(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
油圧シリンダの伸縮動作により着座位置と起立位置との間でボディを昇降させ、昇降時に前記起立位置の手前の位置でボディの昇降動作を中断するように構成したダンプトラックにおけるボディ昇降状態表示装置において、
前記ボディの回動角度を検出する角度センサと、
前記ボディが着座しているときに前記角度センサから出力される第1信号値に基づいて着座角度を、および前記ボディが前記起立位置の手前の位置で停止したときに前記角度センサから出力される第2信号値に基づいてショックレス停止角度を記憶する記憶媒体と、
前記着座角度と前記ショックレス停止角度との差分に基づいて前記ボディの回動可能角度を演算し、前記ボディの任意の回動位置において前記角度センサから出力される第3信号値と前記第1信号値との差分に基づいて前記ボディの回動角度を演算し、前記ボディの回動角度を前記回動可能角度で除算する演算手段と、
前記演算手段の除算結果に基づいて前記ボディの回動角度を表示装置に割合表示する表示制御手段とを備えることを特徴とするダンプトラックのボディ昇降状態表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施の形態によるダンプトラックのボディ昇降状態表示装置について説明する。
図1は、本実施の形態のダンプトラック1の全体を示す外観側面図である。
図1に示すように、ダンプトラック1は、車体11、ボディ12、キャブ13、支持軸14およびホイストシリンダ15により構成されている。ボディ12は支持軸14により車体11の後端部に連結され、車体11に対して支持軸14を支点として回動可能に構成されている。ホイストシリンダ15は車体11の左右方向に一対設けられ、それぞれのホイストシリンダ15はボディ12の前後方向中央部よりもやや前方部分と、車体11との間に介装され、圧油の給排により伸縮する。ボディ12は、ホイストシリンダ15の伸縮に応じて、支持軸14を支点として回動、すなわち昇降する。
【0009】
支持軸14の近傍にはボディアングルセンサ16が設けられている。ボディアングルセンサ16は、ボディ12の昇降状態、すなわち車体11に対するボディ12の回動角度を検出するセンサであり、検出した角度を示す電圧信号を後述する油圧制御用コントローラ(CCU)へ出力する。車体11には、車体11とボディ12とが接触する位置に着座スイッチ17が設けられている。着座スイッチ17は、ボディ12が着座状態であることを検出するセンサであり、ボディ12が車体11に着座している場合に油圧制御用コントローラ(CCU)へON信号を出力する。
【0010】
図2は、ダンプトラック1に搭載されたボディ昇降状態表示装置2を含む制御系全体を示すブロック図である。ボディ昇降状態表示装置2は、油圧制御用コントローラ(CCU)22、情報表示用コントローラ(IDU)26、およびディスプレイ27を備える。なお、
図2のエンジン制御用コントローラ(ECM)28はエンジンを制御し、走行モータ制御用コントローラ(DSC)29は走行モータを制御する。
【0011】
ホイストレバー21はキャビン13内に設けられ、オペレータがボディ12の昇降を行う際に操作される操作部材である。オペレータがホイストレバー21を操作すると、ホイストレバー21は操作量に応じてレバー角度に関する情報を示すレバー角度信号をCCU22へ出力する。
【0012】
CCU22は、ダンプトラック1における種々の動作を電子的に制御するための制御装置である。CCU22は、ホイストレバー21から入力したレバー角度信号に基づいて、ホイストシリンダ15の操作モード(UP、HOLD、FLOAT、DOWN)がいずれのモードとなるように操作されたかを判断する。そして、CCU22は、判断した操作モードに応じて4連ソレノイドバルブ23のソレノイドへ指令を出力して、ホイストシリンダ15を伸縮させる。
【0013】
本発明によるダンプトラックでは、ホイストシリンダ15の保護を目的として、ホイストシリンダ15が最伸長する手前の位置(以下、ボディアップショックレス位置と呼ぶ)でボディ12の回動をいったん停止させる。すなわち、ボディアップショックレス位置は、ホイストシリンダ15が最伸長した場合のショックを低減するために設けられている。このような停止制御をボディアップショックレス制御と呼び、本発明によるボディ昇降状態表示装置2では、以下で詳述するが、ボディアップショックレス制御を考慮してボディ12の回動状況をメータに表示する。
