(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695046
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】コラプシブルバルブ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/10 20060101AFI20150312BHJP
A61M 39/26 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
A61M39/10
A61M39/26
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-522821(P2012-522821)
(86)(22)【出願日】2010年2月22日
(65)【公表番号】特表2013-500128(P2013-500128A)
(43)【公表日】2013年1月7日
(86)【国際出願番号】US2010024875
(87)【国際公開番号】WO2011014265
(87)【国際公開日】20110203
【審査請求日】2013年2月13日
(31)【優先権主張番号】12/512,719
(32)【優先日】2009年7月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、ジョージ、エム.
(72)【発明者】
【氏名】ベネット、ジェイムズ
【審査官】
上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0027270(US,A1)
【文献】
米国特許第05782816(US,A)
【文献】
米国特許第05730418(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/00−39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空洞を有するハウジングと、
内部空洞内に設けられたバルブと、を備え、
バルブは、
少なくともひとつの側方切り込みを有する中空第1部分と、
第1部分と固定的に結合された第2部分と、を含み、
第2部分は側方切り込みを有し、
本アクセスデバイスが無針コネクタによって駆動されるとき第1部分および第2部分がそれぞれ別個に潰れることにより、バルブはシール位置から開放位置へ動き、
第1部分の少なくともひとつの側方切り込みが、第2部分の側方切り込みから約90度に位置することによって、無針コネクタが本アクセスデバイスを駆動する際、第1部分は第2部分が潰れるのよりも先に潰れる無針アクセスデバイス。
【請求項2】
第1部分はさらに円柱壁を有する空洞を有し、少なくともひとつの側方切り込みは円柱壁に形成される、請求項1に記載の無針アクセスデバイス。
【請求項3】
第1部分の空洞は、ハウジングとバルブとの間の液体空間と第1部分の空洞内の別個の空気空間とを形成するように、ハウジングに対してシールされている、請求項2に記載の無針アクセスデバイス。
【請求項4】
空気空間は、ハウジングを通り外部環境に至る通路によってベントされる、請求項3に記載の無針アクセスデバイス。
【請求項5】
バルブがシール位置から開放位置に動くにつれて、空気空間の体積は減少すると共に液体空間の体積は増加する、請求項3に記載の無針アクセスデバイス。
【請求項6】
第1部分の少なくともひとつの側方切り込みは、第2部分の側方切り込みに対して時計回りに配置されている、請求項1に記載の無針アクセスデバイス。
【請求項7】
第2部分の側方切り込みの下方には第1部分の側方切り込みは配置されていない、請求項1に記載の無針アクセスデバイス。
【請求項8】
第2部分はさらに、バルブがシール位置にあるときハウジングの入口開口と実質的に同一平面となるよう配置された平坦面であってバルブが開放位置にあるとき入口開口から動かされる平坦面を有する、請求項1に記載の無針アクセスデバイス。
【請求項9】
出口を有する下部ハウジングと、
下部ハウジングと密閉的に結合することで内部空洞を形成する上部ハウジングであって入口を有する上部ハウジングと、
内部空洞内に設けられたバルブと、を備え、
バルブは、
空洞を形成する閉端型円柱壁を有する第1部分と、
第1部分と固定的に結合され、第1部分に揃えられた固体第2部分と、を含み、
