(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定間隔で配置された複数のノードと、互いに隣接する前記ノード間を接続する複数のリンクとを含み、互いに隣接する前記リンク同士の勾配差が所定値以下であり、かつ互いに隣接する前記リンク同士の方位差が所定値以下であり、かつ互いに隣接する前記リンクの間に交差点が存在しない特定区間を含む経路情報を有し、複数の前記特定区間を有する鉱山の経路と、
前記鉱山の経路を走行可能な鉱山機械に搭載され、前記鉱山機械の位置情報を検出する位置情報検出装置と、
前記鉱山機械に搭載され、前記鉱山機械の稼働情報を検出する稼働情報検出装置と、
前記位置情報及び前記稼働情報に基づいて、前記複数の特定区間のそれぞれにおける前記鉱山機械の単位時間当たりの燃料消費量及び単位時間当たりの積荷運搬量を含む前記鉱山機械の生産効率に関する指標を前記複数の特定区間のそれぞれに対応付けて出力する出力装置と、を備え、
前記出力装置は、前記指標の単位時間当たりの燃料消費量及び単位時間当たりの積荷運搬量の一方を縦軸とし、他方を横軸とし、前記複数の特定区間の前記指標の平均値を原点とする2次元のグラフを出力し、
前記2次元のグラフには、評価基準となる単位燃料消費量当たりの積荷運搬量を示すラインと、前記複数の特定区間のそれぞれにおける前記指標を示すポイントと、を出力する
鉱山機械の管理システム。
鉱山の経路を走行可能な鉱山機械に搭載され前記鉱山機械の位置情報を検出する位置情報検出装置と、前記鉱山機械に搭載され前記鉱山機械の稼働情報を検出する稼働情報検出装置と、コンピュータを含む処理装置と、前記処理装置と接続される出力装置と、を含む鉱山機械の管理システムの管理方法であって、
前記鉱山の経路を走行可能な鉱山機械の前記経路における位置情報を前記位置情報検出装置で検出し、
前記鉱山機械の稼働情報を前記稼働情報検出装置で検出し、
前記鉱山の経路は、所定間隔で配置された複数のノードと、互いに隣接する前記ノード間を接続する複数のリンクとを含み、前記鉱山機械が実走行して取得した前記位置情報及び前記稼働情報に基づいて、互いに隣接する前記リンク同士の勾配差、互いに隣接する前記リンク同士の方位差、及び交差点の有無が前記処理装置で判定され、互いに隣接する前記リンク同士の勾配差が所定値以下であり、かつ互いに隣接する前記リンク同士の方位差が所定値以下であり、かつ互いに隣接する前記リンクの間に交差点が存在しないと前記処理装置で判定された区間である特定区間を含む経路情報を有し、複数の前記特定区間を有し、
前記処理装置は、前記位置情報及び前記稼働情報に基づいて求めた、前記複数の特定区間のそれぞれにおける前記鉱山機械の単位時間当たりの燃料消費量及び単位時間当たりの積荷運搬量を含む前記鉱山機械の生産効率に関する指標を前記複数の特定区間のそれぞれに対応付けて前記出力装置に出力し、
前記指標の単位時間当たりの燃料消費量及び単位時間当たりの積荷運搬量の一方を縦軸とし、他方を横軸とし、前記複数の特定区間のそれぞれにおける前記鉱山機械の前記指標の平均値を原点とする2次元のグラフに、評価基準となる単位燃料消費量当たりの積荷運搬量を示すラインと、前記複数の特定区間のそれぞれにおける前記指標を示すポイントとを前記出力装置に出力する、
鉱山機械の管理システムの管理方法。
鉱山の経路を走行可能な鉱山機械に搭載され前記鉱山機械の位置情報を検出する位置情報検出装置と、前記鉱山機械に搭載され前記鉱山機械の稼働情報を検出する稼働情報検出装置と、コンピュータを含む処理装置と、前記処理装置と接続される出力装置と、を含む鉱山機械の管理システムの管理方法であって、
鉱山の複数の経路を走行可能な鉱山機械の前記複数の経路のそれぞれにおける位置情報を前記位置情報検出装置で検出し、
前記鉱山機械の稼働情報を前記稼働情報検出装置で検出し、
前記処理装置は、前記位置情報及び前記稼働情報に基づいて求めた前記複数の経路のそれぞれにおける前記鉱山機械の単位時間当たりの燃料消費量及び単位時間当たりの積荷運搬量を含む前記鉱山機械の生産効率に関する指標を前記複数の経路のそれぞれに対応付けて前記出力装置に出力し、
前記指標の単位時間当たりの燃料消費量及び単位時間当たりの積荷運搬量の一方を縦軸とし、他方を横軸とし、前記複数の経路のそれぞれにおける前記鉱山機械の前記指標の平均値を原点とする2次元のグラフに、評価基準となる単位燃料消費量当たりの積荷運搬量を示すラインと、前記複数の経路のそれぞれにおける前記指標を示すポイントとを前記出力装置に出力する、
鉱山機械の管理システムの管理方法。
鉱山の経路を走行可能な鉱山機械に搭載され前記鉱山機械の位置情報を検出する位置情報検出装置と、前記鉱山機械に搭載され前記鉱山機械の稼働情報を検出する稼働情報検出装置と、コンピュータを含む処理装置と、前記処理装置と接続される出力装置と、を含む鉱山機械の管理システムの管理方法であって、
鉱山の経路を走行可能な複数の鉱山機械の前記経路における位置情報をそれぞれ前記位置情報検出装置で検出し、
前記複数の鉱山機械の稼働情報をそれぞれ前記稼働情報検出装置で検出し、
前記処理装置は、前記位置情報及び前記稼働情報に基づいて求めた前記複数の鉱山機械それぞれの単位時間当たりの燃料消費量及び単位時間当たりの積荷運搬量を含む生産効率に関する指標を前記複数の鉱山機械のそれぞれに対応付けて前記出力装置に出力し、
前記指標の単位時間当たりの燃料消費量及び単位時間当たりの積荷運搬量の一方を縦軸とし、他方を横軸とし、前記複数の鉱山機械それぞれの前記指標の平均値を原点とする2次元のグラフに、評価基準となる単位燃料消費量当たりの積荷運搬量を示すラインと、前記複数の鉱山機械のそれぞれにおける前記指標を示すポイントとを前記出力装置に出力する、
鉱山機械の管理システムの管理方法。
鉱山の経路を走行可能な鉱山機械に搭載され前記鉱山機械の位置情報を検出する位置情報検出装置と、前記鉱山機械に搭載され前記鉱山機械の稼働情報を検出する稼働情報検出装置と、コンピュータを含む処理装置と、前記処理装置と接続される出力装置と、を含む鉱山機械の管理システムの管理方法であって、
鉱山の経路を走行可能な鉱山機械の前記経路における位置情報を前記位置情報検出装置で検出し、
前記鉱山機械の稼働情報を前記稼働情報検出装置で検出し、
前記処理装置は、複数の作業期間において検出した前記位置情報及び前記稼働情報に基づいて求めた前記複数の作業期間のそれぞれにおける前記鉱山機械の単位時間当たりの燃料消費量及び単位時間当たりの積荷運搬量を含む前記鉱山機械の生産効率に関する指標を前記複数の作業期間のそれぞれに対応付けて前記出力装置に出力し、
前記指標の単位時間当たりの燃料消費量及び単位時間当たりの積荷運搬量の一方を縦軸とし、他方を横軸とし、前記複数の作業期間のそれぞれにおける前記鉱山機械の前記指標の平均値を原点とする2次元のグラフに、評価基準となる単位燃料消費量当たりの積荷運搬量を示すラインと、前記複数の作業期間のそれぞれにおける前記指標を示すポイントとを前記出力装置に出力する、
鉱山機械の管理システムの管理方法。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0035】
<鉱山機械の管理システムの概要>
図1は、本実施形態に係る鉱山機械の管理システムが適用される現場を示す図である。鉱山機械の管理システム1は、鉱山機械の運行を管理したり、生産効率又は鉱山機械のオペレータの操作技術等を評価したり、ダンプトラックの予防保全及び異常診断等をしたりする。このため、管理システム1は、ダンプトラック20が走行した経路を特定し、経路情報として蓄積する。以下、走行経路とはダンプトラック20が走行する経路と停止する場所とを含めたものであるとする。以下においては、走行経路を適宜経路ともいう。
【0036】
鉱山機械とは、鉱山において各種作業に用いる機械類の総称である。本実施形態において、鉱山機械の一種の運搬車両として、砕石又は砕石の採掘時に発生した土砂若しくは岩石等を積荷として運搬するダンプトラック20を例とするが、本実施形態の鉱山機械はダンプトラックに限定されるものではない。例えば、本実施形態に係る鉱山機械は、砕石等を採掘する掘削機械及び前記積荷をダンプトラック20に積み込む積込機として機能する油圧ショベル若しくは電気ショベル又はホイールローダであってもよい。本実施形態において、ダンプトラック20は、オペレータの操作によって走行したり、積荷を下ろしたりする有人の鉱山機械であるが、ダンプトラック20はこのようなものに限定されない。例えば、ダンプトラック20は、管理システム1によって運行が管理される無人のダンプトラックであってもよい。
【0037】
鉱山において、ダンプトラック20は、積込作業が行われる場所(以下、積込場)LPAで油圧ショベル等の積込機4によって岩石又は土砂等が積載される。そして、ダンプトラック20は、積荷の排出作業が行われる場所(以下、排土場)DPAで前記積載した岩石又は土砂等を排土する。ダンプトラック20は、積込場LPAと排土場DPAとの間を、経路Rg、Rrを走行して移動する。
【0038】
<鉱山機械の管理システムの概要>
鉱山機械の管理システム(以下、適宜管理システムという)1は、管理装置10が、鉱山機械としてのダンプトラック20の位置に関する情報(以下、位置情報という)及び稼働状態に関する情報(以下、稼働情報という)を、無線通信によってダンプトラック20から収集するものである。管理装置10は、移動体であるダンプトラック20とは異なり、例えば、鉱山の管理施設に設置されている。このように、管理装置10は、原則として移動を考慮していないものである。管理装置10が収集する情報は、ダンプトラック20の位置情報(緯度、経度及び高度の座標)及びダンプトラック20の稼働情報であり、稼動情報は、例えば、走行時間、走行距離、エンジン水温、異常の有無、異常の箇所、燃料消費率及び積載量等のうちの少なくとも1つである。位置情報及び稼働情報は、主としてダンプトラック20の走行路マップ作成、走行路マッピング、運転評価、生産効率評価、予防保全及び異常診断等に用いられる。したがって、位置情報及び稼働情報は、鉱山の生産効率向上又は鉱山のオペレーションの改善といったニーズに応えるために有用である。稼動情報については、後ほど詳細に説明する。
【0039】
管理システム1は、ダンプトラック20に搭載され、ダンプトラック20の位置情報を検出する位置情報検出装置29と、ダンプトラック20に搭載され、ダンプトラック20の稼働情報を検出する稼働情報検出装置40と、ダンプトラック20に搭載され、管理に関する各種の処理を実行する車載処理装置30と、ダンプトラック20に搭載され、管理に関する各種の情報を記憶する車載記憶装置31と、管理装置10に設けられ、管理に関する各種の処理を実行する管理側処理装置12と、管理装置10に設けられ、管理に関する各種の情報を記憶する管理側記憶装置13と、を備えている。
【0040】
車載処理装置30は、ダンプトラック20の位置情報及び稼働情報を処理する。車載記憶装置31は、ダンプトラック20の位置情報及び稼働情報を記憶する。ダンプトラック20の位置情報及び稼働情報は、無線通信を介して、ダンプトラック20から管理装置10に送信される。管理装置10の管理側記憶装置13は、受信したダンプトラック20の位置情報及び稼働情報を記憶する。前記稼働情報は、前記位置情報に対応付けて記憶される。
【0041】
また、管理システム1は、管理側記憶装置13及び車載記憶装置31の一方又は両方に、ダンプトラック20が実際に走行した経路(実走行経路)を特定するときの比較対象となる経路(既登録経路)の位置情報(以下、経路情報という)を登録(記憶)している。管理システム1は、前記記憶している実走行経路の位置情報と前記既登録経路の位置情報との一致判定により、実走行経路を特定する。また、管理システム1は、特定した実走行経路の稼働情報を既登録経路が有する稼働情報と統合し、統合した既登録経路の稼働情報に基づいて、各経路における生産効率上のネックとなっている問題点を抽出するための評価を行う。
【0042】
ダンプトラック20の稼働情報は、車両に関する情報、及び稼働状況に関する情報の少なくとも一つを含む。
【0043】
ダンプトラック20の車両に関する情報は、例えば、車両状態に関する情報、及び異常に関する情報等である。ダンプトラック20の稼働状況に関する情報は、例えば、稼働時間に関する情報、走行に関する情報、オペレータによる運転操作に関する情報、及び積荷積載に関する情報等である。
【0044】
ダンプトラック20の車両状態に関する情報は、例えば、単位時間当たりの燃料消費量に関する情報、エンジンに関する情報、駆動系に関する情報、操作系に関する情報、イベントに関する情報、エンジンの回転数(回転速度)に関する情報、エンジンの冷却液の温度に関する情報、トランスミッションの状態に関する情報、及びドライブシャフトの回転数(回転速度)に関する情報等である。
【0045】
ダンプトラック20の異常に関する情報は、例えば、異常の有無に関する情報、異常の箇所に関する情報、異常の内容に関する情報、故障に関する情報、及び車両エラーに関する情報等である。
【0046】
ダンプトラック20の稼働時間に関する情報は、例えば、稼働開始時刻に関する情報、及び稼働終了時刻に関する情報等である。
【0047】
ダンプトラック20の走行に関する情報は、例えば、ダンプトラック20が走行中であるか否かに関する情報、走行速度に関する情報、走行距離に関する情報、走行における加速度(減速度)に関する情報、走行時間に関する情報、停止時間(停車時間)に関する情報、加速頻度に関する情報、減速頻度に関する情報、停止頻度(停車頻度)に関する情報、惰性走行時間に関する情報、及び惰性走行距離に関する情報等である。
【0048】
ダンプトラック20の運転操作に関する情報は、例えば、異常運転(異常操作)に関する情報、操作履歴に関する情報、及びイベントに関する情報等である。ダンプトラック20の異常運転(異常操作)に関する情報は、例えば、オペレータによる異常な操作の有無に関する情報、及び異常な操作の内容に関する情報等である。
