(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記算出する工程が、前記出力信号をサンプリングするために用いる回路の位相シフトを考慮して位相角補償を用いて静電容量を算出する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明は、図面を参照しつつ読まれるべきもので、異なる図面中、同様の要素は同様の参照符号にて示してある。図面は必ずしも一定の縮尺を有さず、選択した実施形態を示したものであって、本発明の範囲を限定するものではない。詳細な説明は本発明の原理を限定するものではなく、あくまでも例として説明するものである。この説明文は、当業者による発明の製造及び使用を明確に可能ならしめるものであり、出願時における発明を実施するための最良の形態と考えられるものを含む、発明の複数の実施形態、適応例、変形例、代替例、並びに使用例を述べるものである。
【0015】
本明細書で任意の数値や数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその所望の目的に沿って機能することを可能とするような適当な寸法の許容誤差を示すものである。更に、本明細書で用いる「患者」、「ホスト」、「ユーザー」、及び「被験者」という用語は任意のヒト又は動物患者を指し、システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを目的としたものではないが、ヒト患者における本発明の使用は好ましい実施形態を代表するものである。
【0016】
本発明のシステム及び方法は、多種多様な試料中の多種多様な分析物の測定で使用するのに好適であり、全血、血漿、血清、間質液、又はそれらの類縁体中の分析物の測定で使用するのに特に好適である。例示的な実施形態において、対向する電極を有する薄層セル設計及び速い(例えば、約5秒の分析時間)3つのパルス電気化学設計に基づくグルコース試験システムが必要とするのは、少量の試料(例えば、約0.4μL(マイクロリットル))であり、血液グルコース測定の改善された信頼性及び精度を提供することができる。反応セルでは、試料中のグルコースは、グルコースデヒドロゲナーゼを使用してグルコノラクトンに酸化することができ、電気化学的に活性である媒介物質は、酵素から作用電極に電子をシャトル輸送するために使用することができる。3つのパルスの電位波形を作用電極及び対電極に印加するために定電位を利用することができ、結果として、グルコース濃度を算出するために使用される試験電流遷移を生じる。更に、試験電流遷移から得られる追加的な情報は、サンプルマトリックス間の区別、及びヘマトクリット値、温度変化、電気化学的活性成分による血液サンプルの変動性の補正、並びに起こり得るシステムエラーの同定のために使用され得る。
【0017】
標記方法は、原理的には、離間した第一及び第二電極と試薬層とを有する任意のタイプの電気化学セルと共に使用することができる。例えば、電気化学セルは、試験ストリップの形状であることができる。一態様では、試験ストリップは、試料受容試験セル又は試薬層が位置決めされる領域を画定するために薄いスペーサにより分離された2つの対向する電極を含んでもよい。例えば、同一平面上の電極を有する試験ストリップなどの他の種類の試験ストリップを、本明細書に記載される方法と共に使用してもよいことを、当業者なら理解するであろう。
【0018】
図1は、糖尿病データ管理ユニット10と、グルコース試験ストリップ80の形態のバイオセンサとを含む糖尿病管理システムを示す。糖尿病データ管理ユニット(DMU)は、分析物測定及び管理ユニット、グルコース測定器、測定器、及び分析物測定デバイスと呼ばれる場合もあることに留意されたい。一実施形態において、DMUは、インスリン送達デバイス、追加の分析物試験デバイス、及び薬物送達デバイスと組み合わされてもよい。DMUは、ケーブル又は好適な無線技術、例えば、GSM(登録商標)、CDMA、BlueTooth(登録商標)、WiFi等を介して、コンピュータ26又はサーバ70に接続されてもよい。
【0019】
図1に戻って参照すると、グルコース測定器10は、ハウジング11、ユーザーインターフェースボタン(16、18、及び20)、ディスプレイ14、及びストリップポート開口22を含むことができる。ユーザーインターフェースボタン(16、18及び20)は、データの入力、メニューのナビゲーション、及びコマンドの実行を可能とするように構成することができる。ユーザーインターフェースボタン18は、2方向トグルスイッチの形態であることができる。データには、検体濃度及び/又は患者の日常の生活習慣に関連した情報を表す値を挙げることができる。日常の生活習慣に関連した情報には、食物の摂取、薬の使用、健康診断の実施、並びに個々の一般的な健康状態及び運動レベルを挙げることができる。
【0020】
測定器10の電子構成要素は、ハウジング11内部の回路基板34上に配置することができる。
図2は、回路基板34の上面上に配置された電子構成要素を(概略的な形で)示す。上面上の電子構成要素としては、ストリップポート開口308、マイクロコントローラ38、不揮発性フラッシュメモリ306、データポート13、リアルタイムクロック42、及び複数のオペアンプ(46〜49)が挙げられる。底面上の電子構成要素としては、複数のアナログスイッチ、バックライトドライバ、及び電気的消却・プログラム可能型読取専用メモリ(EEPROM、図示せず)が挙げられる。マイクロコントローラ38は、ストリップポート開口308、不揮発性フラッシュメモリ306、データポート13、リアルタイムクロック42、複数のオペアンプ(46〜49)、複数のアナログスイッチ、バックライトドライバ、及びEEPROMに電気的に接続され得る。
【0021】
図2に戻って参照すると、複数のオペアンプは、利得段オペアンプ(46及び47)、トランスインピーダンスオペアンプ48、及びバイアスドライバオペアンプ49を含み得る。複数のオペアンプは、ポテンシオスタット機能及び電流測定機能の一部を提供するように構成され得る。ポテンシオスタット機能とは、試験ストリップの少なくとも2つの電極間に試験電圧を加えることを指し得る。電流機能とは、加えられた試験電圧によって生じる試験電流を測定する工程を指し得る。電流測定は、電流電圧変換器によって行うことができる。マイクロコントローラ38は、例えばTexas Instrument MSP 430などの混合シグナルマイクロプロセッサ(MSP)の形態であってよい。MSP 430は、ポテンシオスタット機能及び電流測定機能の一部を行うように構成することもできる。更に、MSP 430はまた、揮発性及び不揮発性メモリを含むことができる。別の実施形態では、電子構成要素の多くは、特定用途向け集積回路(ASIC)の形態でマイクロコントローラと統合され得る。
