(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機溶媒が、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及びエーテル系溶媒から選択される少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項4に記載のポリアミド酸溶液。
面内の屈折率のうち最大のものをnx、最小のものをnyとし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、nx−ny<0.0010、且つ、(nx+ny)/2−nz<0.160の関係を満たすことを特徴とする請求項6〜12のいずれか一項に記載のポリイミド。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下において本発明を詳しく説明する。
【0029】
本発明で製造されるポリアミド酸は、一般式(1)で表される構成単位および一般式(2)で表される構成単位を含む。
【0032】
ここで式中のR
1およびR
2は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、およびアルコキシル基より選ばれる基であり、これらは同じでも異なっていてもよい。低熱膨張性の発現の観点から、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、耐熱性の観点から、R
1およびR
2は水素原子であることが特に好ましい。つまり、式(1)で表される構成単位は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と1,4−シクロヘキサンジアミンより得られる式(8)で表されるポリアミド酸構成単位であることが最も好ましい。
【0034】
一般式(2)中のAはフルオレン骨格を含有する構成単位であり、複屈折を低くする観点から、式(3)で表される構成単位、式(4)で表される構成単位、および式(5)で表される構成単位より1つ選択されることが好ましく、耐熱性の観点から式(3)で表される構成単位であることが特に好ましい。
【0038】
つまり、式(2)で表される構成単位は、下記式(9)で表される構成単位、下記式(12)で表される構成単位、および下記式(13)で表される構成単位より1つ選択されることが好ましく、耐熱性の観点から、式(9)で表される構成単位であることが最も好ましい。
【0042】
得られるポリイミドの耐熱性、低熱膨張性、透明性、および低複屈折を向上させる観点から、ポリアミド酸中に一般式(1)で表される構成単位と一般式(2)で表される構成単位との合計のモル数が、ポリアミド酸のモル数に対して、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。なお、ここで、ポリアミド酸のモル数とは、ポリアミド酸を構成する全ジアミン由来構成単位のモル数、または、ポリアミド酸を構成する全酸二無水物由来構成単位のモル数である。
【0043】
本発明のポリアミド酸は、一般式(1)で表される構成単位および一般式(2)で表される構成単位を含んでいることが特徴であり、本発明の式(1)で表される構成単位および式(2)で表される構成単位を含有するポリアミド酸において、式(1)で表される構成単位のモル数/式(2)で表される構成単位のモル数で表されるモル比は、低熱膨張性の発現の観点から、30/70以上であることが好ましく、50/50以上であることがより好ましい。また、式(1)で表される構成単位のモル数/式(2)で表される構成単位のモル数で表されるモル比は、低複屈折の観点、および、支持体上にポリアミド酸溶液を塗布してイミド化する場合の支持体とポリイミドとの間の密着性の観点から、99/1以下であることが好ましく、98/2以下であることがより好ましく、97/3以下であることがさらに好ましく、95/5以下であることが特に好ましく、80/20以下であることが最も好ましい。
【0044】
本発明のポリアミド酸は、一般式(1)で表される構成単位および一般式(2)で表される構成単位を含んでいることが特徴であり、上述したように、一般式(1)で表される構成単位が式(8)で表される構成単位であり、一般式(2)で表される構成単位が式(9)で表される構成単位であることが特に好ましい。本発明の式(8)で表される構成単位および式(9)で表される構成単位を含有するポリアミド酸において、式(8)で表される構成単位のモル数/式(9)で表される構成単位のモル数で表されるモル比は、低熱膨張性の発現の観点から、30/70以上であることが好ましく、50/50以上であることがより好ましい。また、式(8)で表される構成単位のモル数/式(9)で表される構成単位のモル数で表されるモル比は、低複屈折の観点、および、支持体上にポリアミド酸溶液を塗布してイミド化する場合の支持体とポリイミドとの間の密着性の観点から、99/1以下であることが好ましく、98/2以下であることがより好ましく、97/3以下であることがさらに好ましく、95/5以下であることが特に好ましく、80/20以下であることが最も好ましい。
【0045】
特に、ガラス等の支持体上にポリアミド酸溶液を塗布し、加熱してイミド化し、電子素子等を形成して基板形成した後、剥がすという、バッチタイプのデバイス作製プロセスにおいては、支持体とポリイミドとの間の密着性が良いことがより好ましい。ここでいう密着性とは、密着強度という意味ではなく、ガラス等の支持体上にポリアミド酸溶液を塗布してイミド化したときの、ポリイミドと支持体との間の剥離または浮きの程度をいう。すなわち、ポリイミドと支持体との間の剥離または浮きが少ないほど、密着性に優れると言える。かかる剥離または浮きは、ガラス等の支持体上にポリアミド酸溶液を塗布してイミド化するときに、支持体とポリイミドとの間に泡状の剥離または浮きとして形成される。以下、
図1に基づいて、ポリイミドと支持体との間の剥離または浮きについて説明する。すなわち、
図1は、例えば、ガラス等の支持体1にポリアミド酸溶液2を塗布し、加熱することによって、ポリアミド酸をイミド化するときに、ポリイミドと支持体との間の剥離または浮きが形成される様子を模式的に示す。ガラス等の支持体1にポリアミド酸溶液2を塗布し(
図1の(a))、加熱すると、ポリアミド酸のイミド化が始まる。そして、イミド化の進行とともに、ポリアミド酸溶液2の水および/または有機溶媒が、
図1の(b)において矢印により示されるように、イミド化中のポリアミド酸から外部に出ていく。しかし、このとき、一部の水および/または有機溶媒は
図1の(b)において、×を付した矢印で示されるように、イミド化中のポリアミド酸から排出されず、支持体とイミド化中のポリアミド酸との間にとどまる。そして、この支持体とイミド化中のポリアミド酸との間にとどまった水および/または有機溶媒は、
図1の(c)に示すように、得られたポリイミドと支持体との間に泡状の剥離または浮きを形成する。この水および/または有機溶媒は、その後、ポリイミドまたは支持体を通って、上記泡状の剥離または浮きから排出され、最終的には、剥離または浮きの泡状部分は空気からなる空間となる。かかる剥離または浮きの形成を低減することにより、支持体上のポリイミド膜に電子素子等を形成して基板形成した後に、支持体から、電子素子等が形成されたポリイミド基板を剥がすという作製プロセスにおいて、電子素子等をより正確に形成または実装することができる。特に、薄型化または小型化されたデバイスでは、細かい剥離または浮きでも、電子素子等の形成または実装に大きな影響を与えることから、上記剥離または浮きの低減は重要である。
【0046】
