(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において、同一の構成要素には同一符号を付す。また、一度説明したものについては、その説明を省略する。符号の後に、R、G、またはBを添えて示す構成要素は、色(例えば、Rは赤色、Gは緑色、Bは青色)によって分離された複数の光路で区別する必要があるものである。さらに、説明上特に支障がない場合には、添字を省略する。
【0012】
図1によって、本発明の一実施例の投射型映像表示装置の構成を説明する。
【0013】
次に、投射型液晶表示装置の構成について説明する。
図1は投射型液晶表示装置の構成例を示す図である。
図1の3板式の投射型液晶表示装置において、1は光源であり、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、ハロゲンランプ等の白色ランプである。光源1は、円形、または、多角形の出射開口を持つ少なくとも1つの反射鏡2を有する。光源1から出射される光は映像表示素子を含むライトバルブ14R、14G、14Bを通過して投射レンズ200に向かい、スクリーン100へ投影される。光源1のランプから放射される光は例えば放物面の反射鏡2で反射されて光軸に平行となり、第1のレンズアレイ3に入射される。なお、光源1と反射鏡2の構成を、光源ユニットと称する。
【0014】
第1のレンズアレイ3は、入射した光をマトリックス状に配設された複数の矩形状のレンズセル領域で構成され、それぞれのレンズセル領域で複数の光に分割して、効率よく第2のレンズアレイ4と偏光変換素子5を通過するように導く。即ち、第1のレンズアレイ3は、光源1と第2のレンズアレイ4の各レンズセル領域とが互いに物体と像の関係(共役関係)に設計されている。第1のレンズアレイ3と同様に、マトリックス状に配設された複数の矩形状のレンズセル領域を持つ第2のレンズアレイ4は、構成するレンズセル領域それぞれが対応する第1のレンズアレイ3のレンズセル領域の形状をライトバルブ14内の映像表示素子18に投影する。この時、偏光変換素子5で第2のレンズアレイ4からの光は所定の偏光方向に揃えられる。
【0015】
なお、第1のレンズアレイ3と第2のレンズアレイ4との間には、通過する光量を制御するための遮光ユニット501(後述する)が設けられている。
【0016】
そして、第1のレンズアレイ3の各レンズセル領域の投影像は、それぞれ集光レンズ6、およびコンデンサレンズ13、第1のリレーレンズ15、第2のリレーレンズ16、第3のリレーレンズ17によりライトバルブ14内の映像表示素子18上に重ね合わせられる。
【0017】
なお集光レンズ6は、光軸300を有する。
【0018】
第1のレンズアレイ3と映像表示素子18とが、互いに物体と像の関係(共役関係)に設計されているので、第1のレンズアレイ3で複数に分割された光束は、第2のレンズアレイ4とこれに近接して配設される集光レンズ6によって、ライトバルブ14内の映像表示素子18上に重畳して投影され、実用上問題のないレベルの均一性の高い照度分布の照明が可能となる。
【0019】
その過程で、反射ミラー7で反射された光は、ダイクロイックミラー11により、例えばB光(青色帯域の光)は反射され、G光(緑色帯域の光)およびR光(赤色帯域の光)は透過されて2色の光に分離され、更に、G光とR光はダイクロイックミラー12によりG光とR光に分離される。例えば、G光はダイクロイックミラー12で反射され、R光はダイクロイックミラー12を透過する。光の分離の仕方は種々考えられ、ダイクロイックミラー11でR光を反射させ、G光およびB光を透過させてもよいし、G光を反射させ、R光およびB光を透過させても良い。
【0020】
