(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
時計ムーブメント(100)の出力(10)の一定周波数歯車駆動装置のための歯車列(2)を備える、少なくとも第1の天体の1日及び位相を表示するための機構(1)であって、
前記機構(1)は、第1の可動構成部材(5)で表される前記第1の天体の1日及び位相の3次元表示のための手段(3)を含み、
前記手段(3)は前記歯車列(2)で駆動され、
前記歯車列(2)は位相用歯車列(10)及び1日用歯車列(20)を含み、
前記位相用歯車列(10)及び前記1日用歯車列(20)はそれぞれ同一の前記ムーブメント(100)からの出力と噛み合い、
前記位相用歯車列(10)及び前記1日用歯車列(20)はそれぞれ、その入力と出力との間に少なくとも1つの連結解除手段を含み、
前記1日用歯車列(20)の前記連結解除手段は、前記ムーブメント(100)からの入力歯車列に動力学的に接続された1日用車(23)と、前記位相用歯車列(10)によって駆動され、前記第1の可動構成部材(5)を回転させるように配設された、雄型鋸歯(24)を有するホイールとの間に配設されるジャンパばね(25)を含む
ことを特徴とする、機構(1)。
時計ムーブメント(100)の出力(10)の一定周波数歯車駆動装置のための歯車列(2)を備える、少なくとも第1の天体の1日及び位相を表示するための機構(1)であって、
前記機構(1)は、第1の可動構成部材(5)で表される前記第1の天体の1日及び位相の3次元表示のための手段(3)を含み、
前記手段(3)は前記歯車列(2)で駆動され、
前記歯車列(2)は位相用歯車列(10)及び1日用歯車列(20)を含み、
前記位相用歯車列(10)及び前記1日用歯車列(20)はそれぞれ同一の前記ムーブメント(100)からの出力と噛み合い、
前記位相用歯車列(10)及び前記1日用歯車列(20)はそれぞれ、その入力と出力との間に少なくとも1つの連結解除手段を含み、
前記位相用歯車列(10)の前記連結解除手段は、前記ムーブメント(100)からの前記入力歯車列に動力学的に接続された中間ホイール(13)によって駆動されるように配設された渦巻き状部材(15)の周縁部(15A)に設けられたカム(16)と、レバー(19)の第1のアーム(19A)とを備え、
前記第1のアーム(19A)は、弾性復元手段によって前記カム(16)に向かって押され、
前記カム(16)のスロープ(16A)上での前記第1のアーム(19A)のジャンプによって、前記レバー(19)の回転及び第2のアーム(19B)の運動が起こり、
前記第2のアーム(19B)は前記レバー(19)に含まれており、前記1日用歯車列(20)と協働して前記ジャンプ時に前記歯車列を1段階前進させるように設けられたクリック(19C)を有する
ことを特徴とする、機構(1)。
前記渦巻き状部材(15)は、雌型鋸歯を有する鋸歯部(14)を備える前記中間ホイール(13)によって常に駆動されず、前記中間ホイール(13)と一体となって前記渦巻き状部材(15)を回動させるために設けられたクリック(17)を備え、
前記レバー(19)の前記第1のアーム(19A)の、前記カム(16)の前記スロープ(16A)上での前記ジャンプにより、前記クリック(17)は前記雌型鋸歯部(14)から解放され、その後次の歯と再び係合する
ことを特徴とする、請求項2に記載の機構(1)。
前記第1の位相用アーバ(4)は、前記第1の1日用アーバ(6)、又は前記第1の1日用アーバ(6)が駆動する位相用可動構成部材(7)に支持されていることを特徴とする、請求項5に記載の機構(1)。
天体を表す少なくとも1つの可動構成部材(5;50)及び/又は前記可動構成部材(5;50)を覆う半分が透明な中空球体(51)を駆動するための、昼夜駆動機構(47)及び/又はGMT機構(46)を含むことを特徴とする、請求項14に記載のムーブメント(100)。
