(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明のプリプレグの詳細について説明する。
【0036】
1. プリプレグの構造
本発明のプリプレグ(以下、「本プリプレグ」ともいう)は、強化繊維と、該強化繊維が形成する強化繊維層内に含浸された樹脂組成物(I)とからなる1次プリプレグ(内層)と、
該1次プリプレグの片面又は両面に形成される樹脂組成物(II)からなる表面層と、が一体化されている。
【0037】
図1は、本プリプレグの一例を示す概略断面図である。
図1中、100は本プリプレグであり、10は1次プリプレグである。1次プリプレグ10は、炭素繊維11からなる強化繊維層と、この強化繊維層内に含浸している樹脂組成物(I)13とから構成されている。1次プリプレグ10の表面には、樹脂組成物(II)からなる表面層15が1次プリプレグ10と一体となって形成されている。
【0038】
本発明において1次プリプレグは、プリプレグ断面における中央部の強化繊維層と、該強化繊維層内に含浸された樹脂組成物(I)とからなる。
図2(a)〜(c)は、本発明のプリプレグが製造される過程を順次示す説明図である(後述)。1次プリプレグは、
図2(b)及び
図2(c)中、1次プリプレグ10として表される。
【0039】
(1) 強化繊維層
本プリプレグの強化繊維層を構成する強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維が例示される。これらの強化繊維の中でも、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましく、比強度、比弾性率が良好で軽量かつ高強度のFRPが得られる炭素繊維がより好ましい。炭素繊維の中でも、引張強度に優れるポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が特に好ましい。
【0040】
本発明においては、強化繊維として導電性を有さない強化繊維を用いても、樹脂組成物に含まれる導電性粒子が強化繊維層内に分散するため、導電性を有する複合材料を作製することができる。導電性を有する強化繊維を用いると、得られるFRPの体積抵抗率を大きく低下させることができる。そのため、導電性を有する強化繊維を用いることが好ましい。ガラス繊維やアラミド繊維などの導電性を有さない強化繊維を用いる場合には、強化繊維の表面を金属メッキ処理する等の方法により強化繊維に導電性を付与することが好ましい。
【0041】
強化繊維に炭素繊維を用いる場合、その引張弾性率は、170〜600GPaであることが好ましく、220〜450GPaであることが特に好ましい。また、引張強度は3920MPa(400kgf/mm
2)以上であることが好ましい。このような炭素繊維を用いることにより、CFRPの機械的性能を向上できる。
【0042】
強化繊維はシート状に形成して用いることが好ましい。強化繊維のシートとしては、多数本の強化繊維を一方向に引き揃えたシート状物や、平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙が例示される。シートの厚さは、0.01〜3mmが好ましく、0.1〜1.5mmがより好ましい。また、シートの目付は、70〜400g/m
2が好ましく、100〜300g/m
2がより好ましい。これらの強化繊維のシートは、公知のサイズ剤を含んでいても良い。強化繊維のシートの単繊維間の距離は、10μm未満であることが好ましい。
【0043】
(2) 樹脂組成物(I)及び樹脂組成物(II)
本発明のプリプレグは、内層を形成する樹脂組成物(I)が、エポキシ樹脂と、熱可塑性樹脂と、を必須成分とするエポキシ樹脂組成物[B]からなり、
表面層を形成する樹脂組成物(II)が、エポキシ樹脂と、導電性粒子と、を必須成分とするエポキシ樹脂組成物[A]からなる。
【0044】
本発明のプリプレグは、1次プリプレグに含浸されている樹脂組成物(I)が、熱可塑性樹脂を含んでいるため粘度が高い。そのため、表面層の導電粒子は内層に移動し難く、導電性粒子がプリプレグの表面層に留まっている。
【0045】
表面層の厚さは、2〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。2μm未満の場合は、得られるプリプレグのタック性が低下する。30μmを超える場合は、得られるプリプレグの取扱性やFRPの成形精度が低下しやすい。
【0046】
また、1次プリプレグの厚さは、0.01〜4.0mmが好ましく、0.1〜2.0mmがより好ましい。
【0047】
エポキシ樹脂組成物[B]に含まれるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれるエポキシ樹脂との質量比は、9:1〜1:1であることが好ましく、5:1〜1:1であることがより好ましい。
【0048】
プリプレグの強化繊維の含有量は、プリプレグ全質量を100質量%として40〜80質量%であることが好ましく、50〜70質量%であることが特に好ましい。強化繊維の含有量が40質量%未満の場合は、このプリプレグを用いて作製されるFRPの強度等が不足する。強化繊維の含有量が80質量%を超える場合は、プリプレグの強化繊維層内に含浸される樹脂量が不足する。その結果、このプリプレグを用いて作製されるFRPにボイド等を発生させる。
【0049】
(1) エポキシ樹脂組成物[B]
エポキシ樹脂組成物[B]は、エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂とを少なくとも含む樹脂組成物である。以下、エポキシ樹脂組成物[B]の各成分について説明する。
【0050】
(a) エポキシ樹脂
エポキシ樹脂組成物[B]に配合されるエポキシ樹脂は、従来公知のエポキシ樹脂である。その中でも、分子内に芳香族基を有するエポキシ樹脂を用いることが好ましく、グリシジルアミン構造、グリシジルエーテル構造の何れかを有する二官能又は三官能以上のエポキシ樹脂を用いることがより好ましい。また、脂環族エポキシ樹脂も好適に用いることができる。
【0051】
グリシジルアミン構造を有するエポキシ樹脂としては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−3−メチル−4−アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体が例示される。
【0052】
グリシジルエーテル構造を有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が例示される。
【0053】
これらのエポキシ樹脂は、必要に応じて、芳香族環構造などに非反応性置換基を有していても良い。非反応性置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基などのアルキル基、フェニル基などの芳香族基、アルコキシル基、アラルキル基、塩素や臭素などのハロゲン基が例示される。
【0054】
エポキシ樹脂は、硬化剤との硬化反応により架橋して網目構造を形成する。エポキシ樹脂組成物[B]には、三官能のエポキシ樹脂が配合されることが好ましい。三官能のエポキシ樹脂が配合されると、硬化後のエポキシ樹脂が高架橋密度となり、FRPの物性が優れる。エポキシ樹脂組成物[B]に配合されているエポキシ樹脂量に対して、三官能のエポキシ樹脂を10質量%以上含有していることが好ましく、20〜75質量%含有していることがより好ましい。
【0055】
プリプレグの硬化後に優れたFRPの物性を発現させるためには、エポキシ樹脂組成物[A]及び[B]に配合されているエポキシ樹脂の総量、即ち、全エポキシ樹脂量に対して、三官能のエポキシ樹脂を30質量%以上含有していることが好ましく、30〜70質量%含有していることがより好ましい。三官能のエポキシ樹脂の含有量が70質量%を超えると、得られるプリプレグの取扱性が低下する場合がある。
【0056】
三官能のエポキシ樹脂としては、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノールが例示される。
【0057】
これらのエポキシ樹脂は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、エポキシ樹脂としては、例えば、予め硬化剤などと予備反応させた、Bステージのエポキシ樹脂を用いることもできる。
【0058】
(b) 熱可塑性樹脂
本発明において、エポキシ樹脂組成物[B]は、熱可塑性樹脂を含有している。熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂組成物[B]に適切な粘度を与え、後述のエポキシ樹脂組成物[A]に含まれる導電性粒子をプリプレグの表面近傍に留まらせる。また、エポキシ樹脂組成物[B]に含まれる熱可塑性樹脂には、最終的に得られるFRPの耐衝撃性を向上させる効果もある。
【0059】
エポキシ樹脂組成物[B]含まれる熱可塑性樹脂の量は、エポキシ樹脂組成物[B]に用いるエポキシ樹脂の種類に応じて異なり、エポキシ樹脂組成物[B]の粘度が適切な値になるように適宜調節すればよい。エポキシ樹脂組成物[B]に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して、熱可塑性樹脂は5〜90質量部となるように配合することが好ましく、5〜60質量部となるように配合することがより好ましい。5質量部未満の場合は、得られるプリプレグ及びFRPの耐衝撃性が不十分となる場合がある。また、熱可塑性樹脂の配合量が多すぎる場合、粘度が著しく高くなり、プリプレグの取扱性が著しく悪化する場合がある。
【0060】
エポキシ樹脂組成物[B]は、その最低粘度が10Poise以上であることが好ましく、10〜3000Poiseであることがより好ましく、10〜500Poiseであることがさらに好ましく、10〜450Poiseであることがさらに好ましく、50〜400Poiseであることが特に好ましい。エポキシ樹脂組成物[B]の最低粘度が10Poise以上あると、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれる導電性粒子をプリプレグの表面近傍に留まらせる効果が高い。その結果、プリプレグを硬化して得られるFRPの厚さ方向の導電性がより高くなる傾向がある。エポキシ樹脂組成物[B]の最低粘度が高すぎる場合は、樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎ、プリプレグの樹脂含浸性が低下するなど取扱性が悪化するので好ましくない。また、温度80℃での粘度が50〜2000Poiseであることが好ましい。なお、粘度は、レオメーターを用いて測定される温度−粘度曲線から得られる粘度をいう。エポキシ樹脂組成物[B]の粘度は、熱可塑性樹脂、特に後述するエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の添加量により調整することができる。
【0061】
熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂とが挙げられる。
【0062】
(b−1) エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂
エポキシ樹脂組成物[B]は、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含有する。このエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂組成物[B]の粘度を調整するとともに、得られるFRPの耐衝撃性を向上させる。
【0063】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂とは、エポキシ樹脂に一部又は全部が加熱等により溶解し得る熱可塑性樹脂である。一方、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂とは、FRPを成形する温度又はそれ以下の温度において、エポキシ樹脂に実質的に溶解しない熱可塑性樹脂をいう。即ち、FRPを成形する温度において、樹脂粒子をエポキシ樹脂中に投入して攪拌した際に、粒子の大きさが変化しない熱可塑性樹脂をいう。なお、一般的に、FRPを成形する温度は100〜190℃である。
【0064】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂が完全に溶解していない場合は、エポキシ樹脂組成物[B]の硬化過程で加熱されることによりエポキシ樹脂に溶解し、エポキシ樹脂組成物[B]の粘度を増加させることができる。これにより、硬化過程における粘度低下に起因するエポキシ樹脂組成物[B]のフロー(プリプレグ内から樹脂組成物が流出する現象)を防止することができる。
【0065】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、190℃でエポキシ樹脂に80質量%以上溶解する樹脂が好ましい。
【0066】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の具体的例としては、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。エポキシ樹脂組成物[B]に含まれるエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、重量平均分子量(Mw)が8000〜40000の範囲のポリエーテルスルホン、ポリスルホンが特に好ましい。重量平均分子量(Mw)が8000よりも小さいと、得られるFRPの耐衝撃性が不十分となり、また40000よりも大きいと粘度が著しく高くなり取扱性が著しく悪化する場合がある。エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の分子量分布は均一であることが好ましい。特に、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比である多分散度(Mw/Mn)が1〜10の範囲であることが好ましく、1.1〜5の範囲であることがより好ましい。
【0067】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂と反応性を有する反応基又は水素結合を形成する官能基を有していることが好ましい。このようなエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂の硬化過程中における溶解安定性を向上させることができる。また、硬化後に得られるFRPに靭性、耐薬品性、耐熱性及び耐湿熱性を付与することができる。
【0068】
エポキシ樹脂との反応性を有する反応基としては、水酸基、カルボン酸基、イミノ基、アミノ基などが好ましい。水酸基末端のポリエーテルスルホンを用いると、得られるFRPの耐衝撃性、破壊靭性及び耐溶剤性が特に優れるためより好ましい。
【0069】