好適には、式(1)で表される構成単位のモル数/式(2)で表される構成単位のモル数で表されるモル比、より好ましくは、式(8)で表される構成単位のモル数/式(9)で表される構成単位のモル数で表されるモル比が、99/1以下であるときに、支持体とポリイミドとの間の密着性が向上する。したがって、式(1)で表される構成単位のモル数/式(2)で表される構成単位のモル数で表されるモル比、より好ましくは、式(8)で表される構成単位のモル数/式(9)で表される構成単位のモル数で表されるモル比が、99/1以下であるときには、低複屈折と、支持体上にポリアミド酸溶液を塗布してイミド化する場合の支持体とポリイミドとの間の優れた密着性とが実現される。
【0047】
中でも、低複屈折と、支持体上にポリアミド酸溶液を塗布してイミド化する場合の支持体とポリイミドとの間の優れた密着性とを満たし、さらに特に低い熱膨張性を実現するという観点からは、
式(2)で表される構成単位のモル数/(式(1)で表される構成単位のモル数+式(2)で表される構成単位のモル数)、
は、0.01以上0.05未満であることがより好ましく、0.02以上0.05未満であることがさらに好ましい。
また、同様の観点から、式(9)で表される構成単位のモル数/(式(8)で表される構成単位のモル数+式(9)で表される構成単位のモル数)
は、0.01以上0.05未満であることがより好ましく、0.02以上0.05未満であることがさらに好ましい。
【0048】
本発明で製造されるポリイミドは一般式(6)で表される構成単位および一般式(7)で表される構成単位を含む。
【0051】
式中のR1、R2およびAは、それぞれ、上記一般式(1)および一般式(2)中のR
1、R
2およびAと同義である。つまり、一般式(6)は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と1,4−シクロヘキサンジアミンより得られる式(10)で表されるポリイミド構成単位であることが最も好ましい。
【0053】
一般式(7)中のAはフルオレン骨格を含有する構成単位であり、複屈折を低くする観点から式(3)で表される構成単位、(4)で表される構成単位、および(5)で表される構成単位より1つ選択されることが好ましく、耐熱性の観点から式(3)で表される構成単位であることが特に好ましい。つまり、一般式(7)で表される構成単位は、下記式(11)で表される構成単位、下記式(14)で表される構成単位、および下記式(15)で表される構成単位より1つ選択されることが好ましく、耐熱性の観点から、式(11)で表される構成単位であることが最も好ましい。
【0057】
耐熱性、低熱膨張性、透明性、および低複屈折を向上させる観点から、ポリイミド中に、一般式(6)で表される構成単位と一般式(7)で表される構成単位との合計のモル数が、ポリイミドのモル数に対して、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。なお、ここで、ポリイミドのモル数とは、ポリイミドを構成する全ジアミン由来構成単位のモル数、または、ポリイミドを構成する全酸二無水物由来構成単位のモル数である。
【0058】
本発明のポリイミドは、一般式(6)で表される構成単位および一般式(7)で表される構成単位を含んでいることが特徴であり、本発明の式(6)で表される構成単位および式(7)で表される構成単位を含有するポリイミドにおいて、式(6)で表される構成単位のモル数/式(7)で表される構成単位のモル数で表されるモル比は、低熱膨張性の発現の観点から、30/70以上であることが好ましく、50/50以上であることがより好ましい。また、式(6)で表される構成単位のモル数/式(7)で表される構成単位のモル数で表されるモル比は、低複屈折の観点、および、支持体上にポリアミド酸溶液を塗布してイミド化する場合の支持体とポリイミドとの間の密着性の観点から、99/1以下であることが好ましく、98/2以下であることがより好ましく、97/3以下であることがさらに好ましく、95/5以下であることが特に好ましく、80/20以下であることが最も好ましい。
【0059】
本発明のポリイミドは、一般式(6)で表される構成単位および一般式(7)で表される構成単位を含んでいることが特徴であり、上述したように、一般式(6)で表される構成単位が式(10)で表される構成単位であり、一般式(7)で表される構成単位が式(11)で表される構成単位であることが特に好ましい。本発明の式(10)で表される構成単位および式(11)で表される構成単位を含有するポリイミドにおいて、式(10)で表される構成単位のモル数/式(11)で表される構成単位のモル数で表されるモル比は、低熱膨張性の発現の観点から、30/70以上であることが好ましく、50/50以上であることがより好ましい。また、式(10)で表される構成単位のモル数/式(11)で表される構成単位のモル数で表されるモル比は、低複屈折の観点、および、支持体上にポリアミド酸溶液を塗布してイミド化する場合の支持体とポリイミドとの間の密着性の観点から、99/1以下であることが好ましく、98/2以下であることがより好ましく、97/3以下であることがさらに好ましく、95/5以下であることが特に好ましく、80/20以下であることが最も好ましい。
【0060】
中でも、低複屈折と、支持体上にポリアミド酸溶液を塗布してイミド化する場合の支持体とポリイミドとの間の優れた密着性とを満たし、さらに特に低い熱膨張性を実現するという観点からは、
式(7)で表される構成単位のモル数/(式(6)で表される構成単位のモル数+式(7)で表される構成単位のモル数)、
は、0.01以上0.05未満であることがより好ましく、0.02以上0.05未満であることがさらに好ましい。
また、同様の観点から、式(11)で表される構成単位のモル数/(式(10)で表される構成単位のモル数+式(11)で表される構成単位のモル数)
は、0.01以上0.05未満であることがより好ましく、0.02以上0.05未満であることがさらに好ましい。
【0061】
本発明のポリイミドは一般式(1)で表される構成単位および一般式(2)で表される構成単位を含むポリアミド酸をイミド化することによって得ることができる。また、本発明のポリイミドは、ポリアミド酸エステル等の一般に知られる前躯体より合成してもよいし、前躯体を経由せずに製造してもよい。
【0062】
本発明のポリアミド酸は、公知の一般的な方法にて合成することができ、有機溶媒中でジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させることにより得ることができる。具体的には、例えば、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気中において、ジアミンを有機溶媒中に溶解、又はスラリー状に分散させて、ジアミン溶液とする。一方、テトラカルボン酸二無水物は、有機溶媒に溶解、又はスラリー状に分散させた状態とした後、あるいは固体の状態で、上記ジアミン溶液中に添加すればよい。
【0063】
ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを用いてポリアミド酸を合成する場合、単数または複数のジアミン成分全量のモル数と、単数または複数のテトラカルボン酸二無水物成分全量のモル数とを、実質上等モルに調整することで、ポリアミド酸共重合体を任意に得ることができる。また、2種のポリアミド酸をブレンドすることによって複数のテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを含有するポリアミド酸を得ることもできる。上記ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応即ち、ポリアミド酸の合成反応の温度条件は、特に限定されない。脂環式ジアミンを用いる場合、塩形成が起こる場合が多いので、ポリアミド酸の合成反応の温度を、必要に応じて50℃〜150℃の範囲としてもよく、塩が溶解し重合反応が進行しはじめたら、ポリアミド酸の分子量低下を抑制するために、ポリアミド酸の合成反応の温度を、80℃以下とすることが好ましく、0℃以上50℃以下とすることがより好ましい。また、反応時間は10分〜30時間の範囲で任意に設定すればよい。