【0022】
ストリップポートコネクタ308は、ストリップポート開口22に近接して位置決めされ、かつ試験ストリップと電気的接続を形成するように構成されることができる。ディスプレイ14は、測定された血糖値を報告し、生活習慣に関連した情報の入力を容易にするための、液晶ディスプレイの形態であってよい。ディスプレイ14は、任意にバックライトを有してよい。データポート13は、接続リード線に取り付けられた適当なコネクタを受容することにより、グルコース測定器10をパーソナルコンピュータなどの外部装置に接続することができるようになっている。データポート13は、例えば、シリアル、USB、又はパラレルポートなど、データ送信が可能な任意のポートであってもよい。
【0023】
リアルタイムクロック42は、ユーザーが位置する地理的領域に関連する現在時刻を維持し、また時間を計測するように構成され得る。リアルタイムクロック42は、クロック回路45、クリスタル44、及び超コンデンサ43を含んでもよい。DMUは、例えば、電池などの電源に電気的に接続されるように構成され得る。超コンデンサ43は、電力供給障害があった場合にリアルタイムクロック42に電力供給するために、長時間電力供給するように構成され得る。したがって、電池が放電する又は交換されるときに、ユーザーがリアルタイムクロックを固有時間に再設定する必要がない。リアルタイムクロック42を超コンデンサ43と一緒に使用することによって、ユーザーがリアルタイムクロック42を誤って再設定するかもしれないリスクを軽減することができる。
【0024】
図3Aは例示的な試験ストリップ80を示しており、そのストリップ80は、遠位端80から近位端82まで延びかつ側縁部を有する細長い本体を含む。ここで示されるように、試験ストリップ80はまた、第1の電極層66aと、絶縁層66bと、第2の電極層64aと、絶縁層64bと、2つの電極層64a及び66aの間に挟まれたスペーサ60とを含む。第1の電極層66aは、第1の電極67aと、第1の接続トラック76と、第1の接触パッド47とを含むことができ、
図3A及び
図4に示されるように、第1の接続トラック76は、第1の電極層66aを第1の接触パッド67に電気的に接続する。第1の電極67aは、試薬層72の直下にある第1の電極層66aの一部であることに留意されたい。同様に、第2の電極層64aは、第2の電極67bと、第2の接続トラック78と、第2の接触パッド78とを含むことができ、
図3及び
図4に示されるように、第2の接続トラック78は、第2の電極67bを第2の接触パッド78に電気的に接続する。第2の電極は、試薬層72の上方にある第2の電極層64aの一部を含むことに留意されたい。
【0025】
図3Aに示されるように、試料受容電気化学試験セル61は、第1の電極67a、第2の電極67b、及び試験ストリップ80の遠位端80の近くのスペーサ60によって画定される第1の電極67a及び第2の電極67bは、それぞれ、試料受容電気化学試験セル61の底部及び上部を画定することができる。スペーサ60の切欠き領域68は、試料受容電気化学試験セル61の側壁を画定することができる一態様では、試料受容電気化学試験セル61は、試料入口及び/又は通気口を提供するポート70を含むことができる。例えば、ポートの1つは流体試料が入るのを可能にし、他のポートは空気が出るのを可能にし得る。1つの例示的な実施形態において、第1の電極層66a及び第2の電極層64aは、それぞれ、スパッタされたパラジウム及びスパッタされた金から作製することができる。スペーサ60として使用することができる好適な材料としては、例えば、プラスチック(例えば、PET、PETG、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン)、シリコン、セラミック、ガラス、接着剤、及びこれらの組み合わせなどの様々な絶縁材料が挙げられる。一実施形態において、スペーサ60は、ポリエステルのシートの両面にコーティングされた両面接着剤の形態であってもよく、その場合、接着剤は、感圧性接着剤又は加熱活性化接着剤であってもよい。
【0026】
図3Aに戻って参照すると、第1の電極及び第2の電極の面積は、2つの側縁部及び切欠き領域68によって画定され得る。この面積は、液体試料によって湿潤される電極層の表面として定義され得ることに留意されたい。一実施形態において、スペーサ60の接着剤部分は、接着剤が第1の電極層66Aと結合を形成するように、試薬層に混ざる及び/又は部分的に溶解することができる。このような接着結合は、液体試料によって湿潤され得る電極層の一部分を画定するのを助け、更には媒介物質を電解酸化又は電解還元するのを助ける。
【0027】
第1の電極又は第2の電極のいずれかは、印加された試験電圧の大きさ及び/又は極性に応じて、作用電極の機能を実行することができる。作用電極は、還元された媒介物質の濃度に比例する限界試験電流を測定することができる。例えば、電流を制限する種が還元された媒介物質(例えば、フェロシアン化物)である場合、試験電圧が第2の電極に対する酸化還元媒介物質の電位より十分に低ければ、還元された媒介物質を第1の電極で酸化できる。かかる状況において、第1の電極は作用電極の機能を実行し、第2の電極は対電極/参照電極の機能を実行する。当業者は、対電極/参照電極を単に参照電極又は対電極として参照してもよいことに留意すべきである。制限酸化は、測定された酸化電流が、バルク溶液から作用電極表面へ拡散する還元された媒介物質の流量に比例するように、全ての還元された媒介物質が作用電極面で枯渇したときに生じる。バルク溶液という用語は、枯渇領域内に還元された媒介物質が存在しない、作用電極から十分に離れた溶液の一部を指す。試験ストリップ80に関して特に明記しない限り、以下、測定器10により印加された電位は全て、第2の電極に関して記述されるものであることに留意するべきである。同様に、試験電圧が酸化還元媒介物質の電位より十分に高い場合、その還元された媒介物質は、制限電流として第2の電極で酸化され得る。このような状況では、第2の電極は作用電極の機能を実行し、第1の電極は対電極/参照電極としての機能を実行する。例示的な試験ストリップ、ストリップの操作、及び試験測定器に関する詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、写しが付属書類に添付される、米国特許出願公開第20090301899号に見出される。