図1の構成では、B光はダイクロイックミラー11を反射して、反射ミラー10で反射され、コンデンサレンズ13Bを通してB光用のライトバルブ14Bを透過して光合成プリズム21に入射される。ここでコンデンサレンズ13Bを透過し、ライトバルブ14Bに入射するB光をLBと呼ぶ。ダイクロイックミラー11で透過されたG光およびR光の内、G光はダイクロイックミラー12で反射され、コンデンサレンズ13Gを通してG光用ライトバルブ14Gに入射され、このライトバルブ14Gを透過して光合成プリズム21に入射される。ここでコンデンサレンズ13Gを透過し、ライトバルブ14Gに入射するG光をLGと呼ぶ。R光はダイクロイックミラー12を透過し、第1のリレーレンズ15で集光され、更に反射ミラー8で反射され、第2のリレーレンズ16で更に集光され、反射ミラー9で反射された後、第3のリレーレンズ17で更に集光されてR光用のライトバルブ14Rに入射される。ライトバルブ14Rを透過したR光は光合成プリズム21に入射される。ここで第3のリレーレンズ17を透過し、ライトバルブ14Rに入射するR光をLRと呼ぶ。
【0021】
各映像表示素子18を透過したB光、G光、R光は、光合成プリズム21によってカラー映像として合成された後、例えばズームレンズであるような投射レンズ200を通過し、スクリーン100に到達する。ライトバルブ14内の映像表示素子18で図示しない映像信号に応じて光強度変調されて形成された光学像は、投射レンズ200によりスクリーン100上に拡大投影表示される。
【0022】
図1の実施例の遮光ユニット501は、例えば、
図2および
図3で説明するような、遮光板が回動(回転)して入射光の光量を制御する遮光ユニットを用いる。
図2は、本発明も使用する遮光ユニットの一実施例の外観斜視図である。50−1は501の左遮光板の回転中心、50−2は遮光ユニット501の右遮光板の回転中心、60−1は左遮光板、60−2は右遮光板である。また、
図2のA−A’線を通る水平面は水平軸(後述する)403である。更に、53はモータ部であり、54−2はモータ部53の回転に伴い矢印方向に回転するギアである。また、54−1は、ギア54−2と噛み合い、ギア54−2の回転に伴って回転するギア、55は筐体部である。‘O’方向の矢印が絞り量を減少させる場合の遮光板の回転方向、‘C’方向の矢印が絞り量を増大させる場合の遮光板の回転方向である。実装される部品は、筐体部55に取り付けられ、筐体部55は更に、本発明の実施例である投射型映像表示装置の構成の一部として組付けられる。
【0023】
光源ユニット(光源1及び反射鏡2)から出射され、第1のレンズアレイ3を通過した光は、矢印の方から点線の方向に入射し、遮光ユニット501の左右の遮光板60−1と60−2の開口部を通過して、光量を調整され、第2のレンズアレイ4に入射する。モータ部53は、遮光ユニット501を制御する制御部(後述)からの信号によって左右の遮光板60−1と60−2を開閉するために回転し、ギア54−2と54−1に回転力を伝達して、ギア54−2と54−1の回転角を変更する。ギア54−2と54−1の回転角によって、左右の遮光板60−1、60−2の開閉角が変更されることによって、遮光ユニット501を通過する光量が調整される。
【0024】
図3は、上記遮光ユニット501が、本発明の実施例である投射型映像表示装置に組み込まれる状態を説明するための図である。
図3(a)は、本発明の実施例である投射型映像表示装置の一部である光学系部分を示す斜視図である。3は第1のレンズアレイ、4は第2のレンズアレイ、501は遮光ユニット、82は光学ユニット、22は投射レンズである。また、
図3(b)は、
図3(a)の破線円部分を拡大した図である。
【0025】
図3においては、
図2の遮光ユニット501の姿勢から、上下と前後が逆になって、第1のレンズアレイ3と第2のレンズアレイ4の間に組み込まれている。
【0026】
図4は、本発明に係る投射型映像表示装置の一実施例の概略構成を示すブロック図である。80は投射型映像表示装置、100はスクリーン、81は光源ユニット、82は光学ユニット、821は光学ユニット82の照明光学系、822は光学ユニット82の映像表示素子部(液晶パネル部)、22は光学ユニット82の投射レンズ、843は表示駆動回路、844は制御部、845はユーザが装置を操作した場合のMMI( Man Machine Interface )である操作部、846は光源電源回路、847はファン電源回路、812は光源ユニット81の内部冷却用のファン、813は光源ユニット81の外郭表面冷却用のファン、814はダクト、815は風量調整用のシャッタである。