【0064】
さらに、上記ポリアミド酸の合成反応に使用する有機溶媒としては、有機極性溶媒であれば特に限定されるものではない。上記ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応が進行するにつれてポリアミド酸が生成し、反応液の粘度が上昇する。
【0065】
ポリアミド酸の重合に使用する有機溶媒は、使用するテトラカルボン酸二無水物、およびジアミン類を溶解することが可能なものが好ましく、更に生成されるポリアミド酸を溶解することが可能なものが好ましい。上記ポリアミド酸の合成反応に使用する有機溶媒は、例えば、テトラメチル尿素、N,N−ジメチルエチルウレアのようなウレア系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォンのようなスルホキシドあるいはスルホン系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ―ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキル系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、フェノール、クレゾールなどのフェノール系溶媒、シクロペンタノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテルなどのエーテル系溶媒が挙げられる。通常これらの溶媒を単独で用いるが、必要に応じて2種以上を適宜組合わせて用いて良い。ポリアミド酸の溶解性及び反応性を高めるために、上記ポリアミド酸の合成反応に使用する有機溶媒は、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及びエーテル系溶媒より選択されることが好ましく、特にDMF、DMAC、NMPなどのアミド系溶媒が好ましい。
【0066】
本発明のポリイミドは、公知の方法にて得ることができ、その製造方法は、特に制限されない。モノマーの入手性および重合の簡便さから、本発明のポリイミドはその前駆体であるポリアミド酸から得ることが好ましい。ポリアミド酸を用いて、ポリイミドを得るために、上記ポリアミド酸をイミド化する方法について説明する。イミド化は、ポリアミド酸を脱水閉環することによって行われる。この脱水閉環は、共沸溶媒を用いた共沸法、熱的手法または化学的手法によって行うことができる。また、ポリアミド酸からポリイミドへのイミド化は、1〜100%の任意の割合をとることができる。つまり、一部がイミド化されたポリアミド酸を合成してもよい。本明細書ではポリアミド酸と有機溶媒とを含む溶液をポリアミド酸溶液とする。ここで、ポリアミド酸溶液に含まれる当該有機溶媒としては、上記ポリアミド酸の合成反応に使用する有機溶媒と同様の有機溶媒を用いることができ、中でも、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及びエーテル系溶媒より選択される有機溶媒をより好適に用いることができ、DMF、DMAC、NMPなどのアミド系溶媒を特に好適に用いることができる。上述した方法でポリアミド酸を得た場合、合成した反応溶液自体をポリアミド酸溶液と表現することもある。
【0067】
脱水閉環は、ポリアミド酸を加熱して行えばよい。ポリアミド酸を加熱する方法は特に制限されないが、例えば、ガラス板、金属板、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の支持体に、ポリアミド酸溶液を流延または塗布した後、80℃〜500℃の範囲内で熱処理を行えばよい。或いは、フッ素系樹脂によるコーティング等の離型処理を施した容器に直接ポリアミド酸溶液を入れ、当該ポリアミド酸溶液を減圧下で加熱乾燥することによって、ポリアミド酸の脱水閉環を行うこともできる。このような手法によるポリアミド酸の脱水閉環により、ポリイミドを得ることができる。なお、上記各処理の加熱時間は、脱水閉環を行うポリアミド酸溶液の処理量や加熱温度により異なるが、一般的には、処理温度が最高温度に達してから1分〜5時間の範囲で行うことが好ましい。また、加熱時間の短縮や特性発現のために、イミド化剤および/または脱水触媒をポリアミド酸溶液に添加し、このイミド化剤および/または脱水触媒を添加したポリアミド酸溶液を上記のような方法で加熱してイミド化してもよい。
【0068】
上記イミド化剤としては、特に限定されないが、3級アミンを用いることができる。3級アミンとしては複素環式の3級アミンがさらに好ましい。複素環式の3級アミンの好ましい具体例としてはピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリンなどを挙げることができる。上記脱水触媒としては具体的には無水酢酸、プロピオン酸無水物、n−酪酸無水物、安息香酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物等を好ましい具体例として挙げることができる。
【0069】
イミド化剤および脱水触媒の添加量としては、ポリアミド酸のアミド基に対して、イミド化剤は0.5〜5.0倍モル当量、さらには0.7〜2.5倍モル当量、特には0.8〜2.0倍モル当量が好ましい。また、ポリアミド酸のアミド基に対して、脱水触媒は0.5〜10.0倍モル当量、さらには0.7〜5.0倍モル当量、特には0.8〜3.0倍モル当量が好ましい。ポリアミド酸溶液にイミド化剤および/または脱水触媒を加える際、有機溶媒に溶かさず直接加えても良いし、有機溶媒に溶かしたものを加えても良い。有機溶媒に溶かさず直接加える方法ではイミド化剤および/または脱水触媒が拡散する前に反応が急激に進行し、ゲルが生成することがある。イミド化剤および/または脱水触媒を有機溶媒に溶かして得られた溶液を、ポリアミド酸溶液に混合することがより好ましい。
【0070】
本発明のポリアミド酸およびポリイミドの重量平均分子量は、その用途にもよるが、10,000以上500,000以下の範囲であることが好ましく、20,000〜300,000の範囲であることがより好ましく、30,000〜200,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が10,000以上であれば、ポリアミド酸およびポリイミドを塗膜又はフィルムとすることが可能となる。一方、重量平均分子量が500,000以下であると、溶媒に対して十分な溶解性を示すため、後述するポリアミド酸溶液から表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られる。
【0071】
ここで用いている分子量とは、ゲルパーミレーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の値のことをいう。
【0072】
本発明のポリイミドは、支持体にポリアミド酸溶液を塗工し、乾燥または加熱することにより製造することができる。本明細書において、上述したような方法で得られた膜状のポリイミドを、ポリイミド膜と表現することがある。ここで、ポリアミド酸溶液は一部がイミド化した溶液でもよい。乾燥または加熱は空気下で実施してもよいし、窒素雰囲気下で実施してもよい。透明性の観点から窒素雰囲気下で乾燥または加熱することが特に好ましい。
【0073】