円柱壁は、周と、円柱壁の外周面の両側に設けられた少なくともふたつの側方切り込みと、を有し、
第2部分は笑顔切り込みと平坦上面とを有し、
笑顔切り込みは第1部分の側方切り込みから90度のところに配置され、
円柱壁の周は、結合された上部ハウジングおよび下部ハウジングとバルブと、の間の液体空間と、第1部分の空洞内に設けられた空気空間と、を形成するように、下部ハウジングに対してシールされ、
空気空間は下部ハウジングの通路を通じて外部環境にベントされ、
無針コネクタが本アクセスデバイスを駆動する際、第1部分が第2部分が潰れるのよりも先に潰れることによって、バルブはシール位置から開放位置に動く無針アクセスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は主に流体フローデバイスに関し、特に医療デバイスにおいて使用されるバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
無針アクセスデバイスは、医療従事者が、針を使用すること無しに、例えばIVバッグを交換/追加したりおよび/またはIVラインにアクセスすることを可能とする。
図1は、現行の無針アクセスデバイス100の断面図である。無針アクセスデバイス100は、メスルアーフィッティング101と、オスルアーフィッティング102と、バルブ103と、を含む。使用中、オスルアーフィッティング102は例えばカテーテルやメスルアーに接続され、メスルアーフィッティング101は流体容器に接続される。メスルアーフィッティング101は第2オスルアーフィッティング(不図示)を介して流体容器に接続される。この第2オスルアーフィッティングは中空部材を含み、その中空部材はメスルアーフィッティング101の上部およびコラプシングバルブ103を通じて挿入されて体積104に至り、シールを破って流体流路を生成する。第2オスルアーフィッティングの中空部材は流体を運び、運ばれた流体はバルブ103の周りを流れてオスルアーフィッティング102内のチャネル(不図示)に入り、そこからカテーテルまたはメスルアーへと流れる。
【0003】
内側バルブ103は隙間(または不図示の隔壁)であり、その隙間は空気で満たされる。デバイス100は正の排水量のデバイス(positive displacement device)である。メスルアーフィッティング101において新たな接続が行われる場合、デバイス100はバルブのオス側(すなわち、オスルアーフィッティング102に近い側)から流体を引き入れる。メスルアーフィッティング101において接続の解除が行われる場合、デバイス100はメス側(すなわち、メスルアーフィッティング101の上部に近い側)から流体を押し入れる。正の排水量の利点は、接続の解除が行われる場合、デバイス100はオスルアーフィッティング102から流体を追い出し、実効的にカテーテルを洗い流すことである。これに対して、現在市販の多くのデバイスは負の排水量を有する。注射器が取り外される場合、そのようなデバイスはオスルアー側から少量の流体を引き入れる。これは、カテーテルが使用中である場合は、カテーテルのルーメンに血液が引き入れられることを意味する。カテーテルのルーメン内に残された血液は固まり、患者の健康上の問題を引き起こしうる。
【0004】
デバイス100の追加的な特徴は、弾力性のあるバルブ103が、メス端がオスルアー(不図示)によってアクセスされる場合は通り道から外れるよう曲がることで流れを生じさせ、次にメス端において接続の解除が行われた後は元の形状に戻ることである。したがって、デバイス100は自身を再密閉し、平面を形成する。アルコール綿球を使用してその上面110を消毒することができる。これに対して、市販の多くのデバイスはプラスチックバルブを使用する。このようなプラスチックバルブは通り道から外れるように動くことで流れを生じさせるよう曲がることはできず、したがって傾斜付きのバルブまたは上部にフィーチャを組み込んだバルブを使用する必要がある。これは、綿球による処理を困難とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デバイス100は対称的なバルブボディーを有し、これにより対称的な壁の強さが提供され、またくちばし部分(duckbills)105によってくちばし部分の両側における弱い部分が提供される。