特許第5694909号(P5694909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694909
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/02 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   D06F33/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-272180(P2011-272180)
(22)【出願日】2011年12月13日
(65)【公開番号】特開2013-123462(P2013-123462A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2013年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】508252767
【氏名又は名称】ハイアール グループ コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】ハイアールアジア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(72)【発明者】
【氏名】間宮 春夫
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4084694(JP,B2)
【文献】 特開2008−093139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸が水平、若しくは、前方が高く傾斜した状態で配置されたドラムと、該ドラムを収容する外槽と、該外槽の前面開口を開閉自在に閉塞する扉と、前記外槽内に給水する給水手段と、前記外槽内の水位を検出する水位検出手段と、前記外槽内から排水する排水手段と、前記ドラムの回転、前記給水手段、及び、前記排水手段を制御する制御手段とを備えた洗濯機において、
前記制御手段は、運転終了後に前記水位検出手段が所定の漏水水位を検出した場合、所定の動作回数カウンタにより前記給水手段の動作回数をカウントすると共に、
運転終了後に前記水位検出手段が前記漏水水位を再度検出したときに、前記動作回数カウンタのカウントが所定回数に達している場合、異常報知を行うことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記制御手段は、複数の洗濯工程及び/又は脱水工程の組み合わせから成る複数の運転コースから選択された何れかの運転を実行することを特徴とする請求項に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記制御手段は、運転終了後、一定時間が経過するまでに前記水位検出手段が前記漏水水位を検出しない場合、前記水漏れ異常カウンタ、又は、動作回数カウンタのカウントをクリアし、電源を切ることを特徴とする請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記制御手段は、前記水位検出手段が前記漏水水位を検出した場合、前記排水手段により前記外槽内から排水することを特徴とする請求項1乃至請求項のうちの何れかに記載の洗濯機。
【請求項5】
前記排水手段は、電源が切られた後も開放状態を維持することを特徴とする請求項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムの回転軸が水平、若しくは、前方が高く傾斜した状態で配置されたドラム内で衣類等の洗濯物を洗濯する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類等の洗濯物を洗濯するための洗濯機は、筐体内に洗濯水を溜めるための外槽を備えており、この外槽内には洗濯物を入れるためのドラムが回転自在に配置されている。特に、ドラムの回転軸が水平、若しくは、前方が高く傾斜した状態で配置されたドラムを備えた洗濯機では、外槽の前面開口を塞ぐを扉を開閉してドラム内の洗濯物の出し入れが行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、外槽内への洗濯水の供給は、電動弁や電磁弁から構成された給水弁(給水手段)を制御して行われるが、この給水弁が何らかの原因で完全に止水できなくなった場合、運転が終了した後も外槽内には常時給水される状態となる。