エポキシ樹脂組成物[B]に含まれるエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の含有量は、1次プリプレグの粘度に応じて適宜調整される。1次プリプレグの加工性の観点から、エポキシ樹脂組成物[B]に含有されるエポキシ樹脂100質量部に対して、5〜90質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましく、10〜40質量部がさらに好ましい。5質量部未満の場合は、得られるFRPの耐衝撃性が不十分となる場合がある。エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の含有量が高くなると、粘度が著しく高くなり、プリプレグの取扱性が著しく悪化する場合がある。
【0070】
また、エポキシ樹脂組成物[A]とエポキシ樹脂組成物[B]とに含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対するエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の含有量は、5〜90質量部が好ましく、5〜40質量部がより好ましく、15〜35質量部がさらに好ましい。5質量部未満の場合は、得られるFRPの耐衝撃性が不十分となる場合がある。エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の含有量が高くなると、粘度が著しく高くなり、プリプレグの取扱性が著しく悪化する場合がある。
【0071】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂には、アミン末端基を有する反応性芳香族オリゴマー(以下、単に「芳香族オリゴマー」ともいう)を含むことが好ましい。
【0072】
エポキシ樹脂組成物は、加熱硬化時にエポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応により高分子量化する。高分子量化により二相域が拡大することによって、エポキシ樹脂組成物に溶解していた芳香族オリゴマーは、反応誘起型の相分離を引き起こす。この相分離により、硬化後のエポキシ樹脂と、芳香族オリゴマーと、が共連続となる樹脂の二相構造をマトリックス樹脂内に形成する。また、芳香族オリゴマーはアミン末端基を有していることから、エポキシ樹脂との反応も生じる。この共連続の二相構造における各相は互いに強固に結合しているため、耐溶剤性も向上している。
【0073】
図6は、エポキシ樹脂、硬化剤、アミン末端基を有する反応性オリゴマーを混練して作製した樹脂組成物の硬化物断面の図面代用写真である。この樹脂組成物は、(a)成分:エポキシ樹脂 100質量部(MY0600)、(b)成分:硬化剤 50質量部(3,3−DDS)、(c)成分:アミン末端基を有する反応性オリゴマー 60質量部(DAMS VW−30500RP)、から成る。
【0074】
この共連続の構造は、FRPに対する外部からの衝撃を吸収してクラック伝播を抑制する。その結果、アミン末端基を有する反応性芳香族オリゴマーを含むプリプレグを用いて作製されるFRPは、高い耐衝撃性及び破壊靭性を有する。
【0075】
この芳香族オリゴマーとしては、公知のアミン末端基を有するポリスルホン、アミン末端基を有するポリエーテルスルホンを用いることができる。アミン末端基は第一級アミン(−NH
2)末端基であることが好ましい。
【0076】
エポキシ樹脂組成物[B]に配合される芳香族オリゴマーは、重量平均分子量が8000〜40000であることが好ましい。重量平均分子量が8000未満である場合、マトリクス樹脂の靱性向上効果が低い。また、重量平均分子量が40000を超える場合、樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎて、強化繊維層内に樹脂組成物が含浸しにくくなる等の加工上の問題点が発生しやすくなる。
【0077】
芳香族オリゴマーとしては、「Virantage DAMS VW−30500 RP(登録商標)」(Solvay Specialty Polymers社製)のような市販品を好ましく用いることができる。
【0078】
共連続となる樹脂の二相構造をマトリックス樹脂内に形成するためには、エポキシ樹脂組成物[B]における芳香族オリゴマーの配合量は、エポキシ樹脂組成物[B]に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して、30〜90質量部であることが好ましく、40〜80質量部であることがより好ましく、45〜65質量部であることが特に好ましい。30質量部以上である場合、芳香族オリゴマーから形成される共連続の二相構造は、FRPが受ける衝撃を効率的に吸収することができる。そのため、得られるFRPの耐衝撃性が高くなる。90質量部以下であれば、エポキシ樹脂組成物[B]の粘度が高くなり過ぎず、エポキシ樹脂組成物[B]の製造工程やプリプレグの製造工程における取扱性にも悪影響がない。上記所定量の芳香族オリゴマーから形成される共連続の二相構造がマトリクス樹脂中に均一に形成されているFRPは、衝撃に対するクラック伝播が抑制される。そのため、得られるFRPの耐衝撃性が高くなる。なお、共連続となる樹脂の二相構造をマトリックス樹脂内に形成させない場合には、エポキシ樹脂組成物[B]に含まれるエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の含有量は、1次プリプレグの加工性の観点から、エポキシ樹脂組成物[B]に含有されるエポキシ樹脂100質量部に対して、5〜50質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましい。
【0079】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の形態は、特に限定されないが、粒子状であることが好ましい。粒子状のエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、樹脂組成物中に均一に配合することができる。また、得られるプリプレグの成形性が高い。
【0080】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の平均粒子径は、1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることが特に好ましい。1μm未満である場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が著しく増粘する。そのため、エポキシ樹脂組成物に十分な量のエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を添加することが困難となる場合がある。50μmを超える場合、エポキシ樹脂組成物をシート状に加工する際、均質な厚みのシートが得られ難くなる場合がある。また、エポキシ樹脂への溶解速度が遅くなり、得られるFRPが不均一となるため、好ましくない。
【0081】
(b−2) エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂
エポキシ樹脂組成物[B]には、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の他に、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂を含有していても良い。本発明において、エポキシ樹脂組成物[B]はエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂及びエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂の両者を含有していることが好ましい。
【0082】
エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の一部(硬化後のマトリクス樹脂において溶解せずに残存したエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂)は、その粒子がFRPのマトリクス樹脂中に分散する状態となる(以下、この分散している粒子を「層間粒子」ともいう)。この層間粒子は、FRPが受ける衝撃の伝播を抑制する。その結果、得られるFRPの耐衝撃性が向上する。
【0083】
エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルニトリル、ポリベンズイミダゾールが例示される。これらの中でも、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドは、靭性及び耐熱性が高いため好ましい。ポリアミドやポリイミドは、FRPに対する靭性向上効果が特に優れている。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。また、これらの共重合体を用いることもできる。
【0084】
特に、非晶性ポリイミドや、ナイロン6(登録商標)(カプロラクタムの開環重縮合反応により得られるポリアミド)、ナイロン12(ラウリルラクタムの開環重縮合反応により得られるポリアミド)、非晶性のナイロン(透明ナイロンとも呼ばれ、ポリマーの結晶化が起こらないか、ポリマーの結晶化速度が極めて遅いナイロン)のようなポリアミドを使用することにより、得られるFRPの耐熱性を特に向上させることができる。
【0085】
エポキシ樹脂組成物[B]中のエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂の含有量は、エポキシ樹脂組成物[B]の粘度に応じて適宜調整される。プリプレグの加工性の観点から、エポキシ樹脂組成物[B]に含有されるエポキシ樹脂100質量部に対して、5〜60質量部であることが好ましく、15〜40質量部であることがより好ましい。5質量部未満の場合、得られるFRPの耐衝撃性が不十分になる場合がある。60質量部を超える場合、エポキシ樹脂組成物[B]の含浸性や、得られるプリプレグのドレープ性などを低下させる場合がある。
【0086】
また、エポキシ樹脂組成物[A]及び[B]に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対するエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂の含有量は、10〜45質量部が好ましく、20〜45質量部がより好ましい。10質量部未満の場合は、得られるFRPの耐衝撃性が不足する場合がある。45質量部を超える場合は、エポキシ樹脂組成物[B]の含浸性や、プリプレグのドレープ性などを低下させる場合がある。
【0087】
エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂の好ましい平均粒子径や形態は、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂と同様である。
【0088】
(c) 硬化剤
エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤は、必要に応じて、エポキシ樹脂組成物[A]及び/又は[B]に配合される。エポキシ樹脂組成物[A]及び/又は[B]に配合される硬化剤としては、エポキシ樹脂組成物[A]及び[B]に配合されるエポキシ樹脂を硬化させる公知の硬化剤が用いられる。例えば、ジシアンジアミド、芳香族アミン系硬化剤の各種異性体、アミノ安息香酸エステル類が挙げられる。ジシアンジアミドは、プリプレグの保存安定性に優れるため好ましい。また、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン化合物及びそれらの非反応性置換基を有する誘導体は、耐熱性の高い硬化物を与えるという観点から特に好ましい。非反応性置換基とは、上記(a)エポキシ樹脂において説明したとおりである。
【0089】
アミノ安息香酸エステル類としては、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエートやネオペンチルグリコールジ−p−アミノベンゾエートが好ましく用いられる。これらの硬化剤を用いて硬化させたFRPは、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体を用いて硬化させたFRPと比較して耐熱性は低いが、引張伸度が高い。そのため、FRPの用途に応じて硬化剤は適宜選択される。
【0090】
エポキシ樹脂組成物[A]及び[B]に配合される硬化剤の合計量は、エポキシ樹脂組成物[A]及び[B]に配合される全エポキシ樹脂を硬化させるのに適した量である。この量は、エポキシ樹脂及び硬化剤の種類に応じて適宜調整される。保存安定性の観点から、全エポキシ樹脂100質量部に対して、30〜100質量部が好ましく、30〜70質量部がより好ましい。また、エポキシ樹脂組成物[A]又は[B]の一方に硬化剤が含まれない場合、他方に配合される硬化剤の量は、全エポキシ樹脂を硬化させるのに適した量である。例えば、芳香族ジアミン化合物を硬化剤として用いる場合、全エポキシ樹脂100質量部に対して25〜55質量部であることが好ましい。
【0091】
(d) 導電性粒子
エポキシ樹脂組成物[B]は必要に応じて導電性粒子を含んでいても良い。この導電性粒子は、後述の導電性粒子と同じものを用いることができる。エポキシ樹脂組成物[B]に含まれる導電性粒子は、エポキシ樹脂組成物[B]に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して0.2〜20質量部であることが好ましく、1〜15質量部がより好ましく、5〜15質量部が特に好ましい。0.2質量部未満の場合、得られるFRPの厚さ方向における導電性を向上させ難い。また、20質量部を超える場合、樹脂組成物の粘度が著しく高くなり、取扱性が悪化する場合がある。
【0092】
エポキシ樹脂組成物[B]は、硬化して得られるFRPの導電性を向上させるために、レーザー回折法による平均粒子径10〜200μmの導電性粒子を含有することが好ましく、50〜200μmの導電性粒子を含有することがより好ましい。また、平均粒子径が5μm以下の導電性粒子を含んでいることも好ましい。特に、平均粒子径が10〜200μmである導電性粒子と平均粒子径が5μm以下の導電性粒子とからなる2種類の異なる導電性粒子を含有することが好ましい。
【0093】
導電性粒子は、プリプレグを硬化して得られるFRPにおいて、強化繊維層同士を厚さ方向で接続してFRPの厚さ方向における導電ブリッジとして働くことにより、厚さ方向の導電性を向上させる。
【0094】
導電性粒子の形状としては、球状粒子でも非球状粒子でも、また多孔質粒子でもよいが、導電性の均一付与という観点から、球状のものが好ましい。
【0095】
