM値を平均して、配向角指数を得る。方位強度比は、式[2]により定義される:
方位強度比=(I
min〜I
φ-bkg)/(I
peak〜I
φ-bkg) [2]
【0068】
方位強度比は、各I対φスキャンに存在する2つの最高強度ピークについて算出し、平均して方位強度比指数を得た。この指数により、一定方向に配向した材料の結晶部の割合の、ランダム配向材料の結晶部の割合に対する目安が得られる。材料の結晶部分が完全に方向配向し、I
min〜I
φ-bkgであるときにほぼゼロの値をとり、材料が完全にランダムに配向し、I
peak〜I
minであるときにほぼ1の値をとる。
【0069】
ボルト負荷保持率
ボルト負荷保持率試験では、経時的に且つ熱サイクルを介して、ガスケット試料についての圧縮負荷の量を測定する。熱サイクルは、室温から規定の高温までのランプセグメント、高温での規定の保持時間、及び室温へのクールダウンセグメントからなる。試験ガスケットへの負荷は、ガスケット材料の応力緩和特性に基づく試験により異なる。
【0070】
環状試験片を、切断して外径4.125”(104.8mm)、内径2.375”(60.3mm)のANSI2”x150ポンドクラスのリング状ガスケット寸法とした。試験ガスケットを、250RMSの表面仕上げの2つのブラインドカーボンスチールANSI2”x150ポンドクラスのフランジの間に配置した。ガスケット/フランジを、プラテンプレスにローディングした。プラテンプレスは、電気カートリッジヒーターを有し、ロードキャパシテーが60,000ポンドであるプラテンを備えていた。フランジを、3分間かけて一定速度で約46,100ポンドの初期負荷まで圧縮した。初期負荷に達したら、プラテンの温度を、100℃まで増加させた。温度を、少なくとも4時間、最大で8時間保持した。高温での保持時間の終わりに、プラテンを室温に冷却した。プラテンが室温(約23℃)になったら、試験を完了させ、ガスケットをプレス及びフランジから除去した。
【0071】
ガスケットに対する負荷を測定し、試験全体を通じて電子的に記録した。ボルト負荷保持率(BLR%)を、室温でのガスケットに対する最終負荷を初期負荷で割り、100をかけて得た値として定義する:
BLR%=(室温での最終負荷/初期負荷)x100%。
【0072】
ボルト負荷保持試験の結果により、異なるガスケット材料のクリープ及び応力緩和特性を比較するための手段が得られる。高分子材料におけるクリープ及び応力緩和は質量に依存するので、公称の市販のガスケット厚さ、例えば1mm〜6mmの範囲の厚さの試験片を、作製し、試験した。本発明例からの異なる厚さの試験片を作製するために、ePTFE膜の層を、環状リングを切り取る前にガスケット材料シートから除去して、本発明例に記載のシート材料の初期厚さよりも小さい厚さの試験片を作製した。本発明の試料のガスケット材料の最初の厚さよりも大きな厚さの試験片を作製するために、膜層を必要に応じて除去しながら、環状リングを、所望の厚さとなるまで積層した。ボルト負荷保持試験を実施する前に、試験片の厚さ及び質量を測定し、記録した。
【0073】
シール応力試験
y値としても知られているガスケットの「シール応力」は、規定の内圧及び周囲条件での初期気密シールを得るためのガスケットに対して必要とする圧縮応力の量である。
図22は、例のガスケット材料についてのシール応力値を測定するのに使用される装置101を示す。気密又は空気不透過性シールは、ここでは試験装置のマノメータにおける流体レベルにより示される実質的に漏れのないこととして定義される。これらの試験方法は、ASTM F37−00の試験法(ガスケット材料のシール性についての標準試験方法)に基づいて開発された。
【0074】
この試験のために、環状試験ガスケット試料102を、例のガスケット材料シートから、環状試験ガスケットの内径が約2.38インチ(60.5mm)及び外径が約4.13インチ(105mm)となるように切り取った。各試験ガスケット試料の厚さと質量を、測定し、記録した。ガスケットの応力は、ガスケットに対する負荷を、公称内径及び外径により定義される初期ガスケット面積により割ることにより求めた。
【0075】
試験ガスケットを、下試験プラテン103上の中心に配置した。上試験プラテン104を、次に中心位置から試験ガスケットが動かないように注意しながら、試験ガスケットの上部に配置した。試験プラテンは、表面仕上げ面の平滑度は少なくともRMS32であった。次に、ガスケット/試験プラテンアセンブリを、プラテンプレスにおける上プラテン105と下プラテン106との間に配置し、負荷表示トランスデューサ上にプレスプラテンを中心とした。予め選択した初期負荷を、ほぼ1分間にわたって定率でガスケットにかけた。初期負荷を、種々のガスケット材料についての経験に基づく初期負荷として選択した。初期負荷を、1分間待機してガスケット材料の初期緩和した後にガスケットに再びかけた。圧縮空気を、空気レギュレータ107及びバルブ108、109及び110を介して試験ガスケットに供給した。空気ライン111を、下試験プラテン上のフィッティングに接続した。バルブ108、109及び110を、完全に開いた。レギュレータ107を調整して、ゲージ112の圧力を30psig(207kPa)とした。次に、バルブ107を閉めた。この時点で、マノメータ113のレベルをチェックして、システムにおける差圧がゼロとなるようにした。次に、バルブ109を閉めて、漏れ試験を開始した。漏れは、マノメータの流体レベルの変化により確認した。
