(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外槽と、該外槽の内部に水平若しくは前方が高く傾斜した状態で回転自在に設けられ、内部に洗濯物が収容されるドラムと、該ドラムの前端面側に形成された洗濯物投入用の開口とを具備した洗濯機において、
前記ドラムの内周面に設けられ、洗濯物を掻き上げるためのバッフルを備え、
該バッフルは、前記ドラムの内方に面して突出する複数の山部と各山部間の谷部とを有し、
前記複数の山部は、前記ドラムの内方に頂面を有し、前記ドラムの内周面の周方向に沿う幅方向に並んでおり、
前記複数の山部の頂面は、前記山部の高さ方向において、同じ高さにあり、
前記高さ方向における前記バッフルの高さ寸法は、前記幅方向における前記バッフルの幅寸法の三分の一以下であることを特徴とする洗濯機。
前記バッフルは前記ドラムの内周面に沿って設けられ、前後方向に延在すると共に、前記各山部及び谷部は、前記バッフルの長手方向に延在して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。本発明の洗濯機の一実施例としての洗濯乾燥機WDは、
図1に示す如く略直立方体形状を呈する筐体1を備えており、この筐体1の前面には略円形状の衣類投入口2が形成され、この衣類投入口2は内部を透視可能な横開き式のドア3により開閉自在とされている。この衣類投入口2の上方には、左右に細長く各種操作キーや表示部が配置された操作パネル4が設けられ、その左側には引き出し式の洗剤容器5が設置され、右側には同じく引き出し式の乾燥フィルタ容器6が設置されている。
【0018】
筐体1の上面後部には一端が水栓WN(
図7)に接続される給水ホースWH(
図7)の他端が接続される給水ホース接続口7が配置され、その右隣には一端が浴槽BT(
図7)内の風呂水に浸漬される風呂水ホースBH(
図7)の他端が接続される風呂水ホース接続口8が配置されている。給水ホース接続口7は後述する給水バルブ21の入水口を直接上面に露出させることで形成されており、風呂水ホース接続口8は風呂水ポンプ22の入水口を直接上面に露出させることで形成されている。
【0019】
筐体1の内部には、周面が略円筒形状である外槽10が左右両下側方を支持するダンパ11と上部を牽引する図示しないバネとにより適度に揺動自在に保持されている。外槽10は実施例では前方が高く傾斜した状態で配置されており、外槽10の前面には扁平円筒形状の外槽カバー10aが設けられ、その内側に衣類投入口2に対応して円形状に開口した外槽前面開口10bが形成され、外槽カバー10aはこの外槽前面開口10bの周囲を囲繞している。
【0020】
外槽カバー10aと衣類投入口2の周縁部とはゴム等の弾性体から成る扁平円筒形状のパッキン12によって連結されている。外槽10の内部には、洗濯物を収容するための周面略円筒形状のドラム13(内槽)が前後方向に延在し、且つ、前方が高く傾斜して設けられた主軸14により軸支されている。これにより、実施例ではドラム13も外槽10内で前方が高く傾斜した状態で配置されており、ドラム13の前端面側には大きく開口した洗濯物投入用のドラム前面開口13aが形成され、ドア3が開放されると前方斜め上から外槽前面開口10bとこのドラム前面開口13aとを通してドラム13内部が覗き込めるように構成されている。
【0021】
主軸14の前端はドラム13の後面に強固に固定され、外槽10の後面部に装着された軸受固定部材15に保持される軸受16により回転自在に支承されている。外槽10の後方側に突出した主軸14の端部には、ダイレクトドライブ方式のモータとしてアウターロータ型のドラムモータ17のロータ17aが取り付けられ、一方、軸受固定部材15にはドラムモータ17のステータ17bが固定されている。永久磁石を含むロータ17aは巻線を含むステータ17bの外周側を取り囲むように配置されており、ステータ17bに駆動電流が供給されるとロータ17aは回転し、主軸14を介してロータ17aと同一の回転速度でドラム13が回転駆動される構成とされている。