ポリアミド酸溶液を塗工する支持体としては、ガラス基板;SUS等の金属基板あるいは金属ベルト;ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム等が使用されるがこれに限定されるものではない。現行のバッチタイプのデバイス製造プロセスに適応させるためにはガラス基板を用いることが好ましい。
【0074】
ポリイミド膜製造時の乾燥温度または加熱温度に関しては、プロセスに合わせた条件を選択することが可能であり、特性に影響を与えない限り、特に制限されない。
【0075】
ポリイミドの透明性は、例えば、JIS K7105−1981に従った全光線透過率あるいはヘイズで表される。後述する本発明の用途でポリイミド膜を用いる場合、ポリイミドの全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。また、ヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。本発明の用途においては、ポリイミドは全波長領域で透過率が高いことが要求されるが、ポリイミドは短波長側の光を吸収しやすい傾向があり、膜自体が黄色に着色することが多い。本発明の用途に使用するためには、ポリイミドは、膜厚が10μmのとき、波長400nmでの光透過率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%より大きいことがさらに好ましい。波長400nmでの光透過率は、紫外−可視分光光度計によって測定される。このように透明性を付与することで、ポリイミド膜は、ガラス代替用途などの透明基板として使用することができる。
【0076】
本発明のポリイミドは、フィルム特性として低線熱膨張特性と加熱前後の寸法安定性を有する。例えば熱機械分析(TMA)によりこれらの値を測定する場合、セイコー電子(株)社製TMA120Cを用いて(サンプルサイズ 幅3mm、長さ10mm、膜厚を測定し、フィルムの断面積を算出)、荷重3gfとし10℃/minで10℃から340℃まで一旦昇温させた後、10℃まで冷却し、さらに340℃まで10℃/minで昇温したときの、2回目の昇温時の100〜300℃における単位温度あたりの試料の歪の変化量から求めた、100℃から300℃の範囲での線熱膨張係数が、50ppm/K以下、より好ましくは40ppm/K以下となるポリイミドを得ることができる。
【0077】
ガラス転移温度は、耐熱性の観点から高ければ高いほど良い。具体的には、示差走査熱量分析(DSC)または動的粘弾性分析(DMA)において、昇温速度10℃/minの条件で測定したときのガラス転移温度が、250℃以上であることが好ましく、プロセス温度が高くても対応できるという観点から、300℃以上であることがより好ましい。
【0078】
ポリイミドの光学特性は、本発明の用途に用いる場合、複屈折が小さい方が好ましい。ポリイミドは、面内に配向しやすいため、面内方向と厚み方向での屈折率の差(複屈折)が大きく、特に低熱膨張特性を示すポリイミドの場合複屈折が大きくなることが多い。本発明の用途に用いるためには、面内の屈折率のうち最大のものをnx、最小のものをny、厚み方向の屈折率をnzと定義したとき、
nx−ny<0.0010、且つ、(nx+ny)/2−nz<0.160
を満たすことが好ましく、
nx−ny<0.0010、且つ、(nx+ny)/2−nz≦0.120
を満たすことがより好ましく、
nx−ny<0.0010、且つ、(nx+ny)/2−nz<0.100
を満たすことがさらに好ましく、より光学的等方性が高い方が好ましいために
nx−ny<0.0010、且つ、(nx+ny)/2−nz<0.050
を満たすことが特に好ましい。ここで、(nx+ny)/2−nzは面内方向と厚み方向の屈折率の差、すなわち複屈折を表しており、この値が低いほど光学的に等方性が優れ好ましい。また、ここで、nx−nyは、より好ましくは0.0002未満であり、さらに好ましくは0.0001未満である。
【0079】
本発明に係るポリアミド酸およびポリイミドは、そのまま製品や部材を作製するためのコーティングや成形プロセスに供してもよいが、フィルム状に成形された成形物にさらにコーティング等の処理を行うための積層物として用いることも出来る。コーティングあるいは成形プロセスに供するために、該ポリアミド酸およびポリイミドを必要に応じて有機溶媒に溶解又は分散させ、さらに、光又は熱硬化性成分、本発明に係るポリアミド酸およびポリイミド以外の非重合性バインダー樹脂、その他の成分を配合して、ポリアミド酸およびポリイミド樹脂組成物を調製してもよい。
【0080】
本発明に係るポリアミド酸およびポリイミドに加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子、増感剤等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
【0081】
本発明に係るポリアミド酸およびポリイミドは、一般式(1)および(2)で表されるポリアミド酸または式(6)および(7)で表されるポリイミドを、組成物の固形分全体に対し、通常、60〜99.9重量%の範囲内で含有させる。言い換えれば、本発明に係るポリアミド酸およびポリイミドは、一般式(1)で表される構成単位および一般式(2)で表される構成単位を含有するポリアミド酸、または一般式(6)で表される構成単位および一般式(7)で表される構成単位を含有するポリイミドを、組成物の固形分全体に対し、通常、60〜99.9重量%の範囲内で含有させる。また、より好ましくは、本発明に係るポリアミド酸およびポリイミドは、式(8)で表される構成単位および式(9)で表される構成単位を含有するポリアミド酸、または一般式(10)で表される構成単位および一般式(11)で表される構成単位を含有するポリイミドを、組成物の固形分全体に対し、通常、60〜99.9重量%の範囲内で含有させる。なお、99.9重量%とは実質的に全ての意味である。また、その他の任意成分の配合割合は、ポリイミドの固形分全体に対し、0.1重量%〜95重量%の範囲であることが好ましい。配合割合が0.1重量%以上であることによって、添加物を添加した効果が発揮されやすい。配合割合が95重量%以下であることによって、樹脂組成物の特性が最終生成物に反映されやすい。なお、組成物の固形分とは有機溶媒以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
【0082】
本発明に係るポリイミド膜は、その表面に金属酸化物や透明電極等の各種無機薄膜を形成していても良い。これら無機薄膜の製膜方法は特に限定されるものではなく、例えばCVD法、スパッタリング法や真空蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法等が挙げられる。
【0083】
本発明に係るポリイミドは、耐熱性、低熱膨張性、および透明性に加えて、低複屈折を有し、さらに、支持体とポリイミドとの間の密着性が良いことから、これらの特性が有効とされる分野および製品、例えば、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ、光学フィルム、液晶表示装置、有機EL及び電子ペーパー等の画像表示装置、3−Dディスプレイ、タッチパネル、透明導電膜基板あるいは太陽電池に使用されることが好ましく、さらには現在ガラスが使用されている部分の代替材料とすることがさらに好ましい。即ち、本発明に係る一般式(1)で表される構成単位および一般式(2)で表される構成単位を含有するポリアミド酸、好ましくは一般式(1)で表される構成単位が式(8)で表される構成単位であり、一般式(2)で表される構成単位が式(9)で表される構成単位であるポリアミド酸、および一般式(6)で表される構成単位および一般式(7)で表される構成単位を含有するポリイミド、好ましくは式(6)で表される構成単位が式(10)で表される構成単位であり、式(7)で表される構成単位が(11)で表される構成単位であるポリイミドは、特に、基板、画像表示装置、光学材料、電子デバイス材料に好適に用いることができる。この基板とは、TFT基板、ITO基板、フレキシブルディスプレイ基板などをいう。この画像表示装置とは、有機EL、電子ペーパー、タッチパネル等をいう。この光学材料とは、カラーフィルターなどをいう。また、本発明のポリイミドは、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料や構造物としての利用も期待される。