【0076】
漏れが存在していたら、空気圧を、システムから放出し、ガスケットに対する負荷を増加した。再び、圧縮空気をガスケットに供給し、マノメータをチェックして漏れがないかどうかを調べた。これらの工程を、漏れが生じない場合の負荷となるまで負荷を増加して反復した。初期漏れが発生しない負荷となったら、試験ガスケットに対する空気圧と負荷を、30分間維持して確実に実質的に漏れのないようにした。30分後に、マノメータレベルが実質的に変化しないときに、「シール応力」値に達したとした。
【0077】
ガスケットのクリープ
ガスケット材料例のクリープを、DIN28090−2に規定されている試験法に準じて測定した。試験ガスケットを、内径49mm、外径92mm、公称厚さ1.6mmの例のシートから切断した。DIN28090−2試験法では、ガスケット材料の変形特性、具体的にクリープを試験する。クリープは、応力を一定として歪みを増加したときの過渡的応力−歪み状態として、ASTM国際規格F118−97に定義されている。DIN28090−2法における試験ガスケットにかけられている応力は、圧縮的である。したがって、ガスケット材料におけるクリープによる圧縮応力下での歪みが変化すると、試験ガスケットの厚さが減少する。
【0078】
DIN28090−2試験の試験装置は、力測定セルを備えたコンピュータ制御油圧プレス、2つの独立した加熱プレート及びガスケット高さキャリパーから構成されていた。ガスケットを、圧縮負荷を、内径55mm、外径75mm、表面仕上げRz<6.3μmの表面にかけるように構成させた一対のプレートの間で試験した。ガスケットに、1Mpaのプレロードを1分間かけた。次に、25Mpaのメインロードを、5分間かけた。次に、負荷を、5分間1Mpaに戻した。メインロードを再びかけ、16時間保持した。第二のメインロード中、温度を、5K/分の速度で150℃に増加し、16時間保持した。
【0079】
クリープ%は、メインロードの第一印加の保持時間の終了時と、メインロードの第二印加の保持時間の終了時のガスケット試料の厚さ変化%として定義される。
【0080】
デューロメーター硬度
種々のガスケット材料例のデューロメーターを、カリフォルニア州ロサンゼルスにあるPacific Transducer社から入手したPTCインストルメントA型デューロメーターモデル♯306Lを用いて測定した。公称厚さ1/8インチ(3mm)の試験試料を、例のガスケット材料シートから切断し、ほぼ0.5インチ(12.7mm)離れた3つの位置で試験した。デューロメーター試験器を試料上に配置し、試験器を軽く手で押して、試験器のベースを試験試料の表面に接触させた。デューロメーター読取値(ショアAスケール)を、試験器のダイヤルゲージから読取り、記録した。また、各試験試料の厚さも、測定し、記録した。
【0081】
圧縮性
例のガスケット材料の圧縮性を、試験試料を、規定の応力に短時間圧縮することにより求めた。以下に記載の方法は、ASTM F 36−99(ガスケット材料の圧縮性及び回復の標準試験法)に記載の試験法に基づいて開発された。
【0082】
環状試験片を、例のガスケット材料シートから、環状試験片が、内径約0.5インチ(12.7mm)、外径約1インチ(25.4mm)、公称厚さ1/16インチ(1.5mm)となるように切り取った。より厚い寸法のガスケットについては、層を除去してこの公称厚さとなるようにした。各試験片の初期厚さを、測定し、記録した。試験片を、試験装置の下プラテン上に置き、中心に配置した。長さ約0.25インチ(6.4mm)のはんだプラグを、試験片の内径内の下プラテン上に配置した。はんだを使用して、負荷下での試験片の圧縮厚さとした。はんだは、負荷を除いた後を厚さの顕著な回復を示さない。したがって、負荷を除去した後のはんだプラグの厚さを、主要負荷下での圧縮厚さと等しくした。試験は、3つの部分から構成されていた。第一の部分では、試験片に、約500psi(3.4MPa)で15秒間負荷をかけるプレロード部分であった。第二の部分では、約2500psi(17.2MPa)の応力の主負荷を60秒間加えた。第三の部分では、負荷を約500psi(3.4MPa)のプレロードレベルに60秒間戻した。試験が完了した後、試験片とはんだプラグの最終厚さを、測定し、記録した。材料の圧縮率を、下式から算出した:
圧縮率(%)=(初期厚さ−圧縮厚さ)/初期厚さ×100。
【0083】
膜の比較例
従来技術の膜を得て、試験した。従来技術の膜AとBを、米国特許第3953566号の教示により作製し、従来の膜CとDを、米国特許第5476589号の教示により作製した。
【0084】
【表1】
【0085】
例1
以下の工程を順次実施することにより、延伸PTFE膜を製造した:
1.PTFE微粉末(PTFE601A、デラウエア州ウィルミントンにあるDupont社製)と、滑剤(Isopar K、テキサス州ヒューストンにあるExxon社製)(130cc/ポンドの割合)とを、配合すること。
2.滑剤添加粉末を圧縮して、円筒形状とすること。
3.135:1の縮小率でペースト押出しすること。
4.カレンダー加工して厚さ0.018インチとすること。
5.210℃に設定した対流オーブンで、テープを乾燥。
6.325℃加熱帯により分離した2つのローラーバンクの間でテープを縦方向に延伸すること。
7.縦方向に延伸したテープを、テープが縦方向に収縮しないように拘束しながら、335℃の加熱帯で横方向に延伸すること。
8.延伸したテープを、拘束しながら380℃の加熱帯にさらすこと。
【0086】
縦方向及び横方向の延伸速度は、それぞれ39.7%/秒及び56.2%/秒であった。縦方向及び横方向についての延伸比は、それぞれ6.05:1及び16.1:1であった。
【0087】
引張強さを、カレンダーテープ試料について、歪み速度20000%/分で測定した。膜試料の引張強さを、歪み速度1016%/分で測定した。乾燥カレンダーテープの引張強さは、縦方向が約5520psi(38MPa)であり、横方向が1760psi(12.1Mpa)であった。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約223MPa、横方向が200MPaであった。膜密度は、0.27g/ccであった。
【0088】
配向指数は42.8°であり、結晶度指数は61.2%であった。
【0089】
例2
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ4.1:1及び7.6:1であった。
【0090】
カレンダー加工テーププロセス条件を同じにして、ほぼ同じ縦方向強さ及び横方向強さを得た。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約186MPa、横方向が175MPaであった。膜密度は、0.38g/ccであった。配向指数は27.62°であり、結晶度指数は55.06%であった。
【0091】
例3
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ4.75:1及び15.3:1であった。
【0092】
カレンダー加工テーププロセス条件を同じにして、ほぼ同じ縦方向強さ及び横方向強さを得た。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約185MPa、横方向が250MPaであった。膜密度は、0.28g/ccであった。配向指数は50.33°であり、結晶度指数は61.95%であった。
【0093】
例4
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ8:1及び17.2:1であった。
【0094】
カレンダー加工テーププロセス条件を同じにして、ほぼ同じ縦方向強さ及び横方向強さを得た。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約245MPa、横方向が287MPaであった。膜密度は、0.32g/ccであった。配向指数は20.27°であり、結晶度指数は68.67%であった。
【0095】
例5
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。滑剤添加率は、120cc/ポンドであった。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ4.75:1及び16.1:1であった。
【0096】
本例で得られた乾燥カレンダーテープは、引張強さが、縦方向が約5860psi(40.4MPa)であり、横方向が1840psi(12.7MPa)であった。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約203MPa、横方向が231MPaであった。膜密度は、0.28g/ccであった。
【0097】
例6
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。滑剤添加率は、120cc/ポンドであった。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ7.35:1及び22.4:1であった。
【0098】
本例の得られた乾燥カレンダーテープは、引張強さは、縦方向が約5860psi(40.4MPa)であり、横方向が1840psi(12.7MPa)であった。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約235MPa、横方向が294MPaであった。膜密度は、0.38g/ccであった。配向指数は20.35°であり、結晶度指数は70.02%であった。
【0099】
例7
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ8:1及び7.1:1であった。
【0100】