【0027】
照明光学系821は、例えば、
図1の第1のレンズアレイ3、遮光ユニット501、第2のレンズアレイ4、偏光変換素子5、及び、集光レンズ6から構成される。
【0028】
図4の投射型映像表示装置80において、光源ユニット81から出射された光Lは、光学ユニット82に入射する。照明光学系821は、光源ユニット81からの光Lの光量分布を均一化して映像表示素子部822に照射する。映像表示素子部822は、表示駆動回路843で駆動され、光Lを映像信号に応じた光学像(図示せず)で変調した表示光を形成する。形成された表示光は、投射レンズ22の出射開口部から、外部のスクリーン若しくは壁面等の被照射面100に投影される。
【0029】
なお、
図4では、光源ユニット81から出射する光L等の矢印は説明上模式的に描いているだけであり、それぞれの配置、角度、大きさ、光の方向等は正確なものではない。また、映像表示素子部822は、実際には、
図1で説明した3つの色(R、G、B)毎の光学系については省略している。
【0030】
図4において、投射型映像表示装置は、ROM( Read Only Memory )などに格納されたプログラムに従って動作するCPU( Central Processing Unit )などで構成された制御部844で制御される。制御部844は、操作部845からのユーザのボタン操作により操作されたボタンに対応して、所定の処理を行う。例えば、光源電源回路846を介して光源ユニット81の光源の点灯や消灯を行い、光源の点灯(オン)や消灯(オフ)に合わせて、ファン電源回路847を介して光源ユニット81の内部冷却用のファン812、光源ユニット81の外郭表面冷却用のファン813、ダクト814、風量調整用のシャッタ815などの運転又は停止を行う。また、表示駆動回路843を制御して画像表示を行う。
【0031】
また、表示駆動回路843は、映像表示素子部822が形成する表示光の輝度を検出し、検出した輝度値によって照明光学系821の遮光ユニット501の開閉角度を制御する。例えば、形成する表示光の元になる映像信号の1フレーム毎の輝度値を検出し、輝度値が所定の値P以上の場合には、遮光板60−1、60−2を全開(絞り量最小、即ち、通過光量最大)状態とし、輝度値が所定の値Q以下の場合には遮光板60−1、60−2を全閉(絞り量最大、即ち、通過光量最小)状態とし、輝度値が、所定の値Pと所定の値Qの間にある場合には、段階的に遮光板の開閉角度を変化させるようにしている。
【0032】
なお、輝度値の検出は、例えば、周知のAGC( Auto Gain Control )機能を使っても良い。また例えば、画像処理機能で画素毎の平均値と算出しても良く、所定の領域について画素毎の平均値と算出しても良い。
【0033】
また、その他、周知のシーン変化点を検出し、シーン変化点が検出された場合に、輝度値を検出し、検出した輝度値に対応した光量になるように遮光ユニット(アイリス)を制御しても良い。
【0034】
また、1フレーム毎に遮光ユニットを制御しても良いが、複数フレーム毎に遮光ユニットを制御しても良い。
【0035】
更に、上記実施例において、表示駆動回路843は、映像表示素子部822が形成する表示光の輝度を検出し、検出した輝度値によって照明光学系821の遮光ユニット501の開閉角度を制御していた。しかし、制御部844が、映像信号の輝度値の情報を表示駆動回路843から受け取ることによって、直接照明光学系821の遮光ユニット501の開閉角度を制御しても良い。
【0036】
また更に、制御部844は、表示駆動回路843、光源電源回路846、若しくは、ファン電源回路847の少なくともいずれか1つ含む構成であって、それらの機能も併せ持っていても良い。
【0037】
次に、
図5〜
図11によって、遮光ユニットの遮光板の開口部の形状と第2レンズアレイの投影光との関係を説明する。
【0038】
図5は、第2レンズアレイ4を構成する各レンズセル領域の配置を示す図で、枠内が個々のレンズセル領域を示す。また一点鎖線で示した水平軸403と垂直軸402との交点が光軸中心である。