【0049】
ダンプトラック20の積荷積載に関する情報は、例えば、積荷の有無に関する情報、積荷運搬量(積荷積載量)に関する情報、積込作業に関する情報、及び排出作業に関する情報等である。積込作業に関する情報は、積込作業が開始されたか否かに関する情報、積込作業中であるか否かに関する情報、積込作業が終了したか否かに関する情報、及び積込作業時間に関する情報等である。排出作業に関する情報は、排出作業が開始されたか否かに関する情報、排出作業中であるか否かに関する情報、排出作業が終了したか否かに関する情報、及び排出作業時間に関する情報等である。
【0050】
なお、ダンプトラック20の稼働情報は、ダンプトラック20が走行する経路に関する情報を含んでいてもよい。例えば、ダンプトラック20の稼働情報が、渋滞に関する情報、経路の勾配に関する情報、経路の方位に関する情報、及び経路の状態に関する情報等であってもよい。渋滞に関する情報は、例えば、渋滞の有無に関する情報、及び渋滞の程度に関する情報等である。経路の勾配に関する情報は、例えば、勾配の有無に関する情報、及び経路の傾斜角度に関する情報等である。経路の方位に関する情報は、例えば、経路のカーブ(コーナー)の有無に関する情報、及び経路のカーブ(コーナー)の角度に関する情報等である。経路の状態に関する情報は、例えば、経路がドライ状態であるかウエット状態であるかに関する情報、経路のドライ状態の程度に関する情報、経路のウエット状態の程度に関する情報、及び障害物の有無に関する情報等である。
【0051】
ダンプトラック20の稼働情報は、例えば、ダンプトラック20の生産効率の評価、ダンプトラック20のオペレータの運転技術の評価、ダンプトラック20の保全、及びダンプトラック20の異常診断等に使用される。
【0052】
稼働情報検出装置40は、ダンプトラック20の稼働情報を検出する複数のセンサを含む。稼働情報検出装置40によって検出されたダンプトラック20の稼働情報は、車載無線通信装置28と管理側無線通信装置18とを介して、管理装置10に送信される。
【0053】
管理装置10は、鉱山で作業するダンプトラック20の位置情報及び稼働情報を収集するために、アンテナ18Aを有する管理側無線通信装置18に接続されている。ダンプトラック20は、位置情報及び稼働情報を送信したり、管理装置10と相互通信を行ったりするために、車載無線通信装置28とともにアンテナ28Aを有している。車載無線通信装置については後述する。この他に、ダンプトラック20は、複数のGPS(Global Positioning System:全方位測位システム)衛星5(5A、5B、5C)からの電波をGPS用アンテナ29Aで受信し、位置情報検出装置29により自己位置を測位することができる。なお、自身の位置を計測するためには、GPS衛星に限らず他の測位用衛星によるものでもよい。すなわち、GNSS(全地球航法衛星システム:Global Navigation Satellite System)による位置計測ができればよい。
【0054】
ダンプトラック20がアンテナ28Aから送信する電波の出力は、鉱山全域をカバーできるほどの通信可能範囲を有していない。また、アンテナ28Aから送信する電波は、波長の関係から高い山などの障害物Mを越えて遠方まで送信することができない。もちろん、高出力の電波を出力できる無線通信装置を用いれば、このような通信障害が解消し、通信可能範囲は広がり通信不可能な場所をなくすことはできる。しかし、鉱山は広大であるため、中継器や通信装置のコストを抑える必要があること及び鉱山がある地域によっては整備された通信インフラを確保することが期待できないといった状況に対応する必要がある。このために、管理システム1は、無線LAN(Local Area Network)等の、限られた範囲内で情報通信網を形成できる無線システムを用いる。無線LANなどによれば、低コストで鉱山機械と管理施設(管理装置10)との相互通信を整えることは可能ではあるものの通信障害の問題を解決する必要がある。
【0055】
ダンプトラック20がアンテナ28Aから送信する電波の到達範囲は限られている。したがって、ダンプトラック20と管理装置10との距離が離れていたり、両者間に山M等の障害物が存在していたりすると、管理側無線通信装置18は、ダンプトラック20から送信される電波を受信することが困難になる。このため、管理システム1は、ダンプトラック20のアンテナ28Aから送信される電波を中継して、管理側無線通信装置18に送信する中継器3を有している。鉱山内の複数の所定個所に中継器3を設置することにより、管理装置10は、自身から離れた位置で稼働しているダンプトラック20から、無線通信により位置情報及び稼働情報を収集することができる。
【0056】
中継器3から管理側無線通信装置18までの距離が遠い場合、中継器3と管理側無線通信装置18との間に、両者を中継するための中間中継器6が配置される。本実施形態において、中間中継器6は、中継器3と管理側無線通信装置18とを中継するのみであり、ダンプトラック20がアンテナ28Aから送信する電波を中継するものではない。本実施形態において、中間中継器6は、対応する中継器3以外からは電波を中継しないようになっている。例えば、
図1に示すように、給油所2の中継器3からの電波を中継するのは、1台の中間中継器6のみである。なお、中間中継器6は、
図1では、1つの中継器3と一対一の関係であるように表現しているが、一対一の関係に限定されるものではなく、各中間中継器6は、対応する複数の中継器3から送られる電波を中継することができる。
【0057】
中継器3の配置場所を中心とする周囲の所定領域(
図1では円形で示す領域)は、ダンプトラック20に搭載された車載無線通信装置28が中継器3との間で相互に無線通信が可能な範囲、すなわち、通信可能範囲7である。通信可能範囲7に存在しているダンプトラック20は、中継器3等を介して管理側無線通信装置18と相互に無線通信することができる。
【0058】
<管理装置>
次に、管理装置10について詳細に説明する。
図2は、本実施形態に係る管理装置10の一例を示す機能ブロック図である。管理装置10は、管理側処理装置12と、管理側記憶装置13と、入出力部(I/O)15とを含む。さらに、管理装置10は、入出力部15に、表示装置16と、入力装置17と、管理側無線通信装置18と、印刷装置19とを接続している。
【0059】
管理装置10は、例えば、コンピュータである。管理側処理装置12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。管理側記憶装置13は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ若しくはハードディスクドライブ等又はこれらを組み合わせたものである。入出力部15は、管理側処理装置12と、管理側処理装置12の外部に接続する表示装置16、入力装置17、管理側無線通信装置18及び印刷装置19との情報の入出力(インターフェース)に用いられる。
【0060】
管理側処理装置12は、本実施形態に係る鉱山機械の管理方法を実行する。管理側処理装置12は、経路判定部12aと、データ処理部12bと、データ評価部12cとを含む。判定部としての経路判定部12aは、実走行経路を、既登録経路と一致するか否かを判定することにより、特定する。既登録経路は、ダンプトラック20が過去に走行した経路又は予め設定されている経路である。
【0061】
データ処理部12bは、ダンプトラック20の位置情報及び稼働情報を処理し、経路を走行したダンプトラック20の稼働情報を求める。データ評価部12cは、データ処理部12bで求められたダンプトラック20の稼働情報に基づいて、ダンプトラック20が走行した経路におけるダンプトラック20の稼働状態を評価する。これらの機能は、管理側処理装置12がそれぞれに対応するコンピュータプログラムを管理側記憶装置13から読み込んで実行することにより実現される。
【0062】
管理側記憶装置13は、管理側処理装置12に各種の処理を実行させるための各種のコンピュータプログラムを記憶している。本実施形態において、管理側記憶装置13が記憶しているコンピュータプログラムは、例えば、本実施形態に係る鉱山機械の管理方法を実現して、ダンプトラック20が走行した経路を特定する経路特定用コンピュータプログラム、ダンプトラック20の位置情報及び稼働情報等を収集するための稼働情報収集用コンピュータプログラム、位置情報及び稼働情報に基づいて各種評価を行うコンピュータプログラム等である。
【0063】
管理側記憶装置13は、管理に関する各種の情報が記述されたデータベース14を記憶している。データベース14は、LP/DPデータベース14RD、経路別WPデータベース14WP、経路別特定区間データベース14SC、既登録経路データベース14CS及び稼働情報データベース14Iを有している。LP/DPデータベース14RDには、ダンプトラック20の積込場LPA及び排土場DPAの位置情報が記述されている。経路別WPデータベース14WPには、ダンプトラック20が走行した又は走行する経路の通過位置WPの位置情報が記述されている。経路別特定区間データベース14SCには、ダンプトラック20が走行した又は走行する経路において同一の特性(例えば経路の勾配、方位等)を有する部分としての特定区間に関する位置情報が記述されている。既登録経路データベース14CSは、鉱山で稼働するダンプトラック20が走行した経路又は鉱山においてダンプトラック20が走行すべき経路として予め設定された経路(既登録経路)の位置情報を含む情報が記述されている。本実施例においては、稼働情報データベース14Iには、ダンプトラック20から収集した稼働情報が記述されている。経路別WPデータベース14WP及び経路別特定区間データベース14SCは、位置情報の緯度、経度及び高度の座標の集合データを含んでいる。
【0064】
表示装置16は、例えば、液晶ディスプレイ等のようなフラットパネルディスプレイであり、ダンプトラック20の位置情報又は稼働情報を収集及び評価する際に必要な情報を表示する。入力装置17は、例えば、キーボード、タッチパネル又はマウス等であり、ダンプトラック20の位置情報又は稼働情報を収集する際に必要な情報を入力する。管理側無線通信装置18は、アンテナ18Aを有しており、中継器3を介してダンプトラック20の車載無線通信装置28との間で相互に無線通信を実行する。印刷装置19は、例えば、印刷装置(プリンタ)であり、管理装置10が作成したレポート、又は評価のためのグラフ等を印刷して出力する。印刷装置19は、さらに後述するレポート内容に応じた音声を出力するものであってもよい。表示装置16及び印刷装置19は、各種情報等を出力する出力装置の一種である。
【0065】
<ダンプトラック>
次に、ダンプトラック20について、より詳細に説明する。
図3は、ダンプトラック20の一例の構成を示す図である。ダンプトラック20は、積荷を積載して走行し、所望の場所でその積荷を排出する。ダンプトラック20は、車両本体21と、ベッセル22と、車輪23と、サスペンションシリンダー24と、回転センサ25と、サスペンション圧力センサ(以下、圧力センサという)26と、アンテナ28Aが接続された車載無線通信装置28と、GPS用アンテナ29Aが接続された位置情報検出装置(本実施形態ではGPS受信機)29と、車載処理装置30と、複数のセンサを含む稼働情報検出装置40と、を備えている。なお、ダンプトラック20は、上記構成以外にも一般的な運搬機が備えている各種の機構及び機能を備えている。なお、本実施形態では、リジッド式のダンプトラック20を例として説明するが、ダンプトラック20は、車体を前部と後部に分割しそれらを自由関節で結合したアーティキュレート式ダンプトラックであってもよい。
【0066】
ダンプトラック20は、ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下、適宜エンジン34Gという)がトルクコンバータ34TC及びトランスミッション34TMを介してドライブシャフト34DSを駆動することにより、車輪23を駆動する。このように、ダンプトラック20は、いわゆる機械駆動方式であるが、ダンプトラック20の駆動方式はこれに限定されるものではなく、いわゆる電気駆動方式であってもよい。ベッセル22は、積荷を積載する荷台として機能するものであり、車両本体21の上部に、昇降自在に配置されている。ベッセル22には、積荷として、採石された砕石又は岩若しくは土等が油圧ショベル等の積込機4によって積載される。
【0067】
車輪23は、タイヤとホイールで構成され、車両本体21に回転自在に装着されており、前述したように車両本体21からドライブシャフト34DSを介して動力が伝達されることで駆動される。サスペンションシリンダー24は、車輪23と車両本体21との間に配置されている。車両本体21及びベッセル22の質量、さらに積荷が積載された際における積荷の質量に応じた負荷が、サスペンションシリンダー24を介して車輪23に作用する。
【0068】
回転センサ25は、ドライブシャフト34DSの回転速度を検出することで車速を計測する。サスペンションシリンダー24は内部に作動油が封入されており、積荷の重量に応じて伸縮動作する。なお、サスペンション圧力センサ(必要に応じて圧力センサともいう)26は、サスペンションシリンダー24に作用する負荷を検出する。圧力センサ26は、ダンプトラック20の各サスペンションシリンダー24に設置されており、その作動油の圧力を検出することで積荷の有無の検出、及び積荷の質量(積載量)を計測することができる。
【0069】
GPS用アンテナ29Aは、GPS(Global Positioning System)を構成する複数のGPS衛星5A、5B、5C(