【0014】
CCU22は、ボディアングルセンサ16から入力した検出角度信号や着座スイッチ17からのON信号の有無、後述するエンジン回転数を示す情報、アクセル踏み込み量やシフトレバーに関する情報をCAN(Controller Area Network)通信により情報表示用コントローラ(IDU)26へ送信する。IDU26は、CCU22から送信された各種の情報に基づいてディスプレイ27に各種の情報表示を行う。なお、CCU22およびIDU26によるディスプレイ27への情報表示の制御については、詳細を後述する。
【0015】
4連ソレノイドバルブ23は、上述したCCU22からの指令に応じてホイストコントロールバルブ25を切り替えて、メインポンプ24からの圧油をホイストシリンダ15に対して給排する。メインポンプ24はエンジン(不図示)の出力を利用して作動するポンプであり、エンジンの回転速度、すなわちエンジン回転数に応じて吐出流量が増加する。エンジン制御用コントローラ(ECM)28は、エンジンからエンジン回転数を示す情報を取得してCCU22へCAN通信により送信する。走行モータ制御用コントローラ(DSC)29は、アクセルペダルの踏み込み量やシフトレバーの操作位置に関する情報をCAN通信によりCCU22へ送信する。また、DSC29は、ボディ12が着座していない場合には、CCU22から速度制限指令値を受信する。
【0016】
次に、CCU22およびIDU26によるディスプレイ27への情報表示の制御について説明する。
図3は、ディスプレイ27に表示されるメータ画面3を模式的に示す。メータ画面3には、速度メータ31、タコメータ32、各種メータ33、燃料残量メータ34、積載量表示部35、各種ランプ36、時計37およびボディアングルメータ38によって構成される。速度メータ31には車体11の速度情報が表示される。タコメータ32にはエンジンの回転数が表示される。ボディアングルメータ38はボディ12の昇降状態、すなわち傾斜角度に関する情報を数値を用いて直接的に表示するとともに、バーグラフを用いて間接的に表示する。
各種メータ33には圧力や温度等の情報が表示される。積載量表示35にはボディ1の積載量が表示される。各種ランプ36はダンプトラック1の種々の状態を表示する。各種ランプ36に含まれるボディアップアイコン36Aは、着座スイッチ17がON信号を出力していないとき、すなわちボディ12が着座していないときに点灯する。
【0017】
図4は、ボディアングルメータ38の詳細を模式的に示す図である。ボディアングルメータ38は、ボディ12の推奨動作範囲41と、非推奨動作範囲42と、現在のボディ12の傾斜角度をパーセントで示すゲージ43および数値44と、ボディアングルセンサ16の異常または正常の状態を示す異常表示アイコン45とを含む。
【0018】
ボディアングルメータ38の推奨動作範囲41では、ボディ12が着座する傾斜角度を0パーセントとし、ボディアップショックレス制御が働く傾斜角度を100パーセントとして、ゲージ43および数値44によってボディ12の現在の傾斜角度を割合表示する。ゲージ43は、ボディ12の傾斜角度の増加に伴って、
図4の左端から右端へ向かって表示幅が増加して表示される。換言すると、推奨動作範囲41は、ボディ12が着座位置とボディアップショックレス位置との間で回動したときの傾斜角度をパーセント表示する範囲である。
【0019】
非推奨動作範囲42は、ボディアップショックレス位置を越えてボディ12が回動していることを表示する表示部である。推奨動作範囲41と同様、ゲージ43および数値44によってボディ12の現在の傾斜角度をパーセント表示する。
【0020】
この実施の形態では、ボディアングルセンサ16の装着誤差、ホイストシリンダ15の装着誤差などを想定して、ボディ12の傾斜角度のパーセントを、ボディアングルセンサ16からのセンサ出力電圧に応じて以下のように演算している。
【0021】
図5,
図6を参照して説明する。
ボディ12は、ボディ12が車体11に着座したときの着座姿勢と、ホイストシリンダ15が伸張端で停止した起立姿勢との間、すなわち回動可能範囲の任意の姿勢を保持することができる。ボディ12の上限角度は、
図5(a)に示すように、ホイストシリンダ15が伸張端で停止したときの傾斜角度である。一方、ボディ12の下限角度は、
図5(b)に示すように、ホイストシリンダ15が収縮端で停止したとき、すなわちボディ12が着座したときの傾斜角度である。
【0022】
ボディ12の上限角度と下限角度は、初期設定として顧客引き渡し前に以下の工程を行うことにより算出され、予め所定の記憶領域に設定される。