【0004】
この場合、外槽にはオーバーフロー管が取り付けられており、洗濯運転中の外槽内の水位はこのオーバーフロー管より上昇しないように設計されている。しかしながら、このオーバーフロー管で制限される水位は外槽の前面開口より高いため、上記のように給水弁の異常によって水漏れが発生し、運転終了後も外槽内に水が流入する状況となった場合、扉を開けると外槽内の水が溢れ出してしまう問題があった。
【0005】
そこで、前記特許文献1では、運転終了後の外槽内の水位を検出して警報を発生させている。特に、この特許文献1では給水手段から供給される最小流量と最も低い基準水位に達したときの水量とから算出される時間に応じて設定された一定時間だけ水位を検出するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4084694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、洗濯機における水漏れ異常は大きく分けて二つの原因があり、一つは給水弁自体の故障であり、もう一つは給水弁への異物の詰まりである。この異物は水道水中に混入したものである。
【0008】
給水弁自体の故障の場合には、比較的多い量の水漏れが継続するため前記特許文献1のような方法でも検出することができる。しかしながら、給水弁内に異物が侵入して詰まってしまった場合には、前記最小流量よりも少ない極少量の水漏れとなる場合が多いために、特許文献1の方法では検出することができないという問題がある。
【0009】
また、給水弁自体の故障は修理する以外に復旧することは無いが、給水弁に詰まった異物は、給水弁が動作することで除去されることがあり、その場合には、以後継続して運転することが可能である。そのような場合まで異常報知を行って運転停止してしまうと、使用者の利便性を著しく阻害する結果となる。
【0010】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、給水手段に生じた異常が給水手段自体の故障か、異物詰まりかを判別し、的確な異常報知を行うことができる洗濯機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項の発明の洗濯機は、回転軸が水平、若しくは、前方が高く傾斜した状態で配置されたドラムと、このドラムを収容する外槽と、この外槽の前面開口を開閉自在に閉塞する扉と、外槽内に給水する給水手段と、外槽内の水位を検出する水位検出手段と、外槽内から排水する排水手段と、ドラムの回転、給水手段、及び、排水手段を制御する制御手段とを備えたものであって、制御手段は、運転終了後に水位検出手段が所定の漏水水位を検出した場合、所定の動作回数カウンタにより給水手段の動作回数をカウントすると共に、運転終了後に水位検出手段が漏水水位を再度検出したときに、動作回数カウンタのカウントが所定回数に達している場合、異常報知を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項の発明の洗濯機は、上記発明において制御手段は、複数の洗濯工程及び/又は脱水工程の組み合わせから成る複数の運転コースから選択された何れかの運転を実行することを特徴とする。
【0014】
請求項の発明の洗濯機は、上記各発明において制御手段は、運転終了後、一定時間が経過するまでに水位検出手段が漏水水位を検出しない場合、水漏れ異常カウンタ、又は、動作回数カウンタのカウントをクリアし、電源を切ることを特徴とする。
【0015】
請求項の発明の洗濯機は、上記各発明において制御手段は、水位検出手段が漏水水位を検出した場合、排水手段により外槽内から排水することを特徴とする。
【0016】
請求項の発明の洗濯機は、上記発明において排水手段は、電源が切られた後も開放状態を維持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項の発明によれば、回転軸が水平、若しくは、前方が高く傾斜した状態で配置されたドラムと、このドラムを収容する外槽と、この外槽の前面開口を開閉自在に閉塞する扉と、外槽内に給水する給水手段と、外槽内の水位を検出する水位検出手段と、外槽内から排水する排水手段と、ドラムの回転、給水手段、及び、排水手段を制御する制御手段とを備えた洗濯機において、制御手段は、運転終了後に水位検出手段が所定の漏水水位を検出した場合、所定の動作回数カウンタにより給水手段の動作回数をカウントすると共に、運転終了後に水位検出手段が漏水水位を再度検出したときに、動作回数カウンタのカウントが所定回数に達している場合、異常報知を行うようにしたので、運転終了後に水位検出手段が検出した水漏れが異物詰まりによるものであって、その後の給水手段の動作で、詰まった異物が動作回数カウンタのカウントが所定回数に達する以前に除去できたときには、異常報知は行われなくなる。