図1参照)から出力される電波を受信する。GPS用アンテナ29Aは、受信した電波を位置情報検出装置29に出力する。位置情報検出部としての位置情報検出装置29は、GPS用アンテナ29Aが受信した電波を電気信号に変換し、自身の位置情報、すなわちダンプトラック20の位置を算出(測位)することによりダンプトラック20の位置情報を求める。位置情報は、ダンプトラック20の位置に関する情報であり、緯度、経度及び高度の座標である。時間の経過に基づいて位置情報検出装置29が取得した複数の位置情報が時系列で配列された複数の位置情報は、ダンプトラック20が走行した経路となる。
【0070】
車載無線通信装置28は、アンテナ28Aを介して
図1に示す中継器3又は管理施設のアンテナ18Aとの間で相互に無線通信を行う。車載無線通信装置28は、車載処理装置30に接続されている。このような構造により、車載処理装置30は、アンテナ28Aを介して各情報を送受信する。
【0071】
<車載処理装置、車載記憶装置、位置情報検出装置、及び稼働情報検出装置>
次に、車載処理装置30、車載記憶装置31、位置情報検出装置29、及び稼働情報検出装置40について説明する。
図4は、本実施形態に係る車載処理装置30及びその周辺装置の一例を示す機能ブロック図である。
【0072】
図4に示すように、ダンプトラック20は、車載処理装置30と、車載記憶装置31と、車載無線通信装置28と、位置情報検出装置29と、運転者ID取得装置38と、稼働情報検出装置40と、を備えている。車載記憶装置31、車載無線通信装置28、位置情報検出装置29、運転者ID取得装置38及び稼働情報検出装置40のそれぞれは、車載処理装置30と接続されている。車載処理装置30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを組み合わせたコンピュータである。車載処理装置30は、ダンプトラック20に関する種々の情報を取得して処理する。
【0073】
運転者ID取得装置38は、ダンプトラック20の運転者(以下、オペレータとも言う)を特定するための運転者IDを取得する装置である。ダンプトラック20は、複数の運転者により交代で運転されることがある。運転者IDは、例えば、個々の運転者のIDキー(個人識別情報が記憶された電子キー)又は個々の運転者のIDカード(個人識別情報が記憶されたカード)から取得することができる。この場合、運転者ID取得装置38は、磁気読み取り装置又は無線通信装置等が用いられる。また、運転者ID取得装置38として指紋認証装置を備え、予め記憶した運転者の指紋と、個々の運転者の指紋との指紋認証を行い、運転者IDを取得することもできる。また、個々の運転者が、入力装置で自身のID情報(暗証番号等の個人識別情報)を入力し、予め記憶されているID情報との照合によっても運転者IDを取得することができる。このように、運転者ID取得装置38は、IDキー又はIDカードの読み取り装置、指紋認証装置又はID情報入力装置等であり、ダンプトラック20の運転室内の運転席近傍に設けていてもよいし、運転者が運転室にアクセスする際に近づく車両本体21の任意の場所に設けてもよい。なお、鉱山の日々の生産計画にしたがって、各ダンプトラック20に搭乗する運転者の運転者IDが、管理装置10から無線通信でダンプトラック20に送信されることもある。この場合車載無線通信装置27が運転者ID取得装置38を兼ねることになる。運転者ID取得装置38が取得した運転者IDにより、どの運転者がどのダンプトラック20を運転しているかを特定することができる。
【0074】
車載記憶装置31は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ若しくはハードディスクドライブ等又はこれらを組み合わせて構成されている。車載記憶装置31は、車載処理装置30がダンプトラック20の位置情報及び稼働情報を収集するための命令が記述されたコンピュータプログラム、及び鉱山機械の管理システム1を運用するための各種設定値等を記憶している。車載処理装置30は、前記コンピュータプログラムを読み出し、所定のタイミングで位置情報検出装置29から位置情報を取得し、稼動情報検出装置40に含まれる各センサ等から稼働情報を取得して、車載記憶装置31へ一時的に記憶させる。このとき、車載処理装置30は、同一項目の情報について平均値、最頻値又は標準偏差等を求める統計処理を施したりしてもよい。
【0075】
車載記憶装置31は、稼働情報として、傾斜計情報、時間情報、排土情報、積込情報、燃費情報、操作履歴情報及びイベント情報等を記憶している。イベント情報とは、例えば、車両エラー情報、異常運転情報、故障情報等である。車載記憶装置31が記憶しているこれらの稼働情報は例示であり、稼働情報はこれらに限定されるものではない。尚、稼動情報については、後ほど詳細に説明する。位置情報、傾斜計情報、排土情報、積込情報、燃費情報、操作履歴情報及びイベント情報等は、これらが発生した(車載処理装置30が取得した)時間に対応付けて車載記憶装置31に記憶されている。車載処理装置30は、
図2に示す管理装置10からの要求を示す指令信号を、車載無線装置28を介して受信し、同じく車載無線通信装置28を介して、車載記憶装置31に記憶された位置情報及び稼働情報を管理装置10へ送信する。
【0076】
位置情報検出装置29は、ダンプトラック20の位置情報を検出する。車載処理装置30は、位置情報検出装置29を用いて、ダンプトラック20の位置情報を取得する。
【0077】
車載処理装置30は、位置情報検出装置29により検出された複数の位置情報と、その位置情報が検出された時刻情報とに基づいて、ダンプトラック20が走行した経路(実走行経路)を求める。時系列で配列された複数の位置情報が、ダンプトラック20の実走行経路を示す。
【0078】
稼働情報検出装置40は、ダンプトラック20の稼働情報を検出する。車載処理装置30は、稼働情報検出装置40を用いて、ダンプトラック20の稼働情報を取得する。稼働情報検出装置40は、ダンプトラック20の稼働情報を検出する複数のセンサを有している。稼働情報検出装置40は、例えば、ダンプトラック20の走行速度を検出する回転センサ25と、ダンプトラック20に積載された積荷の重量を検出する圧力センサ26と、エンジン制御装置32Aと、走行制御装置32Bと、油圧制御装置32Cと、傾斜センサ39と、を有している。以下、これらのセンサ信号に基づいて取得することができる稼動情報の例を詳細に説明する。
【0079】
回転センサ25は、車輪23を駆動するドライブシャフト34DSの回転速度を検出する。回転センサ25の検出結果は、車載処理装置30に出力される。車載処理装置30は、回転センサ25からの出力に基づいて、ダンプトラック20の走行速度を導出可能である。また、車載処理装置30は、回転センサ25からの出力に基づいて、ダンプトラック20の加速度(減速度)を導出可能である。また、車載処理装置30は、回転センサ25からの出力に基づいて、ダンプトラック20が走行中であるか否か、又は停車中であるか否かを判定できる。
【0080】
また、車載処理装置30は、内蔵されているタイマーによる時間情報と、回転センサ25からの出力とに基づいて、ダンプトラック20の走行距離、走行時間、及び停止時間(停車時間)の少なくとも一つを導出可能である。さらに、車載処理装置30は、内蔵されているタイマーによる時間情報と、回転センサ25からの出力とに基づいて、例えば、経路においてダンプトラック20が加速動作を行った回数(加速頻度)、減速動作を行った回数(減速頻度)、及び停止動作(停車動作)を行った回数(停車頻度)等を導出可能である。
【0081】
圧力センサ26は、サスペンションシリンダー24の作動油に作用する圧力を検出する。圧力センサ26の検出結果は、車載処理装置30に出力される。車載処理装置30は、ダンプトラック20の4つの車輪23にそれぞれ取り付けたサスペンションシリンダー24に設けられた圧力センサ26それぞれの出力値に基づいて、積荷の重量(積載量、運搬量)を導出可能である。車載処理装置30は、積荷の重量を計測できることから、ベッセル22における積荷の有無を判定できる。
【0082】
車載処理装置30は、内蔵されているタイマーによる時間情報と、圧力センサ26からの出力とに基づいて、ベッセル22に対する積荷の積込作業が開始されたか否か、積荷の積込作業中であるか否か、積荷の積込作業が完了したか否か、ベッセル22からの積荷の排出作業が開始されたか否か、積荷の排出作業中であるか否か、積荷の排出作業が完了したか否か、及びダンプトラック20が走行中であるか否か等を判定できる。例えば、圧力センサ26からの出力値が上昇して所定値(例えばダンプトラック20の規定積載量の半分の値)を超えた場合、車載処理装置30は、積込場LPAにおいて積荷の積込作業が行われていると判断可能である。また、圧力センサ26からの出力値が低下して所定値(例えばダンプトラック20の規定積載量の1/4の値)を下回った場合、車載処理装置30は、排土場DPAにおいて排出作業が行われていると判断可能である。なお、車載処理装置30は、圧力センサ26からの出力と、ダンプレバー33Cの操作状態(操作位置及び操作量の一方又は両方)との両方に基づいて、積込作業及び排出作業に関する判断を行ってもよいし、ダンプレバー33Cの操作状態(操作位置及び操作量の一方又は両方)のみに基づいて、排出作業に関する判断を行ってもよい。
【0083】
エンジン制御装置32Aは、燃料噴射装置34Fの制御量を車載処理装置30に出力する。車載処理装置30は、燃料噴射装置34Fの制御量を取得することにより、燃料噴射量を導出可能でき、この燃料噴射量に基づいて、燃料消費量を導出できる。また、車載処理装置30は、回転センサ25等を使って導出されたダンプトラック20の走行距離と、前記燃料噴射量とに基づいて、単位走行距離当たりの燃料消費量を導出可能である。また、車載処理装置30は、前記走行距離と、前記燃料噴射量とに基づいて、単位燃料消費量当たりの走行距離を導出可能である。また、車載処理装置30は、内蔵されているタイマーによる時間情報と、前記燃料噴射量とに基づいて、単位時間当たりの燃料消費量を導出可能である。また、車載処理装置30は、内蔵されているタイマーによる時間情報と、圧力センサ26等を使って導出された積荷運搬量とに基づいて、単位時間当たりの積荷運搬量を導出可能である。また、車載処理装置30は、前記積荷運搬量と、前記燃料噴射量とに基づいて、単位燃料消費量当たりの積荷運搬量を導出可能である。なお、単位燃料消費量当たりの積荷運搬量は、単位時間当たりの燃料消費量と単位時間当たりの積荷運搬量とに基づいて求められてもよい。
【0084】
車載処理装置30は、アクセルペダル33Aの操作に関する情報と、内蔵されているタイマーによる時間情報と、回転センサ25からの出力とに基づいて、ダンプトラック20の惰性走行時間、及び惰性走行距離を導出可能である。惰性走行とは、アクセルペダル33Aの操作によりダンプトラック20がある速度で走行している状態において、オペレータがアクセルペダル33Aの操作を解除した後(アクセルペダル33Aを踏み込むことをやめた後)、慣性(惰性)によってダンプトラック20が走行することをいう。ダンプトラック20の惰性走行時間とは、慣性(惰性)によりダンプトラック20が走行した時間をいう。ダンプトラック20の惰性走行距離とは、慣性(惰性)によりダンプトラック20が走行した距離をいう。また、車載処理装置30は、アクセルペダル33Aの操作量に関する情報と、回転センサ25からの出力とに基づいて、ダンプトラック20が惰性走行を開始した時点におけるダンプトラック20の速度(走行速度)を導出可能である。
【0085】
傾斜センサ39は、ダンプトラック20の前後方向の傾きを検出する。傾斜センサ39の検出結果は、車載処理装置30に出力される。車載処理装置30は、傾斜センサ39からの出力に基づいて、例えば、ダンプトラック20が走行している経路の勾配(傾斜)に関する情報、及び経路の凹凸に関する情報等を導出可能である。
【0086】
車載処理装置30は、位置情報検出装置29により所定時間毎に検出されたダンプトラック20の複数の位置情報(時系列データ)を、その時間の経過に対応付けて取得する。取得した複数の位置情報(時系列データ)は時間情報に対応付けて車載記憶装置31に記憶される。
【0087】
また、車載処理装置30は、稼働情報検出装置40により所定時間毎に検出されたダンプトラック20の複数の稼働情報(時系列データ)を、その時間の経過に対応付けて取得する。
【0088】
このようにして、車載処理装置30は、ダンプトラック20の稼働情報を時間情報を介して前記位置情報に対応付けて取得しており、前記位置情報に対応付けられた前記稼動情報は車載記憶装置31に記憶される。
【0089】
車載処理装置30は、車載記憶装置31に記憶している時間情報に対応付けた位置情報、及び位置情報に対応付けた稼動情報を、車載無線通信装置28を介して、管理装置10の管理側処理装置12に送信する。
【0090】
管理側処理装置12は、管理側無線通信装置18を介して車載処理装置30から受信した時間情報に対応付けた位置情報、及び位置情報に対応付けた稼動情報を受信すると、それぞれ管理側記憶装置13に記憶する。
【0091】
図5は、ダンプトラック20が実際に走行した経路の一例を示す図である。ダンプトラック20は、
図5に示す排土場DPAで積荷を下ろした後、積込場LPAに向かって走行する。積込場LPAに到着したダンプトラック20は、油圧ショベル等の積み込み用の鉱山機械によって積荷がベッセル22に積み込まれる。積荷が積み込まれたダンプトラック20は、排土場DPAに向かって走行する。排土場DPAに到着したダンプトラック20は、排土場DPAで積荷を下ろす。本実施形態においては、ダンプトラック20が所定の場所から積込場LPAに向かって出発し、積込場LPAで積荷を積み込まれた後、排土場DPAに到着して積荷を下ろすまでの一連の作業を、ダンプトラック20の運搬作業の1サイクルとする。なお、運搬作業の1サイクルの定義はこれに限定するものではなく、例えば積込場で積み込み開始した位置を起点とし、排土作業を完了した後積込場に到着するまでの作業を1サイクルと定義しても構わない。