【0039】
なお、以下の説明では、特に断らない限り、斜線で示す複数のレンズセル領域401の部分(破線円で囲んでいる)を通過する投影光について説明している。なお、斜線部401の各レンズセル領域をイ〜ヲとする。
【0040】
図6と
図7は、
図5に示す第2レンズアレイ4の、斜線部のレンズセル領域401を通過する投影光について説明する図である。説明の都合上、(d)を先に図示している。
図6(d)は遮光ユニットが開放(全開)時の場合の開口部を光源ユニット側から見た図、
図6(a)は遮光板501aが形状(I)でかつ全閉時の場合の開口部を光源ユニット側から見た図、
図6(b)は遮光板501bが形状(II)でかつ全閉時の場合の開口部を光源ユニット側から見た図、
図6(c)は遮光板501cが形状(III)でかつ全閉時の場合の開口部を光源ユニット側から見た図である。
図7(d)は
図6(d)の場合の斜線で示すレンズセル領域部分401’の投影光の分布を示す図、
図7(a)は
図6(a)の場合の斜線で示すレンズセル領域部分401’の投影光の分布を示す図、
図7(b)は
図6(b)の場合の斜線で示すレンズセル領域部分401’の投影光の分布を示す図、
図7(c)は
図6(c)の場合の斜線で示すレンズセル領域部分401’の投影光の分布を示す図である。
図7における濃淡は、描画の都合状、濃いほど光量が多く、淡くなるほど光量が少なく、白い部分は光量がほぼゼロである。
【0041】
また、
図7(a)〜
図7(d)に示す枠は、
図5のレンズセル領域401の各レンズセル領域イ〜ヲに対応する投影領域401’である。同様に、
図6(a)〜
図6(c)に示す枠も
図5のレンズセル領域401の各レンズセル領域イ〜ヲに対応する投影領域401’である。
【0042】
図6(d)に示すように、全開時には、遮光板の形状によらず開口部はすべて開かれており、光源ユニットから出射する光は、全て通過する。このとき、各レンズセル領域イ〜ヲを通過して、例えば、偏光変換素子5に投影される光の分布は、
図7(d)に示すようになる。このように、第2のレンズアレイを通過して投影される光は、光軸中心から法線方向に離れるほど光量が少なくなり、その傾向は、水平方向により顕著に現れる。
【0043】
図6(a)のように、遮光板501aが形状(I)でかつ全閉時の場合の開口部は、縦(垂直)方向に急峻な斜め菱形の開口形状となっている。そして、その境界部は、レンズセル領域イ、ニ、ト、及び、ヌの投影光の領域を横切るように設けている。この結果、例えば、偏光変換素子5に投影される光の分布は、
図7(a)に示すように、
図7(d)から遮光板の無い領域の光だけが通過するようになる。
【0044】
また、
図6(b)のように、遮光板501bが形状(II)でかつ全閉時の場合の開口部は、縦(垂直)方向と横(水平)方向にほぼ同程度の長さの斜め菱形の開口形状となっている。即ち、その境界部が、レンズセル領域イとニの投影光の領域を横切るように設けられている。この結果、例えば、偏光変換素子5に投影される光の分布は、
図7(b)に示すように、
図7(d)から遮光板501bの無い領域の光だけが通過するようになる。
【0045】
さらに、
図6(c)のように、遮光板501cが形状(III)でかつ全閉時の場合の開口部は、斜め菱形が複数存在する開口形状となっている。即ち、その境界部が、レンズセル領域イ、ロ、ニ、ト、及びヌの投影光の領域を横切るように設けられている。この結果、例えば、偏光変換素子5に投影される光の分布は、
図7(c)に示すように、
図7(d)から遮光板501cの無い領域の光だけが通過するようになる。
【0046】
次に、
図8〜
図10によって、本発明の遮光板の回転角度の変化に対する照度変化の線形特性の一実施例を説明する。
図8は、遮光板の開いた角度(開口角)が60度(Π/3rad)の場合の開口部を光源ユニット側から見た図である。なお、全開時の開口角を0度(0rad)とし、全閉時図の開口角度を90度(Π/2rad)としている。説明の都合上、遮光板が全開時の状態である、
図6(d)を
図8(d)として、また、
図7(d)を
図9(d)として再度図示している。
【0047】