ホイストシリンダ15を収縮していき、ボディ12が着座しているときにボディアングルセンサ16から出力されているセンサ出力電圧を下限値VLとして記憶する。一方、ホイストシリンダ15を伸張して伸張端で停止したとき、すなわち、ボディ12が起立姿勢のときにボディアングルセンサ16から出力されているセンサ出力電圧を上限値VUとして記憶する。また、ボディアップショックレス位置でホイストシリンダ15が停止したときにボディアングルセンサ16から出力されるセンサ電圧をショックレス停止電圧値VSとして記憶する。
なお、
図6に示すように、このようにして記憶された下限値VLは下限角度、上限値VUは上限角度、停止電圧値VSはショックレス停止角度と呼ぶことができる。
【0023】
ボディ12は、ホイストレバー操作により、上述した着座姿勢と起立姿勢の間(ボディ回動可能範囲)の任意の角度で停止することができる。ボディ12が任意の位置で停止しているときにボディアングルセンサ16から出力されるセンサ出力電圧をVPとすると、上記回動可能範囲に対するボディ12の傾斜角度のパーセントBangleは、以下の(1)式によりCCU22で演算される。
Bangle(%)={(VP−VL)/(VU−VL)}×100 (1)
なお、
図11を参照すると、(VU−VL)は回動可能範囲を表す電圧値であり、(VP−VL)は、ボディ12が着座している場合をゼロ度としたときのボディ12の回動角度を表す電圧値である。したがって、(1)式を(2)式のように変形して表現することもできる。
ボディ傾斜角度の割合Bangle(%)=
(任意の回動角度/回動可能範囲)×100 (2)
【0024】
上述したようにこの実施の形態では、ホイストシリンダ15がボディアップショックレス位置でいったん停止したときのボディ12の傾斜角度のパーセント表示を100パーセントとする。したがって、CCU22は、ホイストシリンダ15がボディアップショックレス位置でいったん停止したとき、メータ画面のボディ傾斜角度表示が100パーセント傾斜角度となるよう、次式(3)でBangle(%)を変換してBHangle(%)を算出し、IDU26に送信する。
BHangle(%)={(VP−VL)/(VS−VL)}×100 (3)
上述したように、ショックレス停止電圧値VSは、ホイストシリンダ15がボディアップショックレス位置でいったん停止したときにボディアングルセンサ16から出力される出力電圧である。
なお、本明細書では、Bangle(%)を変換したBHangle(%)をメータ画面表示値と呼ぶ。そして、(VS−VL)をショックレス停止回動可能範囲と呼べば、このメータ画面表示値は次式(4)で表現することもできる。
メータ画面表示値BHangle(%)=
(任意の回動角度/ショックレス停止回動可能範囲)×100 (4)
【0025】
図7〜
図9を用いて、ボディアングルメータ38によるボディ12の傾斜角度に関する情報の表示状態が遷移する様子を説明する。なお、
図7〜
図9においては、説明の都合上、エンジン回転数が0であるものとして描いているが、実際はエンジン回転数に応じて変化して表示される。
【0026】
−ボディ12が着座している場合−
図7(a)は、ボディ12が着座状態の場合のメータ画面3を示す。CCU22は、次の(1)または(2)の場合には、ボディ12が車体11に着座している状態であると判定する。
(1)着座スイッチ17からON信号を受信している場合。
(2)ボディアングルセンサ16が検出した検出角度が後述する下限角度未満の場合。
【0027】
上記の(1)または(2)の場合には、CCU22はボディ12の傾斜角度を「0パーセント」として設定し、傾斜角度をCAN通信によりIDU26へ送信する。IDU26は、CAN通信によりボディ12の傾斜角度を受信すると、ボディアングルメータ38にゲージ43を表示させず、「0パーセント」を数値44として表示させる。
【0028】
−ボディ12が回動している場合−
図7(b)は、ボディ12が所定傾斜角度で立ち上がっている場合のメータ画面3の表示の一例を示す。
図7(b)は、ボディ12がボディアップショックレス位置まで回動した位置を100パーセントとしたとき、ボディ12がその30パーセントの位置で回動して停止している場合を示している。
【0029】