導電性粒子の粒子径が10μm以上であれば、その粒子径が強化繊維層の単繊維間の距離と比べて大きいため、強化繊維層内に入り込み難くなる。そのため、エポキシ樹脂組成物[B]を強化繊維層に含浸させると、導電性粒子が強化繊維層の表面に残存して露出しやすくなる。その結果、各プリプレグの強化繊維層同士を導電性粒子が電気的に接続する。即ち、導電性粒子がFRPの樹脂層(強化繊維層と強化繊維層との間)に留まりやすく、隣接する強化繊維層を厚さ方向につなぐ導電ブリッジを形成して導電性を向上させやすい。
【0096】
導電性粒子の粒子径が200μmよりも大きい場合は、得られる樹脂組成物を後述するシート状に加工する際、均質な厚みのシートを作製し難くなる場合がある。
【0097】
一方、平均粒子径が5μm以下の導電性粒子を用いると、導電性粒子が強化繊維層、樹脂層の両層に分散し、得られるFRPの導電性をさらに向上させやすくなるため好ましい。平均粒子径は、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
【0098】
(e) 他の成分
エポキシ樹脂組成物[B]には、本発明の目的・効果を損なわない限り、他の成分を含有させることができる。他の成分としては、3級アミン、イミダゾール等のアミン化合物、ホスフィン類、ホスホニウム等のリン化合物、N,N−ジメチル尿素誘導体などの硬化促進剤;、反応性希釈剤;、充填剤;、酸化防止剤;、難燃剤;、顔料;等の各種添加剤が例示される。これらの配合量は公知である。
【0099】
(2) エポキシ樹脂組成物[A]
エポキシ樹脂組成物[A]は、エポキシ樹脂と導電性粒子とを少なくとも含む樹脂組成物である。以下、エポキシ樹脂組成物[A]の各成分について説明する。
【0100】
(f) エポキシ樹脂
エポキシ樹脂組成物[A]に配合されるエポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂組成物[B]で説明した従来公知のエポキシ樹脂が挙げられる。1次プリプレグと良好に接着させるため、エポキシ樹脂組成物[A]に配合されるエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂組成物[B]に配合されるエポキシ樹脂と同じエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0101】
(g) 導電性粒子
エポキシ樹脂組成物[A]には、プリプレグを硬化して得られるFRPに導電性を付与するために、導電性粒子が配合される。導電性粒子は、プリプレグを硬化して得られるFRPにおいて、厚さ方向の導電ブリッジとして働くことにより隣接する強化繊維層同士を接続し、厚さ方向の導電性を上昇させる。この時、大多数の導電性粒子がFRPの表面層内にあることが望ましい。
【0102】
本発明で用いる導電性粒子としては、電気的に良好な導体として振る舞う粒子であれば良く、導体のみからなるものに限定されない。好ましくは体積固有抵抗が10〜10
−9Ωcmであり、より好ましくは1〜10
−9Ωcmであり、特に好ましくは10
−1〜10
−9Ωcmである粒子である。体積固有抵抗が高すぎると、FRPにおいて十分な導電性が得られない場合がある。
【0103】
導電性粒子としては、ポリアセチレン粒子、ポリアニリン粒子、ポリピロール粒子、ポリチオフェン粒子、ポリイソチアナフテン粒子及びポリエチレンジオキシチオフェン粒子等の導電性ポリマー粒子;、カーボン粒子;、炭素繊維粒子;、金属粒子;、無機材料又は有機材料から成るコア材を導電性物質で被覆した粒子が例示される。これらの中でも、高い導電性及び安定性を示すことから、カーボン粒子;、金属粒子;、無機材料又は有機材料から成るコア材を導電性物質で被覆した粒子が好ましい。
【0104】
カーボン粒子としては、カーボンブラック、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛、黒鉛粉末、黒鉛粒子、グラフェンシート、カーボンミルドファイバー、カーボンナノチューブ、気相成長法炭素繊維(VGCF:登録商標)を含むカーボンナノファイバーが例示される。これらの中でも、高い導電性を示し、かつ安価であることから、カーボンブラック、カーボンミルドファイバーが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック(登録商標)が例示される。カーボンミルドファイバーとしては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、フェノール系炭素繊維のミルドファイバーが例示される。これらの中でも、ピッチ系炭素繊維のミルドファイバーが好ましい。カーボンミルドファイバーの炭素含有率は94質量%以上が好ましい。炭素含有率が94質量%未満の場合は、得られるFRPの導電性が低下しやすい。
【0105】
金属粒子としては、特に限定されないが、強化繊維として炭素繊維を用いる場合、炭素繊維との電位差による腐食を防ぐことから、白金、金、銀、銅、錫、ニッケル、チタン、コバルト、亜鉛、鉄、クロム、アルミニウムの粒子;、これらの金属を主成分とする合金の粒子;、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)が好ましい。これらの中でも、高い導電性及び安定性を示すことから、白金、金、銀、銅、錫、ニッケル、チタンの各粒子、及びこれらの金属を主成分とする合金の粒子がより好ましく、銀、銅、ニッケルの各粒子が特に好ましい。
【0106】
無機材料又は有機材料から成るコア材を導電性物質で被覆する方法としては、金属メッキやメカノケミカルボンディングによる被覆方法が好ましい。
【0107】
金属メッキによる被覆方法としては、湿式メッキ及び乾式メッキが挙げられる。湿式メッキとしては、無電解メッキ、置換メッキ及び電解メッキが例示される。これらの中でも、無電解メッキは、不導体から成るコア材にメッキ皮膜を形成できることから好ましい。乾式メッキとしては、真空蒸着、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)、光CVD、イオンプレーティング、スパッタリングが例示される。これらの中でも、スパッタリングは、低温において高い密着性が得られることから好ましい。
【0108】
メカノケミカルボンディングは、コア材と被覆材とに機械的エネルギーを加えることによって、その界面においてこれらを分子レベルで強固に結合させる複合微粒子の作成方法である。被覆材としては、金属粒子、カーボンナノ材料、気相成長カーボンファイバー(VGCF)が例示される。これらの導電性粒子は単独で使用しても良いし、2種類以上を併用してもよい。
【0109】
導電性粒子の配合量は、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して、0.2〜20質量部であることが好ましく、1〜15質量部がより好ましく、5〜15質量部が特に好ましい。0.2質量部未満の場合、得られるFRPの厚さ方向における導電性を向上させ難い。また、20質量部を超える場合、樹脂組成物の粘度が著しく高くなり、取扱性が悪化する場合がある。
【0110】
導電性粒子の平均粒子径としては、0.01〜200μmが好ましく、0.01〜100μmがより好ましく、0.01〜50μmがさらに好ましい。導電性粒子の平均粒子径が、0.01〜200μmであると、導電性粒子の一部が成形時に強化繊維層内にも適度に分散するため、得られるFRPの導電性が向上しやすい。なお、本発明において平均粒子径は、レーザー回折・散乱法を用いて測定される粒度分布の50%粒子径(D
50)の値をいう。
【0111】
導電性粒子の形状は特に限定されず、球状粒子でも非球状粒子でも、また多孔質粒子でもよい。強化繊維層間に導電ブリッジを形成する観点からは、大きなアスペクト比を有することが好ましい。アスペクト比は、平均で5以上であることが好ましく、10〜100であることがより好ましい。
【0112】
本発明において、アスペクト比とは、三次元体の最短寸法に対する最長寸法の比を指す。アスペクト比は、後述するように、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡により測定される粒子径から算出される。
【0113】
(h) 硬化剤
エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤は、必要に応じて、エポキシ樹脂組成物[A]及び/又は[B]に配合される。エポキシ樹脂組成物[A]に、硬化剤を含まない場合、得られるプリプレグはタック性の経時変化が少なく、保存安定性に優れる。その他、硬化剤については、上記(c)で説明したとおりである。
【0114】
(i) 熱可塑性樹脂
エポキシ樹脂組成物[A]には、樹脂組成物の粘度を調整するため、若しくは、得られるFRPの耐衝撃性を向上させるために、熱可塑性樹脂を含有させても良い。特に、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含有させることが好ましい。
【0115】
エポキシ樹脂組成物[A]に配合される熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂組成物[B]に配合される熱可塑性樹脂と同一のものであってもよいし、それぞれが異なるものであってもよい。熱可塑性樹脂については、上記(b)において説明した熱可塑性樹脂と同様のものを使用できる。
【0116】
エポキシ樹脂組成物[A]に含まれる熱可塑性樹脂の配合量は、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して、5〜50質量部となるように配合することが好ましく、15〜40質量部がより好ましい。5質量部未満の場合は、得られるFRPの耐衝撃性が不十分となる場合がある。50質量部を超える場合、粘度が著しく高くなり取扱性が著しく悪化する場合がある。
【0117】
本発明のプリプレグにおいて、エポキシ樹脂組成物[A]の粘度は、レオメーターを用いて測定される温度−粘度曲線から得られる80℃での粘度が100〜5000Poiseであることが好ましく、100〜4000Poiseであることがより好ましく、100〜3000Poiseであることがさらに好ましく、200〜2000Poiseであることが特に好ましい。100Poise以上であると、エポキシ樹脂組成物[A]は適度な凝集力が付与され、得られるプリプレグにタック性を持たせることができる。また、エポキシ樹脂組成物[B]に含まれる導電性粒子がプリプレグから脱離することを防ぎ、導電性粒子をプリプレグの表面近傍に留まらせる効果が高くなり、プリプレグを硬化して得られるFRPの厚さ方向の導電性がより高くなる傾向がある。エポキシ樹脂組成物[A]の粘度が高すぎると、プリプレグの取扱性が悪化しやすい傾向がある。また、エポキシ樹脂組成物[A]の最低樹脂粘度は4000Poise以下であることが好ましい。
【0118】
(j) 他の成分
エポキシ樹脂組成物[A]には、本発明の目的・効果を損なわない限り、他の成分を含有させることができる。他の成分については、上記(e)において説明したとおりである。
【0119】
以下、本発明のプリプレグのより好ましい実施形態について説明する。
【0120】
本発明のプリプレグのより好ましい実施形態として、エポキシ樹脂組成物[B]が、レーザー回折法による平均粒子径が10〜200μm、より好ましくは50〜200μmである導電性粒子をさらに含んだエポキシ樹脂組成物[B]であるプリプレグが挙げられる。かかるプリプレグは、1次プリプレグに含浸される樹脂組成物(I)が粗大な導電性粒子を含んでいる。樹脂組成物(I)を強化繊維層内に含浸する際に、粗大な導電性粒子は強化繊維層の表面に留まるため、導電性粒子がプリプレグの表面層に局在化する。ここで、「粗大な」とは、強化繊維を構成する単繊維間の距離を基準として、この距離よりも大きいことを示す。
【0121】
レーザー回折法による平均粒子径が10〜200μmである導電性粒子は、その粒子径が強化繊維層の単繊維間の距離と比べて大きいため、強化繊維層内に入り込み難い。そのため、エポキシ樹脂組成物[B]を強化繊維層内に含浸させると、導電性粒子が強化繊維層の表面に残存し露出する。さらに、本発明では、この1次プリプレグの少なくとも一方の表面にエポキシ樹脂組成物[A]からなる表面層を一体化させる。そのため、本発明において導電性粒子は、プリプレグの表面から強化繊維層にかけて局在化する。
【0122】
本実施形態のプリプレグはエポキシ樹脂組成物[A]が、熱可塑性樹脂を含むエポキシ樹脂組成物[A]からなることが好ましい。
【0123】
図4は、レーザー回折法による平均粒子径が10〜200μmである導電性粒子を含んだエポキシ樹脂組成物[B]を用いたプリプレグの部分拡大図である。厚さ0.01〜4mm、好ましくは0.1〜2.0mmの1次プリプレグ6の少なくとも片面(本図においては両面)には、厚さ2〜40μm、好ましくは5〜30μmのエポキシ樹脂組成物[A]からなる表面層4a、4bが形成されている。このプリプレグは、強化繊維層にエポキシ樹脂組成物[B]を含浸させる際に、粒子径の大きな導電性粒子が強化繊維層に濾過されて強化繊維層の表面に残留する。そのため、エポキシ樹脂組成物[B]に含まれていた導電性粒子9の少なくとも一部は表面層に分布する。なお、8は、強化繊維である。
【0124】
図5は、本発明のプリプレグを積層して加熱成形することにより製造されるFRPの概念図を示す。導電性粒子34は、複数のプリプレグを積層硬化して得られる繊維強化複合材料(FRP)32において、互いに隣接する強化繊維層36と強化繊維層38との層間に存在する樹脂層40に存在し、強化繊維層36、38間を接続して厚さ方向Zの導電ブリッジとして働き、厚さ方向Zの導電性を向上させている。
【0125】
導電性粒子の粒子径が10μmよりも大きければ、導電性粒子が樹脂層に埋没しにくく、隣接する強化繊維層間での導電パスが十分に形成され、得られるFRPにおいて十分な導電性が得られる。
【0126】
本実施形態のプリプレグにおいて、エポキシ樹脂組成物[A]の粘度は、レオメーターを用いて測定される温度−粘度曲線から得られる80℃での粘度が100〜1000Poiseであることが好ましく、より好ましくは200〜800Poiseである。100Poise以上あると、エポキシ樹脂組成物[A]は適度な凝集力が付与され、得られるプリプレグにタック性を持たせることができる。また、エポキシ樹脂組成物[B]に含まれる導電性粒子がプリプレグから脱離することを防ぎ、導電性粒子をプリプレグの表面近傍に留まらせる効果が高くなり、プリプレグを硬化して得られるFRPの厚さ方向の導電性がより高くなる傾向がある。1000Poiseを超える場合は、樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎ、プリプレグの取扱性が悪化しやすい傾向がある。
【0127】
エポキシ樹脂組成物[A]の粘度は、エポキシ樹脂組成物[A]の熱可塑性樹脂の含有量により適宜調整される。エポキシ樹脂組成物[A]に含まれる熱可塑性樹脂の配合量は、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して、5〜50質量部が好ましく、15〜40質量部がより好ましい。5質量部以上であれば、エポキシ樹脂組成物[A]に十分な粘度を与えることができ、また、得られるFRPの耐衝撃性を向上させることができる。50質量部を超える場合、粘度が著しく高くなり取扱性が著しく悪化する場合がある。