カレンダー加工テーププロセス条件を同じにして、ほぼ同じ縦方向強さ及び横方向強さを得た。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約310MPa、横方向が77MPaであった。膜密度は、0.28g/ccであった。配向指数は27.34°であり、結晶度指数は61.51%であった。
【0101】
例8
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ1.5:1及び10.4:1であった。このテープを、カレンダー加工して厚さを0.008インチとした。
【0102】
乾燥カレンダーテープは、引張強さが、縦方向が約9620psi(66.3MPa)であり、横方向が1400psi(9.7MPa)であった。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約90MPa、横方向が280MPaであった。膜密度は、0.55g/ccであった。配向指数は16.12°であり、結晶度指数は57.17%であった。
【0103】
例9
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ6.7:1及び14.3:1であった。
【0104】
カレンダー加工テーププロセス条件を同じにして、ほぼ同じ縦方向強さ及び横方向強さを得た。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約251MPa、横方向が258MPaであった。膜密度は、0.31g/ccであった。配向指数は35.88°であり、結晶度指数は66.77%であった。
【0105】
例1〜9に関係するプロセス及び膜特性データを、下表に示す:
【表2】
【表3】
【表4】
【0106】
ガスケットの比較例
従来技術のガスケットを得て、機械特性について試験した。試験結果を下表に示す:
【表5】
【表6】
【0107】
例10
ガスケット材料を、例4の膜を利用して構成した。約143層のePTFE膜を、ステンレス鋼マンドレルに、膜の縦方向がマンドレルの周囲に配向するようにラッピングした。マンドレルは、外径が約600mmであり、長さが約1370mmであった。膜層を、マンドレルの端部に固定して、高温で膜が収縮しないように拘束した。膜とマンドレルを、365℃に設定した強制空気オーブンに約45分間入れた。オーブンから取り出し、冷却した後、ePTFE材料を、マンドレルの両端で、円周方向に切断した後、マンドレルの長さに沿って切断した。次に、延伸PTFEを、シート状マンドレルから取り出した。
【0108】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、53.3MPa(MTS=186.3MPa)であった。横方向のガスケット材料の引張強さは、64.5MPa(MTS=225.2MPa)であった。したがって、ガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、64.5MPa(MTS=225.2MPa)であった。製造したガスケット材料の平均厚さ及び密度は、それぞれ2.0mm及び0.63g/ccであった。ガスケット材料の結晶度指数は、69.5%であった。
【0109】
本例の公称厚さ1mmのガスケット(すなわち、この公称厚さとするために層を除去)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は93.35%であった。本例の公称厚さ1.5mmのガスケット(層を除去)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は93.17%であり、シール応力値が18.4MPaであった。本例の公称厚さ3mmのガスケット(層を積層して形成)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は88.5%であった。本例の公称厚さ6mmのガスケット(層を積層して形成)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は83.95%であった。圧縮率を測定したところ、63.3%であった。圧縮率を測定するのに使用した試料の厚さは、平均で1.69mmであった。クリープを測定したところ、3.1%であった。クリープ試料の厚さは、1.84mmであった。デューロメーターを測定したところ、67であった。デューロメーター試料の厚さは、2.92mmであった。
【0110】
例11
以下の事柄を除いて、例10に記載のプロセスに従って、別のガスケット材料を作製した。例3の膜を約130層、マンドレルの円周方向にラッピングした。
【0111】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、43.9MPa(MTS=146.4MPa)であった。横方向のガスケット材料の引張強さは、50.3MPa(MTS=167.7MPa)であった。したがって、ガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、50.3MPa(MTS=167.7MPa)であった。製造したガスケット材料の平均厚さ及び密度は、それぞれ3.3mm及び0.66g/ccであった。ガスケット材料の結晶度指数は、62.7%であった。