【0020】
これにより、不必要な異常報知を行って使用者の利便性を阻害する不都合を未然に回避することが可能となる。一方で、給水手段自体が故障して水漏れが継続した場合には、運転終了後に再度漏水水位を検出したときに動作回数カウンタのカウントが所定回数に達していることで異常報知が行われるので、支障なく使用者の対応を促すことができるようになる。
【0021】
ここで、各運転終了後に水位検出手段が漏水水位を検出した回数で判断する場合、請求項の発明の如く制御手段が、複数の洗濯工程及び/又は脱水工程の組み合わせから成る複数の運転コースから選択された何れかの運転を実行する洗濯機である場合には、例えば洗濯を行わない(給水手段が動作しない)脱水のみの運転コースの運転終了後にもカウントしてしまうため、的確な判断が阻害される危険性があるが、請求項の発明の如く給水手段の動作回数で水漏れが異物詰まりによるものか否かを判断すれば、より的確に水漏れ異常を判断することが可能となる。
【0022】
また、運転終了後に水位検出手段が漏水水位を検出した場合に給水弁の動作回数をカウントする動作回数カウンタをカウントするようにしているので、水位検出手段が漏水水位を検出した場合のみ、給水手段の動作回数をカウントすれば良いことになり、常時給水手段の動作回数をカウントする必要が無くなる。
【0023】
また、請求項の発明の如く制御手段が、運転終了後、一定時間が経過するまでに水位検出手段が漏水水位を検出しない場合、水漏れ異常カウンタ、又は、動作回数カウンタのカウントをクリアし、電源を切るようにすれば、異物詰まりが給水手段の動作で解消したことを迅速に判断して初期状態に戻し、洗濯機の電源を切ることができるようになる。
【0024】
更に、請求項の発明の如く制御手段が、水位検出手段が漏水水位を検出した場合、排水手段により外槽内から排水するようにすれば、扉が開放された際に外槽から水が溢れ出す不都合を確実に回避することができるようになるものである。
【0025】
この場合、請求項の発明の如く電源が切られた後も排水手段が開放状態を維持していれば、その後に外槽内に流入する水も支障無く排出され、扉の開放で水が溢れ出す不都合を確実に防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明を適用した一実施例の洗濯機の概略構成図である。
図2図1の洗濯機の制御装置の機能ブロック図である。
図3図2の制御装置を構成する制御部の動作を説明するフローチャートである。
図4図2の制御装置を構成する制御部のもう一つの実施例の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は本発明の一実施例の洗濯機1の概略構成図、図2は洗濯機1の制御装置2の機能ブロック図である。図1において、洗濯機1の図示しない筐体内には周面が略円筒形状である外槽3が取り付けられている。この外槽3は前方が高く傾斜した状態で筐体内に配置されており、前面開口は透視可能な扉4にて開閉自在に閉塞される。
【0029】
この外槽3内には洗濯物を収容するための周面略円筒形状のドラム6が回転自在に配置されている。このドラム6の回転軸は、前方が高く傾斜した状態で設けられており、前後方向に延在し、且つ、前上がりに傾斜して設けられた図示しない主軸(回転軸)により軸支されている。このドラム6も前面が開口しており、扉4を開けば前方斜め上からドラム6内が覗き込める構成とされている。
【0030】
ドラム6の主軸は外槽3の後方に突出し、その端部にはモータ7(図2)が取り付けられている。このモータ7により主軸を介してドラム6は回転駆動される。筐体内の上部には給水手段としての電動弁から成る給水弁8が設けられており、この給水弁8の入口は水道水の配管に接続される。給水弁8の出口は給水管11、12を介して外槽3の注水口14に連通接続されているが、この給水管11、12間には洗剤収容部13が介設されている。
【0031】