【0128】
レーザー回折法による平均粒子径が10〜200μmである導電性粒子を含んだエポキシ樹脂組成物[B]を用いる場合、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれる導電性粒子の平均粒子径としては、0.01〜30μmが好ましく、0.01〜15μmがより好ましく、0.01〜8μmであることが特に好ましい。特に、導電性粒子の平均粒子径が、0.01〜8μmであると、導電性粒子の一部が、FRPの成形時に強化繊維層内にも適度に分散するため、得られるFRPの導電性が向上しやすい。
【0129】
また、本発明のプリプレグのもう一つのより好ましい実施形態としては、樹脂組成物(I)が、エポキシ樹脂の硬化剤を実質的に含まないエポキシ樹脂組成物[B]からなり、樹脂組成物(II)が、エポキシ樹脂の硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物[A]からなるプリプレグが挙げられる。このプリプレグは、表面層を形成する樹脂組成物(II)は、硬化剤を含んでいるため粘度が高い。そのため、表面層の導電粒子が内層に移動し難く、プリプレグの表面層に留まる。
【0130】
また、本実施形態のプリプレグは、プリプレグの内層に硬化剤が実質的に存在しないため、長期間に亘り、優れたドレープ性及びタック性を示す。その結果、該プリプレグを長期間保管後に複数積層して作製するFRPにボイドなどの構造欠陥が生じ難い。
【0131】
本実施形態のプリプレグにおいてエポキシ樹脂組成物[A]は、多くの硬化剤を含んでいるため粘度が高く、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれる導電性粒子は長期保管中もプリプレグの内層に沈降しにくい。そのため、導電性粒子はプリプレグの表面層に留まる。
【0132】
FRPの製造過程において、プリプレグの表面層に留まっていた導電性粒子は、硬化過程における樹脂の流動により、プリプレグの表面層から1次プリプレグ内の強化繊維層に向かって移動する。そのため、本発明のプリプレグを用いて得られるFRPは、FRPの表面層から強化繊維層までの厚さ方向全体に導電性粒子が分散し、隣接する強化繊維層と強化繊維層との間で導電パスが形成されることにより導電性が高いものとなる。なお、FRPの面方向の導電性は、強化繊維が導電性の場合、強化繊維より確保されている。
【0133】
本実施形態のプリプレグにおいて、1次プリプレグに用いられる樹脂組成物[B]に含まれるエポキシ樹脂と、表面層に用いられる樹脂組成物[A]に含まれるエポキシ樹脂との質量比は、1:1〜5:1であることが好ましい。
【0134】
本実施形態のプリプレグにおいて、エポキシ樹脂組成物[A]は硬化剤を通常の樹脂組成物よりも多く含んでおり粘度が高いため、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれる導電性粒子はプリプレグの内層に沈降しにくい。
【0135】
この実施形態のプリプレグにおいて、エポキシ樹脂組成物[A]は、樹脂の粘度を調節し、得られるFRPの耐衝撃性を改善する目的で熱可塑性樹脂を含んでいることが好ましい。エポキシ樹脂組成物[A]に含まれる熱可塑性樹脂の含有量は、用いるエポキシ樹脂の種類や求められるプリプレグ又はFRPの特性に応じて適宜調節すればよい。例えば、多官能のノボラック型エポキシ樹脂を、エポキシ樹脂組成物[A]とエポキシ樹脂組成物[B]とに配合されているエポキシ樹脂の総量、即ち、全エポキシ樹脂量に対して15質量%以上、好ましくは30〜50質量%含有している場合には、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して、熱可塑性樹脂が5質量部未満又は無配合の場合でも、取扱性の良いプリプレグ及び耐衝撃性の高いFRPが得られる。
【0136】
本実施形態において、エポキシ樹脂組成物[A]の好ましい粘度は、その最低樹脂粘度が1000〜4000Poiseであり、より好ましくは最低樹脂粘度が1000〜3000Poiseである。1000Poise以上あると、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれる導電性粒子をプリプレグの表面近傍に留まらせる効果が高く、プリプレグを硬化して得られるFRPの厚さ方向の導電性がより高くなる傾向がある。4000Poiseを超える場合は、樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎ、プリプレグのドレープ性やタック性が悪化するなど取扱性が悪化するので好ましくない。
【0137】
本発明においてエポキシ樹脂組成物[A]は、導電性粒子を含有する。導電性粒子は、プリプレグを硬化して得られるFRPにおいて、エポキシ樹脂組成物[A]が硬化して形成される表面層の厚さ方向の導電ブリッジとして働くことにより、強化繊維層同士を厚さ方向に接続し、厚さ方向の導電性を向上させる。この時、大多数の導電性粒子がFRPの表面層内にあることが望ましい。本実施形態においてもエポキシ樹脂組成物[A]に含まれる導電性粒子は、プリプレグの内層よりも表面層に多く分散する。その結果、プリプレグを積層硬化して得られるFRPにおいても、プリプレグの内層に相当する強化繊維層よりも、プリプレグの表面層に相当する樹脂層に導電性粒子は分散しやすくなる。
【0138】
本実施形態において、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれる導電性粒子としては、平均粒子径が10μm未満であることが好ましい。10μm未満であると、導電性粒子の一部が成形時に強化繊維層に適度に分散するため、得られるFRPの導電性が向上しやすい。導電性粒子の平均粒子径としては、0.01μm以上がより好ましい。
【0139】
本実施形態において、エポキシ樹脂組成物[B]は硬化剤を含まない。そのため、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれる硬化剤の量は、エポキシ樹脂組成物[A]とエポキシ樹脂組成物[B]とに配合されている全エポキシ樹脂を硬化させるのに充分な量を、用いるエポキシ樹脂及び硬化剤の種類に応じて適宜調節して配合することが好ましい。例えば、芳香族ジアミン化合物を硬化剤として用いる場合、エポキシ樹脂組成物[A]とエポキシ樹脂組成物[B]に含まれるエポキシ樹脂の総量100質量部に対して50〜180質量部であることが好ましい。また、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれる硬化剤の量は、保存安定性の観点から、エポキシ樹脂組成物[A]に用いられているエポキシ樹脂100質量部に対して、80〜170質量部が好ましく、100〜160質量部がより好ましい。
【0140】
本実施形態において、エポキシ樹脂組成物[A]には、プリプレグに含まれるすべてのエポキシ樹脂を硬化させるのに適した量の硬化剤が含まれている。そのため、エポキシ樹脂組成物[A]は、通常のエポキシ樹脂組成物に含まれるよりも多量のエポキシ樹脂硬化剤が含まれている。しかし、エポキシ樹脂組成物[A]は、プリプレグ製造時に、反応を促進させるような過度の熱履歴を受けることが無いため、エポキシ樹脂の架橋反応による樹脂組成物の硬化を抑えることができる。また、プリプレグ中でエポキシ樹脂の硬化剤が局在化しているため、硬化剤が含まれないエポキシ樹脂組成物[B]中では硬化反応が進行しない。そのため、本発明のプリプレグは長期間に亘り、タック性やドレープ性が低下しない。
【0141】
本発明のプリプレグの更なる好ましい実施形態としては、樹脂組成物(I)が、レーザー回折法による平均粒子径が500nm以下の導電性粒子を含むエポキシ樹脂組成物[B]からなるプリプレグである。本実施形態において、エポキシ樹脂組成物[B]に含まれる熱可塑性樹脂は、重量平均分子量8000〜40000のエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0142】
本実施形態では、導電性粒子がプリプレグの表面層に分散するとともに、平均粒子径が500nm以下の微細な導電性粒子がプリプレグの内層に分散している。本発明において内層を形成する樹脂組成物(I)は、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含んでいるため粘度が高い。そのため、表面層及び内層の導電粒子は互いに移動し難い。このプリプレグを用いて作製されたFRPは、導電性粒子により導電ブリッジが形成されているため、厚さ方向における高い導電性と耐衝撃性とを兼ね備える。
【0143】
本実施形態においてエポキシ樹脂組成物[B]は、重量平均分子量8000〜40000のエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含有していることが好ましい。このエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂組成物[B]の粘度を調整し、得られるFRPの耐衝撃性を向上させる。エポキシ樹脂組成物[B]に含まれる重量平均分子量8000〜40000のエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の量は、エポキシ樹脂組成物[B]の最低粘度が50〜3000Poiseとなる量とすることが好ましい。
【0144】
重量平均分子量8000〜40000のエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物[B]は適度な粘度を有するため、強化繊維層内に十分に含浸させることができる。一方、1次プリプレグの表面層に配置されるエポキシ樹脂組成物[A]が強化繊維層内に沈み込むことを防止する。したがって、エポキシ樹脂組成物[B]に含まれる微細な導電性微粒子は強化繊維層内で分散し、表面層に拡散し難くなる。
【0145】
一方、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれる導電性粒子は、プリプレグの表面層に留まる。その結果、本実施形態のプリプレグは、プリプレグ自体が優れた厚さ方向の導電性を有するとともに、このプリプレグを積層して硬化させたFRPにおいても優れた厚さ方向の導電性を有する。
【0146】
本実施形態においてエポキシ樹脂組成物[B]は、レーザー回折法による平均粒子径が500nm以下の導電性粒子(以下、「導電性微細粒子」ともいう)が配合される。また、エポキシ樹脂組成物[A]にも、レーザー回折法による平均粒子径が500nm以下の導電性粒子が配合されていることが好ましい。導電性微細粒子は、プリプレグを硬化して得られるFRPにおいて、樹脂層及び強化繊維層において均一に分散して導電ブリッジとして働く。その結果、FRPの厚さ方向における導電性が向上する。導電性微細粒子の平均粒子径は、200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。平均粒子径の下限値は特に限定されないが、一般的には1nm以上である。
【0147】
導電性微細粒子の配合量は、エポキシ樹脂組成物[A]及び[B]にそれぞれ含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して、それぞれ0.2〜20質量部であり、0.7〜15質量部が好ましい。0.2質量部未満の場合、得られるFRPの厚さ方向における導電性を向上させ難い。また、20質量部を超える場合、樹脂組成物の粘度が著しく高くなり、取扱性が悪化する場合がある。
【0148】
本実施形態においても、エポキシ樹脂組成物[A]及び/又は[B]には、プリプレグを積層硬化して得られるFRPに導電性を付与するために、レーザー回折法による平均粒子径が5〜250μmの導電性粒子(以下、「導電性粗大粒子」ともいう)が配合されることが好ましい。導電性粗大粒子は、プリプレグを積層して硬化させたFRPにおいて、積層されたプリプレグの強化繊維層同士の層間部分に局在化して、各プリプレグの強化繊維層同士を電気的に接続する役割を有する。その結果、FRPの厚さ方向における導電性が向上する。導電性粗大粒子の平均粒子径は、7〜200μmであることがより好ましい。
【0149】
導電性粗大粒子の形状は特に限定されず、球状粒子でも非球状粒子でも、また多孔質粒子でもよい。強化繊維層間に導電ブリッジを形成する観点からは、大きなアスペクト比を有することが好ましい。アスペクト比は、平均で5以上であることが好ましく、10〜100であることがより好ましい。
【0150】
導電性粗大粒子の配合量は、エポキシ樹脂組成物[A]及び[B]にそれぞれ含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して、それぞれ0.2〜20質量部であることが好ましく、0.7〜10質量部が好ましい。0.2質量部未満の場合、得られるFRPの厚さ方向における導電性を向上させ難い。また、20質量部を超える場合、樹脂組成物の粘度が著しく高くなり、取扱性が悪化する場合がある。
【0151】
本実施形態においてエポキシ樹脂組成物[A]の好ましい粘度は、レオメーターを用いて測定される温度−粘度曲線から得られる80℃での粘度が100〜5000Poiseであり、より好ましくは80℃での粘度が200〜2000Poiseである。100Poise以上である場合、エポキシ樹脂組成物[A]は適度な凝集力が付与され、得られるプリプレグにタック性を付与することができる。また、導電性粗大粒子がプリプレグから脱離することを防ぎ、導電性粗大粒子をプリプレグの表面近傍に局在化させて保持する効果が高くなる。その結果、プリプレグを硬化して得られるFRPの厚さ方向の導電性がより高くなる傾向がある。5000Poiseを超える場合は、樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎ、プリプレグの取扱性が悪化しやすい傾向がある。
【0152】
エポキシ樹脂組成物[A]の80℃での粘度を100〜5000Poiseとするためには、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれる熱可塑性樹脂の配合量は、エポキシ樹脂組成物[A]に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、15〜40質量部であることがより好ましい。
【0153】
エポキシ樹脂組成物[A]に配合される導電性微細粒子の平均粒子径は、500nm以下であることが好ましく、20〜300nmがより好ましく、20〜100nmが特に好ましい。導電性微細粒子の平均粒子径が小さいほど、導電性微細粒子の一部が成形時に強化繊維層に適度に分散するため、得られるFRPの導電性を向上させ易い。
【0154】
(3) プリプレグの製造方法
本発明のプリプレグは、エポキシ樹脂組成物[B]を含浸させてなる1次プリプレグと、表面層となるエポキシ樹脂組成物[A]のシートと、を加熱加圧することにより一体化させて製造される。