図8(a)は遮光板501aが形状(I)の場合の開口部を光源ユニット側から見た図、
図8(b)は遮光板501bが形状(II)の場合の開口部を光源ユニット側から見た図、
図8(c)は遮光板501cが形状(III)の場合の開口部を光源ユニット側から見た図である。
図9(a)は、
図8(a)の場合の斜線で示すレンズセル領域401の投影光の分布を示す図、
図9(b)は、
図8(b)の場合の斜線で示すレンズセル領域401の投影光の分布を示す図、
図9(c)は、
図8(c)の場合の斜線で示すレンズセル領域401の投影光の分布を示す図である。
図9に示す濃淡は、
図7の場合と同様である。
【0048】
また、
図9(a)〜
図9(c)に示す枠イ〜ヲは、
図5のレンズセル領域401の各レンズセル領域イ〜ヲに対応する投影領域である。同様に、
図8(a)〜
図8(c)に示す枠も
図5のレンズセル領域401の各レンズセル領域イ〜ヲに対応する投影領域である。
【0049】
図10は、上記
図6〜
図9の(a)〜(c)による本発明の一実施例について、シミュレーションによって算出した遮光板の開口角度に対する照度変化を示す図である。
【0050】
横軸が開口角(度)を表し、縦軸が光量比(%)を表す。なお、遮光板が全開時を開口角0度とし、遮光板が全閉時に開口角を90度としている。
【0051】
図6〜
図10の実施例による結果、一般的に、光軸の中心(垂直軸402と水平軸403の交点)から離れた光が多いとコントラストが低下する。この欠点を抑制するため、
図6〜
図9に示すように、光軸の中心を通過する光量が多くなるような形状の遮光板の形状を採用し、さらに遮光ユニットの遮光板の回転する角度の増加若しくは減少に対して、ほぼ同じ光量の増加若しくは減少とすることができた。これによって、投射型画像表示装置の遮光ユニットの開閉による画像の劣化を低減した。
【0052】
即ち、
図6〜
図10の実施例のように、水平方向に1列のレンズセル領域で、かつ垂直(縦)方向のレンズセル領域イ、ニ、及びトの一部のように、垂直方向で複数のレンズセル領域を通過するような遮光板の形状として、コントラストの低下を抑制できた。
【0053】
さらに、
図6(b)、(c)、及び
図7(b)、(c)、並びに、
図8(b)、(c)
、及び
図9(b)、(c)の実施例のように、垂直方向のレンズセル領域イ、ニ、の他、水平(横)方向のレンズセル領域の一部(例えば、垂直方向に2領域、水平方向に2領域のレンズセル領域の一部)を通過するような遮光板の形状として、遮光板の回転角度の変化に対する照度変化(光量変化)の線形特性を改善した。即ち、
図10において、破線で示す楕円部分では、遮光板501aが形状Iの結果が示すように、遮光板の開口角が60度付近での線形性が劣る。しかし、実施例
図6〜
図9の(b)及び(c)のように、レンズセル領域ロの一部を開口するように遮光板を設けることで、
図10に示すように、線形性が向上した。
【0054】
これによって、コントラストの低下の抑制と共に、画像の劣化を改善できた。さらに、この効果は、垂直方向のレンズセル領域(イ、ニ、ト、等)を通過する光量を水平方向のレンズセル領域(イ、ロ、ハ、等)を通過する光量より多くすることで向上する。
【0055】
さらに、
図6〜
図9の(c)に示すように、形状IIIの遮光板501cでは、光軸中心近傍のレンズセル領域を4つ以上残し開口面積を大きくするようにした。この結果、画像の色ムラを改善することができた。
【0056】
なお、上記実施例では、光軸中心に一番近いレンズセル領域イについても、遮光板の開口部が斜めに横切るように設けていた。しかし、レンズセル領域イについては、
図11に示す投影光像となるようにして、必ずしも遮光しなくても良い。
図11は、
図6と
図7の遮光板501cの形状IIIの場合において、さらに、遮光板の開口部を広くして、レンズセル領域イを光が全て通過するように設けたものである。
【0057】