【0022】
筐体1内の上部空間には、給水バルブ21、風呂水ポンプ22、注水口部23を含む給水ユニット20が配設されている。給水バルブ21の上方に指向した入水口が前記給水ホース接続口7であり、風呂水ポンプ22の上方に指向した入水口が風呂水ホース接続口8である。洗剤容器5を引き出し自在に内装する注水口部23は、給水バルブ21の前方に配置され、給水バルブ21や風呂水ポンプ22を経て注水口部23に供給された水は主として洗剤容器5の内部を通り、注水口部23の底部に接続された給水路24を通して外槽10の後部に設けられた注水口25から外槽10内へと供給される。
【0023】
上述したように給水が行われて外槽10に貯留した水は、ドラム13の円筒形状の胴
部13c周壁面に多数穿設された通水孔13bを通してドラム13内へと流入する。また、ドラム13の高速回転による遠心脱水時にドラム13内で洗濯物から吐き出された水は通水孔13bを通して外槽10側へと飛散する。外槽10の底部後方には排水口26が設けられ、排水口26は水路43を介して後述する第1排水バルブ27の流入口に接続されており、この第1排水バルブ27が開放されると、外槽10内に貯留されている水は最終的に筐体1の側面下部に形成された排出口29から機外へ引き出される排水ホース(
図7)を通して排出されることになる。
【0024】
ドラム13の胴部13cの内周面には主軸14の周囲に120°の回転角度を保って三個のバッフル30が設けられ、ドラム13の内周面に沿って前後に延在している。このバッフル30はドラム13の回転時に収容した洗濯物を掻き上げる機能を奏するものであるが、詳細について後に説明する。
【0025】
次に
図7を用いて実施例の洗濯乾燥機1の水路と風路について説明する。給水バルブ21には4つの出口があり、何れの出口から水を出すかを切り換えることができる。給水バルブ21の第1出口28は注水口ユニット20に接続されている。注水口ユニット20内の注水口部23は、第1出口28から供給される水を給水路24から外槽10へと導く分岐水路と、呼び水水路33へと導く分岐水路とを備える。水栓WNが開かれた状態で、開いた給水バルブ21の第1出口28から注水口ユニット20へ供給される水は、呼び水水路33を通って風呂水ポンプ22を経由し、水路37を通って洗剤容器5へと流れる。そして、洗剤容器5内に区画形成された洗剤収容室を経由して給水路24から外槽10へと流入する。
【0026】
また、分岐されて給水路24へ流れる水は、洗剤容器5内に区画形成された洗剤収容室を経由して給水路24から外槽10へと流入する。給水バルブ21の第2出口31も注水口ユニット20に接続されており、第2出口31を開いたときに第2出口31から供給される水は、洗剤容器5内に区画された柔軟剤収容室を通って給水路24から外槽10へと流れ込む。
【0027】
一方、風呂水ポンプ22が駆動されると、浴槽BTの残り湯が風呂水ホースBHを介して汲み上げられ、水路37から注水口ユニット20へ流入し、洗剤容器5の洗剤収容室を通り、給水路24から外槽10へと供給される。このように給水路24によって外槽10への給水が行われる。
【0028】
給水バルブ21の第3出口38は水路39によって後述する通風路65の所定位置に接続されている。また、給水バルブ21の第4出口40は水路41によって外槽10に接続されている。第3出口38が開かれると水路39を経由して通風路65に水が供給される。この水は通風路65内での高温多湿の循環空気と接触されて熱交換に寄与すると共に、通風路65内壁に不着したリントその他の異物を洗い流す。尚、水路41は外槽10に吐出するシャワー用の水路である。
【0029】
