特許第5695065号(P5695065)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5695065-電磁弁 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695065
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   F16K31/06 305G
   F16K31/06 305Z
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-534555(P2012-534555)
(86)(22)【出願日】2010年8月26日
(65)【公表番号】特表2013-508629(P2013-508629A)
(43)【公表日】2013年3月7日
(86)【国際出願番号】EP2010005241
(87)【国際公開番号】WO2011050879
(87)【国際公開日】20110505
【審査請求日】2013年5月23日
(31)【優先権主張番号】102009051573.9
(32)【優先日】2009年10月26日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102009051574.7
(32)【優先日】2009年10月26日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102009051572.0
(32)【優先日】2009年10月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500580909
【氏名又は名称】ハイダック フルイドテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141081
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 庸良
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ヒルツェンデーゲン
(72)【発明者】
【氏名】フランツ−ルドルフ ヘル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ベルシュカ
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102008020855(DE,A1)
【文献】 国際公開第2008/064940(WO,A1)
【文献】 米国特許第05271599(US,A)
【文献】 特表2006−508305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電機子(4)のための軸方向ガイド(3)を備えた第1ハウジング部(2)と、該第1ハウジング部(2)に同軸配置された第2ハウジング部(9)とを有すると共に、前記電機子(4)は、前記第1ハウジング部(2)を少なくとも部分的に囲むソレノイド(5)の外部への作用によって内部に向かって方向付けられ、リセットばね(6)と、弁閉止部材(7)に作用する閉止要素(27)とを有する、流体を制御するための電磁弁において、
前記第1ハウジング部(2)は、前記電機子(4)と前記第2ハウジング部(9)の方向において内部に向かって方向付けられかつ前記第1ハウジング部(2)と前記第2ハウジング部(9)の互いからの磁気分離に少なくとも部分的に作用する減壁部(17)を有することを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
前記第1ハウジング部(2)は、前記電機子(4)のための前記軸方向ガイド(3)を実質的に形成する極管としての薄壁スリーブ(14)を有し、前記第2ハウジング部(9)は前記薄壁スリーブ(14)に少なくとも部分的に接するようにして前記薄壁スリーブ(14)内に突出することを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記薄壁スリーブ(14)は、その内周(19)に溝(18)の形態なる前記減壁部(17)を有することを特徴とする請求項2に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記溝(18)は、前記薄壁スリーブ(14)の内周(19)上で平坦に延びる側面(0)を有することを特徴とする請求項3に記載の電磁弁。
【請求項5】
前記減壁部(17)は、前記電機子(4)の、前記第2ハウジング部(9)に重なる重複部分(21)内に位置し、前記電機子(4)のリング状端部(39)は、前記電機子(4)に隣接する第2ハウジング部(9)の側において前記第2ハウジング部(9)の階段状肩部と重なることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項6】
