(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5695265
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】座面用クッション
(51)【国際特許分類】
A47C 27/15 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
A47C27/15 D
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-226452(P2014-226452)
(22)【出願日】2014年10月20日
【審査請求日】2014年10月20日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】514283892
【氏名又は名称】▲高▼橋 友海
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 靖司
【審査官】
鈴木 誠
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭54−000141(JP,Y2)
【文献】
実開昭59−147515(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底側クッション材と、前記底側クッション材の上に重ねられる上側クッション材と、前記底側クッション材と前記上側クッション材を覆う表皮材とからなる着座者の臀部を受け止める座面用クッションであって、前記底側クッション材は前記上側クッション材より硬く、且つ前記底側クッション材には着座時に臀部の座骨結節部分及びその周辺部が位置する部分に長尺形状のスリットが並列に複数形成され、前記上側クッション材と同質又は前記上側クッション材より硬く前記底側クッション材より柔らかい長尺形状の嵌入クッション材が、前記底面クッション材の前記スリットに嵌入固着されていることを特徴とする座面用クッション。
【請求項2】
前記スリットが並列に複数形成される領域は、左右一対に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の座面用クッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座者の臀部を受け止める座面用クッションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座面用クッションは、着座者の臀部を受け止める座面に硬さや厚さ等が異なる複数のクッション材を積層することにより快適な座り心地が提供されるもの(例えば特許文献1)や、クッション材の後縁部に着座者の臀部の坐骨結節部分が収容される凹所を設けて坐骨結節部分への体圧の集中を臀部の平坦部や大腿部の裏側に分散することにより臀部が痛みを感じにくいもの(例えば特許文献2)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−165676号公報
【特許文献2】特開2003−394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、座面用クッションへの着座時間が長くなると、臀部の坐骨結節部分は圧迫に対しては鈍感であるが坐骨結節部分の周辺部は坐骨結節部分より圧迫に対して鋭敏であることから、臀部の坐骨結節部分の周辺部に痛みを感じる。また、臀部の坐骨結節部分への体圧の集中を臀部の平坦部や大腿部の裏側に分散すると、坐骨結節部分の周辺部に圧迫による痛みを感じたり、大腿部の裏側の膝に近い部分は血管や神経が皮膚の表面近くをとおっていることから、体圧を分散することにより血行障害を起こしやすい。
【0005】
本発明は、着座者の臀部を受け止める座面用クッションで、極力簡単な構成で快適な座り心地を提供すると共に、臀部の坐骨結節部分の周辺部に生じる圧迫による痛みを軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、底側クッション材と上側クッション材を表皮材で覆う着座者の臀部を受け止める座面用クッションであって、底側クッション材は上側クッション材より硬く、且つ底側クッション材には着座時に臀部の座骨結節部分及びその周辺部が位置する部分に長尺形状のスリットが並列に複数形成され、上側クッション材と同質又は上側クッション材より硬く底側クッション材より柔らかい長尺形状の嵌入クッション材が底面クッション材のスリットに嵌入固着されている。
【0007】
スリットが並列に複数形成される領域は、着座時に着座者の臀部の坐骨結節部分及びその周辺部が位置する部分を一つの領域として設けることもできるが、左右一対のものとして間隔をあけて設けることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、極力簡単な構成で着座時に快適な座り心地を提供することができるため、着座者の臀部を受け止める座面用クッションの製造コストを低減することができる。また、臀部の座骨結節部分及びその周辺部が位置する部分の底側クッション材に底側クッション材と異なる硬さの長尺形状の嵌入クッション材が並列に複数嵌入固着されているため、着座時間が長くなると、臀部の坐骨結節部分の周辺部に圧迫による痛みを感じる部分と感じていない部分が交互に生じる。臀部の坐骨結節部分の周辺部に圧迫による痛みを感じた際には、痛みを感じる部分を底側クッション材に嵌入固着されている底側クッション材より柔らかい長尺形状の嵌入クッション材の上方に移動させることにより、圧迫による痛みを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態を示す座面用クッションの斜視図である。(A)は一部欠切外観斜視図であり、(B)は底側クッション材の斜視図である。