上述の実施例のように、本発明の実施例である投射型映像表示装置は、光源と、光源からの射出光を複数の光束に分割する複数のレンズセル領域を有する第1のレンズアレイと、第1のレンズアレイからの射出光束が透過する複数のレンズセル領域を有する第2のレンズアレイと、第2のレンズアレイからの射出光束を集光する集光レンズと、集光レンズが集光する光束を受光して透過または反射させる表示素子と、表示素子からの透過光または反射光を射出する投射レンズと、第1のレンズアレイから第2のレンズアレイへの光束を遮光する遮光ユニットを備えており、遮光ユニットは、第2のレンズアレイの複数の矩形レンズセル領域のうち、光軸に接するレンズセル領域を除いたすべてのレンズセル領域の少なくとも一部を遮光し、光軸に接するレンズセル領域における遮光面積は前記光軸に接するレンズセル領域を除いたいずれのレンズセル領域の遮光面積よりも小さいことを特徴とする。
【0058】
なお、上記実施例では、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイの大きさが同一であった。しかし、
図12に示すように、第2のレンズアレイの大きさが第1のレンズアレイより大きい形状でも良い。なお、
図12において、121は、必要に応じて設けられるレフレンズである。
【0059】
さらに、
図1の遮光ユニット501は、第1のレンズアレイ3と第2のレンズアレイ4の間に配置され、光束群を遮光板の回動により遮光するが、
図13(a)〜(d)に示すように、遮光ユニット501は、光軸上の任意の場所に設けても良い。例えば、
図13(a)に示すように、光源1と第1のレンズアレイ3の間でも良い。また、
図13(b)に示すように、第2のレンズアレイ4と偏光変換素子5の間でも良い。またさらに、
図13(c)に示すように、偏光変換素子5と集光レンズ6の間でも良い。またさらに、
図13(d)に示すように、集光レンズ6の後ろでも良い。
【0060】
従って、第1のレンズアレイ3と光源1の間に配置した場合は、第1のレンズアレイ3を通過する光がすでに遮光された後の光となる。光源1からみて第1のレンズアレイ3の下流(後ろ側)に遮光ユニット501が配置される場合は、第1のレンズアレイ3から出射される光が遮光されることになる。なお
図12は、集光レンズ6以降の光学要素の表記を省略した。
【0061】
また、本発明の実施例である投射型映像表示装置は、光源と、光源からの射出光を複数の光束に分割する複数のレンズセル領域を有する第1のレンズアレイと、第1のレンズアレイからの射出光束が透過する複数のレンズセル領域を有する第2のレンズアレイと、第2のレンズアレイからの射出光束を集光する集光レンズと、集光レンズが集光する光束を受光して透過または反射させる表示素子と、表示素子からの透過光または反射光を射出する投射レンズと、第1のレンズアレイから第2のレンズアレイへの光束を遮光する遮光ユニットを備えており、第2のレンズアレイは矩形レンズセル領域が第1の方向と前記第1の方向に垂直な第2の方向に複数配置されており、第2のレンズアレイは矩形レンズセル領域が第1の方向と前記第1の方向に垂直な第2の方向に複数配置され、遮光ユニットは、遮光板を有し、遮光板の回動または移動により、第2のレンズアレイの複数の矩形レンズセル領域領域を第1の方向に遮光し、遮光板が所定の回動位置または移動位置にある場合に、遮光ユニットは、第2のレンズアレイの光軸に接するレンズセル領域以外のレンズセル領域であって、光軸に接するレンズセル領域に対して第1の方向および第2の方向に配置される複数のレンズセル領域である第1のレンズセル領域群のうち、少なくとも一部のレンズセル領域を部分的に遮光し、第1のレンズセル領域群において、第2の方向に配置されるレンズセル領域における部分的に遮光するレンズセル領域の数が、第1の方向に配置されるレンズセル領域における部分的に遮光するレンズセル領域の数よりも多いことを特徴とする。
【0062】
好ましくは、上記投射型映像表示装置において、遮光ユニットの遮光板が所定の回動位置または移動位置にある場合に、第2のレンズアレイの光軸に接するレンズセル領域の遮光面積は、第1のレンズセル領域群の光軸に接していないいずれのレンズセル領域の遮光面積よりも小さいことを特徴とする。
【0063】
ここで、軸402に平行な方向が上記第1の方向であり、軸403に平行な方向が上記第2の方向である。また、上記光軸に接するレンズセル領域とは、
