特許第5695008号(P5695008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695008
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】金属ホック
(51)【国際特許分類】
   A44B 17/00 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   A44B17/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-225150(P2012-225150)
(22)【出願日】2012年10月10日
(65)【公開番号】特開2014-76160(P2014-76160A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2014年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114606
【氏名又は名称】モリト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390029481
【氏名又は名称】株式会社久永製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】安田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】清水 敬陽
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−85910(JP,U)
【文献】 特開昭60−40629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 17/00
A44B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平円筒形状の基部材(5)の略中央に表裏両面に開口(7a,7b)が形成された凹部(6)が設けられ、該凹部の前記表面側の開口付近に金属バネ(8)が設けられた金属製の雌ホック基体(4)と、
かしめ凸部(11)と該かしめ凸部の基端部からフランジ状に広がる円形基板(12)とを備えた金属製のハンシャ板(10)と、前記ハンシャ板における前記かしめ凸部が突出した面とは反対の面を覆うように設けられた金属製の被覆部材(13)と、を備えたキャップ体(9)と、
を備え、前記雌ホック基体と前記キャップ体の間に生地(2)を挟んで、前記ハンシャ板の前記かしめ凸部を前記凹部に前記裏面の開口から挿入した後に該凹部の内部にて前記かしめ凸部を外側にカールさせることで前記生地に固定される雌ホック(3)と、
扁平球形状をなすとともに基端部側にクビレが形成されたゲンコ(18)と、前記ゲンコの前記基端部からフランジ状に広がる円形基板(19)と、を備えた金属製の雄ホック基体(17)と、
かしめ凸部(22)と該かしめ凸部の基端部からフランジ状に広がる円形基板(23)とを備えた金属製のハンシャ板(21)と、前記ハンシャ板における前記かしめ凸部が突出した面とは反対の面を覆うように設けられた金属製の被覆部材(24)と、を備えたホソ体(20)と、
を備え、前記雄ホック基体と前記ホソ体の間に生地(2)を挟んで、前記ハンシャ板の前記かしめ凸部を前記ゲンコの内部にて変形させることで前記生地に固定される雄ホック(16)と、からなる雌雄結合構造の金属ホック(1)において、
前記雌ホック及び前記雄ホックのそれぞれの前記ハンシャ板の前記円形基板には、前記かしめ凸部が突出した面に複数の尖端(15)を有し、該尖端が環状に連続することで形成された複数の突起部(14)が前記かしめ凸部を中心とした略同心円上に等間隔をあけて設けられていることを特徴とする金属ホック。
【請求項2】
前記雌ホック(3)及び前記雄ホック(16)が固定される前記各生地(2)は、所定粗さの編目を有する素材からなる生地であることを特徴とする請求項1記載の金属ホック。
【請求項3】
前記雌ホック基体(4)において前記基部材(5)の前記凹部(6)に設けられた前記金属バネ(8)が2本バネ式であることを特徴とする請求項1又は2記載のホック。
【請求項4】
前記ハンシャ板(10,21)には4つ乃至7つの前記突起部(14)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2又は3記載の金属ホック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に所定粗さの編目を有する編物素材からなる生地に好適に固定される雌雄結合構造の金属ホックに関する。
【背景技術】
【0002】
雌雄結合構造のホックは、例えば衣類における前身頃の前打合せなどにて2つの生地(雌ホックが取り付けられた生地と雄ホックが取り付けられた生地)を相互に係合する手段としても用いられている。