【0084】
また、本発明に係るポリアミド酸、ポリイミドおよびポリアミド酸溶液は、支持体上にポリアミド酸溶液を塗布し、加熱してイミド化し、電子素子等を形成して基板形成した後、剥がすという、バッチタイプのデバイス作製プロセスに好適に用いることができる。したがって、本発明には、支持体上にポリアミド酸溶液を塗布し、加熱してイミド化し、支持体上に形成されたポリイミド膜に電子素子等を形成する基板形成工程を含む電子デバイスの製造方法も含まれる。また、かかる電子デバイスの製造方法は、さらに、基板形成工程の後に、支持体から、電子素子等が形成されたポリイミド基板を剥がす工程を含んでいてもよい。
【0085】
本願発明は以下の構成を有するものである。
【0086】
1.一般式(1)で表される構成単位および一般式(2)で表される構成単位を含有することを特徴とするポリアミド酸:
【0089】
R
1およびR
2は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、およびアルコキシル基より選ばれる基であり、これらは同じでも異なっていてもよく、一般式(2)中のAは式(3)で表される構成単位、式(4)で表される構成単位、および式(5)で表される構成単位より選択されるいずれか1つである、酸二無水物由来の成分である。
【0093】
2.前記式(1)で表される構成単位のモル数/前記式(2)で表される構成単位のモル数で表されるモル比が30/70〜99/1の範囲であることを特徴とする1に記載のポリアミド酸。
【0094】
3.前記一般式(1)で表される構成単位が下記式(8)で表される構成単位であり、一般式(2)で表される構成単位が下記式(9)で表される構成単位であることを特徴とする1または2に記載のポリアミド酸。
【0097】
4.1〜3のいずれかに記載のポリアミド酸と有機溶媒とを含有するポリアミド酸溶液。
【0098】
5.前記有機溶媒が、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及びエーテル系溶媒から選択される少なくとも1つを含んでいることを特徴とする4に記載のポリアミド酸溶液。
【0099】
6.4または5に記載のポリアミド酸溶液を支持体に塗工して得られたことを特徴とするポリイミド。
【0100】
7.1〜3のいずれかに記載のポリアミド酸をイミド化することにより得られることを特徴とするポリイミド。
【0101】
8.一般式(6)で表される構成単位および一般式(7)で表される構成単位を含有することを特徴とするポリイミド:
【0104】
R1およびR2は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、およびアルコキシル基より選ばれる基であり、これらは同じでも異なっていてもよく、一般式(7)中のAは式(3)で表される構成単位、式(4)で表される構成単位、および式(5)で表される構成単位より選択されるいずれか1つである、酸二無水物由来の成分である。
【0108】
9.前記式(6)で表わされる構成単位のモル数/前記式(7)で表される構成単位のモル数で表されるモル比が30/70〜99/1の範囲であることを特徴とする8に記載のポリイミド。
【0109】
10.前記一般式(6)で表される構成単位が下記式(10)で表される構成単位であり、前記一般式(7)で表される構成単位が下記式(11)で表される構成単位であることを特徴とする8または9に記載のポリイミド。
【0112】
11.膜厚が10μmのときの波長400nmの光透過率が50%以上であることを特徴とする6〜10のいずれかに記載のポリイミド。
【0113】
12.膜厚が10μmのときの100〜300℃における熱膨張係数が50ppm/K以下であることを特徴とする6〜11のいずれかに記載のポリイミド。
【0114】
13.面内の屈折率のうち最大のものをnx、最小のものをnyとし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、nx−ny<0.0010、且つ、(nx+ny)/2−nz<0.160の関係を満たすことを特徴とする6〜12のいずれかに記載のポリイミド。
【0115】
14.ガラス転移温度が250℃以上であることを特徴とする6〜13のいずれかに記載のポリイミド。
【0116】
15.6〜14のいずれかに記載のポリイミドを含有する基板。
【0117】
16.6〜14のいずれかに記載のポリイミドを含有する光学材料。
【0118】
17.6〜14のいずれかに記載のポリイミドを含有する画像表示装置。
【0119】
18.6〜14のいずれかに記載のポリイミドを含有する電子デバイス材料。
【実施例】
【0120】
(評価方法)
本明細書中に記載の材料特性値等は以下の評価法によって得られたものである。
【0121】
(1)ポリアミド酸の分子量
表1の条件にて重量平均分子量(Mw)を求めた。評価結果を表2に示す。
【0122】
【表1】
【0123】
(2)ポリイミド膜の透過率
日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計(V−650)を用いて、ポリイミド膜の200−800nmにおける光透過率を測定し、400nmの波長における光透過率を指標として用いた。また、透過率が0.5%以下となる波長(カットオフ波長)も求めた。
【0124】
(3)フィルムの線熱膨張係数(CTE)
線熱膨張係数の測定は、セイコー電子(株)社製TMA120Cを用いて(サンプルサイズ 幅3mm、長さ10mm、膜厚を測定し、フィルムの断面積を算出)、荷重3gfとし10℃/minで10℃から340℃まで一旦昇温させた後、10℃まで冷却し、さらに340℃まで10℃/minで昇温したときの、2回目の昇温時の100〜300℃における単位温度あたりの試料の歪の変化量から線膨張係数を求めた。
【0125】
(4)ポリイミド膜のガラス転移温度(Tg)
セイコー電子(株)社製TMA120Cを用いて(サンプルサイズ 幅3mm、長さ10mm、膜厚を測定し、フィルムの断面積を算出)、荷重3gとし10℃/minで10〜400℃まで昇温させたたときのフィルムの歪の変化量を測定し、この変化量の変曲点の温度をガラス転移温度とした。
【0126】
(5)ポリイミド膜の全光線透過率
日本電色工業製積分球式ヘイズメーター300Aにより、JIS K7105−1981記載の方法により測定した。
【0127】
(6)ポリイミド膜のヘイズ
日本電色工業製積分球式ヘイズメーター300Aにより、JIS K7105−1981記載の方法により測定した。
【0128】
(7)位相差測定
シンテック社製位相差計:OPTIPROにて、測定波長590nmにおける正面位相差および厚み位相差の値を測定した。その値を用いて、nx-nyおよび(nx+ny)/2−nzを算出した。ここで、nx、ny、nzは、面内の屈折率のうち最大のものをnx、最小のものをny、厚み方向の屈折率をnzと定義した。
【0129】
(8)ガラス密着性評価
