特許第5694961号(P5694961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5694961プラスチック容器を加圧するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694961
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】プラスチック容器を加圧するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/24 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   B67C3/24
【請求項の数】27
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-550181(P2011-550181)
(86)(22)【出願日】2010年2月9日
(65)【公表番号】特表2012-517390(P2012-517390A)
(43)【公表日】2012年8月2日
(86)【国際出願番号】US2010023568
(87)【国際公開番号】WO2010093602
(87)【国際公開日】20100819
【審査請求日】2013年2月12日
(31)【優先権主張番号】61/151,363
(32)【優先日】2009年2月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507215839
【氏名又は名称】プラスチパック パッケージング,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】ペドモ、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ダール、リチャード シー.
【審査官】 尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/080327(WO,A1)
【文献】 特開2008−178994(JP,A)
【文献】 特開2008−013186(JP,A)
【文献】 特開昭63−122517(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/127337(WO,A1)
【文献】 特表平03−504220(JP,A)
【文献】 実開昭60−036779(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/00−11/06
B65B 61/24
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁を有する充填されたプラスチック容器を製造するためのシステムであって、
本体部と、前記容器の一部を保持または固定するように構成された保持/固定部材とを含む、アクチュエータ、および
加熱面を含み前記容器の基部を受容するように構成されたベースユニット、を有してなり、
前記アクチュエータは前記容器に力あるいは圧力を加えて前記ベースユニットに接触させるように構成されており、これによりプラスチック容器が加圧されてその内部圧力が安定化すると共に容器の側壁が元の位置に戻って容器の強度が増大し、
前記加熱面が前記容器の基部の一部にエネルギーないし熱を伝えるように構成されており、
プラスチック容器の基部が、力または圧力および/またはエネルギーまたは熱を加えることに応答して内方に移動するように構成された反転セグメントあるいは反転部を含んでいる、システム。
【請求項2】
前記ベースユニットがセンタリング部材を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記センタリング部材がセンタリングピンを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記センタリング部材が前記アクチュエータに向かって直線的に移動しおよび前記アクチュエータから離れるように直線的に移動するように構成され、および前記センタリング部材が前記アクチュエータに向かう方向に前記センタリング部材を付勢するための手段を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項5】