洗濯工程(洗い工程及びすすぎ工程)において、上記のような給水によって外槽10内に水が溜められる。第1排水バルブ27の流出口は水路45を介してフィルタユニット35の流入口と接続されている。第1排水バルブ27が閉じられることにより、外槽10内に水を溜めることができる。外槽10内の水位は、水路43から分岐して上方に延びたエアーホース46内の圧力変化に基づき、水位センサ47により検出される。外槽10内に水を溜めた状態で、ドラムモータ17によりドラム13が回転されて所定の洗濯工程が行われる。
【0030】
フィルタユニット35の排水口には第2排水バルブ48の流入口が接続されており、第2排水バルブ48の流出口は第1排水路49を介し、排出口29に接続された排水ホース50に接続される。62は排水ホース50に設けられた排水トラップである。そして、第1排水バルブ27及び第2排水バルブ48が開かれると、外槽10内の水は排水口26から水路43、45、49を通って排水ホース50から外部へ排出される。排水トラップ62に排水の一部が留まることにより、排水口26から排水ホース50までの排水用経路内の空気流通は遮断される。
【0031】
第1排水路49には溢水用水路52の下端が合流している。溢水用水路52の上端は外槽10に設けられた溢水口53に連通している。このため、外槽10に水が溜まり過ぎ、その水位が所定水位以上になった時点で溢水口53から水が溢れ、第2排水バルブ48の開閉の移管に拘わらず、溢水用水路52から排水ホース50へと排出される。
【0032】
フィルタユニット35の流出口には第1循環水路55の一端が接続され、第1循環水路55の他端は循環ポンプ54の吸込口に接続されている。循環ポンプ54の吐出口にはベンチュリー管58を介して第2循環水路57の一端が接続されている。第2循環水路57の他端は、外槽10内に溜められる水の通常の水位より高い位置で図示しないUターン部を介して外槽10内に連通している。
【0033】
洗い工程及び/又はすすぎ工程において、外槽10に一定量の水が溜められ、第1排水バルブ27が開けられ、第2排水バルブ48が閉じられた状態で、循環ポンプ54が駆動されることにより、外槽10内に溜められた水は排水口26、水路43、第1排水バルブ27、水路45、フィルタユニット35、第1循環水路55、循環ポンプ54、第2循環水路57を経て外槽10へと循環され、ドラム13の回転によって外槽10内で洗濯物の洗い及び/又はすすぎが行われる。
【0034】
ベンチュリー管58には空気流入口60が設けられており、空気流入口60にはエアーチューブ61を介してオゾン発生機OZが接続されている。ベンチュリー管58に循環ポンプ54から水が流れるときに、オゾン発生機OZが作動される除菌モードにおいて、オゾン発生機OZで生成されたオゾンを含む空気(浄化用空気)は、エアーチューブ61を介して空気流入口60からベンチュリー管58内へ流入する。これにより、循環水にオゾンが混入されると、オゾンの強い酸化力及び殺菌力で循環水が浄化され、浄化された水を用いて外槽10内での洗濯を行うことができるようになる。
【0035】
洗濯乾燥機WDには、乾燥運転を行うために外槽10の後方下部に吸込口63、外槽10の前方上部に吐出口64が設けられており、吸込口63と吐出口64とは外槽10の外側に設けられた前記通風路65により接続されている。この通風路65は、吸込口63から外槽10の後方右側を略まっすぐ上に延びる直立管部65aと、この直立管部65aの上端から前方に屈曲して外槽10の周面外側を斜め上方に延びる傾斜管部65bと、傾斜管部65bの前端から上方に延びる蛇腹状の弾性部材より成る連結管部65cと、筐体1に対して固定され、外槽10の上方に位置し、上下2段に形成された水平な管路がその前部で連通されている折返し構造の除湿パイプ65dと、除湿パイプ65dの左隣に位置し、末端が吐出口64に繋がる送風加熱管部65eとから成る。
【0036】