CCU22は、変換した傾斜角度であるメータ画面表示値BHangle(%)をCAN通信によりIDU26へ送信する。IDU26は、CAN通信によりメータ画面表示値を受信すると、受信したメータ画面表示値に応じて、ゲージ43の表示長さを増減させるとともに、数値44を増減させる。さらに、IDU26は、CCU22を介して着座スイッチ17からON信号を受信しない場合には、ボディアップアイコン36Aを点灯表示させる。
【0030】
図8(a)は、ボディ12の傾斜角度がボディアップショックレス位置に到達した場合のメータ画面3の表示を示す。換言すると、
図8(a)は、CCU22により換算されたメータ画面表示値BHangle(%)が100パーセントの場合を示している。この場合、IDU26は、CAN通信によりメータ画面表示値を受信すると、ゲージ43を推奨動作範囲41の右端まで延在して表示させ、「100パーセント」を数値44として表示させる。
【0031】
図8(b)は、ボディ12がボディアップショックレス位置を超えて駆動された場合のメータ画面3の表示を示す。換言すると、
図8(b)は、CCU22により換算されたメータ画面表示値BHangle(%)が100パーセントを超える場合を示している。CCU22は、換算されたメータ画面表示値が数値44で表示可能な上限値であるか否か、すなわちオーバーフローするか否かを判定する。メータ画面表示値が数値44の上限値を超えない(オーバーフローしない)場合には、CCU22は換算したメータ画面表示値をCAN通信によりIDU26へ送信する。メータ画面表示値が数値44の上限値を超える(オーバーフローする)場合には、CCU22はメータ画面表示値を変数型の最大値、すなわち数値44の上限値に固定してCAN通信によりIDU26へ送信する。
【0032】
IDU26は、CAN通信によりメータ画面表示値を受信すると、CCU22から送信された値に応じて、ゲージ43を推奨動作範囲41の右端を超えて、非推奨操作範囲42に到達するように表示させる。さらに、IDU26は、CCU22から送信された値に応じて、数値44を変化させて表示させる。この場合、ボディ12の傾斜角度はボディアップショックレス位置、すなわち回動可能範囲を超えているので、数値44は100パーセントを超えた値として表示される。
【0033】
−ボディアングルセンサ16が異常の場合−
図9は、ボディアングルセンサ16がセンサ異常と判断された場合におけるメータ画面3の表示を示す。IDU26は、CCU22からボディアングルセンサ16が異常であることを示す信号を受信すると、異常表示アイコン45を異常点灯させる。さらに、IDU26は、ゲージ43を表示可能な全範囲に表示させる。このとき、IDU26は、ゲージ43を、ボディアングルセンサ16が正常の場合とは異なる色、たとえば灰色を用いて表示させる。さらに、IDU26は、数値44として、たとえば「−−」のようなバー表示を行うことによって、ボディアングルセンサ16が異常であることを示す。
なお、ボディアングルセンサ16が正常か異常かは、ボディアングルセンサ16から出力されるセンサ電圧信号に基づいて判定される。異常判定の詳細説明は省略する。
【0034】
ボディアップショックレス位置でホイストシリンダ15が停止したとき、ホイストレバー21をいったん中立位置に戻し、再度、ボディ12をアップするように操作すると、ホイストシリンダ15はボディアップショックレス位置を越えて伸張することができる。
【0035】
図10、
図11に示すフローチャートを参照しながら、本実施の形態によるボディ昇降状態表示装置2の動作について説明する。
図10の各処理はCCU22でプログラムを実行して行われ、
図11の各処理はIDU26によりプログラムを実行して行われる。
図10、
図11の各処理を行なうプログラムはメモリ(不図示)に格納されている。オペレータによりホイストレバー21が操作されてレバー角度信号が出力されるとCCU22によりプログラムが起動され、実行される。まず、
図10を用いて、CCU22により実行される処理について説明する。
【0036】
ステップS1においては、ボディアングルセンサ16の異常の有無が判定される。ボディアングルセンサ16が異常と判定された場合、ステップS1が肯定判定されてステップS2へ進む。ステップS2においてはボディアングルセンサ16が異常状態であることを示す情報を保存し、ステップS3にてボディアングルセンサ16から出力されたセンサ電圧信号、換言するとセンサ電圧信号に対応する回動角度を無効値として設定して処理を終了する。
【0037】