【0028】
図3Aを参照すると、試験ストリップ80は、1つ以上の作用電極と対電極とを含むことができる。試験ストリップ80は、更に複数の電気的接触パッドを有することができ、その場合、各電極は少なくとも1つの電気的接触パッドと電気的に導通することができる。ストリップポートコネクタ308は、電気的接触パッドと電気的にインターフェースして、電極と電気的導通を形成するように構成され得る。試験ストリップ80は、少なくとも1つの電極上に配置されている試薬層を含むことができる。試薬層は、酵素及び調節物質を含み得る。試薬層に使用するのに適した例示的な酵素としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ(ピロロキノリンキノン補因子「PQQ」とともに)、及びグルコースデヒドロゲナーゼ(フラビンアデニンジヌクレオチド補因子「FAD」とともに)が挙げられる。試薬層に使用するのに適した例示的な調節物質としては、フェリシアニドがあり、この場合では酸化型である。試薬層は、グルコースを酵素的副産物に物理的に変換させ、その過程でグルコース濃度に比例した所定量の還元型の調節物質(例、フェロシアニド)を生成するように構成することができる。この後、作用電極によって還元型調節物質の濃度を電流の形態で測定することができる。次いで、グルコース測定器10は電流の大きさをグルコース濃度に変換することができる。好ましい試験ストリップの詳細は、米国特許第6179979号、同第6193873号、同第6284125号、同第6413410号、同第6475372号、同第6716577号、同第6749887号、同第6863801号、同第6890421号、同第7045046号、同第7291256号、同第7498132号に提供されており、当該特許の全ては、参照によりそれら全てが本明細書に組み込まれる。
【0029】
図4は、静電容量の測定のために使用される種々の機能的構成要素を概略的な形で示す。具体的には、構成要素はマイクロコントローラ300を含む。マイクロコントローラ300の好ましい実施形態は、Texas Instrumentから超低電力マイクロコントローラモデルMSP430として入手可能である。マイクロコントローラ(「MC」)300は、DAC出力及び内蔵A−D変換器を備えていてもよい。MC 300は、液晶ディスプレイ画面304に好適に接続されて、検査結果又は検査結果に関連したその他の情報の表示を提供する。メモリ306は、検査結果、感度電流、及び他の必要な情報又はデータを保存するために、MC 300に電気的に接続される。試験ストリップは、試験測定のためにストリップポートコネクタ(「SPC」)308を介して連結され得る。SPC 308は、試験ストリップが、第1の接触パッド47a、47b及び第2の接触パッド43を介してMC 300とインターフェースをとるのを可能にする。
図4に示されるように、第2の接触パッド43を使用して、試験測定器に対する電気的接続を、U字形の切欠き部45を介して確立することができる。SPC 308には、電極コネクタ308a及び308cもまた備わっていてもよい。第1の接触パッド47は、47a及び47bで表わされるプロングを含むことができる。1つの例示的な実施形態において、第1の電極コネクタ308a及び308cは、それぞれ、プロング47a及び47bに別々に接続される。第2の電極コネクタ308bは、第2の接触パッド43に接続することができる。試験測定器10は、試験ストリップ80が試験測定器10に電気的に接続されているか否かを判定するために、プロング47aと47bとの間の抵抗又は電気的導通を測定することができる。
【0030】
図4を参照すると、SPC 308はスイッチ310に接続される。スイッチ310はバイアスドライバ312に接続される。バイアスドライバ312には、DAC信号312a、カレントドライブ312b、及びスイッチ信号312cが供給される。MC 300はDAC信号312aを提供し、その信号は、0からVref(例えば、約2.048V)の範囲のアナログ電圧を包含する。バイアスドライバ312は、定電圧又は定電流の2つのモードで動作することができる。カレントドライバライン312bは、バイアスドライバ312のモードを制御する。ライン312bを低く設定すると、バイアスドライバ312のオペアンプは電圧フォロワー増幅器になる。DAC信号312a出力は、Vref/2+/−400mVフルスケールにスケーリングされる。バイアスドライバのオペアンプは、この電圧をライン・ドライバ−ライン312dとしてMC 300に直接出力する。ライン312dの電圧は、Vref/2仮想接地に対して生成される。好適なバイアス(例えば、約20mVのバイアス)で駆動するために、DACは(好適なスケーラを介して)約1.044Vで駆動する必要がある。約+300mVのバイアスで駆動するために、DACは、通常、約1.324Vを提供する必要があり、−300mVのバイアスでは、DACは通常、約0.724Vを提供する必要がある。バイアスドライバ回路312はまた、109Hzの正弦波を生成し、静電容量測定によって充填を検出するために使用される。
【0031】
一方、バイアスドライバ312に対するカレントドライブ信号312aが高く保たれる場合、DAC出力は、約0〜約60mVフルスケールにスケーリングされる。スイッチ信号312cも給電されて、試験ストリップを通る電流路をバイアスドライバ312の抵抗器を通って迂回させることができる。バイアスドライバ312のオペアンプは、抵抗器にわたる電圧降下が、スケーリングされたDACドライブと同じとなるように制御することを試み、この場合には約600nAの電流を生成する。この電流は、試験測定を開始するために、試料検出に使用される。
【0032】