前記ベースユニットが、前記ベースユニットと前記容器との間に配置されるように構成されたインサートを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記インサートが、前記容器の前記基部の一部に有効に係合するように構成された上面を含む、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記保持/固定部材が、前記アクチュエータの前記本体に向かう直線方向に移動しおよび前記アクチュエータから離れる直線方向に移動するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記保持/固定部材が前記アクチュエータに堅く固定されている、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記保持/固定部材が前記容器の上側部分の下部でスライドすると共にこの上側部分を支持するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記システムが複数のアクチュエータおよび複数のベースユニットを有してなる、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記システムが回転式ホイールを含み、および複数のアクチュエータおよびベースユニットが、対で等間隔で配置され、回転式ホイールの外周の回りに放射状に延在するセットとして設けられている、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記システムが高温充填されたプラスチック容器の製造用として構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記システムが低温充填されたプラスチック容器の製造用として構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記プラスチック容器が薄壁である、請求項1記載のシステム。
【請求項15】
側壁を有する充填されたプラスチック容器を供給するための方法であって、
内容物が入った密閉あるいは密封されたプラスチック容器を用意するステップ、
前記プラスチック容器をベースユニットに運ぶステップであって、前記ベースユニットは前記プラスチック容器の基部の少なくとも一部と係合あるいは接触するように構成されているステップ、
前記プラスチック容器が前記ベースユニットと係合あるいは接触するように力あるいは圧力を加え、これによりプラスチック容器が加圧されてその内部圧力が安定化すると共に容器の側壁が元の位置に戻って容器の強度が増大する、ステップ、および
前記基部が前記ベースユニットと有効に接触しているときに前記プラスチック容器の基部の少なくとも一部にエネルギーあるいは熱を伝えるステップ、を有してなり、
プラスチック容器の基部が、力または圧力および/またはエネルギーまたは熱を加えることに応答して内方に移動するように構成された反転セグメントあるいは反転部を含んでいる、方法。
【請求項16】
前記ベースユニットが、前記プラスチック容器の基部の少なくとも一部と係合あるいは接触するように構成されたインサートを含み、および前記インサートが前記基部の少なくとも一部にエネルギーないし熱を伝えるように構成されている、請求項15記載の方法。
【請求項17】
エネルギーまたは熱は1秒以内の間だけ加えられる、請求項15記載の方法。
【請求項18】
エネルギーまたは熱が前記プラスチック容器の基部の少なくとも一部に450°F(232.2℃)で加えられる、請求項15記載の方法。
【請求項19】
エネルギーまたは熱を加えた後における、前記容器の内部の加圧状態が大気圧の−2.0psi(−0.136気圧)から2.0psi(0.136気圧)の範囲内である、請求項15記載の方法。
【請求項20】
エネルギーまたは熱を加えた後における、前記容器の内部の加圧状態が大気圧の−1.0psi(−0.0680気圧)から1.0psi(0.0680気圧)の範囲内である、請求項15記載の方法。
【請求項21】
内容物が高温で供給される、請求項15記載の方法。
【請求項22】
内容物が室温以下で供給される、請求項15記載の方法。
【請求項23】
前記プラスチック容器が薄壁である、請求項15記載の方法。
【請求項24】
側壁を有し充填されたプラスチック容器を供給するための方法であって、
上部および基部を備えたプラスチック容器を用意するステップ、
前記プラスチック容器に内容物を充填するステップ、
前記プラスチック容器を密閉あるいは密封するステップ、
前記プラスチック容器の上部に力あるいは圧力を加え、これによりプラスチック容器が加圧されてその内部圧力が安定化すると共に容器の側壁が元の位置に戻って容器の強度が増大する、ステップ、および
前記プラスチック容器の基部の一部にエネルギーまたは熱を加えるステップ、を有してなり、
プラスチック容器の基部が、力または圧力および/またはエネルギーまたは熱を加えることに応答して内方に移動するように構成された反転セグメントあるいは反転部を含んでいる、方法。
【請求項25】
前記プラスチック容器には内容物が高温で充填される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記プラスチック容器には内容物が室温以下で充填される、請求項24記載の方法。
【請求項27】
高温充填されたプラスチック容器を供給するための方法であって、
上部および基部を備えたプラスチック容器を用意するステップ、
前記プラスチック容器に高温で内容物を充填するステップ、
前記プラスチック容器を密閉または密封するステップ、