ポリアミド酸溶液を150×150×0.7mmの無アルカリガラスに塗工し、空気中60℃で30分乾燥後、窒素雰囲気下で6.5℃/minの速度で350℃まで昇温し、さらに350℃で2時間乾燥することによってポリイミド膜を製膜した。なお、ポリイミド膜の膜厚は10μmとなるようにした。このときのポリイミド膜のガラスからの剥離または浮きの様子を観察した。ポリイミド膜のガラスからの剥離または浮きの様子の観察は、150×150mmのポリイミド膜に存在する、泡状の、ガラスからの剥離箇所が何点あるかを数えることにより行った。なお、ここで、上記剥離箇所としては、長辺が5mm以上のもののみを数えるものとする。支持体とポリイミドとの間の密着性の評価基準は以下のようにした。
5:剥離箇所無
4:剥離箇所が1〜2点
3:剥離箇所が3〜5点
2:剥離箇所が5点以上または塗工面積の25%以上が剥離
1:塗工面積の50%以上が剥離
(実施例1)
<ポリアミド酸の重合>
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコにトランス−1,4−シクロヘキサンジアミン(以下、CHDAと称することもある)7.8gを入れ、重合用の有機溶媒として脱水したN,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMACと称することもある)120.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、3,3’、4,4‘−ビフェニルテトラカルボン酸無水物(以下、BPDAと称することもある)16.0gと、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物(以下、BPAFと称することがある)6.2gを同時に加え、120℃で5分加熱し、その後冷却し、室温(23℃)で5時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。各モノマーの仕込み比率は、CHDAを100mol%としたとき、BPDA:80mol%、BPAF:20mol%となっていた。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して20重量%となっていた。またポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は30,000であった。
【0130】
<ポリイミド膜の作製>
重合したポリアミド酸溶液をバーコーターでガラス板上にて塗布し、空気中で60℃で30分、窒素雰囲気下で350℃で1時間乾燥させ、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の400nmにおける透過率は80%、(nx+ny)/2−nzは0.043、CTEは33ppm/K、ガラス転移温度は367℃であった。また、重合したポリアミド酸溶液を用いて行ったポリイミド膜のガラス密着性評価の結果は5であった。ポリイミド膜の評価結果を表2に示す。
【0131】
【表2】
【0132】
(実施例2)
<ポリアミド酸の重合>
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコにCHDA7.2gを入れ、重合用の有機溶媒として脱水したDMAC120.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、BPDA11.2gとBPAF11.6gを同時に加え、120℃で5分加熱し、その後冷却し、室温(23℃)で5時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。各モノマーの仕込み比率は、CHDAを100mol%としたとき、BPDA:60mol%、BPAF:40mol%となっていた。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して20重量%となっていた。またポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は32,000であった。
【0133】
<ポリイミド膜の作製>
重合したポリアミド酸溶液をバーコーターでガラス板上にて塗布し、空気中で60℃で30分、窒素雰囲気下で350℃で1時間乾燥させ、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の400nmにおける透過率は82%、(nx+ny)/2−nzは0.018、CTEは46ppm/K、ガラス転移温度は365℃であった。また、重合したポリアミド酸溶液を用いて行ったポリイミド膜のガラス密着性評価の結果は5であった。ポリイミド膜の評価結果を表2に示す。
【0134】
(実施例3)
<ポリアミド酸の重合>
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコにCHDA7.0gを入れ、重合用の有機溶媒として脱水したDMAC120.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、BPDA9.0g、BPAF14.0gを加え、120℃で5分加熱し、その後冷却し、室温(23℃)で5時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。各モノマーの仕込み比率は、CHDAを100mol%としたとき、BPDA:50mol%、BPAF:50mol%となっていた。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して20重量%となっていた。またポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は40,000であった。
【0135】
<ポリイミド膜の作製>
重合したポリアミド酸溶液をバーコーターでガラス板上にて塗布し、空気中で60℃で30分、窒素雰囲気下で350℃で1時間乾燥させ、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の400nmにおける透過率は82%、(nx+ny)/2−nzは0.011、CTEは47ppm/K、ガラス転移温度は365℃であった。また、重合したポリアミド酸溶液を用いて行ったポリイミド膜のガラス密着性評価の結果は5であった。ポリイミド膜の評価結果を表2に示す。
【0136】
(実施例4)
<ポリアミド酸の重合>
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコにCHDA6.2gを入れ、重合用の有機溶媒としてDMAC170.0gを仕込み攪拌した後、この溶液にBPDA16.0gを加え、100℃で30分加熱し、その後室温で1時間撹拌した。その後、この溶液にCHDAを1.5g加え、さらにBPAF6.2gを加え、再度100℃で20分加熱し、その後冷却し、室温(23℃)で5時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。各モノマーの仕込み比率は、CHDAを100mol%としたとき、BPDA:80mol%、BPAF:20mol%となっていた。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して15重量%となっていた。またポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は45,000であった。
【0137】
<ポリイミド膜の作製>