さらに、デバイス100はバルブボディーにおいて均一な壁の厚さを含み、これはくちばし部分105およびその周辺においてもそうである。ルアーとバルブ103の上面110との接触領域およびルアー動作のタイプは、バルブボディーの潰れ方を決定するであろう。デバイス100は良い性能を提供するが、再現性および潰れ制御が強化されるとより有利となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の種々の実施の形態は、バルブ、およびコラプシブルバルブを使用する無針アクセスデバイスを指向する。コラプシブルバルブは切り込みおよび少なくともひとつのディンプルを含み、特定のバルブの潰れ方を生じさせる。ある具体例では、切り込みはバルブの上部に設けられる。上部の直径は底部の直径よりも狭い。上部は無針アクセスデバイスの上部シールを形成する。底部は実質的に円柱形であり、隔壁を形成し、少なくともひとつのディンプルを含む。ディンプルは切り込みから約90度、角度的にオフセットしている。これはバルブの上面上の荷重ポイントが切り込みから離れるようシフトするのに十分である。これにより、切り込みが潰れることを遅らせることができ、切り込みが潰れたときに上部が前方に落ち込む度合いが低減される。ある実施の形態に係る方法は、無針アクセスデバイスの製造のためのプロセスに関する。別の実施の形態は、コラプシブルバルブを含む無針アクセスデバイスを指向する。
【0007】
以下の本発明の詳細な説明がより良く理解されうるよう、上にて本発明の特徴および技術的利点を比較的広義に概説した。以下、本発明の追加的な特徴および利点が説明されるであろう。それらは、本発明の請求項の主題を形成する。本発明と同じ目的を達成するために他の構成に変更したり他の構成をデザインしたりするための基礎として、開示される概念および具体的な実施の形態を容易に使用できることは、当業者には理解されるべきである。そのような等価な構成は添付の請求項に示される本発明の精神および範囲から逸脱しないことは、当業者には認識されるべきである。本発明の特徴であると信じられている新規な特徴は、その構成および動作方法の両方に関して、さらなる目的および利点と共に、添付の図面との関係で考慮された場合、以下の説明によりより良く理解されるであろう。しかしながら、各図面は図示説明のみを目的として提供されるものであり、本発明の範囲を定義することを意図していないことは、明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明のより完全な理解のために、添付の図面と連携した以下の説明が参照される。
【0009】
【
図1】現行の無針アクセスデバイスの断面図である。
【0010】
【
図2】
図2Aおよび2Bは、本発明のある実施の形態に係る例示的な無針アクセスデバイスを示す断面図である。
【0011】
【0012】
【0013】
【
図5】注射器を挿入し例示的なバルブを潰した状態の、例示的な無針アクセスデバイスを示す図である。
【0014】
【
図6】
図6A−6Dは、本発明の実施の形態に係る、注射器によって圧力が加えられているが潰れる前の、例示的なバルブの振る舞いを示す図である。
【0015】
【
図7】
図7A−7Bは、本発明の実施の形態に係る、注射器によって圧力が加えられているが潰れる前の、例示的なバルブの振る舞いを示す図である。
【0016】
【
図8】例示的なバルブを使用するひとつのシナリオを示す図である。
【0017】
【
図9】本発明のいくつかの実施の形態に適用されうる広範な種類の切り込みのうちの3つの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図2Aおよび2Bは、本発明のある実施の形態に係る例示的な無針アクセスデバイス200を示す断面図である。
図2Bの図は
図2Aに示される図に対して90度回転している。
【0019】