この通風路65の傾斜管部65bの上面に前記水路39が接続されている。給水バルブ21の第3出口38が開かれると、給水ホース接続口7に供給された水道水が前述の如く除湿用冷却水として供給され、傾斜管部65b内に放出される。また、除湿パイプ65dの上段の水平管部65d2の前部には、内部にリントフィルタ(フィルタ)6aが配設された前記乾燥フィルタ容器6が引き出し自在に収納される構成とされており、乾燥フィルタ容器6が収納されると管路中を流れる空気はリントフィルタ6aを通過するように構成されている。リントフィルタ6aは例えば、不織布又は合成樹脂製の多孔体から成るシート状又は板状の部材である。
【0037】
通風路65を流れる空気流において、このリントフィルタ6aの上流側に位置する除湿パイプ65dの下段の水平管部65d1の左側の壁に、本発明の吸排気装置66が取り付けられ、除湿パイプ65d内に連通されている。この吸排気装置66については後に詳述する。リントフィルタ6aの空気流の下流側となる送風加熱管部65e中には、その空気の流れに沿ってファンモータ67により回転駆動される送風ファン68及び乾燥用のPTCヒータ(ヒータ)69が配設されている。
【0038】
乾燥運転時にファンモータ67により送風ファン68が回転駆動されると、上述したような通風路65及び外槽10により構成される乾燥風路DPに空気流が生起される。この空気流はPTCヒータ69で加熱された後、吐出口64から吐出されて外槽10内に供給され、ドラム13内部を通過する際に洗濯物と熱交換を行って水分を奪い、吸込口63から通風路65に流れ込む。給水バルブ21の第3出口38が開放されているときには、水路39を通して供給される冷却水が傾斜管部65bから直立管部65aに流れて直立管部65a内を霧状に落下する。従って、除湿用の冷却水は直立管部65aにおいて下方から上昇して来る湿った空気と熱交換を行い、水蒸気を凝縮液化させる。即ち、通風路65の直立管部65aから除湿パイプ65dに至る部分が本発明における除湿部となる。結露により生じた水は噴霧された冷却水と共に通風路65の直立管部65a内壁を伝い落ち、吸込口63を経て外槽10内に流れ込み、排水口26から排出される。
【0039】
通風路65の主として直立管部65a内で水蒸気が除去された乾いた空気は、傾斜管部65b、連結管部65c、除湿パイプ65dの下段の水平管部65d1を経て上段の水平管部65d2に至る。ここでリントフィルタ6aを通過し、送風加熱管部65eに入って送風ファン68を経てPTCヒータ69に戻るというように循環して再び加熱される。リントフィルタ6aを通過する際に空気に混入している糸屑、塵埃、花粉等の異物が除去される。
【0040】
オゾン発生機OZと送風ファン68のケーシングとはもう一つのエアーチューブ71で接続されており、通風路65内に空気流が生起されている状態でオゾン発生機OZが作動すると、送風ファン68の吸引作用によりエアーチューブ71を経たオゾンが通風路65内に引き込まれ、外槽10に供給される。これにより、乾燥運転時にドラム13内に収容されている洗濯物の脱臭・殺菌を行うこともできる。
【0041】
次に、
図8は洗濯乾燥機1の電気回路の機能ブロック図である。制御手段としての制御部73はCPU、ROM、RAM、タイマ等を含むマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROMに格納されている制御プログラムに基づいて、洗い、すすぎ、脱水及び乾燥の各行程の運転動作を行うための各種制御を実行する。
【0042】
制御部73には、操作部74からキー入力信号が与えられると共に、ドア3の開閉を検出するドアスイッチ76、外槽10内に貯留された水の水位を検出する前記水位センサ47、外槽10内の空気の温度を検出する排気温度センサ77、除湿水の温度を検出する除湿水温度センサ78、後述する吸排気装置66のマイクロスイッチ82から、それぞれ検出信号が入力される。また、制御部73には表示部79や負荷駆動部81を介してドラムモータ17、ファンモータ67、乾燥用のPTCヒータ69、給水バルブ21、第1排水バルブ27、第2排水バルブ48、循環ポンプ54、風呂水ポンプ22、オゾン発生機OZ、後述する吸排気装置66のモータ83等の動作を制御する。