【背景技術】
【0005】
天文腕時計は、腕時計の中でもその複雑さによってユーザから評価されている。特定の天体の回転、特に月の回転の表示について、その精度はしばしば近似的であり、これは、ムーブメント内で使用できる容積が小さく、この容積は一般に、月の1日及び1か月の長さの正確な推定を保証するために必要となる多数の歯車を格納することができないためである。
【0006】
更に、天体の位相の視認は場合によっては非実際的である。殆どの時計のディスプレイは天体の1日の表示を行わなくなっている。
【0007】
Richardによる特許文献1は、腕時計の駆動機構によって回転が維持される第1の円形プレートを有するムーンディスプレイを開示しており、球体は月を表し、この球体を、この円形支持体を用いて、腕時計の文字盤に配設された開口に沿って移動させることができる。駆動機構は、円形支持体を、月の出と月の入りの間の、空における月の見かけ上の運動の速度に合わせた速度で、開口に対して回転駆動する手段を含む。この機構は第2のプレートを第1のプレートと同じ速度で回転駆動し、第2のプレートは、腕時計の文字盤と平行な軸の周りで球体を回転させるピニオンを駆動する。
【0008】
GLASERによる非特許文献1は、回転球体又は回転ディスクを用いた月の位相の表示を開示している。差動要素は適切な速度で、そのアーバ上で回転する球体を駆動し、またこの軸を文字盤に対して駆動する。
【0009】
DIDIKによる特許文献2は、球体で表される太陽系の惑星を駆動する複雑な歯車列、傾斜した軸に設置された地球の周りを回転する月を有する、惑星表示腕時計を開示し、ここで傾斜した地球の軸の駆動、軸の周りでの地球の駆動、及び地球の周りでの月の駆動は、ムーブメントの軸である筒かなと噛み合う同数のプーリによって実施される。
【0010】
GHIRIMOLDIによる特許文献3は、立体で表されるプラネタリウム時計機構を開示している。
【0011】
Burkeによる特許文献4は、いくつかの天体が他の天体に対してモータ駆動される天文置時計を開示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は天文時計、特に天文腕時計に関し、より詳細には、地球、月、又はその他の天体である少なくとも第1の天体の状態を表示するための表示機構に関する。
【0028】
より詳細には、本発明は天体の1日及び位相の3次元表示に関する。天体の「位相」は、太陽を除く太陽に照らされる天体を地球から見た場合の連続的な配向である。太陽系の様々な惑星及びそれらの衛星を共にグループ化する「プラネタリウム」タイプの時計又は天文置時計の場合、これら様々な惑星及び衛星の位相は、地球からではなく、地球から離れた太陽系内の地点から見たものである。本説明では概して、用語「天体」は太陽を除く惑星及び衛星を指すものとする。
【0029】
本発明は、時計ムーブメント100(
図8参照)の出力の一定周波数歯車駆動装置のための歯車列2を備える。少なくとも第1の天体の1日及び位相を表示する機構1に関する。
【0030】
ここでは天体の「1日」とは、天体が回転して、地球上の定位置の観察者に対して同一の視認位置に戻るまでの期間を意味する。
【0031】
天体の「1か月」とは、会合周期、即ち天体と太陽の2つの連続する会合位置を隔てる時間、つまり上記天体と太陽が地球上の定位置の観察者に対して同一の天測経度となる2つの連続する瞬間を隔てる時間の平均値を意味する。
【0032】
地球に関しては、1日及び1か月は通常理解されている通りの意味であり:24時間日は、(太陽の恒星日は約23時間56分であり、真太陽日と恒星日との差は3分36秒〜4分26秒で変化するという知見に鑑みて)1955年の国際会議で定義された平均太陽日である。
【0033】