バイアスドライバ312は、トランスインピーダンス増幅回路(「TIA回路」)314にも接続される。TIA回路314は、ストリップの電極層66a(例えば、パラジウム)を通って電極層64a(例えば、金)接点まで流れる電流を電圧に変換する。全体的な利得は、TIA回路314の抵抗器によって制御される。ストリップ80は高容量性負荷であるので、標準的な低オフセット増幅器は振動する傾向がある。このため、低価格のオペアンプがTIA回路314にユニティ・ゲイン・バッファとして提供され、全体のフィードバックループ内に組み込まれる。機能ブロックとして、回路314は、高い駆動能力及び低電圧オフセットの両方を備えたデュアルオペアンプシステムとしての機能を果たす。TIA回路314はまた、仮想接地(又は仮想アース)を利用して、SPC 308の電極層64a(例えば、金)接点上に1.024Vのバイアスを生成する。回路314は、Vref増幅回路316にも接続される。この回路は、電流測定モードのとき、Vref/2(約1.024V)に設定された仮想接地レールを使用し、正電流及び負電流の両方を測定できるようにする。この電圧は利得増幅段318の全てに供給される。あらゆる回線負荷がこの電圧を「引き上げる」のを防止するため、ユニティ・ゲイン・バッファ増幅器をVref増幅回路316内で使用してもよい。
【0033】
TIA回路314からのストリップ電流信号314a及び電圧基準増幅器316からの仮想接地レール316a(〜Vref/2)は、試験測定周期の種々の段階での必要性に応じてスケールアップされる。例示的な実施形態において、MC 300には、試験ストリップから感知された増幅信号の4つの回線が備わっており、分析物アッセイ中の試験ストリップの測定周期の異なる段階での必要性に応じて感度電流の増幅は変化する。
【0034】
一実施形態において、試験測定器10は、試験ストリップ80の第1の接触パッド47と第2の接触パッド43との間に、試験電圧及び/又は電流を印加することができる。ストリップ80が挿入されたことを試験測定器10が認識した時点で、試験測定器10のスイッチが入り、流体検出モードを開始する。一実施形態では、測定器は、ストリップ80を流れる微小電流(例えば0.2〜1μA)を駆動することを試みる。試料が存在しない場合、抵抗は数メガオームを超えるので、電流を印加しようとするオペアンプの駆動電圧はレールに進む。試料が導入されると、抵抗は急激に低下し、駆動電圧がそれに続く。駆動電圧が所定の閾値未満に降下すると、試験手順が開始される。
【0035】
図5Aは、電極間に印加される電圧を示す。時間ゼロは、試料が最初にストリップを充填し始めたことを試料検出方法が検出した時刻とする。
図5Aにおいて約1.3秒に示される正弦波成分は、図示の目的で正確なタイムスケールで描かれていないことに留意されたい。
【0036】
試料が試験ストリップチャンバ61の中で検出された後、ストリップ電極間の電圧は、ミリボルトの大きさで好適な電圧まで増大されて、一定時間、即ち、約1秒維持され、より高い電圧まで増大されて一定時間保持され、次に正弦波電圧をDC電圧の先端に一定時間印加し、次にDC電圧が更なる時間印加され、その後負電圧に反転されて一定時間保持される。次に、この電圧はストリップから切断される。この一連の印加電圧は、
図5Bに示されるもののような電流トランジェントを生成する。
【0037】
図5Bにおいて、約0から約1秒までの電流信号(及びその後の電流試料)は、エラーチェックのため、かつ対照溶液試料を血液試料と区別するために使用され得る。約1秒から約5秒までの信号を分析して、グルコース結果を得る。この期間の信号は、様々な誤差に関しても分析される。約1.3秒から1.4秒までの信号を使用して、センサが完全に試料で充填されているか否かを検出する。1.3秒から1.32秒までの電流は、ここではトレース500として示されており、約150マイクロ秒間隔でサンプリングされて、十分な量の生理液が試験ストリップのチャンバ61を充填したか否かを判定する。
【0038】
十分な量かどうかをチェックする一実施形態では、静電容量測定を用いて、試験ストリップ80のチャンバ61の十分な分析物充填を推測する。静電容量の大きさは、試料流体で覆われた電極の面積に比例し得る。静電容量の大きさを測定した時点で、その値が閾値よりも大きく、したがって正確な測定のために十分な量の液体を試験ストリップが有する場合、グルコース濃度が出力され得る。しかしながら、その値が閾値以下である場合には、試験ストリップが有する液体の量が正確な測定のために不十分であることを示し、エラーメッセージが出力され得る。
【0039】
試料が試験ストリップチャンバ61の中で検出された後、ストリップ電極間の電圧は、ミリボルトの大きさで好適な電圧まで増大されて、一定時間、例えば、約1秒維持された後、より高い電圧まで増大されて一定時間保持され、次に正弦波電圧をDC電圧の先端に一定時間印加し、次にDC電圧が更なる時間印加され、その後負電圧に反転されて一定時間保持される。次に、この電圧はストリップから切断される。この一連の印加電圧は、
図5Bに示されるもののような電流トランジェントを生成する。
【0040】
静電容量を測定するための1つの方法では、定数成分と振動成分とを有する試験電圧が試験ストリップに印加される。そのような場合、得られる試験電流は、以下により詳細い記載されるように、静電容量値を決定するために数学的に処理され得る。
【0041】
本出願人は、電極層を備えるバイオセンサの試験チャンバ61は、
図3Bに示されるような並列抵抗器及びコンデンサを有する回路の形態にモデリングされ得ると考える。
【0042】
図3Bのこのモデルにおいて、Rは、電流が遭遇する抵抗を表し、Cは、電極に電気的に結合された生理液と試薬との組み合わせから生じる静電容量を表す。チャンバの静電容量の測定を開始するために、チャンバの中に配置されたそれぞれの電極間に交流バイアス電圧を印加することができ、チャンバからの電流が測定される。チャンバ61の充填物は、一般に静電容量のみの測定値であると考えられるので、例えば、Rなどのあらゆる寄生抵抗を、静電容量のあらゆる決定又は算出に含めるべきではない。したがって、電流を測定又は検知する上で、あらゆる寄生抵抗は、測定電流に影響を与えると考えられる。しかしながら、本出願人は、上記でモデリングされたようなチャンバを通る抵抗の利用又は知識を必要とせずに静電容量を得るための技術を発見した。この技術を更に説明するために、この技術の根底にある数学的基礎の短い説明を提供する。