【0155】
図2(a)〜(c)は、本発明のプリプレグが製造される過程を順次示す説明図である。先ず、強化繊維11からなる強化繊維層12の厚さ方向両側に、エポキシ樹脂組成物[B]からなる樹脂[B]シート13a、13bがそれぞれ積層される(
図2(a))。この強化繊維層12と樹脂[B]シート13a、13bとは、熱ローラー等を用いて熱プレスされる。この熱プレスにより、エポキシ樹脂組成物[B]が強化繊維層12に含浸され、1次プリプレグ10が得られる(
図2(b))。その後、この1次プリプレグ10の厚さ方向の両面に、エポキシ樹脂組成物[A]からなる樹脂[A]シート15a、15bがそれぞれ積層される(
図2(c))。この1次プリプレグ10と樹脂[A]シート15a、15bとは、熱ローラー等を用いて熱プレスされる。この熱プレスにより、1次プリプレグ10と樹脂[A]シート15a、15bとは一体化され、本発明のプリプレグ100(
図1)が得られる。
【0156】
図3は、本発明のプリプレグを製造する工程の一例を示す概念図である。
図3中、21は炭素繊維等の繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維層であり、矢印A方向に走行している。この強化繊維層21の厚さ方向両側には、シートロール23a、23bからそれぞれ供給される離型紙14a、14b付きの樹脂[B]シート13a、13bがそれぞれ積層される。この強化繊維層21と樹脂[B]シート13a、13bとは、離型紙14a、14bを介して熱ローラー27a、27bを用いて熱プレスされる。この熱プレスにより、樹脂[B]シート13a、13bの樹脂組成物が強化繊維層21内に含浸され、1次プリプレグ10が形成される。その後、1次プリプレグ10の両面に積層されている離型紙14a、14bは、ローラー24a、24bにそれぞれ巻き取られて1次プリプレグ10から除去される。次いで、離型紙が除去された1次プリプレグ10の両面には、シートロール25a、25bからそれぞれ供給される離型紙付きの樹脂[A]シート15a、15bがそれぞれ積層される。この1次プリプレグ10と樹脂[A]シート15a、15bとは、離型紙を介して熱ローラー29a、29bを用いて熱プレスされる。この熱プレスにより、本発明のプリプレグ100が形成される。離型紙がその両面に付着しているこのプリプレグ100は、ローラー101に巻き取られる。
【0157】
(3−1) 1次プリプレグの製造
1次プリプレグは、強化繊維層内にエポキシ樹脂組成物[B]を含浸させることにより製造される。含浸方法としては、加熱により粘度を低下させた樹脂組成物を強化繊維層内に含浸させる乾式法を挙げることができる。かかる乾式法は、樹脂組成物を有機溶媒に溶解させて強化繊維層内に含浸させた後に該有機溶媒を除去する湿式法と比べて、有機溶媒が残存しないため好ましい。以下、乾式法によりプリプレグを製造する方法について説明する。
【0158】
(3−1−1) エポキシ樹脂組成物[B]の製造
エポキシ樹脂組成物[B]は、前述の必須成分及び任意成分を混練することにより製造することができる。混練温度は、配合する樹脂の粘度、熱特性、硬化温度等を考慮して適宜調節されるが、硬化開始温度以下であり、50〜120℃であることが好ましい。混練は、1段で行ってもよいし、多段で行ってもよい。また、エポキシ樹脂組成物[B]の各成分の混合順序は限定されない。エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を用いる場合は、その全量又は一部をエポキシ樹脂に予め溶解して混練することができる。また、粉体などの状態でエポキシ樹脂中に分散粒子として混合してもよい。混練機械装置には、ロールミル、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、バンバリーミキサー等、従来公知のものを用いることができる。
【0159】
(3−1−2) エポキシ樹脂組成物[B]の含浸
エポキシ樹脂組成物[B]を強化繊維層内に含浸させる方法は、特に制限がない。特に好ましい含浸方法を以下に記載する。
【0160】
先ず、エポキシ樹脂組成物[B]からなる樹脂シート(「樹脂[B]シート」ともいう)が作製される。樹脂シートは公知の方法で作製できる。例えば、ダイコーター、アプリケーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ナイフコーターなどを用いて、離型紙や離型シートなどの支持体上に流延、キャストすることにより作製できる。シート化の際の樹脂温度は、その樹脂の組成や粘度に応じて適宜設定される。
【0161】
エポキシ樹脂組成物[B]のシート化の加工温度は、通常、70〜160℃が好ましく、75〜140℃がより好ましい。70℃未満である場合、エポキシ樹脂組成物[B]の粘度が高いため、エポキシ樹脂組成物[B]を強化繊維層内に含浸させにくくなる。160℃を超える場合、エポキシ樹脂組成物[B]が硬化しやすくなり、得られるプリプレグのドレープ性が悪化しやすい。エポキシ樹脂組成物[B]をシート化する場合は、可能な限り短時間に行う。これにより、エポキシ樹脂組成物[B]の硬化を実質的に防止できる。
【0162】
樹脂[B]シートの厚さは、2〜500μmとすることが好ましく、5〜100μmとすることがより好ましい。
【0163】
次に、上記で得られたシート状のエポキシ樹脂組成物[B]を強化繊維層内に含浸させる。樹脂[B]シートを強化繊維層の片面又は両面に積層し、この積層体を加熱加圧する。加圧下で加熱処理することにより、エポキシ樹脂組成物[B]は粘度が低下し、強化繊維層の空隙に含浸される。
【0164】
含浸処理の加熱温度は、エポキシ樹脂組成物[B]の粘度、硬化温度などを考慮し、適宜調節することが出来る。好ましくは70〜160℃であり、90〜140℃がより好ましい。含浸温度が70℃未満である場合、エポキシ樹脂組成物[B]の粘度が高いため、エポキシ樹脂組成物[B]を強化繊維層内に含浸させ難い。含浸温度が160℃を超える場合、エポキシ樹脂組成物[B]が硬化しやすい。その結果、得られるプリプレグのドレープ性が悪化しやすい。
【0165】
含浸処理の時間は、10〜300秒が好ましい。
【0166】
含浸処理の加圧条件は、エポキシ樹脂組成物[B]の組成や粘度に応じて適宜調整されるが、好ましくは、線圧9.8〜245N/cm(1〜25kg/cm)であり、より好ましくは19.6〜147N/cm(2〜15kg/cm)である。線圧が9.8N/cm未満である場合、エポキシ樹脂組成物[B]を強化繊維層内に十分に含浸させるのが困難である。245N/cmを超える場合、強化繊維を損傷させやすい。
【0167】
含浸処理の方法は、熱ローラー等を用いる従来公知の方法により行うことができる。含浸処理は1回で行ってもよく、複数回行ってもよい。このようにして、エポキシ樹脂組成物[B]が強化繊維層内に含浸された1次プリプレグが製造される。
【0168】
(3−2)エポキシ樹脂組成物[A]の製造
エポキシ樹脂組成物[A]は、前述の必須成分及び任意成分を混練することにより製造することができる。エポキシ樹脂組成物[A]の製造方法は、上記(3−1−1)で説明したエポキシ樹脂組成物[B]と同様に製造することができる。
【0169】
得られたエポキシ樹脂組成物[A]は、シート状の1次プリプレグの表面に積層するためにシート状に加工される。加工方法は、前記(3−1−2)で説明した樹脂[B]シートと同様の方法を用いることができる。
【0170】
樹脂[A]シートの厚さは、2〜30μmが好ましく、5〜20μmが特に好ましい。2μm未満の場合は、得られるプリプレグのタック性が低下する。30μmを超える場合は、得られるプリプレグの取扱性やFRPの成形精度が低下しやすい。
【0171】
(3−3)1次プリプレグと樹脂[A]シートの積層一体化
1次プリプレグの少なくとも一方の表面に、樹脂[A]シートを積層し加熱加圧することにより、1次プリプレグと樹脂[A]シートとが一体化した本発明のプリプレグが得られる。
【0172】
加熱温度は、エポキシ樹脂組成物[A]の粘度、硬化温度などを考慮し、適宜調節することができるが、50〜90℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。50℃未満である場合、エポキシ樹脂組成物[A]の粘度が高く、プリプレグ製造時の工程安定性を損なう虞がある。90℃を超える場合、エポキシ樹脂組成物[A]と、1次プリプレグを構成するエポキシ樹脂組成物[B]とが混合して、硬化反応が進行しやすくなる。その結果、得られるプリプレグを長期間保存した場合、タック性、ドレープ性が低下しやすくなる。
【0173】
加圧条件は、エポキシ樹脂組成物[B]の組成や粘度に応じて適宜調整されるが、好ましくは、線圧0.98〜98N/cm(0.1〜10kg/cm)であり、より好ましくは4.9〜58.8N/cm(0.5〜6kg/cm)である。線圧が0.98N/cm未満である場合、1次プリプレグと樹脂[A]シートとが十分に接着されない。線圧が98N/cmを超える場合、エポキシ樹脂組成物[A]が、1次プリプレグに含浸されているエポキシ樹脂組成物[B]に沈み込む。この場合は、エポキシ樹脂組成物[A]に含有される導電性粒子が、エポキシ樹脂組成物[B]に拡散しやすくなるため、プリプレグを成形して得られるFRPの導電性が低下しやすい傾向がある。
【0174】
上記製造方法により、エポキシ樹脂組成物[A]は、1次プリプレグの表面に一体化し、本発明のプリプレグの表面層が形成される。
【0175】
エポキシ樹脂組成物[B]の導電性粒子は、熱プレスによって強化繊維層の外側に局在化する。
【0176】
プリプレグの生産速度は特に限定されないが、生産性や経済性などを考慮すると、0.1m/min以上であり、1m/min以上であることが好ましく、5m/min以上であることが特に好ましい。
【0177】
本プリプレグは、上記の製造方法に限らず、例えば、強化繊維層の厚さ方向片面又は両面に樹脂[B]シート、樹脂[A]シートを順次積層して、1段階で熱プレスして製造することもできる。この場合は、エポキシ樹脂組成物[A]及び/又は[B]内に含まれている硬化剤が拡散しないように低温(50〜90℃)で熱プレスを行うことが好ましい。
【0178】
本プリプレグは、本発明の効果を妨げない範囲において安定剤や離型剤、フィラー、着色剤等が配合されていても良い。
【0179】
(4)本プリプレグの使用方法
本プリプレグは公知の手法により硬化させることによりFRPを作製することができる。本プリプレグを用いてFRPを作製する方法としては、従来公知の方法、例えば、マニュアルレイアップ、自動テープレイアップ(ATL)、自動繊維配置、真空バギング、オートクレーブ硬化、オートクレーブ以外の硬化、流体援用加工、圧力支援プロセス、マッチモールドプロセス、単純プレス硬化、プレスクレーブ硬化及び連続バンドプレスを使用する方法が挙げられる。
【0180】
例えば、本プリプレグを積層して、オートクレーブ中で0.2〜1.0MPaに加圧し、150〜204℃で1〜8時間加熱することによって、FRPを成形することができる。
【0181】
本プリプレグは、硬化反応させる際に、加熱することによって、硬化剤がエポキシ樹脂組成物[A]及び[B]中に拡散される。これにより、エポキシ樹脂組成物[A]及び[B]がともに硬化する。
【0182】
FRPの製造過程において、プリプレグの表面層に存在していた導電性粒子は、硬化過程での樹脂の流動によりプリプレグの表面層から1次プリプレグ表面近傍の樹脂層、次いで1次プリプレグ内部の強化繊維層に向かって徐々に減少する濃度分布をもって分散する。そのため、本発明のプリプレグを用いて得られるFRPは、FRPの表面から強化繊維層まで厚さ方向全体に導電性粒子が存在し、導電性が高いものとなる。なお、FRPの面方向の導電性は、強化繊維が導電性の場合、強化繊維により確保されている。
【0183】
本プリプレグを用いて得られるFRPの導電性は、後述の測定方法による体積抵抗率で3.5kΩ・cm以下であり、好ましくは0.3kΩ・cm以下である。
【実施例】
【0184】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本実施例、比較例において使用する成分や試験方法は以下のとおりである。
【0185】
〔成分〕
(強化繊維)
・テナックス(商品名) IMS 65 E 23 24K 830tex:東邦テナックス(株)社製、炭素繊維ストランド、引張強度:5800MPa(590kgf/mm
2)、引張弾性率:290GPa(30tf/mm
2)
【0186】
(エポキシ樹脂)
・アラルダイトMY0510(商品名):ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(3官能基)(以下、「MY0510」と略記する)
・アラルダイトMY0600(商品名):ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製、グリシジルアミン型エポキシ樹脂 (3官能基) (以下、「MY0600」と略記する)
・アラルダイトMY0610(商品名):ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製、グリシジルアミン型エポキシ樹脂 (3官能基) (以下、「MY0610」と略記する)
・アラルダイトMY721(商品名):ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製、グリシジルアミン型エポキシ樹脂 (4官能基) (以下、「MY721」と略記する)
・アラルダイトMY725(商品名):ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製、グリシジルアミン型エポキシ樹脂 (4官能基) (以下、「MY725」と略記する)
・スミエポキシELM100(商品名):住友化学工業(株)製、グリシジルアミン型エポキシ樹脂 (3官能基) (以下、「ELM100」と略記する)
・エピコート154(商品名):三菱化学(株)製、ノボラック型エポキシ樹脂 (多官能基) (以下、「jER154」と略記する)
・エピコート604(商品名):三菱化学(株)製、グリシジルアミン型エポキシ樹脂 (4官能基)(以下、「jER604」と略記する)
・エピコート828(商品名):三菱化学(株)製、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂 (2官能基) (以下、「jER828」と略記する)
【0187】
(エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂)
・Virantage VW−10200RSFP(商品名):Solvay Specialty Polymers社製、平均粒子径20μm、重量平均分子量(Mw)45,000のポリエーテルスルホン
・Virantage VW−10700RSFP(商品名):Solvay Specialty Polymers社製、平均粒子径20μm、重量平均分子量(Mw)22,000のポリエーテルスルホン