慣例的に、第1の天体の表示に関する機構の構成要素を「第1」、第2の天体に関する構成要素を「第2」のように呼ぶ。
【0034】
本発明によると、この表示機構1は第1の可動構成部材5で表される第1の天体の1日及び位相の3次元表示のための手段3を含み、これは歯車列2で駆動する。
【0035】
図示した好ましい実施形態では、この3次元表示手段3は第1の位相用アーバ4を含み、これは歯車列2によって直接的又は間接的に回転駆動する。
【0036】
この第1の位相用アーバ4は、第1の可動構成部材5、具体的には第1の球体5を支持し、この第1の球体5は第1の天体を模したものであり、第1の天体の1か月の長さを周期として1回転する。
【0037】
これ以降「球体」とは、天体5又は50を表す可動構成部材を意味し、これは可動構成部材の実際の形状によらない。
【0038】
機構1は第1の1日用アーバ6を含み、これは歯車列2によって直接的又は間接的に回転駆動する。第1の可動構成部材5即ち球体5は、第1の天体の1日の長さを周期として、この第1の1日用アーバ6の周りで軌道上を1回転する。
【0039】
有利には、歯車列2は位相用歯車列10及び1日用歯車列20を含み、これらはそれぞれ同一のムーブメント100の出力、例えば筒かな又は筒車と噛み合う。位相用歯車列10及び1日用歯車列20は、同一のムーブメントの異なる出力で駆動してもよく、又は一方が他方によって駆動してもよく、若しくは互いに他方を駆動してもよい。
【0040】
図1〜6は機構1の第1の変形例を示し、ここで第1の1日用アーバ6は、ムーブメント100の出力から1日用歯車列20によって直接的又は間接的に回転駆動する。軸D4の周りで回転する第1の位相用アーバ4は、ムーブメント100の出力から位相用歯車列10によって直接的又は間接的に回転駆動する。
【0041】
有利には、位相用歯車列10及び/又は1日用歯車列20は、その入力と出力との間に少なくとも1つの連結解除手段を含む。好ましくは、位相用歯車列10及び1日用歯車列20はそれぞれ、その入力と出力との間に少なくとも1つの連結解除手段を含む。
【0042】
特定の好ましい実施形態では、第1の位相用アーバ4は、第1の1日用アーバ6又は上記第1の1日用アーバ6が駆動する位相用可動構成部材7に支持されている。
【0043】
1日用歯車列20は入力ホイール21を含み、これはムーブメントの筒車と噛み合うか、又はこれを24時間に1回転させる中間ホイールと噛み合い、平均太陽日の長さに対応する。必要であれば、入力ホイール21は中間ホイール22と噛み合い、これは、所望の歯車の減速に応じて、第1の天体の1日用ホイール23と係合するか、又は入力ホイール21は上記第1の天体の1日用ホイール23と直接噛み合い、上記1日用ホイール23は第1の天体の1日の間に1回転する。第1の天体の1日用ホイール23は、軸D6の周りで回転するように、雄型鋸歯24を有するホイールと同軸に設置されている。前記ホイール23、24はジャンパばね25で互いに接続され、鋸歯部24への動作によってこの機構の連結を解除することができ、これらの相対的な角度位置を修正することができる。従って、1日用歯車列20の連結解除手段は、ムーブメント100からの入力歯車列に動力学的に接続された1日用ホイール23と、位相用歯車列10によって駆動されるように配設され、第1の可動構成部材5を回転させる雄型鋸歯24を有するホイールとの間に配設されるジャンパばね25を含む。
【0044】
鋸歯24を有するホイールは第1の1日用アーバ6を備え、これは冠歯車26を含む。
【0045】
この冠歯車26は、第1の位相用アーバ4と一体のピニオン27と噛み合う。
【0046】
位相用歯車列10は入力ピニオン11を含み、これはムーブメントの筒かなと噛み合うか、又はこれを1時間に1回転させる中間ホイールと噛み合う。必要であれば、入力ピニオン11は