前記減壁部(17)は、前記電機子(4)の、前記第2ハウジング部(9)に重なる重複部分(21)内に位置し、前記電機子(4)のリング状端部(39)は、前記電機子(4)に隣接する第2ハウジング部(9)の側において前記第2ハウジング部(9)の階段状肩部と重なり、
前記電機子(4)から前記第2ハウジング部(9)に向けて離れる位置において、前記薄壁スリーブ(14)の前記溝(18)の中央部は、前記重複部分(21)にある空所に重なることを特徴とする請求項に記載の電磁弁。
【請求項7】
前記第1ハウジング部(2)と前記第2ハウジング部(9)は、プラグ接続として互いに接続されると共に、該プラグ接続においては、前記第1ハウジング部(2)は、弁の作動の軸方向から見て前記第2ハウジング部(9)と少なくとも部分的に重複すると共に、フランジ端縁として作られる前記第1ハウジング部(2)の一自由端は、前記第2ハウジング部(9)の周溝(16)と整合することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項8】
前記第1ハウジング部(2)のもう一方の自由端は、前記弁閉止部材(7)のための弁本体(35)を形成し、前記弁閉止部材(7)は、前記閉止要素(27)によって付随的に制御される範囲で、前記弁本体(35)にある2つの弁口(29,30)との間の流体搬送接続を開放したり閉鎖したりすることを特徴とする請求項7に記載の電磁弁。
【請求項9】
前記第2ハウジング部(9)は、ステム(8)に動的に接続されたセットねじ(23)を有し、該セットねじが手動で作動された際には、前記ステム(8)は、軸方向に経路化された凹部(10)に沿って前記第2ハウジング部(9)を通り少なくとも部分的に延びる延長部(11)を伴い、前記電機子(4)と共に、前記弁閉止部材(7)の開口部という意味の位置へと移動できることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項10】
前記電磁弁は、他の弁のパイロット弁として機能することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1ハウジング部と第2ハウジング部を備えた流体制御用電磁弁に関するものである。第1ハウジング部は、電機子に対してその内方に方向付けられた軸方向ガイドを備え、前記電機子は、第1ハウジング部を少なくとも部分的に囲むソレノイドの外部への作用により軸方向ガイド内で移動可能である。電機子はリセットばねと弁閉止部材に作用する閉止要素とを備え、第2ハウジング部は第1ハウジング部に同軸状に配置される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、強磁性材料から形成される第1円筒ハウジング部と、同様に強磁性材料からなり弁の弁座本体を制御する磁石電機子を収容するスリーブ状の第2ハウジング部と、を備えた電磁弁について記載されている。このため弁座本体は、電磁弁の基本位置において磁石電機子に取り付けられたプランジャによって互いに対し水理的に分離された複数の水理媒体ポートを有する。2つのハウジング部それ自身は、互いから磁気分離されているが、これに関しては非磁性材料からなるリング状ハウジング部によって物理的に連結されている。追加のハウジング部による有効磁気分離は、とりわけ、如何なる場合でも所謂“磁気短絡回路”に対抗し、仮に既知の解決策による作動コイルが励起されたならば、磁気電機子内への磁力線の効果的な送りを確実にする働きがある。
【0003】
しかしながら、非磁性材料から成る追加ハウジング部により、既知解決策は磁気分離を実行するには比較的高価であり、特に既知電磁弁を高圧で使用する際には、磁気分離のためのその他のリング状ハウジング部によって故障となる部位が形成されることが分かっている。
【0004】
これらの不都合を克服するため、特許文献2は、磁化可能な基材から成るガイド要素の中に、その基材から成る一体部品のようなものとして具体化される、磁化可能性を減じた少なくとも1つの領域を設けることを既に提案している。この既に公知な教示の1つの形としては、電磁弁に適する圧力管の周方向に溝が形成されており、更にその溝には、レーザー応用法やレーザー溶接法によって、磁化可能性を減じた付加物質が設けられ、特に適するものとして例えばニッケル、クロム、マンガン等のオーステナイト系材料が指摘されているが、これらレーザー処理法には又、特定のコストが付随するという問題がある。
【0005】
また、特許文献3は液体とガス状作動媒体によって作動する一般的な電磁弁であって、特に自動車用油圧ブレーキシステムに使用可能な電磁弁を開示している。その公知電磁弁は、ソレノイドに囲まれて電機子の受け部を形成する、好ましくは円筒形の第1ハウジング部を有する。その受け部は指示電機子のための軸方向ガイドを成し、リセットばねの形態なるエネルギ保持機構は、電機子に作用する弁ステムと共に電機子に作用し、その弁ステムは弁閉止部材のようなものとして設計されるが、それは電磁弁を閉じるため、弁本体内で対応する流体口に相互作用する弁座を圧迫している。この第1ハウジング部に同軸状には第2ハウジング部が設けられ、それは電磁弁の長手方向延長部を走る円筒状凹部を有し、その凹部は指示された弁口に接続され、前記弁座内に配置される。