・Virantage DAMS VW−30500 RP(商品名):Solvay Specialty Polymers社製、平均粒子径100μm、重量平均分子量(Mw)14,000のポリルスルホン
・Ultrason E2020P(商品名):BASF社製、平均粒子径20μmのポリエーテルスルホン
・Ultem1000−1000(商品名):SABICイノベーティブプラスチックス社製、平均粒子径20μmのポリエーテルイミド
・UDEL(商品名):ソルベイスペシャルティポリマーズ社製、平均粒子径20μmのポリスルホン
・PES−5003P(商品名):住友化学工業(株)製、平均粒子径20μmのポリエーテルスルホン
【0188】
(エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂)
・TR−55(商品名):エムスケミージャパン社製、平均粒子径20μmのポリアミド粒子
・TR−90(商品名):エムスケミージャパン社製、平均粒子径20μmのポリアミド粒子
・ORGASOL1002D NAT(商品名):アルケマ社製、平均粒子径20μmのポリアミド粒子
・MXナイロン(商品名):三菱ガス化学(株)社製、平均粒子径20μmのポリアミド粒子
【0189】
(硬化剤)
・3,3’−ジアミノジフェニルスルホン:日本合成加工社製、芳香族アミン系硬化剤(以下、「3,3’−DDS」と略記する)
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン :和歌山精化社製、芳香族アミン系硬化剤(以下、「4,4’−DDS」と略記する)
【0190】
(導電性粒子)
・EC1500(商品名):伊藤黒鉛(株)製、平均粒子径7μmの膨張黒鉛
・VGCF−H(商品名):昭和電工(株)製、アスペクト比40、粒子径150nm(カタログ値)の気相法炭素繊維
・#51−R(商品名):JX日鉱日石金属(株)製、平均粒子径20〜35μm(カタログ値)の銅粉
・ケッチェンブラックEC300J(商品名):ライオン(株)製、導電性カーボンブラック、平均粒子径39.5nm(カタログ値)(以下、「カーボンブラック」と略記する)
・スーパーファイン銀粉(平均粒子径100nm):DOWAエレクトロニクス(株)製、粒子径はカタログ値(以下、「100nmAg」と略記する)
・銀ナノ粒子乾粉(平均粒子径20nm):DOWAエレクトロニクス(株)製、粒子径はカタログ値(以下、「20nmAg」と略記する)
・ダイアリード(商品名):三菱樹脂(株)製、アスペクト比18のピッチ系炭素繊維ミルドファイバー、平均粒子径200μm(カタログ値)
・GRANOC(商品名):日本グラファイトファイバー(株)製、粒子径100μm(カタログ値)、アスペクト比8のピッチ系炭素繊維ミルドファイバー
・EC1500(商品名):伊藤黒鉛(株)製、球状の膨張黒鉛、平均粒子径7μm(以下、「膨張黒鉛」と略記する)
・10%Agコート2L3(商品名):福田金属箔粉工業(株)製、平均粒子径31μm(カタログ値)、フレーク状銀コート銅粉(非球状)(以下、「銅粉」と略記する)
【0191】
〔平均粒子径〕
日機装(株)製のレーザー回折・散乱式の粒度分析計(マイクロトラック法)MT3300を用いて粒度分布を測定し、その50%粒子径(D
50)を平均粒子径とした。なお、特に記載する場合を除き、本発明における平均粒子径は、この方法により測定される値をいう。
【0192】
〔アスペクト比〕
アスペクト比は、ニコン(株)製 共焦点顕微鏡 HD100を用いて、各粒子の最大粒子径(繊維状の場合は繊維長)、最小粒子径(繊維状の場合は繊維径)の測定(n=50)を実施し、その比(最大粒子径/最小粒子径)をアスペクト比とした。
【0193】
〔粘度〕
レオメトリクス社製レオメーターARES−RDAを用い、直径25mmのパラレルプレートを用い、パラレルプレート間のエポキシ樹脂組成物の厚さを0.5mmとし、角速度10ラジアン/秒の条件で昇温速度2℃/分で180℃まで粘度測定を行い、温度−粘度曲線から粘度を測定した。
【0194】
〔衝撃後圧縮強度(CAI)〕
得られたプリプレグを一辺が360mmの正方形にカット、積層し、積層構成[+45/0/−45/90]
3Sの積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物を幅101.6mm × 長さ152.4mmの寸法に切断し、衝撃後圧縮強度(CAI)試験の試験片を得た。この試験片を用いて、SACMA SRM 2R−94に従い、30.5Jの衝撃を与えて損傷させた後、圧縮強度(CAI)を測定した。試験片圧縮試験機のクロスヘッドスピードは1.27mm/分とし、n=5で測定を行った。
【0195】
〔層間破壊靭性モードI(GIc)〕
得られたプリプレグを一辺が360mmの正方形にカットした後、積層し、0°方向に10層積層した積層体を2つ作製した。初期クラックを発生させるために、離型シートを2つの積層体の間に挟み、両者を組み合わせ、積層構成[0]
20のプリプレグ積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物(FRP)を幅 12.7 mm × 長さ 304.8 mmの寸法に切断し、層間破壊靭性モードI(GIc)の試験片を得た。
【0196】
GIcの試験方法として、双片持ちはり層間破壊靱性試験法(DCB法)を用い、離型シートの先端から12.7mmの予亀裂(初期クラック)を発生させた後に、さらに亀裂を進展させる試験を行った。予亀裂の先端から、亀裂進展長さが127mmに到達した時点で試験を終了させた。試験片引張試験機のクロスヘッドスピードは12.7mm/分とし、n=5で測定を行った。
【0197】
亀裂進展長さは顕微鏡を用いて試験片の両端面から測定し、荷重、及び亀裂開口変位を計測することにより、GIc算出した。
【0198】
〔層間破壊靭性モードII(GIIc)〕
得られたプリプレグを所定の寸法にカットした後、積層し、0°方向に10層積層した積層体を2つ作製した。初期クラックを形成させるために、離型シートを2つの積層体の間に挟み、両者を組み合わせ、積層構成[0]
20のプリプレグ積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物(繊維強化複合材料)を幅 12.7 mm × 長さ 304.8 mmの寸法に切断し、層間破壊靭性モードII(GIIc)の試験片を得た。この試験片を用いて、GIIc試験を行った。
【0199】
GIIc試験方法として、3点曲げ荷重を負荷するENF(end notched flexure test)試験を行った。支点間距離は101.6mmとした。厚さ25μmのPTFEシートにより作製したシートの先端が、支点から38.1mmとなるように試験片を配置し、この試験片に2.54mm/分の速度で曲げの負荷を与えて初期クラックを形成させた。
その後、クラックの先端が、支点から25.4mmの位置になるように試験片を配置し、12.7mm/分の速度で曲げの負荷を与えて試験を行った。同様に、3回の試験を実施し、それぞれの曲げ試験の荷重―ストロークから各回のGIIcを算出した後、それらの平均値を算出した。
クラックの先端は顕微鏡を用いて、試験片の両端面から測定を行った。GIIc試験の測定は、n=5の試験片で測定を行った。
【0200】
〔Z方向体積抵抗率〕
本発明において、FRPの導電性は、Z方向(厚さ方向)の体積抵抗率をデジタルオームメーター(ADEX社製 AX−114N)を用いて測定した。体積抵抗率とは、所与の材料の固有抵抗である。材料のZ方向体積抵抗率ρは、下式
ρ= RA/L
R:材料からの均一な試験片の電気抵抗(Ω)、
L:試験片の厚さ(m)、
A:試験片の横断面積(m
2)
により計算した。
本発明では、体積抵抗はZ方向にのみ(FRPの厚みを貫通して)測定する。計算においては厚みが常に考慮されるので、すべての場合において、この値は「体積」抵抗率となる。
【0201】
〔Z方向体積抵抗率測定用試料の作製方法〕
プリプレグをカット、積層し、積層構成[+45/0/−45/90]
2Sの積層体を得た。真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物を幅40mm × 長さ40mmの寸法に切断し、サンドペーパーを用いて、成形物の表面を炭素繊維が露出するまで研磨を行い、最終的に、2000番のサンドペーパーを用いて表面仕上げを行い試験片を得た。得られた試験片を、幅50mm × 長さ50mmの金メッキを施した電極に挟み、試験片に0.06MPaの荷重をかけて、デジタルオームメーターを用いてZ方向の抵抗値を測定し、上式から体積抵抗率を求めた。
【0202】
〔吸水率〕
プリプレグを100×100mmにカットし、質量(W1)を測定した。その後、デシケーター中でプリプレグを水中に沈めた。デシケーター内を、10kPa以下に減圧し、プリプレグ内部の空気と水を置換させた。プリプレグを水中から取り出し、表面の水を拭き取り、プリプレグの質量(W2)を測定した。これらの測定値から下記式
吸水率(%)=[(W2−W1)/W1]×100
W1:プリプレグの質量(g)
W2:吸水後のプリプレグの質量(g)
を用いて吸水率を算出した。
【0203】
〔室温保存安定性〕
プリプレグを温度26.7℃、湿度65%に10日間保存した後に、プリプレグをカットし、金型に積層することにより評価した。評価結果は以下の基準(○〜×)で表した。
○:金型へ積層しても十分追従し、製造直後とほとんど変わらない取扱性。
△:プリプレグの硬化反応が進行し、タック・ドレープ性が低下しているが、金型へ積層しても、使用するには問題のないレベル。
×:プリプレグの硬化反応が進行し、タック・ドレープ性が著しく低下しており、金型へ積層することが困難な状況。
【0204】
〔タック性〕
プリプレグのタック性は、タッキング試験装置 TAC−II(RHESCA CO., LTD.)を用いて以下の方法により測定した。試験方法として、27℃に保持された試験ステージにプリプレグをセットし、27℃に保持されたφ5のタックプローブで初期荷重100gfの荷重をかけて、10mm/secの試験速度で引き抜いた際の最大の荷重を求めた。
【0205】
製造直後のプリプレグと、温度26.7℃、湿度65%に10日間保存したプリプレグに、それぞれタックプローブ試験を実施した。評価結果は以下の基準(○〜×)で表した。
○:製造直後の荷重が200gf以上で、10日間保存後のタック保持率が50%以上100%未満。
△:製造直後の荷重が200gf以上で、10日間保存後のタック保持率が25%以上50%未満。
×:製造直後の荷重が200gf以上で、10日間保存後のタック保持率が0%以上25%未満。
【0206】
〔ドレープ性〕
プリプレグのドレープ性は、ASTM D1388に準拠して、以下の試験により評価した。プリプレグを0°繊維方向に対し90°方向にカットし、傾斜角度 41.5°の傾斜に対するドレープ性(flexural rigidity, mg*cm)を評価した。この評価は、プリプレグの製造直後と、温度26.7℃、湿度65%で所定の期間保存した後とに、それぞれ実施した。評価結果は以下の基準(○〜×)で表した。
○:20日間経過後でも、ドレープ性は製造直後と変わらない。
△:10日間経過後でも、ドレープ性は製造直後と変わらない。(10日後からは、若干ドレープ性に低下が見られた。)
×:10日間経過後では、ドレープ性が製造直後よりも低下し、使用するには問題のあるレベルであった。
【0207】
〔実施例1、2〕
表1に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂に熱可塑性樹脂を120℃で溶解させた。その後、80℃まで降温し、導電性粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[A]を調製した。
【0208】
表1に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にUltem1000−1000 10質量部を120℃で溶解させた。その後、80℃まで降温し、残りの熱可塑性樹脂、硬化剤を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[B]を調製した。
【0209】
エポキシ樹脂組成物[A]及びエポキシ樹脂組成物[B]を、それぞれフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、表1に示す目付けの樹脂[A]シート及び樹脂[B]シートを得た。
次に、樹脂[B]シート2枚の間に、前記炭素繊維ストランドを供給して一方向に均一に配列[目付け(190g/m
2)]させることにより、炭素繊維ストランドをシート状にし、これらをローラーを用いて、130℃で加圧及び加熱して、1次プリプレグを得た。
【0210】
その後、樹脂[A]シート2枚の間に前記1次プリプレグを供給し、ローラーを用いて70℃で加圧及び加熱して、ロールに巻き取り、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂の含有率は35質量%であった。得られたプリプレグの各種性能を表1に示した。
【0211】
実施例1、2で得られたプリプレグでは、導電性粒子がプリプレグ表面に分散している。そのため、このプリプレグを積層し硬化させて作製されるFRPの導電性は、十分に高いものであった。
【0212】
〔比較例1、2〕
表1に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂に80℃で硬化剤を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[B]を調製した。なお、エポキシ樹脂組成物[B]には熱可塑性樹脂は添加しなかった。また、表1に記載する割合で、実施例1と同様の方法で、エポキシ樹脂組成物[A]を調製した。実施例1と同様の方法でプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表1に示した。
【0213】
エポキシ樹脂組成物[B]に熱可塑性樹脂を加えなかったため、比較例1、2で得られたプリプレグでは、導電性粒子がプリプレグの内層に沈み込んでしまった。そのため、得られたプリプレグを積層硬化して作製されたFRPは、2倍量の導電性粒子を加えた比較例2でさえも実施例1に比べて体積抵抗率が高く、導電性が低いものであった。また、比較例1、2では、FRPの耐衝撃性及び靭性も低いものであった。
【0214】
一方、実施例1、2は、熱可塑性樹脂の存在により、1次プリプレグに含浸されている樹脂組成物の最低粘度が比較例1、2に比べて高かった。そのため、導電性粒子がプリプレグの内層に沈み込み難かった。したがって、プリプレグを積層硬化して作製されたFRPでは、FRPの樹脂層(プリプレグの表面層及び1次プリプレグの樹脂層に由来する)に導電性粒子が多く留まり、各強化繊維層間(積層されたプリプレグの各強化繊維層に由来する)の導電ブリッジとして働いた。そのため、得られたFRPは、厚さ方向の体積抵抗率が低く、導電性が高いものであった。また、実施例1、2では、FRPの耐衝撃性及び靭性も高いものであった。
【0215】
〔実施例3〜5〕