【0003】
一般に金属ホックは、雌ホックに設けられた凹部に雄ホックに設けられたゲンコを挿入することで雌雄結合される。また、金属ホックは、雌ホックと雄ホックは共に、かしめ凸部と、このかしめ凸部の基端部からフランジ状に広がる円形基板とからなるハンシャ板と呼ばれる部材を備えており、各ホックは、固定対象の生地を挟んで、ハンシャ板を各ホック基体(雌ホックであれば凹部が設けられた雌ホック基体、雄ホックであればゲンコが設けられた雄ホック基体)にかしめつけることで生地に固定される。また、金属ホックには、雌雄結合時のスナップ嵌めを実現させるとともに、雄ホックのゲンコを雌ホックの凹部に止めて雌雄結合状態を保持するために、雌ホックの凹部の開口付近にリングバネ式や2本バネ式などの金属バネが設けられている。
【0004】
ところで、金属ホックは、生地に固定されたときにこの生地の面方向に回転してしまうことがあった。このような回転を防止するものとして例えば下記特許文献1に開示されるホックがある。このホックは、ボタンキャップ本体の裏面中央に形成された収納部に嵌合される取付部材(ハンシャ板)のフランジ部を有しており、ボタンキャップ本体の収納部の外周縁に形成されたかしめ部において、中心方向に折曲することによって略全面にわたってかしめられていて、そのかしめ部の生地と接触する面である表面に回転防止のための突部が設けられたものである。突部は、取付部材の略中央に突設された筒状部材を中心に放射状に設けられている。また、かしめ部の裏面には突部と対応する凹部が設けられている。このホックによれば、かしめ部の突部が生地に食い込むことによってホックの回転を防止することができる。
【0005】
しかし、このような金属ホックをニット、メリヤス、ジャージーなどの編物素材からなる生地に用いた場合、ニット生地が比較的厚手で伸びやすく、且つ1本1本が比較的太い毛糸を編み込んでいることもあり、上述したような突起では生地の面方向に対する回転を十分に防止することができなかった。また、ホックは主に円形であり、ホックの回転によってホックの端縁が生地(毛糸)を切ってしまうことがあった。編物素材の生地においては1本の毛糸が切れるとそこから次々と毛糸がほどけてしまう。このような不具合があるため、従来は編物素材の生地に対しては一般的な金属ホックが使用されることはほとんどなく、主に下記特許文献2(特に当該文献の図5)などに開示されるようないわゆるアメリカンホックと呼ばれるホックが用いられていた。図8に示すように、アメリカンホックは、ハンシャ板100の周縁部100aに複数の長いかしめ脚101が等間隔をあけて突設されており、これらのかしめ脚101が生地の編目に挿通されることで毛糸を切ることなくホックを生地に固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3383900号公報
【特許文献2】特開2003−310309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、これまでは編物素材の生地からなる衣類には上述したようなアメリカンホックが使用されることがほとんどであったため、ホックやホックが取り付けられる衣類のデザインが限定されることとなっていた。そのため、衣類製作にあたっては、編物素材の生地に対しても、2本バネホックなどの金属ホックを用いたいという要望があった。
【0008】
さらに、近年は衣類などの生地に様々な性質の素材を用いることができるようになっている。その中にはこれまでの生地よりも更に伸縮性の高いものがあり、このような伸縮性の高い生地に対しても、固定後の回転を抑えたうえで様々なバリエーションを実現させるためにリングバネや2本バネなどの金属ホックを用いたいという要望がある。
【0009】
そこで本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、ニットなどの編物素材の生地のような比較的厚手で伸縮性が高く、1本1本が比較的太い毛糸が編まれてなる生地に対して回転を抑えて確実に固定されるとともに、衣類などにこれまで以上にバリエーションをつけることができる金属ホックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明に係る請求項1記載の金属ホックは、扁平円筒形状の基部材5の略中央に表裏両面に開口7a,7bが形成された凹部6が設けられ、該凹部6の前記表面側の開口7a付近に金属バネ8が設けられた金属製の雌ホック基体4と、
かしめ凸部11と該かしめ凸部11の基端部からフランジ状に広がる円形基板12とを備えた金属製のハンシャ板10と、前記ハンシャ板10における前記かしめ凸部11が突出した面とは反対の面を覆うように設けられた金属製の被覆部材13と、を備えたキャップ体9と、
を備え、前記雌ホック基体4と前記キャップ体9の間に生地2を挟んで、前記ハンシャ板10の前記かしめ凸部11を前記凹部6に前記裏面の開口7bから挿入した後に該凹部6の内部にて前記かしめ凸部11を外側にカールさせることで前記生地2に固定される雌ホック3と、