【0043】
制御部73は前述したように給水バルブ21により外槽10内に給水を行い、ドラムモータ17によりドラム13を回転駆動することで投入された洗濯物の洗濯とすすぎ、脱水を行う洗濯運転を実行する。洗濯運転後の乾燥運転では、前述したようにPTCヒータ69により加熱された空気を通風路65から送風ファン68により外槽10内に送り、外槽10内で湿った空気を通風路65に戻し、前述の如く除湿した後、リントフィルタ6aを経て送風ファン68に帰還させる。
【0044】
乾燥が進んで排気温度センサ77が検出する排気温度が所定温度付近に達すると、PTCヒータ69により加えられる熱量と洗濯物に奪われる熱量とが略平行する状態となり、排気温度や除湿水温度センサ78が検出する除湿水の温度とも温度上昇速度の傾きが緩やかになり、略一定に維持される状態がしばらく続く。これが恒率乾燥期間である。この恒率乾燥期間には洗濯物からは盛んに水蒸気が発生し、通風路65での除湿も盛んに行われる。洗濯物が十分に湿っていて高温の空気と熱交換を十分に行える状態にあるときには、排気温度は略一定を保つが、洗濯物が乾いてきて熱交換が十分に行えなくなると、洗濯物に奪われる熱量が減少するため排気温度は上昇する傾向となる。一方、空気中の水蒸気量が減るため冷却水に与えられる熱量も減少し、除湿水温度は全体として徐々に下がる傾向となる。この状態が恒率乾燥期間から減率乾燥期間への移行である。
【0045】
減率乾燥期間に入ると、排気温度は上昇傾向、除湿水の温度は下降傾向になるため、両者の温度差は拡大し、その温度差の変化速度は減率乾燥期間に移行すると急に大きくなる。この温度差はドラム13内で洗濯物に奪われる熱量に依存するから、この温度差に基づいて洗濯物の乾燥の度合いを判断することができる。そこで、制御部73は排気温度と除湿水の温度との温度差を求め、この温度差が所定の閾値を超えたときに所定の乾燥度合いに達したものと判断し、乾燥運転を終了する。そして、乾燥運転の終了後には、例えばPTCヒータ69をオフして送風のみを継続するクールダウン運転を実行する。
【0046】
(1)吸排気装置
次に、
図9〜
図20を参照して本発明の吸排気装置66について説明する。吸排気装置66は前述した乾燥運転時における減率乾燥期間において乾燥風路DP内に外気を吸引し、同時に乾燥風路DP内から空気を外部に排出するためのものであり、ケース本体84と蓋86から成るケース87と、このケース87内に収納された吸気フラップ88及び排気フラップ89と、ステッピングモータから成る前記モータ83と、前記マイクロスイッチ82(フラップ開閉検出装置)等から構成され、それらを一体的に備えている。
【0047】
ケース本体84内は仕切壁91により吸気通路92と排気通路93とに区画されており、配置されてケース本体84の前側となる面及び後側となる面には、排気通路93にそれぞれ連通する排気入口94と排気出口96が形成されている。前記排気フラップ89はこれら排気入口94と排気出口96間の排気通路93内に配置され、排気通路93内に位置して仕切壁91に形成された開口93aを開閉することにより、排気通路93を開閉する。
【0048】
また、配置された状態で右側となる蓋86には吸気出口97が形成され、吸気通路92に連通すると共に、それに対向する位置のケース本体84の左側の壁には吸気入口98が形成され、吸気通路92に連通している。そして、前記吸気フラップ88は吸気出口97と吸気入口98の間の吸気通路92内に配置され、吸気出口97を開閉することにより、吸気通路92を開閉する。
【0049】