給水弁8が開放されると、水道水が給水管11を通過して洗剤収容部13に流入する。そこで、投入された洗剤と混ざった後、給水管12を経て注水口14より外槽3内に供給される。外槽3内に供給された水(洗濯水)はドラム6の周壁面に多数穿孔された通水孔を通してドラム6内に流入する。また、ドラム6の高速回転による遠心脱水時にドラム6内の洗濯物から吐き出された水は通水孔から外槽3へと飛散する。
【0032】
この外槽3の底面後部には排水口16が形成されており、排水口16は排水管17、18を介して排水手段としての電動弁から成る排水弁19の入口に接続されている。一方、筐体内にはオーバーフロー管21が設けられており、このオーバーフロー管21の上端は外槽3の前面開口下端より高い所定の満水位の位置に形成された溢水口22に接続されている。また、オーバーフロー管21の下端は排水管23に接続されており、排水弁19の出口も排水管24を介して排水管23に接続されている。そして、この排水管23に図示しない排水ホースが接続されることになる。
【0033】
排水弁19が開放されると、外槽3内の水が排水口16から流出し、排水管17、18、排水弁19及び排水管24、23を通って排出される。また、外槽3内の水位が溢水口22まで上昇すると、この溢水口22から溢れ出てオーバーフロー管21及び排水管23を通り、排出される。これにより、外槽3内の水位は溢水口22の高さに制限される。
【0034】
更に、排水管17と18の間には空気室26が介設されており、この空気室26には水位検出手段としての水位センサ27が連通管28を介して連通接続されている。外槽3内に貯留された水の圧力により空気室26内の圧力が上昇する。水位センサ27はこの圧力上昇をダイアフラムで把握することにより、外槽3内の水位を検出するものである。
【0035】
次に図2において、制御装置2の制御手段を構成する制御部31は汎用のマイクロコンピュータにより構成されており、この制御部31の出力には前述したモータ7、給水弁8及び排水弁19の他、オゾン発生装置32,ブロア33、ヒータ34等が接続されている。また、制御部31の入力には前述した水位センサ27の他、操作部36や温度センサ37が接続されている。
【0036】
ヒータ34は洗濯運転の終了後に行う乾燥運転用の暖気を生成するものであり、ヒータ34で加熱された空気は、ブロア33の回転により図示しない風路を介してドラム6内に循環される。温度センサ37はこの風路の出口に設けられて乾燥用の空気温度を検出する。オゾン発生装置32は空気に対して無声放電を加えてオゾンを発生させる装置であり、このオゾン発生装置32で生成されたオゾンは前記風路内を循環する空気に与えられる。
【0037】
操作部36には電源の切/入や一時停止の各操作キーの他、洗濯工程を行う複数の洗濯コース、洗濯工程と脱水工程の双方を行う洗濯脱水コース、脱水工程のみを行う脱水コース、乾燥工程のみを行う乾燥コース、洗濯工程(脱水含む)と乾燥工程の双方を行う洗濯乾燥コース等、複数の洗濯工程と脱水工程、乾燥工程の組み合わせから成る複数の運転コースを選択するための操作キーや表示部が設けられている。
【0038】
制御装置2の制御部31は、操作部36の操作キーで選択された運転コースを実行する。例えば、洗濯脱水コースでは給水弁8を開放し、外槽3及びドラム6内に洗濯水を供給する。外槽3内に所定量の給水が成されたことを水位センサ27が検出した場合、制御部31は給水弁8を閉じる。そして、モータ7によりドラム6を回転させて洗濯物の洗濯を行う。洗剤による洗濯が終了すると、排水弁19を開放して洗濯水を排出する。次に、給水弁8を開放し、すすぎ水を外槽3及びドラム6内に所定量供給し、ドラム6を回転させて洗濯物のすすぎを行う。このようなすすぎを何回か繰り返した後、洗濯工程が終了する。
【0039】
この洗濯工程が終了すると、制御部31は給水弁8を閉じた状態で排水弁19を開放し、外槽3内の水を排出すると共に、モータ7によりドラム6を高速回転させて洗濯物を脱水する。洗濯乾燥コースが選択されていれば、制御部31はその後更にヒータ34に通電し、ブロア33を回転させて風路に暖気を循環することにより、ドラム6内の洗濯物の乾燥工程を実行するものである。
【0040】
このようにして洗濯された運転コースが終了すると、制御部31は自動的に運転を終了(オートオフ)するものであるが、係るオートオフ後に本発明に係る給水弁8の水漏れ異常検出動作を実行する。次に、図3のフローチャートを参照しながら一実施例の水漏れ検出動作について説明する。
【0041】