図5における第2のレンズアレイ4のレンズセル領域イ〜ヲのうち、光軸(軸402及び軸403の交点)と接する領域イを意味する。よって、上記第1のレンズセル領域群とは、レンズセル領域イに対して第1の方向および第2の方向に配置されるレンズセル領域ロ、ハ、ニ、ト、ヌを意味する。
【0064】
そして、
図6〜
図9の実施例に示す全閉時のような、遮光板が所定の回動位置、移動位置にある場合に、第1のレンズセル領域群において、第2の方向に配置されるレンズセル領域ロ、及びハにおける部分的に遮光(部分的に透過)するレンズセル領域の数(若しくは、それを通過する光量の合計)が、第1の方向に配置されるレンズセル領域ニ、ト、及びヌにおける部分的に遮光(部分的に透過)するレンズセル領域の数(若しくは、それを通過する光量の合計)よりも多くなるように遮光板の形状を設定する。これにより、高コントラスト化と画面色ムラ低減と回動時の照度変化の線形性を好適に実現することが可能となる。
【0065】
また、上記投射型映像表示装置において、遮光ユニットの遮光板が所定の回動位置または移動位置にある場合に、第2のレンズアレイの上記光軸に接するレンズセル領域イの遮光面積を、該レンズセル領域の50%以下とし、上記第1のレンズセル領域群ロ、ハ、ト、ニ、ヌのすべてのレンズセル領域の遮光面積を各レンズセル領域の50%以上とするように設定する。これにより、画面色ムラ低減と回動時の照度変化の線形性を好適に実現しながら、さらに高コントラスト化を図ることが可能となる。
【0066】
また好ましくは、上記投射型映像表示装置において、遮光ユニットの遮光板が所定の回動位置または移動位置にある場合に、第2のレンズアレイの複数の矩形レンズセル領域のうち、光軸に接するレンズセル領域イと上記第1のレンズセル領域群ロ、ハ、ト、ニ、ヌを除いたレンズセル領域ホ、へ、チ、リ、ル、ヲのいずれの遮光面積も、光軸に接するレンズセル領域の遮光面積よりも大きいことを特徴とする。これにより、画面色ムラ低減と回動時の照度変化の線形性を好適に実現しながら、さらに高コントラスト化を図ることが可能となる。
【0067】
またさらに、本発明の実施例である投射型映像表示装置の上記第2のレンズアレイは、例えば
図5において、軸403の上下のレンズセルの数がJ(
図5の例ではJ=4)、軸402の左右のレンズセルの数がK(
図5の例ではK=3)としたマトリクス状に配置され(J、Kは1以上の整数)、また、レンズセルそれぞれは、軸403と平行な方向に長い矩形を有するように遮光板の形状を設定する。
【0068】
即ち、本発明の実施例である投射型映像表示装置は、光源と、光源からの射出光を透過する複数のレンズセル領域を有する第1のレンズアレイと、第1のレンズアレイからの射出光束が透過する複数のレンズセル領域を有する第2のレンズアレイと、第2のレンズアレイからの射出光束を受光して透過または反射させる表示素子と、表示素子からの透過光または反射光を射出する投射レンズと、第2のレンズアレイへの光束を遮光する可変開口絞りユニットを備え、第2のレンズアレイは複数の矩形レンズセル領域が、光軸を中心とした上下2J×左右2K列のマトリックス状に配置されており、可変開口絞りユニットは、遮光板を有し、遮光板の回動または移動により、第2のレンズアレイは複数の矩形レンズセル領域の遮光範囲を左右方向に可変し、遮光板が所定の回動位置または移動位置にある場合に、可変開口絞りユニットは、光軸に接する4つのレンズセル領域(
図5のレンズセル領域イを含む)に上下方向に配置される第1のレンズセル領域群(
図5のレンズセル領域ニ、ト、ヌを含む)と光軸に接する4つのレンズセル領域に左右方向に配置されるレンズ第2のレンズセル領域群(
図5のレンズセル領域ロ、ハを含む)とのうち、少なくとも一部のレンズセル領域を部分的に開口し、第1のレンズセル領域群において部分的に開口するレンズセル領域の数が、第2のレンズセル領域群において部分的に開口するレンズセル領域の数がよりも多いことを特徴とする。これにより、高コントラスト化と画面色ムラ低減と回動時の照度変化の線形性を好適に実現することが可能となる。