吸気フラップ88と排気フラップ89は、配置された状態で前後方向に延在する回転軸99に取り付けられており、この回転軸99の後端はケース本体84外に突出している。配置された状態で後側となるケース本体84の面には前記モータ83が取り付けられており、このモータ83の回転軸(出力軸)に前記回転軸99が接続されている。これにより、各フラップ88、89はモータ83の回転軸により同時に回転されて吸気通路92と排気通路93を同時に開閉できるように構成されている。
【0050】
また、ケース本体84の前側となる面には前記マイクロスイッチ82が取り付けられ、回転軸99の前端に連結されたアクチュエータ100を介して各フラップ88、89の開閉状態を検出できるように構成されている。尚、マイクロスイッチ82はそれに限られるものでは無く、各フラップ88、89の開閉状態を検出できるものであれば良い。更に、回転軸99には付勢部材としてのコイルバネ101が取り付けられており、このコイルバネ101は常時各フラップ88、89で各通路92、93を閉じる方向に付勢する。
【0051】
一方、除湿パイプ65dの下段の水平管部65d1の向かって左側の壁には連通孔102が形成されている。そして、この連通孔102に前記吸気出口97を対応させた状態で、吸排気装置66は蓋86が除湿パイプ65dの下段の水平管部65d1に密着されて固定される。
【0052】
また、排気入口94には弾性を有する蛇腹状の排気ホース103の一端(後端)が接続され、排気ホース103の他端(前端)は外槽カバー10aに形成された排出口104に接続されている。これにより、吸排気装置66の排気入口94は外槽10内に連通する。また、排気出口96にはもう一つの排気ホース106の一端(前端)が接続され、排気ホース106の他端(後端)は筐体1の上面板1a後側の傾斜面1bに形成された排気口107に接続されている。
【0053】
以上の構成で、制御部73は常には吸排気装置66のモータ83を回転(例えば、正転)させ、
図18及び
図19に示すように吸気フラップ88及び排気フラップ89により、ケース87内の吸気通路92及び排気通路93を閉じる。この状態はマイクロスイッチ82により検出され、制御部73はこのマイクロスイッチ82の出力に基づいてモータ83を停止させる。また、コイルバネ101は常時吸気フラップ88と排気フラップ89を閉じる方向に付勢しているので、ステッピングモータから成るモータ83のガタ付きがあったとしてもそれを吸収することができる。
【0054】
これらにより、フラップ88、89で確実に吸気通路92と排気通路93を閉じ、吸排気を阻止することができるので、前述のようなオゾン発生機OZで生成されたオゾンが吸排気装置66から外部に漏洩することはない。
【0055】
そして、前述した乾燥運転において、減率乾燥期間に移行した場合、制御部73はモータ83に通電して回転(逆転)させ、吸気フラップ88と排気フラップ89を回転させて吸排気装置66のケース87内の吸気通路92と排気通路93を同時に開く。吸気通路92が開放されると、吸気入口98、吸気通路92、吸気出口97、及び、連通孔102を介して除湿パイプ65dの水平管部65d1内と外部とが連通されるので、送風ファン68の吸引力により、
図9に矢印で示す如く吸気入口98から外気が吸引され、吸気通路92を経て連通孔102からリントフィルタ6aの上流側における通風路65内に流入するようになる。
【0056】
また、排気通路93が開放されると、外槽カバー10aの排出口104、排気ホース103、排気入口94、排気通路93、排気出口96、排気ホース106、及び、排気口107を介して外槽10内と外部とが連通されるので、吸気通路92から流入した分の外槽10内の空気が排出口104から排気ホース103、排気通路93、排気ホース106を経て排気口107より外部に排出されるようになる。
【0057】
そして、乾燥運転が終了した場合、制御部73はモータ83を再び正転させて各フラップ88、89により吸気通路92と排気通路93を閉じる。
【0058】