前述したように洗濯機1が運転終了し、オートオフした場合(ステップS1)、制御部31はステップS2に進み、水位センサ27が所定の漏水水位を検出したか否か判断する。この漏水水位とは、外槽3の前面開口下端の高さであり、それ以上水位が上昇すると扉4を開けた場合、外槽3から溢れ出す水位である。
【0042】
制御部31はステップS2で水位センサ27が検出している外槽3内の水位が漏水水位以上か否か判断し、漏水水位未満であればステップS9に進んで運転終了から例えば24時間等の所定時間T1が経過したか否か判断する。制御部31は自らのプログラムとして有する24時間カウンタで運転終了からの経過時間をカウントしており、経過していない場合はステップS2に戻り、運転終了からT1時間(24時間)経過した場合には、ステップS10に進んで自らがプログラムとして有する所定の水漏れ異常カウンタのカウントCaをクリア(Ca=0)する。そして、ステップS11に進んで電源リレーをOFFし、洗濯機1の電源を切る。
【0043】
ここで、給水弁8に何らかの異常が発生して閉じ切ることができずに止水不能に陥り、洗濯機1の運転終了後においても依然外槽3内に給水が継続された場合、外槽3内の水位は上昇していく。そして、前述した時間T1が経過する以前に外槽3内の水位が前記漏水水位まで達したことを水位センサ27が検出した場合、制御部31はステップS2からステップS3に進んで先ず排水弁19を開放させていく。
【0044】
この排水弁19は電動弁であるので、ステップS4で排水弁19が開き切るまでの設定時間の経過を待つ。排水弁19が開放されることにより、外槽3内の水は前述した如く排水口16から排水管17、18、24、23を経て排出される。これにより、扉4が開放されても外槽3から水が溢れ出す不都合を回避する。
【0045】
次に、制御部31はステップS5に進んで前述した水漏れ異常カウンタをカウントし(Ca+1)、カウントした値をステップS6で自らが有するEEPROM(不揮発性メモリ)に記憶する。次に、ステップS7で水漏れ異常カウンタのカウントCaが所定回数(例えば3回)以上になったか否か判断し、なっていなければステップS11に進んで電源をOFFする。また、この時点で電動弁である排水弁19は開放状態を維持しているので、その後外槽3に流入する水は排出されていく。尚、排水弁19は次回の運転の際、外槽3内に水を溜めるために閉じられる。
【0046】
ここで、給水弁8に発生した異常が水道水中の異物が詰まったことによる場合、極少量の水が給水弁8から漏れて外槽3内に流入するかたちとなる。そのため、係る異物詰まりの異常の場合には、殆ど時間T1一杯かかって漏水水位に達し、ステップS3に進むことになる。この漏水はステップS3で排出され、そして、次回の運転が行われて終了した後も依然給水弁8に異物が詰まったままで漏水水位に達したときには、漏水異常カウンタがステップS5でカウントされる(Ca=2回)。
【0047】
しかしながら、給水弁8は一回の運転コースで複数回開閉されることになるので、この開閉動作によって異物が流れ去り、除去される可能性が高い。そのような場合には漏水は無くなるので、運転終了からT1時間経過してもステップS2からステップS3には進まなくなり、ステップS9からステップS10に進んで水漏れ異常カウンタはクリアされる。
【0048】
従って、係る異物詰まり異常の場合であって、水漏れ異常カウンタのカウントCaが3回に達する以前に異物が除去できたときは後述するステップS8に進まず、給水弁水漏れ異常表示は報知されなくなる。
【0049】
一方、給水弁8に発生した異常が給水弁8自体の故障で閉じ切らないものであった場合、次回の運転で開閉動作を行っても故障が解消されることは無く、運転終了後T1時間が経過するまでに漏水水位に達してしまうようになる。そのため、水漏れ異常カウンタは、運転が終了するたびにカウントするかたちとなる。そして、そのカウントCaが3回に達した時点で、制御部31はステップS7からステップS8に進み、操作部36の表示部で給水弁水漏れ異常の表示を行い、使用者に異常を報知する。
【0050】
このように、制御部31が洗濯機1の運転終了後に水位センサ27が所定の漏水水位を検出した場合、水漏れ異常カウンタをカウントすると共に、この水漏れ異常カウンタのカウントCaが例えば3回(所定回数)に達した場合、操作部36の表示部にて異常報知を行うようにしたので、運転終了後に水位センサ27が検出した水漏れが異物詰まりによるものであって、その後の給水弁8の動作で、詰まった異物が水漏れ異常カウンタのカウントが所定回数に達する以前に除去できたときには、異常報知は行われなくなる。