図7に示すように中間ホイール12と噛み合うか、所望の歯車の減速に対応させて、中間ホイール13と噛合して、所定の期間に1回転するか、又は
図1に示すように、上記中間ホイール13と直接噛み合う。
【0047】
この中間ホイール13は、一連の内側鋸歯14を備えている。
【0048】
渦巻き状部材15は、中間ホイール13と同軸で軸D1の周りで回転し、その周縁部15Aはカム16を形成し、このカム16は、くちばし部16Bの範囲を定めるスロープ16Aを有し、またピボット17A上で回動し内側鋸歯14と協働する単一の歯を有するクリック17を有する。
【0049】
具体的にはルビーである滑動子18は、渦巻き状部材15の周縁部15Aに接触し、レバー19に支持され、このレバー19はムーブメント100の地板に対して軸D9の周りで回動可能に設けられ、滑動子18を支持するレバー19の第1のアーム19Aは、ばね(図示せず)によって渦巻き状部材15の方向に押されている。
【0050】
中間ホイール13が1回転する度に、滑動子18はくちばし部16B及びスロープ16Aにわたって渦巻き状部材15の最高点から最低点へと通過して、クリック17を解放し、続いてこのクリック17の先端が雌型鋸歯部14の次の歯に係止される。
【0051】
従って、位相用歯車列10の連結解除手段は、ムーブメント100からの入力歯車列に動力学的に接続された中間ホイール13によって駆動されるよう配設された渦巻き状部材15の周縁部15Aに設けられたカム16と、レバー19の第1のアーム19Aとを備え、上記第1のアーム19Aは弾性復元手段によって上記カム16に向かって押し、カムのスロープ16A上での上記第1のアーム19Aのジャンプによって、レバー19の回転及び第2のアーム19Bの運動が起こり、この第2のアーム19Bはレバー19に含まれており、1日用歯車列20の鋸歯ホイール24と協働して上記ジャンプ時に上記歯車列を1段階前進させるよう配設されたクリック19Cを有する。
【0052】
この第1の変形例では、渦巻き状部材15は、雌型鋸歯部14を備える中間ホイール13によって常に駆動されるわけではなく、渦巻き状部材15は、中間ホイール13と一体として渦巻き状部材15を回転させるクリック17を備え、レバー19の第1のアーム19Aの、カム16のスロープ16A上でのジャンプにより、クリック17は雌型鋸歯部14から解放され、その後次の歯と所定の位置で再び係合する。
【0053】
後方への運動を伴うこの連結解除により、位相用歯車列を連結解除することができ、位相用歯車列の連結を解除することによって生まれる期間を適宜適合させることができる。
【0054】
鋸歯部14の間隔は、鋸歯部の歯の数に応じた特定の基本所要時間に対応する。従って、次の回転の間に起こるジャンプまでの時間の長さは、中間ホイール13の周期とこの基本所要時間との差に等しい。
【0055】
上記ジャンプの時、第1のアーム19Aが落ちることによりレバー19が回動し、レバー19の第2のアーム19Bはクリック19Cを備えており、これが1日用歯車列20の鋸歯ホイール24と協働する。
【0056】
以下の説明は、
図1〜6に示すこの第1の変形例の第1の好ましい応用形態、より詳細には月の1日及び位相の表示に関する。
【0057】
ムーブメント100は、入力ホイール21及び入力ピニオン11を直接的に又は間接的に、特に筒かなを介して駆動し、これら入力ホイール21及び入力ピニオン11は図示した場合では同軸であるが、同様に異なる配置を有することもでき、空間利用という観点からは図示した配置が最も好ましい。
【0058】
入力ホイール21は57個の歯を有し、24時間に1回転する。入力ピニオン11は12個の歯を有する。
【0059】
月の1か月を決定するために、1日用歯車列20で形成される歯車列の第1の部分は2つのホイールを有する。
【0060】
入力ホイール21は中間ホイール22と噛み合い、これもまた57個の歯を有し、24時間に1回転する。