扁平球形状をなすとともに基端部側にクビレが形成されたゲンコ18と、前記ゲンコ18の前記基端部からフランジ状に広がる円形基板19と、を備えた金属製の雄ホック基体17と、
かしめ凸部22と該かしめ凸部22の基端部からフランジ状に広がる円形基板23とを備えた金属製のハンシャ板21と、前記ハンシャ板21における前記かしめ凸部22が突出した面とは反対の面を覆うように設けられた金属製の被覆部材24と、を備えたホソ体20と、
を備え、前記雄ホック基体17と前記ホソ体20の間に生地2を挟んで、前記ハンシャ板21の前記かしめ凸部22を前記ゲンコ18の内部にて変形させることで前記生地2に固定される雄ホック16と、からなる雌雄結合構造の金属ホック1において、
前記雌ホック3及び前記雄ホック16のそれぞれの前記ハンシャ板10,21の前記円形基板12,23には、前記かしめ凸部11,22が突出した面に複数の尖端15を有し、該尖端15が環状に連続することで形成された複数の突起部14が前記かしめ凸部11,22を中心とした略同心円上に等間隔をあけて設けられていることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、金属ホック1において、雌ホック3と雄ホック16をそれぞれかしめによって生地2に固定させるためのハンシャ板10,21に複数の突起部14が設けられていることにより、各突起部14の複数の尖端15が生地2を押さえ付けることによって各ホック3,16の生地2の面方向への回転を確実に防止することができ、これまではホックの回転を抑えることが困難であった伸縮性の高い生地に対して好適に固定されるようになる。また、そのためのハンシャ板10,21の加工も容易である。
【0012】
請求項2記載の金属ホックは、前記雌ホック3及び前記雄ホック16が固定される前記各生地2は、所定粗さの編目を有する編物素材からなる生地であることを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、雌ホック3と雄ホック16のそれぞれのハンシャ板10,21は、これらのハンシャ板10,21に設けられた突起部14の尖端15が形成する山谷のうちの谷部15bが編物素材からなる生地2を構成する毛糸2aの1本乃至数本を抑え込むようになる。これにより、ホック3,16の回転を防止するとともに、毛糸2aを切らないようにこのホック3,16を生地2に固定させることができる。
【0014】
請求項3記載の金属ホックは、前記雌ホック基体4において前記基部材5の前記凹部6に設けられた前記金属バネ8が2本バネ式であることを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、編物素材からなる生地2などのようなこれまで金属ホックが用い難かった生地に対して、2本バネ式のホックを採用することが可能となる。
【0016】
請求項4記載の金属ホックは、前記ハンシャ板10,21には4つ乃至7つの前記突起部14が設けられていることを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、ホック3,16は、回転に対する抑制力のバランスがよいものとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る金属ホックによれば、雌ホックと雄ホックをそれぞれ生地に固定させるためのハンシャ板に複数の突起部が設けられていることにより、各突起部の複数の尖端によって各ホックの生地の面方向への回転を防止することができるとともに、ハンシャ板に設けられた突起部の尖端が形成する山谷の谷部分がニット生地を構成する毛糸の1本乃至数本を抑え込むため、毛糸を切らないようにこのホックをニットなどの編物素材からなる生地に固定させることができる。これにより、これまではニットなどの生地にはアメリカンホックのような特殊なホックを使用するしかなかったものが、2本バネ式のホックを採用することが可能になるなど、衣類などにこれまで以上にバリエーションをつけることができるようになる。また、従来のアメリカンホックなどに比べて加工が容易であるため、生産性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る金属ホック(雌ホックと雄ホック)の実施形態が生地に固定された状態を示す斜視図である。
図2】雌ホックを示す分解断面図である。
図3】雄ホックを示す分解断面図である。
図4】(a)雌ホックが備えるハンシャ板を示す斜視図である。 (b)雄ホックが備えるハンシャ板を示す斜視図である。
図5】(a)雌ホック及び雄ホックが備えるハンシャ板の加工前を示す平面図である。 (b)雌ホック及び雄ホックが備えるハンシャ板の加工後を示す平面図である。
図6】金属ホック(雄ホック)が生地に固定された状態を示す断面図である。