【0043】
キルヒホッフの法則によると、
図3Bの回路を通る合計電流(i
T)は、抵抗器(i
R)及びコンデンサ(i
C)を流れる電流のほぼ合計である。交流電圧V(RMSとして測定)が印加されると、抵抗器電流(i
R)は次の式1で表わすことができる。
【数2】
【0044】
コンデンサの電流(i
C)は次の式2で表わすことができる。
【数3】
式中、
jは、コンデンサ内の電流が電圧より約90度進んでいることを示す虚数演算子であり、
ωは角周波数2πfである(式中、fは、ヘルツ(Hz)単位で示した周波数である)。
【0045】
これら構成要素の概略は、
図3Bのフェーザ図に示されている。フェーザ図において、Φは、出力と比べた場合の入力の位相角を表す。位相角Φは、次の三角関数によって決定される。
【数4】
【0046】
ピタゴラスの定理により、合計電流i
Tの2乗は次の式4のように算出される。
【数5】
【0047】
等式4を整理して等式3を代入すると、次の等式が得られる。
【数6】
【0048】
コンデンサ電流i
Cを解いて式2と組み合わせる。
【数7】
【0049】
Cを再整理し、ωを展開すると、静電容量は次の式7になる。
【数8】
【0050】
等式7を単純化することにより次式となる。
【数9】
【0051】
等式8は抵抗器電流を参照しないことが分かる。その結果、システムが、周波数f及び実効(「RMS」)振幅Vの交流電圧を駆動し、かつ合計電流i
TをRMS値及び位相角Φとして測定する場合、試験チャンバ61の静電容量Cを、バイオセンサの試験チャンバの抵抗を測定する必要なく正確に算出することができる。バイオセンサのストリップの抵抗は測定が困難であり、5秒アッセイ時間にわたって変化するので、このことは大きな利点であると考えられる。抵抗は、所与の電気バイアス(電圧)でストリップを流れることができる電荷担体の数によって生じると考えられており、したがって反応依存性である。アッセイの1.3秒時点では、抵抗は10kΩから100kΩまでのいずれかとなることが見込まれる。したがって、バイオセンサチャンバの抵抗、又は更にはセンサ抵抗器などの測定回路の抵抗を決定する必要がないことにより、本出願人の発明は、試験ストリップ全体を改善することにより現況技術を進歩させた。
【0052】
等式8に基づいて静電容量Cを決定するための典型的な技術の実施は、
図6A、
図6B、
図6C、
図6D、
図6E、及び
図7と関連付けて理解することができる。
図5A及び
図7に示されるように、約109HzのAC試験電圧(±50mVピークトゥピーク)を、約1〜1.3秒の間に2周期、又は少なくとも1周期の間印加することができる。好ましい実施形態において、第1の周期は調整パルスとして用いることができ、第2の周期は、静電容量を測定するために用いることができる。交流試験電圧は、例えば、ピークが約50ミリボルトの約109ヘルツの正弦波といった、好適な波形であることができる(
図6C)。サンプリングは、例えば、
図6Aに示される1周期当たり約64〜65といったように、1周期当たり好適な任意の試料量であり得る。したがって、各試料は、約5.6度の例示的な正弦波を示す。
【0053】
図6Aでは、システムは交流バイアスに直流電圧オフセットを加え、したがって、
図6Aで測定された試料は、直流オフセットも有することになり、これは、出願人らの技術の一例に従って合計電流i
Tを測定するために、工程706及び708を介して除去されなければならない。
【0054】
この技術では、
図6Aにおいて602で表わされる64〜65個の試料全ての平均値が得られ、これは試料の交流成分のゼロ電流に対する閾値を提供する。これを得ることの利点は、試料にわたるノイズが平均されることである。各サンプリングポイントに関し、平均値が各サンプリングポイントから減算され、これにより、ここでは
図6Bに示されるように交流成分を分離する結果となる。したがって、全ての負値のRMS値が取られて、全電流i
Tのほぼ正確な大きさが得られる。正値のRMS値をとることもできるが、本出願人は、正値は、周期全体の第1象限及び第4象限にわたって分割されるのでまとまりがなく、したがって負値が好ましいと考えることを指摘しておく。DCオフセットを除去するために試料602を操作し終わった時点で、ここでは
図6Bにおいて604で表わされるように、試料をプロットして時間経過に伴う電流の出力を示すことができる。
【0055】
位相角を決定するために、適切にプログラムされたシステム又はプロセッサ300は、ここでは
図6Cに示される振動入力電圧を振動出力電流と比較して、位相角を決定することができる。好ましい実施形態において、サンプリングされたデータ604を分析して、正電流と負電流のクロスオーバーポイントを判定する。サンプリングは離散的な数の試料に基づいているので、出力電流がゼロ電流ラインを超えるのが実質的にいつであるかを決定するために補間を用いることができる。ここで記載される実施形態では、位相角Φは、90度未満及び約87度である。精度を上げるために、この第2の補間点から約180度を減算して、別のクロスオーバーポイントで補間を行うことができる。これら2つの補間値は2〜3度以内でなければならず、精度を高めるために平均化されてもよい。
【0056】
位相角が得られたら、式8を用いて静電容量を算出することができる。試験ストリップ80の静電容量を判定したら、2点較正を行って、静電容量値を、アナログ構成要素(例えば、抵抗器、コンデンサ、オペアンプ、スイッチ等)のあらゆる公差と無関係である値に正規化する。簡潔に述べると、並列抵抗が30kの550nFのコンデンサを測定入力にわたって設置し、静電容量を測定するように測定器に指示し、生成された値を記録する;並列抵抗が30kの800nFのコンデンサを測定入力にわたって設置し、静電容量を測定するように測定器に指示し、生成された値を記録する、ことによって2点較正を行う。これら2点は、この特定のハードウェアインスタンス(設計ではない)の測定性能の利得及びオフセットの指標を提供する。次に、測定誤差から傾斜及びオフセットを算出し、測定器のメモリに保存する。ここで測定器が較正される。ストリップが挿入されて試料が提供されると、静電容量が測定され、保存された傾斜及びオフセットが適用されて測定値を補正する。
【0057】