前記プラスチック容器の内容物を冷やすか、あるいは前記プラスチック容器の内容物を冷ますステップ、
前記プラスチック容器の内容物の冷却に関連する内部圧力に応じて前記プラスチック容器の一部に内部容量を減少させるステップ、
前記プラスチック容器の上部に力あるいは圧力を加え、これによりプラスチック容器が加圧されてその内部圧力が安定化すると共に容器の側壁が元の位置に戻って容器の強度が増大する、ステップ、および
前記プラスチック容器の基部の一部にエネルギーまたは熱を加えるステップ、を有してなり、
プラスチック容器の基部が、力または圧力および/またはエネルギーまたは熱を加えることに応答して内方に移動するように構成された反転セグメントあるいは反転部を含んでいる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2009年2月10日に出願された米国予備出願第61/151,363号の利益を主張する。
(技術分野)
【0002】
本願は、プラスチック容器を加圧(与圧)するためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
容器の壁を薄くして軽量化する取り組みにおいて、製造業者ないしメーカーは、容器の強度減少に関連した諸問題を軽減するべく努力をしている。薄壁ないし薄肉のプラスチック容器は、変形あるいは「楕円化」する傾向があり、また落下の際の力が容器破裂の原因となるので、自動販売の用途には適していない。また、時間の経過と共に、液体ないし液状の内容物を含んだ薄壁(薄肉)の容器は、比較的より厚い壁の容器に比べてより迅速にその内容物の一部を失い、これにより内部の真空および変形が増大する。
【0004】
薄壁(薄肉)のプラスチック容器は、高温の(熱い)内容物や低温の(冷えた)内容物が充填される用途を含む多くの用途に使用することができる。高温充填のパッケージ商品では、一般的には、各容器には加熱されたつまり「高温の」製品が充填ないし満たされ、また製品の内容物が昇温ないし高温の状態でキャップ(蓋)がされる。製品が冷える際において、この冷却に対応して内容物の体積(量)が減少するのに伴い容器内部に真空圧力(吸引圧)が生成し、つまり、内圧が周囲の大気圧より小さくなる。容器が成形プラスチック製である場合には、内容物が冷える際に容器の壁の一部が内方に変形ないし歪んでしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薄壁の容器を含む、容器に関連するこれらの問題に対処するために、高温充填用途あるいは低温充填用途のいずれの用途において、いくつかの従来技術の容器では、キャップをする前に、窒素のような不活性ガスを充填している。この方法により内圧や外側の剛性が一時的に増大させることができる。さらに、いくつかの容器では、リブ、溝、あるいは比較的厚めの壁部を容器に設けることで壁を補強し、変形ないし歪みの影響を低減することが行われている。また、他の例では、予測される真空圧力に関連した変形ないし歪みの量に対応し、あるいはこれを制御するために、1つ以上の真空パネルを追加的に利用している。しかしながら、容器や製造プロセスの複雑性ないし煩雑性が増大することに加えて、上記した方法のいくつかないし全ては、審美的に好ましくなく、および/または、追加の材料が必要なので重量やコストの増大を招く。
【課題を解決するための手段】
【0006】
薄壁の容器を含む、プラスチック容器を製造するためのシステムは、アクチュエータと、ベースユニット(基部ユニット)とを含んでいる。アクチュエータは、本体部と、容器の一部を保持(把持)ないし固定するための構成を有する保持(把持)/固定用部材とを含んでいる。ベースユニットは、加熱面を含んでおり、また選択的ないし随意的にインサート(挿入材)を含んでいる。1つの実施例において、アクチュエータは、力あるいは圧力を容器に加えてベースユニットに接触させるように構成され、ベースユニットは容器の基部(底部)を受容するように構成され、また加熱面は前記容器の基部の一部にエネルギーあるいは熱を伝えるように構成される。薄壁のプラスチック容器を提供するための方法の実施例も同じく開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】容器を加圧(与圧)するためのシステムの実施例を例示した斜視図である。
図2A】実施例のシステムに関連して使用されるアクチュエータの一部を概略的に示した説明図であり、アクチュエータの保持/固定部が第1の位置にある。
図2B】実施例のシステムに関連した使用されるアクチュエータの一部を概略的に示した説明図であり、アクチュエータの保持/固定部が第2の位置にある。
図3図2Aおよび図2Bに例示したタイプ(形式)のアクチュエータがプラスチック容器を保持/固定した状態を概略的に例示した説明図である。
図4】本願発明の実施例に係わるベースユニットを概略的に示した説明図である。
図5A】本願発明の実施例に係わるシステムに関連した工程段階を概略的に例示した説明図である。
図5B】本願発明の実施例に係わるシステムに関連した工程段階を概略的に例示した説明図である。