【0092】
ダンプトラック20が積込場LPAに向かって出発する所定の場所を第1位置といい、積込場LPAを第2位置、排土場DPAの積荷が下ろされる位置を第3位置という。本実施形態において、第1位置は、排土場DPA内の所定の位置であってもよいし、排土場DPAとは異なる所定の位置であってもよい。
【0093】
運搬作業の1サイクルにおいてダンプトラック20が走行する経路(以下、適宜実走行経路という)CSrのうち、ダンプトラック20が第1位置としての走行開始位置SPrから積込場LPAにおいて積荷の積込を受ける第2位置としての積込位置LPrに移動する経路を往路CSr1という。また、実走行経路CSrのうち、ダンプトラック20が第2位置としての積込位置LPrから、排土場DPAにおいて積荷を下ろす第3位置としての排土位置DPrに移動する経路を復路CSr2という。往路CSr1は、走行開始位置SPrを起点とし、積込位置LPrを終点とする。復路CSr2は、積込位置LPrを起点とし、排土位置DPrを終点とする。
【0094】
ダンプトラック20に搭載されている位置情報検出装置29は、ダンプトラック20が走行開始位置SPrを出発して積込位置LPrに到達し、その後、排土位置DPrに至るまでの間、ダンプトラック20の位置情報PIを求める。位置情報検出装置29は、例えば、所定時間(例えば、1秒)毎にダンプトラック20の現在の位置情報を取得し、車載記憶装置31に記憶させる。位置情報検出装置29によって取得された複数の位置情報PIの群(以下、適宜位置情報群という)は、ダンプトラック20の実走行経路CSrに含まれる。このため、実走行経路CSrは、複数の位置情報PIによって表現することができる。
【0095】
本実施形態において、実走行経路CSrは、既に他の又は自身のダンプトラック20が走行したことによって、又は予め設定されていたことによって既に管理側記憶装置13に記憶(登録)されている既登録経路である場合もあるし、ダンプトラック20が初めて走行した経路である場合もある。
図2に示す管理側処理装置12は、所定の経路特定処理を実行して、実走行経路CSrが既登録経路と一致するか、実走行経路CSrの一部が既登録経路の一部であるか、又はまったく新規の経路であるか等を判定することにより、実走行経路CSrを特定する。なお、経路特定処理は、
図2に示す管理装置10が備える管理側処理装置12が実行するが、
図4に示す車載処理装置30が実行してもよい。
【0096】
経路の特定処理を行うときに、実走行経路が一致するか否かを判定するための比較対象である既登録経路CSについて説明する。
図6は、既登録経路CSの一例を示す図である。既登録経路CSは、往路CS1と復路CS2とを有する。往路CS1の始点は走行開始位置SP1であり、終点は積込位置LP1である。復路CS2の始点は積込位置LP1であり、終点は排土位置DP1である。既登録経路CSは、複数のノードとしての走行開始位置SP1、積込位置LP1、排土位置DP1及び複数の通過位置WP1(WPsg)、WP2、・・・WP9(WPeg)、WP10(WPsb)WP11、・・・WP18(WPeb)と、これらを接続するリンクLK1、LK2、・・・LK20とを含む。既登録経路CSにおいて、走行開始位置SP1は第1位置に対応し、積込位置LP1は第2位置に対応し、排土位置DP1は第3位置に対応する。
【0097】
それぞれのノード、すなわちそれぞれの走行開始位置SP1、積込位置LP1、排土位置DP1及び複数の通過位置WP1(WPsg)、WP2、・・・WP9(WPeg)等は、実走行経路CSrに含まれるそれぞれの位置情報PIに対応する。ノードは、既登録経路CS上の所定の緯度、経度及び高度の座標で示される場所である。それぞれのリンクLK1、LK2、・・・LK20は、互いに隣接するノード同士を接続する。
図6に示す既登録経路CSの往路CS1は、走行開始位置SP1と、積込位置LP1と、両者の間に存在する複数の通過位置WP1、WP2、・・・WP9と、リンクLK1、LK2、・・・LK10とを含む。
【0098】
復路CS2は、積込位置LP1と、排土位置DP1と、両者の間に存在する複数の通過位置WP10、WP11、・・・WP18と、リンクLK11、LK12、・・・LK20とを含む。既登録経路CSは、ダンプトラック20が1サイクルの運搬作業を実行したときにおいて実際に走行した経路である。この場合、走行開始位置SP1は、ダンプトラック20が積込位置LP1へ向かう前に積荷を下ろした排土場(以下、適宜第1の排土場という)DPA0内で実際に積荷を下ろした排土位置DP0である。走行開始位置SP1を中心とした所定半径RDの範囲(第1の所定範囲)SPC1が、排土場DPA0になる。同様に、積込位置LP1で積荷を積み込まれたダンプトラック20が積荷を下ろした排土位置DP1を中心とした所定半径RDの範囲(第2の所定範囲)が、排土場(以下、適宜第2の排土場という)DPA1になる。また、積込位置LP1を中心とした所定半径RLの範囲が、積込場LPA1となる。走行開始位置SP1(排土位置DP0)は排土場DPA0を代表する代表位置であり、排土位置DP1は排土場DPA1を代表する代表位置である。
【0099】
既登録経路CSは、所定距離毎にノード、すなわち通過位置WP1、WP2、・・・WP18が存在している。前述した所定距離は、例えば、100m毎であるが、本実施形態ではこれに限定されない。最も排土場DPA0に近い往路CS1の通過位置WP1(WPsg)は排土場DPA0の外側に設定され、最も排土場DPA1に近い復路CS2の通過位置WP18(WPeb)は排土場DPA1の外側に設定される。最も積込場LPA1に近い往路CS1の通過位置WP9(WPeg)は積込場LPA1の外側に設定され、最も積込場LPA1に近い復路CS2の通過位置WP10(WPsb)は積込場LPA1の外側に設定される。すなわち、既登録経路CSに含まれる通過位置WP1、WP2、・・・WP18は、排土場DPA0、DPA1及び積込場LPA1の外側に設定される。
【0100】
図6に示す例において、既登録経路CSは、複数の特定区間SC1、SC2、・・・SC17を有する。それぞれの特定区間SC1、SC2、・・・SC17は、既登録経路CS中、特性、例えば、方位及び勾配等がほぼ同一であると認められる部分である。既登録経路CS中の、互いに隣接するリンク同士の勾配差が所定値以内で、互いに隣接するリンク同士の方位差が所定値以内で、かつそのリンク同士の間に交差点となるノードを有さない部分を、複数のリンクを有する特定区間とする。例えば、特定区間SC5に含まれる隣接する3個のリンクLK5、LK6、LK7は、勾配がほぼ同一と見なせる範囲内、すなわち、互いに隣接するリンク同士の勾配差が所定値以内であり、かつ方位差が所定値以内で、かつその間に交差点を有していない。
図6において、特定区間SC5の中間のノード、すなわち通過位置WP5、WP6は白丸で示してあり、これらのノードは交差点ではない。特定区間SC12も特定区間SC5と同様である。また、隣接するリンク同士の勾配差及び方位差が前記条件を満たさないときには、該1個のリンクのみを特定区間とする。例えば、特定区間SC2はリンクLK2に相当するが、1個のリンクを有する特定区間とする。後述するように、本実施形態においては、特定区間毎に走行回数、走行時間、稼働情報等が集計される。複数のダンプトラック20の稼働状態を評価する場合、特定区間SC1、SC2、・・・SC17を用いることにより、ダンプトラック20が走行する路面の状態を同一の条件として比較することができる。尚、異なる複数の既登録経路CSが、同一の特定区間を共通に有していても良い。
【0101】
積込位置LP1及び排土位置DP0、DP1は、管理側記憶装置13が記憶しているLP/DPデータベース14RDに記述されている。LP/DPデータベース14RDには、積込位置LP1及び排土位置DP0、DP1の他、排土位置DP0、DP1を中心とした所定半径RDの範囲、すなわち排土場DPA0、DPA1及び積込位置LP1を中心とした所定半径RLの範囲、すなわち積込場LPA1の情報も記述されている。通過位置WP1、WP2、・・・WP18は、管理側記憶装置13が記憶している経路別WPデータベース14WPに記述されている。特定区間SC1、SC2、・・・SC17は、管理側記憶装置13が記憶している経路別特定区間データベース14SCに記述されている。経路判定部12aは、ダンプトラック20の実走行経路CSrを特定するにあたり、LP/DPデータベース14RD、経路別WPデータベース14WP及び経路別特定区間データベース14SC等の情報を参照して、実走行経路CSrに含まれている位置情報PIと既登録経路データベース14CSに記憶されている既登録経路の各ノードの位置情報とを比較する。
【0102】
実走行経路CSrが特定された後、実走行経路CSrにおいて取得された稼働情報は、稼働情報データベース14Iに記憶されている既登録経路CSにおける稼働情報として統合され、集計される。すなわち、実走行経路CSrが既登録経路CSと一致した場合には、実走行経路CSrにおける稼働情報は既登録経路CSにおける稼働情報として統合され、実走行経路CSrの一部の特定区間が既登録経路CSの特定区間と一致した場合には、実走行経路CSrにおける稼働情報は前記実走行経路CSrに対応して新規に登録された既登録経路CSにおける稼働情報として稼働情報データベースに記憶されると共に、前記実走行経路CSrの特定区間における稼働情報が既登録経路CSの前記一致している特定区間における稼働情報として統合される。また、実走行経路CSrが既登録経路CSと一致しなかった場合には、実走行経路CSrにおける稼働情報は前記実走行経路CSrに対応して新規に登録された既登録経路CSにおける稼働情報として稼働情報データベースに記憶される。各実走行経路CSrの稼働情報には、該実走行経路CSrを走行したダンプトラック20のシリアル番号、該ダンプトラック20のオペレータの識別番号、該実走行経路CSr内に含まれる特定区間の識別番号、及び該特定区間における稼働情報等も含まれている。これら各種の情報に基づいて、各既登録経路CS毎の稼働情報は、さらにダンプトラック毎に、オペレータ毎に、及び特定区間毎に稼働情報が集計される。
【0103】
次に、本実施形態に係る鉱山機械の管理方法において、前記特定した実走行経路CSr上で取得した種々の稼働情報に基づいて、生産効率や燃費等の観点から稼働評価を行う処理の一例を説明する。
【0104】
本実施形態においては、管理装置10の管理側処理装置12が稼働評価処理を実行することとする。なお、ダンプトラック20の載処理装置30が稼働評価処理を実行してもよいし、管理側処理装置12及び車載処理装置30の両方が稼働評価処理を実行してもよい。また、本実施形態においては、管理装置10の管理側記憶装置13が稼働評価処理に関する各種のデータを記憶することとする。なお、ダンプトラック20の車載記憶装置31、又は管理側記憶装置13及び車載記憶装置31の両方が稼働評価処理に関する各種のデータを記憶してもよい。
【0105】
<複数の経路ごとの稼働の評価>
次に、本実施形態に係る稼動評価の一例について説明する。本実施形態においては、鉱山に複数の既登録経路(以下、適宜経路と呼ぶ)CS(CSa、CSb、CSc、…)が設定されており、それら複数の経路CSのそれぞれに関してダンプトラック20の稼働情報が取得されている。
【0106】
図7は、本実施形態に係る表示装置16の画面の一例を示す。本実施形態においては、所定の経路特定処理が行われることにより、複数の経路CS(CSa、CSb、CSc、…)が特定される。表示装置16は、それら複数の経路CSのコースリストを
図13に示す画像で表示する。例えば、鉱山において3つの経路CSa、CSb、CScが特定された場合、
図7に示すように、表示装置16は、経路CSa、CSb、CScを鉛直上方から視た画像で表示する。経路CSa、CSb、CScのそれぞれは、所定間隔で配置された複数のノード(通過位置WPなど)と、隣接するノード間を接続する複数のリンクLKとを有する画像により表示される。尚、表示装置16には、評価対象とする経路CSの全体又は一部分を表示しても良いし、評価対象とする複数の経路CSのうち一部の経路CSを表示しなくてもかまわない。
【0107】
本実施形態において、管理側処理装置12は、複数の経路CSのそれぞれにおけるダンプトラック20の生産効率に関する指標を導出し、評価する。本実施形態において、経路CSにおけるダンプトラック20の生産効率に関する指標は、各経路CSを走行した複数のダンプトラック20に関する単位時間当たりの燃料消費量、各経路CSを走行した複数のダンプトラック20に関する単位時間当たりの積荷運搬量、及び各経路CSを走行した複数のダンプトラック20に関する単位燃料消費量当たりの積荷運搬量である。尚、本実施形態では、各経路を走行した複数のダンプトラック20に関する前記指標を求めている例を示しているが、選択された1台のダンプトラック20に関する前記指標を求めても良い。
【0108】
単位時間当たりの燃料消費量は、ダンプトラック20の燃費効率を示す指標である。単位時間当たりの積荷運搬量は、ダンプトラック20の生産性を示す指標である。単位燃料消費量当たりの積荷運搬量は、ダンプトラック20の燃費生産性つまり生産効率を示す指標である。
【0109】