デバイスの較正の完了後、試験チャンバ61が試験流体で十分に充填されているか否かを判定するための評価が行われる。この評価は、良好に充填された試験ストリップの大きな試料から得た平均静電容量値の少なくとも65%〜85%である静電容量の大きさに基づくことができる。
【0058】
上述の技術的特徴は、その意図される用途にとって十分であると考えられるが、よりしっかりした静電容量の測定をより包括的なモデルによって行うことが可能である。そのため、本出願人は、
図3Aの電極層を有するバイオセンサ試験ストリップ80及び試験セル61を、
図7Aの一連の抵抗器R
Pdcontact、R
PdFilm、R
AuContact、及びR
AuFilmとして表わすことができ、試験セル61を、
図7AのR
Cell Conductance及びC
DoubleLayerを有する並列抵抗器−コンデンサ回路として表わすことができると考える。ストリップ80の抵抗器及び試験セル61の並列抵抗器−コンデンサは、
図7Bに示されるように、ストリップの金及びパラジウム層のための直列抵抗器R
stripと、試験セル61のための並列抵抗器R
cell及びコンデンサC回路とを有する回路の形態でモデリングされ得る。
図7Bのこのモデルでは、システムは、周波数f及び二乗平均平方根(「RMS」)振幅Vを有する交流電圧を駆動し、かつ全電流i
TをRMS値及び位相角Φとして測定し、試験セル61の静電容量Cは、ストリップの抵抗率R
strip及び測定回路によるあらゆる位相ずれを考慮する適切なオフセットで得ることができる。
【0059】
実測及び数学モデリングを用いることにより、R
stripの抵抗を、AuとPdの接点の変化に応じて約120オーム〜約150オーム(約135オームが一般的である)の範囲であると決定した。約150オームの範囲内のR
stripの抵抗は、R
cell及びC
cellのずっと大きなインピーダンスと比較すると無視できるほどであった。したがって、109ヘルツにおけるRcellの公称値が約33キロオームであり、C
cellが約600ナノファラッドであると仮定すると、位相角は約85.6度であった。しかしながら、R
strip(
〜150オーム)の抵抗がセルに加わると、測定される位相角は約82.7度とあり、その差は約3.5度であった。小さいとはいえ、この差は静電容量の測定に有意な影響を与えると考えられる。更に、トランスインピーダンス段314(
図4)は、このステージに関連する位相シフトを実質的に全く有さないので(位相シフトは約109Hzにおいて約0.007度である)、約109Hzにおける利得段318(
図4)は、名目上は約6.1度の位相シフトを示した。この追加の位相シフトは、R
strip及び
図4の回路の様々な段による位相シフトを算出することによって、補償値Φ
COMPを導入することによってオフセットされ得る。補償値Φ
COMPを等式8に適用し、等式9でより正確な静電容量の測定値を得ることができる。
【数10】
【0060】
好ましい実施形態では、補償位相角Φ
COMPは、約3〜約25度、好ましくは約11度である。
【0061】
上記技術によってもたらされる改善を実証するために、実験を行って、静電容量応答に通常影響を及ぼす阻害物質のレベルが高いにもかかわらず静電容量を決定する上記技術の能力を判定した。
図7Dは、異なる試作品への様々なレベルのゲンチシン酸による妨害に対して測定した静電容量を示す。試作品番号1は、オランダにおいて商品名Verioで入手可能な血液グルコース測定システムであり、位相角補正なしで用いられ;試作品番号2は、フランスにおいて商品名Verio Proで入手可能な血液グルコース測定システムであり:試作品番号3は試作品番号2と同様であったが、等式9と共に、及び測定回路を考慮すべく約6度の補償位相角と共に用いられ;試作品番号4は、約150オームのストリップ抵抗Rstripに合わせて較正されたストリップを備えた、位相角補償を11度とした試作品番号3である。数字「0 1 2 3 4」は、血液量及び生理食塩水に添加されたゲンチシン酸の増加するレベルを示す。具体的には、「0」レベルではゲンチシン酸は添加されず、「1」レベルでは濃度は約0.45ミリグラム・パー・デシリットルであり、「2」レベルでは濃度は約0.90mg/dLであり、「3」レベルでは濃度は約1.35mg/dLであり、「4」レベルでは濃度は約1.8mg/dLである。
図7Dで用いるパラメータは表1に提供されており、「試験レベル」は、実験で用いる試料中のゲンチシン酸の最終濃度であり、レベル0は、試料中にゲンチシン酸が存在しないことを意味し、レベル1は、試料体積1デシリットル当たり約0.45mgのゲンチシン酸を意味し、レベル2は約0.90mg/dLを意味し、レベル3は約1.35mg/dLを意味し、レベル4は約1.8mg/dLを意味し、これら試料は、様々な濃度の試験試料4000マイクロリットルがもたらされるように、血液量、阻害物質(即ち、ゲンチシン酸)、及び生理食塩水を含む。
【0063】
図7Dを参照し、本出願は、高レベルの酸濃度は試験セル、R
CELLの抵抗を低下させる効果を有することを指摘する。試作品番号1では、試料中にゲンチシン酸はなく、静電容量計測は約552ナノファラッドに平均された。ゲンチシン酸の上記濃度が加えられると、静電容量値は約599ナノファラッドまで増加し、差は約47ナノファラッドとなる。試作品番号2では、ゲンチシン酸の濃度が増加すると、静電容量の大きさは平均で約625ナノファラッド(ゲンチシン酸なし)から約573ナノファラッドまで下降し、つまり差は約52ナノファラッドであった。測定回路の位相角補償がある試作品番号3では、平均で635ナノファラッド(ゲンチシン酸を添加せず)から約607ナノファラッドまでの低下を示し、つまり差は約28ナノファラッドであった。それに対して、位相角補償があり、かつ約150オームに設定されたストリップ抵抗を用いる試作品番号4は、平均で約598ナノファラッドから約586ナノファラッドまでの低下を示し、差は約12ナノファラッドであり、つまり試作品番号3から50%を超えて減少した。最も高い平均静電容量と最も低い静電容量との間の差が減少するだけでなく、各ゲンチシン酸レベルにおける静電容量の最高と最低との間の変化(各垂直に配向された長方形の面積)が、試作品番号2から試作品番号4に向かってより小さくなる。これらの結果は、静電容量の測定は、本出願人の技術を用いると、様々な濃度の阻害物質(ゲンチシン酸など)に対する感受性が低くなることを示す。