ボディアングルセンサ16が正常と判定された場合は、ステップS1が否定判定されてステップS4へ進む。ステップS4においては、ボディアングルセンサ16や着座スイッチ17等の各種センサから出力された信号を取得してステップS5へ進む。ステップS5においては、着座スイッチ17からの信号に基づいて、ボディ12の駆動状態がボディアップ状態か着座状態であるかを判断してステップS6へ進む。なお、ダンプトラック1の走行振動等を考慮して、着座スイッチ17からの信号が、たとえば1秒以上同一の状態が継続した場合に、ボディ12の駆動状態を判断する。
【0038】
ステップS6においては、回動可能範囲を算出してステップS7へ進む。具体的には式(1)の分母の計算を行う。ステップS7においては、ボディアングルセンサ16が検出した検出角度が下限角度以上であるか否かを判定する。具体的には、センサ電圧値VPが下限値VL以上か否かを判定する。ボディアングルセンサ16のセンサ出力電圧信号に基づいて検出した検出角度が下限角度以上の場合には、ステップS7が肯定判定されてステップS8へ進む。ステップS8においては、ボディ12の着座位置からの回動角度を算出してステップS9へ進む。具体的には式(1)の分子の計算を行う。ステップS9では、ステップS6で算出した回動可能範囲とステップS8で算出したボディ12の回動角度を用いて、式(1)によりボディ12の傾斜角度のパーセントを算出してステップS11へ進む。
【0039】
ボディアングルセンサ16のセンサ電圧値に基づいて検出した検出角度が下限角度未満の場合には、ステップS7が否定判定されてステップS10へ進む。ステップS10では、ボディ12の傾斜角度のパーセントを0パーセントに設定してステップS11へ進む。ステップS11では、傾斜角度のパーセントBangle(%)をメータ画面表示値BHangle(%)に換算してステップS12へ進む。ステップS12では、メータ画面表示値が数値44の上限値を超えているか否かを判定する。メータ画面表示値が数値44の上限値を超えている場合には、ステップS12が肯定判定されてステップS13へ進む。ステップS13では、メータ画面表示値を数値44の上限値に固定してステップS14へ進む。
【0040】
メータ画面表示値が数値44の上限値を超えていない場合には、ステップS12が否定判定されてステップS14へ進む。ステップS14では、ボディ12が着座状態であるか否かを判定する。ボディ12が着座状態の場合には、ステップS14が肯定判定されてステップS15へ進む。ステップS15では、メータ画面表示値を0に固定してステップS16へ進む。ボディ12が着座状態ではない場合には、ステップS14が否定判定されてステップS16へ進む。ステップS16では、メータ画面表示値BHangle(%)およびその他の情報をCAN通信によりIDU26へ送信して処理を終了する。
【0041】
次に、
図11を参照しながら、IDU26により実行される処理について説明する。
ステップS20では、CAN通信によりCCU22からメータ画面表示値BHangle(%)およびその他の情報を受信してステップS21へ進む。ステップS21では、受信した情報に基づいて、着座スイッチ17がON信号を出力しているか否かを判定する。着座スイッチ17がON信号を出力している場合には、ステップS21が肯定判定されてステップS22へ進む。ステップS22では、ボディアップアイコン36Aを消灯させて処理を終了する。
すなわち、IDU26は、ボディアップアイコン36Aを消灯させた場合には、メータ画面3での傾斜角度の表示を禁止する。着座スイッチ17がON信号を出力していない場合には、ステップS21が否定判定されてステップS23へ進む。ステップS23においては、ボディアップアイコン36Aを点灯させてステップS24へ進む。
【0042】
ステップS24においては、メータ画面表示値が異常値か否かを判定する。メータ画面表示値が異常値の場合、すなわち
図10のステップS1でボディアングルセンサ16が異常と判定されている場合には、ステップS24が肯定判定されて後述するステップS32へ進む。メータ画面表示値が正常値の場合には、ステップS24が否定判定されてステップS25へ進む。
【0043】
ステップS25では、ボディアングルメータ38のゲージ43が増減する範囲の背景を、たとえば白色表示してステップS26へ進む。ステップS26では、異常表示アイコン45をボディアングルセンサ16が正常であることを示す正常点灯(たとえば白色)させてステップS27へ進む。ステップS27では、CAN通信で受信したメータ画面表示値がボディアングルメータ38にゲージ43として表示可能な表示幅の最大値を超えるか否かを判定する。メータ画面表示値がゲージ43の表示幅の最大値を超えると判定された場合には、ステップS27が肯定判定されてステップS28へ進む。ステップS28では、ゲージ43の表示幅を最大値に設定してステップS30へ進む。