【0006】
その第1、第2ハウジング部は、極管として働く薄壁スリーブの形態の電機子を取り囲み、強磁性材料からのなる一部品として製造され、そのスリーブの壁厚は、磁気の短絡回路を低減させるべくその長さに亘って同じ値のままであるが、機械的応力に対し確実に適合するのに必要な厚さと同じくらいでなければならない。これに関して必要とされる、第1ハウジング部と第2ハウジング部の統合化は、好ましくは金属切削工程を経て行われるが、これに対応して高い製造・取り付け精度を前提とする可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国実用新案登録第8522724号
【特許文献2】独国特許第10038139号
【特許文献3】欧州特許第951412号
【発明の概要】
【0008】
上述した従来技術に基づき、本発明の目的は、当該分野の熟練者に製造・取り付けが簡単であり、更に信頼性があって効果的な磁気分離を確実にして短絡を回避する電磁弁を提供することにある。この目的は、全体として請求項1で特定される特徴を持った電磁弁によって達成される。
【0009】
請求項1の特徴部分によれば、第1ハウジング部には、電機子及び第2ハウジング部の方向においてその内側に向かって方向付けられると共に、2つのハウジング部相互からの磁気分離に対し少なくとも部分的に影響を与える減壁部が設けられる。指摘したこの減壁部は、例えば転造処理工具や加圧成形工具などの製造技術を使って容易に得ることができ、特に本発明による解決策は、磁気的な短絡回路の回避を助けたり、磁気系統の効率を高めるために磁気分離に影響を与えることができるような付加物質を導入するのを必要としていない。その内側から作られかつ第1ハウジング部の減壁部を形成する凹みを設けたことで、ハウジング部の壁面材料がこの点において圧縮され、その結果より高い圧縮応力でさえも、指摘した壁面圧縮により信頼性の高い安定状態が達成される。或いは、凹みは又、この領域において材料の圧縮が無いように切削によって作ることも可能である。本発明を理解するために仮に減壁部を参照した場合、これは幾何学的に見て、ハウジング部の壁面の内側に凹部が存在するが、圧縮剛性不足の観点では材料の弱体化を想定する必要がないという事実を表明している。電磁弁技術の分野に平均的に精通した人にとって、彼が減壁部によって信頼性ある磁気分離を達成し、更に、残留する肉厚材料の圧縮により効果的な圧縮安定化を生むことで電磁弁が故障した場合でも、高圧が流体流れや媒体の流れに対する磁気ハウジングの部品によって確実に順応され得るようにしたことは驚くべきことである。
【0010】
第1ハウジング部は、(磁石)電機子のための軸方向ガイドの領域にある極管としての薄壁スリーブであって、更に第2ハウジング部の内部へ突き出すか、或いは同ハウジング部を超えて突出するスリーブのように形成されることが好ましい。第2ハウジング部と重複した領域にある第1ハウジング部は薄壁スリーブとして構成されるため、第1ハウジング部は、例えば“フランジ付け”のような成形工程により、既に説明した装置全体の圧縮剛性が上記工程によって悪影響を受けることなく、第2ハウジング部に固定することができる。
【0011】
好適なこととして、第2ハウジング部の外周周りには溝が設けられ、第1ハウジング部の端縁部がその中に圧着される。第2ハウジング部に対する第1ハウジング部の、圧力のかかった非常に強固な連結に加えて、密封状態にある接触接続も又、このようにして作られる。
【0012】
仮に、電機子の第2ハウジング部との重複域であって、電機子のリング状端部が電機子と隣り合う第2ハウジング部の側部にある階段状肩部と重なり合う領域に、指摘した減壁部が設けられたならば、本発明による電磁弁のための特に信頼性の高い配置構造が達成され、特に好ましくは、電機子からハウジング部へと隔てられた位置において、スリーブの溝の中間部分は重複域の空きスペースと重複することで、このように磁気分離に加え、磁力線電の電機子への信頼性の高い電力ガイド導入を弁作動部と共に起こすことができる。
【0013】
それらの軸方向長さにおいてより短く保たれた2つのハウジング部の簡素化された取り扱いにより、電磁弁の個々の部品も又、一層容易に据え付けることができる。
【0014】
電磁弁の一構造的に有益なバージョンとしては、溝が位置する領域において電機子は、走行運動において、この領域での“ピストン”として形成される第2ハウジング部と部分的に交差する“シリンダ”として形成され、従ってその位置に関係なく電機子は、第1ハウジング部に対し連続して中心係合した関係にある。
【0015】