各経路CS毎のダンプトラック20の単位時間当たりの燃料消費量(L/h)は、例えば、次のようにして求められる。稼働情報データベース14Iに記憶されている各経路CS毎の稼働情報である、経路走行中に計測された時間情報と、燃料噴射装置34Fの燃料噴射量とに基づいて、各経路CS毎、1サイクル毎の所要走行時間(h)及び燃料消費量(L)を求め、この1サイクル毎の所要走行時間(h)及び燃料消費量(L)から各サイクル毎の単位時間当たりの燃料消費量(L/h)を求める。次に、この各サイクル毎の単位時間当たりの燃料消費量(L/h)の各経路CSにおける平均値を求めて、これを経路CS毎のダンプトラック20の単位時間当たりの燃料消費量(L/h)としている。
【0110】
また、各経路CS毎のダンプトラック20の単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)は、例えば、次のようにして求められる。稼働情報データベース14Iに記憶されている各経路CS毎の稼働情報である、経路走行中に計測された前記イベント発生時間情報と、前記積荷運搬量とに基づいて、各経路CS毎、1サイクル毎の所要走行時間(h)及び積荷運搬量(ton)を求め、この1サイクル毎の所要走行時間(h)及び積荷運搬量(ton)から各サイクル毎の単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)を求める。次に、この各サイクル毎の単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)の各経路CSにおける平均値を求め、これを経路CS毎のダンプトラック20の単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)としている。
【0111】
さらに、各経路CS毎のダンプトラック20の単位燃料消費量当たりの積荷運搬量(ton/L)は、例えば、次のようにして求める。稼働情報データベース14Iに記憶されている各経路CS毎の稼働情報である、前記積荷運搬量と、前記燃料噴射量とに基づいて、各経路CS毎、1サイクル毎の積荷運搬量(ton)及び燃料消費量(L)を求め、この1サイクル毎の積荷運搬量(ton)及び燃料消費量(L)から各サイクル毎の単位燃料消費量当たりの積荷運搬量(ton/L)を求め,次にこの各サイクル毎の単位燃料消費量当たりの積荷運搬量(ton/L)の各経路CSにおける平均値を求めて、これを経路CS毎のダンプトラック20の単位燃料消費量当たりの積荷運搬量(ton/L)としている。なお、単位燃料消費量当たりの積荷運搬量(ton/L)は、単位時間当たりの燃料消費量(L/h)と単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)とに基づいて、演算処理により求められてもよい。
【0112】
図8は、本実施形態に係る表示装置16の画面の一例を示す。
図8に示す例では、鉱山において経路CSa、CSb、CSc、CSd、CSeが特定されている場合を示し、ダンプトラック20の生産効率に関する指標を、複数の経路CS(CSa、CSb、CSc、CSd、CSe)のそれぞれに対応付けて表示している。本実施形態において、表示装置16は、ダンプトラック20の生産効率に関する指標を、グラフ(棒グラフ及び折れ線グラフ)で表示する。
【0113】
図8に示すグラフにおいて、縦軸は、ダンプトラック20の単位時間当たりの燃料消費量(L/h)、単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)、及び単位燃料消費量当たりの積荷運搬量(ton/L)である。ここで、hは時間であり、Lはリットルであり、tonはトンである。横軸は、複数の経路CSa、CSb、CSc、CSd、CSeと、それら複数の経路CSの平均値と、を示す。
【0114】
経路CSaに関するグラフの数値は、複数台のダンプトラック20のそれぞれが経路CSaを走行したときの前記指標の前記複数台のダンプトラック20における各サイクルの平均値でもよいし、ある特定のダンプトラック20が経路CSaを走行したときの前記指標の各サイクルの平均値でもよい。他の経路CSb、CSc、CSd、CSeに関しても同様である。
【0115】
なお、
図7に示す画像と
図8に示す画像とは、同一の表示装置16によって表示されてもよいし、異なる表示装置16のそれぞれによって表示されてもよい。また、
図7に示す画像と
図8に示す画像とは、同一の表示装置16によって同時に表示されてもよいし、異なるタイミングで表示されてもよい。
【0116】
図9は、本実施形態に係る表示装置16の画面の一例を示し、ダンプトラック20の生産効率に関する指標の他の表示例を示している。本実施形態において、複数の経路CSa、CSb、CSc、CSd、CSe、CSf、CSg、CSh、CSi、CSjが特定されているものとする。
【0117】
なお、
図9に示す画像と
図7に示す画像及び
図8に示す画像の少なくとも一方とは、同一の表示装置16によって表示されてもよいし、異なる表示装置16のそれぞれによって表示されてもよい。また、
図9に示す画像と
図7に示す画像及び
図8に示す画像の少なくとも一方とは、同一の表示装置16によって同時に表示されてもよいし、異なるタイミングで表示されてもよい。
【0118】
図9において、表示装置16は、生産効率に関する指標の一つである単位時間当たりの燃料消費量(L/h)及び単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)をそれぞれ縦軸及び横軸とし、複数の経路CSa、CSb、CSc、CSd、CSe、CSf、CSg、CSh、CSi、CSjのそれぞれにおける前記縦軸及び横軸の指標の平均値を原点とする2次元のグラフを表示する。すなわち、前記原点は、複数の経路CSa、CSb、CSc、CSd、CSe、CSf、CSg、CSh、CSi、CSjのそれぞれを走行したダンプトラック20の単位時間当たりの燃料消費量の平均値及び単位時間当たりの積荷運搬量の平均値をそれぞれ示す点である。
【0119】
図9に示す2次元のグラフには、生産効率の評価基準となる単位燃料消費量当たりの積荷運搬量を示すラインLRを表示すると共に、複数の経路CSa、CSb、CSc、CSd、CSe、CSf、CSg、CSh、CSi、CSjのそれぞれにおける前記縦軸及び横軸の指標の値を示す複数のポイントを表示している。各ポイントの前記縦軸及び横軸の指標の値は、それぞれ、各経路CS(CSa、CSb、CSc、CSd、CSe、CSf、CSg、CSh、CSi、CSj)における各サイクル毎の単位時間当たりの燃料消費量(L/h)の平均値、及び各経路CSにおける各サイクル毎の単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)の平均値である。
【0120】
ラインLRは、一次直線である。本実施形態において、ラインLRは、ダンプトラック20の単位燃料消費量当たりの積荷運搬量の逆数(L/ton)を示す。すなわち、ラインLRは、ダンプトラック20の単位積荷運搬量当たりの燃料消費量を示す。グラフにおいて、ラインLRの傾きが大きいほど、ダンプトラック20の生産効率は低い。
【0121】
図9に示す2次元のグラフに基づいて、複数の経路CS(CSa、CSb、CSc、CSd、CSe、CSf、CSg、CSh、CSi、CSj)毎のダンプトラック20の稼働評価による生産効率の評価が行われる。
図9に示すグラフにおいて、複数の経路CSのうち、多くの積荷運搬量を少ない燃料消費量で運搬した実績を有する経路CSを走行したダンプトラック20の生産効率が非常に良いと評価される。すなわち、
図9に示すグラフにおいて、ラインLRよりも下側のエリアA4、A5、A6内に前記ポイントが位置する経路CSを走行したダンプトラック20の生産効率が良好であると評価できる。一方、ラインLRよりも上側のエリアA1、A2、A3内に前記ポイントが位置する経路CSを走行したダンプトラック20の生産効率は低いと評価できる。
図9に示す例においては、エリアA6内に前記ポイントが位置する経路CSg、CSh、CSi、CSjを走行したダンプトラック20の生産効率が最も良好であり、エリアA4、A5内に前記ポイントが位置する経路CSfを走行したダンプトラック20の生産効率が、エリアA6内に前記ポイントが位置する経路CSを走行するダンプトラック20の生産効率に次いで良好である、と評価できる。また、エリアA2、A3内に前記ポイントが位置する経路CSb、CSeを走行したダンプトラック20の生産効率が、エリアA4、A5内に前記ポイントが位置する経路CSfを走行したダンプトラック20の生産効率に次いで良好であり、エリアA1内に前記ポイントが位置する経路CSa、CSc、CSdを走行したダンプトラック20の生産効率が最も低い、と評価できる。
【0122】
なお、
図9に示す2次元のグラフにおいて、エリアA6は、グラフの第4象限に相当し、エリアA1は、グラフの第2象限に相当し、エリアA3、A5は、グラフの第1象限に相当し、エリアA2、A4は、グラフの第3象限に相当する。
【0123】
図9に示すグラフにおいて、例えば、エリアA1内にポイントが位置する経路CSa、CSc、CSdを走行したダンプトラック20は、燃料消費量が多いにもかかわらず、積荷運搬量が少ないので、生産効率が低いと評価される。
図9に示すグラフのデータに基づいて、例えば、ダンプトラック20の生産効率が低い原因が、前記経路CSa、CSc、CSdを走行したダンプトラック20のオペレータの運転操作技術(操作手法)に存在するか否か、あるいは、前記経路CSa、CSc、CSdの路面状態に存在するか否か、を評価可能(予測可能)である。
【0124】
図9に示すグラフにおいて、例えば、エリアA2内にポイントが位置する経路を走行したダンプトラック20は、燃料消費量は少ないが、積荷運搬量も少ないと評価される。これに基づいて、例えば、ダンプトラック20の生産効率が低い原因が、前記経路CSeを走行したダンプトラック20の積荷の積載量が少な過ぎる、あるいは、前記ダンプトラック20の停止時間が長い、などと判断されるので、これを改善するようにオペレータの運転操作を指導できる。
【0125】
図9に示すグラフにおいて、例えば、エリアA3内にポイントが位置する経路CSbを走行したダンプトラック20は、積荷運搬量は多いが、燃料消費量も多いと評価される。このデータに基づいて、例えば、生産効率が低い原因が、前記経路CSbを走行したダンプトラック20の積荷の積載量が多すぎる(過積載である)ことに存在する、あるいは、前記ダンプトラック20のオペレータの運転操作技術(操作手法)に存在する、と判断されるので、これを改善するようにオペレータの運転操作を指導できる。
【0126】
以上説明したように、
図9に示すグラフに基づいて、例えば管理者は、複数の経路CS毎のダンプトラック20の生産効率(生産性と燃費の同時向上)の優劣を迅速にかつ円滑に評価可能である。例えば、複数の経路CSの生産効率に関する指標の平均値(すなわち
図9に示すグラフの原点)及び評価基準を示すラインLRに対して、複数の経路CSそれぞれを走行したダンプトラック20の生産効率に関する指標がどの程度優位か否かが迅速に把握可能である。また、ダンプトラック20の生産効率が低い原因が、積荷運搬量に存在するのか燃料消費量に存在するのかが一目で把握できるので、その問題の解決策を迅速に検討し実行することができる。
【0127】
図9に示した例では、経路CS毎の生産効率に関する指標を2次元のグラフにプロットしているが、オペレータ毎の経路CSの走行実績に基づく生産効率に関する指標をプロットしてもよい。これにより、オペレータ毎の運転操作についても評価することができ、運転操作に関する問題の解決策を容易に検討できる。
【0128】
なお、
図9に示すグラフのデータに基づいて、管理側処理装置12が、複数の経路CS毎のダンプトラック20の生産効率を自動的に評価するようにしてもよい。このとき、評価結果を評価レポートとして印刷装置19から印刷するようにしてもよい。
【0129】
なお、
図9に示すグラフにおいて、縦軸が単位時間当たりの積荷運搬量であり、横軸が単位時間当たりの燃料消費量であってもよい。この場合、2次元グラフの象限の生産効率に関する評価の優劣が、原点を中心にして
図9の例と逆になる。
【0130】
また、
図7、
図8、
図9に示す表示内容を印刷装置19により印刷するようにしても良い。すなわち、表示装置16又は印刷装置19により出力されたグラフに基づいて、上記評価を行なうようにすれば良い。
【0131】
<経路の特定区間における稼働情報の評価>
次に、上記のように複数の経路CSのうちで生産効率が最も低いと評価された経路CSについての詳細な評価が行われる。本実施形態においては、一例として、
図9を参照して説明した評価のうちで、生産効率が最も低いと評価された経路CSaについての詳細な評価について説明する。本実施形態においては、前記経路CSaに関して、その生産効率が低い原因をさらに詳細に評価するための処理が行われる。
【0132】
本実施形態においては、経路CSaの特定区間SCにおけるダンプトラック20の稼働が評価される。特定区間SCは、各経路CSの中で同一特性(例えば、傾斜角、勾配角等)を有する区間である。
【0133】
図10は、本実施形態に係る表示装置16の画面の一例を示す。
図10に示すように、表示装置16は、評価対象の経路CSaを画像で表示しており、前記経路CSaは、複数の特定区間SCを含んでいる。
【0134】
本実施形態において、管理側処理装置12は、前記経路CSa内の複数の特定区間SCのそれぞれにおけるダンプトラック20の評価対象の稼働情報を導出し、評価する。本実施形態においては、評価対象の稼働情報の一例として、燃料消費量、走行時間、停止時間(停車時間)、及び単位時間当たりの燃料消費量の少なくとも一つが導出され、評価される。また、評価対象の稼働情報の他の一例として、停車頻度、減速頻度、惰性走行時間、及び経路の勾配(傾斜)の少なくとも一つが導出され、評価される。これらの稼働情報の求め方は、前述した通りである。
【0135】
図11及び
図12は、本実施形態に係る表示装置16の画面の一例を示す。
図11及び