エポキシ樹脂組成物[A]及びエポキシ樹脂組成物[B]で用いる熱可塑性樹脂を表1に記載するとおり変更した以外は、実施例1と同様の方法でプリプレグを製造した。得られたプリプレグの各種性能を表1に示した。
【0216】
熱可塑性樹脂の種類を変更した実施例3〜5でも、実施例1、2と同様に、熱可塑性樹脂の存在により、プリプレグの内層である1次プリプレグに含浸されている樹脂組成物の最低粘度が比較例1、2に比べて高い。そのため、導電性粒子がプリプレグの内層に沈み込み難かった。したがって、プリプレグを積層硬化して作製されたFRPでは、FRPの樹脂層に導電性粒子が多く留まり、各強化繊維層間の導電ブリッジとして働いた。そのため、得られたFRPは、厚さ方向の体積抵抗率が低く、導電性が高いものであった。また、得られたFRPの耐衝撃性及び靭性も高いものであった。
【0217】
【表1】
【0218】
〔実施例6〜11〕
表2に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂(Ultem1000−1000)10質量部を120℃で溶解させた。その後、80℃まで降温し、硬化剤、残りのエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂(TR−55)を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[B]を調製した。エポキシ樹脂組成物[A]は、導電性粒子の添加量を変えた以外は、実施例1と同様に調製した。実施例1と同様の方法でプリプレグを製造し、得られたプリプレグの性能を表2に示した。
【0219】
実施例6〜11で得られたプリプレグは、温度26.7℃、湿度65%で10日間保存した後におけるドレープ性は製造直後と変わらず、タック性は50%以上を維持しており、貯蔵安定性にも優れていた。また、得られたFRPは、厚さ方向の体積抵抗率が低く、導電性が高いものであった。得られたFRPは、耐衝撃性及び靭性も高いものであった。
【0220】
〔比較例3〕
エポキシ樹脂組成物[A]に導電性粒子を添加しない以外は、実施例6と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表2に示した。
【0221】
〔比較例4、5〕
エポキシ樹脂組成物[B]を、表2の割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂(Ultem1000−1000)10質量部を120℃で溶解させた。その後、80℃まで降温し、硬化剤、残りのエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂(TR−55)及び導電性粒子を添加し、30分間混合し、調製した。エポキシ樹脂組成物[A]は、攪拌機を用いてエポキシ樹脂に熱可塑性樹脂を120℃で溶解させ調製した。なお、エポキシ樹脂組成物[A]には導電性粒子を添加しなかった。その後、実施例1と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表2に示した。
【0222】
〔実施例12〕
表2の割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂(Ultem1000−1000)10質量部を120℃で溶解させた。その後、80℃まで降温し、硬化剤、残りのエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂(TR−55)及び導電性粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[B]を調製した。エポキシ樹脂組成物[A]は、導電性粒子の添加量を表2に記載する割合に変えた以外は、実施例1と同様に調製した。その後、実施例1と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表2に示した。
【0223】
導電性粒子を添加していない比較例3は、FRPの各強化繊維層間に不溶性熱可塑性樹脂(TR−55)が分布し、FRPの樹脂層に絶縁層を形成する。そのため、得られたFRPは、厚さ方向の体積抵抗率が高く、導電性が低いものであった。
【0224】
一方、実施例6〜11は、プリプレグの表面層に導電性粒子を添加することで、FRPの強化繊維層間(樹脂層)に導電性粒子が分散し、各強化繊維層間の厚さ方向の導電ブリッジとして働いた。その結果、樹脂層に不溶性熱可塑性樹脂(TR−55)が存在しているにも拘らず、得られたFRPは、体積抵抗率が低く、導電性が高いものであった。
【0225】
比較例4、5では、プリプレグの内層に熱可塑性樹脂に加えて、微小な固体粒子である導電性粒子を多量に(エポキシ樹脂組成物[B]に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対してそれぞれ3質量部、6質量部)添加した。そのため、エポキシ樹脂組成物[B]は粘度が高くなり、プリプレグの樹脂含浸性が悪化するなど取扱性が悪化し、得られたFRPのGIcの値も低下してしまった。また、マトリクス樹脂全体に占める導電性粒子の割合が同程度になるように導電性粒子をエポキシ樹脂組成物[A]に含む場合(実施例9、10)に比べて、比較例4、5で得られたFRPは、体積抵抗率が高く、導電性が低いものであった。
【0226】
実施例12では、エポキシ樹脂組成物[A]、[B]の両方に導電性粒子を添加した。その結果、得られたFRPの導電性は、エポキシ樹脂組成物[A]のみに、マトリクス樹脂全体に占める添加量が同程度になるように導電性粒子を添加した場合(実施例9)と比べるとやや低下したものの、比較例4、5と比べると十分に高いものであった。
【0227】
【表2】
【0228】
〔実施例13、14〕
導電性粒子の種類をカーボンブラックからVGCFに変え、添加量を表3に記載する添加量とした以外は、実施例6と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表3に示した。
【0229】
〔比較例6〕
導電性粒子の種類をカーボンブラックからVGCFに変えた以外は、比較例4と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表3に示した。
【0230】
【表3】
【0231】
〔実施例15、16〕
導電性粒子の種類をカーボンブラックから膨張黒鉛に変え、添加量を表4に記載する添加量とした以外は、実施例6と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表4に示した。
【0232】
〔比較例7〕
導電性粒子の種類をカーボンブラックから膨張黒鉛に変えた以外は、比較例4と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表4に示した。
【0233】
【表4】
【0234】
〔実施例17、18〕
導電性粒子の種類をカーボンブラックから銅粉に変え、添加量を表5に記載する添加量とした以外は、実施例6と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表5に示した。
【0235】
〔比較例8〕
導電性粒子の種類をカーボンブラックから銅粉に変えた以外は、比較例4と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表5に示した。
【0236】
【表5】
【0237】
〔実施例19〜24〕
エポキシ樹脂組成物[B]のエポキシ樹脂の種類を変えた以外は、実施例9と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表6に示した。
【0238】
【表6】
【0239】
〔実施例25〕
エポキシ樹脂組成物[B]のエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂の種類をTR−55からTR−90に変えた以外は、実施例9と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表7に示した。
【0240】
〔実施例26〕
エポキシ樹脂組成物[A]及びエポキシ樹脂組成物[B]のエポキシ樹脂の種類をMY0600、MY721からそれぞれMY0610、MY725に変えた以外は、実施例9と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表7に示した。
【0241】
〔実施例27〕
エポキシ樹脂組成物[A]及びエポキシ樹脂組成物[B]のエポキシ樹脂の種類をMY0600、MY721からそれぞれMY0610、MY725に変更し、更に導電性微粒子の添加量を変更した以外は、実施例12と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表7に示した。
【0242】
〔実施例28、29〕
表7に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂(Ultem1000−1000)10質量部を120℃で溶解させた。その後、80℃に降温し、硬化剤、残りのエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂及びエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂(TR−55)を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[B]を調製した。表7に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂(Ultem1000−1000)10質量部を120℃で溶解させた後、80℃に降温し、導電性粒子、硬化剤、残りのエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂及びエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[A]を調製した。実施例1と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表7に示した。
【0243】
実施例28、29では、プリプレグの表面層であるエポキシ樹脂組成物[A]に、硬化剤を添加したため、得られたプリプレグのドレープ性、タック性の維持率が実施例6〜11に比べて低下し、室温保存安定性がやや低下していたものの、FRPの導電性、耐衝撃性は十分なものであった。
【0244】
〔実施例30、31〕
表7に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂(Ultem1000−1000)7質量部を120℃で溶解させた。その後、80℃に降温し、残りのエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[B]を調製した。なお、エポキシ樹脂組成物[B]には硬化剤を添加しなかった。表7に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にすべてのエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を120℃で溶解させた。その後、80℃に降温し、硬化剤、導電性粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[A]を調製した。実施例1と同様の方法でプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表7に示した。
【0245】
エポキシ樹脂組成物[B]に硬化剤を添加しなかった実施例30、31で得られたプリプレグは、実施例1、2と同様に導電性粒子がプリプレグ表面に分散している。そのため、得られたプリプレグを積層硬化して作製されたFRPの導電性は、十分に高く、耐衝撃性及び靭性も高いものであった。実施例30、31で得られたプリプレグは、ドレープ性、タック性ともに優れ、また、温度26.7℃、湿度65%で10日間保存した後でも、ドレープ性は製造直後と変わらず、タック性は50%以上を維持しており、室温保存安定性が優れていた。
【0246】
【表7】
【0247】
〔比較例9〜11〕
表8に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂(Ultem1000−1000)10質量部を120℃で溶解させた。その後、80℃に降温し、硬化剤、残りのエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂(TR−55)及び導電性粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物をフィルムコーターを用いて、表8に示す目付けで離型フィルム上に塗布し、樹脂シートを得た。次に、この樹脂シート2枚の間に、前記炭素繊維ストランドを一方向に均一に配列[目付け(190g/m
2)]させて供給し、ローラーを用いて130℃で加圧及び加熱した後、ロールに巻き取り、プリプレグを得た。このプリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。得られたプリプレグの各種性能を表8に示した。
【0248】
比較例9〜11は、熱可塑性樹脂及び微小な固体粒子である導電性粒子をエポキシ樹脂を多量に添加したため、樹脂組成物の粘度が高くなった。そのため、プリプレグの樹脂含浸性が悪化するなど取扱性が悪化した。また、得られたFRPのGIcの値も低いものであった。
【0249】
また、比較例9〜11のプリプレグは、3官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂と3,3’−DDSとの硬化反応により、室温保存安定性、タック保持性、ドレープ性が著しく悪化しており、使用するのは困難であった。
【0250】
また更に、比較例9〜11は、プリプレグ全体に導電性粒子が混ざっている。そのため、マトリクス樹脂全体に占める導電性粒子の割合が同程度で、プリプレグの表面層のみに導電性粒子を含む場合(実施例9、10)と比べて、強化繊維層内に沈み込んでいる導電性粒子の量が多い。したがって、プリプレグを積層硬化して作製されたFRPは、各強化繊維層同士を接続する導電性粒子の量が少なくなる。そのため、比較例9〜11では、プリプレグの表面層のみに導電性粒子が添加されている実施例9、10と比較して体積抵抗率が高い値となった。
【0251】
【表8】
【0252】
〔実施例32、33〕
表9に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を120℃で溶解させた後、80℃まで降温し、導電性粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[A]を調製した。表9に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂10質量部を120℃で溶解させた。その後、80℃まで降温し、残りのエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂、導電性粒子、硬化剤、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[B]を調製した。実施例1と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表9に示した。