例えばソレノイドが故障するといったような誤動作時の緊急措置のようなものにおいて、電磁弁を手動で開くような1つの選択肢は、軸方向に変位可能なように第2ハウジング部内で支持されたロッド状ステムによって可能であり、同ステムは、第2ハウジング部内で回転可能なようにガイドされたセットねじにより外部から作動できるようになっている。延長部それ自体は、その1自由端が半径方向に拡張されており、このように指示したセットねじ9で、軸方向に動けないように固定される。しかしながら、セットねじや操作ねじを手で回転させた場合にはステムは電機子を動かすことができ、この点では電機子に接続された閉止要素としてのステム先端部は弁閉止部材によってリフトされる。先端部を備えた閉止要素はその自由端側で電機子に挿入され、スチールリングとフランジにより保持さ如何に堅固な電機子であっても、拡張端部を備えたロッド状ステムがアイドルストロ−ク後に電機子を捕らえると、即座に弁閉止部材を解放することが容易に可能となる。電機子内において、閉止要素それ自身は一定の半径方向遊びを持つことができ、従って製造によって調整誤差がある場合でも自由先端部を持つ閉止要素の円錐部は、困難なく弁閉止部材上のパイロット座の中央に突き当たることになる。
【0016】
弁部材においては、逆止弁のようなものが設置されることが好ましく、その弁は閉止要素の先端と共に、弁閉止部材のバイパス孔を開閉する。リセットばねや別のタイプのエネルギ保持機構が、ステム周りの電機子の凹部内に配置されることが好ましい。弁口の配備や弁閉止部材の形状に関しては、電磁弁を介した双方向の流れが可能になるように構成することが可能である。弁閉止部材の閉じ位置を達成するため、リセットばねを電機子によって支持することが可能であり、好ましくは第2ハウジング部によっても支持される。
【0017】
以下、図示された1つの模範的実施形態を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明による電磁弁の、正確な縮尺ではない概略的縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面は、ここでは詳しくは説明しない油圧系統の油圧使用部のための液状作用媒体のような流体を制御するための電磁弁1の縦断面を示している。その電磁弁1は電磁気的に作動可能なパイロット弁として作られる。その主要部品として、電磁弁1はその内・外径に沿って増加的に変化する寸法の第1円筒ハウジング部2からなる。
【0020】
O−リング34を周溝33に挿入した形で図1の右端に示す連結部32を伴い、前記第1ハウジング部2は図示しない油圧系統、特に油圧使用部への流体接続部を構成する。連結部32は弁本体35の一部であり、その軸方向部分において第1ハウジング部2は他の壁部分と比較して大きな壁厚を有している。これに関し、その連結部32は1種のカートリッジ弁を構成している。弁本体35にあって、その2側部から半径方向に形成された弁口29は、スプール弁として形成された弁閉止部材7が流体搬送接続を制御する連結部32の中心でその外へと軸方向に経路付けられた弁口30に接続可能となっている。弁閉止部材7は階段状スプールとして形成され、先端27付き閉止要素27によって軸方向に作動される。圧力嵌め24は、閉止要素と電機子4の上に横たわる対応受けに適合するO−リングのように封止手段25によって作られる。弁閉止部材7は、図1に示す右端を伴い、弁口30を構成する孔と共に弁座を構成する。
【0021】
先端27付き円錐状閉止要素は、その右自由端をもって弁閉止部材7のバイパス孔28に係止する。第2バイパス孔28’は、弁閉止部材7を通り中央で突出するバイパス孔28に対し半径方向距離をおいて弁閉止部材7を通って延び、バイパス孔に対し平行に配置されるが、それは弁口29に接続され、対応の絞り部を介し流体を搬送する。同様に、バイパス孔28は絞り部を介して後部圧力空間36に連結され、ここで図示された作動位置における閉止要素の先端がこの絞り部に整合する。従ってこれに関し、バイパス孔28’は閉止要素の先端27を移動した状態において、後部圧力空間36との間でて流体搬送接続を成し、その空間は磁石電機子4とそれに対面する弁閉止部材7の端部側との間を延びる。
【0022】
逆止弁26が弁口30に対面する弁閉止部材7の端部に配置される。図面視方向から見て左手側において、第1ハウジング部2は、弁本体35から薄壁スリーブ14へと変化し、同スリーブは電磁弁内において所謂、極チューブを形成する。更に、スリーブ14は、その全長の約半分に相当する長さ分にわたって電機子4のための軸方向ガイド3を構成する。潤滑媒体を磁石電機子4とスリーブ14との間に介在させることができ、或いはスリーブ14の内方ハウジング壁面部分の外径を、その他の壁面部分の径に比べ若干、拡大化することでオフセットされた潤滑ポケットを生み、流体が磁石電機子4のための滑動シールのようなものを形成する。
【0023】
ロッド状ステム8はピストンのような電機子4を通って延び、その実質的な長さ分においてスリーブ14を包囲するソレノイド5の励起によって移動することができる。ステム8は延長部11と共に第2ハウジング部9の凹部10を通ってガイドされ、同ハウジング部の自由端部分は、第2ハウジング部9の対応内ネジ連結によってその回転がガイドされる位置決めネジ23と隣接する。ローレット加工が施された頭部37を回転することで、ステム8を移動することができ、電機子4を介して弁閉止部材7と、電機子4に挿入されていた先端27付き閉止要素を、「開き位置」という意味でクリアな状態にすることができる。それ相当の緊急作動のために外部カバーキャップをその他の磁石ハウジング部分から取り外すことが可能である。