図12に示すように、表示装置16は、前記評価対象の稼働情報を、前記経路CSaの複数の特定区間SC(SC1、SC2、SC3、SC4、SC5、SC6、SC7)に対応付けて表示しており、本実施形態においては、グラフ(棒グラフ及び折れ線グラフ)で表示している。
【0136】
図11は、特定区間SC(SC1、SC2、SC3、SC4、SC5、SC6、SC7)毎の燃料消費量、走行時間、停車時間、及び単位時間当たりの燃料消費量を表している。
図11に示すグラフにおいて、縦軸は、燃料消費量(単位時間当たりの燃料消費量を含む)、及び時間である。特定区間SC毎の燃料消費量は、1サイクル毎の各特定区間における燃料消費量の平均値であり、特定区間SC毎の走行時間は、1サイクル毎の各特定区間における走行時間の平均値であり、特定区間SC毎の停車時間は、1サイクル毎の各特定区間における合計の停車時間の平均値であり、特定区間SC毎の単位時間当たりの燃料消費量は、1サイクル毎の各特定区間における単位時間当たりの燃料消費量の平均値である。
【0137】
図12は、特定区間SC(SC1、SC2、SC3、SC4、SC5、SC6、SC7)毎の停車頻度、減速頻度、惰性走行時間、及び特定区間SCの経路の勾配(傾斜)を表している。
図12に示すグラフにおいて、縦軸は、ダンプトラック20の停止又は減速の頻度(回数)、時間、及び傾斜角度である。特定区間SC毎の停車頻度は、1サイクル毎の各特定区間における停車回数の平均値であり、特定区間SC毎の減速頻度は、1サイクル毎の各特定区間における減速の回数の平均値であり、特定区間SC毎の惰性走行時間は、1サイクル毎の各特定区間における惰性走行時間の平均値であり、特定区間SC毎の経路の勾配(傾斜)は、1サイクル毎の各特定区間における勾配(傾斜)測定値の平均値である。
【0138】
経路CSaに関するグラフの数値は、複数のダンプトラック20のそれぞれが特定区間SC1を走行したときの稼働情報の平均値でもよいし、1台のダンプトラック20が特定区間SC1を走行したときの稼働情報の平均値であってもよい。特定区間SC2、SC3、SC4、SC5、SC6、及びSC7に関しても同様である。
【0139】
なお、
図11に示す画像と
図12に示す画像とは、同一の表示装置16によって表示されてもよいし、異なる表示装置16のそれぞれによって表示されてもよい。また、
図11に示す画像と
図12に示す画像とは、同一の表示装置16によって同時に表示されてもよいし、異なるタイミングで表示されてもよい。
【0140】
例えば、
図11に示すように、複数の特定区間SCのうち、特定区間SC1、SC6におけるダンプトラック20の単位時間当たりの燃料消費量が多い。したがって、
図11に示すグラフのデータに基づいて、経路CSaの単位時間当たりの燃料消費量が多い原因が、例えば、経路CSaの特定区間SC1、SC6におけるダンプトラック20の走行状態に存在すると評価可能である。また、
図12に示すように、複数の特定区間SCのうち、特定区間SC6におけるダンプトラック20の停車頻度及び減速頻度が高い。したがって、
図11及び
図12に示すグラフのデータに基づいて、特定区間SC6を走行するダンプトラック20の燃料消費量が多い原因が、停車頻度及び減速頻度が高いことに存在すると評価可能である。停車頻度及び減速頻度が高い原因が、経路CSa(特定区間SC6)を走行するダンプトラック20のオペレータの運転操作技術(操作手法)に存在すると評価(判定)された場合、そのオペレータの運転操作技術の改善の措置など、適切な措置を講ずることができる。
【0141】
なお、経路CSを走行するダンプトラック20の稼働情報(生産効率の指標)の評価、及び経路CSの特定区間SCにおけるダンプトラック20の稼働情報の評価は、1サイクルごとに行ってもよいし、往路と復路とのそれぞれで行ってもよい。往路での評価においては、ベッセル22の積荷がない状態(空荷の状態)での評価が可能である。復路での評価においては、ベッセル22の積荷がある状態(積載状態)での評価が可能である。
【0142】
以上、経路CSaの特定区間SCにおける稼働情報の評価について説明した。経路CSb、経路CSc、…、経路CSjの特定区間SCにおける稼働情報の評価についても同様である。
【0143】
なお、
図11、
図12に示すグラフに基づいて評価する対象を、複数の経路CSのうちで生産効率が最も低いと評価された経路CSaとする例を説明したが、これに限定されず、
図11、
図12に示すグラフに基づいて評価する対象は、選択した特定の経路であっても良い。
【0144】
なお、
図10、
図11、
図12に示す表示内容を印刷装置19により印刷するようにしても良い。すなわち、表示装置16や印刷装置19により出力されたグラフに基づいて、上記評価を行なうようにすれば良い。
【0145】
<複数のダンプトラックごとの稼働の評価>
上述の実施形態においては、鉱山の複数の経路CSのそれぞれに関してダンプトラック20の稼働情報が評価される例について説明した。鉱山においては、複数のダンプトラック20が稼働する。管理側処理装置12は、複数のダンプトラック20それぞれの生産効率に関する指標を導出し、評価してもよい。複数のダンプトラック20それぞれの生産効率に関する指標は、複数のダンプトラック20のそれぞれの単位時間当たりの燃料消費量、単位時間当たりの積荷運搬量、及び単位燃料量当たりの積荷運搬量の少なくとも一つを含む。
【0146】
例えば、鉱山において複数台のダンプトラック20a、20b、20c、20d、20eが稼働している場合、管理側処理装置12は、各ダンプトラック20a、20b、20c、20d、20e毎の生産効率に関する指標を導出し、評価する。
【0147】
図13は、本実施形態に係る表示装置16の画面の一例を示す。
図13に示す例では、ダンプトラック20の生産効率に関する指標を、複数のダンプトラック20(20a、20b、20c、20d、20e)のそれぞれに対応付けて表示している。本実施形態において、表示装置16は、ダンプトラック20の生産効率に関する指標を、グラフ(棒グラフ及び折れ線グラフ)で表示する。
【0148】
図13に示すグラフにおいて、縦軸は、ダンプトラック20の単位時間当たりの燃料消費量(L/h)、単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)、及び単位燃料消費量当たりの積荷運搬量(ton/L)である。ここで、hは時間であり、Lはリットルであり、tonはトンである。横軸は、複数のダンプトラック20(20a、20b、20c、20d、20e)と、それら複数のダンプトラック20の平均値と、を示す。
【0149】
複数のダンプトラック20(20a、20b、20c、20d、20e)に関するグラフの数値は、それら複数のダンプトラック20のそれぞれが同一の経路CSを走行したときの前記指標の前記複数のダンプトラック20における各サイクルの平均値でもよいし、異なる経路CSを走行したときの前記指標の前記複数のダンプトラック20における各経路CS毎の各サイクルの平均値でもよい。また、複数のダンプトラック20(20a、20b、20c、20d、20e)に関するグラフの数値は、例えば、ある特定のダンプトラック20aが経路CSを1回走行したときの指標でもよいし、ある特定のダンプトラック20aが同一の経路CSを複数サイクル走行したときの前記指標の同一経路CSの各サイクルの平均値でもよい。他のダンプトラック20b、20c、20d、20eに関しても同様である。
【0150】
図14は、本実施形態に係る表示装置16の画面の一例を示し、ダンプトラック20の生産効率に関する指標の他の表示例を示している。前記指標は、複数のダンプトラック20(20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20j)のそれぞれに対応付けて表示される。
【0151】
なお、
図14に示す画像と
図13に示す画像とは、同一の表示装置16によって表示されてもよいし、異なる表示装置16のそれぞれによって表示されてもよい。また、
図14に示す画像と
図13に示す画像とは、同一の表示装置16によって同時に表示されてもよいし、異なるタイミングで表示されてもよい。
【0152】
図14において、表示装置16は、生産効率に関する指標の一つである単位時間当たりの燃料消費量を縦軸とし、単位時間当たりの積荷運搬量を横軸とし、複数のダンプトラック20(20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20j)のそれぞれにおける前記縦軸及び横軸の指標の平均値を原点とする2次元のグラフを表示する。すなわち、前記原点は、複数のダンプトラック20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20jの単位時間当たりの燃料消費量の平均値及び単位時間当たりの積荷運搬量の平均値をそれぞれ示す点である。
【0153】
図14に示す2次元のグラフには、生産効率の評価基準となる単位燃料消費量当たりの積荷運搬量を示すラインLRを表示すると共に、複数のダンプトラック20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20jのそれぞれにおける前記縦軸及び横軸の指標の値を示す複数のポイントを表示している。各ポイントの前記縦軸及び横軸の指標の値は、それぞれ、各ダンプトラック20(20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20j)における各サイクルの単位時間当たりの燃料消費量(L/h)の平均値、及び各ダンプトラック20における各サイクルの単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)の平均値である。
【0154】
図9に示した例と同様に、ラインLRは、一次直線であり、ダンプトラック20の単位燃料消費量当たりの積荷運搬量の逆数(L/ton)を示す。すなわち、ラインLRは、ダンプトラック20の単位積荷運搬量当たりの燃料消費量を示す。グラフにおいて、ラインLRの傾きが大きいほど、ダンプトラック20の生産効率は低い。
【0155】
図14に示す2次元のグラフに基づいて、複数のダンプトラック20(20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20j)毎の稼働評価による生産効率の評価が行われる。
図14に示すグラフにおいて、複数のダンプトラック20のうち、多くの積荷運搬量を少ない燃料消費量で運搬した実績を有するダンプトラック20の生産効率が非常に良いと評価される。すなわち、
図14に示すグラフにおいて、ラインLRよりも下側のエリアA4、A5、A6内に前記ポイントが位置するダンプトラック20の生産効率が良好であると評価できる。一方、ラインLRよりも上側のエリアA1、A2、A3内に前記ポイントが位置するダンプトラック20の生産効率は低いと評価できる。
図14に示す例においては、エリアA6内に前記ポイントが位置するダンプトラック20g、20h、20i、20jの生産効率が最も良好であり、エリアA4、A5内に前記ポイントが位置するダンプトラック20fの生産効率が、エリアA6内に前記ポイントが位置するダンプトラック20の生産効率に次いで良好である、と評価できる。また、エリアA2、A3内に前記ポイントが位置するダンプトラック20b、20e生産効率が、エリアA4、A5内に前記ポイントが位置するダンプトラック20fの生産効率に次いで良好であり、エリアA1内に前記ポイントが位置するダンプトラック20a、20c、20dの生産効率が最も低い、と評価できる。
【0156】
なお、
図14に示す2次元のグラフに基づくグラフの象限による評価の仕方は、
図9により示した評価の仕方と同様である。
【0157】
図14に示すグラフにおいて、例えば、エリアA1内にポイントが位置するダンプトラック20(20a、20c、20d)は、燃料消費量が多いにもかかわらず、積荷運搬量が少ないので、生産効率が低いと評価される。
図14に示すグラフのデータに基づいて、例えば、ダンプトラック20の生産効率が低い原因が、エリアA1内にポイントが位置するダンプトラック20a、20c、20dのオペレータの運転操作技術(操作手法)に存在すると、あるいは、前記ダンプトラック20a、20c、20dの車両状態に存在すると評価可能である。
【0158】
図14に示すグラフにおいて、例えば、エリアA2内にポイントが位置するダンプトラック20eは、燃料消費量は少ないが、積荷運搬量も少ないと評価される。
図14に示すグラフのデータに基づいて、例えば、ダンプトラック20の生産効率が低い原因が、前記ダンプトラック20eの積荷の積載量が少な過ぎる、あるいは、前記ダンプトラック20eの停止時間が長い、などと判断されるので、これを改善するようにオペレータの運転操作を指導できる。
【0159】
図14に示すグラフにおいて、例えば、エリアA3内にポイントが位置するダンプトラック20bは、積荷運搬量は多いが、燃料消費量も多いと評価される。
図14に示すグラフのデータに基づいて、例えば、生産効率が低い原因が、前記ダンプトラック20bの積荷の積載量が多すぎる(過積載である)ことに存在する、あるいは、前記ダンプトラック20bのオペレータの運転操作技術(操作手法)に存在する、と判断されるので、これを改善するようにオペレータの運転操作を指導できる。
【0160】
本実施形態においては、
図14に示すグラフにより、例えば管理者は、複数のダンプトラック20毎の生産効率(生産性と燃費の同時向上)の優劣を迅速にかつ円滑に評価可能である。例えば、複数のダンプトラック20の生産効率に関する指標の平均値(
図14に示すグラフの原点)及び評価基準を示すラインLRに対して、複数のダンプトラック20それぞれの生産効率に関する指標がどの程度優位か否かが迅速に把握可能である。また、ダンプトラック20の生産効率が低い原因が、積荷運搬量に存在するのか燃料消費量に存在するのかが一目で把握できるので、その問題の解決策を迅速に検討し実行することができる。