【0069】
好ましくは、上記投射型映像表示装置において、可変開口絞りユニットの遮光板が所定の回動位置または移動位置にある場合に、可変開口絞りユニットは、上記光軸に接する4つのレンズセル領域(
図5の例ではレンズセル領域イについて、垂直軸402、及び水平軸403に線対称に位置する都合4つのレンズセル領域)と、4つのレンズセル領域に上下方向にそれぞれL個分、隣に配置される4L個(Lは1以上の整数、
図5の例ではL=3)のレンズセル領域(
図5の例ではレンズセル領域ニ、ト、ヌについて、垂直軸402、及び水平軸403に線対称に位置する都合12個のレンズセル領域)と、4つのレンズセル領域に左右方向にそれぞれM列分配置される4M個(Mは1以上の整数、
図5の例ではM=1)のレンズセル領域(
図5の例ではレンズセル領域ロ、ハについて、垂直軸402、及び水平軸403に線対称に位置する都合8個のレンズセル領域)とについて部分的に開口し、前記第2のレンズアレイのその他のレンズセル領域については遮光し、前記Lを前記Mより大きくするように遮光板の形状を設定する。
【0070】
このことを言い換えると、前記第2のレンズアレイの少なくとも一部のレンズセル領域を部分的に開口させるにおいて、光軸に接する(若しくは光軸を取り囲む)4つのレンズセル領域に対して遮光板の回動方向もしくは移動方向に垂直な上下(垂直軸402)方向に並ぶレンズセル領域のセル数4Lの値を、前記光軸に接する4つのレンズセル領域に対して遮光板の回動方向もしくは移動方向と平行な左右(水平軸403)方向に並ぶレンズセル領域のセル数4Mの値よりも大きくするものである。
【0071】
このように、前記Lを大きくすることにより、画面色ムラの低減が見込まれ、前記Mを大きくすることにより、回動時の照度変化の線形性の向上が見込まれ、前記Lを前記Mより大きくしながら全体としては開口面積を小さくすることにより、高コントラスト化が見込まれる。これにより、高コントラスト化と画面色ムラ低減と回動時の照度変化の線形性を好適に実現することが可能となる。
【0072】
また、より好ましくは、上記投射型映像表示装置において、可変開口絞りユニットの遮光板が所定の回動位置または移動位置にある場合に、光軸に接する4つのレンズセル領域のそれぞれのセルの開口面積は、2L個のレンズセル領域および2M個のレンズセル領域のいずれのレンズセル領域における開口面積よりも大きくするように遮光板の形状を設定する。これにより、画面色ムラ低減と回動時の照度変化の線形性を好適に実現しながら、さらに高コントラスト化を図ることが可能となる。
【0073】
より好ましくは、上記投射型映像表示装置において、遮光ユニットの遮光板が前記所定の回動位置または移動位置にある場合に、光軸に接する4つのレンズセル領域のそれぞれの開口面積は、レンズセル領域の50%以上であって、第1のレンズセル領域群のすべてのレンズセル領域のそれぞれの開口面積は該レンズセル領域の50%以下であるように遮光板の形状を設定する。これにより、画面色ムラ低減と回動時の照度変化の線形性を好適に実現しながら、さらに高コントラスト化を図ることが可能となる。
【0074】
なお、上記投射型映像表示装置において、例えば、Lは2であって、例えば、Mは1である。
【0075】
なお、本発明を適用する投射型映像表示装置は、3板透過型、単板透過型、3板反射型、単板反射型のいずれであっても良い。
【0076】
また、上記実施例では、例えば
図1においては、光源ユニットから出射され、第1のレンズアレイ3、遮光ユニット501、第2のレンズアレイ4、偏光変換素子5.及び集光レンズ6を通った光は、反射ミラー7に入射し、90度向きを変えて後段のダイクロイックミラー11に入射している。しかし、
図14の実施例のように、集光レンズ6からの出射光の光軸がダイクロイックミラー11の光軸と平行になるように設けることによって、反射ミラーを省略しても良く、部品点数の削減ができる。
【0077】
また、本発明は、以上の例に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、その他様々の構成をとりうることは勿論のことである。