【0024】
第1ハウジング部2同様、第2ハウジング部9は、その外側にそって対応直径を調整した本質的に円筒状の一体品である。第2ハウジング部9は、プラグ接続部12を成す軸方向延長部の約半分が第1ハウジング部2のスリーブ14によって囲まれており、更に第2ハウジング部9は周溝16を備え、ここにスリーブ14の端縁部15が圧着されることになる。縦断面においてスリーブ14の成形部13は直角の折り曲げ部として構成される。即ち、成形後、端縁部15は結果として周溝16内で平行にオフセットされたままとなる。この成形工程はプレス工具や転造処理工具を使用して実行することができる。更に、スリーブ14と第2ハウジング部9との間にあって第2ハウジング部9の溝内にはO−リング38が設けられており、同リングにより第1ハウジング部2は第2ハウジング部9に対してシールされた状態にある。
【0025】
2つのハウジング部2、9を磁気分離するため、電磁弁5の軸方向中央部分において、スリーブ14にはスリーブ14の他の壁厚の約半分ほどの減壁部17が設けられる。その減壁部17は、スリーブ14の内周19上で平坦に延びる側面20を伴った溝18によって形成される。更に、減壁部17はスリーブ14の内方域をリングのように包み込む。その減壁部17は、特に2つのハウジング部2、9間における磁気分離を促進すると共に、図示したその前方位置に電機子4が配置された状態において、電機子4の環状端部39と、第2ハウジング部9の電機子4に近接する側部にある、隣接した状態で割り当てられた階段状肩部との間には、磁気分離を更に促進する一方、電機子4からハウジング部9への限定された磁力線変化を可能にする空きスペースが形成される。更に、2ハウジング部2、9間においてこの種の磁気分離を生成することで、例えば既知の非磁性材料を既知の方法で表面硬化する際においても、部品の熱負荷が全く不要であり、結果として部品同士を結合しても精度自体に悪影響を与えるような応力や材料歪が発生することはない。示された空きスペースは又、流体を充満することも可能であり、例えば電機子4の滑りシールを介した状態で電機子4の移動方向において再び変位させることが可能である。
【0026】
減壁部17の領域には電機子4の半径方向において小さな遊びがある。他の全ての点では、リング状端部を持った電機子4は第2ハウジング部9内でガイドされる。このように重複域21では、電機子4に作用してそれを心合せするピストン・シリンダ構造のようなものが実装されることで、電機子はその左右の自由端で第2ハウジング部9によってガイドされた状態で常時、支持されることになる。
【0027】
エネルギ保持機構として、第2ハウジング部9に対面する電機子4の端部39から延びる凹部22の円筒穴において、ステム8周りにリセットばね6に配置される。そのリセットばね6は、ステム延長部11周りのシール機構40上に支持される。そのシール機構40は延長部11の周りでグランド・パッキンのように置かれ、ステム8を封止し、第2ハウジング部9からの油圧媒体の損失を防止する。電機子4と第2ハウジング部9の間の中間スペースに油圧媒体は現れることができ、更に媒体は、電機子の長手方向孔42を通り圧力空間36の方向に、第2ハウジングの後端側から前端側へと、またその逆に行き来することができる。このようにして、電機子4の領域では、ともすると電機子4の作動に支障となるような過剰圧力や圧力低下の可能性が増えないような「油圧媒体の釣り合い」が存在する。電磁弁1は更に、特にソレノイド5の周囲に、ここで使用された適当なプラスチック・エラストマ材料を伴う遮蔽ハウジングを有する。この磁石構造は電磁弁としては従来からあるものであるため、ここでは詳細に記述しないことにする。ソレノイド5を励起するため、プラグ41が使用され、制御・電流供給装置への接続のため弁ハウジングの上方側壁に取り付けられるが、ここでは詳細に説明しない。
【0028】
電磁弁1の弁本体35を通り、弁口29から弁口30への流れと、その逆方向の流れを生み出すことができる。ソレノイド5の励起状態では、電機子4と先端部27を備えた閉止要素は、弁閉止部材7と同様に、リセットばね6のリセット力に対抗して図面視方向で左方へと動くことで、その際には弁口29・30間における弁本体35を通る双方向の流れが可能となる。
【0029】
しかしながら、電磁弁の非励起状態においては、弁口29から弁口30への油圧媒体の流れが阻止されるが、逆に、弁口30と弁口29の間に流体の接続が存在する可能性がある。しかしながら、弁口30から弁口29へのこの流動方向に対してはスプール弁7がリセットばね6の力に抗して押しつけられるに違いない。これは、例えば約1.5バール(逆止機能)の差圧で起こる。記述したように、ソレノイド5はここでは励起されない。本発明による解決策により、カートリッジ弁として磁気的に作動、操作され、350バールの圧力さえも制御でき、通常は閉じられ、図示したように還流や逆流機能が可能な、2/2ウェイ・シート弁のようなものが提供される。
図1