【0161】
なお、
図14に示すグラフのデータに基づいて、管理側処理装置12が、複数のダンプトラック20の生産効率を自動的に評価するようにしてもよい。このとき、評価結果を評価レポートとして印刷装置19から印刷するようにしてもよい。
【0162】
なお、
図14に示すグラフにおいて、縦軸が単位時間当たりの積荷運搬量であり、横軸が単位時間当たりの燃料消費量であってもよい。この場合、2次元グラフの象限の生産効率に関する評価の優劣が、原点を中心にして
図14の例と逆になる。
【0163】
なお、
図13、
図14に示す表示内容を印刷装置19により印刷するようにしても良い。すなわち、表示装置16や印刷装置19により出力されたグラフに基づいて、上記評価を行なうようにすれば良い。
【0164】
また、
図9による評価の後、複数の経路CSのうちで生産効率の改善が必要(例えば生産効率が最も低い)と評価された経路CSについて 主に燃費及びサイクルタイムを考慮した運転評価を目的として詳細な評価を行なっても良い。
図15に、本実施形態に係る表示装置16の画面の一例を示す。
図15に示す2次元グラフにおいて、横軸は単位サイクルあたりの経過時間つまりサイクルタイムであり、縦軸は単位サイクル当たりの燃料消費量である。この2次元グラフに、例えば前記の生産効率が低いと評価された一つの経路CS等のような評価対象の走行経路を走行した複数のダンプトラック20における前記縦軸及び横軸の指標の平均値を示す点をプロットする。さらに、この2次元グラフに、前記縦軸及び横軸の指標の平均値を示す点を通る、運転評価の基準となる単位時間あたりの燃料消費量つまり平均燃費を示すラインLNを表示する。
【0165】
このような2次元グラフに、複数のダンプトラック20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h毎の前記縦軸及び横軸の指標の実績値を示す点を表示する。前記ラインLNよりも下方の領域にプロットされた点に対応するダンプトラック20の運転は平均的な燃費よりも良い燃費での運転であると評価できる。また、縦軸方向の下方になるほど、燃費が良い運転であると評価できる。さらに、横軸方向の左方になるほど、サイクルタイムが短いので、生産性の面で良い運転であると評価できる。
【0166】
図15に示す2次元グラフに、同一経路CSを走行したオペレータ毎の、同一経路CSの特定区間毎に、走行実績値をプロットしても良い。
図15に示す2次元グラフに基づいて評価することにより、燃費の悪い運転がなされたのはどのダンプトラックか、どのオペレータによる運転か、どの特定区間での運転か等を一目で容易に評価でき、運転方法の評価を適確に行なうことができる。
【0167】
<経路の特定区間における稼働情報の評価>
次に、生産効率が低いと評価されたダンプトラック20についての詳細な評価が行われる。一例として、
図14を参照して説明した評価のうちで、生産効率が最も低いと評価されたダンプトラック20aについての詳細な評価が行われる。本実施形態においては、
図11及び
図12で示した実施形態と同様に、前記ダンプトラック20aが走行した単数又は複数の経路CSの特定区間SCにおけるダンプトラック20aの稼働が評価される。該評価の処理方法は、
図11及び
図12で示した実施形態と同様であるために、ここでの説明は割愛する。
【0168】
<複数の作業期間ごとの稼働の評価>
管理側処理装置12は、複数の作業期間それぞれにおけるダンプトラック20の生産効率に関する指標を導出し、評価してもよい。複数の作業期間それぞれのダンプトラック20の生産効率に関する指標は、複数の作業期間それぞれのダンプトラック20の単位時間当たりの燃料消費量、単位時間当たりの積荷運搬量、及び単位燃料消費量当たりの積荷運搬量の少なくとも一つを含む。
【0169】
例えば、第1期間Ta、第2期間Tb、第3期間Tc、第4期間Td、及び第5期間Teのそれぞれにおいてダンプトラック20が稼働する場合、管理側処理装置12は、第1期間Taにおけるダンプトラック20の生産効率に関する指標、第2期間Tbにおけるダンプトラック20の生産効率に関する指標、第3期間Tcにおけるダンプトラック20の生産効率に関する指標、第4期間Tdにおけるダンプトラック20の生産効率に関する指標、及び第5期間Teにおけるダンプトラック20の生産効率に関する指標のそれぞれを導出し、評価する。なお、期間Tは、例えば季節毎の期間でもよいし、月毎の期間でもよい。
【0170】
図16は、本実施形態に係る表示装置16の画面の一例を示す。
図16に示すように、表示装置16は、ダンプトラック20の生産効率に関する指標を、複数の期間Ta、Tb、Tc、Td、Teのそれぞれに対応付けて表示している。本実施形態において、表示装置16は、ダンプトラック20の生産効率に関する指標を、グラフ(棒グラフ及び折れ線グラフ)で表示する。
【0171】
図16に示すグラフにおいて、縦軸は、ダンプトラック20の単位時間当たりの燃料消費量(L/h)、単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)、及び単位燃料消費量当たりの積荷運搬量(ton/L)である。ここで、hは時間であり、Lはリットルであり、tonはトンである。横軸は、複数の期間Ta、Tb、Tc、Td、Teと、それら複数の期間Tの平均値と、を示す。
【0172】
複数の期間Ta、Tb、Tc、Td、Teに関するグラフの数値は、それら複数の期間Tのそれぞれにおいてダンプトラック20のそれぞれが同一の経路CSを走行したときの前記指標の前記ダンプトラック20における各サイクルの平均値でもよいし、異なる経路CSを走行したときの前記指標の前記ダンプトラック20における各経路CS毎の各サイクルの平均値でもよい。また、第1期間Taに関するグラフの数値は、例えば、ダンプトラック20が経路CSを1回走行したときの指標でもよいし、ダンプトラック20が同一の経路CSを複数回走行したときの平均値でもよい。第2期間Tb、第3期間Tc、第4期間Td、及び第5期間Teに関しても同様である。
【0173】
図17は、本実施形態に係る表示装置16の画面の一例を示し、ダンプトラック20の生産効率に関する指標の他の表示例を示している。本実施形態において、前記指標は、複数の期間Ta、Tb、Tc、Td、Te、Tf、Tg、Th、Ti、Tjのそれぞれに対応付けて表示する例を示す。
【0174】
なお、
図17に示す画像と
図16に示す画像とは、同一の表示装置16によって表示されてもよいし、異なる表示装置16のそれぞれによって表示されてもよい。また、
図17に示す画像と
図16に示す画像とは、同一の表示装置16によって同時に表示されてもよいし、異なるタイミングで表示されてもよい。
【0175】
図17において、表示装置16は、生産効率に関する指標の一つである単位時間当たりの燃料消費量を縦軸とし、単位時間当たりの積荷運搬量を横軸とし、複数の期間Ta、Tb、Tc、Td、Te、Tf、Tg、Th、Ti、Tjのそれぞれにおける前記縦軸及び横軸の指標の平均値を原点とする2次元のグラフを表示する。すなわち、前記原点は、複数の期間Ta、Tb、Tc、Td、Te、Tf、Tg、Th、Ti、Tjそれぞれのダンプトラック20の単位時間当たりの燃料消費量の平均値及び単位時間当たりの積荷運搬量の平均値をそれぞれ示す点である。
【0176】
図17に示す2次元のグラフには、生産効率の評価基準となる単位燃料消費量当たりの積荷運搬量を示すラインLRを表示すると共に、複数の期間Ta、Tb、Tc、Td、Te、Tf、Tg、Th、Ti、Tjのそれぞれにおける前記縦軸及び横軸の指標の値を示す複数のポイントを表示している。各ポイントの前記縦軸及び横軸の指標の値は、それぞれ、各期間T(Ta、Tb、Tc、Td、Te、Tf、Tg、Th、Ti、Tj)における各サイクルの単位時間当たりの燃料消費量(L/h)の平均値、及び各期間Tにおける各サイクルの単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)の平均値である。
【0177】
ラインLRは、一次直線である。本実施形態において、ラインLRは、ダンプトラック20の単位燃料消費量当たりの積荷運搬量の逆数(L/ton)を示す。すなわち、ラインLRは、ダンプトラック20の単位積荷運搬量当たりの使用燃料消費量を示す。グラフにおいて、ラインLRの傾きが大きいほど、ダンプトラック20の生産効率は低い。
【0178】
図17に示す2次元のグラフに基づいて、複数の期間T(Ta、Tb、Tc、Td、Te、Tf、Tg、Th、Ti、Tj)毎のダンプトラック20の稼働評価による生産効率の評価が行われる。
図17に示すグラフにおいて、複数の期間Tのうち、多くの積荷運搬量を少ない燃料消費量で運搬した実績を有する期間Tにおいて走行したダンプトラック20の生産効率が非常に良いと評価される。すなわち、
図17に示すグラフにおいて、ラインLRよりも下側のエリアA4、A5、A6内に前記ポイントが位置する期間Tにおけるダンプトラック20の生産効率が良好であると評価できる。一方、ラインLRよりも上側のエリアA1、A2、A3内に前記ポイントが位置する期間Tにおけるダンプトラック20の生産効率は低いと評価できる。
図17に示す例においては、エリアA6内に前記ポイントが位置する期間Tg、Th、Ti、Tjにおけるダンプトラック20の生産効率が最も良好であり、エリアA4、A5内に前記ポイントが位置する期間Tfにおけるダンプトラック20の生産効率が、エリアA6内に前記ポイントが位置する期間Tにおけるダンプトラック20の生産効率に次いで良好である、と評価できる。また、エリアA2、A3内に前記ポイントが位置する期間Tb、Teにおけるダンプトラック20の生産効率が、エリアA4、A5内に前記ポイントが位置する期間Tfにおけるダンプトラック20の生産効率に次いで良好であり、エリアA1内に前記ポイントが位置する期間Ta、Tc、Tdにおけるダンプトラック20の生産効率が最も低い、と評価できる。
【0179】
図17に示すグラフにおいて、例えば、エリアA1に位置する期間Ta、Tc、Tdにおいて稼働したダンプトラック20は、燃料消費量が多いにもかかわらず、積荷運搬量が少ないので、生産効率が低いと評価される。
図17に示すグラフのデータに基づいて、例えば、ダンプトラック20の生産効率が低い原因が、前記期間Ta、Tc、Tdの環境(気温、湿度、経路の路面状態など)に存在すると評価可能である。あるいは、ダンプトラック20の生産効率が低い原因が、前記期間Ta、Tc、Tdにおいて環境により車両状態が劣化(すなわち車両能力が低下)することに存在すると評価可能である。
【0180】
本実施形態においては、
図17に示すグラフにより、例えば管理者は、複数の期間T毎のダンプトラック20の生産効率の優劣を迅速にかつ円滑に評価可能である。例えば、複数の期間Tそれぞれのダンプトラック20の生産効率に関する指標の平均値(すなわち
図17に示すグラフの原点)及び評価基準を示すラインLRに対して、複数の期間Tそれぞれのダンプトラック20の生産効率に関する指標がどの程度優位か否か迅速に把握可能である。また、ダンプトラック20の生産効率が低い原因が、積荷運搬量に存在するのか燃料消費量に存在するのかが一目で把握できるので、その問題の解決策を迅速に検討し実行することができる。
【0181】
なお、
図17に示すグラフのデータに基づいて、管理側処理装置12が、複数の期間T毎のダンプトラック20の生産効率を自動的に評価するようにしてもよい。このとき、評価結果を評価レポートとして印刷装置19から印刷するようにしてもよい。
【0182】
なお、
図17に示すグラフにおいて、縦軸が単位時間当たりの積荷運搬量であり、横軸が単位時間当たりの燃料消費量であってもよい。この場合、2次元グラフの象限の生産効率に関する評価の優劣が、原点を中心にして
図9の例と逆になる。
【0183】
<経路の特定区間における稼働情報の評価>
次に、生産効率が低いと評価された期間Tにおけるダンプトラック20についての詳細な評価が行われる。一例として、
図17を参照して説明した評価のうちで、生産効率が最も低いと評価された期間Taにおけるダンプトラック20についての評価が行われる。本実施形態においては、
図11及び
図12で示した実施形態と同様に、前記期間Taにおける単数又は複数のダンプトラック20が走行した単数又は複数の経路CSの特定区間SCにおけるダンプトラック20の稼働が評価される。該評価の処理方法は、
図11及び
図12で示した実施形態と同様であるために、ここでの説明は割愛する。
【0184】
<複数の特定区間ごとの稼働の評価>
管理側処理装置12は、複数の経路に含まれる複数の特定区間それぞれにおけるダンプトラック20の生産効率に関する指標を導出し、評価してもよい。例えば、鉱山において単数台又は複数台のダンプトラック20が複数の経路を走行しており、前記複数の経路に複数の特定区間が含まれている場合、管理側処理装置12は、各特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCe毎の生産効率に関する指標を導出し、評価してもよい。前記生産効率に関する指標は、例えば単位時間当たりの燃料消費量、単位時間当たりの積荷運搬量、及び単位燃料消費量当たりの積荷運搬量等である。
【0185】
図18は、本実施形態に係る表示装置16の画面の一例を示す。
図18に示す例では、前記生産効率に関する指標を、複数の特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCeのそれぞれに対応付けて表示している。本実施形態において、表示装置16は、前記生産効率に関する指標を、グラフ(棒グラフ及び折れ線グラフ)で表示する。