【0061】
中間ホイール22は、59個の歯を有する月の1日用ホイール23と噛み合い、従ってこれは24時間50分31.58秒で1回転する。
【0062】
月の位相を決定するために、位相用歯車列10で形成される歯車列の第2の部分は、極めて限定された数の構成部材から形成される。
【0063】
歯車列の入力において、12個の歯を持つ入力ピニオン11は6時間ホイールと呼ばれる中間ホイール13と噛み合い、6時間ホイール13は72個の歯を有し、6時間に1回転する。
【0064】
この6時間ホイール13は、64個の歯を有する内側鋸歯部14を有する。
【0065】
渦巻き状部材15は6時間ホイール13と同軸で回転し、スロープ16Aを含むカム16、及び内側鋸歯部14と協働する単一の歯を有するクリック17を備える。
【0066】
具体的にはルビーである滑動子18は、渦巻き状部材15の周縁部15Aに接触し、レバー19に支持され、このレバー19はムーブメントの地板に対して軸D9の周りで回動可能に設置され、滑動子18を支持するレバー19の第1のアーム19Aは、ばね(図示せず)によって渦巻き状部材15の方向に押される。
【0067】
中間ホイール13が1回転する度に、滑動子18はスロープ16Aにわたって渦巻き状部材16の最高点から最低点へと通過して、クリック17を解放し、続いてこのクリック17の先端が雌型鋸歯部14の次の歯に係止される。
【0068】
鋸歯部14の鋸歯の間隔0.20000mmは、基本所要時間5分37.5秒に対応する。従って、次の回転の間に起こるジャンプまでの時間の長さは、6時間からこの基本所要時間を引いた時間、即ち5時間54分22.5秒であり、つまり21262.5秒である。
【0069】
鋸歯の間隔を0.1999999mmとすると、基本所要時間は5分37.98秒となる。従って、次の回転の間に起こるジャンプまでの時間の長さは、6時間からこの基本所要時間を引いた時間、即ち5時間54分22.0秒であり、つまり21262.0秒である。
【0070】
前記ジャンプの時、第1のアーム19Aが落ちることによりレバー19が回動し、レバー19の第2のアーム19Bはクリック19Cを備え、140個の歯を有する鋸歯ホイール24と協働する。
【0071】
この鋸歯ホイール24はジャンパばね25を介して、12個の歯を有する冠歯車26を備える1日用アーバ6の軸D6の周りで一体となって回転する。この冠歯車は、位相用アーバ4と一体である、14個の歯を有するピニオン27と噛み合い、これは軸D6と垂直な軸D4上で回転する。その結果、鋸歯ホイール24の歯1個分の運動は、位相用アーバ4上での360°/140×14/12=3°の回転に変換される。
【0072】
月の1か月に対応するアーバ4の1回転は、カム16上での2回のジャンプの間の時間の長さの360/3=120倍:
120×21262.0=2551440秒、即ち地球の29.5305833日
で完了する。
【0073】
精度は当然、鋸歯部14の鋸歯の精度に左右される。
【0074】
この値は月の1か月の極めて良好な近似値である。実際、月の1か月の長さは、1年のうちの1か月毎、及び1年毎に大きく変動し、その変化量は、連続する2か月に関して1か月あたり1時間又は2時間から1か月あたり最大6時間まで、大きいばらつきがある。通常の及び任意の1朔望月の値29.530589日は平均値であり、約1%の極めて大きな幅の不確実性によって損なわれる。従って、本発明が確立する値は極めて優れたものである。
【0075】
好ましくは、天体の運行は神秘的であり、従って第1の位相用アーバ4をサファイア又は同様の特徴を有する材料で作製する。1mmの直径を有するこのタイプのサファイア製アーバは、チタン又はこれ以下の密度の合金で作製された、天体を表す直径5mmの球体5と組み合わされ、5000gの加速に容易に耐えることができる。