デバイス200は、メスルアーフィッティング201と、オスルアーフィッティング202と、バルブ210と、を含む。バルブ210は切り込み211を含む。この切り込み211は本例では「笑顔切り込み(smiley cut)」と称される。バルブ210は、その下部の外側にディンプル212および213を含む。これらのディンプル212、213は互いに軸方向および角度的にオフセットするよう配置される。その結果、バルブ210のボディーは対称的ではない。切り込み211は切り込みと称されているが、そのような切り込み211は金型成型を含む種々の技術のうちの任意のものを使用して製造されてもよく、この場合、実際の切り込み(加工)は発生しない。オスおよびメスルアーフィッティング201および202について使用されうる材料の例はポリカーボネートであり、バルブ210について使用されうる材料の例はシリコンである。しかしながら、種々の実施の形態では、種々の適切な材料のうちの任意のものが使用されてもよい。
【0020】
デバイス200は、
図1に示されるデバイスと同様に、正の排水量および自己密閉を提供する。底にあるオスルアーフィッティング202は、カテーテルまたは患者の体と接続された他の医療デバイス(不図示)と接続される。注射器(不図示)はメスルアーフィッティング201と結合し、バルブ210を潰し、オスおよびメスルアーフィッティング201および202間に定義される空洞の中に入る。流体は、デバイス200の上部からバルブ210の周りを通りチャネル230、240を通過してオスルアーフィッティング202の中間チャネル250に流れる。バルブ260および270はバルブ210の隔壁215への空気の出入りを可能とする。
【0021】
閉じられている場合、バルブ210は2つのシールを提供する。第1シールはデバイス200の上面280にある。第2シールはショルダー290にある。
図5に関してより詳細に説明されるように、注射器をメスルアーフィッティング201において挿入すると、バルブ210は潰れ、シールが破られる。バルブ210はバネのように動作する。すなわち、バルブ210が押し下げられるとバルブ210は潰れ、その力が除去されるとバルブ210は元の形状に戻り、再密封が行われる。一般に、バルブ210の壁が厚いほどバネ力は強くなり、壁が薄いほどバネ力は弱くなる。したがって、壁の厚さは特性に影響を与える。特性は例えば注射器挿入の容易性や排水量である。ある具体例では、バルブ210の長さは約2センチメートルであり、壁の厚さは0.030インチから0.038インチの範囲にある。この例によると、許容可能な排水量、密封度、および使用の容易さが得られる。無論、
図3Aに特に良く見られるように、ディンプル212および213においては壁の厚さはより小さい。
【0022】
ある例では、デバイス200はバルブ210およびオスおよびメスルアーフィッティング201および202を個々に金型成型することによって製造される。次に、バルブ210は、オスおよびメスルアーフィッティング201および202によって形成される空洞の中に配置される。オスおよびメスルアーフィッティング201および202は位置決めされ、溶接される。次にデバイス200は消毒され梱包される。他の製造方法もまた可能であり、例えばオスおよびメスルアー201および202を溶接する代わりに接着してもよく、それらは実施の形態の範囲内にある。
【0023】
図3A−Cは、バルブ210自身を示す図である。
図3Bはバルブ210の側面図であり、
図3Aはバルブ210の断面図であり、
図3Cはバルブ210の底面図である。図示のように、バルブ210の上部および底部は両方とも環状(この場合、実質的に円柱形状)である。上部は笑顔切り込み211を含み、底部はディンプル212および213を含む。バルブ210の底部は実質的に中空であり、隔壁215を画定する。
図4Aおよび4Bは、
図3Aおよび3Bと90度の関係となる図である。
【0024】
図5は、例示的な注射器510を挿入しバルブ210を潰した状態の、例示的なデバイス200を示す図である。笑顔切り込み211は潰れており、その上面216は傾いている。これにより、流体は注射器510から流れ出ることができる。バルブ210の下部もまた潰れており、この潰れはディンプル212および213によって助けられている。ディンプル212および213は2つの弱い点として機能しており、笑顔切り込み211が潰れる前に下部が潰れるよう配置される。流体が注射器510を通り、バルブ210の周りを通り、オスルアー202から出て行くときのその流体の流路を示すために、
図5には矢印が追加されている。
【0025】
図2−5に示される実施の形態では、特定の潰れ方を促進するように、笑顔切り込み211はディンプル212および213に対して配置される。