【
図3】本発明の別の実施形態を示す座面用クッションの斜視図である。(A)は一部欠切外観斜視図であり、(B)は底側クッション材の斜視図である。
【
図5】本発明の他の実施形態を示す座面用クッションの斜視図である。(A)は一部欠切外観斜視図であり、(B)は底側クッション材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を
図1〜
図6に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態を示し、底側クッション材4と底側クッション材4の上に重ねられる上側クッション材3を、底側クッション材4と上側クッション材3を覆う表皮材2とからなる着座者の臀部を受け止める着座面の形状が長方形の座面用クッション1であって、底側クッション材4は上側クッション材3より硬く、且つ底側クッション材4には着座時に臀部の左右の座骨結節部分及びその周辺部が位置する部分を一つの領域として、長尺形状のスリット5が前後方向に対して並列に楕円形状になるように複数形成され、上側クッション材3と同質又は上側クッション材3より硬く底側クッション材4より柔らかい長尺形状の嵌入クッション材6が、底面クッション材4の一つの領域として形成されたスリット5に嵌入固着されている。
図2は、
図1(B)におけるC−C線の断面図である。着座時間が長くなることにより、臀部の坐骨結節部分の周辺部に圧迫による痛みを感じた際には、着座位置を前又は後に移動して、痛みを感じる部分を底側クッション材4に嵌入固着されている底側クッション材4より柔らかい長尺形状の嵌入クッション材6の上方に移動させることにより、圧迫による痛みを軽減することができる。
【0012】
図3は本発明の別の実施形態を示し、底側クッション材4と底側クッション材4の上に重ねられる上側クッション材3を、底側クッション材4と上側クッション材3を覆う表皮材2とからなる着座者の臀部を受け止める着座面の形状が楕円形の座面用クッション1であって、底側クッション材4は上側クッション材3より硬く、且つ底側クッション材4には着座時に臀部の左右の座骨結節部分及びその周辺部が位置する部分を左右一対のものとして間隔をあけて、長尺形状のスリット5が左右方向に対して並列に正方形状になるように複数形成され、上側クッション材3と同質又は上側クッション材3より硬く底側クッション材4より柔らかい長尺形状の嵌入クッション材6が、底面クッション材4の左右一対のものとして間隔をあけて形成されたスリット5に嵌入固着されている。
図4は、
図3(B)におけるD−D線の断面図である。着座時間が長くなることにより、臀部の坐骨結節部分の周辺部に圧迫による痛みを感じた際には、着座位置を左又は右に移動して、痛みを感じる部分を底側クッション材4に嵌入固着されている底側クッション材4より柔らかい長尺形状の嵌入クッション材6の上方に移動させることにより、圧迫による痛みを軽減することができる。
【0013】
図5は本発明の他の実施形態を示し、底側クッション材4と底側クッション材4の上に重ねられる上側クッション材3を、底側クッション材4と上側クッション材3を覆う表皮材2とからなる着座者の臀部を受け止める着座面の形状が八角形の座面用クッション1であって、底側クッション材4は上側クッション材3より硬く、且つ底側クッション材4には着座時に臀部の左右の座骨結節部分及びその周辺部が位置する部分を含めた底側クッション材の外周縁部を除く領域を一つの領域として、長尺形状のスリット5が前後方向に対して並列に八角形状になるように複数形成され、上側クッション材3と同質又は上側クッション材3より硬く底側クッション材4より柔らかい長尺形状の嵌入クッション材6が、底面クッション材4の一つの領域として形成されたスリット5に嵌入固着されている。
図6は、
図5(B)におけるE−E線の断面図である。着座時間が長くなることにより、臀部の坐骨結節部分の周辺部に圧迫による痛みを感じた際には、着座位置を前又は後に移動して、痛みを感じる部分を底側クッション材4に嵌入固着されている底側クッション材4より柔らかい長尺形状の嵌入クッション材6の上方に移動させることのほかに、着座したままで座面用クッション1を回転させることにより、痛みを感じる部分の一部を底側クッション材4に嵌入固着されている底側クッション材4より柔らかい長尺形状の嵌入クッション材6の上方に移動させることにより、圧迫による痛みを軽減することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 座面用クッション
2 表皮材
3 上側クッション材
4 底側クッション材
5 スリット
6 嵌入クッション材
【要約】
【課題】極力簡単な構成で快適な座り心地を提供すると共に、臀部の坐骨結節部分の周辺部に生じる圧迫による痛みを軽減する。
【解決手段】底側クッション材4と上側クッション材3を表皮材2で覆う着座者の臀部を受け止める座面用クッション1であって、底側クッション材4は上側クッション材3より硬く、且つ底側クッション材4には着座時に臀部の座骨結節部分及びその周辺部が位置する部分に長尺形状のスリット5が並列に複数形成され、上側クッション材3と同質又は上側クッション材3より硬く底側クッション材4より柔らかい長尺形状の嵌入クッション材6が底面クッション材4のスリット5に嵌入固着されている。
【選択図】
図1