【0186】
図18に示すグラフにおいて、縦軸は、各特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCeにおけるダンプトラック20の単位時間当たりの燃料消費量(L/h)、単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)、及び単位燃料消費量当たりの積荷運搬量(ton/L)である。ここで、hは時間であり、Lはリットルであり、tonはトンである。横軸は、複数の特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCeと、それら複数の特定区間SCの平均値と、を示す。
【0187】
各特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCeにおけるグラフの指標の数値は、単数又は複数のダンプトラック20が同一の特定区間SCを走行したときの前記特定区間SCにおける全ダンプトラック20の各サイクル毎の前記指標の平均値でもよいし、単数又は複数のダンプトラック20が複数の特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCeを走行したときの各特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCeにおける全ダンプトラック20の各サイクル毎の前記指標の平均値でもよい。
【0188】
図19は、本実施形態に係る表示装置16の画面の一例を示し、ダンプトラック20の前記生産効率に関する指標の他の表示例を示している。前記指標は、複数の特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCe、SCf、SCg、SCh、SCi、SCjのそれぞれに対応付けて表示される。
【0189】
なお、
図19に示す画像と
図18に示す画像とは、同一の表示装置16によって表示されてもよいし、異なる表示装置16のそれぞれによって表示されてもよい。また、
図19に示す画像と
図18に示す画像とは、同一の表示装置16によって同時に表示されてもよいし、異なるタイミングで表示されてもよい。
【0190】
図19において、表示装置16は、生産効率に関する指標の一つである単位時間当たりの燃料消費量を縦軸とし、単位時間当たりの積荷運搬量を横軸とし、複数の特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCe、SCf、SCg、SCh、SCi、SCjのそれぞれにおける前記縦軸及び横軸の指標の平均値を原点とする2次元のグラフを表示する。すなわち、前記原点は、複数の特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCe、SCf、SCg、SCh、SCi、SCjそれぞれの単位時間当たりの燃料消費量の平均値、及び単位時間当たりの積荷運搬量の平均値をそれぞれ示す点である。
【0191】
図19に示す2次元のグラフには、生産効率の評価基準となる単位燃料消費量当たりの積荷運搬量を示すラインLRを表示すると共に、複数の特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCe、SCf、SCg、SCh、SCi、SCjのそれぞれにおける前記縦軸及び横軸の指標の値を示す複数のポイントを表示している。各ポイントの前記縦軸及び横軸の指標の値は、それぞれ、対応する各特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCe、SCf、SCg、SCh、SCi、SCjにおけるダンプトラック20の各サイクルの単位時間当たりの燃料消費量(L/h)の平均値、及びダンプトラック20の各サイクルの単位時間当たりの積荷運搬量(ton/h)の平均値である。
【0192】
図9に示した例と同様に、ラインLRは、一次直線であり、ダンプトラック20の単位燃料消費量当たりの積荷運搬量の逆数(L/ton)を示す。すなわち、ラインLRは、ダンプトラック20の単位積荷運搬量当たりの燃料消費量を示す。グラフにおいて、ラインLRの傾きが大きいほど、ダンプトラック20の生産効率は低い。
【0193】
図19に示す2次元のグラフに基づいて、複数の特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCe、SCf、SCg、SCh、SCi、SCj毎の稼働評価による生産効率の評価が行われる。
図19に示すグラフにおいて、複数の特定区間SCa、SCb、SCc、SCd、SCe、SCf、SCg、SCh、SCi、SCjのうち、多くの積荷運搬量を少ない燃料消費量で運搬した実績を有する特定区間の生産効率が非常に良いと評価される。すなわち、ラインLRよりも下側のエリアA4、A5、A6内に前記ポイントが位置する特定区間におけるダンプトラック20の生産効率が良好であると評価できる。一方、ラインLRよりも上側のエリアA1、A2、A3内に前記ポイントが位置する特定区間における生産効率は低いと評価できる。
図19に示す例においては、エリアA6内に前記ポイントが位置する特定区間SCg、SCh、SCi、SCjにおけるダンプトラック20の生産効率が最も良好であり、エリアA4、A5内に前記ポイントが位置する特定区間SCfにおけるダンプトラック20の生産効率が、エリアA6内に前記ポイントが位置する特定区間SCg、SCh、SCi、SCjにおけるダンプトラック20の生産効率に次いで良好である、と評価できる。また、エリアA2、A3内に前記ポイントが位置する特定区間SCb、SCeにおけるダンプトラック20の生産効率が、エリアA4、A5内に前記ポイントが位置する特定区間SCfにおけるダンプトラック20の生産効率に次いで良好であり、エリアA1内に前記ポイントが位置する特定区間SCa、SCc、SCdにおけるダンプトラック20の生産効率が最も低い、と評価できる。
【0194】
なお、
図19に示す2次元のグラフに基づくグラフの象限による評価の仕方は、
図9により示した評価の仕方と同様である。
【0195】
図19に示すグラフにおいて、例えば、エリアA1内にポイントが位置する特定区間SCa、SCc、SCdにおけるダンプトラック20は、燃料消費量が多いにもかかわらず、積荷運搬量が少ないので、生産効率が低いと評価される。このデータに基づいて、例えば、特定区間SCa、SCc、SCdにおけるダンプトラック20の生産効率が低い原因が、特定区間SCa、SCc、SCdにおける路面状態が不良(例えば、滑り易い路面、凸凹度が大きい路面等)であることに存在する可能性がある、評価される。従って、別の稼働情報に基づいて、前記特定区間SCa、SCc、SCdでの走行速度や車体傾斜角度等を詳細に調査し、路面状態が不良なのか、又は他の原因があるのかを評価することになる。
【0196】
図19に示すグラフにおいて、例えば、エリアA2内にポイントが位置する特定区間SCeにおけるダンプトラック20は、燃料消費量は少ないが、積荷運搬量も少ないと評価される。このデータに基づいて、例えば、特定区間SCeにおけるダンプトラック20の生産効率が低い原因として、積荷の積載量が少な過ぎる、あるいは停止時間が長いか、走行速度が遅すぎる可能性が考えられる、と評価される。従って、別の稼働情報に基づいて、前記特定区間SCeの走行時の積荷積載量や、停車時間、走行速度等を詳細に調査し、これが原因であると判明したら、これを改善するようにオペレータの運転操作を指導できる。
【0197】
図19に示すグラフにおいて、例えば、エリアA3内にポイントが位置する特定区間SCbにおけるダンプトラック20は、積荷運搬量は多いが、燃料消費量も多いと評価される。このデータに基づいて、例えば、特定区間SCbにおけるダンプトラック20の生産効率が低い原因が、積荷の積載量が多すぎる(すなわち過積載である)ことに存在する、あるいは、走行速度が規定速度よりも過度に高速であるか又は急加速及び急減速の頻度が多すぎることに存在する可能性がある、と評価される。従って、別の稼働情報に基づいて、特定区間SCbの走行時の走行速度や、加速度及び減速度の大きさ及び頻度等を詳細に調査し、これが原因であると判明したら、これを改善するようにオペレータの運転操作を指導できる。
【0198】
本実施形態においては、
図19に示すグラフにより、例えば管理者は、複数の特定区間毎の生産効率の優劣を迅速にかつ円滑に評価可能である。例えば、複数の特定区間における生産効率に関する指標の平均値(
図19に示すグラフの原点)及び評価基準を示すラインLRに対して、複数の特定区間それぞれの生産効率に関する指標がどの程度優位か否かが迅速に把握可能である。また、ある特定区間での生産効率が低い原因が、積荷運搬量に存在するのか燃料消費量に存在するのかが一目で把握できるので、その問題の解決策を迅速に検討し実行することができる。
【0199】
なお、
図19に示すグラフのデータに基づいて、管理側処理装置12が、複数の特定区間毎におけるダンプトラック20の生産効率を自動的に評価するようにしてもよい。このとき、評価結果を評価レポートとして印刷装置19から印刷するようにしてもよい。
【0200】
なお、
図19に示すグラフにおいて、縦軸が単位時間当たりの積荷運搬量であり、横軸が単位時間当たりの燃料消費量であってもよい。この場合、2次元グラフの象限の生産効率に関する評価の優劣が、原点を中心にして
図19の例と逆になる。
【0201】
なお、
図15、
図16、
図17、
図18、
図19に示す表示内容を印刷装置19により印刷するようにしても良い。すなわち、表示装置16や印刷装置19により出力されたグラフに基づいて、上記評価を行なうようにすれば良い。
【0202】
以上説明したように、本実施形態によれば、特定区間SCにおけるダンプトラック20の稼働情報を評価するようにしたので、その経路CSにおけるダンプトラック20の稼働情報を適確に評価できる。また、本実施形態によれば、その稼働情報に基づいて、特定区間SCにおけるダンプトラック20の稼働状態を適正に評価することができる。また、その稼働情報を特定区間SCに対応付けて表示装置16で表示することにより、経路のどの特定区間SCにおいてどのような事象が生じているのかを迅速かつ適確に把握することができる。そのため、例えば、前記ダンプトラック20に不具合が生じた場合でも、その不具合情報を迅速に取得して評価したり、その不具合を解消するための措置を講じたりすることができる。
【0203】
また、本実施形態によれば、複数の経路CS毎にダンプトラック20の稼働情報(生産効率に関する指標)を導出し、評価するようにしたので、複数の経路CSのうちどの経路CSにおいてダンプトラック20の生産効率が低下しているのかを適正に判断することができる。また、生産効率の低下を抑制するための適切な措置を講じることができる。
【0204】
また、本実施形態によれば、複数のダンプトラック20ごとにダンプトラック20の稼働情報(生産効率に関する指標)を導出し、評価するようにしたので、複数のダンプトラック20のうちどのダンプトラック20の生産効率が低下しているのかを適正に判断することができる。また、生産効率の低下を抑制するための適切な措置を講じることができる。
【0205】
また、本実施形態によれば、複数の期間ごとにダンプトラック20の稼働情報(生産効率に関する指標)を導出し、評価するようにしたので、複数の期間のうちどの期間においてダンプトラック20の生産効率が低下しているのかを適正に判断することができる。また、生産効率の低下を抑制するための適切な措置を講じることができる。
【0206】
また、本実施形態においては、
図9、
図14、
図17、及び
図19を参照して説明したような2次元のグラフを表示装置16に表示することによって、例えば管理者は、表示装置16の表示に基づいて、ダンプトラック20の生産効率に関する指標を一目で容易に評価可能である。例えば、前記2次元のグラフの原点(生産効率の指標の平均値)及びこの原点を通る評価基準のラインに対して、ダンプトラック20の稼働情報(生産効率に関する指標)の優劣が一目で把握可能である。また、ダンプトラック20の生産効率が低い原因が、単位時間当たりの積荷運搬量に存在するのか単位時間当たりの燃料消費量に存在するのかが一目で把握可能である。
【0207】
なお、上述の実施形態において、稼働情報の評価は、管理者などが行ってもよいし、管理側処理装置12が行ってもよいし、車載処理装置30が行ってもよい。
【0208】
なお、上述の実施形態において、ダンプトラック20の位置情報の検出に、GPS衛星とは別の測位用衛星が使用されてもよい。例えば、GNSS(全地球航法衛星システム:Global Navigation Satellite System)による測位が行われることによって、ダンプトラック20の位置情報が検出される。
【0209】
上述した各実施形態の構成要件は、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものを含む。また、上述した各実施形態の構成要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
鉱山機械の管理システムは、鉱山の経路を走行可能な鉱山機械に搭載され、鉱山機械の位置情報を検出する位置情報検出装置と、鉱山機械に搭載され、鉱山機械の稼働情報を検出する稼働情報検出装置と、位置情報及び稼働情報に基づいて、稼働情報を評価する第1評価装置と、を備える。鉱山の経路は、所定間隔で配置された複数のノードと、互いに隣接するノード間を接続する複数のリンクとを含み、互いに隣接するリンク同士の勾配差が所定値以下であり、かつ互いに隣接するリンク同士の方位差が所定値以下であり、かつ互いに隣接するリンクの間に交差点が存在しない特定区間を含む経路情報を有する。第1評価装置は、経路の特定区間における稼働情報を評価する。