図5C】本願発明の実施例に係わるシステムに関連した工程段階を概略的に例示した説明図である。
図6】本願発明の実施例に関連して使用されるタイプ(形式)のプラスチック容器を例示した側面図である。
図7】本願発明の実施例に係わる容器基部のアウトライン(外形)を例示した底面図である。
図8A】本願発明の実施例に係わる容器基部のアウトライン(外形)を例示した側面図であり、内部の真空圧力を受ける前の状態が示されている。
図8B】本願発明の実施例に係わる容器基部のアウトライン(外形)を例示した側面図であり、内部の真空圧力の影響を受けた後の状態が示されている。
図9A】本願発明の実施例に係わる工程に関連した温度および圧力のプロフィール(輪郭線)を概略的に例示した図表である。
図9B】本願発明の他の実施例に係わる工程に関連した温度および圧力のプロフィール(輪郭線)を概略的に例示した図表である。
図10】容器を加圧(与圧)するためのシステムの実施例の正面図である。
図11図10に例示したシステムの上面図である。
図12図10に例示したシステムの、線12−12の方向から見た断面図である。
図13図10に例示したシステムの側面図である。
図14】システムの実施例のアセンブリ(組立体、構成部品)の分解斜視図である。
図15図14に示したシステムの実施例のアセンブリの、別の方向から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付図面を参照して、本願発明の一例としての実施例を説明する。
本願発明の実施例について詳細に説明する。実施例の各例は本文中で説明され、また添付図面に例示されている。なお、本願発明を実施例に関連して説明するが、これら実施例は本願発明を限定するものではない。むしろ、本願発明は、添付した特許請求の範囲により規定される発明の技術思想および技術範囲内に含まれる代替え、変更、および均等物ないし等価物を包含するものである。
【0009】
図1は本願発明の実施例に係わる加圧(与圧)システム10を概略的に例示している。このシステム10は、上側コンポーネント、つまりアクチュエータ20と、下側コンポーネント、つまりベースユニット(基部ユニット)30とを含んでいる。アクチュエータ20は、容器50の一部を保持(把持)および/または固定するための保持(把持)/固定部材40を含んでも良く、また、ベースユニット30は、主要な加熱面32とセンタリング部材(心出し用部材)60を含んでも良く、センタリング部材60は、例えば、センタリングピン(心出し用ピン、位置決めピン)の形態とすれば良い。本明細書中で開示したシステムおよび方法の各実施例は、薄壁プラスチック容器を含む、種々のタイプ(形式)のプラスチック容器に適用できる。このような「薄壁」のプラスチック容器は、例えば、約0.12mm(約4.724409ミル)から約0.31mm(約12.20472ミル)の壁厚、あるいはこれより小さい壁厚を有する容器を含んでおり、また約0.17mm(6.692913ミル)から約0.26mm(10.23622ミル)の厚さのサブセット(全体に対する一部分)の範囲内の壁を備えた容器を含んでいる。
【0010】
本願発明の実施例において、アクチュエータ20は少なくとも1つの方向(例えば、直線的に上下方向)に移動し、また種々の公知の電力制御技術ないし機器により制御される。一例として、これに限定されないが、アクチュエータ20と関連した動作(動き)は、空気圧での制御、油圧での制御、サーボ機構での制御、および/または電気モータないし駆動システムによる制御で行えば良い。図1に概略的に、および図2A、2Bおよび図3に追加的に示したように、アクチュエータは保持(把持)/固定部材40を含んでも良い。保持/固定部材40は、例えば、容器の一部、例えば容器の上部/首部を保持(把持)および/または固定するための面が開いた(口が開いた)構造(例えば「C」形状)の形態とすれば良い。
【0011】
さらに、図2Aおよび2Bに示した実施例において概略的に例示したように、保持/固定部材40は、異なる構造(構成)で設けても良く、また保持(把持)/固定機能を助長ないし容易化する必要がある場合は、符号70で全体を示した対応ないし関連するアクチュエータ本体に対して調節自在に平行移動あるいは移動させる構成としても良い。実施例において、保持/固定部材40は、アクチュエータ本体70に対して少なくとも1つの方向に沿って移動自在(例えば、前後移動自在ないし往復移動自在)でも良い。例えば、これに限定されないが、保持/固定部材40は、図2Aでは第1の位置(すなわち、比較的「後退した」位置、ないし「格納された」位置)で概略的に示されており、また図2Bでは第2の位置(すなわち、比較的「伸びた(伸張した)」位置)で示されている。このような「後退した(格納された)」状態に位置決めすることは処理の間に保持(把持)/固定を行うために有用または好適であり、一方、このような比較的「伸びた(伸張した)」状態に位置決めすることは容器を捕捉または解放するために有用または好適である。
【0012】