【0112】
本例の公称厚さ1mmのガスケット(層を除去)を測定したところ、ボルト負荷保持率値は93.25%であった。公称厚さ3mmのガスケット(層を除去)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は86.77%であり、シール応力値が22.5MPaであった。公称厚さ6mmのガスケット(層を積層)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は69.40%であった。圧縮率を測定したところ、61.0%であった。圧縮率を測定するのに使用した試料の厚さは、平均で1.69mmであった。デューロメーターを測定したところ、66であった。デューロメーター試料の厚さは、2.82mmであった。
【0113】
例12
以下の事柄を除いて、例10に記載のプロセスに従って、別のガスケット材料を作製した。例1の膜を約110層、マンドレルの円周方向にラッピングした。
【0114】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、42.7MPa(MTS=177.3MPa)であった。横方向のガスケット材料の引張強さは、42.4MPa(MTS=176.0MPa)であった。したがって、ガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、42.7MPa(MTS=177.3MPa)であった。製造したガスケット材料の平均厚さ及び密度は、それぞれ2.3mm及び0.53g/ccであった。ガスケット材料の結晶度指数は、60.83%であった。
【0115】
本例の公称厚さ1mmのガスケット(層を除去)を測定したところ、ボルト負荷保持率値は93.10%であった。公称厚さ1.5mmのガスケット(層を除去)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は91.33%であり、シール応力値が20.2MPaであった。公称厚さ3mmのガスケット(層を積層)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は86.03%であった。圧縮率を測定したところ、64.9%であった。圧縮率を測定するのに使用した試料の厚さは、平均で1.59mmであった。デューロメーターを測定したところ、67であった。デューロメーター試料の厚さは、2.74mmであった。
【0116】
例13
以下の事柄を除いて、例10に記載のプロセスに従って、別のガスケット材料を作製した。例7の膜を約40層、マンドレルの円周方向にラッピングした。また、異なるマンドレルサイズを使用した。マンドレルの外径と長さの両方とも、約600mmであった。
【0117】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、54.6MPa(MTS=230.9MPa)であった。横方向のガスケット材料の引張強さは、13.4MPa(MTS=56.7MPa)であった。したがって、ガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、54.6MPa(MTS=230.9MPa)であった。製造したガスケット材料の平均厚さ及び密度は、それぞれ2.3mm及び0.52g/ccであった。
【0118】
本例の公称厚さ1.5mmのガスケット(層を除去)を測定したところ、ボルト負荷保持率値は90.90%であった。公称厚さ2mmのガスケット(層を積層)を、測定したところ、シール応力値が20.2MPaであった。公称厚さ3mmのガスケット(層を積層)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は87.45%であった。デューロメーターを測定したところ、51であった。デューロメーター試料の厚さは、3.56mmであった。
【0119】
例14
以下の事柄を除いて、例10に記載のプロセスに準じて、別のガスケット材料を作製した。外径600mm、長さ600mmのマンドレルを、使用した。シートの構成において、2つの異なる膜を使用した。例7の膜を約22層と、例8の膜を約22層とを、マンドレルの円周方向にラッピングした。一つのペイオフスプールを、他の上に配置し、両種類の膜が、マンドレル上に一緒に供給されることにより、膜の交互層を形成した。
【0120】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、32.7MPa(MTS=138.3MPa)であった。横方向のガスケット材料の引張強さは、28.8MPa(MTS=121.8MPa)であった。したがって、製造したガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、32.7MPa(MTS=138.3MPa)であった。製造したガスケット材料の平均厚さ及び密度は、それぞれ1.9mm及び0.52g/ccであった。