【0076】
本応用例では、ここでは月である天体を表す球体5は、その2つの半球上に異なる表示5A、5Bを備える。
【0077】
図6に示すように、第1の1日用アーバ6はその軸D6の周りで回転し、それに伴って、天体を表す球体5を支持するアーバ4を回転させる。したがってこのアーバ4は軸D6の周りでの回転運動を起こし、その間、天体を表す球体5は軸D4の周りで回転する。球体5の軌跡は部分的に、曇りガラス等で作製された暗色スクリーン8の後側にあり、このスクリーン8は、第1の1日用アーバ6の軸D6上に水平線9を画定する。スクリーン8の陰の部分の後側を第1の可動構成部材5が通過する状態は、天体の位置が地球の後側となる状態を模しており、上記の瞬間には第1の可動構成部材5はユーザから見えないものの、ユーザは天体の位相の状態を見ることができる。これが、スクリーン8を暗色とし、不透明にはしていない理由である。
【0078】
図7は本発明の第2の変形例を示し、これは第1の変形例と同一の1日用歯車列20を含む。位相用歯車列10は簡略化され、雌型鋸歯部14は省略されている。位相用歯車列10の連結解除手段は第1の変形例と同一であるが、渦巻き状部材15は中間ホイール13と一体となって回転する。
【0079】
入力ピニオン11はムーブメントの筒かなと噛み合うか、又はこれを1時間に1回転させる中間ホイールと噛み合う。12個の歯を有するピニオン11は、72個の歯を有する中間ホイール12と噛み合う。この中間ホイール12は、64個の歯を有する位相用ホイール12Aと連結されており、この位相用ホイール12Aは63個の歯を有する中間ホイール13と噛合する。
【0080】
渦巻き状部材15は中間ホイール13と同軸で軸D1の周りで回転し、その周縁部15Aは
図1〜6の第1の変形例と同様に、カム16を形成する。
【0081】
中間ホイール13が1回転する度に、滑動子18はくちばし部16B及びスロープ16Aにわたって渦巻き状部材15の最高点から最低点へと通過して、レバー19を回動させ、クリック19Cを1日用歯車列20の鋸歯ホイール24に対して作用させる。
【0082】
この第2の変形例は、第1の変形例より構成部材の数が少なく、組付けが簡略化されているため、より経済的に製造できる。しかしながら、歯部の組み合わせにより、月の1か月あたり僅か57秒の誤差しか発生しない。この誤差は公知の機構より少ない。
【0083】
本発明は、様々な天体の状態を表示するために適しており、特にこれら天体を組み合わせるのに適している。
【0084】
ある変形例では、第1の1日用アーバ6は、中心軸D0の周りに円形又は楕円形の軌跡を描く1日用可動構成部材41上に設置される。アーバ上の、ばね又は同様の要素で楕円形カムに対して押し戻される摺動アセンブリに可動構成部材41を配設することにより、楕円形の軌跡を得ることができる。1日用可動構成部材41はまた、軌道上で円形又は楕円形の内側鋸歯部44と協働し、この軌跡は、
図10に示すように、1日用可動構成部材41がこれと連携する外側鋸歯部43を介して表示するものであり、この外側鋸歯部43は有利には透明であり、サファイア又は同様の材料で作製されており、この内側鋸歯部44内を転がる。
【0085】
上述の変形例を複雑化したものにおいて、1日用可動構成部材41は少なくとも1つの第2の球体50を備え、これは第2の天体を模したものであり、その角度位置は手動調整手段45又はムーブメント100が備えるGMTタイムゾーン調整歯車列46によって調整できる。
【0086】
例えば、
図10は月と地球の相対運動と、軸D0の周りの簡略化した円において地球の公転軌道とを示す。
【0087】