図3に概略的に例示したように、各実施例においては、アクチュエータ20は、保持(把持)/固定部材40が容器50の上部の支持フランジ80を保持および/または支持するような構造ないし構成とすれば良い。さらに、図3に概略的に例示したように、保持(把持)/固定部材40はアクチュエータ本体70と一体的に形成あるいは単独部材として形成したものとすれば良く、保持(把持)/固定部材40は支持フランジ80の下部でスライドする構造とすれば良く、および/または、容器50と関連したクロージャ(閉鎖部材)90は、保持(把持)/固定部材により保持(把持)および/または支持された際に、その後の特定の時点において、アクチュエータ70の下側面100と接触する(あるいは強制的に接触させる)ようにしても良い。
【0013】
図4は、ベースユニット30の実施例を例示したものである。例示した実施例に示したように、ベースユニット30はセンタリング部材(心出し用部材)60を含んでも良い。実施例において、センタリング部材60は、ベースユニット30に対して、例えば垂直方向において、調節可能な構造としても良い。一例として、これに限定されないが、センタリング部材60は、バネ荷重(バネ仕掛け)やその他の方法で垂直方向(縦方向)に外側に付勢(バイアス)されており、これにより、容器の基部(ベース)がセンタリング部材60と接触する際において、センタリング部材60は容器の基部との接触を維持したままで調整を行う(つまり、ベースユニット30に向かってある程度ないし一定量の「弾力性」を提供する)。実施例において、センタリング部材は、特に、容器と関連した水平方向の動きあるいは揺れの量を抑えないし低減するために、容器の基部の一部(例えば、容器の基部のドーム状部分)と有効に係合する構造ないし構成としても良い。さらに、いくつかの実施例において、センタリング部材60の頭部ないし先端62は、関連する容器の基部の部分と固定的あるいは安定的に(確実に)係合するためのインタフェース(接合部分)となる構造ないし構成としても良い。
【0014】
図4に概略的に示したように、インサート(挿入材)110をベースユニット30に含ませても良い。インサート110は、任意的に含まれるものであり、例えば、垂直長さが異なる容器を関連するシステムに適合するための構成ないし構造となっている。必要ならば、インサートをベースユニット30に固定的ではあるが取り外し自在に連結しても良く、例えば1つ以上のねじ穴112を介して両者を連結すれば良い。1つの実施例において、インサート110の少なくとも一部は、ベースユニット30から容器の基部に供給されるエネルギーないし熱を、例えば面114の各部を介して、提供(例えば、伝導ないし伝達)するような構造ないし構成とすることができる。システム10の実施例において、エネルギーあるいは熱は、電気的に発生させた熱でも良く、あるいは他の形態の伝導性の種類のエネルギーあるいは熱でも良い。
【0015】
図6は、例えばシステム10の実施例に適合ないし対応した、プラスチック容器50の実施例を概略的に表したものである。このプラスチック容器50は、図7に概略的に例示したように、基部52を含んでいる。なお、本願発明は例示した実施例に限定されるものではなく、種々の他の基部の構造ないし構成を本願発明に採用することができる。概略的に例示したように、これに限定されないが、基部52は、外面上にプラスチック容器を支持する構成ないし構造の、環状の支持面54を含んでも良い。基部52は中央部56を含んでも良く、この中央部は、例えば種々の従来の容器の基部のデザインに関連して設けられるものを含めた、ドーム状部あるいは隆起部を含でも良い。さらに、基部42は、任意的ないし随意的に、一例として構造補強形成部(構造補強部)58のような、1つ以上の種々の他の形成部を含んでも良い。

【0016】
図8Aおよび図8Bに示した基部52の実施例において概略的に例示したように、基部は、環状支持面54と中央部56との間に、符号120で全体を示した遷移セグメント(移行セグメント)ないし遷移部(移行部)を含んでも良い。遷移セグメントないし遷移部120は、概略的に示したように、1つ以上のステップ(段部)122を含んでも良く、また1つ以上の可撓性部ないし反転部124を含んでも良い。図8Aは、実施例に係わる容器の基部52の側面のアウトライン(外形)を概略的に例示しており、容器に内容物が高温充填されており、内部真空圧力を受ける前の状態を示したものである。図8Bは、内部真空圧力を受けた後の基部52を概略的に例示したものであり、例示された反転セクションまたは反転部部124は、真空圧力の少なくとも一部に応答して上方に移動している(例えば、少し凹んでいる)。
【0017】