【0051】
これにより、不必要な異常報知を行って使用者の利便性を阻害する不都合を未然に回避することが可能となる。一方で、給水弁8自体が故障して水漏れが継続した場合には、水漏れ異常カウンタのカウントが3回に達した時点で異常報知が行われるので、支障なく使用者の対応を促すことができるようになる。
【0052】
また、制御部31が運転終了後、T1時間(一定時間)が経過するまでに水位センサ27が漏水水位を検出しない場合、水漏れ異常カウンタのカウントをクリアし、電源を切るので、異物詰まりが給水弁8の動作で解消したことを迅速に判断して初期状態に戻し、洗濯機1の電源を切ることができるようになる。
【0053】
更に、制御部31は水位センサ27が漏水水位を検出した場合、排水弁19により外槽3内から排水するので、扉4が開放された際に外槽3から水が溢れ出す不都合を確実に回避することができるようになる。この場合、洗濯機1の電源が切られた後も排水弁19は開放状態を維持しているので、その後に外槽3内に流入する水も支障無く排出され、扉4の開放で水が溢れ出す不都合は確実に防止される。
【実施例2】
【0054】
次に、図4のフローチャートに基づいて制御部31による他の実施例の水漏れ検出動作について説明する。この場合も前述したように洗濯機1が運転終了し、オートオフした場合(ステップS1)、制御部31はステップS2に進み、水位センサ27が所定の漏水水位を検出したか否か判断する。
【0055】
制御部31はステップS2で水位センサ27が検出している外槽3内の水位が漏水水位以上か否か判断し、漏水水位未満であればステップS9に進んで運転終了から所定時間T1が経過したか否か判断する。経過していない場合はステップS2に戻り、運転終了からT1時間(24時間)経過した場合には、ステップS10aに進んで自らがプログラムとして有する所定の給水弁動作回数カウンタ(動作回数カウンタ)のカウントCbをクリア(Cb=0)し、且つ、後述する給水弁動作回数カウントフラグもリセットする。そして、ステップS11に進んで電源リレーをOFFし、洗濯機1の電源を切る。
【0056】
ここで、給水弁8に何らかの異常が発生して閉じ切ることができずに止水不能に陥り、洗濯機1の運転終了後においても依然外槽3内に給水が継続された場合、同様に外槽3内の水位は上昇していく。そして、前述した時間T1が経過する以前に外槽3内の水位が前記漏水水位まで達したことを水位センサ27が検出した場合、制御部31はステップS2からステップS3に進んで先ず排水弁19を開放させていく。
【0057】
そして、ステップS4で排水弁19が開き切るまでの設定時間の経過を待つ。排水弁19が開放されることにより、外槽3内の水は前述した如く排水口16から排水管17、18、24、23を経て排出される。これにより、扉4が開放されても外槽3から水が溢れ出す不都合を回避する。
【0058】
次に、制御部31はステップS5aに進んで所定の給水弁動作回数カウントフラグをセット「1」し、且つ、前述した給水弁動作回数カウンタのカウント値nをカウントの加算(Cb+n)し、ステップS6に進んでEEPROMに記憶する。ここで、この時点で制御部31は給水弁8の動作回数はカウントしていないので、カウント値は0である。次に、ステップS7aで給水弁動作回数カウンタのカウントCbが所定回数(例えば30回)以上になったか否か判断し、なっていなければステップS11に進んで電源をOFFする。前述同様にこの時点で排水弁19は開放状態を維持しているので、外槽3に流入した水は排出されていく。また、排水弁19は次回の運転の際、外槽3内に水を溜めるために閉じられる。
【0059】
ここで、ステップS5aで給水弁動作回数カウントフラグがセットされると、制御部31は次回の運転からは給水弁8の動作回数をカウントするようになる。そして、運転終了後に再度水位センサ27が漏水水位を検出するとステップS2からステップS3、ステップS4に進み、排水弁19を開いて外槽3内の水を排出し、ステップS5aで運転中にカウントしておいた動作回数nを給水弁動作回数カウンタに加算する(Cb+n)。尚、実際には運転中に制御部31は給水弁動作回数カウンタをカウントしており、ステップS5aはそれを代表して示している。
【0060】