【0064】
図7Bのモデリングされた回路は、電気化学試験セルの静電容量(C
CELL)、電気化学試験セルの抵抗(R
CELL)、及び
図8Aに示されるストリップ抵抗(R
STRIP)の関数として変化する電気化学試験セル61の応答を予測する。
図8Aから分かるように、ストリップ抵抗を約0オームと仮定すると、電気化学試験セル61の予測又は参照静電容量性応答(線700で示される)は、約120キロオームから約20キロオームまでの試験セル抵抗の範囲にわたって概ね線形(約435ナノファラッド)であり、約20キロオームの時点で予測又は参照静電容量性応答は約450ナノファラッドまでほとんど急激に増加する。ストリップ抵抗器を約50オームと仮定すると、電気化学試験セル61の予測又は参照静電容量性応答702は、約120キロオームから約20キロオームまでの電気化学試験セル61の抵抗にわたって概ね線形であり、約20キロオームの時点で予測又は参照静電容量性応答は非線形に増加するが、ストリップ抵抗が約0である静電容量性応答700ほどでなはい。ストリップ抵抗を約100オームと仮定すると、電気化学試験セル61の予測又は参照静電容量性応答704は、約120キロオームから約20キロオームまでの試験セル61の抵抗にわたって概ね線形であり、約20キロオームの時点で予測又は参照静電容量性応答はやや非線形で減少する。ストリップ抵抗を約100オームと仮定すると、試験セル61の予測又は参照静電容量性応答704は、約120キロオームから約20キロオームまでの試験セル61の抵抗にわたって概ね線形であり、約20キロオームの時点で予測又は参照静電容量性応答は急激に減少する。R
STRIP値の全てのケースで、セルの静電容量は、R
CELLが約100キロオームの場合には概ね共通の値に向かって収束し、約20キロオームから約0オームまではR
STRIP値に応じて分岐する。
【0065】
その一方、
図3Aの代表的な試験ストリップから得られる
図8Bにおける実際の容量性及び抵抗性応答は、
図8Aの参照容量性/抵抗性応答とは全く異なる。具体的には、静電容量性応答は、高い値のR
CELLにおいて共通の容量値に向かって収束しない。更に、実際のストリップの静電容量性応答は、
図8Bの約0オームのRcellにおいて概ね共通の値である約590ナノファラッドに向かって収束することによって、R
CELLの抵抗の低い端において
図8Aの参照又は予測モデルと反対の挙動を呈した。
【0066】
異なるR
CELLの値におけるC
CELLの挙動の異常を更に調査した。交番信号がどのようにサンプリングされたかをもっとよく見てみると、本出願人がかかる異常の理由であると考えるものが示された。具体的には、参照モデルは純正弦波を用いているのに対し、実際の波900は、本明細書において
図9Aに示されるように、1つの波当たり64の異なる電流試料を有して区分的に生成される。
図9Aの波900は滑らかな線ではなくステップを含むので、R
STRIPに高度に依存するという結果になる測定回路の異なる応答を生成すると考えられる。
【0067】
R
STRIPを約200オームとすると、純正弦波による励起による理論出力は、滑らかな連続した線902であるのに対し、ステップのある鋸歯状の線904は、例えば、
図9Aの区分的な信号900などのステップ波信号を用いた出力であることが、
図9Bから分かる。区分的な応答904を測定又はサンプリングするタイミングに依存して、振幅及び位相測定値は多少変化し得ることが分かる。
図8Aと
図8Bとの間のこの異常をもたらすのは、電圧測定の不正確さに起因するストリップ抵抗R
STRIPに対する静電容量の感度である。R
STRIPが200オームであるこの例では、位相差は、測定に深刻な影響を与えるのにはやや小さいことが分かる。
【0068】
しかしながら、R
STRIPが約0オームに設定される場合、位相差は有意であり得る。
図9Cから分かるように、区分状応答906(反転した波整流を有するように見える)は、応答906がどこでサンプリングされるかに応じて、最大約20%の出力差を提供することができる。この差は、より大きな静電容量の測定誤差を引き起こすので顕著であると考えられる。本出願人は、セルの抵抗であるR
CELLが低減すると、区分的な波900に起因する妨害の振幅も低減し、このことが、R
CELLが約5キロオームであるときに静電容量の測定が単一の容量値に収束する傾向の理由であると考えられることを指摘する。
【0069】
この影響を補償するため、区分的な波906の階段状の変化のあとの適切な時に、区分出力信号をサンプリングしなければならない。
図9Dに示されるように、区分的な波906は、純粋波902と比較すると、波906の方向の変化の間に純粋波902から遅れる又は進む傾向がある。
図9Dの拡大部分(
図9Eに示されてる)を見ると、区分的な波906のピーク908と、区分的な波906がクロスオーバーポイント910において純粋波902と交差する位置との間に、時間差Δtが存在することが分かる。
【0070】
異常の原因についてのこの発見から、本出願人は、
図9F及び表1を参照し、C
CELL、R
STRIP、及びR
CELLの値域を用いて、この時間差Δtを測定する実験を進めた。
図9Fにおいて、参照符「a」は、区分的変化がステップするピーク908を示し、参照符「b」は、利得増幅段314の出力が理論波形と一致する所望のサンプリング点を示す。測定は、正弦波の正及び負の相の両方の複数の点で行われた。全体の結果は表1に示されており、ストリップ及び測定器システムの変動の境界条件についての有用な手掛かりを提供する。
【0071】
表1から、様々な境界条件から平均値を算出して、代表的システムのための好ましいサンプリングタイミングを得ることができる。本出願人は、オフセットタイミングは、波906のピークトゥピークからの階段状の変化の時間幅の約20%であるべきだと考える。駆動周波数約109Hz及び波1周期当たり64試料であるこの特定の例では、143マイクロ秒の階段状の変化の時間幅の20%は約28マイクロ秒である。しかしながら、駆動周波数、サンプリング速度、階段状変化の時間幅、並びに使用する測定器及びストリップシステムに応じて、5%〜40%(又は約17マイクロ秒〜約38マイクロ秒)の他の値も機能することに留意すべきである。
【0073】