図4に戻って、この実施例において、ベースユニットの少なくとも一部、つまりインサート110(インサートが使用された場合)は、エネルギーないし熱を容器50の基部52の特定の/選択された部分に伝導ないし伝達する構成(構造)としても良い。一例として、容器50の基部52と接触する伝導面(伝達面)は、この伝導面がベースユニットのものかあるいはインサートのものかに拘わらず、環状支持面54と中央部56との間に配置された部分ないしセグメントの全部あるいは一部にエネルギーないし熱を供給する構成(構造)とすれば良い。実施例において、ベースユニット(あるいはインサート)の上記した接触面は、可撓性セグメント(可撓性部)あるいは反転セグメント(反転部)(例えば、図8Aおよび8Bにおける符号124)の大部分と接触する。このようにして、このシステムは、基部52の選択した部分にエネルギーないし熱を調整自在(制御自在)に適用ないし加えることができる。
【0018】
図5Aから5Cに、本願発明の実施例に関連した方法ないしプロセス(工程)の概要を例示した。図5Aに概略的に例示したように、保持(把持)/固定部材40を含むアクチュエータは、基部52を有する容器50を捕捉する。工程のこの段階において、容器50には(例えば、少なくとも約150°Fから210°F(65℃から98.9℃)の高温で、またいくつかの実施例では少なくとも約170°Fから180°F(77℃から82℃)の高温で)内容物が充填ないし満たされており、また、容器は密封ないし密閉され、および閉鎖されている(例えば、閉鎖部材90により蓋がされる)。容器50は、例えばいくつかの実施例では約70°F(21.1℃)から約120°F(49℃)の間の温度まで、また他の実施例では約80°F(27℃)から約120°F(49℃)の間の温度まで冷却され、これにより、容器は少し変形した状態となる。なお、「最小抵抗(least resistance)」の面積、つまり最も抵抗が少ない部分の面積にもよるが、容器の側壁の各部は、容器50の内容物の冷却に関連した内部真空圧力に応答して変形ないし歪む(例えば、内方に引き寄せられあるいは吸引される)。容器50は次いで、ベースユニット30とセンタリング部材60に係わる位置まで移動される。例示したシステム10では、他の用途の場合には選択的であるインサート110を使用した構成が示されている。図示されたインサート110は、ベースユニット30上のセンタリング部材60の周囲に設けられている。システムの実施例においては、容器50の基部52の最下側部とベースユニット30(あるいは、インサートが存在する場合にはインサート110)の上部との間の縦方向の距離(つまり、移動間隔)は、これに限定されないが、3インチ(7.62cm)以内である。いくつかの実施例では、シリンダ(筒状部分)のストロークをより長くしても良い。なお、容器の基部52がベースユニット30と接触ないし係合するために移動する距離を最小限に抑え、あるいは低減することで、これに対応してサイクル時間を低減することができる。
【0019】
図5Bに例示した実施例において図示したように、アクチュエータ20は容器50をベースユニット30およびセンタリング部材60に向けて移動させる。容器50の基部52は、センタリング部材60と最終的に接触および/または係合するようになり、このセンタリング部材は、基部52がベースユニット30および/またはインサート110(インサートが設けられている場合)と有効に繋がり/接触するようになるまで、後退ないし格納され、またはある程度の大きさの弾性力を提供するように構成されている。
【0020】
図5Cに概略的に例示したように、容器50の各部はアクチュエータ20およびベースユニット30および/またはインサート110と有効に接触あるいは繋がるように移動される。アクチュエータ20は、容器50の一部(例えば閉鎖部材90)にある程度の大きさの下向きの圧力あるいは力を及ぼし、また容器の基部52の少なくとも一部は、エネルギーないし熱を伝達する構造ないし構成であるベースユニット30および/またはインサート110の伝導性(導電性)の部分ないし領域と接触するようになる。実施例において、少なくとも約200°F(93.4℃)の温度で熱ないしエネルギーがベースユニット30から容器の基部52に加えられる。実施例において、これに限定されないが例えば、伝導性の部分は基部52の選択領域に約450°F(232.2℃)を供給する。ベースユニット30は容器の基部に、約1秒から6秒の間、いくつかの実施例では約1秒以下の間だけ、熱を加える。アクチュエータ20は、例えば、約30ポンド・力(133N(ニュートン))から約190ポンド・力(845N)の下向きの高圧を加える(印可する)。これに限定されないが、いくつかの実施例では通常は約125ポンド・力(556N)を加える。このような高い圧力/力は、特に、内部圧力を安定させ、また容器の側壁を元の位置に戻すのに役立つのみならず、基部をより剛性を大きくし(関連する弾塑性復元力特性(塑性復原)に因る、基部の壁は押し返えさないようになる)、また容器の強度が全体的に増大することに役立つ。このシステムはこのようにして制御ないし調整可能なある程度の大きさの下方の圧力、エネルギーおよび/または熱を供給するものであり、これらは個別に制御(調整)でき、また様々に組合せることができる。本願発明の実施例において、図5Aから5Cに概略的に例示されたプロセス(工程)に関連した全体のサイクル時間は2から8秒であり(あるいは3から4秒としても良い)、また容器50の基部52がベースユニット30および/またはインサート110と接触している時間は僅かに1秒以内である。