そして、給水弁動作回数カウンタのカウント値をステップS6でEEPROMに記憶する。次に、ステップS7で給水弁動作回数カウンタのカウントCbが所定回数(30回)以上になったか否か判断し、未だ所定回数に達していなければステップS11に進んで電源をOFFする。
【0061】
ここで、給水弁8に発生した異常が水道水中の異物が詰まったことによる場合、極少量の水が給水弁8から漏れて外槽3内に流入するかたちとなる。そのため、係る異物詰まりの異常の場合には、殆ど時間T1一杯かかって漏水水位に達し、ステップS3に進むことになる。この漏水はステップS3で排出され、そして、次回の運転が行われて終了した後も依然給水弁8に異物が詰まったままで漏水水位に達したときには、給水弁動作回数カウンタのカウントがステップS5aで加算される。
【0062】
しかしながら、給水弁8は一回の運転コースで複数回開閉されることになるので、この開閉動作によって異物が流れ去り、除去される可能性が高い。そのような場合には漏水は無くなるので、運転終了からT1時間経過してもステップS2からステップS3には進まなくなり、ステップS9からステップS10aに進んで給水弁動作回数カウンタと給水弁動作回数カウントフラグはクリア(リセット「0」)される。
【0063】
従って、係る異物詰まり異常の場合であって、水漏れ異常カウンタのカウントCbが30回に達する以前に異物が除去できたときは後述するステップS8に進まず、給水弁水漏れ異常表示は報知されなくなる。
【0064】
一方、給水弁8に発生した異常が給水弁8自体の故障で閉じ切らないものであった場合、次回の運転で開閉動作を行っても故障が解消されることは無く、運転終了後T1時間が経過するまでに漏水水位に達してしまうようになる。そのため、給水弁動作回数カウンタは、次回の運転中もカウントするかたちとなる。そして、そのカウント値Cbが30回に達していれば、制御部31はステップS7aからステップS8に進み、操作部36の表示部で給水弁水漏れ異常の表示を行い、使用者に異常を報知する。
【0065】
このように、運転終了後に水位センサ27が漏水水位を検出した場合、制御部31が次回の運転から所定の給水弁動作回数カウンタにより給水弁8の動作回数をカウントすると共に、運転終了後に水位センサ27が漏水水位を再度検出したときに、給水弁動作回数カウンタのカウントが所定回数に達している場合、異常報知を行うようにしたので、運転終了後に水位センサ27が検出した水漏れが異物詰まりによるものであって、その後の給水弁8の動作で、詰まった異物が給水弁動作回数カウンタのカウントが所定回数に達する以前に除去できたときには、異常報知は行われなくなる。
【0066】
これにより、この場合も同様に不必要な異常報知を行って使用者の利便性を阻害する不都合を未然に回避することが可能となる。一方で、給水弁8自体が故障して水漏れが継続した場合には、運転終了後に水位センサ27が再度漏水水位を検出したときに給水弁動作回数カウンタのカウントが所定回数に達していることで異常報知が行われるので、支障なく使用者の対応を促すことができるようになる。
【0067】
ここで、前記実施例1のように各運転終了後に水位センサ27が漏水水位を検出した回数で判断する場合、例えば洗濯を行わない(給水弁8が動作しない)脱水のみの運転コースの運転終了後にもカウントしてしまうため、的確な判断が阻害される危険性があるが、この実施例の如く給水弁8の動作回数で水漏れが異物詰まりによるものか否かを判断すれば、より的確に水漏れ異常を判断することが可能となる。
【0068】
また、制御部31が、運転終了後に水位センサ27が漏水水位を検出した場合、次回の運転から給水弁動作回数カウンタをカウントすると共に、再度水位センサ27が漏水水位を検出したときに給水弁動作回数カウンタのカウントが所定回数に達している場合、異常報知を行うようにしているので、水位センサ27が漏水水位を検出した場合のみ、給水弁8の動作回数をカウントすれば良いことになり、常時給水弁8の動作回数をカウントする必要が無くなり、制御が容易となる。
【0069】
尚、上記各実施例では外槽3及びドラム6が前方に高く傾斜して設けられている洗濯機1について説明したが、それに限らず、外槽3及びドラム6(ドラム6の回転軸)が水平に設けられている場合にも本発明は有効である。
【符号の説明】
【0070】
1 洗濯機
2 制御装置
3 外槽
4 扉
6 ドラム
8 給水弁(給水手段)
19 排水弁(排水手段)
27 水位センサ(水位検出手段)
31 制御部(制御手段)
36 操作部
図1
図2
図3
図4