このように吸排気装置66によれば、乾燥風路DP内の湿った空気を外部に排出し、乾いた外気を乾燥風路DP内に吸引することが可能となり、乾燥効率を向上させることができるようになる。また、従来のエア抜き構造も不要とすることが可能となるので、関連部品を削除し、係る部品からの水漏れの危険性も排除することができるようになる。
【0059】
特に、吸排気装置66は、乾燥風路DP内に外気を吸引して同時に当該乾燥風路DPから外部に空気を排出するので、乾燥風路DP内への外気の吸引と外部への空気の排出を効率的に行うことができるようになる。更に、吸排気装置66は、外気の吸引と外部への空気の排出機能を一体的に備えているので、筐体1内の外槽10上側の狭い空間を利用してコンパクトに設置することができるようになり、洗濯乾燥機WD全体の寸法拡大も回避することが可能となる。
【0060】
この場合、制御部73は乾燥運転における恒率乾燥期間経過後の減率乾燥期間において、吸排気装置66により乾燥風路DP内に外気を吸引し、当該乾燥風路DPから外部に空気を排出するので、乾燥が進行し、洗濯物から発生する水蒸気の量が減少してきた減率乾燥期間において、乾燥風路DP内にこもった水蒸気を外部に排出することができるようになる。また、外気の吸引によって洗濯物の温度を早期に低下させることもできるようになるので、乾燥を早期に完了させることが可能となる。
【0061】
また、吸排気装置66は通風路65内の空気流における送風ファン68の上流側に設けられたリントフィルタ6aの通風路65内の空気流における上流側において外気を通風路65内に吸引するようにしたので、吸引した外気中の塵埃もリントフィルタ6aで捕獲されるようになる。これにより、送風ファン68やPTCヒータ69が外気中の塵埃で汚損する不都合を解消することができるようになる。
【0062】
ここで、外槽10及びドラム13は前方が高く傾斜した状態で配置され(水平でも同様)、外槽10は前面が開口し、この開口周囲を囲繞する外槽カバー10aを備えているが、吸排気装置66は外槽カバー10aより外槽10内の空気を外部に排出するので、ドラム13の回転による振動の影響が最も少ない外槽カバー10aから外部に空気を排出することができるようになる。これにより、振動が吸排気装置66に与える不都合を最小限に抑えることが可能となる。
【0063】
また、実施例では吸排気装置66を、ケース87と、このケース87内に区画形成された吸気通路92及び排気通路93と、モータ83と、このモータ83の回転軸により回転され、各通路92、93をそれぞれ開閉する吸気フラップ88及び排気フラップ89とで構成したので、単一のモータ83で各フラップ88、89を回転させて吸排気を制御することができるようになり、著しいコストの削減とコンパクト化を図ることができるようになる。
【0064】
また、前述したように吸排気装置66は、各フラップ88、89の開閉状態を検出するためのマイクロスイッチ82を備えているので、各フラップ88、89による吸気通路92及び排気通路93の開閉を、制御部73により的確に制御することができるようになり、無用な外気の流入と意図しない空気の漏洩を確実に防止することができるようになる。
【0065】
(2)バッフル
次に、
図21〜
図24を参照してドラム13に設けられた前記
バッフル30について説明する。バッフル30はドラム13の胴部13cの内周面にネジ止めされており、主軸14の周囲に120°の回転角度を保って三個設けられている。各バッフル30はドラム13の胴部13cに沿って前後に延在している。また、各バッフル30のドラム13内方に臨む面には、各図に示すような複数条(実施例では五つ)の山部108が突出形成されており、各山部108間は複数条の谷部(実施例では四つ)109とされている。
【0066】
また、バッフル30の各山部108及び谷部109は、前後方向に延在しており、実施例では波状に緩くうねった形状を呈している。また、各山部108の頂面108aと谷部109の底面109aには、それぞれ複数の水抜き孔111が貫通形成されている。更に、各山部109の頂部の断面は、