【0021】
本願発明の「高温充填」の実施例に係わるプロセスに関連した温度プロフィールと圧力プロフィール(輪郭線)を概略的に例示した図表(チャート)は図9Aに示されている。この図表において、点Aにおいて、プラスチック容器は充填サイト(充填場所、充填位置)に運ばれる。充填サイトは、例えば、一例として約979.056ミリバール(14.2psi)の気圧である。符号Bで概略的に指定された区画の間に、容器には内容物が高温で充填され、次いで密閉/キャップがなされる(いくつかの実施例では最高温度は約80℃(176°F))。高温充填に関連した温度の頂点に到達した直後に開始される、区画Cの開始点ないしその付近から、容器の補助装置(例えば冷却トンネルや冷水浴)を使った冷却が開始され、温度は、5から6分ないしこれ以下の間に、例えば約80℃(176°F)から約30℃(86°F)に低下する。温度の下落は、内部圧力が負(負圧)になり、内部真空が発生していることに対応しており、この圧力は、例えば約786.002ミリバール(11.4psi)に落下している(点Dの付近)。この圧力の近傍において、例示した実施例に対する温度は約25℃(77°F)の周辺である。点Eないしその付近において、容器の基部は、例えば上記したシステムに関連した圧力および/または熱が加わることにより、反転(裏返し)になる。図表した実施例において、内部圧力がこの「反転の瞬間」に、例えば約2220.112ミリバール(32.2psi)まで急上昇ないし急増し、また続いて急激に減少することが示されている。ここで、容器の形状ないし構造によっては、基部を反転するためにこのような高い圧力を用いる必要がない場合がある。点Fあるいはその周辺において、圧力は約917.003ミリバール(13.3psi)まで正常化ないし標準化され始める。さらに、容器の基部における関連した反転(裏返し)によって、この圧力は大気圧に近づくように安定化されるようになる。点Gの周囲までにおいて、温度は、例えば、読み取りで約18℃(64.4°F)以下まで低下する傾向にあるが、内部圧力は917.003ミリバール(13.3psi)あるいはその周辺で略不変であり、異常な環境状態(環境条件)にならない限り、その後も一般的に大きく変動することはない。
図9Bは、本願のシステムの他の実施例に係わるプロセス(工程)に関連した温度と圧力のプロフィールを概略的に例示した図表である。
【0022】
図10は、本願発明の他の実施例に係わる加圧(与圧)システム10を概略的に例示したものである。このシステム10は、上側コンポーネント、つまりアクチュエータ20、および下側コンポーネント、つまりベースユニット30を含んでいる。アクチュエータ20は、容器50の一部を保持(把持)および/または固定するための保持(把持)/固定部材40を含んでいる。図11図10に示したシステムの上面図を示したものである。
【0023】
図12図10に示したシステム10の断面図であり、ベースユニット30の各部をさらに詳しく示したものである。例示したように、ベースユニットの実施例は、スペーサ130、上部インシュレータ132、ヒータ(加熱器)あるいはヒータ素子(発熱素子)(例えばセラミックヒータ)134、およびキャップ(蓋部材)136を含んでいる。ここで、このシステムの実施例では、これに限定されないが、抵抗、誘導、あるいはガス(ロッド、コイル、ベルト、あるいはディスクの形態)を含み、およびいくつかの材料(セラミック、金属、あるいは複合材を含む)からなる、いくつかの形式のヒータを採用すれば良い。図13は、システム10を異なる側面から見た図である。例示されたシステム10では、特に、ハンガー台140、容器首部スペーサ142、および容器50の一部を保持(把持)および/または固定するための保持(把持)/固定部材40(離間したグリッパ(把持部)の形態)を含む、アクチュエータ20が示されている。スペーサ142は、容器50の最上部を受容するための十分な空間Sを設けるための構成ないし構造となっている。一例として、これに限定されないが、500mlの容器の場合に設けられるスペーサSは0.880インチ(22.352mm)程度のものである。例示した実施例のベースユニット30は、センタリングリング(心出し用リング)150とスリーブ152を含む構成のものが示されている。概略的に例示したように、このアセンブリ(システム)10の全高Hは、いくつかの実施例においては、12インチ(30.48cm)より小さい。しかしながら、このアセンブリ(システム)は特定の高さに限定されず、高さ(およびシステムの他の寸法)は所要ないし所望の容器の大きさを収納ないし適合できるような構成(構造)とされ、あるいはそのように調整ないし調節される。
【0024】