重合したポリアミド酸溶液を固形分濃度が10%になるようにDMACで希釈し、希釈した溶液をバーコーターでガラス板上にて塗布し、空気中で60℃で30分、窒素雰囲気下で350℃で1時間乾燥させ、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の400nmにおける透過率は78%、(nx+ny)/2−nzは0.073、CTEは27ppm/K、ガラス転移温度は365℃であった。また、固形分濃度が10%になるようにDMACで希釈したポリアミド酸溶液を用いて行ったポリイミド膜のガラス密着性評価の結果は5であった。ポリイミド膜の評価結果を表2に示す。
【0138】
(実施例5)
<ポリアミド酸の重合>
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコにCHDA3.5gを入れ、重合用の有機溶媒としてDMAC170.0gを仕込み攪拌した後、この溶液にBPDA9.0gを加え、100℃で30分加熱し、その後室温で1時間撹拌した。その後、この溶液にCHDAを3.5g加え、さらにBPAF14.0gを加え、再度100℃で20分加熱し、その後冷却し、室温(23℃)で5時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。各モノマーの仕込み比率は、CHDAを100mol%としたとき、BPDA:50mol%、BPAF:50mol%となっていた。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して15重量%となっていた。またポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は45,000であった。
【0139】
<ポリイミド膜の作製>
重合したポリアミド酸溶液を固形分濃度が10%になるようにDMACで希釈し、希釈した溶液をバーコーターでガラス板上にて塗布し、空気中で60℃で30分、窒素雰囲気下で350℃で1時間乾燥させ、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の400nmにおける透過率は79%、(nx+ny)/2−nzは0.044、CTEは36ppm/K、ガラス転移温度は365℃であった。また、固形分濃度が10%になるようにDMACで希釈したポリアミド酸溶液を用いて行ったポリイミド膜のガラス密着性評価の結果は5であった。ポリイミド膜の評価結果を表2に示す。
【0140】
(実施例6)
<ポリアミド酸の重合>
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコにCHDA8.3gを入れ、重合用の有機溶媒として脱水したDMAC170.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、BPDA21.3g、BPAF0.3gを加え、100℃で5分加熱し、その後冷却し、室温(23℃)で5時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。各モノマーの仕込み比率は、CHDAを100mol%としたとき、BPDA:99mol%、BPAF:1mol%となっていた。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して15重量%となっていた。またポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は50,000であった。
【0141】
<ポリイミド膜の作製>
重合したポリアミド酸溶液を固形分濃度が10%になるようにDMACで希釈し、希釈した溶液をバーコーターでガラス板上にて塗布し、空気中で60℃で30分、窒素雰囲気下で350℃で1時間乾燥させ、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の400nmにおける透過率は74%、(nx+ny)/2−nzは0.120、CTEは11ppm/K、ガラス転移温度は360℃であった。また、固形分濃度が10%になるようにDMACで希釈したポリアミド酸溶液を用いて行ったポリイミド膜のガラス密着性評価の結果は3であった。ポリイミド膜の評価結果を表2に示す。
【0142】
(実施例7)
<ポリアミド酸の重合>
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコにCHDA8.3gを入れ、重合用の有機溶媒として脱水したDMAC170.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、BPDA20.7g、BPAF1.0gを加え、100℃で5分加熱し、その後冷却し、室温(23℃)で5時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。各モノマーの仕込み比率は、CHDAを100mol%としたとき、BPDA:97mol%、BPAF:3mol%となっていた。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して15重量%となっていた。またポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は50,000であった。
【0143】
<ポリイミド膜の作製>
重合したポリアミド酸溶液を固形分濃度が10%になるようにDMACで希釈し、希釈した溶液をバーコーターでガラス板上にて塗布し、空気中で60℃で30分、窒素雰囲気下で350℃で1時間乾燥させ、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の400nmにおける透過率は77%、(nx+ny)/2−nzは0.120、CTEは13ppm/K、ガラス転移温度は360℃であった。また、固形分濃度が10%になるようにDMACで希釈したポリアミド酸溶液を用いて行ったポリイミド膜のガラス密着性評価の結果は5であった。ポリイミド膜の評価結果を表2に示す。
【0144】
(実施例8)
<ポリアミド酸の重合>
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコにCHDA8.2gを入れ、重合用の有機溶媒として脱水したDMAC170.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、BPDA20.1g、BPAF1.7gを加え、100℃で5分加熱し、その後冷却し、室温(23℃)で5時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。各モノマーの仕込み比率は、CHDAを100mol%としたとき、BPDA:95mol%、BPAF:5mol%となっていた。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して15重量%となっていた。またポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は50,000であった。
【0145】
<ポリイミド膜の作製>
重合したポリアミド酸溶液を固形分濃度が10%になるようにDMACで希釈し、希釈した溶液をバーコーターでガラス板上にて塗布し、空気中で60℃で30分、窒素雰囲気下で350℃で1時間乾燥させ、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の400nmにおける透過率は78%、(nx+ny)/2−nzは0.115、CTEは15ppm/K、ガラス転移温度は362℃であった。また、固形分濃度が10%になるようにDMACで希釈したポリアミド酸溶液を用いて行ったポリイミド膜のガラス密着性評価の結果は5であった。ポリイミド膜の評価結果を表2に示す。
【0146】
(比較例1)
<ポリアミド酸の重合>