特定の変形例では、ここでは地球である第2の天体の第2の球体50(なお、球体5は月を示す)は、第3の球体51で囲まれており、その一方の半球は透明で、昼夜駆動可動構成部材47で駆動し、第2の天体の1日の長さを周期として1回転する。しかしながら、歯車列2で直接的又は間接的に回転させられる1日用可動構成部材41は、第2の天体の1日の長さの約数若しくは倍数、又は第2の天体の1年の長さを周期として偏心回転する。
【0088】
好ましくは、本発明による機構1は、月である第1の天体の1日及び位相を表示する。
【0089】
ある変形例では、第2の天体は地球であり、機構1は、地球のある経度の地点の昼夜遷移、及びその経度の地点の局所的時刻又は太陽の周りの軌道上における地球の年間位置を表示する。
【0090】
本発明の特定の変形例では、第1の天体を表す天体5は球体ドーム51に取り囲まれ、この球体ドーム51は一方の半球が透明であり他方の半球が暗色であり、これによって、昼部分と夜部分を有する中空球体を形成する。この中空球体は回転駆動する。この中空球体内での天体の位置は、
図13に示すようなGMT機構によって、又は中間GMT駆動ホイールが摩擦係合された制御ステム45を手動操作することによって、調整することができる。
図11〜13は有利なタイプのアセンブリを示し、天体を表す可動構成部材5又は50が、軸Aを有する円筒形スリーブ70に回転可能に設置され、このスリーブ70はこの軸Aの周りで回転駆動することができる。組立てを容易にするため、スリーブ70を2つの部分から形成することができる。同様に、天体を表す球体部分5又は50は、2つの部分からなる中空球体に取り囲まれた状態で示され、ここで2つの半球は、軸Aに平行又は垂直な平面で昼/夜に区別することができる。
【0091】
本発明は同様に、地球、月、又はいずれの天体を周期軌道と共に表すのに適している。
【0092】
地球を表す特定の変形例では、世界中のいずれのエリアからのユーザに対しても、そのユーザの国が視認できるように地球を表示するために、機構1は、ステム45又は(時計がこれを備えている場合は)GMT機構46を介して地球を表す球体50を調整する手段を含み、これは、メインディスプレイを変化させないまま維持しながら、ユーザの関心の対象であるGMTタイムゾーンにおける昼夜の遷移を表示できるという利点を有する。
【0093】
本発明を用いて、宇宙地理学的表示付き又は天文表示付き又は地球−月表示付き腕時計を製造することができる。
【0094】
例えば、
図10の例ではボリビアを中心とする第2のGMTタイムゾーンにおいて、移動式の地球−月ユニットは12又は24時間で大きな円を1周し、その角度位置によって局所的時刻を提供する。ここではボリビアが午前2時であり、この時点ではまだ、夜を表す最も暗いセクタ内にある。
【0095】
上述のように、移動式の地球−月ユニット内では、月は地球の周りを月の1か月で1周し、その位相を表示する。
【0096】
特定の変形例では、地球の自転軸は、12時−6時を結ぶ軸に平行であり、月の自転軸も同様である。
【0097】
複雑化した変形例では、地球の軌道を表す円を楕円形の軌跡に置き換える。両方の場合において、この表示は有利には、様々な変形例において、春分秋分及び夏至冬至、並びに/又は星座、並びに/又はこれに関連するアジア諸国における幸運のシンボルに関連する表示信号を組み込むことができる。
【0098】
更に別の変形例は、GMTタイムゾーンに応じた潮汐率の表示を備える。
【0099】
本発明はまた、少なくとも1つのこのような表示機構1を駆動するための駆動手段を含むムーブメント100にも関する。有利には、このムーブメント100は、天体を表す少なくとも1つの可動構成部材50及び/又はこのタイプの可動構成部材5、50を覆う半分が透明な中空球体51を駆動するための昼夜駆動機構47及び/又はGMT機構46等の、表示機構の特定の機能を駆動する。
【0100】
本発明はまた、少なくとも1つのムーブメント100及び/又は少なくとも1つのこのタイプの機構1を含む天文時計、特に天文腕時計にも関する。