図7】ハンシャ板が生地の毛糸を抑え込んだ状態を説明するための図である。
図8】従来のホックにおけるハンシャ板を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1に示すように、この実施形態(金属ホック1)は、雌雄結合構造のホックであり、毛糸2aが編み込まれることで形成され、所定粗さ以上の編目2bを有するニット、メリヤス、ジャージーなどの編物素材からなる生地2(以下、単に生地という)を用いた衣類において、前身頃の前打合せなどにて2つの生地(雌ホック3が取り付けられた生地2と雄ホック16が取り付けられた生地2)を相互に係合する手段などに用いられるものである。なお、図1及び7には生地2の毛糸2aと編目2bを概略的にあらわしている。
【0021】
金属ホック1は、雌ホック3と、雄ホック16とからなる。図2に示すように、雌ホック3は、雌ホック基体4と、キャップ体 とを備えている。図1及び2に示すように、雌ホック基体4は、扁平円筒形状の金属製の基部材5を本体としており、基部材5の略中央には円形の凹部6が設けられている。凹部6は、後述する雄ホック16と対向する面となる表面に開口7aが形成されているが、その反対側の面となる裏面にも開口7bが形成されている。また、雌ホック基体4には2本バネ式の金属バネ8が設けられている。金属バネ8は、凹部6の表面側の開口7a付近に2本の金属線材8a,8aが平行に配置されるように設けられている。
【0022】
図2に示すように、キャップ体9は、ハンシャ板10と、被覆部材13とを備えている。図2及び4(a)に示すように、ハンシャ板10は、金属製であり、円筒状のかしめ凸部11と、このかしめ凸部11の基端部からフランジ状に広がる円形基板12とを備えている。被覆部材13は、円板状の金属部材であり、ハンシャ板10におけるかしめ凸部11が突出した面とは反対側の面を覆うように設けられるとともに、ハンシャ板10の周縁部を包み込むようにしてこのハンシャ板10と略一体となっている。
【0023】
図4(a)に示すように、ハンシャ板10の円形基板12におけるかしめ凸部11が突出している面には、このかしめ凸部11を中心とした略同心円上に等間隔をあけて複数の突起部14が設けられている。突起部14の数は4つ乃至7つが好ましく、この実施形態においては、6つの突起部14が設けられている。突起部14の数については、金属ホック1(雌ホック3)のサイズなどに応じて製造過程において適宜選択することができる。突起部14が4つ乃至7つあることにより、雌ホック3は面方向の回転に対する抑制力のバランスがよいものとなる。また、各突起部14は、複数の尖端15を有している。なお、この実施形態では4つの尖端15を有している。尖端15は、突起部14となるときに略V字形の山部15aと谷部15bが環状をなすように設けられている。なお、この場合の環状とは、山部15aと谷部15bが交互に連続して周回するように設けられることをいう。
【0024】
図5(a)に示すように、この実施形態では、突起部14は、円形基板12の所定位置に略X字形の切れ目14aが形成された後に、この切れ目14aに対してパンチプレス加工などを施すことにより、図5(b)に示すように、尖端15を設けることができる。このとき、尖端15は、突起部14全体として4つに割れたような形状となる。なお、この実施形態では、円形基板12から直接尖端14が設けられているが、例えば円形基板12に突設された筒状部などを介してこの筒状部の先端側に尖端15が設けられるようにしてもよい。
【0025】
図2に示すように、雌ホック3を生地2に取り付けるときは、生地2を間に挟んで、生地2の一方の面(雄ホック16と対向する面)に雌ホック基体4を配置するとともに、生地2の他方の面にキャップ体9を配置する。そして、かしめ凸部11を凹部6に裏面側の開口7bから挿入した後にこの凹部7の内部にてかしめ凸部11の先端部をかしめて外側にカールさせることで生地2に固定する。
【0026】
図3に示すように、雄ホック16は、雄ホック基体17と、ホソ体20とを備えている。図1及び3に示すように、雄ホック基体17は、金属製であり、扁平球形状をなすとともにその基端部側にクビレが形成されたゲンコ18と、ゲンコ18の基端部からフランジ状に広がる円形基板19とを備えている。ゲンコ18は雌ホック3の凹部6に挿入可能な径に形成されており、ゲンコ18のクビレ部分は金属バネ8の2本の金属線材8a,8aの間に収まるように縮径されている。
【0027】
図3に示すように、ホソ体20は、ハンシャ板21と、被覆部材24とを備えている。図3及び4(b)に示すように、ハンシャ板21は、金属製であり、先端部が閉じられるとともに、先端部が突出方向に潰れやすいように側周面を周回する溝22aが設けられたかしめ凸部22と、このかしめ凸部22の基端部からフランジ状に広がる円形基板23とを備えている。被覆部材24は、円板状の金属部材であり、ハンシャ板21におけるかしめ凸部22が突出した面とは反対側の面を覆うように設けられるとともに、ハンシャ板21の周縁部を包み込むようにしてこのハンシャ板21と略一体となっている。