図14および15は、システム10の実施例のアセンブリの分解図であり、2つの異なる視点から示されている。これらの図には、アクチュエータ20とベースユニット30の各実施例を含むシステム10の各構成部品がさらに詳細に示されている。図14に例示したように、アクチュエータ20は、多コンポーネント保持(把持)/固定部材40(左側コンポーネントと右側コンポーネントと共に示されている)、転輪/スタッド台160、転輪162、およびバネ(例えば圧縮バネ)184とを含んでいる。図15に例示したように、ベースユニット30の実施例は、ダボピン170、ネジ(例えばつまみネジ)172、ベースユニット用スペーサ174、ネジ頭(例えばソケット頭押さえネジ)176、インシュレータ178、およびキャップ180(例えば、ネジ182によりネジ止めされる)を含んでいる。アクチュエータ20については、図15には押さえネジ190とダボピン192が示されている。
【0025】
本願発明の実施例では、初期の真空圧力は、例えばこれに限定されないが、約−3pis(−0.204気圧)である。なお、初期の値はそれぞれの容器に関連した抵抗によって変更される。つまり、構造的により剛性のある容器に対してはより高い初期の内部圧力が必要となる。本願発明に関連した方法の実施例は、生じる圧力を大気圧から±2psi(±0.136気圧)に維持することができる。すなわち、所望の最終的な充填された容器の内部加圧(与圧)は、大気圧の−2.0psi(−0.136気圧)から2.0psi(0.136気圧)の範囲となる。さらに、いくつかの実施例において、最終的な充填された内部圧力は、大気圧から±1psi(±0.0680気圧)の範囲に維持される。システムの多くの実施例では正の大気圧は負のものよりも好ましいと考えられる。さらに、これに限定されないが例えば、充填位置(充填場所)における大気圧が約14.0psi(0.96気圧)である場合、本願発明のシステムおよび方法によれば、12.0psi(0.816気圧)から16.0psi(1.088気圧)の範囲内の内部圧力を有する充填され閉じられた容器を提供することができ、13.0psi(0.886気圧)から15.0psi(1.02気圧)の間のこのような内部圧力を備えた容器を提供できる。
【0026】
ここで、本願発明の実施例の使用は、高温充填用途におけるプラスチッキ容器の軽量化に有用である。本願のシステムおよび方法の実施例によれば、上述したような容器の基部における内部圧力の処理によって、容器の各部の材料の量を減じることができ、および/または予測される真空圧力に適合ないし対応するための真空パネルのような構造(構造材)をより小さく(少なく)できあるいはこのような構造(構造材)が必要でない、プラスチック容器、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)容器の提供することができる。
【0027】
さらに、本願発明の実施例の使用は、低温充填用途のプラスチック容器の軽量化にも有用であり、例えば自動販売の用途においてそのような改善が必要である場合に有用である。本願のシステムおよび方法の実施例によれば、上述したような容器の基部における内部圧力の処理によって、容器の各部の材料の量を減じることができ、および/または予測される力(圧力)の下落ないし降下に適合ないし対応するための構造(構造材)あるいは不活性ガスによる処理が低減されあるいは必要でない、プラスチック容器、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)容器の提供することができる。
【0028】
さらに、本願発明の実施例のシステムおよび方法は、製造環境における効率性を格段に改善することができる。図1には単一のシステム(ユニットないしステーションが1つ)だけが例示されいているが、本願発明の実施例は複数のこのようなシステムを提供する装置をも意図している。本願発明の実施例において複数のシステムを含むシステムないし装置を提供しても良く、複数のシステムとして例えば、複数のアクチュエータおよびベースユニットが、対で等間隔で配置され、回転式ホイールの外周の回りに放射状(半径方向)に延在するセット(組)として設けられるものが挙げられる。このような多セットのシステムあるいは装置では、個々のシステム(この場合はサブシステムあるいはステーションと称される)は関連するベースユニットと対応するアクチュエータを含んでいる。このような回転式システムは、6から48個あるいはそれ以上のサブシステムを含めることができる。さらに、このような回転式システムのサイクルタイムは、例えば、毎分約4秒、あるいは毎分15回転のタイミングで運転される。
【0029】
本願発明の特定の実施例について行った上記の記述は、例示および説明の目的のためのものである。これらの記述は、本願発明を記述された正確な形態に限定することを意図したものではなく、上記の教示に基づいて種々の変更(修正)や変形が可能である。これらの実施例は本願発明およびその実用的な応用を説明するために選択され説明したものであり、これにより当業者は本願発明および予測される特定の用途に適した種々の変更を行った種々の実施例を利用できる。本願発明の範囲は特許請求の範囲およびその等価ないし均等範囲により特徴付けされる。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15