図24に示すように略台形状を呈しており、頂面109aの左右方向(延在方向の直交する方向)の隅は、湾曲面では無く角部109bとされている。また、バッフル30の幅寸法をX1とした場合、実施例では高さ寸法X2を、幅寸法X1の三分の一以下(X2≦1/3*X1)と低く設定している。
【0067】
このような構成で、ドラム13内に投入された洗濯物の量が多く、水に浮いていないような場合には、洗濯物がバッフル30の各山部108、108間の谷部10内に進入した状態で各山部108、108間に挟まれ、密着するようになる。これにより、洗濯物とバッフル30との間の摩擦力が増大する。従って、ドラム13が回転されると、洗濯物はこの摩擦力により持ち上げられ、安定したたたき洗いが実現される。
【0068】
また、このように増大した摩擦力で洗濯物を持ち上げることから、従来の如くドラム30内にバッフル30を大きく突出させる必要が無くなる。実施例では上述したようにバッフル30の高さ寸法X2を、幅寸法X1の三分の一以下としているので、ドラム内に大きく突出させる従来のバッフルに比して、ドラム13内を大きく狭めることが無くなり、ドラム13内の容積が拡大される。
【0069】
更に、ドラム13内に大きく突出しないので、ドラム13の下部に回って洗濯物の下に入り込むときのバッフル30と洗濯物との擦れが少なくなる。これにより、布傷みも低減される。実際に従来のバッフルと実施例のバッフル30とで洗濯実験を行ったところ、布減少率は従来比で60%近くまで低下した。
【0070】
他方、ドラム13内に投入された洗濯物の量が少なく、水に浮くような場合には、バッフル30の複数の山部108と谷部109とにより、水に浮いた状態の洗濯物の側面や下面を擦るように洗うことになる。これにより、係る場合には、バッフル30が従来の洗濯板の機能を果たすことになり、洗濯性能が向上する。特に、各山部108の頂部には角部108bを形成しているので、バッフル30による洗濯物の擦り洗い性能は、より一層向上する。
【0071】
また、ドラム13内に大きく突出しないので、従来に比してドラム13の回転によりバッフル30が水に進入するときの抵抗も小さくなり、モータ17の負荷が減少して省エネルギーにも寄与することが可能となる。
【0072】
また、バッフル30はドラム13の胴部13cの内周面に沿って設けられており、前後方向に延在している。そして、各山部108及び谷部109は、バッフル30の長手方向に延在して形成しているので、ドラム13内への突出量を抑制しながら、洗濯物が多いときの摩擦力による持ち上げ力や、洗濯物が少ないときの擦り洗い機能が一層向上する。
【0073】
また、胴部13cにネジ止めされたバッフル30内にはどうしても水が侵入するが、バッフル30の各山部108及び谷部109には水抜き孔111が貫通形成されている。これにより、洗濯が終了した後、バッフル30内の水は水抜き孔111から円滑に流出するようになる。また、ドラム13が停止したときに上方に位置するバッフル30からは水抜き孔111から水が滴下するが、真下に位置したバッフル30からは水が出難くなる。しかしながら、低くなる谷部109にも水抜き孔11を形成している関係で、少なくともこの谷部109の水抜き孔111の高さまでは水は抜けるので、ドラム13のどの位置にバッフル30が停止しても、内部に残留する水の量を最小限に少なくすることが可能となる。
【0074】
尚、上記実施例では外槽10及びドラム13を前方が高く傾斜して設けた洗濯乾燥機WDについて説明したが、それに限らず、外槽10及びドラム13が水平に設けられている場合にも本発明は有効である。
【0075】
また、実施例では洗濯物の洗濯と乾燥を行う洗濯乾燥機WDで本発明を説明したが、それに限らず、洗濯のみを行う洗濯機でも有効であることは云うまでもない。