図6A−6Dは、注射器510によって圧力が加えられているが潰れる前の、バルブ210の振る舞いを示す図である。
図2−6の実施の形態では、ディンプル213は笑顔切り込み211から時計回りに90度のところに配置されている。これにより、荷重ポイント610は笑顔切り込み211に対して反時計回りのところに配置される(時計回りおよび反時計回りは
図2−6に示される向きを参照する。そこでは、バルブ210は笑顔切り込み211がディンプルの上になるように示されている)。注射器510に伴うオスルアーフィッティング(不図示)は、メスルアーフィッティング201とつながるためのネジを有しており、それにより注射器510が挿入されるにつれて注射器510を回転させる(そしてバルブ210に回転圧力を加える)ので、そのような荷重ポイント610の配置は重要である。ディンプル213が潰れ始めると、圧力ポイント610は笑顔切り込み211から90度のところに現れる。そこでは、バルブ210の上部の側方は、笑顔切り込み211の直上よりも強い。本実施の形態では、荷重ポイント610が笑顔切り込み211の直上に配置されるシナリオにおいて笑顔切り込み211が潰れるのよりもより遅れて笑顔切り込み211が潰れる。
【0026】
対照的に、
図7A−7Bは、本発明の実施の形態に係る、注射器510によって圧力が加えられているが潰れる前の、バルブ710の振る舞いを示す図である。バルブ710では、笑顔切り込み211はディンプル213から180度のところにあり、ディンプル212の直上にある。ディンプル212、213および笑顔切り込み211をそのように配置することにより、圧力ポイント720は笑顔切り込み211の直上になる。これにより、笑顔切り込み211は、
図6A−6Dに示されるシナリオにおいて笑顔切り込み211が潰れるのよりも早く潰れる。
【0027】
多くの使用例において、バルブ210およびバルブ710の両方は許容可能な代替物である。しかしながら、注射器510が端ぐりを含むシナリオでは、笑顔切り込み211が早くに潰れると、バルブ710の上部が前方に落ち込んで端ぐりにひっかかることとなり、流体の流れがいくらか妨げられうる。
図8にはそのようなシナリオが示されている。そこではバルブ710の上部は注射器810の端ぐり820にひっかかっている。対照的に、バルブ210は笑顔切り込み211の潰れを遅らせることで笑顔切り込み211のより垂直的な潰れを提供する。これにより注射器の端ぐりの閉塞が避けられうる。したがって、注射器が端ぐりを含むシナリオにおいてバルブ210を好適に用いることができる。
図5−7に示されるような注射器を使用するアプリケーションにおいて、バルブ210およびバルブ710の両方を好適に使用することができる。種々の実施の形態は、ディンプルの切り込みに対する任意の角度ずれを使用することができる。バルブ210およびバルブ710は2つの例を示す。
【0028】
バルブ210および710はそれぞれ2つのディンプルを備えるよう示されているが、種々の実施の形態はそれに限定されない。例えば、より多くのディンプルが追加されてもよいし、ある実施の形態はただひとつのディンプルを含んでもよい。さらに、実施の形態は笑顔切り込みの使用に限定されない。他の形状の切り込みが使用されてもよい。例えば、
図9A−9Cは、V−切り込み910、U−切り込み920および「かもめ(seagull)」切り込み930を示す。これらは、実施の形態に適用可能な広範な種類の切り込みのうちの3つの例である。
【0029】
上で示された通り、種々の実施の形態は平坦な上部を備えるバルブを含む。平坦な上部は、前記バルブを通じた流れではなくむしろ前記バルブの周りでの流れを促進する。そのような特徴は、硬いプラスチックを使用する実施の形態や、平坦な上部を有さない実施の形態や、および/またはバルブの周りの流れではなくむしろバルブを通した流れを可能とする実施の形態に対する利点を提供する。例えば、上述の実施の形態のバルブ210および710は正の排水量を提供すると共に自ら洗い流す(self-flushed)ものである。したがって、負の排水量のデバイスよりも衛生的である。さらに、バルブ210および710の平坦な上面は、斜めのまたは溝付きの上面を伴うデバイスよりも良い綿球処理特性を提供できるので、衛生面で優れる。加えて、上記の実施の形態で示されるディンプルおよび切り込みは、幾分予測可能なバルブの潰れ方を提供する。したがって、(特にバルブ210の場合には)種々の注射器の任意のものへの適用性が提供される。