【0044】
メータ画面表示値がゲージ43の表示可能な最大値未満と判定された場合には、ステップS27が否定判定されてステップS29へ進む。ステップS29では、受信したメータ画面表示値に応じてゲージ43の表示幅を設定してステップS30へ進む。ステップS30では、設定した表示幅でゲージ43を表示させてステップS31へ進む。ステップS31では、受信したメータ画面表示値を数値44として表示させて処理を終了する。
【0045】
ステップS24が肯定判定されて進んだステップS32では、ボディアングルメータ38のゲージ43が増減する範囲の背景を、たとえば灰色表示してステップS33へ進む。ステップS33では、異常表示アイコン45をボディアングルセンサ16が異常であることを示す異常点灯させてステップS34へ進む。ステップS34ではゲージ43を非表示とし、ステップS35では数値44として「−−」を表示させて処理を終了する。
【0046】
以上で説明した実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)ボディ昇降状態表示装置2は、車体11に載置されたボディ12と、ボディ12を車体11に対して起立と着座との間で昇降させるホイストシリンダ15と、ボディ12の昇降を操作するホイストレバー21と、ホイストレバー21の操作量に応じてホイストシリンダ15に圧油を給排して伸縮させることによりボディ12の昇降を制御するCCU22とを有するダンプトラック1に設けられる。このボディ昇降状態表示装置2のボディアングルセンサ16は、車体11に対するボディ12の回動角度を検出する。CCU22は、ボディ12が車体11に着座しているか否かを判定する。そして、CCU22は、ボディアングルセンサ16により検出された回動角度に基づいて、ボディ12が車体11に対して着座している状態からのボディ12の傾斜角度を、着座している状態とホイストシリンダ15が最伸張する手前であるボディアップショックレス位置で停止している状態との間で規定されるショックレス停止回動可能範囲に対する割合として算出する。IDU26は、ボディ12が車体11に着座している場合には、CCU22により算出されたボディ12の傾斜角度の割合を0パーセントして表示し、ボディアップショックレス位置の場合には、CCU22により算出されたボディ12の傾斜角度の割合を100パーセントとして直接的および間接的に表示するようにした。すなわち、ボディ12の傾斜角度をゲージ43と数値44とによって表示するようにした。したがって、オペレータはボディ12の傾斜角度の認識が容易にできる。その結果、オペレータは困難を伴うことなく、ホイストシリンダ15の動作速度を制御することができる。
【0047】
(2)ホイストシリンダ15が最伸張する手前の位置であるボディアップショックレス位置のボディ角度を100パーセントとして表示し、その位置を越えて伸張された場合には、IDU26は、CCU22により算出されたボディ12の傾斜角度の割合を、100パーセントを越えてメータ画面3に表示させるようにした。したがって、オペレータがボディアップショックレス位置を越えてボディ12を傾斜させるような操作を行う可能性を低減できる。その結果、ホイストシリンダ15の耐久性が向上する。
【0048】
(3)IDU26は、ボディ12が車体11に対して非着座であることがCCU22で判定されると、ボディアップアイコン36Aを点灯表示する。一方、ボディ12が車体11に対して着座していることがCCU22で判定されると、ボディアップアイコン36Aを消灯する。そして、IDU26は、ボディアングルセンサ16により検出された回動角度に基づいて、車体11に対するボディ12の傾斜角度に関する情報を、ディスプレイ27のメータ画面3にゲージ43と数値44とを用いて間接的および直接的に表示する。このとき、IDU26は、ボディアップアイコン36Aが消灯している場合には、ボディ12の傾斜角度に関する情報の表示を禁止し、ボディアップアイコン36Aが点灯表示されている場合には、ボディ12の傾斜角度に関する情報を表示させるようにした。
【0049】
ボディアップアイコン36Aが消灯しているときにアングルセンサ16からの信号に基づいてゲージ43で角度割合表示を行うと、オペレータは違和感を覚える。しかし、本発明のように、着座スイッチ17がONしているときはボディアップアイコン36Aを消灯させ、着座スイッチ17がONしていないときにのみボディアップアイコン36Aを点灯させるとともに、ゲージ43による角度割合表示を行うようにすれば、オペレータが違和感を覚えることがなくなる。