【0028】
図4(b)に示すように、ハンシャ板21の円形基板23におけるかしめ凸部22が突出している面には、上述した雌ホック3のハンシャ板10と同様に、かしめ凸部22を中心とした略同心円上に等間隔をあけて複数の突起部14が設けられている。突起部14の数は4つ乃至7つが好ましく、この実施形態においては、6つの突起部14が設けられている。突起部14の数については、金属ホック1(雄ホック16)のサイズなどに応じて製造過程において適宜選択することができる。突起部14が4つ乃至7つあることにより、雌ホック16は面方向の回転に対する抑制力のバランスがよいものとなる。また、各突起部14は、複数の尖端15を有している。なお、この実施形態では4つの尖端15を有している。尖端15は、突起部14となるときに略V字形の山部15aと谷部15bが環状をなすように設けられている。なお、この場合の環状とは、山部15aと谷部15bが交互に連続して周回するように設けられることをいう。
【0029】
ハンシャ板21においても、図5(a)に示すように、突起部14は、円形基板23の所定位置に略X字形の切れ目14aが形成された後に、この切れ目14aに対してパンチプレス加工などを施すことにより、図5(b)に示すように、尖端15を設けることができる。このとき、尖端15は、突起部14全体として4つに割れたような形状となる。なお、円形基板23から直接尖端14が設けられているが、例えば円形基板23に突設された筒状部などを介してこの筒状部の先端側に尖端15が設けられるようにしてもよい。
【0030】
図3に示すように、雄ホック16を生地2に取り付けるときは、生地2を間に挟んで、生地2の一方の面(雌ホック3と対向する面)に雄ホック基体17を配置するとともに、生地2の他方の面にホソ体20を配置する。そして、図6に示すように、かしめ凸部22をゲンコ18の内部にてかしめ凸部22の先端部をかしめて潰すように変形させることで生地2に固定する。
【0031】
そして、上述した雌ホック3と雄ホック16は、雌ホック3の凹部6に雄ホック16のゲンコ18を挿入することで雌雄結合される。このとき、ゲンコ18のクビレ部分が金属バネ8の2本の金属線材8a,8aの間でゲンコ18の挿脱方向が規制されることにより、雌雄結合状態が保持される。
【0032】
ここで、図6及び7を参照して雌ホック3及び雄ホック16(図6には雄ホック16を例示)が生地2に固定された状態について説明する。生地2に固定された状態においては、雄ホック16(又は雌ホック3)は各ハンシャ板21(10)の突起部14の尖端15の谷部15bに1本乃至数本の毛糸2aを挟み込んでいる。また、かしめ凸部22(11)は生地2の編目2bに挿通されている。したがって、生地2を介してハンシャ板21(10)と雄ホック基体17(又は雌ホック基体4)をかしめたときには、尖端15の谷部15bで生地2の毛糸2aを挟み込むことで金属ホック1(雌ホック3、雄ホック16)の生地2の面方向の回転を防止することができるとともに、毛糸2aを切ることもない。
【0033】
上述した実施形態によれば、雌ホック3と雄ホック16をそれぞれかしめによって生地2に固定させるための各ハンシャ板10,21に複数の突起部14が設けられていることにより、各突起部14の複数の尖端15が生地2(毛糸2a)を押さえ付けることによって各ホック3,16の生地2の面方向への回転を確実に防止することができ、これまではホックの回転を抑えることが困難であった伸縮性の高い生地に対して好適に固定されるようになる。また、そのためのハンシャ板10,21における突起部14を設けるための加工も容易である。
【0034】
また、雌ホック3と雄ホック16のそれぞれのハンシャ板10,21は、これらのハンシャ板10,21に設けられた突起部14の尖端15が形成する山谷のうちの谷部15bが生地2を構成する毛糸2aの1本乃至数本を抑え込むようになる。これにより、各ホック3,16の回転を防止するとともに、毛糸2aを切らないようにこのホック3,16を生地2に固定させることができる。
【0035】
さらに、生地2などのようなこれまで金属ホックが用い難かった生地に対して、2本バネ式の金属ホック1を採用することが可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1…金属ホック、2…(編物素材からなる)生地、3…雌ホック、4…雌ホック基体、5…基部材、6…凹部、7a…(表面側)開口、7b…(裏面側)開口、8…金属バネ、9…キャップ体、10,21…ハンシャ板、12,23…円形基板、13,24…被覆部材、14…突起部、15…尖端、16…雄ホック、17…雄ホック基体、18…ゲンコ、19…円形基部、20…ホソ体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8