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコにCHDA8.3gを入れ、重合用の有機溶媒として脱水したDMAC120.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、BPDA21.6g、を加え、120℃で5分加熱し、その後冷却し、室温(23℃)で5時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して20重量%となっていた。またポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は45,000であった。
【0147】
<ポリイミド膜の作製>
重合したポリアミド酸溶液をバーコーターでガラス板上にて塗布し、空気中で60℃で30分、窒素雰囲気下で350℃で1時間乾燥させ、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の400nmにおける透過率は70%、(nx+ny)/2−nzは0.120、CTEは11ppm/K、ガラス転移温度は360℃であった。また、重合したポリアミド酸溶液を用いて行ったポリイミド膜のガラス密着性評価の結果は2であった。ポリイミド膜の評価結果を表2に示す。
【0148】
(比較例2)
<ポリアミド酸の重合>
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコにCHDA8.3gを入れ、重合用の有機溶媒として脱水したNMP120.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、BPDA21.6g、を加え、120℃で5分加熱し、その後冷却し、室温(23℃)で5時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して20重量%となっていた。またポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は45,000であった。
【0149】
<ポリイミド膜の作製>
重合したポリアミド酸溶液をバーコーターでガラス板上にて塗布し、空気中で60℃で30分、窒素雰囲気下で350℃で1時間乾燥させ、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の400nmにおける透過率は49%、(nx+ny)/2−nzは0.160、CTEは7ppm/K、ガラス転移温度は360℃であった。また、重合したポリアミド酸溶液を用いて行ったポリイミド膜のガラス密着性評価の結果は2であった。ポリイミド膜の評価結果を表2に示す。
【0150】
(比較例3)
<ポリアミド酸の重合>
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコにCHDA6.0gを入れ、重合用の有機溶媒として脱水したDMAC120.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、BPAF24.0gを加え、室温(23℃)で5時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して20重量%となっていた。またポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は62,000であった。
【0151】
<ポリイミド膜の作製>
重合したポリアミド酸溶液をバーコーターでガラス板上にて塗布し、空気中で60℃で30分、窒素雰囲気下で350℃で1時間乾燥させ、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の400nmにおける透過率は83%、(nx+ny)/2−nzは0.001、CTEは52ppm/K、ガラス転移温度は376℃であった。また、重合したポリアミド酸溶液を用いて行ったポリイミド膜のガラス密着性評価の結果は5であった。ポリイミド膜の評価結果を表2に示す。
【0152】
(比較例4)
<ポリアミド酸の重合>
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(以下、4,4´−ODAと称することがある)13.6gを入れ、重合用の有機溶媒として脱水したDMAC120.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、BPAF3.1g、ピロメリット酸無水物(以下、PMDAと称することがある)13.3gを加え、室温(23℃)で5時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。各モノマーの仕込み比率は、4,4´−ODAを100mol%としたとき、PMDA:90mol%、BPAF:10mol%となっていた。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して20重量%となっていた。またポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は50,000であった。
【0153】
<ポリイミド膜の作製>
重合したポリアミド酸溶液をバーコーターでガラス板上にて塗布し、空気中で60℃で30分、窒素雰囲気下で350℃で1時間乾燥させ、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の400nmにおける透過率は0%、(nx+ny)/2−nzは0.048、CTEは41ppm/K、ガラス転移温度は375℃であった。また、重合したポリアミド酸溶液を用いて行ったポリイミド膜のガラス密着性評価の結果は5であった。ポリイミド膜の評価結果を表2に示す。
【0154】
(比較例5)
<ポリアミド酸の重合>
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコにp−フェニレンジアミン(以下、PDAと称することがある)1.1gを入れ、重合用の有機溶媒として脱水したDMAC120.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、PMDA2.2gを加え、1時間撹拌した。その後、4,4´−ODA11.9gを加えて撹拌し、さらにPMDA9.1g、BPDA4.1g、BPAF1.6gを加えて室温(23℃)で5時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。PDAと4,4´−ODAを合わせて100mol%としたとき、PMDA:75mol%、BPDA:20mol%、BPAF:5mol%となっていた。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して20重量%となっていた。またポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は50,000であった。
【0155】
<ポリイミド膜の作製>
重合したポリアミド酸溶液をバーコーターでガラス板上にて塗布し、空気中で60℃で30分、窒素雰囲気下で350℃で1時間乾燥させ、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の400nmにおける透過率は0%、(nx+ny)/2−nzは0.060、CTEは36ppm/K、ガラス転移温度は357℃であった。ポリイミド膜の評価結果を表2に示す。
【0156】
実施例1〜8に記載のポリイミドは、比較例1、2、4、5のポリイミドと比較して400nmでの透過率が70%を超えていて透明性が高く、ガラス密着性の評価値が3以上と良く、また(nx+ny)/2−nz<0.120と低い複屈折の値を有していた。さらに、実施例1〜8に記載のポリイミドは、比較例3のポリイミドと比較して50ppm/K以下の低い熱膨張係数を有していた。