【0030】
本発明およびその利点が詳細に説明されてきたが、添付の請求項によって規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書において種々の変更、置換および代替を行うことができることは理解されるべきである。さらに、本願の範囲を、本明細書において説明されたプロセスや機械や製造や物質構成や手段や方法やステップの特定の実施の形態に限定することを意図しているわけではない。本発明の開示から当業者であれば容易に理解する通り、既存のものであれ後に開発されるものであれ、本明細書で説明された対応する実施の形態と実質的に同じ機能を有するまたは実質的に同じ結果を得ることができるプロセスや機械や製造や物質構成や手段や方法やステップは、本発明にしたがって使用されうる。したがって、添付の請求項はその範囲の中に、そのようなプロセスや機械や製造や物質構成や手段や方法やステップを含むよう意図されている。
本願は少なくとも以下のコンセプトを開示する。
コンセプト1
側方に少なくともひとつのディンプルを備える第1部分と、
第2部分と、を備え、
第2部分は第1部分よりも狭く、第1部分の軸方向寸法に沿って設けられており、
第2部分は切り込みを有する、コラプシブルバルブ。
コンセプト2
切り込みはディンプルから約90度、角度的にずらされている、コンセプト1に記載のコラプシブルバルブ。
コンセプト3
ディンプルは切り込みに対して時計回りに配置される、コンセプト2に記載のコラプシブルバルブ。
コンセプト4
第1部分は実質的に円柱形である、コンセプト1に記載のコラプシブルバルブ。
コンセプト5
無針アクセスデバイスに組み込まれるコンセプト1に記載のコラプシブルバルブ。
コンセプト6
正の排水量を提供するコンセプト5に記載のコラプシブルバルブ。
コンセプト7
第2部分は平坦な上部を有し、その上部は無針アクセスデバイスの上面と共に流れに対する密閉を行う、コンセプト5に記載のコラプシブルバルブ。
コンセプト8
シリコンを含む、コンセプト1に記載のコラプシブルバルブ。
コンセプト9
第1部分および第2部分は環状である、コンセプト1に記載のコラプシブルバルブ。
コンセプト10
メスフィッティングと、
メスフィッティングと結合されたオスフィッティングと、を備え、
メスフィッティングおよびオスフィッティングは内側体積を画定し、
本無針アクセスデバイスはさらに、内側体積内に設けられたコラプシブルバルブを備え
コラプシブルバルブは、
メスフィッティングに隣接し、表面に切り込みが設けられた第1部分と、
オスフィッティングに隣接し、第1部分に対して軸方向に設けられた第2部分と、を含み、
第2部分は側方にディンプルを含む、無針アクセスデバイス。
コンセプト11
ディンプルは、第1部分の表面上の切り込みから放射状にずらされている、コンセプト10に記載の無針アクセスデバイス。
コンセプト12
ディンプルは、第1部分の表面上の切り込みから放射状に約90度ずらされている、コンセプト10に記載の無針アクセスデバイス。
コンセプト13
第1部分はメスフィッティングにおいてシールを形成し、メスフィッティングの平坦な上面を生成する、コンセプト10に記載の無針アクセスデバイス。
コンセプト14
コラプシブルバルブは正の排水量を提供する、コンセプト10に記載の無針アクセスデバイス。
コンセプト15
メスフィッティングおよびオスフィッティングはルアーフィッティングを含む、コンセプト10に記載の無針アクセスデバイス。
コンセプト16
コラプシブルバルブの第2部分は実質的に円柱形である、コンセプト10に記載の無針アクセスデバイス。
コンセプト17
無針アクセスデバイスを製造する方法であって、オスフィッティングおよびメスフィッティングによって画定される体積内にコラプシブルバルブを設けることを含み、
コラプシブルバルブの第1部分はメスフィッティングに隣接し、その第1部分はメスフィッティングの開口においてシールを提供し、
コラプシブルバルブは、互いに軸方向に設けられた第1部分および第2部分を含み、
第2部分は側方にディンプルを含み、
ディンプルは第1部分の表面上の切り込みから放射状にずらされている、方法。
コンセプト18
無針アクセスデバイスを消毒して梱包することをさらに含む、コンセプト17に記載の方法。