【0121】
公称厚さ1.5mmのガスケットを、測定したところ、シール応力値が23.8MPaであった。公称厚さ3mmのガスケット(層を積層)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は87.07%であった。
【0122】
例15
以下の事柄を除いて、例10に記載のプロセスに従って、別のガスケット材料を作製した。例6の膜を約250層、外径と長さが約600mmであるマンドレルの円周方向にラッピングした。
【0123】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、44.1MPa(MTS=183.1MPa)であった。横方向(TD)のガスケット材料の引張強さは、61.1MPa(MTS=253.5MPa)であった。したがって、ガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、61.1MPa(MTS=253.5MPa)であった。製造したガスケット材料の厚さと結晶度指数は、それぞれ3.13mm及び73.6%であった。
【0124】
公称厚さ3mmのガスケットを、測定したところ、ボルト負荷保持率値は91.87%であり、シール応力値が24.8MPaであった。公称厚さ6mmのガスケットを、測定したところ、ボルト負荷保持率値は79.0%であった。デューロメーターを測定したところ、67であった。デューロメーター試料の厚さは、3.30mmであった。
【0125】
例16
ガスケット材料を、例5の膜と、カレンダー加工して中の細孔を減少させた延伸PTFEシートとを用いて、米国特許第6485809号(Minor等)の教示に従って構成した。細孔が減少した延伸PTFEシートを、固定ギャップで分離された2つのローラーの間で3層のePTFE膜をカレンダー加工することにより製造した。減少した細孔延伸PTFEシートを製造するのに使用した延伸PTFE膜は、米国特許第3953566号(Gore)の教示により製造した。延伸PTFE膜の厚さ及び密度は、それぞれ0.082mm及び0.4g/ccであった。3層の膜層をカレンダー加工した後の減少した細孔延伸PTFEシートは、厚さが0.045mmであり、密度が1.85g/ccであった。一層のシートを、外径が約1000mm、長さが約1600mmであるステンレス鋼マンドレルの周囲にラッピングした。
【0126】
次に、例5の膜の約104層を、上記でラッピングした減少した細孔延伸PTFEシートの上部にラッピングした。次に、減少した細孔ePTFEシートからなる第二層を、ePTFE膜の上層上にラッピングした。別の例5のePTFE膜からなるほぼ110層を、第二のほぼ非多孔質ePTFEシートの上部にラッピングした。これらの層を、マンドレルの端部で固定して高温で収縮しないようにした。ePTFE層を、365℃に設定した強制空気オーブン中、約55分間焼結した。冷却後、ePTFE材料を、マンドレルの両端で円周方向に切断した後、マンドレルの長さに沿って切断し、複合シートの形態で取り出した。この複合シートを、第二の減少した細孔延伸PTFEシート層と第二の例5の膜からなるほぼ110層との間の界面で複合シートを剥離することにより、複合シートを2つに分離した。減少した細孔延伸PTFEシートからなる2層の外層と例5の膜からなる約104層を備えたシートにより、本例のガスケット材料を構成した。
【0127】
ガスケット材料から切断した後、ボルト負荷保持率とシール応力の測定用試料を、米国特許第6485809号(Minor等)に教示されているように、内径に沿って圧縮して、低シール応力ガスケット構成物を完成させた。公称厚さ3mmのガスケットを測定したところ、ボルト負荷保持率が88.5%であり、シール応力が9.7MPaであった。デューロメーターを測定したところ、73であった。デューロメーター試料の厚さは、2.54mmであった。
【0128】
例17
本例のガスケット材料は、例16に記載の複合シートから分離したePTFE膜からなる約110層を有するものであった。
【0129】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、45.4MPa(MTS=146.9MPa)であった。横方向(TD)のガスケット材料の引張強さは、51.8MPa(MTS=167.5MPa)であった。したがって、ガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、51.8MPa(MTS=167.5MPa)であった。製造したガスケット材料の平均厚さ及び密度は、それぞれ2.5mm及び0.68g/ccであった。
【0130】
公称厚さ3mmのガスケット(層を積層)を測定したところ、ボルト負荷保持率値は87.64%であった。デューロメーターを測定したところ、69であった。デューロメーター試料の厚さは、2.36mmであった。
【0131】
例10〜17に関するガスケット材料特性データを、下表に示す:
【表7】
【表8】
【表9】