【0050】
以上の実施の形態の説明から分かるように、本発明によるボディ昇降状態表示装置2は以下のステップを備える処理を実行する。
ダンプトラックは、ホイストシリンダ15の伸縮動作により着座位置と起立位置との間でボディ12を昇降させ、昇降時に起立位置の手前のボディアップショックレス位置でボディ12の昇降動作を中断させる。このようなダンプトラックにおけるボディ状態の表示方法では、ボディ12の回動角度を検出し、ボディ12が着座しているかいないかを判定し、ボディ12が着座していないと判定されているときはボディ12が昇降中であることを示すボディアップアイコン36Aを表示画面3に表示し、着座していると判定されているときは表示画面3上のボディアップアイコン36Aの表示を消灯し、角度センサ16の出力に基づいて、着座位置からボディ12が回動した回動角度を演算し、着座位置とボディアップショックレス位置との間の回動範囲の角度を回動角度で除し、ボディ12が着座していないと判定されているときのみ、除算結果を表示画面に表示する。
【0051】
以上で説明した実施の形態によるボディ昇降状態表示装置を、以下のように変形できる。
(1)ボディ12の傾斜角度をゲージ43および数値44を用いて表示するものに代えて、傾斜角度をゲージ43のみを用いて間接的に表示してもよい。
図12〜
図14に、この場合のメータ画面3の遷移の一例を示す。
図12〜
図14に示すように、ボディ12の傾斜角度の変化に応じて、メータ画面3のボディアングルメータ38には、ゲージ43が表示幅を変化させながら表示される。なお、
図12〜
図14は、それぞれ
図7〜
図9に示すメータ画面3の遷移に対応する。また、ボディ12の傾斜角度を数値44のみを用いて直接的に表示してもよい。
【0052】
(2)ボディ12の傾斜角度を間接的に表示する場合、ゲージ43を用いるものに限定されない。たとえば、
図15(a)に示すように、ボディ12の傾斜角度を、円グラフ43Aを用いて表示してもよい。
図15(a)に示す例では、ボディ12の傾斜角度の増加に伴って、ドットを付して示す円グラフ43Aの領域が0パーセントの位置から100パーセントの位置に向けて増加する。または、
図15(b)に示すように、ボディ12の傾斜角度を、回動可能範囲内の所定の段階ごとに表示させるレベルゲージ43Bによって表示してもよい。
図15(b)に示す例では、回動可能範囲が20パーセントごとに段階分けされている。そして、ボディ12の傾斜角度が少なくとも20パーセントまで増加した場合(すなわち傾斜角度が20パーセント以上40パーセント未満の場合)、
図15(b)に示すドットを付した0〜20パーセントまでの領域を、たとえば点灯させればよい。
【0053】
ボディ12の傾斜角度をパーセントで表示せず、着座位置から回動した角度、すなわち、アングルセンサ16のセンサ電圧値(VP−VL)を角度換算した値を数値で直接的にのみ表示する場合、あるいはバーで間接的にのみ表示する場合にも本発明を適用することができる。
【0054】
以上説明したボディ昇降状態表示装置は次のように構成してもよい。すなわち、ホイストシリンダ15の伸縮動作により着座位置と起立位置との間でボディ12を昇降させ、昇降時に起立位置の手前のボディアップショックレス位置でボディ12の昇降動作を中断するように構成したダンプトラックにおけるボディ状態表示装置は、ボディ12の回動角度を検出する角度センサ16と、ボディ12が着座しているか否かを判定する判定手段(CCU22)と、判定手段によりボディ1が着座していないと判定されているとき、ボディ12が昇降中であることを示すボディアップアイコン36Aを表示画面に表示し、ボディ12が着座していると判定されているときは表示画面上のボディアップアイコン36Aの表示を消灯するアイコン表示制御手段と、角度センサ16の出力に基づいて、着座位置からボディ12が回動した回動角度を演算し、着座位置とボディアップショックレス位置との間の回動範囲角度でその回動角度を除し、ボディ12が着座していないと判定されているときのみ、除算結果を表示画面38に表示する角度表示制御手段とを備える。
【0055】
また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。説明に用いた実施の形態および変形例は、それぞれを適宜組み合わせて構成しても構わない。