上記に基づき、本出願人は、チャンバの中に配置され、かつマイクロコントローラに接続された少なくとも2つの電極を有するバイオセンサチャンバの静電容量を決定する方法を発見した。該方法は、バイオセンサチャンバの中に試料を堆積して試料の電気化学反応を開始した後、所定周波数の振動信号をチャンバに印加する工程と、所定周波数の出力信号の1周期当たりの所定のサンプリング速度に基づいて、出力信号の測定のための第1のサンプリング時間間隔を確定する工程と、第1のサンプリング時間間隔と異なる第2のサンプリング時間間隔でチャンバからの出力信号をサンプリングする工程であって、それにより、各々のサンプリングされた出力信号の大きさを、第1の時間間隔の代わりに第2のサンプリング時間間隔ごとに継続して測定する、工程と、サンプリングる工程からサンプリングされた出力信号に基づいて、チャンバからの出力信号と振動入力信号との間の位相角を決定する工程と、を含む。
【0074】
印加する工程において、振動信号は交流電流(「AC」)信号又は多方向信号であってもよく、所定周波数は約109ヘルツであってもよい。確定工程において、第1のサンプリング時間間隔は、所定周波数及び信号の各周期毎に行われる試料測定の回数に基づいて得られる。一例として、
図6Aでは、入力信号の所定周波数は毎秒約109周期であり、これは出力信号の1周期が約0.009秒であることを意味する。所望のサンプリング速度が毎秒N、例えば、64個の試料である場合には、1つの波にかかる時間(0.009秒)をN(又は64)個の試料で分割することによって各試料(例えば、S1、S2、S3...Sn)が取り込まれ、サンプリング時間は約143マイクロ秒となる。言い換えると、出力応答602の大きさは143マイクロ秒ごとにサンプリングされ、この測定値は保存される。サンプリングステップにおいて、出力信号の大きさは、サンプリングされた出力応答の大きさが理論的連続出力信号(例えば、純正弦波出力)由来でないことを確実にするために、第1のサンプリング時間間隔と異なる第2のサンプリング時間間隔で測定される。第2のサンプリング時間間隔は、第1の時間間隔からの所定時間オフセット、又は第1のサンプリング時間間隔のパーセンテージであり得る。このパーセンテージは約5%〜約30%であり得る。あるいは区分出力信号(例えば、
図9Eの906)のピーク間の時間幅を用いて、第1のサンプリング時間間隔ST1を設定することができる。例えば、
図9Eに示されるように、ピーク908からピーク912までの時間幅を用いて、第1のサンプリング時間幅ST1を設定することができ、又は信号906の1つの波における全てのピークのピーク間の長さの平均を用いて、第1のサンプリング時間幅を設定することができる。第2のサンプリング時間間隔ST2は、第1のサンプリング時間間隔ST1のパーセンテージ増加(又は波の方向によっては減少)であり得る。一実施形態では、パーセンテージは約5%から約30%までの任意の値であり得、好ましくは約20%であり得る。第2のサンプリング時間間隔が決定したら、出力信号906(
図9F)の大きさを、一連の第2のサンプリング時間間隔ST2のそれぞれにおいて測定し、
図9Fでは2つの後続の時間間隔ST2がST2(a)及びST2(b)として示されており、出力信号の大きさは、910、912、914及びその他でサンプリングされる。サンプリングされた出力信号の大きさから、入力信号と出力信号との間の電圧位相角差を決定し、静電容量を先に記載の通りに測定することができる。このように、オフセットタイミングの本出願人の利用は、サンプリングされた出力信号の大きさの差を平坦化するサンプリング間隔を可能にし、それと同時に、より正確な測定目的のために、できるだけ連続的(非区分的)出力信号と一致する変更されたサンプリング時間間隔を可能にする。
【0075】
本出願人は、生理液の静電容量測定の有用性を試験するために有用な1つの技術は、試料に妨害物質を入れてかかる測定を行うことであると考える。阻害物質は、生理液の一部であるとは考えられず、生理液の構成成分を正確に測定するバイオセンサの能力を妨げる可能性がある材料又は物質である。静電容量の測定に影響を与えることが知られている阻害物質はゲンチシン酸である。即ち、生理液(この場合は、血液)の同じバッチに添加されるゲンチシン酸の量が増加すると、静電容量計測は大幅に変化する。
【0076】
例示的な実施形態、方法、及びシステムが血糖ストリップに関して記載されてきたが、本明細書に記載される原理は、少なくとも2つの電極間に配置された試薬上の生理液を使用するあらゆる分析物測定ストリップにも同様に適用することができる。
【0077】
上述のように、本明細書に記載する様々なプロセスの工程を一般に実施するように、マイクロコントローラをプログラムすることができる。このマイクロコントローラは、例えば、グルコース測定器、インスリンペン、インスリンポンプ、サーバ、携帯電話、パーソナルコンピュータ、又は移動携帯型デバイスなどの特定のデバイスの一部であり得る。更に、本明細書に記載する様々な方法を用いて、例えば、C+、C++、若しくはC−Sharpなどの、例えば、C又はCの変形などの既製のソフトウェア開発ツールを用いて、ソフトウェアコードを生成することができる。しかしながら、これらの方法は、こうした方法をコードするための新しいソフトウェア言語の必要条件及び入手可能性に応じて、他のソフトウェア言語に変換することもできる。更に、本明細書に記載する様々な方法は、好適なソフトウェアコードに一旦変換されれば、好適なマイクロコントローラ又はコンピュータによって実行される際に、これらの方法において記載された工程をあらゆる他の必要な工程とともに実行するように動作する、任意のコンピュータ読み取り可能な記憶媒介物質として実施することができる。
【0078】
本発明を特定の変形例及び説明図に関して述べたが、当業者には本発明が上述された変形例又は図に限定されないことが認識されよう。更に、上述の方法及び工程が特定の順序で起こる特定の事象を示している場合、当業者には特定の工程の順序が変更可能であり、そうした変更は本発明の変形例に従うものである点が認識されよう。更に、こうした工程のうちのあるものは、上述のように順次行われるが、場合に応じて並行したプロセスで同時に行われてもよい。したがって、開示の趣旨及び請求項に見出される本発明の同等物の範囲内にある本発明の変形が存在する範囲では、本特許請求がこうした変形例をも包含することが意図されるところである。