【0253】
実施例32、33のプリプレグは、1次プリプレグ表面に粒子径の大きな導電性粒子が存在することにより、プリプレグの表面層に導電性粒子が分散した。これにより、FRPの樹脂層に導電性粒子が分散してFRPの各強化繊維層間の導電ブリッジとして働き、導電性が向上した。
【0254】
【表9】
【0255】
〔比較例12−15〕
表10に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂10質量部を120℃で溶解させた。その後、80℃まで降温し、硬化剤、残りのエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂及び導電性粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物をフィルムコーターを用いて、表10に示す目付けで離型フィルム上に塗布し、樹脂シートを得た。
【0256】
次に、樹脂シート2枚の間に、前記炭素繊維ストランドを一方向に均一に配列[目付け(190g/m
2)]させて供給し、ローラーを用いて、130℃で加圧及び加熱して、ロールに巻き取り、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。得られたプリプレグの各種性能を表10に示した。
【0257】
比較例12−15は、熱可塑性樹脂に加えて、導電性粒子をエポキシ樹脂100質量部に対して10〜20質量部と多量に添加したため、樹脂組成物の粘度が高くなった。そのため、プリプレグの樹脂含浸性が悪化するなど取扱性が悪化した。また、得られたFRPのGIcの値も低いものであった。
【0258】
また、比較例12−15のプリプレグは、3官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂と3,3’−DDSとの硬化反応により、室温保存安定性、タック保持性、ドレープ性が著しく悪化しており、使用するのは困難であった。
【0259】
【表10】
【0260】
〔実施例34、35〕
表11に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を120℃で溶解させた後、80℃まで降温し、硬化剤、導電性粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[A]を調製した。表11に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を120℃で溶解させた後、80℃まで降温し、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[B]を調製した。
【0261】
エポキシ樹脂組成物[A]、エポキシ樹脂組成物[B]を、それぞれフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、表11に示す目付けの樹脂[A]シート、樹脂[B]シートを得た。
【0262】
次に、樹脂[B]シート2枚の間に、前記炭素繊維ストランドを供給して一方向に均一に配列[目付け(190g/m
2)]させることにより、炭素繊維ストランドをシート状にし、ローラーを用いて140℃で加圧及び加熱して、1次プリプレグを得た。
【0263】
得られた1次プリプレグを樹脂[A]シート2枚の間に供給し、ローラーを用いて70℃で加圧及び加熱して、ロールに巻き取り、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。得られたプリプレグの各種性能を表11に示した。
【0264】
【表11】
【0265】
〔実施例36−40〕
表12に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を120℃で溶解させた後、80℃まで降温し、硬化剤、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂、導電性粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[A]を調製した。表12に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を120℃で溶解させた後、80℃まで降温し、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂、導電性粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[B]を調製した。
【0266】
次に、樹脂[B]シート2枚の間に、前記炭素繊維ストランドを供給して一方向に均一に配列[目付け(190g/m
2)]させることにより、炭素繊維ストランドをシート状にし、これらをローラーを用いて、140℃で加圧及び加熱して、1次プリプレグを得た。
【0267】
その後、樹脂[A]シート2枚の間に前記1次プリプレグを供給し、ローラーを用いて70℃で加圧及び加熱して、ロールに巻き取り、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。得られたプリプレグの各種性能を表12に示した。
【0268】
実施例36−40では、プリプレグの表面層を構成するエポキシ樹脂組成物[A]と、プリプレグ内層を構成するエポキシ樹脂組成物[B]とに導電性粒子を添加した。エポキシ樹脂組成物[B]には、平均粒子径が10μm以上の導電性粒子であるダイアリードと、平均粒子径が5μm以下の導電性粒子であるカーボンブラックとを添加した。
【0269】
平均粒子径が10μm以上の導電性粒子であるダイアリードは、強化繊維層内にエポキシ樹脂組成物[B]を含浸させる工程において、強化繊維層内に入り込み難く、プリプレグの表面層に残留した。一方、平均粒子径が5μm以下の導電性粒子であるカーボンブラックは、強化繊維層内に入り込んで拡散した。
【0270】
その結果、実施例36−40で得られたプリプレグでは、強化繊維層近傍にエポキシ樹脂組成物[B]に由来する平均粒子径が10〜200μmの導電性粒子と、エポキシ樹脂組成物[A]に由来する導電性粒子とが分散していた。
【0271】
また、実施例36−40のプリプレグでは、成型時において、隣接する強化繊維層と強化繊維層との間(層間)に粒子径の大きな導電性粒子が分散する一方、粒子径の小さな導電性粒子が強化繊維層間及び強化繊維層内にも分散される。これにより、FRPの強化繊維層間、強化繊維層内のそれぞれにおいて導電性粒子が導電ブリッジとして働き、FRPの厚さ方向の導電性を更に向上させることができた。
【0272】
また、プリプレグの内層に硬化剤が含有されていないため、プリプレグの取扱性及び室温保存安定性は良好であった。
【0273】
〔実施例41〕
表12に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂(VW−10200RSFP)10質量部を120℃で溶解させた後、80℃まで降温し、硬化剤、残りのエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂、導電性粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[A]を調製した。表12に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂(VW−10200RSFP)10質量部を120℃で溶解させた後、80℃まで降温し、残りのエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂、導電性粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[B]を調製した。実施例36と同様にプリプレグを製造し、得られたプリプレグの各種性能を表12に示した。
【0274】
実施例41では、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂として重量平均分子量(Mw)が40000以上のポリエーテルスルホンを用いたことから、得られたエポキシ樹脂組成物[A]及びエポキシ樹脂組成物[B]の粘度が増加した。
【0275】
【表12】
【0276】
〔実施例42−46〕
エポキシ樹脂組成物[A]及び[B]で用いる導電性粒子の種類を、カーボンブラックからVGCFに、ダイアリードからGRANOCにそれぞれ変更し、表13に記載する割合とした以外は実施例36と同様の方法でプリプレグを得た。
【0277】
実施例36−41で得られたプリプレグと同様に、実施例42−46で得られたプリプレグも優れた導電性を有していた。
【0278】
また、プリプレグの内層に硬化剤が含有されていないため、プリプレグの取扱性及び室温保存安定性は良好であった。
【0279】
【表13】
【0280】
〔実施例47〕
表14に記載する割合で、攪拌機を用いて80℃のエポキシ樹脂に導電性粒子を加えて30分間撹拌し、エポキシ樹脂組成物[A]を調製した。表14の割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を120℃で溶解させた後、80℃まで降温し、硬化剤、導電性粒子、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[B]を調製した。
【0281】
エポキシ樹脂組成物[A]、エポキシ樹脂組成物[B]を、それぞれフィルムコーターを用いて離型シート上に塗布し、表14に示す目付けの樹脂[A]シート、樹脂[B]シートを得た。
【0282】
次に、樹脂[B]シート2枚の間に、前記炭素繊維ストランドを供給して一方向に均一に配列[目付け(190g/m
2)]させることにより、炭素繊維ストランドをシート状にし、これらをローラーを用いて、90℃で加圧及び加熱して、1次プリプレグを得た。
【0283】
その後、樹脂[A]シート2枚の間に前記1次プリプレグを供給し、ローラーを用いて70℃で加圧及び加熱して、ロールに巻き取り、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。得られたプリプレグの各種性能を表14に示した。
【0284】
実施例47で得られたプリプレグは、導電性粗大粒子がプリプレグの表面に存在し、かつ、導電性微細粒子が強化繊維層に分散する。そのため、このプリプレグを積層し硬化させて作製されるFRPの導電性は、十分に高いものであった。また、本プリプレグは保存安定性が優れたものであった。本プリプレグから作製されるCFRPは、優れた機械物性と厚さ方向の導電性とを兼ね備えていた。
【0285】
【表14】
【0286】
〔実施例48−57〕
表15に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を120℃で溶解させた後、80℃まで降温し、導電性粒子を加えて30分間撹拌し、エポキシ樹脂組成物[A]を調製した。表15に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂(DAMS VW−30500RP)を120℃で溶解させた後、80℃まで降温し、残りのエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂(VW−10700RSFP)、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂、硬化剤、導電性粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物[B]を調製した。
【0287】
エポキシ樹脂組成物[A]、エポキシ樹脂組成物[B]を、それぞれフィルムコーターを用いて離型シート上に塗布し、表15に示す目付けの樹脂[A]シート、樹脂[B]シートを得た。
【0288】
次に、樹脂[B]シート2枚の間に、前記炭素繊維ストランドを供給して一方向に均一に配列[目付け(190g/m
2)]させることにより、炭素繊維ストランドをシート状にし、これらをローラーを用いて、130℃で加圧及び加熱して、1次プリプレグを得た。
【0289】
その後、樹脂[A]シート2枚の間に前記1次プリプレグを供給し、ローラーを用いて70℃で加圧及び加熱して、ロールに巻き取り、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。得られたプリプレグの各種性能を表15に示した。
【0290】
実施例48−57で得られたプリプレグは、表面層に硬化剤が含まれないため、プリプレグの取扱性が優れていた。また、導電性粗大粒子がプリプレグの表面層に局在化し、また、導電性微細粒子が表面層及び強化繊維層内に分散している。これにより、得られたプリプレグを用いて作製されたCFRPは、CFRPの強化繊維層内で導電性微細粒子が分散し、さらには強化繊維層間に導電性粗大粒子が局在化している。そのため、CFRPの導電性は、十分に高いものであった。また、本プリプレグは保存安定性が優れたものであった。本プリプレグから作製されるCFRPは、優れた機械物性と厚さ方向の導電性とを兼ね備えていた。
【0291】
〔実施例58〕
エポキシ樹脂組成物[B]に導電性粗大粒子を配合しない以外は、実施例50と同様の方法でプリプレグを製造した。このプリプレグの各種性能を表15に示した。
【0292】
実施例58で得られたプリプレグは、保存安定性は優れていた。また、このプリプレグを用いて作製したCFRPの機械物性は優れていたが、CFRPの強化繊維層間(樹脂層)に導電性粗大粒子が存在しないため、導電ブリッジの形成がやや不十分となった。そのため、CFRPの導電性は、実施例4に比べて低い値となったものの、十分実用に耐えうる値であった。
【0293】
〔比較例16〕
エポキシ樹脂組成物[A]及び[B]に導電性粒子を添加しない以外は、実施例48と同様の方法でプリプレグを製造した。このプリプレグの各種性能を表15に示した。
【0294】
比較例16で得られたプリプレグは、保存安定性は優れていた。また、このプリプレグを用いて作製したCFRPは、機械物性は優れていたが、導電性粒子を添加していないため、導電性は低い値となった。
【0295】
〔比較例17〕
エポキシ樹脂組成物[A]に導電性粒子を添加しない以外は、実施例48と同様の方法でプリプレグを製造した。このプリプレグの各種性能を表15に示した。
【0296】
比較例17で得られたプリプレグは、保存安定性は優れていた。また、このプリプレグを用いて作製したCFRPは、機械物性は優れていたが、エポキシ樹脂組成物[A]に導電性粒子を添加していないため、導電性は低い値となった。
【0297】
【表15】
【0298】
【表16】